長崎大学教育学部紀要 一自然科学 ‑ N0.66,ll‑21(2002.3)
高解像度衛星 ( I KONOS) デ ー タによる GI S デ ー タ抽 出及び利 用形態 に関す る研究
全
柄 徳 ・杉 山 和 一 ・茂 地
徹 長崎大学教育学部数学教育講座(2001年10月31日受理 )
ASt udyofExt r a c t i ona ndPr a c t i c a lUs ef o rGI SDa t a Us i ngHi ghRe s ol ut i onSa t e l l i t eDa t a , Ⅰ KONOS
ByungdugJUN,KazuichiSUGTYAMAand
To
ru SHIGECHI DepartmentofMathematics,FacultyofEducation,NagasakiUniverslty,Nagasaki852‑8521
(ReceivedOct.31,2001)
1 . は じ め に
1972年 , アメ リカの地球 観測衛星 であ るERTS‑ 1号 (後,LANDSAT‑ 1と して改 名) が打 ち上 げ に成功 し,地球 の鮮 明 な表面情 報 を地球観 測 セ ンター に送 り始 め てか ら
3 0
年 の 歳 月が近づ いてい る。 この 間, 人工 衛星 デ ー タの解像 度 は 1ピクセ ル当 り80メー トルか ら 80セ ンチの地球 表面情 報 (IKONOSの最高解像 度 の場 合) を と り始 め てい る。 本格 的 な高 解像 度衛星 の時代 が渡 来 してい る とい える。本研 究 で は,地球観測衛星 の解像 度 向上 に関す る歴 史的 な背景 をた どる意 味で, ア メ リ カのLANDSATと,ヨー ロ ッパ のSPOT,そ して 日本 を代 表す る地球 観測衛星MOSシ リー ズ を紹 介 す る と もに,最 新 の高解 像 度衛星 デ ー タ と して注 目を浴 び てい るIKONOSデ ー タの画像 や解析 方 法 な どを紹 介 す る。 また,解析 され たIKONOSデ ー タの利 用 形 態 を探 る とともに,高解像 度衛星 の実利 用へ の可 能性 につ いて述べ る。
2.
地球観測衛星 シ リーズ1) 2.1
ラン ドサ ッ ト (LANDSAT)シリーズラ ン ドサ ッ ト (LANDSAT,以下 , ラ ン ドサ ッ トと表記 ) シ リーズ は,1972年7月23日 地球資 源技 術衛星ERTS (EarthResourcesTechnologySatellite, アー ツ)1号 が打 ち上 げ ら れてか らス ター トした。 ラ ン ドサ ッ トシ リーズ はその後,3号機 が打 ち上 げ られ てか ら, アー ツか らラ ン ドサ ッ トシ リーズ と改 名 し,現 在 の7号 まで に至 ってい る2}。
ラ ン ドサ ッ トシ リーズ は衛星 の形 や セ ンサ ーの特徴 な どが,
1‑3
号 まで と4‑5
号 , また7号 が大 き く異 な ってお り,大 幅 に変更 が加 え られてい る。 以下 にその主 な特 徴 を表12
として ま とめ る。
全 柄徳 ・杉 山 和一 ・茂地 徹
表 1 地球観測衛星 ラン ドサ ッ トシリーズの概要3)
セ ン サ 名 バ ン ド 波 長 種 類 分解能
TM:
The
セ
(LマmanテatidsイcatMaツ‑クppe4マ‑rツ5 )パ ー Band1 0.45‑0.52い′m 三円ヒ三 30m Band2 0.52‑0.60pm 緑 30m Band3 0.63‑0.69um 赤 30m Band4 0.76‑0.90pm 近 赤 外 30m Band5 1.55‑1.75pm 中間赤外 30m Band6 10.4‑12.5トLm 熱 赤 外 120m Band7 2.08‑2.35一m 中間赤外 30m MSS: Band4 0.5‑0.6pm 緑 80m MultiSpectralScanner Band5 0.6‑0.7トLm 赤 80m 多重スペク トル走査放射計 Band6 0.7‑0.8LLm 近 赤 外 80m (Landsat‑ 1‑ 5) Band7 0.8‑1.叫m 近 赤 外 80mETM+:
