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【学位論文審査の要旨】

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Academic year: 2021

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【学位論文審査の要旨】

地球環境保全、温暖化防止の観点から、セメント代替として、製鋼所から産出される高 炉スラグ微粉末や石炭火力発電所から産出されるフライアッシュなどの産業副産物を積極 的に活用することが要望されている。これらの背景として、平成12年5月に循環型社会形 成推進基本法の個別法の一つである「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律

(グリーン購入法)」の制定がある。セメントは、原料となる石灰石を高温で焼成する際、

二酸化炭素の発生を伴うこととなり、これが温暖化の原因になっているとの指摘がある。

そのため、セメントの代替品として、潜在水硬性を有する高炉スラグ微粉末やポゾラン反 応性を有するフライアッシュの利用が進められている。

高炉スラグ微粉末やフライアッシュの使用にあたっては、これらの性能を発揮すること ができる最大の混合率を明確にすることが必要であり、また、これらの混和材を組み合わ せてより効果的に産業副産物を活用することも検討しなければならない。なお、コンクリ ートの品質はそれを構成するセメントペーストの性質に左右されるが、セメントまたはセ メント代替混和材のほか、練混ぜ水も重要な役割を担っている。これまでの練混ぜ水に関 する規定においては、コンクリートとしての品質を低下させないために各種成分の基準値 が設定されており、水和反応に悪影響を及ぼす不純物を含まないことなどの規定が主であ るが、コンクリートの品質を高めて耐久性やコスト縮減を図ることも一つの対策案である。

そのようなことから、練混ぜ水として電解水(機能水)を利用する検討が以前から進めら れてきているが、体系的な検討がなされておらず、その効果の解明が望まれている。

本研究では、混和材として、上記の高炉スラグ微粉末とフライアッシュ、さらに中国に おいて利用が検討されつつある鉱油滓を研究対象に、最適使用量について、強度ならびに 水和生成物である水酸化カルシウム量をもとに検討している。これらを単独で使用する場 合と、組み合わせて使用する場合について、環境負荷低減の観点から、セメント使用量を 低く抑えることが可能となる混和材の使用量、また混合使用の場合はその混合率を明らか にした。合わせて、電解水による強度発現特性を水和生成物である水酸化カルシウムの生 成特性から明らかにした。

本研究で得られた主要な成果は以下のとおりである。

(1)高炉スラグ微粉末あるいはフライアッシュを単独でセメントに混合して使用する場合の 最大使用量について検討し、フライアッシュの場合、養生温度20℃、30℃、50℃でそれぞ れ40%、30%、20%の値を得ている。また、高炉スラグ微粉末の場合には、養生温度20℃、

50℃で70%および60%の値を得ている。養生温度の上昇に伴い、混和材自体の反応性は向 上し、最大混合率は変化することが示された。また、20℃の養生条件での鉱油滓の使用の 可能性を検討した結果、10%の使用が、水和反応の観点から最も効果的であることを示し た。

また、養生温度による強度発現性の結果から、1年を通しての外気温およびコンクリート 温度を考慮した配合設計法を新たに提案し、目標強度を達成するための季節変動を考慮し

(2)

た配合の考え方を示し、セメント使用量の削減の可能性を明らかにした。

(2)20℃の養生条件において、混和材を組み合わせて使用する場合の最適混合率について検 討し、水和生成物である水酸化カルシウムの生成傾向から、フライアッシュ 20%、高炉ス ラグ微粉末30%、合計50%で混和材を組み合わせるのが最適であるとの結論を得た。

また、鉱油滓10%、高炉スラグ微粉末40%の混合使用において、所要の性能を得ることが できるが、鉱油滓とフライアッシュの組合せにおいては強度発現が低いことを示し、混和 材の組み合わせにより、最適な混合割合が相違することを明らかにした。

(3)練混ぜ水の改質によるコンクリート品質の向上について検討した。強度の観点で、カリ ウムイオン単独電解水及びナトリウム・カリウム混合電解水を通常の上水道水を使用した 場合と比較した結果、電解水を用いたモルタルならびにコンクリートの強度が10%程度向 上することを明らかにし、セメント粒子の反応性に及ぼす電解水中のイオンの活性化挙動 について考察した。

さらに、電解水の条件として、pH10以下、酸化還元電位であるORPは200mV程度の 電解水とすることで、最も効率的な強度発現を呈することを明らかにした。

以上、本論文では、環境保全の観点から、産業副産物の有効利用について検討し、コン クリート用混和材として、高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび中国産鉱油滓を用い たモルタルならびにコンクリートの諸特性、利用可能な最大混合率、さらに混合使用の場 合の適切な混合率を示した。

本研究の成果は、環境保全、地球温暖化の抑制に活用され得るものであり、コンクリート 工学の分野に寄与するところが大きい。

よって、本論文は、博士(工学)の学位を授与するに十分な価値があるものと認める。

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