The Crop Science Society of Japan
NII-Electronic Library Service
The Crop Soienoe Sooiety of Japan
北 陸 作 物 学 会 報 (
The
Hokuriku
Gr
。p
Science
)36
:53〜56
(2001
)水 稲 根系 か ら の 出液 中 に 含 ま れ る サ イ ト カ イ
ニン ( t − ZR ) 含 有 量 と 栽 培 条件 と の 関 連 性
鯨 幸 夫
*1 )・ 狩 野 紫
1)・ 葭 田 隆 治 2
)(’1)金 沢 大 学 教 育 学 部
,
金沢 市 角 間 町,
〒920 −1192,
2)富山県 立 大 学 短 期 大 学 部 )Relationship
between
Cytokinin
(t −ZR
)Content
in
the
Bleeding
Sap and
Cultivated
Conditions
of
Paddy
Rice
Yukio
KUJIRA
*i),
Yukari
KANOI
)andRyuji
YOSHIDA2
)(
*
1)Facul
しy
ofEducation ,
Kanazawa
University ,
Kanazawa ,920一
ユ192
,Japan ,
2)Co
]]ago c)f
ToChnc
)⊥ogy,
Toyama
Prefec
七ura !University
)水 稲 根 系か らの出 液 速 度および 出 液 巾に含まれるサ イ ト カ イ ニ ン (
t − ZR
) 含 有量 を酵 素 抗 体 法 (ELIZA
法 )を用いて定 量し た
.
有 機 資 材 を 連 続 施 用 した圃 場の コ シ ヒ カ リは,
山穂 期におけるサイ トカ イニ ン含 有量 が高い傾 向を 示 し た.
長野県伊那市の多収コ シ ヒ カ 1丿で はサ イ ト カ イニ ン含 有 量が高 く
,
根の活 力は高いものと考え ら れ る.
最 高 分げっ 期 前後の 山液速度と茎数お よび 地 土部乾重 との1
田に は,
有意な正の相 関 関 係が認めら れた,
出 液 速 度と株 間の根 乾 重との間に,
有 意な相関 関係は 認 め ら れ な か った.
塩粳48
号とコ シ ヒカ リとの間に は,
サ イト カイニ ン含 有 量に関 して品 種 間 差 異が認められ た
.
Cytokinin
conLenLill
Lhe
b
⊥eeding sap ofpaddy
rice was analized usingELIZA
method (Trans − Zcatin Riboside
I
皿 皿 unoassayDctuction
Kit
).
t − ZR
contentin
the
bleeding
sap of ricegrowm
with continuousorganic
ferti
】. izers
applications washigh
co 皿pared
to
conventiQnal riee.
CyLokinin
content QfKoshihik
εしrigrown
in
Ina
city was extremelybigh . 1t
maybe
recogn 上zedthat
roo 七〇f
riccgrown
in
Ina
citykeeps high
physiological
aG 七ivi
七y ,
Thcl ・
e wcrc a significantpositive
c()rrela 七ions
between
b
⊥eedlng sap and s’ tem
nu皿
ber
per
plant ,
abovegrounddry
weigh 七per
plant ,
respectivery.
There
was nQ significant correLationbetwccn
rootdry
weight o 土interhill
space andbicGding
sap,
キ
ー
ワー
ド:イ ネ, Oryt
α sαtiv
αL . ,
酵 素 抗 体 法,
根 系,
サイ ト カ イニ ン含 有 量,
出 液 速度t 一
ゼア チ ン リ ボシ ドKey
wQrds ;BlcGding
ra’ te ,
Cytokinin ,
Eliza 一
皿 ethod,
Orblz
α sativ αL . ,
Rice ,
Root
system,
t − ZR
イ ネの根 系と地 上 部 生 育 およ び収 量との間に は
,
密 接な 関連 性が存 在する.
