The Crop Science Society of Japan
NII-Electronic Library Service
The Crop Soienoe Sooiety of Japan
北 陸 作 物 学 会 報 ( The
Hokuriku
Crop
ScienGe ) 4151 〜 54 ( 2006 )
水稲 栽培 に お け る リ ン 酸 吸 収 率 向 上 に 関 す る 研 究
藤 本 由 里 子:・ 鯨 幸 夫1・ 田 代 教 昭L)・ 畑 中 博英 ’
z
・ 田 代 教 昭L)・ 畑 中 博英 ’
z
(
1金 沢 大学 教 育学 部 , 金 沢 市 ,〒920−1192,
2チ ッ ソ旭 肥 料 ( 株 )
,
3
石 川 県農 業 総 合 研 究
セ ン ター )
Discuss
to
increase
the
absorption
rate
of
phosphate
from
the
soil
in
paddy
rice
cultivation
Yuriko
FUJIMOTOt , Yukio
KUJIRA1 ,
Noriaki
TASHIRO2
and
Hirohide
HATANAKA3
(
1Faculty ofEducation , Kanazawa
University , Kanazawa
920 −1192,
zChisso Asahi
Fertilizer
Co . Ltd .
Kanazawa
920 −1192,
zChissoAsahi
Fertilizer
Co . Ltd .
31・
hik
・w ・Ag
・i
・ultu ・alR
・ ・ear・h
Cent
・ ・)
有 限な資 源であるリン酸 肥 料 を 水 稲 栽
培
で有効
に使
用 するた めに は,
リン酸
吸収 率
を増 加 させる栽培 資材
の開
発 も必要
であ
る. 本研 究で は,
リン酸
入り
用 土 を使
用 して育 苗
した稚苒
を移
植 して,
収 穫期
におけるリン酸吸 収率
に及ぼす影響
を検 討 した.
苗 を 移 植 した ポットで の リン酸 吸 収率
は24
%と試 験 区の中で . 番高い 値 を示し たこ とか ら,
苗箱リン田を
,
苗箱リン田を用いた
育苗
が水
稲 栽 培 上の リン酸 吸 収 率 を高 め る上 で 有 効であ るこ とが 示 さ れ た.
Phosphate
fertilizer
that
usedin
tlle
agricuitureis
thelimited
resource.
In
this
experilnents,
wed
童scussedif
山e use of seedling sollwith
phosphate
mayincrease
lhe
absorption rate ofphosphate
from
the
soilin
the
paddy
ricefield . The
abs(⊃rption rate of phosphate in
thc pot
showed the maximum value o ド24
%.
Seed
匡ing
soil with phosphate
is
a usefu 監soil 血 xes for
the
nursery bed
in
rice
cultivation.
キ
ー
ワー
ド:水 稲,
リン酸 入 り育 苗 培 土,
リン酸 吸 収 率,
リン酸 肥 料Key
words :Absorption
rate ofphosphate,
Paddy
rice,
Phosphate , Seedling
soil with phosphate
リン
酸
は作 物
の生育
に必 要
な 三大 肥 料 成 分
の一 . ・
つ であ り ,
水 稲 栽 培
で重 要 な役 割
を果
た している が水
田 土壌
での リン酸 蓄積
が指 摘
さ れている( 今 井
ら1994 , 伊藤
ら1993 ) . 水
稲栽培
圃場
で は ヒ壌
が 還元 状 態
になる ことに よっ て3 価
の鉄
リン酸
塩 が2
価 と な り溶 解 度 が 高 く な るこ とで加 給 態
の リン
酸
に変化
し( 安
藤. 1995 ) , 水田 土 壌 中 に リン酸
が蓄 積
さ
れ る. 水 稲 栽 培におい て施 肥
リン酸
の利 用 率
は数
% とい わ
れ,
水 稲 が 利 用 する リン酸の大 部 分 (80
% 以 上)
は 土 壌 中
の リン酸
に由来
して いる ( 安 藤 . 1995 ) , 水 稲
