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分岐器における道床縦抵抗力の検討 

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Academic year: 2022

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(1)

分岐器における道床縦抵抗力の検討 

東日本旅客鉄道株式会社 ○正会員 堀 雄一郎 株式会社 日本線路技術  正会員 土井 俊雄

1.はじめに 

 JR東日本では線路保守の軽減に効果がある分岐 器介在ロングレール化を進めているが、移動防止金 具付近における通り変位の発生が保守管理上の課題 となっている1)。これを解消するための方策として、

文献 2)において「移動防止金具付近でのレール伸縮 量を最小限とするために、レールとタイプレート(ま くらぎ)との縦抵抗力を一定以上確保することが必 要」と指摘した。 

しかし、その中で「分岐まくらぎの道床縦抵抗力 は微小な変位で釣合う」と仮定していたことから、

分岐器で必要となる道床縦抵抗力について検討した。 

2.分岐まくらぎの道床縦抵抗力の算定  2.1 道床縦抵抗力の理論計算 

(1) 分岐まくらぎの道床縦抵抗力 

 分岐まくらぎの道床縦抵抗力は、その長さに応じ て異なる。その理論式については文献 3)等に示され ており、本検討でもこれによった。 

(2) 道床縦抵抗板・縦移動防止杭の道床縦抵抗力   道床縦抵抗力を向上するための方策である道床縦 抵抗板や縦移動防止杭(図―1)の道床縦抵抗力は、

(1)の考え方を準用して、各々、上辺周り及びまくら ぎ中立軸周りの断面一次モーメントを加算した。 

     

   

2.2 実物を使用した道床縦抵抗力測定 

2.1 項の計算の結果を確認するため、以下により実 物のまくらぎを使用して道床縦抵抗力を測定した。 

(1) 測定期間:2007 年 5 月〜10 月 

(2) 測定場所:高崎線(下)鴻巣駅構内 34 号分岐器

→60k12 番片、基準側 3,240 万トン、非ロング  (3) 測定内容:道床縦抵抗板等を設置し、5 ヶ月(約 1.5 億トン経過)後の道床縦抵抗力を測定する。 

(4) 測定方法:概要を図―2に示す。まくらぎ 2mm 移動時の荷重を読み取る。 

(5) 測定条件:図―3の横軸に示す各条件を行った。

比較のため 3 号 PC まくらぎも測定した。 

油圧ポンプ シリンダー

アタッチメント

締結装置 変位計

マグネットベースでレールに変位計を固定

ターゲット

マグネットベースでレールに変位計を固定 シリンダー

油圧ポンプ

対象マクラギ

点線部分の道床を掻き出す。

 対象マクラギはシリンダーを  設置するために掘る  隣接マクラギについても  測定を軌きょうの状態に  合わすために掘る

隣接マクラギ 対象マクラギは 矢印の方向に 動く

   

2.3 計算結果と測定結果の比較 

2.1 項の計算結果(計算値とばらつき、、、、

を考慮した 0.7 倍値)と 2.2 項の測定結果を図―3に示す。両者 は、PC まくらぎの一部を除くと概ね一致している。

不一致のものは、ばらつき、、、、

や砕石のつまり具合等が 影響していると考えるが、以下の検討では除外する。 

縦抵抗力の測定結果と理論計算結果の比較

0 5 10 15 20 25 30

1 2 3 H1 H2 1 1 2

゙1本当り縦抵抗力(kN)

5ヶ月後測定結果 理論計算結果 理論計算結果×0.7

PCマクラギ 分岐マクラギ(L=2.2m) 分岐マクラギ(L=4.0m)

   

  キーワード  分岐器介在ロングレール 分岐まくらぎ 道床縦抵抗力 道床縦抵抗板 縦移動防止杭     〒331-8513 埼玉県さいたま市北区日進町2-479  TEL 048-651-2389 FAX 048-651-2289

(図―1)道床縦抵抗板(左)、縦移動防止杭(H鋼)(右)の一例

(図―2)道床縦抵抗力の測定方法

(図―3)道床縦抵抗力の計算結果と測定結果の比較

4-003 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-5-

(2)