また,
根 系の形 態と機 能は そ れ ぞ れ が 単 独 の要 因 と して存 在 す るの で はな く,
何 らかの因 果 関 係 が あ る もの と考え ら れ, 両者
の 関連づ けを解明 す る た め の 研 究が行わ れてい る (鯨 ら,2000
),
本 研 究で は, 根 系の形態 と
機 能
と を結
び付
け る要
因と し て,
根か らの 出 液 速 度 と根の先 端で生合 成さ れて地一 L 部
に 送 ら れ,
葉の老 化に影 響を及ぼすサ イ ト カ イニ ン(t −ZR )
含 有 量に着 日し た
.
根 系か らの 出 液 速 度が大きく,
ま た出 液 中に含まれ るt − ZR
の含 有 量が多 けれ ば,
根の活 力が高い と評 価で きる もの と考え た
.
栽 培 条 件や収量性が異なる 水 稲根
乾 重の土 壌 巾にお ける階 層 分 布と出 液 速 度お よび出液 中
に含
ま れ る サ イ トカ イニ ン(
七一 ZR
)含
有 量 を 定 量 し,
これ らの
要
因と地 上部
生育
や収量性
との 関 連 性にっ いて も検 討
し な が ら, 根
の構
造と機 能
が地 上部
生育
と収
量 性に及ぼ す影 響につ い て も解 析 し た
.
材
料お よび方 法1
) 栽 培 管理第
1
表に示 した栽 培 条 件 ドで生育 し たコ シ ヒ カ リと塩粳 48
号 (中 国短粒 品 種 )を材 料に用い た,
実 験は
, 1999
年に農 家 水田におい て実 施し た.
石川県 根 上町の水m
は,
過 去24
年 間にわた り第1
表に示した 栽 培 管 理で コ シ ヒ カ リを栽 培し てい る圃 場である.
石 川 県 野々市 町の水
田 は,
カル ス菌 を用いたボ カ シ堆 肥 を 施 用 して コ シヒカ リの
条抜
き有 機
栽 培を行っ て い る.
石 川 県 松 任 市の 圃 場は, 牛
ふ ん籾
が ら堆
肥 を連用 して コ シ ヒカ リの 有 機 栽 培 して い る水田で ある.
石川県 農 業 総 合研 究セ ン ター
の圃 場に お い て は
,
慣 行 栽 培,
不 耕起移 植 栽 培お よ び湛水 土 巾 打 込み点 播 栽 培の コ シ ヒ カ リを調 査 対 象と し た.
石 川 県 輪 島 市 町 野田j ’
の水田 は
,
カル ス 菌に よ るボカ シ肥 料を施 用して コシ ヒ カ リおよび 塩 粳48
号を 栽 培 して い る圃 場で あ る.
長 野 県 伊 那 市の圃 場は,
多 肥 栽 培でV
字 型イ ナ作を実 践 して多
収
コ シ ヒカ リを 栽 培して い る水田で ある.
出 液 速 度の測一53 一
N工 工
一
Eleotronio LibraryThe Crop Science Society of Japan
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第
1
表 栽 培 管理状 況 一根 上
2
区 根 上3
区 根上4
区 野々 市・
外側野々 市
・
内側松任
・
外側松 任
・
内 側試 験 場
3
区 試 験 楊5
区 試 験 場7
区 試 験 場 点 播 区町野町
・
有 機町 野 町
・
外 側$町野 町
・
内側’
長野
1
(伊 那 ) 長 野2
(伊 那 )化 学 肥 料 連 用 区 (
an
年 間 ) イナわ ら連用区 (24
年 間 ) 豚ぷ ん堆 肥連用 区 (24
年 間)ボカ シ有 機 (条抜 き栽 培) ボカ シ有機 (条抜 き栽培) 牛ふ ん籾が ら堆 肥 (条抜 き) 牛ふ ん籾がら堆 肥 (条抜 き ) 耕起区 (対照区 :
5
年 目)耕起区 (堆 肥 区 :
1
年目 ) 不 耕 起 移 植 区 (5
年 目 ) 湛 水土中 打 込み点 播 栽 培ボ カシ有 機 栽 培 ボ カシ有 機 栽 培 ボカシ有機栽培 化 学 肥 料 (多 収 穫 水田) 化 学 肥 料 (多 収 穫 水田)
*
:塩 粳
48
号、
無 印 :コ シ ヒ カ リ定‘よ
,
7
丿18 ,
15 ,
29
日,
8
丿i4 ,
11
凵 こ彳了っt
こ. 2
)出 液 速 度の測定お よび 出 液の保 存出 液 速 度の測 定 は
,
各 栽 培 区にっ い て 各々5
株を対 象に 午 前 中に実 施し た.
