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拡大内視鏡観察による胃粘膜微細血管像と

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 中 川 宗 一

学 位 論 文 題 名

拡大内視鏡観察による胃粘膜微細血管像と      組織学的胃炎の関係

学位論文内容の要旨

緒言

  胃 炎 は最 近 ま で病 因 が 明ら か で なか っ た た め, そ の 疾患 概 念 は長 い 間 不明 確 で あった.1983年におけるHelicobacterpylori(以下H,め′J〇′j)の発見以降,H.pyJ〇rj が 胃 炎 ,消 化 性 潰瘍 , . 胃MAl汀リ ン パ 腫 など 多 く の上 部消 化管疾患 の成因 に深く 関 与してい ること が明らか となっ た.H|伽′J〇rjと 胃炎の関わりの解明のため,新 し い 胃 炎 分 類 で あ るT11eSydneySystemが 提 唱 さ れ た . 現 在 で は 一部 改 変 さ, れ たUpdatedSydneySystemが 広 く 使 用 さ れ て い る . 以 前 か ら 組 織 学 的 所 見 と 内 視 鏡 所 見 が 必 ず し も 一 致 し な い こ と が 指 摘 さ れ て お り ,SydneySystemで は 組 織 学 部 門と 内 視 鏡部 門 は 独立 し た 分類 と な っ てい る , これま でH.p凵o打感 染と内 視 鏡 所 見 との 関 連 性に つ い ては 様 々 な報 告 が な され て い るが , 多 くは 通 常 の内 視 鏡 を 用 い た検 討 で あり ,H.p3化W感 染 に 特 異的 な 内 視鏡 所 見 は明 ら か にな っ て い な い . 本研 究 で は, 拡 大 内視 鏡検 査で観察 される集 合細静 脈の形態 とH.めイoガ感 染 の 関 連 性を 検 討 して , 拡 大内 視 鏡 によ る 組 織 学的 胃 炎 の診 断 の 可能 性 を 探る こ とを目的とした.  .

対象と方法

  2000年2月 か ら2001年9月 ま で に ス ク リ ー ニ ン グ 内 視 鏡 検 査 が 予 定 さ れ た 連 続 し た 患 者92人 を 登 録 し た , 貧 血 や 全 身 に 影 響 を 及 ぼ す 重 篤 な基 礎 疾 患( 肝 硬 変 , 悪 性 腫 瘍 , 慢 性 呼 吸 器 疾 患 , 膠 原 病 ) を も つ 患 者 ,NS心Dsな ど 胃粘 膜 に 障 害 を 与 える 薬 剤 を内 服 し た患 者 , 出血 傾 向 の ある 患 者 ,H.pガorj除 菌治療後 の患 者 は 除 外 し た . 使 用 し た 内 視 鏡 は , 上部 消 化 管 拡大 内 視 鏡GIF−Q240Z(01ympus Co.Ltd. ,Tokyo,Japan) であ る , 通常 観 察 を行 っ た 後.前庭 部大弯 ,体下部 大 弯 , 体 下 部 小 弯 を , 約80倍 に て 拡 大 観 察 を 行 っ た . 観 察 さ れ た集 合 細 静脈 の 形 態 に よ り ,3つ の パ タ ー ン に 分 類 し た . 大 小 不 同 が な く , 第2,3分 枝 ま で 観 察 可 能 で , 互い に 一 定の 距 離 (約0.4〜O.5mm) を 保っ て 存 在す る 集 合細 静 脈 の形 態 をRegularpattem(Rpattern), 集 合 細静 脈 が 観察 さ れるが ,大小 不同があ り,

第2,3分 枝 ま で 観 察 不 可 能 で , 互 い に 一 定 の 距 離 を 保 っ て 存 在せ ず , また , 隣 の 集 合 細 静 脈 と 癒 合 す る よ う な 像 や 集 合 細 静 脈 が 横 倒 し に な っ たよ う な 形態 を Irregularpattern(Ipattem) , 集 合 細 静 脈 が 観 察 さ れ な い 所 見 をDisappeared pattem(Dpatter11) と分類 した,拡大観察部位より生検し,H.Jり〇打感染の有無,

hematoxyljnandeosinに て 染 色 し , UpdatedSydneySystemに 従 っ て 組 織 学 的 評 価 を 行 っ た ,ACtivity,Inflammation,Atrophy,MetaplaSiaの 組織 学 的 重 症 度 を norma1を 0点 , mik1を 1点 ,moderateを 2点 , markedを 3点 と 点 数 化 し た ,生 検 組 織内 の 集 合細 静 脈 の形 態 を 確 認す る 目 的で 、 血 管壁 を 特 異的 に

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染色するアルカリフエスタファーゼ染色を用いて,生検組織を直接染色し実体顕 微鏡観察を行った.