Enエンハ ンス ドセマテ イツクマ ツパ ープラス(LahanndscedThat‑ 7)ematicMapper,Plus Band1 0.45‑0.52一m 三日【三 30m Band2 0.53‑0.6叫m 緑 30m Band3 0.63‑0.69pm 赤 30m Band4 0.75‑0.90pm 近 赤 外 30m Band5 1.55‑1.75pm 中間赤外 30m Band6 10.4‑12.5トLm 熱 赤 外 60m Band7 2.09‑2.35pm 中間赤外 30m
上記 の表 か ら もわか る よ うに, ラ ン ドサ ッ トシ リーズ の
1
号 か ら3
号 まで は,地上分解 能 (以下 ,解 像 度 とす る)を80メー トル と設定 して観 測 して お り,主 なセ ンサ ー と してMSS 多重 ス ペ ク トル走 査 放 射 計 を利 用 して い る。 しか し, 4号 か らは新 しい セ ンサ ー と して TMの セマ テ イ ツクマ ッパ ー を採 用 し,解 像 度 を30メー トル まで 向上 させ て い る。このTMセ ンサ ー に よ り,地上分解 能 は80メー トルか ら30メー トル まで 向上 した こ とにな る。
また, ラ ン ドサ ッ トシ リーズ の7号 には,バ ン ド8を用 意 しパ ンクロマ チ ックデ ー タを 取得 してお り,解 像 度 を15メ ー トル まで上 げて い る。 この デ ー タを利 用 す る こ とに よ り, バ ン ド1か らバ ン ド7まで の解 像 度 は15メー トル に向上 で きる。これ らの結 果 ,ラ ン ドサ ッ
トシ リーズ の解 像 度 は,1972年7月23日に打 ち上 げ られ た 1号 か ら,1999年4月15日に打 ち上 げ られ た
7
号 に よ り,80メー トルか ら15メー トル まで 向上 した。 ラ ン ドサ ッ トシ リー ズ は18年 間,地上 分 解 能 の解 像 度が3
倍 以上 よ くな ってい る。2. 2 スポ ッ ト (SPOT)シ リーズ
ス ポ ッ ト (SPOT, 以 下 ス ポ ッ トと表記 ) は フ ラ ンス が 開発 した衛 星 で,1986年2月22 日に第1号 が打 ち上 げ られ た。 そ の後 ,運 営 は民 間 に移 され ,SPOTイ メー ジ社 が担 当 し てい る。SPOTは フラ ンス語 で,SystemeProbatoired'ObservationdelaTerrecの頭 文 字 を取 っ た もので ,訳 す る と 「地球 観 測 シス テ ム」 で あ る。
ス ポ ッ トシ リーズ は,
1
号 か ら3
号 までが 同 じ形 態 のセ ンサ ー を搭 載 してい る。 しか し,4
号 か らは 中間赤外 の情 報 を取 得 してお り,バ ン ドをひ とつ増 や してい る。 なお ,パ ンク ロマ チ ックデ ー タ と して取 得 して い た,0.51‑0.73岬1のバ ン ド範 囲 が ,4号 か らは0.61‑0.68pmに変 更 して い る。 これ はパ ンクロデ ー タ を解 像 度 向上 だ け の役 割 に と ど ま らず ,
高解像度衛星 (IKONOS)デ‑ 夕に よるGISデ ー タ抽 出及 び利 用形態 に関す る研 究 13
赤 バ ン ドの情報 と して も利用 しよう とす る意 図が あ る。 特 に,近年 ,地球環境 問題 に関心 が高 ま り,地球 表面上 の植生 分布 の変化 な どが有効 な ツール と して利 用 され始 めてい る こ
とか ら, ス ポ ッ トには広 域 の植生 情報 が抽 出可 能 なVAGETATION (植 生 )バ ン ドを用 意 して い る。VAGETATION (植 生 )バン ドの解 像 度 は低 い もの の,地球 表 面 上 の広域 的 な 環境 評価 に有効 な情 報 を提 供 す る。 以下 に, スポ ッ トの概要 を表 にま とめ る。
表2 地球観測衛星スポ ッ トシリーズの概要3.