調 査 株 を 紐で束 ね,
地 際 か ら8 〜 10cm
の高さで茎 葉 部を切 除 する
.
予め重 量 を測 定して おいた化
粧 用コ ッ トン (パ フ)を 茎葉 切 断 面にあて, その [t
をラップで包み輪ゴムで固 定 する
. 1
時 間 経 過 後,
コ ッ トンを外 して ラッ プで密 封 しクー
ラー
ボッ クス内で冷 蔵 保 存 し, 実
験 室に戻り し だい速やかに重 量を測 定し
,
コ ッ トン の重 量差を 出 液 速 度と し た
.
調 査 株は,
茎数を測 定し切除 した地 上 部の乾 重を測定し た.
出 液 速 度を測 定し た サ ンプル液はラ ッ プで
密 封
し た ま ま,− 30
℃に て冷 凍 保 存し て お く.
サ イ ト カ イニ ン の 定量前に
,
冷 凍 保 存し て お い た サ ン プ ル を解凍
し, 遠心分 離
用 試験管
を 用いて出液
を回収 し た.
遠心管に ビニ
ー
ルチュー
ブ( 1c
皿 φ, 3 〜5cmL
) を入れ,
っ い で ロ紙
,
サンプル液を含
ん だ コ ッ トン の順
に入れ て遠心分 離 機にか け
, 3000 〜4000
回 転で15
分 間 遠心処理 を行
った
。
こ の条 件に よ り出 液量の8
割は回 収 可 能で あっ た,
回 収さ れ た出 液は サ ン プル版に入れ,
同量の 無 水工 タ ノー
ル(
98
% )を加えて密 封 し,− 30
℃で冷 凍 保 存 し た. 3
)サ イ トカイ:= ン (t − ZR
>の測 定出 液 中の サ イト カイニ ン の定 量は酵 素 抗 体 法 (
ELIZA
法 ) を用い て行っ た.
根 系か らの 出 液をTLC
(薄 層ク ロ マ トグラフ ィ
ー
)に よ っ て分 析 し た と こ ろ,
測 定を行う ま で の レ ベ ル に は至ら な か っ た が, UV
ラ ンプ (245nm
)で ぼ ん や りとグレー
に な りサ イ ト カ イニ ンの存 在が推 定された ため,
酵 素 抗 体 法 (
EL
丁ZA
法 )に よ る分 忻を行っ た. 4
) 出 液 中の サ イ トカ イニ ンの抽 出・
精 製1
)サンプル液 を 解 凍 し,
ロー
タ リー
エ バ ポ レー
ター
でアル コ
ー
ル を飛ば して濃縮
し,5
%メ タノー
ル を3
磁加え る, 2 ) 5
%メ タノー
ル を5m6Bond −E
⊥ute に通 過 させ る. 3
)サ ンプル →5
%メ タ ノー
ル5
祕 の 順でBond−Elute
に 通 し,
サ ンプル瓶A
と す る,
の 別のサ ン プル 瓶に
55
%メ タ ノー
ル5
me を2
回 通 過 させ,
遊 離 型の サイ トカ イニ ンを溶 出 する
,
5
)0 . IN
の酢 酸 /メ タ ノー
ル5
祕 (2
回 )→ 5
%メ タノー
ル 「o m4 (
2
回 )に てBond − Elute
を洗 浄 する.10
サ ン プルご とに
Bond − Elute
を交 換 する.
