【学位論文審査の要旨】
提出された学位論文「熱蛍光スラブ線量計を用いた放射線治療装置の郵送出力線量計測 法に関する研究」は、本学が保有する特許技術である熱蛍光スラブ線量計を用いた第三者 による出力線量評価およびビーム形状不変性評価への有用性を明らかにすることを目的と している。
論文では、第三者評価の有用性評価する項目を適切に分類し、それぞれの項目に対して 時間をかけ丁寧な実験を行った。通常、用いられている昇温速度よりかなり遅い速度で精 密に測定をした結果、輸送時で問題となるフェーディングは補正できること、輸送時の温 度や物理的衝撃は問題がないこと、放射線耐性が高いこと、熱処理に対して化学的な耐性 が強いことを明らかにして、基本特性において有用性が高いことを示した。
さらに申請者は、熱蛍光感度補正フィルタおよび熱蛍光量-吸収線量変換係数を導出し 固定された照射条件における吸収線量分布計測による出力線量及びビーム形状不変性を評 価し計測システム全体の不確かさについても検討した。
その結果、熱蛍光スラブ線量計による吸収線量分布計測は放射線治療装置の品質管理に 利用可能な精度を有し固定された条件におけるシステム全体の計測不確かさは本邦の第三 者による出力線量評価と同程度の結果を示した。
本論文は、熱蛍光の特性だけでなく、測定システムも含めたシステム全体の不確かさを 明らかにし、線量分布も検証可能な新しい第三者評価測定システムを提案するに至った。
放射線治療における品質管理の質を支える技術として、期待される成果であった。
令和2年2月4日に行った最終試験での口述試験および口頭試問では、研究成果につい て明快な発表を行い、また質疑に対しては的確な答弁を行ったことから、研究分野を中心 として十分な知識を有していることを証明した。
以上から、試験担当者は一致して、丸山 大樹氏は首都大学東京大学院 人間健康科学 研究科放射線科学域 博士後期課程の論文審査および所定の最終試験に合格したと判定し た。ここに、博士(放射線学)の学位を授与することが適当であることを報告する。