セ ン サ 名 バ ン ド 波 長 種 類 分解 能
SPOT‑1.‑3
HRV‑XS: Band1 0.50‑0.59トlm 縁か ら黄色 20m HighResolutionVisible Band2 0.61‑0.68pm 赤 20m Mulマルチスペク トルモー ドtispectralMode Band3 0.79‑0.89pm 近 赤 外 20m
HRV‑P:
HighResolutionVisible PanchromaticMode
パンクロマチ ックモー ド P 0.51‑0.73um 緑か ら赤 10m
SPOT‑ 4 HRVⅠR‑X:
HighResolutionVisibleandⅠnfrared
/Muマルチスペク トルモー ドltispectralMode Band1 0.50‑0.59um 緑か ら黄色 20m Band2 0.61‑0.68pm 赤 20m Band3 0.79‑0.89pm 近 赤 外 20m Band4 1.58‑1.75pm 中間赤外 20m
HRVⅠR‑M:
HighResolutionVisibleandⅠnfrared /MonospectralMode
モノスペクトル(パンクロマチック)モード P 0.61‑0.6紬 m 赤 10m
VEGETATION BaBandlnd2 0.0.43‑0.61‑0.476軸 mum 赤∴ト日 1km1km Band3 0.79‑0.89pm 近 赤 外 1km
スポ ッ トの場 合 は,解像 度 の変化 が ない。 これ は技 術 的 な問題 よ りも, デー タの整 合性 を整 えるためであ り,過去 の デー タと現 在 の デー タが比較 で きる ようにす る利 用 目的 をサ ポー トす るね らいが あ る。
2. 3 もも (MOS)シ リーズ
もも (MOS,以下 , も もと表記 ) シ リーズ は, 日本 の地球観測衛星 の第1号 と して1987 年2月19日に打 ち上 げ られ た。正 式 な名称 はMOS (MarineObservationSatellite)であ り,
日本 で は通称 名 と して 「もも」と名づ けてい る。
ももシ リーズ にはMSR (MultispectralElectronicSelf‑ScanningRadiometer,可視赤外放射 計) やVTIR (VisibleandThermalInfraredRadiometer,可視 熱赤外 放射計 ) とい った独特 な セ ンサ ーが搭載 され てお り, 人工 衛星 の名称 とお り地球上 の広 い面積 を占め る海洋 の情 報 取得 を 目的 と してい る。 その ため低精度解像 度 に よる海全体 の温 度分布 な どが取得可能 に
なってい る。 以下 に, ももシ リーズの概 要 を表 と して ま とめ る。
14 全 柄徳 ・杉山 和一 ・茂地 徴
表3 地球観測衛星である ももシリーズの概要3)
セ ン サ 名 バ ン ド 波 長 種 類 分解 能
MESSR: Band1 0.51‑0.59pm 緑 50m MultispectralElectronic Band2 0.61‑0.69pm 赤 50m Self‑ScannlngRadiometer Band3 0.72‑0.80トLm 近赤外 50m 可視赤外 放射計 Band4 0.80‑1.10pm 近赤外 50m
MSR:
Miマ イ クロ波放射計crowaVeScannlngRadiometer 23.31.8±0.4±0.2GHz25GHz マ イ クロ波マ イ クロ波 3223kmkm
VTⅠR: BaBand1nd2 0.6.0‑ 7.5‑ 0.叫 m7pm 可熱赤外視 279000m0m 可視 熱赤外放射計 Band3 10.5‑ll.5一m 熱赤外 2700m
表4 IKONOSの仕 様5)
衛 星 名 称 ⅠKONOS(イコノス) 運 用 国 米 国
運 用 機 関 SPACEⅠMAGⅠNG 打 ち 上 げ 1999年9月25日
次 世 代 機 2003年頃 (最高50cm解像度 を予定) 設 計 寿 命 7年