は施 肥 肥 料
と
土 壌 か ら リン酸 を 吸 収 して い るが,
ヒ壌 中に蓄 積 さ れ た リ
施 肥
リン酸
の利 用 率
は数
% とい わ れ,
水 稲 が 利 用 する リン酸の大 部 分 (80
% 以 上)
は 土 壌 中 の リン酸
に由来
して いる( 安 藤 . 1995 ) , 水 稲
は施 肥 肥 料
と 土 壌 か ら リン酸 を 吸 収 して い るが,
ヒ壌 中に蓄 積 さ れ た リン
酸 含有 量
と施 肥 す
る リン酸 量
との関係
は複 雑
であ
る. 鯨
ら ( 2003>
は 水 稲の三 要素
試 験圃場
にお ける結 果
か ら, 水
稲栽
培 に おい て は リン酸 肥料
を毎 年
施 用 す る 必 要 が ないこ
と を指 摘
した. 一 方 ,
立 地条件
の違
い に よ るリン酸 施
肥の
必 要性
も考
え ら れ る た め,
リン酸 施
肥に関
して の有 効
な施 用 法
の検 討
が必 要
とな
っ てい る. 「 苗 箱 りん田」 (
チ ッ ソ旭
肥料 ( 株 ) 〉
は緩 効 [
生 リン酸
肥料
と して の機 能
を持
ち, 同時
栽
培 に おい て は リン酸 肥料
を毎 年
施 用 す る 必 要 が ないこ と を指 摘
した. 一 方 ,
立 地条件
の違
い に よ るリン酸 施
肥の 必 要性
も考
え ら れ る た め,
リン酸 施
肥に関
して の有 効
な施 用 法
の検 討
が必 要
とな
っ てい る. 「 苗 箱 りん田」 (
チ ッ ソ旭
肥料 ( 株 ) 〉
は緩 効 [
生 リン酸
肥料
と して の機 能
を持
ち, 同時
に
慣 行 育 苗用 培
土( 床
十)
とし ての特 性 も有
している。 苗 箱 りん田 にはアン モ ニ ア態 窒 素 0 , 07
%,
ク溶 性
リン酸 8 . 5
%
お よ び 可溶性 珪 酸 10 , 5
% が含 ま
れ,
その他 水 溶 性
カリも 0 , 07
〜 0 , 09%含
まれ ている, 本研 究で は, 水 稲 育 苗
全 量施
肥専
水 稲 育 苗
全 量施
肥専
用 リン
酸
入り培
土「 苗 箱 り
ん 出」
を用
いて育 苗
し た苗
を 移 植 した試 験 を 実施
し, 施肥 リン酸
の吸収 率 向
上に及ぼす 効
果
につ い て検 討
した.
材 料
およ
び方 法
実 験は
2004
年に実 施 した. 1/S . OOOa
の ワグ ナー
ポッ トを
用い た
試 験
は金
沢大 学 教 育 学 部
の実 験 圃 場 内
にあ
る網 室
に て実 施
し た. 育 苗 用セ ル苗箱
の各
セ ル に市 販
の熊 本 産
黒 玉
土 ( 無
肥料 )
を1g ずつ 入 れ,
コ シヒカ リ種 了 ・
を3
粒 ずつ播
種
し湛 水 状 態
で育 苗
し た.
実 験は 4
試 験 区とし, 1 区は苗 箱 り
ん 田区 ( 苗 箱 り
ん出1 . 6g > , 慣 行 区 ( 2 区 〉
と して市 販 培
土 に慣 行 量
の 過
リン酸
石 灰を施
用 し, 3 区は市
販培
上 に
苗 箱 り
ん 田相 当 量
の過
リン酸 石 灰
を施 用
し, 4 区 (リ ン酸
,
コ シヒカ リ種 了 ・
苗 箱 り
ん 田区 ( 苗 箱 り
ん出1 . 6g > , 慣 行 区 ( 2 区 〉
と して市 販 培
土 に慣 行 量
の過
リン酸
石 灰を施
用 し, 3 区は市
販培
上 に
苗 箱 り
ん 田相 当 量
の過
リン酸 石 灰
を施 用
し, 4 区 (リ ン酸
酸
一 51 一
N工 工
一
Eleotronio LibraryThe Crop Science Society of Japan
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The Crop Soienoe Sooiety of Japan
第 1 表
地 上部
生育
の推移 (
ポッ ト試 験) . 第 2 表 出穂 期
に お け る根 系
生育 量 (
ポ ッ ト試 験 ) ,
茎数〆株
7
月7
日7
月16
日7
月26
日5 . 4
±0 . 6
4 . 8
ゴ:0 . 4
4 . 6
±0 、 3 5 , 4
±0 . 7
4 . 6
±0 . 6
4 . 2
±0 ,:1
2 . 2
±0 . 3
2 . 2
±0 . 3
2 . 8
±0 , 3 2 .0±0 .4 2.