結果

  被検者は男 性56名,女 性36名であ った.平 均年齢は 男性56.2(21ー78)歳,

女性55.0(21ー75)歳,全体で55.6(21一78)歳であった.

形 態 分 類 別 のH.pylori感 染 率 は 前 庭 部 大 弯 のRpatternで0% ,Dpatternで 61.9% ,Ipatternで76.9 0で あ っ た . 体 部 大 弯 で はRpatter11で は0% ,D patternで80%,Ipatternで85.7%にH.pyJOガ 陽性であ った.体部小弯ではR patternではO%,Dpatter11で82.8%,Ipatternに80%でH.め′Jon陽性であ った,全て の拡大観 察部位に おいて,Rpattemの場合は すべてH.pj水)rj非感 染例 で あり ,RpattemはDpattem,Ipattemに比ペ有 意にH.め′J〔)rj陽性 率 は低 か った .Rpattem,Ipattem,Dpattemを 示 した 胃 粘 膜の 生 検 標本 を 血管 壁を特異的に染色するアルカリフエスタファーゼ染色で実態顕微鏡下に観察する と,Rpattemでは 胃 内 腔面 か ら正 常 の 集合 細静 脈が観察 され,Ipattemで は不 整な 集 合細 静 脈が 観察され た.Dpattemでは, 側面像か らは集合 細静脈が 観察 されたが,正面像からは拡大内視鏡所見と同様に集合細静脈は透見できなかった.

体部 大 弯で の 拡 大像 パ 夕一 ン と 同部 位 から の 組 織像 をUpdatedSydneySystem にて評価すると,Ipattern,DpatternはRpatternより,Activity,Inflammation, Atrophy,Metaplasiaの ス コア が 有 意差 を もっ て高かった .また,Ipattemと Dpattemの 間 で はAtrophyの ス コ アに お い て,Ipatternの ほう が 有 意差 を も って高かった.

考察

  今回の検討で,拡大内視鏡観察による集合細静脈の見え方は,H.」pyJ〇n感染に 伴う 炎 症反 応 に より 影 響さ れ , 集合 細 静脈 自 体 が観 察 さ れな く なっ た り (D pat.tem), 不 規 則な 形 態を 示 し たり す る所 見 (Ipattem) が 認め ら れ た,

  以前から胃炎の診断において,組織学的所見と内視鏡所見が必ずしも一致しな いこ と が指 摘 さ れて お り,SydneySystemで は組織学 部門と内 視鏡部門 は独立 した分類となっている,今回の研究では,拡大内視鏡観察を行うことによって,

集合細静脈の見え方とH.め′Jon感染,組織学的胃炎の関連性が明らかとなってき た,

生検 組 織標 本 のア ルカリフ エスファ夕 ―ゼ染色 による実 体顕微鏡 観察から ,D pattemを示す胃粘 膜では, 血管構築 として集 合細静脈 が消失す るのではなく,

光学的に集合細静脈が透見されない状態であると考えられた.また,萎縮が進む とIpattemとなることから,H,めイ〇ガに感染すると,炎症細胞浸潤,腺窩上皮 の過形成などにより,集合細静脈が胃の内腔から観察されない状態(Disappeared patter11)となり,その後,粘膜の萎縮が進むと,炎症により変形した集合細静脈 が胃内腔より観察される状態(Irregularpattern)になると考えられた.H.pyJ〇n 感染により惹起される胃炎は粘膜表層だけでなく粘膜固有層にもりンバ球,好中 球など炎症細胞が浸潤するため,胃腺の萎縮,過形成により粘膜微細血管構築に も変化が起き,血管密度および血管径が減少するとされている.我々の観察して いたIpattemの集 合細静脈 の見え方 の変化は, この粘膜 微細血管 構築の変 化を とらえたものであると考えられた.