回 帰 日 数 11日 (直下 より10度以内に戻 る場合) 軌 道 傾 斜 角 98.120
軌 道 の 種 類 太陽同期準極軌道 衛 星 高 度 680km
も もシ リーズ は ミッシ ョンを終 え,1996年4月19日付 で デ ー タ受 信 を終 了 してい る。 も もシ リーズ は解 像 度 に変化 が ない ス ポ ッ トと同様 , 同 じ解 像 度 で12年 間の ミッシ ョンを閉 じて い る。
3.高解像度衛星,l KONOS
4)IKONOSとは,古代 ギ リシ ャ語 の 「画像
」
を意 味す る単 語 か ら由来 す る。 高解 像 度衛 星 であ る 「画像 」,IKONOSにつ い て は, そ の記 録 が イ ンター ネ ッ ト上 に公 開 されて い る4)。 この記 録 か らもわか る ように,打 ち上 げの予 定 は1999年4月27日か ら約5ケ月伸 びて,1999 年9月24日カ リフ ォルニ ア州 バ ンデ ンバ ー グ空 軍基 地 か ら打 ち上 げ られ た。ア メ リカ政府 は偵 察衛 星 と して使 って い た1メー トル精 度 の衛星 仕 様 を,1994年4月 ス ペ ース イ メー ジ ング社 に対 して民 間利 用 の ため の運 用 を許 可 し,高解 像 度衛 星 時代 を開い た。IKONOS1号 は,730kg足 らず の重 量 なが ら,高解 像 度 の地 上 分 解 能 を持 つ 地 球 観 測 衛 星 で,650km以 上 離 れ た宇 宙 空 間 か ら秒 速6.4km の 速 度 で移 動 しなが ら,地 球 の表 面 情報 を撮 影 す る よ うに設 計 され てい る。IKONOSの仕様 を表4に ま とめ る。
高解像度衛星 (IKONOS)デー タに よるGISデー タ抽 出及 び利 用形態 に関す る研 究 15
IKONOS1号 は,特 有 の画像 生成 能力 に よって,世 界 初 の カ ラー画像 を1メー トル精 度 で生 成 してい る。 なお , これ に
4
メー トル解像 度 の セ ンサ ー も加 えて搭 載 してい る。 しか ち,1
メー トル解 像 度 の デ ー タは三 日 ご とに, また1
メー トル よ りも劣 る4
メ ー トル の デ ー タは一 日ご と,地球 上 の どん な場 所 に も回帰 す る能力 に よって,必 要 なユ ーザ ー‑ の 更新 画 像 を提 供 す る。 この能力 は,農業 ,建設業 ,地 図事 業 ,公共事業 ,旅行業 ,都市 計 画 ,保 険 及 び危機 管理 ,報 道 そ の他 を含 む,幅広 い分野 の産業 に とって必 要 な情 報 を提 供 で きる能力 を備 えてい る。1メー トル解像 度 のパ ンクロマ チ ック (白黒 )画像 で見 える細 部 は,例 えば, トラ ック や タクシー,バ スや道路 ,パ イプ ラ イ ン,個 別 の樹 木 ,作 物 ,大型機 材 ,小 型 ボー ト,船 舶 ,及 び少 な くと も
1
メー トルの大 きさを有 す る物 体 を含 んで い る。 人が手 を広 げ, うま い具 合 にIKONOSに撮 影 され れ ば,人 間の姿 もなん とな くわか る とい われ て い る。IKONOS の画像取 得 の セ ンサ ー は,個 々の 人間 を完 全 に見分 け る程 ,強力 で はないが ,今 までの解 像 度 をは るか に上 回 る高 精 度 を実 現 して い る。 以 下 にIKONOSに搭 載 され た セ ンサ ー の 仕様 を紹 介す る。表5 IKONOSに搭載 されたセ ンサーの仕様5.
セ ンサータイプ リニアア レイ
素子数 (ピクセル数) Iパ ンクロマチ ック 13,816個 マルチスペ ク トル 3,454個
波長域 (バ ン ド) パ ンクロマチ ック 0.45‑0.9叫m
∃日三 0
.
45‑0.52LLm緑 0
.
52‑0.60pm赤 0.63‑0.69pm
近赤外 0
.
