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学 位 論 文 審 査の 要 旨

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Academic year: 2021

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(1)

    博士(獣医学)イグナシャS.ブラガm 学位論文題名

   Pathological Studies of Progressive Muscular      Dystrophy in a Mutant Strain of Japanese        Quail (Coturnr,x cotu,rnix japonica)

( ニホ ンウ ズラCoturnix coturnz丿叩〇凡むc0の突然変異体に認められた     進 行性 筋ジ スト ロフ ィー に関 する 病理 学的 研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  一 次 性 ( 筋 原 性 ) ミ オ パ チ ー の ー つ で あ る 筋 ジ ス ト ロ フ イ ー は 遺 伝 性 で 、 筋 線 維 消 失 に 至 る 進 行 性 筋 変 性 を 特 徴 と す る 。 ヒ ト の 筋 ジ ス ト ロ フ イ ー は 、 遺 伝 形 式 、 発 症 年 齢 、 筋 力 低 下 の 進 行 度 、 好 発 部 位 、 特 徴 的 病 態 に よ っ て 数 種 の 型 に 分 類 さ れ る 。 哺 乳 動 物 で は 、 マ ウ ス 、 ハ ム ス タ ー に 筋 ジ ス ト ロ フ イ ー が 認 め ら れ 、 こ れ ら に は ヒ ト の そ れ に 類 似 す る も のもある。,1:3磐!では、゛ニワトリ、,し面烏、1ンズラにおいて遺伝性ミオノヾ チ ー が 知 ら れ 、 こ れ ら の う ち ニ ワ ト り に お け る 筋 ジ ス ト ロ フ イ ー の み が 筋緊張症を示す。

  著 者 の 所 属 す る 研 究 室 に お い て 、 ニ ホ ン ウ ズ ラ (CotuTr7fxcOtu′ .nA japonica)の 一 系 統 に 、 筋 緊 張 症 を 示 す 遺 伝 性 筋 疾 患 を 見 出 し た 。 こ の 疾 患 は 性 差 を 示 さ な い 常 染 色 体 性 優 性 遺 伝 で 、 ホ モ 致 死 で あ る 。 著 者 は、その系統化された(Locked Wing Cross:LWC)ウズラの病

態を明らかにするため本研究を実施した。

  第 一 章 で は 、 LWCウ ズ ラ の 臨 床 学 的 な ら び に 病 理 学 的 特 徴 を 明 ら か に す る 目 的 で 研 究 を 行 っ た 。 研 究 材 料 と し て は 、8か ら60週 齢 のLWC ウズラ13羽と正常対照ウズラ7羽を用いた。

  臨 床 的 に は 、LWCウ ズ ラ は 羽 を 強 制 的 に 広 げ る と ( 羽 挙 上 試 験 ) 、 正 常 例 に 比 較 し そ の 角 度 が 小 さ く 、 抵 抗 し た 。 ま た 、LWCウ ズ ラ を 仰 向 け に 寝 か せ る と ( フ リ ッ プ テ ス ト ) 起 き あ が る こ と が で き な か っ た 。

(2)

LWCウズ ラのM. femorotibialis mediusの筋電図検査では、ミオトニア 放 電が認 めら れ、こ れはM femoralisを切断した後の本検査においても 同 様 に 認 め . ら れ た 。LWCウ ズ ラ の 血 清 中 の乳 酸 脱 水 素 酵 素(LDH) 値 、 ク レ ア チ ンフ オス フォ キナー ゼ(CK)値 、なら ぴに アルド ラー ゼ (ALD)値 は、異 常を 示さず,正常ウズラのそれらの値との問に有意差は なかった。

  骨格筋における、最も著明な肉眼的変化はM. pectoralis舶oracicusに 見られ、この筋は白色の線を混じた淡桃色を呈していた。また、その筋 全体は持続的収縮をしているかのように固く、粗粒であった。組織学的 には、全身から15ケ所の骨格筋を採材して検索した。これらに認められ た最も著明な変化は、ring fiberヽsarcoplasmic massヽcentral nuclea‑

tionで あ っ た 。 組 織 化 学 的 に は 、 病 変 はII型 筋 線 維 (aRと W)の みに見られ、I型筋線維(ロR)には異常はなかった。M. pectoralis舶。.