6
)サ ンプル瓶B
(55
%メタノー
ル 抽 出 物 )をロー
タ リー
エ バ ボ レ
ー
ター
に て 再び濃 縮する, 5
% メ タノー
ルを元のサ ンプル の
1
/5
量 加 え る (サ ンプルC
).
7 ) 6 )
の サ ン プル か らマ イ クロ ピペ ッ トを用いて 定 量を 採 取 し,5
%メ タノー
ルで希 釈し,
100倍 (
サ ン プ ルD
) と ], OOO 倍 (
サ ンプルE )
のサ ンプルを作
る.
8
)サ ン プルC
,D
,E
を ソニ キュ
レー
ター
に か け超 音 波で 内
容物
を撹
拌さ せ均 一 化
す る. 5
)サ イ トカイニ ン の分 析
EL
⊥ZA
法に よ る使 用キ ッ トと して は,
Sigma
PlanL
Gell Culture
PRG − 5
(PDKO9348
/0096
),
Trans − Zeatin
Riboside Immunoassay
Detection
Kit
を用い た.
前 処理 を行っ た サンプル は405nm
で吸 光 度 を 測 定 し,
スタン ダー
ド曲 線から得 ら れ た直 線 部 分の標 準 線か ら各サ ン プ ル の
t − ZR
の 含イ
亅量 を計 算し た.
6
) 根 系 生 育の階 層 構 造調査根 系 調 査は
株
間におい て,
コ ア サ ンプル法 (53m
皿φ, 400
m皿
D
) を用い て実施 し た.
各 栽培 区において3
個 ずつ の コO . t80
. i6e
. 140
」
20
. 10
. 080
. 060
, 040
. 02
0
罍 鑼 謹 罍 攀 1 辮 1 韆 蘯 耀 罍 辮 靆 罍 鑿 罍 憲
第
1
図 サ イ ト カ イニ ン量 (pM
/0 . lm2
)一 54 一
N工 工
一
Eleotronio LibraryThe Crop Science Society of Japan
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ア サ ン プルを 採 取 し た
.
採 取 し た根 系コ アは, 10cm
間 隔で切 断 し
,
各 階 層ごとの根 量 を 測 定 し た,
根 系 を 含ん だコ ア はRoot
Washing
Unit
(Gillison ’
s
社 ) を用 いて洗 浄 し たの ち
, T 一
作 業によっ て ゴ ミ等を 除 き, 乾燥
処理後 , 乾 物
重の測 定 を行っ た
.
結 果お よび 考 察
1
) 単 位 出 液 量 (0 . 1m2
) あたりのサ イ トカ イニ ン含 有 量 最 高 げっ 期から幼 穂 形 成 期 およ び 出 穂 期にお ける出 液0 . 1
me 中に含ま れる サ イ ト カ イ ニ ン含 有 量を第
1
図に示 した.
出穂 期にお け る町 野田∫
・
内 側,
外 側で表 示し た栽 培 区は,
塩 粳
48
号であ り,
そ の他 の栽培 区 はコ シ ヒカ リの結 果で あ る.
幼穂 形 成 期 前 後の サ イ ト カイニ ン含 有 量 は,0.027〜
0.08pM
の範 囲で あり,24
年 問 化 学 肥 料 連 用 区 (根上2
区),
不 耕 起
5
年 目 (試 験 場7
区 )お よ び湛 水十中 打 込み点 播 区(試 験 場 点 播 区 )で高い傾 向が示さ れ た
,一
方,24
年 間イ ナわ らすき込み 区 (根. L
3
区 ),
耕 起 慣 行 区 (試 験 場3
区 ) および不 耕 起1
年 目 (試 験 場8
区 )で は,
単位 出液 量 (0 . 1
mの 中の サ イ ト カ イニ ン含 有 量は低か っ た
.
出穂 期は,
水 稲の生 育 期間中の根 量 が 最 大 に な る 時 期であ る.
こ の 時 期 に おける サ イ ト カ イニ ン含有
量に は, 長 野の事
例を除い て,本 実
験の範 囲 内で大き な違いは認め ら れ な かっ
た.