76‑0.90pm*ラン ドサ ッ トTMのBand1‑ 4と同 じ波長域です
地 上 分 解 能 (GSD)
パ ンクロマチ ック 撮影角度00(直下) 0.82m 撮影角度260(オフナデ ィア260) 1.0m マルチスペ ク トル 撮影角度00(直下) i3.3m 撮影角度260(オフナデ ィア260) 4.0m
撮影幅 撮影角度00(直下) ll.3km
撮影角度260(オフナデ ィア260) 13.8km 撮影傾斜角度 (ポインテ ィング) 全方向に45度迄
以上 の結 果 か ら, 人工 衛星 デー タの解像 度 は1972年 に打 ち上 げ られ た ラ ン ドサ ッ ト1号 の80メー トルが,82セ ンチ メー トルの情 報 をキ ャ ッチす る ところ まで至 ってい る。
16 全 柄徳 ・杉 山 和一 ・茂地 徹
4.
本研 究 に使 用 したI KONOS
デ ー タ本研 究 で は,長崎市及 び横 須賀市 の デ ー タを使用 し,GISデー タ と関連 した情 報抽 出 を 試 み た。特 に,今 回のデー タは両方 とも 「斜 面 地 区
」
に限定 した調査 区域 を設定 し,詳細 測量 にか か わ るGISデ ー タの情 報 抽 出 を行 う とと もに,現 地 調 査 を実 施 す る こ とに よ り,コンピュー タに よる結果 の検 証 を行 った。
以下 の表
6
に,長崎市 と横 須賀 市 の メ タデー タの一部 を ま とめてい る。表6 本研 究で用 いたIKONOSデータのメタデータリス ト
メタデータの項 目 長 崎 市 横 須 賀 市
CreationDate 10/10/01 09/06/01 ProductWorkOrderNumber Uninitialized 1080006‑00 ProductOrderNumber 5560 5040
CustomerPrqjectName NAGASAKI‑SHI(NAGASAKI) YOKOSUKA‑SHI(KANAGAWA)
(中略) (中略) (中略)
NumberofSourceⅠmages 1 1
SourceⅠmageⅠD 2001031101555350000010725811 2000081901151860000011620211 ProductImageID 000 000
Sensor ⅠKONOS‑ 2 ⅠKONOS‑ 2
AcquiredNominalGSD
ScanAzimuth CrossScan:0.91meters CrossScan:0.84meters AlongScan:0.86meters AlongScan:0.85meters 179.97degrees 179.96degrees
ScanDirection Reverse Reverse PanchromaticTDⅠMode 13 13
NominalCollectionAzimuth 99.8245degrees 152.1180degrees NominalCollectionElevation 71.14675degrees 78.75347degrees SunAngleAzimuth 143.7896degrees 132.7618degrees SunAngleEleVation 47.05810degrees 59.51501degrees
長崎市 のデ ー タは2001年3月11日の午前10時55分 に現 地 を撮 影 してお り,現 地撮 影精 度 は緯 度方 向 に対 して91セ ンチ メー トル,経 度方 向 に対 して86セ ンチ メー トルのス キ ャニ ン グ精 度 を維持 してい る。 なお,横 須賀 市 のデー タは2000年
8
月19日の午前10時15分 に現 地 を撮 影 してお り,現 地の ス キ ャニ ング精 度 は緯 度方 向が84セ ンチ メー トル,経 度方 向が85 セ ンチ メー トルの精 度 を維持 してい る。高解像度衛星 (IKONOS)データによるGISデータ摘出及び利用形態に関する研究 17
図1 本研究で使用 したIKOWOS画像デー タ (左が長崎市,右が横須賀市)の様子
5.l KONOSデータの解析処理 と GI Sデータの抽出 5. 1