2±0.
5 2 . 2
±0 . 5
.
2±0.
52 . 2
±0 . 5
1 , 8
*1 . 6
*1 , 3
*試験区 根 長(cm) 根 数(本 ) 乾物 重 (9) 試験 区
6
月29
日苗箱りん 田 区
5 . 8
±e . S
慣行区4 . 8
±O . 7
りん田相 当量区
3 . 6
±0 . 6
リン酸 無 施 肥 区 1. 8±0 . 3 LSD
(= O . 05) n.
s,
.
s,
苗箱りん 旧 区
33 . 0
±19 . 0
慣 行区35 . 3
エ20 . 4
りん 田 相 当 量 区29 . 6
±17 . 1
リン酸 無施 肥 区
34 . 6
±20 . O
LSD (= 0 . 05) n.
s.
178 . 3
±11. 6 134 . 0±20 , 5 172 . 0
±22 . 1 76 , 0
±8 , 7
m
.
s.
3 . 2
±0. 93
. D±0 、 14
. 2±1 , 31
. 1=FO. l
n
.
s.
平均 値±標 準 誤 差(n
= 5),
調査H
:2004
年8
月9
日.
平均 値±標 準 誤差(n
=
5),
*:5%レ ベ ル で有意 差あ り.
第 3 表 出 穂 期
に お け る根 系
か らのRb
吸収
量 の差
異( ポ
ッ ト試 験 〉 . 第 4 表 リ
ン酸 吸 収 量 と吸 収 率 (
ポット試 験 ) .
試験 区
Rb
吸 収量(μg,
/地 上部 乾 物 重1g
)Rb
吸 収量(mg 〆株 ) 試 験 区 苗 箱 りん田区.
慣行 区りん 田相当 量区 リン酸 無 施 肥 区 LSD (
=
0.
05 )リン酸 吸 収 量 (mg
,
t地 上部 乾 重1g
) リン酸 吸 収 率 苗箱りん 田 区慣行区 りん田相 当量 区 リン酸 無 施 肥 区
LSD
(= 0 . 05)
972 . 0
±146 , 2 1127 . 8
±59. 5
475
, 1±53 , 1 634 . 0
±93 、 6
275 、 4
*12 . 1
±O . 910
. 1±1. 03
.
6±0.
20. 7±0 . 2
2 . 2
*1 . 61
士0 . ll O . 97
±D . 091
、 04±O . 121
.
08±0. 35
n
.
s.
24 . 49
±2 . 61
7. 14±O . 634
. 25±1 . 06
7
.
05*Rb
注入 日:S
月9
日(n= 2 . 3)メ「」り取り 日:8
月14H ,
*r5%レ ベル で有 意 差 あり.
平 均 値±標 準 誤 差 (n=
3),
*:5zaレ ベ ル で有 意 差あ り.
第 5 表 収
量 お よび 収
量構 成 要 素 (
ポッ ト試 験 ) .
試験 区 苗 箱りん田区 慣 行区 りん 田相当量区
リン酸 無 施肥 区 LSD (
=
0,
05 )穂数(本 !株 )
1
穂 籾 数 登熟歩合幌 ) 千 粒 重 (g) 籾 わ ら 比 収 量 (kg
〆IGa
) 7, 0士0 ,
7 52 . 6
土4 . 0
5 . 0
±0 . 4
52 . 3
±2 . 4 4 . 2
±O . 3
58 . 0
±3 . 2 2 . 4
土0 . 6
40 、 5
土4 . 6
1
.
8* n.
s.
84 .7±2 .779
. 0±4 . 368
. 9±7 . 734
. 9±8 . 4
n
.
s.
20
.
ll9、 519
. 218
. 5n
.
s.
67
. 1±3 . 064
. 6±4 . 956
. 0±3 . 149
. 2±5 . 9
11
.
1*3712562359
平 均 値±標 準 誤 差 (n
= 5),
* :5eeレ ベ ルで有 意 差あ り,
1ポット当た りの数 値から10a 当た り収 量に換 算 (「
1=
10).
無
肥料
区)
は市 販 培
土 とLPSS100
と塩 化
コー
ト の み を使
用し た
, 育 苗 用セ ル申
の培
土 と試 験 用
ポッ トの土壌
に含
ま れ
る 肥料
成分
を合 計
し た各 試
験区
の 10a
あ た り リン酸 施
用 量
は, 慣 行 区 ( 2 区 ) 9kg / 10a , りん田相 当 量 区 ( 3 区 ) 6 . 8kg
/10a . .