長 野の試
験 区は,1992
年に998kg
/10a
の収 量 実 績が報 告さ れて い る (松 島1995
) 多 収 穫 水 田で あり,1999
年の収 量 も830
/
10a
(Kujira
e 七 al. ,2000
) と多 収の水 円で ある.
長 野1
と長 野2
で は,
サ イ ト カ イニ ン含 有 量に大きな違い が 見 ら れ た,
長 野1
の水田 は,
湛水 条 件 下 (水深6c
皿)で の 測 定 値で あ り,
長 野2
は,
円面 水が認め ら れな い条件
下での測定
結
果で あっ た.
その他の 栽培
区で は, すべ て田面 水 が あ る湛水 条件下
で の測定 値
で あ る. 水
田の湛 水 状 態の程度
は出
液速度に大き く影 響さ れ る と考え ら れ, 出 液 巾の サ イ トカ イニ ン含 有量に も影 響を及ぼすと考え ら れ る.
長 野2
で は,
サ イ ト カ イニ ン含 有量/株・
時 間の値も人 きい ため
,
出 液 速 度と単 位 出 液 量あた りの サ イ ト カ イニ ン含 有 量 と もに大きい値を示 し て い た こ と か ら,
水 稲 根の活 力は高い もの と評 価で きる
.
2
)1
株・1
時 間あ た り の サ イ トカ イニ ン含 有量1 株 ・1 時 間
あ た りの サイ トカ イニ ン含有
量 を第 2
図に 示 し た.
これは, 1 株 ・1
時 間あ た りの 出 液 中に含ま れ るサ イ ト カ イニ ン の総量 を示した もの で ある
.
単位 出 液 量あ たりの サ イト カ イ ニ ン含 有 量が少な くて も出 液 量が多け れ ば絶 対 値と して の含 有量 は大きくな る.
幼 穂 分 化 期 前 後の 調 査で は,
松 任・
外 側で大 きい値が示さ れ た.
牛ふ ん籾
殻 堆 肥を連 用 して コ シ ヒ カリを 条 抜き栽 培し た場 合, 条
抜き 側の株で はサ イ ト カイニ ン含 有 量が高い傾 向
が示
さ れ た.
耕 起 対 照 区 (試 験 場
3
区 )お よ び 不耕 起1 年
目(
試 験場 8
区 )で は
,
株あ た りの サ イトカ イニ ン含 有量 が少な か っ た.
サ イ トカ イニ ン含 有 量 を 根の 活力 を示す指 標と考え た場 合
,
栽 培条 件の違い に よ る 差はある もの と考え ら れる
.
慣 行 栽 培 (化 学 肥 料 ) や 不 耕 起1
年 目の水 稲で は,
根の活 力 が 低い と考え ら れ た
,
出 穂 期で は,
試 験 場の各 栽 培 区 (慣 行 耕 起 区,
不 耕 起 区,
点 播 区 )と比 咬 して,
塩 粳48
弓 (田∫野・
内 側 )
,
町野 区 (有 機コ シ ヒカ リ)の サ イ ト カ イニ ン含 有 量が高い傾 向が示さ れ た,
単 位 出 液 量 巾のサ イ トカ イニ ン含有量に は 大 きな差は 認め ら れな いため
,
出 液 量 が 大 きい こ と が 原 因の一
っ と 考 え ら れ る.
出穂 期にお ける根の 活 力 は, 有 機 栽 培 区で高い 傾 向を示 して い る もの と考え ら れる.
3
) 出 液 速 度と各 生 育 量との相 関 関 係最 高分 げっ 期から幼 穂 分 化 期 および 出 穂 期 前 後にお ける 出 液 速 度と各 種 生 育 量との相 関 関 係を第
2
表およ び第3
表に示 した
.
最 高 分 げっ 期 か ら幼 穂 分 化 期におい て は,
出 液 速 度と茎 数および地 上 部 乾 物 藪との 間に有 意 な 旧の 相 関 関 係 が 認め ら れ た が,
コ ア サ ンプル 法 (53mm
φ×400mmD
)に よ っ て
採
取 し た 土 壌中の全根 乾 物重 との間に は,
有 意な 相 関 関係は認め ら れ な かっ
た.
