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㈱十川ゴム 中央大学

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月). 地震時にステンレス製パネル式貯水槽に生ずる流体揺動 学生員 正会員. 小野 平野. 泰介 廣和. ㈱十川ゴム 中央大学. 正会員 正会員. 図-1 ステンレス製パネル式貯水槽 30. 800. 25. 600. 20. 400. 15. 200. Acc.[Gal]. 1. はじめに 地震大国である我国では,巨大地震による各種の 地震被害が懸念されている.その中,東日本大震災 において,被害地域内の上水道配水施設での貯水槽 の破損被害が報告 1)されている.本大震災での貯水 槽被害は,周期 2~5 秒のやや長周期地震動による流 体揺動の励起であるスロッシング現象やバルジング 現象の発生が一つの原因であると推定されている. このため近い将来高い確率で発生が予想される東海 地震,東南海地震,南海地震や,直下型地震などの 巨大地震による災害へ向け対策を講ずる必要がある. 既往の実験1)では,振動台の性能上,正弦波加振実 験のみしか扱えなかった.これを受けて本報では, 新たに振動台を製作して地震波加振実験が可能とな り,実現象に近い貯水槽の流体揺動を検討する.具 体的には実際に被害生じた実機の正方形ステンレス 製パネル式貯水槽(以下,タンク)を用いて,これ を振動台に設置し,兵庫県南部地震の神戸海洋気象 台で観測されたJMA神戸NS波による加振実験を行 う.これにより,タンク壁面の動液圧変化を計測し, 流体揺動現象であるスロッシングやバルジング挙動 がタンク壁面に与える影響を検討する. 2. 実験概要 2.1 ステンレス製パネル式貯水槽と圧力計設置位置 図-1に示す各辺3,000mmの正方形断面容器である タンクに通常の設定水位と同じである内容量90%の 水深2,700mmまで水を満たして加振実験を行う.こ のタンクは,実際の上水貯水のものと同一の仕様で ある.このタンクは実際に貯水槽として使用されて おり,この板厚はSUS444で天板,側板の上段と中段 が1.5mm,側板下段と底板が2.0mmである. 圧力計設置位置は,図-2に示すように圧力計をタ ンクの底から高さ500mm,1,500mm,2,500mm及 び天井の3,000mmに2カ所ずつ合計8カ所の位置の 容器壁面に設置する.これにより,流体揺動がどの 水深まで影響を及ぼすか鉛直方向の比較検討をする. また,それぞれ隅角部から200mm離れた点をA(以 下,隅角部A),1,500mm離れた点をB(以下,中央 部B)とし,これから,流体揺動が同水深において 水平方向の比較検討を行う. 2.2 入力地震波(JMA 神戸 NS 波) 加振実験には,愛知工業大学と中央大学が 2013 年 12 月に共同で製作した専用の大型振動装置を用いる. 加振実験の入力地震波には 1995 年兵庫県南部地震 の神戸海洋気象台で観測された JMA 神戸 NS 波を使 用する.この入力地震波に関しては,図-3 に入力変 位時刻歴,図-4 に入力加速度時刻歴,図-5 に入力加 速度のパワースペクトルを示す.なお,タンクの固 有振動数である 1 次モード 0.49Hz,2 次モード 0.87Hz も併記する.この固有振動数を持つタンクを JMA. Dis.[cm]. ○中央大学 中央大学. 10 5. 井田 佐藤. 剛史 尚次. 図-2 圧力計設置位置. 0 0. 5. 10. 15. 20. 25. -200 -400. 0 0. 5. 10. 15. 20. 25. -5. -600 -800. -10 -15. -1000. Time[s]. 図-3 入力変位時刻歴. Time[s]. 図-4 入力加速度時刻歴. 8000 1.46Hz. 7000 1次モード 0.49Hz. 6000. Power[Gal2・s]. Ⅰ‑161. 2次モード 0.87Hz. 5000. A. 4000 3000 2000. B. 1000 0 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 加振方向. Frequency[Hz]. 図-5 入力加速度のパワースペクトル. 図-6 加振方向. 表-1 実験条件 1 次モード 2 次モード 3,000mm 容器内壁幅 L 2,700mm 水深 H 0.49Hz 0.87Hz スロッシング固有振動数 10% 58Gal 30% 174Gal JMA 神戸 NS 波 50% 290Gal. 神戸 NS 波の振幅の 10%,30%,50%で加振実験を行 う.タンクの加振方向は図-6 のように圧力計の隅角 部 A と中央部 B がある壁面と直交方向に加振を行う. この設定条件における加振時の加速度は,振幅 10%は 58Gal 相当,同 30%は 174Gal 相当,同 50%は 290Gal 相当となる.以上の実験条件をまとめて表-1 に示す. 3. 実験結果 図-7(a)~(d)に地震動による最大動液圧変化の分布 であり,(a)(c)が正圧,(b)(d)が負圧の最大値を示す. いずれも地震動の振幅が増加することで,正圧,負 圧の動液圧変化の値が増加していることがわかる. ここから,振幅 50%の結果に着目し,比較を行う.. キーワード:スロッシング,バルジング,貯水槽,動液圧,地震波加振 連絡先:〒112-8551 東京都文京区春日 1-13-27 tel.03-3817-1816 fax.03-3817-1803 ‑321‑.