相 当 量 区 ( 3 区 ) 6 . 8kg
/10a . .
苗 箱 りん 田 区 (
1
区 )6 . 8kg
/10a
とし た.
ま た,
各
セ ル に共 通 す
る肥 料
とし
てLPSS100 ( 尿 素 40
%含
む)
をO . 6g ,塩 化コー
ト ( K20
:49
% 含 む) O . 2g
を 入 れ た,
育 苗 時
の覆
土は市
販の無
肥料 培
土 (
い なほ) を
用いた. 育 苗
し た
各 試 験 区
の セ ル苗
を6 月 2
日 に1 / 5000
の ワー
グ ナー
ポッ トに 移
植
した. 1ポッ トにつ き1
セル の苗
を 移植
し た ( 1 株 3
本
) ,草 丈,
茎 数 およ びSPAD
値は 5
ポ ッ トにつ い て定 期 的
に調 査 し
た. 反 復 数
は 1
であ
る.
ポッ トに移 植 後
は中干
し を行
わず , 収
穫 まで常時
灌水
状態
で管
理 し追 肥等
は. . .
切行
わ
な
かっ た.
圃 場 試
験
は,
石 川 県金
沢市 才
田 町の小 林.
[’
t
/1
治 氏 が管
理 す る水
田 で実 施
し た, 圃場面積
は30a
であ り
, 試験 区
ご とに分 割
し た 1
試 験 区の面積
は各
々500 ( 5mx100m )
であ る.
品
種
は コシ ヒカ リ を 用い,
育 苗 時の 播種
量は140g
/ 箱で ある
. 育 苗箱か らの持 ち込
み分
と圃場
に施 用
した各 試 験 区
の
リン酸 施 用の総 量 は,
苗 箱 り ん 田 区 が3 . 06kg
/10a ,
慣 行 区
は
3. 03kg / 10aであ O ,
リン酸 無 施 肥 区
に は育 苗 培 土 由来
の0 . 03kg
/10a
の リン酸 が 含 ま れている。 播 種日は 苗 箱 り ん田
区
と慣 行 区
が4
月1
日,
リン酸 無 施 肥 区
が4 月 4
日であ
る.
田植 え は
5 月 5
日 に実 施
し た. 播 種 密 度は60 株 /坪
と した.
すべ て の試 験 区の育 苗 箱 に は
,
くみ あい水 稲 育 苗箱
全 量施
用
LP
コー
トNK
ロ ン グ301 − 100 「 苗 箱
まか せ( N
:30
%,K20
:20
%含
む) 」
を800g
/箱 ず
つ層状
に箱 施 用
し た. 各試 験 区に
お ける連 続 した10 株
の草丈 ,
茎数
およ びSPAD 値
につ い て定 期 的
に調 査
した.
ポッ ト試 験
,
圃 場 試 験 とも に 根 系 生育 ,収 量 およ び収 量
構 成 要 素
を調 査
し た.
ポッ ト試 験
では 5
ポッ トにつ い て出
穂 期 ( 8
月9
日)
の根 系 生 育 を 調 査 し た.
圃 場 試 験では 8
月
4
日 にコ ア サンプ
ル法 を
用いた根 系
調査 を株
間で行
っ た.
調 査
は3 箇 所
で実 施
した, 根 系の生理 活性
は出穂 期
に お け
る 土壌
か らのRb 吸 収
量 を指 標
と して 3 箇 所
で調
査 し た.
Rb
ゲルは, 0 . 4%の寒 天 を 含ん だ蒸留
水 に 塩 化ル ビ ジウム を
溶 解
しRb 濃 度 40mg
/ml と なるよう
に調 製
した. 測 定 用 株の
周 囲 4
カ所の深 さ10cm
の場 所にRb
ゲル を各
々 10ml ず
つ注 入
し, 5 日後
に調 査 株
を回 収
し て75
℃で24 時 間 乾 燥
さ せ たの
ち乾 物 重 を
測定
し た.
吸 収 し たRb
の定 量 は 原 子 吸 光 分 光 分
析 (
日本
ジャー
レ ル ア ッ シュ SOLAAR )
を用
い て行
っ た.