racJcusにおいては、IIB型筋線維の直径が小さかったのにたいし、IIA型 筋 線維の 直径 は大き くな ってい た。 年齢の 高いLWCウズラでは、IIB型 筋線維の脂肪性置換を伴う筋線維東内、筋線維束間の脂肪浸潤が種々の 程度で見られた。

  骨格筋 以外 では、LWCウズラの精巣は、変形、黄色化し、両側性そし て非対称性に萎縮し、精巣の体重比重量は著明に減少していた。萎縮し た精巣では、組織学的に精粗細胞の著明な減数、精子形成の停止を伴っ た粘上皮変性が見られた。

  ま た 、 検 査 した13羽 のLWCウ ズ ラ 中6羽 に 両 側 性 の白 内障が 認め ら れた。自内障は特に水晶体の輪状結節(annular pad)と水晶体皮質前部 に 認 め ら れ た 。 網 膜 と 角 膜 に は 病 変 は 認 め ら れ な か っ た 。   以上の臨床症状と筋電図所見はニワトりの筋ジストロフイ‐で認めら れるそれらと類似していた。.また、LWCウズラに見られた骨格筋と精巣 ならぴに眼の組織病変、さらに本ウズラの遺伝形式はヒトの筋緊張性ジ ス トロフ イー(MyD)と酷似していた。今回の検索において、末梢利|経 および筋紡錘に変化が見られなっかたことから、本病変は一次性(筋原 性)のミオバチーであることが示唆された。

  第二章 では 、LWCウズラに見られる骨格筋の組織病変の経時的な発達 過 程 に つ い て 研究 した 。検 索には19羽 のLWCウズラ と18羽の正 常対 照 ウ ズラを 用い 、これ らを20日齢 から10日間 隔で70日齢まで経時的に検

(3)

索 し た 。40日 齢 以 上のLWCウ ズラは 、羽 挙上試 験と フリッ プテ スト陽 性 例 を 材 料と し て 、30日齢未 満のLWCウ ズラは 任意 に選択 して 材料と した。これらの骨格筋から最大18ケ所の筋肉を採材し、組織学的並びに 組織化学的に検索した。

  検 索し た全て の日齢のLWCウズラにおいて、最も優勢に見られた変化 はsarcoplasmic massであった。この病変は羽挙上とフリップテストに 大きな影響を与える躯幹近位の筋に優勢に認められ、特にこれは胸筋で 重 度 で あ った 。LWCウズ ラの 日齢が 進む に従い 、病 変は胸 部遠 位と脚 でよ り著 明とな った。筋線維型との関係では、病変はIIB型筋線維より 1IA型筋線維に多く見られたが、IIA型筋線維に優勢な例と、逆にIIB型筋 線維に優勢な例とがあった。このニつの異なった病変の分布様式は、組 織化学的染色を用いなくても識別することができ、M. pectoralis thorac‑

icusの浅 層部の 筋束 におい ては その識 別が 最も容 易になされ得た。な お、I型筋 線維 には病 変は 見られ なか った。 次に 、20日齢のLWCウズラ のM. pectoralis曲oracicusの筋線維の形態計測では、同日齢の対照正 常ウ ズラ と比較 して、IIB型筋線維が異常に太かった。この筋線維はそ の後 、正 常例と は逆 に太さ を減 じ、70日齢 時には20日齢時の約半分の 太さ にな った。 筋線維束内脂肪組織浸潤と萎縮したIIB型筋線維の脂肪 細 胞 に よ る置 換 は 、60日齢か ら明 瞭に認 めら れた。 また 、LWCウズラ の日 齢、 臨床症 状お よび筋 病変 の程度 との 間には 関連性は認められな かった。

  以 上の ように 、LWCウズラの骨格筋病変の発達と日齢は平行せず様々 であ った が、病 変自身は進行性であった。したがって、このLWCウズラ の筋病変は筋緊張症を示す進行性筋ジストロフイーのーつの型に分類さ れ、ヒトのMyDに酷似するものであった。