長 崎 市 の デ ー タ長 崎市 の デ ー タはテ ス トエ リア と して 「立 山地 区」 を選 び,IKONOSデ ー タか らの土 地 被 覆 の植 生 分布 (NDVI) とGISデ ー タ抽 出 を試 み た。 その手順 は図2の とお りで あ る。
今 回使 用 したIKONOSデ ー タの オ リジナ ル は,縦 と横 幅 が 約 5キ ロ メー トル に上 り, フー ルサ イズ の 四 バ ン ド全 部 を含 む場 合 , 合 計100メ ガ を超 え る大 容 量 とな って い る。 本 研 究 で は,立 山地 区 を四 角 の ポ リゴ ン と して選 び,IKONOSデ ー タを必 要 な部 分 のみ カ ッ
トし使 用 して い る。
立 山地 区 の み が カ ッ トされ たIKONOSデ ー タは, グ リ ッ ドデ ー タ と して 変換 し, 簡 易 ポ リゴ ン作 成 の ため に用 い た。 グ リ ッ ドデ ー タ と して変換 したバ ン ドの うち,簡 易 ポ リゴ
図2 長崎寸卜 立山地区のIKONOSデー タ解析処理手順
18 全 柄徳 ・杉山 和一 ・茂地 徹
ン作 成 に用 いた もの はGREENバ ン ドである。 簡易 ポ リゴ ンデー タの作 成 には, カラー画 像 をその まま利用 し,画像 の高能率符号化法 として色相差 を用 いた領域統合法6)な どの様 々 な手法が提案 されているが,今 回は簡便 に行 える もの として二値化 の方法 を用 いていた。
画像 を見 なが ら しきい値 を決 め,画像 の コ ン トラス トを強調 させ,極端 に変 わる部分 を線 や ポ リゴ ンと して抽 出 した。結 果 を基 図 と してArc‑Viewを用 い て,一 つ一 つ の ポ リゴ ン のデー タを再抽 出 した。 この ように して出来上が った もの を最終 的 なポ リゴンの結果 とし た。
(a)IKONOS立 山地 区 (b)二値化による簡易ポリゴン生成
(C)バ ン ド4とバ ンド3によるNDVI結果 (d)Arc‑Viewからのポリゴン生成結果 図3 NDVIとポリゴン生成結果
高解像 度 衛星 (IKONOS)データによるGISデータ抽出及び利用形態に関する研究 19
特 に, 図3の (C) の結 果 は, 白 くな るほ ど植 生 の状 態 が よい こ とを表 し,暗 くな る ほ ど植生 の反応 が鈍 い こ とを意 味 してい る。IKONOSデー タに よるNDVI(植物 活性 度) の 結果 であ る。 この結 果 は ラ ン ドサ ッ トや も もな どの低解像 度 か らは得 られ なか った,町 ご との植生状 況調査 を可能 に してお り,撮影 の周期 が短 い こ とか ら,環境評価 や簡便 な植生 調査 な どに有効 な ツールであ るこ とが分 る。 実 際,立 山地 区 を歩 き,植生調査 を行 って見 た経験 か らす れ ば,IKONOSデー タの有効性 は十分 にあ る。
5. 2
横 須賀市 のデ ー タ本来 な らば,IKONOSデー タはステ レオ画像 か ら3次元 デ ー タが抽 出可 能 となってお り, ステ レオ写真測量 の新 しい提 案 を切 り開 くものであ る。 残 念 なが ら,今 の ところ
3
次元抽 出が可 能 なステ レオペ アーの画像 は少 な く,特 に,斜面地 にお け るデ ー タは得 られ ないの が現状 であ る。 そ こで,本研 究 で は斜 面が広が る横 須賀市 の谷戸 地 区 をテス トエ ー リア と 選定 し, ステ レオデー タか ら得 られ るであ ろ う, レーザ プロ フ ァイラーデ ー タを重 ね, ど れ だけ詳細 な情 報が得 られ るか を確 認 した。手順 は図4の とお りであ る。図4 横須賀市 ・逸見町の谷戸地区におけるIKONOSデータの活用解析手順
横 須賀市 のデー タは, まず ,横 須賀市役所 を中心 とす るほぼ全域 が入 る よう配慮 した。