4
カ所の深 さ10cm
の場 所にRb
ゲル を各
々10ml ず
つ注 入 し, 5 日後
に調 査 株
を回 収
し て75
℃で24 時 間 乾 燥
さ せ たの
ち乾 物 重 を
測定
し た.
吸 収 し たRb
の定 量 は 原 子 吸 光 分 光 分
析 (
日本
ジャー
レ ル ア ッ シュ SOLAAR )
を用
い て行
っ た.
施
肥 リン酸 吸 収 率
は, 収 穫 期の全植 物 体
に含
ま れ る リン酸 含 有
量 を定
量 し (
吸収
リン酸 量) ,
吸収
リン酸
量 /施
肥 リン酸 量
の比
か ら算 出
した.
リン酸 含有 量
の測 定
は収 穫 期
の株
で実 施 し
, 1処 理 区3
株 ずつ分 析 し た.
結
果
お よ び 考 察1 ポッ ト試 験
生
育
に伴 う茎 数
の推 移
を第 1 表
に示
し た. 苗 箱 りん田 区
お よ び慣 行 区
の茎数
は,
りん 田相 当
量区
お よ び リン酸 無 施
一 52 一
N工 工
一
Eleotronio LibraryThe Crop Science Society of Japan
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The Crop Soienoe Sooiety of Japan
肥 区
より有 意
に高
い値
を示
し た. 水 稲の分 げ
つ が発
生す
る
に は 十 分 な リン酸
が 必 要 ( 稲
葉 1990 )
であ
るこ とか ら,
り ん 田
相 当 量
区 と リン酸 無 施
肥区
で はリン酸 量 供 給 量
が十 分
で はなか っ たもの と考
えら れ た, 出穂 期に おけ
る根 系
生
育
量 を第 2 表
に示
した. 根 長 , 根 数 , 乾 物重 に 処 理区
によ
区
による
有 意 差
は認
めら
れな
かっ た. 植 物が リン酸 欠 乏
土壌
で生 育 す
ると根 長
が良 く伸 長 す
る ( 森
田ら 1994 )
こと を考 慮 す
ると
,
リン酸無 施
用区
にお け る根 系
は 必 要 なリン を 求 めて伸 長
し た 可能 性
が考
え ら れ る. 根 系の 生 理 的活
性 を 評 価 す
る指 標
と して出穂 期
に おけ
る土壌
か らのRb
吸収 量 を測 定
し
た, 地上部
の単 位 乾 重 ( 1g > 当
た り
お よび一 株 当たり
の
Rb
吸 収 量には 試 験 区 間 有意
差 が 認 め ら れ,
苗 箱 り ん田区 と
部
の単 位 乾 重 ( 1g > 当
たり
お よび一 株 当たり
の
Rb
吸 収 量には 試 験 区 間 有意
差 が 認 め ら れ,
苗 箱 り ん田区 と
慣 行
区の値
が りん出相 当
量 区 とリ ン酸 無 施
肥 区よ り有 意
に高
かっ た( 第 3 表) . .
苗箱 り
ん 田区
と りん 田相 当
量区
の リン酸 施
肥 量 が同
量であ るこ とを考慮
す ると, 苗箱りん 出区
の
根 系 活 性
が り
ん田相 当 量 区
よ り も高
い こ と が示
さ れ た. 1
ポッ ト
当
たり
の リ ン酸 吸 収 率
を第 4 表
に示
した, 苗箱 りん
田区
が慣 行 区
お よ びり
ん 田相 当
量区
より有 意
に高
い リン酸 吸 収 率
を示
していた,
地 上部 乾
重 あた りの リン酸
吸収
量は
試 験 区 間
で有 意差
が認
め られな
かっ た が, 吸 収 率に 関 して
は苗 箱
りん 田区
が有
意に高
い 値
を示
したこと か ら, 苗 箱り
ん 田 を 用い た育 苗
は リン酸
吸収 率
を高
め る 効 果 が あ る と考
苗 箱
りん 田区
が有
意に高
い値
を示
したこと か ら, 苗 箱り
ん 田 を 用い た育 苗
は リン酸
吸収 率
を高
め る 効 果 が あ る と考
えら れ た
. 収量お よび収 量 構 成 要 素
を第 5 表
に示
した. 苗 箱 りん 田区
の穂 数
は,