十壌10cm
ご との 階 層に含ま れ る各 階 層の根 乾 重と出 液 速 度との間に も,
有 意な相 関 関 係は認め ら れ な かっ た.
出穂 期における出 液 速 度と茎 数と の間に は 正の相 関 傾 向は認め られた もの の,
地 上 部 乾 重と の間に は有 意な相 関 関 係が認め られな か っ た.
十 壌 中の階 層 別 根 乾 重と出 液 速 度との間に も有 意な 関連 性は 認め られ な か っ た.
最高 分 げっ 期およ び出
穂期
にお け る出 液速度と物
理的な量 と して の根量 との 相hl
関 連 性は低い もの と考えら れ た
. 6543210
盞 鑼 番 鐸 鑼 讙 1韆 韆 讙 暑 驪 罍 響 窶 罍 憲
第
2
図 サイ トカイニ ン量 (g
/株 )一 55 一
N工 工
一
Eleotronio LibraryThe Crop Science Society of Japan
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lTh
。 C. 。P
、。i。n。 。 、。 。i。,y
。fJ 叩 。n第
2
表 最 高 分げつ期か ら幼穂分 化 期に お け る 出 液 速 度と各 生 育 量との相 関 関 係第
3
表 出穂期に お け る出 液 速 度と生 育量 との相 関 関 係一
一 一 tlo
出液速度
(
9
/株・ hr
)茎数 地 上
部
乾重 総根 乾重 根 乾 重0 − 10cm
10 − 20cm
20 − 30cm
3040cm
0 . 748
*0 . 790
*0 , 2400
. 0600
. 4160
. 4510
. 430
出 液速 度
(
9
/ 株・ hr
) 茎 数0 . 588
地 上部 乾重0 . 312
総 根 乾重0 . 030
根 乾 重0 − 10cm
O . 060
10 − 20
0 . 525
20 − 30cm
O . 001
30 − 40cm
O . 365
* P
<
0 . 05
サ イ ト カ イニ ンは
,
細 胞 分 裂 促 進,
葉 緑 素 分 解 防[L
(老化 防
止)
,核
酸・
タン パ ク合 成 促 進,
光 合 成 産 物 受 容 器 官(
シ ン ク, 穀
実,
果 実 )の活 性,
等 を 通して牛 体 内で重 要 な働
き を して いる. 根
の先端
で生 合 成さ れ た サ イ トカ イニン は出 液 中の 成
分
と して地 上 部に連 ばれ る が,
出 液 中の ゼ ア チ ン とそ の誘 導 化 合 物の存 在にっ い て は, 次
々 に明かに な っ て きて お り,
イ ネに関して は,
葭田 ら (1971
) によっ てzea 七in ,
zeatin riboside,
zeatin ribotide の存 在が報 告さ れ ている
.
今 回,
サ イ ト カ イニ ン の定 量に用い たELIZA
法(
酵 素結
合 抗 体 法 )は,
サ イ ト カ イニ ン の全 精 製工程を 必要
と せず, 粗精 製
の段階
に て定 量できる方 法 と して開 発さ れ
,
検 出 限 界は生物 検
定 法と比 較して ピコ モ ル オー
ダー
の高 感 度であ ること を
特徴
と して い る.
本 実 験の結 果
,
出液 中に含ま れ るサ イ トカ イニ ン含 有 量 は,
栽 培 条 件の違い に よっ て異なり,
ま た出穂 期に おい て は品 種 間 差 異 も認められた,
耕 起 対 照 区や不 耕 起1
年 目のコ シ ヒ カ リで は
,
出 液 中に含まれる サ イ ト カ イ ニ ン の絶 対 量 と単 位 出液
量 あた りのサ イト カイニ ン含 有 量 が 少ない こと か ら
, 根
の活
力は低い もの と考え ら れ る.