(4)

学 位 論 文 審 査の 要 旨

学 位 論 文 題 名

Patholog.ical Studies of Progressive Muscular   Dystrophy in a Mutant Strain of Japanese      Quail (Co と Mrnix coturnix japonica)

( ニ ホ ン ウ ズ ラCournz,x cournzxJ〔 ゆoLcaの 突 然 変 異 体 に 認 め ら れ た     進 行 性 筋 ジ ス ト 口 フ ィ ー に 関 す る 病 理 学 的 研 究 )

  申 請 者 は , ニ ホ ン ウ ズ ラ に 自 然 発 生 し , 常 染 色 体 性 優 性 遺 伝 で 系 統 維 持 さ れ て い る 筋 疾 患 例 (Locked Wing Cross: LWCウ ズ ラ ) の 病 態 を 明 ら か に し た .   本 ウ ズ ラ は , 臨 床 的 に は 翼 の 挙 上 カ が 乏 し く , か つ 仰 向 け に 寝 か せ る と 自 カ で 起 き 上 が る こ と が で き な か っ た . こ れ ら の 症 状 は , 人 の 筋 緊 張 症 の 臨 床 的 特 徴 に 匹 敵 す る 所 見 と 解 さ れ た . ま た , 胸 筋 に つ い て 実 施 し た 筋 電 図 検 査 で は , 筋 緊 張 症 の 特 徴 と さ れ て い る ミ オ ト ニ ア 放 電 が 認 め ら れ た .

  筋の 組織 病変 とし ては ,ring fiber,sarcoplasmic mass, 核の 中心 移 動が 特徴 的で あ っ た . こ れ ら の 病 変 の 発 現 状 況 を70日 齢 ま で 経 日 的 に 検 索 レ た 結 果 で は , 常 にsacro‑

plasmicmassが 優 勢 で あ っ た . 上 記 の 筋 病 変 は 胸 筋 で 重 度 で あ っ た が , 日 齢 と 共 に 躯 幹 近 位 ( 胸 部 ) か ら 遠 位 ( 脚 ) の 筋 に 進 行 性 に 重 度 化 し た ・

  組 織 化 学 的 検 索 を 実 施 レ て , 筋 線 維 型 と 病 変 発 現 と の 関 係 を 調 べ た 結 果 で は , 病 変 はH型 筋 線 維 に の み 認 め ら れ , I型 筋 線 維 に は 認 め ら れ な か っ た .n型 筋 線 維 で は , 病 変 はHB型 筋 線 維 よ り もnA型 筋 線 維 に 多 く 見 ら れ た が , 例 別 に よ りHA型 , HB型 い ず れ か に 優 勢 で あ っ た .

  胸 筋 の 筋 線 維 の 形 態 計 測 で は ,20日 齢 で はHB型 筋 線 維 が 異 常 に 太 か っ た が ,70 齢 で は そ の 太 さ が 約12と な り ( 萎 縮 筋 線 維 ) , こ の 筋 線 維 の 脂 肪 性 置 換 も 認 め ら れ た .

  ま た , 筋 病 変 の 進 展 は 日 齢 と は 必 ず し も 平 行 せ ず , 様 々 で あ っ た が , 病 変 自 身 は 進 行 性 で あ っ た . 本 ウ ズ ラ の 末 梢 神 経 お よ び 筋 紡 錘 に は 変 化 が 見 ら れ な か っ た こ と か ら , 筋 病 変 は 筋 原 性 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た .

  本 ウ ズ ラ の 上 記 の 臨 床 的 , 筋 電 図 学 的 , 筋 の 病 理 組 織 学 的 所 見 , 遺 伝 形 式 , さ ら

敏 晃

正 彦

智  

  智

倉 本

辺 永

板 橋

渡 岩

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

に精巣萎縮,白内障の合併は,本ウズラが人の筋緊張性ジストロフィーに酷似して いることを示し,そのモデル動物としての有用性が期待される.よって,審査員一 同は,イグナシャS.ブラガIIIが博士(獣医学)の学位を受けるに十分な資格を 有するものと認めた.

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