りん 田相 当
量区
より有
意に高
い値
を
示 し た. 1穂 粒 数,
登 熟 歩 合 に 関 して苗 箱 りん 田 区,
慣 行
区
の穂 数
は,
りん 田相 当
量区
より有
意に高
い値
を 示 し た. 1穂 粒 数,
登 熟 歩 合 に 関 して苗 箱 りん 田 区,
慣 行
区 お よ
び
り ん 田相 当 量
区の試 験
区 間で有 意 差
が 認め ら れ なかっ た が
, IOa 当たり
の推 定 収 量
では苗箱 り
ん田区
が慣 行 区 及
び りん 田相 当 量区
よ り100kg
以 上多
かっ た. 次 年 度は施
肥
絶対
量 を増
加 さ せ た場
合の生育
お よ び リン酸
吸収 率
につ い
て検 討 する予 定である
施
肥絶対
量 を増
加 さ せ た場
合の生育
お よ び リン酸
吸収 率
につ い て検 討 する予 定である2
圃 場試 験
生
育
に 伴う
草丈
の推移
を第 6 表
に示
した. 6 月 23日にお
ける慣 行 区
の草 丈
は苗 箱 り
ん 田区
よ り有
意に高
かっ た が, 7
月 9
日 の草 丈
は慣 行 区
より苗箱 り
ん 田区
で有
意 に高
く なっ た. 苗 箱りん 田区
にお け る7
月21
日と 8
月4
日のSPAD 値
は
34. 8
と31, 2
であ
っ たの に対 し, 慣 行区 と無 施
肥区
で は33. 1 〜 34 , 4のSPAD 値
を示
し, 苗 箱 りん 円区
で有
意に高
かっ た.
出
穂期
にお け る サン プル コ ア中の根
乾 重 を第 7
表 に 示 した. 10cmご との土 壌 階層
に含 ま
れ る根 乾 重
に試 験 区 間有 意 差
は
認
め ら れな
かっ た が, 総 根重には右
意 差 が認
め ら れ, 苗 箱
り ん 田 区 が 他の試 験 区 よ り有意
に少
ない 結
果 が示
さ れた,
SPAD 値
を示
し, 苗 箱 りん 円区
で有
意に高
かっ た.
出
穂期
にお け る サン プル コ ア中の根
乾 重 を第 7
表 に 示 した. 10cmご との土 壌 階層
に含 ま
れ る根 乾 重
に試 験 区 間有 意 差
は
認
め ら れな
かっ た が, 総 根重には右
意 差 が認
め ら れ, 苗 箱
り ん 田 区 が 他の試 験 区 よ り有意
に少
ない 結
果 が示
さ れた,
土 壌 階層
に含 ま
れ る根 乾 重
に試 験 区 間有 意 差
は認
め ら れな
かっ た が, 総 根重には右
意 差 が認
め ら れ, 苗 箱
り ん 田 区 が 他の試 験 区 よ り有意
に少
ない 結
果 が示
さ れた,
意
に少
ない結
果 が示
さ れた,
今 後 ,苗箱
りん田を使 用 して も根 系
生育
が抑 制
さ れ ない栽
培 管 理
を検 討 す
る必 要
があ
る. 出穂 期におけ
る 土壌
か らの
Rb 吸 収 量 ( 第 8 表 )
には試験 区 間
に有 意 差
が認
め ら れ な か
っ た
.
地 上部 単 位
乾 重 あ た りの リン酸
吸収
量 に試 験
区 間有 意 差
は認め ら れ な かっ た. 苗 箱 りん 田区
と慣 行 区
との問
の
リン酸 吸 収 率
には有 意 差
が認
め ら れ な かっ た が,
リン酸 無
施
肥区
の リン酸 吸 収率
は有 意 に 高 く なっ た.
無 リン酸 施 肥条 件
ドで は土 壌 中
に含 ま
れる リン酸
を吸 収
し た もの と考
え ら れるが, 計 算上の施
用リン酸
量 が 少 ないた め,
数 値 と し
て の リン
酸 吸収 率
の値
が大
き く なっ た. 他の試 験 区 の リン
第
6
表 草 丈 の推
移(
圃 場試
験〉 . 第 7 表 根
重の土壌 中 階 層 分 布 (
圃 場試 験 ) .
試 験区 6月y0 6)
’ 1 23日 7月9日 7J121H 8月40
苗 箱
.
りん田区 28
.
5±U.
533.
1±0.
862. ’
t±1.
2 τ4.
4±1. ’
tys.