3.ロングレールの場合に必要な道床縦抵抗力  3.1 レール伸縮により分岐まくらぎに作用する軸力 

ここでは、片側ロングレールの場合に必要となる 分岐まくらぎの道床縦抵抗力を考える。 

分岐内レールの伸縮により分岐まくらぎにレール 軸力が作用する。特に曲基本レールやリードレール は両レールの縁が切れているため伸縮することが報 告されており 4)、この点を考慮すると例えば温度下 降時のレール軸力の作用方向は図―4のようになる。 

直基本レール:概ね不動 曲基本レール:前端方向

直曲リード・クロッシング:後端方向

※片側ロングレールの場合、温度下降時

   

 

3.2 分岐まくらぎに必要な道床縦抵抗力の簡易計算   図―4より、道床縦抵抗力が十分大きい時、分岐 内各まくらぎの各タイプレートには、レール伸縮に よりレールふく進抵抗力 P(kN)を最大とする荷重が 作用しうる(それ以上はレールが滑る)。 

したがって、まくらぎの移動を起こさない必要道 床縦抵抗力γ(kN)は、直基本レールを不動点とし て他の全タイプレートにPが作用したときに生ずる まくらぎの最大たわみ量をゼロにする、等分布荷重 の合計値と考えた(図―5)。 

P

P P

直基本 曲リード 直リード

曲基本 まくらぎ

P P

P L1

L2 L3 γ

L

(γ・L3)/8EI=(P・L33−P・L13−P・L23)/3EI   

 

4.分岐まくらぎの道床縦抵抗力値の比較検討  一例として、60k12 番の全分岐まくらぎ(増強策 無)について、2 章で計算した道床縦抵抗力(計算値 とばらつき、、、、

を考慮した 0.7 倍値)と、3 章で計算した

必要道床縦抵抗力を比較した(図―6)。 

その結果、ポイント部と分岐後端付近の一部で 0.7 倍値が必要道床縦抵抗力を下回った。ポイント部は、

文献 2)で述べたようなレール伸縮の影響がない構造 とすれば問題ない。また、いずれもまくらぎのたわ み量が 0.5mm 未満のため問題ないと考えるが、道床 縦抵抗力増強策を実施するとなお良い。 

0 5 10 15 20 25

6 11 16 21 26 31 36 41 46 51

まくらぎ位置

らぎ1本当りの縦抵抗力(kN/)

道床縦抵抗力 道床縦抵抗力×0.7 必要道床縦抵抗力

   

 

5.まとめ  

 本検討のまとめを以下に示す。 

(1)分岐まくらぎの道床縦抵抗力の計算と実測を行 い、両者は概ね一致した。ただし、PC まくらぎの 設備増強策設置時に一致しないものもあった。 

(2)片側ロングレールの場合に分岐まくらぎに必要 となる道床縦抵抗力の簡易な算定式を作成した。 

(3)60k12 番分岐器を例に(1)と(2)の計算結果を比較 した。一部の分岐まくらぎで必要道床縦抵抗力の 方がやや高いケースがあったが、まくらぎたわみ 量が十分小さく問題ない。この場合に道床縦抵抗 力増強策を実施するとなお良い。 

 

参考文献 

1) 堀、小尾、稲本:分岐器介在ロングレールの通り 変位について、第 59 回土木学会全国大会、2004.9  2) 堀:分岐器介在ロングレールの施工管理に関する

一考察、J‑Rail2007、2007.12 

3) 三浦、柳川:ロングレールと一体化した分岐器の レール軸力特性、鉄道総研報告、1989.1  4) 例えば、「村尾:分岐器介在ロングレールの構造

と保守、新線路、1994.6」、「柳川:分岐器を含 むロングレールの軸力、新線路、1990.2」など 

(図―4)分岐まくらぎに作用するレール伸縮

(図―5)必要道床縦抵抗力γ簡易計算図(図はリード部)

(図―6)必要な道床縦抵抗力との比較結果(60k12番分岐器)

4-003 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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