しか し,谷 戸地 区 (斜面 地 匝)が発達 した地域 は市 の北 部 に位置 してい る こ とか ら,市 内 か ら一番最 初 の谷戸 地 区であ る逸 見町周辺 の地域 を,テス トエ ー リア と して選定 した。 ま た,本来 な らステ レオ画像 か ら
3
次元 デー タを抽 出す る予定 で したが蓄積 画像 が ない こ と か ら,3次元 デー タが抽 出 された ときの可 能性 を調べ るため, レーザ プロフ ァイラーデー タを購 入 した。 レーザ プ ロフ ァイラーデー タは斜面 地が並 ぶ谷戸地 区 と山の地域 を含 む も の と し,図5の(a)の赤 い線 で囲 ったポ リゴ ン地域 を選 んだ。本研 究 で は, これ らの レーザ プ ロフ ァイラーデー タか ら三次元 画像 を作 成 し
, 1
メー トル 精 度 の3
次 元情 報 が抽 出 され た ときのIKONOSデ ー タの利 用 可 能性 につ い て調 べ た。3
次 元画像 を作 成す るための順 番 と して は,まず ,レーザ プロフ ァイラーデ ー タ(ポ イン ト)
20 仝 柄徳 ・杉山 和一 ・茂地 徹
をグ リッ ドデー タに変換 し,3次元表示 を試 み た。 また,3次元環境 の 中で様 々な角度 か ら観 測 可 能 にす るため に, グ リ ッ ドデ ー タを
TI N
デ ー タに変換 し,Ar c ‑ Vi e w
の3D
ツー ル を利 用 し表現 した。 これ らの結果 を図5
に示 してい る。( a )I KONOS
横須賀市域(C
) 1
メー トル間隔の等高線抽出(b)グリッ ドデー タによる三次元表示
( d )TI N
データによる3D
表現 図5 3次元情報 を重 ねた横須賀市 の谷戸地 区 (逸見町)高解像 度衛星 (IKONOS)デ ‑ 夕に よるGISデー タ抽 出及 び利用形態 に関す る研 究 21
5.
結 請 以上 の結果か ら,以下の ような結論が得 られる。(1) IKONOSデー タによる高解像度のNDVI作成が可能であった。
(2) IKONOSデー タによるGISデー タ (ポ リゴンや ライ ン)の作 成がで きた。
(3) IKONOSデー タか ら得 られ た と仮定 した 「レーザ プロファイラーデー タ」 による斜 面地 区 (谷戸地区)の3次元表示がで きた。
(4)起伏 が激 しい斜面地の1メー トル間隔の等高線作成がで きた。
6
.お わ り に本研 究 は, まだ多 くの未解決部分があ り,可能性 を明 らか に した とはいいがたい。 しか し, これか ら使 えるであろ うIKONOSの使 い道 につ いて,二 ・三 の方法 を提 案 す る こ と がで きた。 また,斜面地 区 にお け るIKONOSデー タの利活用が大 い に期待 で きる こ とが わか った。
しか し,斜面地区における幾何補正 や正射投 影 は欠かせ ない ものであ り,IKONOSの画 像 にお ける幾何補正 は,単純 なアフ ィン ・ヘ ルマ ッ ト変換 では解決 で きない。
今後 の課題 としては,ステ レオ画像 か らの3次元 デー タの抽 出で あ り,GISデー タ抽 出 のための色相差 をもちいた領域統合法 を適用 した結果 を試み るこ とである。 また,精度 よ い幾何補正 の方法 を探 る必要があ る。
最後 に,本研 究 の ための長崎市 のIKONOSデ ー タを提供 して くだ さった,長崎 県GIS 研究協議会の梅 田和子理事 に感謝 の意 をあ らわす次第である。
参 考 文 献
1.土屋活 , リモー トセ ンシ ング概論,pp.3‑ll,朝倉書 店,1990.
2.http://geo.arc.nasa.gov/sgenandsatnandsat.htm1 3.http.A//www.restec.or.jp/jpn/data/AI000top.htm1
4.http://www.spaceimaglng.CO.jp/news/ikostory/ikostory.htm1 5.http://www・spaceimaglng・CO・jp/gallery/gallery1・htm1
6.谷口慶治,画像処理工学 「応用編」,pp.327‑333,共立出版,2001.2.