(2) 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月). Ⅰ‑161. 3500. 3500 水面高さ. 10%. 圧力計設置位置[mm]. 圧力計設置位置[mm]. 10%. 3000. 30%. 2500 50%. 2000. 1500 1000 500 0. 3000. 水面高さ. 50%. 2000. 1500 1000 500 0. 0. 5 10 動液圧変化⊿P[kPa]. 15. 0. (a) 隅角部 A 正圧. 5 10 動液圧変化⊿P[kPa]. 15. (c) 中央部 B 正圧. 3500. 3500. 3000. 水面高さ. 30%. 2500 50%. 2000. 1500 1000 500 0. 10%. 圧力計設置位置[mm]. 10%. 圧力計設置位置[mm]. 30%. 2500. 3000. 水面高さ. 30%. 2500 50%. 2000. 1500 1000 500. 図-8 バルジング挙動による変形. 0 0. -5 -10 動液圧変化⊿P[kPa]. -15. 0. -5 -10 動液圧変化⊿P[kPa]. -15. (b) 隅角部 A 負圧 (d) 中央部 B 負圧 図-7 地震動による最大動液圧変化分布. まず,圧力計設置位置が同じ動液圧変化の正圧と 負圧の比較を行う.(a)の隅角部 A 正圧と(b)の隅角部 A 負圧に着目すると,動液圧分布の形状がほぼ同じ であることが確認できる.隅角部 A において,鉛直 方向の圧力計設置位置にかかわらず,正圧,負圧共 に±6.5~9.1kPa を示している.このように,タンク壁 面全体的に動液圧変化を及ぼしていることから,水 面付近で局所的に動液圧変化を及ぼすスロッシング 挙動 2)ではなく,箕輪ら 3)が指摘している図-8 に示 すような壁面の振動と内容液が連成して生じるバル ジング挙動が発生していると考えられる. 同様に,(c)の中央部 B 正圧と(d)の中央部 B 負圧に 着目すると,こちらも動液圧分布の形状がほぼ同様 であることが確認できる.中央部 B において,正圧, 負圧共に 2,500mm の圧力計設置では±6kPa 前後であ るのに対し,1,500mm の圧力計設置では±10kPa 以上 となっている.このように,中央部 B では圧力計設 置位置が深いほど,動液圧変化の値も増大している. これもバルジング現象の特徴と考えられる. 次に,同じ動液圧変化の正圧と負圧で圧力計設置 位置の違いによる比較を行う.(a)の隅角部 A 正圧と (c)の中央部 B 正圧に着目すると,2,500mm の圧力計 設置では,(a)の隅角部 A 正圧と(c)の中央部 B の違い にもかかわらず,動液圧変化は 7kPa 前後である. 500mm,1,500mm の圧力計設置において,(a)の隅角 部 A では 7kPa,9kPa である.その一方(c)の中央部 B では 11kPa,12kPa である.同様に,(b)の隅角部 A 負圧と(d)の中央部 B 負圧に着目すると,2500mm の 圧力計設置では,(b)の隅角部 A と(d)の中央部 B の 違いにもかかわらず,動液圧変化は 6kPa 前後である. 500mm,1500mm の圧力計設置において,(b)の隅角 部 A では-7kPa,-9kPa である.その一方(d)の中央部 B では-10kPa,-9kPa である.このように水平方向の 圧力計の設置位置の違いにより動液圧分布の形状が 異なることが確認できる. この理由としては,圧力計の設置してある壁面に. 直交する壁面の影響があると推測する.これは,タ ンク内部の内容液が壁面に近いほど抵抗となり,流 動しにくいと考える.このように,圧力計設置位置 のある壁面に直交して加振する際,壁面の中央部に 動液圧変化を及ぼしている.この力により,タンク 全体に影響を及ぼすと考えられる. ここで本実験以上の地震動がタンク壁面に直交し て作用する場合には,このタンク壁面の中央部を起 点に破壊箇所となる可能性がある.本実験において 最大加速度は 290Gal 加振であるが,兵庫県南部地震 は 848Gal,東北地方太平洋沖地震は 2933Gal の最大 水平加速度が観測されている.このため,この形式 のタンクに被害事例が生じた可能性が考えられる. 4. おわりに 新たに製作した専用振動台により,JMA 神戸 NS 波による貯水槽の加振実験を行った.これにより, 動液圧変化を計測することで,壁面に与える影響を 実機の貯水槽で検討した.この結果から,正圧と負 圧の動液圧分布の形状がほぼ同じであることが確認 された.また,隅角部 A と中央部 B により水平方向 の圧力計の設置位置の違いにより動液圧分布の形状 が異なることが確認できた.壁面に直行して加振す る際,壁面の中央部に大きな動液圧変化を及ぼして おり,タンク全体に影響を及ぼすと考えられ,本実 験以上の地震動に見舞われた際には,このようなタ ンク壁面の中央部を起点に破壊箇所となる可能性が あることを示唆できた. 謝辞:本研究の一部は(独)日本学術振興会科学研究 費・基盤研究 (B) の給付を受けたことを付記する. 参考文献 1) 小野泰介 他:スロッシング発生時に貯水槽壁面が受 ける動液圧変化に関する実物実験,地震工学論文集, Vol.33,2014. 2) 小野泰介 他:実機貯水槽における正弦波加振時の動 液圧変化について,第 40 回土木学会関東支部技術研 究発表会,I-18,2014. 3) 箕輪親宏 他:ステンレス長方形水槽の耐震実験,日本 機械学会,Dynamics and Design Conference 2000,2000.. ‑322‑.

(3)

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