結語

1.胃粘膜の拡大内視鏡観察で,Rpattemを示す胃粘膜はH.ヱ)y´o打陰性で組織

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3.拡大内視鏡により,通常内視鏡では診断できない組織学的胃炎の診断の可能性    が見いだされた.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

拡大内視鏡観察による胃粘膜微細血管像と      組織学的胃炎の関係

現 在 、 胃 炎 の 分 類 に はUpdated Svdney Systemが広 く 使 用さ れ て い るが 、 以 前 か ら組織 学的所見 と内視 鏡所見が 必ずし も一致し ないこと が指摘 されている。本研究 で は 、 拡大 内 視 鏡検 査 で 観察 さ れ る集 合 細 静脈の 形態とH. pylor感染の 関連性を 検 討 し て 、拡 大 内 視鏡 に よ る組 織 学 的胃 炎 の 診断 の 可 能性 を探る ことを目 的とし た。

2000年2月 か ら2001年9月 ま で に ス ク リ ー ニ ン グ 内 視 鏡 検 査 が 施 行 さ れ た 患 者92 人 を 登 録 し た 。 上 部 消 化 管 拡 大 内視 鏡GIF−Q240Zを 使用 し 、 通常 観 察 の後 、 前 庭 部 大弯、 体下部大 弯、体 下部小弯 を、約80.倍にて 拡大観 察を行っ た。観察 された 集 合 細 静 脈の 形 態 によ り 、3つ のパ ターン (Regular pattern、  Irregular pattern、 Disappeared pattern) に 分 類 し 、 拡 大 観 察 部 位 の 生 検 組 織 をUpdated Sydney Systemに 従っ て 組 織学 的 評 価を 行 っ た。 形 態 別のH.,oylori感 染 率は 、 全 ての 拡 大 観 察部位に おいて、R patternの 場合は すべてH.pylori非感染例であった。Ipattern、 D patternはRpatternよ り、 すべ てのス コアが有 意差を もって高 く、ま た、Ipattern とD patternの 間 で はAtrophyの ス コ ア に お い て 、Ipatternの ほ う が 有 意 差 を も っ て 高 かっ た 。 この こ と より 、胃粘 膜の拡 大内視鏡 観察で 、R patternを 示す胃 粘膜 はH.pylori陰 性 で 組 織 学 的 に 胃 炎が な い と診 断 で き 、DpatternとIpatternの 場 合

博 郎

正 和

香 嶋

浅 長

授 授

教 教

査 査

主 副

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の 強い 胃粘 膜で ある とい えた。拡大内視鏡により、通常内視鏡では診断でき ない組織 学的胃炎の診断の可能性が見いだされた。

口頭 発表 に際 し 、副 査の長嶋教授より、集合細静脈の解剖学的特徴、炎症 により集 合細静脈が観察されなくなる機序、 他疾患の拡大内視鏡所見についての質問があった。

申請 者は 、胃 粘膜 の血管形態、血流の流れにつ いて解説し、炎症の存在により、腺窩 上皮 の過 形成 、 粘液 の増 加などが集合細静脈が観察されなくな る機序として推測され る と回答した。次に、副査の小池教授より、H.DYlori除菌前後での拡大内視鏡所見の 違 いに つい て質 問が あっ た。さら に、胃内の各部位別で拡大内視鏡所見の差について

の質問があった。申請者は、H.DYlori除菌前後では集合細静脈の見え方は変化ないが、

腺管構造の変化(Pin―hole状のPit―pattern)除 菌成功例に認められること、そして、

胃内各部位で拡大内視 鏡所見に差があることについて説明した。主査の浅香教授より、

D patternとIpatternの 組織 学的 胃 炎の 違い につ いて の質 問が あり 、ま た、 除菌 に よっ てR patternに 変化する症例の割合、変化までの期間に ついての質問があった。

さ ら に 、D patternと なる 機序 につ いて の質 問が あっ た。 申請 者 は、Rpatternに変 化す る症 例 の割 合、 変化 までの期間については現在検討中ではあるが、除 菌後早期に R patternに変 化す る症 例は 比較 的少 なく 、除 菌後 数年 経った症例で半数近 くに観察 さ れ 、D patternとIpatternの 組 織 学 的 胃 炎 の 違 い に つ い て 、 ま た 、Dpatternと なる機 序についてはさらなる検討が必要と回答レた。

本研 究は 、 拡大 内視 鏡を用いて、今まで内視鏡所見から診 断し得なかった組織学的 胃炎 をは じめ て科 学的 に分 析し報告したという点で高く評価され、より正確 な胃炎診 断に結びっくことが期待される。

審査 員一 同は 、こ れら の成 果を高く評価し、大学院課程における研鑽や 取得単位 な ども 併せ 申 請者 が博 士( 医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するも のと判断 し た。

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参照

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