出 穂 期において は
,
塩粳 48 号
とコ シ ヒカ リに大 き な品 種 間 差 異 が 認め ら れ た,
この原 因が有 機 栽培 と慣 行 栽 培 とい っ た 栽 培 条 件 の違い に由 来す るの か
,
品 種 間差 異に よ るの かにつ い て は,
今 後 検 討 する必 要が ある
.
長 野 県 伊 那 市の多 収 穫コ シ ヒカ リの サ イ ト カ イニ ン 含 有 量は,
他の栽 培 区と比 較 して明か に高い値 を示 し,
根 量は通 常 栽 培と比 較して も蓍しく多 く,
地 表か ら
10c
皿以 内に多 くの根を分 布 して い た (Kujira
eta1 . ,2000
).
根 量 および 根の分 布 形 状をサイ トカ イニ ン含 有量 を 指 標 と し た 根 の活力と関連づ けて 考 察し た場 合,
伊 那の コ シ ヒカ リの 根の活 力は高い と推 定 するこ と が u/能で あ る.
出 液 速 度と 茎数お よ び地 上 部乾
重 との間に有 意な正の相 関 関 係が認め ら れ ること か ら, 地
E
部の バ イオマ ス の 大 小が出 液 速 度に影 響して い る もの と推 定さ れ る. 出穂期
に は
,
バ イ オマ ス 量は一
定 値と な る た め,
こ の時 期の 出 液 速 度は蒸 散量や根の活 力と深い関 係を持っ て くること が示 唆さ れる (Oritani
et a ], 2000
).
ま た,
有 機 資 材を連 続 施用 し た 圃場において は,
出 穂 期における根の活 力が高 く 維 持さ れて い る もの と推
測 さ れ,
こ の場 合に は⊥ 壌の物理 化 学 的 特 性の改 善も影 響して い る もの と考え られ る.
謝 辞
本 研 究を行 うにあ たり
,
金 沢 大 学 教 育 学 部 院生の中 島裕
司,
学 生の佐 野 智 了,
吉 村 紘 美,
内 浜 朗,
畠 澤 佳 代 諸 氏の 協力 を 得 た
.
石 川 県 農 業 総 合 研 究セ ンター,
作 物 科の橋 本 良一
氏,
環 境 土 壌 科の北 田 敬 宇 氏,
畑 中 博英 氏,
梅 本 英 之 氏に は調 査ご協 力 を 頂い た.
石 川 県 野々 rl− i
町の
r
納 和 之 氏,
松 任 声の 中 野 正 剛氏,
穴 水町の西出 隆一
氏,
輪 島 市 町 野町の 向 面正一
氏 お よ び 国 永 剛 氏,
長 野 県伊那市の春日 照 夫 氏に は圃 場 調査 での 便宜 を図っ て頂い た. 伊
那市
の調査は
,
富 山 県 立 大 学短期 大 学 部 折 谷 隆志教 授と共 同して実 施
した もの で ある.
記 して感 謝の意を表し ます.
本 研 究の
一
部は,
文 部 省 科 学 研 究 費 (番 号11660015
)に よ り行っ た.
引 用 文 献
鯨 幸 夫 ら
2000.
日作 紀69
別2
:20 − 21 .
鯨 幸 夫 ら
2000.
凵作 紀69
別2
:22− 23 .
KujiraY ,
etal, 2000.
Abstractsof3rdICSC
,Germany
:160.
Oritani
T ,
e 七 al,2000,
Abstracts
of3rd
工CSC
,Germany
:SupPlernentary
Abs
七racts,
作 物 学 会 北 陸 支 部
・
北 陸 育 種 談 話 会 編1995 .
コ シ ヒカ リ,
農 文 協 :
544− 549 .
葭田
隆
治1991 . “
サ イ ト カ イ ニン バ イ ブル
” ,
酪 農 学 園}
j. V , fi
音「≦11− 125 ,
(
2000
年11
月30
日受付
,2001 年 2 月 13
日受理)一 56 一
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