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円錐形水槽を使用した水時計の特性についての実験的研究

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Academic year: 2022

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(1)Ⅱ− 19. 第39回土木学会関東支部技術研究発表会. 円錐形水槽を使用した水時計の特性についての実験的研究. 1.研究の背景. 千葉工業大学. 学生員. ○目時. 大地. 千葉工業大学. 正会員. 篠田. 裕. 3.シミュレーションソフト. 人類は、有史以前より太陽の位置などにより、時の概念. Microsoft Visual Basic 2010 Express を用いて、シミ. を持っていて、太陽の位置を知るために発明されたのが、. ュレーションプログラムを作製する。このソフトを使用す. 日時計だった。. ることで、Windows 上で水時計の動作をシミュレートする. しかし、日時計は、晴天の日中しか利用することができな い欠点があるため、別の物理現象から時間を測定する方法が. ことができ、水位変化の可視化や詳細なデータを表示する こととする。. 考えられた。水が小孔(オリフィス)から落ちる体積を使う 水時計が紀元前 1400 年から紀元前 700 年頃、エジプト、イタ リア、中国など考案された後、貿易によって知識が伝播し、 世界各地へ伝わった。 今から 1350 年ほど前の、天智 10 年 4 月 25 日(西暦 671 年 6 月 10 日) 、天智天皇は律令国家を目指す上で、時間の管 理が重要だとし、箱型水槽の水時計を製造した。日本で初め て時刻制度が誕生し、平安時代の末まで使われていた(図‐1) 。 日本の水時計は、「漏刻」(図‐2)と呼ばれる中国の水時計 が元になっている。漏刻は、階段状に連なった円錐形の水槽 のオリフィスから水が漏れ落ち、一番下の水槽の水位を読む ことで、時刻を計測する仕組みとなっている。. 図-3. シミュレーションソフト画面. 4.円錐形水槽の水時計の作製 円錐形水槽に 14ℓのバケツを使用する(図-4) 。バケツは、 口の部分が出ているため、その影響を受けない所まで水位 を下げ、そこを水面の上限値として使用する。オリフィス (図-5)は、底面から 1 ㎝の位置に内径 0.4 ㎝穴を電動ドリ ルで開けた。これらの円錐形水槽を、図‐6 に示すように 階段状に配置し、最終段の水槽は、四角形とした。. 図-1 飛鳥時代の水時計 図-2. 中国出土古代漏刻. 2.研究目的 当研究室では、この漏刻を取り上げ、円筒形の水時計の解. 図-4 円錐形水槽. 析とシミュレーションを行ってきた。本研究では、古代漏刻 のような仕組みで、水槽の形が円錐形の場合について研究す ることとした。すなわち、各水槽のオリフィスの水深と流量 係数の関係を実測し、その結果をシミュレーションソフトに 代入し、実測値とシミュレーションの結果を比較・検討する ことで、円錐形漏刻を解析する。. 図-5 オリフィスの断面図. キーワード 漏刻,円錐形水時計,シミュレーション,数値実験の可視化 連絡先 〒275-8588 千葉県習志野市津田沼 2-17-1 千葉工業大学 工学部 建築都市環境学科 Tel 047-478-0446.

(2) Ⅱ− 19. 第39回土木学会関東支部技術研究発表会. 図‐7 流量係数曲線図(第 1 水槽) 図-6 円錐形水時計の模型. 5.実験 各円錐形水槽のオリフィスの流量係数を実測し、それを シミュレーションソフトに導入する。円錐形水槽模型の最 下層水槽の水位変化の実測値とシミュレーションの計算 結果から、水時計の精度を解析する。. 5.1 実験手順 A:流量係数の測定(予備実験) ・デジタルポイントゲージと容量式波高計を使用し、約 1 ㎝ごとの電圧を測定し、水位と電圧の関係を求める。 (キ ャリブレーション). 図‐8 実測値と流量係数変動計算値の比較. 5.3 結果の整理 流量係数測定実験の結果、第 3 容器の流量係数がやや低. ・容量式波高計で 1 分毎の水位の変化を計測する。. い数値となった。それが一因か、図-8 に見るように、実測. ・計測データをエクセルで整理,流量係数を求める。. 値が計算値を下回る結果となった。. B:最下水槽の水位変化の測定. 6.考察. ・流量係数の測定と同様、デジタルポイントゲージと容. 断面積が方形の場合は、水位が下がるにつれ、流量係数. 量式波高計を使用し、最下水槽の水位と電圧の関係を. は下がっていくが、図‐7 に示すように、円錐形水槽の流. 求める。. 量係数は、水位が下がるにつれ、流量係数は、上がってい. ・水位の高さは、第 1 水槽を 15 ㎝、第 2・第 3 水槽を 10 ㎝に設定する。. く形となった。第 3 水槽の流量係数が小さくなったのは、 オリフィスの穴の開け方によるものと考えられる。円錐形. ・容量式波高計で、30 秒毎の最下水槽の水位の変化を計測。. 水時計は、水位が変わるにつれ、断面積も変わるので、水. ・最下水槽水位変化の測定は、3 回行い平均値を求める。. の微妙な水位変動が、シミュレーションとの誤差に関係し. 5.2 実験結果. ていると思われる。. 流量係数測定実験は、水位と流量係数の関係を曲線近似 することとして、数式を求めた結果. 今後の課題として、オリフィスの加工精度を揃えること が、シミュレーションの結果との差を尐なくすることにな. 第 1 容器:C=-0.077ln(h)+0.6227. るのではないかと考える。. 第 2 容器:C=-0.078ln(h)+0.6498. 参考文献. 第 3 容器:C=-0.048ln(h)+0.5001. 1)日本時刻史ホームページ. となった。 図‐7 に第 1 水槽の場合の実測値と近似式を示す。 円錐形水時計の最下層水位変化の測定実験の結果と、流 量係数測定実験により得た流量係数式をシミュレーショ ンソフトに代入し、数値計算した結果を図‐8 に示す。. http://www.geocities.jp/afi_651/japantime.html 2)金城俊哉: 「世界でいちばん簡単な Visual Basic の e 本」秀和システム、2011 3)水工研究室:工学基礎実験水理学基礎実験教材、2011.

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参照

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