8±1.
Z 慣 行区 26.
9±O.
737.
2ナ0、
7 55.
7±L474、
8±1、
198.
1±1.
7リ ン酸 無 施 月巴区 28
.
7=O.
4 34.
7±U.
e Sl.
5±1.
1 了5,
9± ⊥.
3 99.
6±2.
e LSD〔P=
O.
05> n、
5.
2、
2*3 、9* n.
s.
n.
s、
平均値±標準誤差 (n
=
le} *;
脇レベル で有意差 あ り.
試験区 O
−
10c皿 10−
20c皿 20−
30tm 浄忿根 重 (g )苗 箱 りん 田 区
0 . 52
±0. 020 . 33±O . 080 ,
40±0 . 091 , 26
±O.
OO2慣行区 0
,
66±0.
120,
55. .
ト.
e、
070.
41±O、
OS 1、
62±0.
032 リン酸 無 施肥 区 0,
5了±O.
090,
44⊥O、
〔〕60.
48±O、
08L.
4Y±0.
ll5 LSD (p」
O,
05 ) n.
s,
n. 呂 、
n.
s.
0.
29* 平均値±漂準 誤差 (n二
5),
調査018月4日. *
:5Eレベル で有 意差 あ り.
第 8 表 出穂 期
におけ
る根 系
から
のRb 吸 収 量 ( 圃 場 試 験 ) . 第 9 表 リ
ン酸 吸 収 量
お よ び リン酸 吸 収 率 ( 圃 場 試 験 ) .
試 験 区 Rb吸 収 量 (μg/ 地 上 部 乾 重lg)
Rb
吸 収 量 (mL・
/ 株 ) 試.
験 区 リン酸 吸収 量 (mg/地 上部 乾車1g ) リン酸 吸 収 率 〔%〕 苗 箱 りん 田 区
慣行 区 リン酸 無 施肥 区
[
」
SI) (P=
0.
05 )103 . 47
±22 . 06
王4D
.
73±63.
89 64.
26±2.
09n
.
s.
3 ,了2
±2 . 153
.
65±2、
1[3
.
59±2.
0711
.
s.
苗 箱 りん 田 区 慣
.
行区 リン酸 無 施肥 区 LSD (p
=
0、
05 )3
、
72±2、
153.
65±2.
113.
59±2.
07n
.
s.
112
.
29±28、
08 110,
4S±呂,
33 12654.
80±385.
13945
,
13*平均値±標準
.
誤差 (n=
3), ・
Rb注 人日:8月4日,
地L
部刈 り取り日:8月9日.
平均 値±標 準誤 差 (n=
3), * :
5E’
レ ベ ル で有 意 差あり、
第 10 表 収
量 お よび 収
量構 成
要素 ( 圃場 試 験 〉 .
試
験
区 穂 数(
本 〆株 )1
穂 粒 数登
熟歩合
(跖〉千粒重( g )
収 量 (kg
〆10a
) 苗 箱り ん 田 区12 . S
±0 . 5
慣 行 区
16 . 2
±0 . 3
リン酸 無 施 用 区16 , 3
±0 , 7 LSD
(p = 0 , 05
)1 . 6
*94 . 9
±4 . 6 93 . 4
±3 . 4 94 , 7
:ヒ4 . O
n
.
8、
90 . 8
±0 . 8 8
了. 7±2 . 1 85 . 6
上1 . 0
4 . 1
*2Ll20
. 321
. 3rL
.
s.
364427449n
.
S.
平 均 値±標 準 誤 差 (n
= 20),
*:5
%レベ ル で有 意 差 あ り.
一 53 一
N工 工
一
Eleotronio LibraryThe Crop Science Society of Japan
NII-Electronic Library Service
The Crop Soienoe Sooiety of Japan
酸
吸収 率
が100
よ りも
大き
な 値 を示 しているの も,
同様
に施
肥 量 以 上に 土壌
中に含
まれ ていた リ ン酸
を 吸収
した こ とが 理 由 で あ る と考
え ら れ る. 本 試 験で は施 用
したリ ン酸
をラ
ベ リン グ して い ない た め
,
吸 収 リン酸 が 施 肥 由 来で あるか 土壌 由 来
であ
るか
の区別 をす
る事
は出来
ないが,
リン酸 無
施
肥区
におけ
る一 株 当たり
の計 算
上の リ ン酸 施
肥量
が苗 箱
りん 田
区 , 慣 行 区
の約 0 , 008
% であ
る こと を考慮 す
る と, 圃
場 条 件 ドで栽 培 さ れた水 稲は リン酸 が 十 分 施 肥 さ れ ない場
合
であ
っ て も必 要 量
の リン酸
を土 壌
から吸 収
してい るこ と
が 示 唆 さ れ た
. 水 稲 栽 培にお ける三要 素試
験の結 果 (
小野
ら 1999
, 三木 2002, 橋 本
ら2002,
鯨 ら2003 )で は,
無 リン
,
無 リン酸 区
と 二要 素 施 肥 区
との 間に収 量
の有 意 差
が認め ら れ てい ない.
ま た, 無リン酸
で水 稲 栽 培
を続 け
て も 、 数 年 間 ( 占 賀
野 1984 ) あるい は30 年
間 (
河本 1977> も
収 量 が 低 .
30 年
間(
河本 1977> も
収 量 が 低.
ド し な
い との
報 告 もあ
る. 本 試 験に おい ても試
験 区 間 で有 意
な収
量差
は認
め ら れ な か っ た ( 第 10 表 )
こ と か ら,
リン酸
肥料
の施 用 に 関 する是
非 論
と施
肥 リン酸
の吸 収 率
を向
上 さ せる効 果
と は区 別
して考 え
る必 要
があ
る, 本圃場 試 験
におい て
は, 収 量に有 意 な試 験 区 間差 異
が認
め ら れな
か っ たも
の の,
有 意 な試 験 区 間差 異
が認
め ら れな
か っ たも
の の,
ポッ ト
試 験
の結
果 か ら茜 箱
り ん 田を
用いた箱 施
用 がリン酸
肥料
を有 効
に利 用 す
る優
れ た育 苗 法
の一
つ であ
る こ とが 示唆
さ れ た. 通 常 栽 培の場 合 , 追 肥
と して リン酸 施 肥 をす
る
こ と が あ る が
, 作 業 効 率を考 慮
して も育 苗段 階
におけ
る苗 箱 り
ん田の使 用
が有 効
であ
る も
の と考 え
ら れる. 慣 行 栽 培
で使 用 さ れ る リン酸 肥 料の利 用
率
は 約30
%程度
である(
口高
ら, 2000 )との報 告
があ
るが, 本 試験 に お け る 苗 箱 り ん
田区の リン酸
利
用率
は約 24
%程 度
であっ た.
謝 辞
圃 場 試 験の 実 施 に 際 してご協 力いた だい た
,
金 沢riiの小林
正治氏
に感 謝
いた します ,
引 用 文
献
安
藤 豊,1995.
作 物の生 理・
牛 態 学 大 要(
池 円武 編
〉
養 賢 堂
:55 − 58 .
伊 藤 公 成
1993 , 東
北農 業研 究 46
;73 − 74 .
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大 百 科 生育
生 理 と診 断ll,
農 文協
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239 .
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ら1994 . 東
北 農 試研 報 88
:57 − 82 .
河 本
泰 1997 ,広 島 農 試 報 告38
:1 − 88 .
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水
田土 壌
と リン酸 ”
,
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, 日本 一ヒ壌
肥
料 学 会編
:59 − 87 .
鯨
幸
夫 ら 2003.コシヒカ リの三要 素 試験 区
におけ
る20 年
目の 生育
と根 系
生 育,
目作 紀 72
(別2
) :8−9.
橋 本 和 幸
ら2002 . 水 稲 栽 培
で リンま
た はカ リの施 用
は必
要 か一 19年 間の水 稲 三 要 素 継 続 試 験 か ら,
日作 紀 71 ( 別 2 )
:24 − 25 .
日
高 伸
ら2000 . 水 稲
の育 芦 箱
全 量施
肥技 術 埼
玉農 業 試
験場 研
究報 告 第 52 号
:13 − 25 .
三
木 須 2002 , 水 稲 栽培
に おいて三大
肥料 成
分の施
肥 は 必要
か金 沢 大 学教 育学 部 卒 業 論 文
森
出茂 紀
ら1994 . 根
のハ ン ドブック 根 研 究 会:89 − 9 . 0 .
小
野 信 一ら1999 .土 肥誌 70
:320 − 323 .
誌 70
:320 − 323 .
( 2005 年 11
月14
日受 付
,2006 年 2
月22
日受
理)
一 54 一
N工 工