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衛 星 デ ー タ を 用 い た 都 市 化 の 定 量 評 価 に 関 す る 研 究

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Academic year: 2021

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(1)

衛 星 デ ー タ を 用 い た 都 市 化 の 定 量 評 価 に 関 す る 研 究  

      日 大 生 産 工 ( 院 )   ○ 森 脇  隆 一   日 大 生 産 工 ( 院 )   小 林  麻 里 子         日 大 生 産 工       工 藤  勝 輝   日 大 生 産 工         岩 下  圭 之  

        1. はじめに

  都市化の及ぼす影響効果として,その周辺の生 態系や経済に与えるファクタは非常に大きい.そ のため,都市化を定量的に把握し,適切な都市計 画を立てることは必要不可欠である

1

.これら広 範囲にわたる都市化を定量的に評価する手法とし て衛星データの有効利用が以前より提唱されてき た.この衛星リモートセンシング技術を活用した 都市域の評価手法は,新しい都市計画のための基 礎資料としてだけではなく,都市環境の整備や維 持・管理の面でも役立つことが予想される.しか しながら,都市化を定量的に評価するためには,

より正確な地被物の分類抽出が不可欠であり,ま た,一口に衛星データから都市域を抽出するとい っても, 「都市」の定義によって評価の尺度が変化 することからそれに応じて様々な手法が用いられ ている.

  これまでの衛星データから都市域を分類抽出す る方法として,土地被覆分類解析や都市化指標

(Normalized Differential Building Index:NDBI)

2

を利用してオートマチックに都市域を抽出する方 法があるが,ことさら「都市域における1画素」

に含まれる情報には,純粋な人工構造物に植生や 土壌が混合していることもあるため,ひとくくり に優先地被物を抽出してしまうことで『誤判読』

情報と片付けられることもある.

  本研究では,ハイパースペクトル測定の室内実 験において「都市部におけるミックス・スペクト ルパターン」をシミュレーションし,ピュアピク セルからミクセルまでの閾値を考察するとともに

Landsat/TM データから都市域をより正確に判読

できる手法『NDBI』の改良構築へのアプローチを 行った.最終的には,多時期の衛星データから導 出される演算データによる宅地を含めた経年的な 都市化の定量評価を目的とした.

2. 研究対象地域

  本研究では県内でも人口推移の著しい千葉市と 市原市を研究対象地域とした.(Fig.1 および Fig.2)

  千葉市は 1921 年に市制が施行され, 周辺町村と の合併を行い, 1992 年には政令指定都市に移行し た.千葉市は中心市街地.幕張新都心,蘇我臨海

A Proposal for Quantitative Analysis of Urbanization Using Satellite Data

Ryuichi MORIWAKI , Mariko KOBAYASHI , Katsuteru KUDOU , Keishi IWASHITA

Fig. 1

  研究対象地域: 千葉市

Fig. 2

  研究対象地域:市原市

(2)

地地区開発の 3 地区を都市構造の拠点としている.  

また,千葉市は県内交通の要衝であり,主要鉄道 としては総武線,京葉線が走っており, 1988 年に は千葉都市モノレールが開業した.道路網として は国道 16 号,国道 357 号,東関東自動車道が走っ ており, 東京の都心部と繋がっている国道 14 号や 京葉道路等が通学・通勤を始めとする交通環境を 良くしている.

  市原市は 1963 年に市原,五井,姉崎,市津及び 三和の 5 町合併により市制が施行された.県の中 央部に位置し,北は東京湾に面しており,南は房 総丘陵に連なる山間部で,市を南北に貫くように 養老川が流れている.東京湾側の臨海部は昭和 32 年より埋め立て造成が行われ,日本有数の石油化 学工業地帯である京葉工業地帯が展開している.

中・南部は農業地帯であり,ゴルフ場も数多く点 在している.

  主要鉄道としては,内房線,小湊鉄道が走って おり,道路網としては館山自動車道,国道 297 号 が通っている.

3. 都市域の抽出

  Zha et al

3.

は,Landsat/TM データを利用し,0 を境界値として正値と負値とで 2 値化した『都市 化指標:NDBI(Normalized Differential Building

Index) 』と『植生指標:NDVI』との差分から都市

域(BA : Built-up Area)を抽出する方法を提案して いる.

BA : Built-up Area = NDBI - NDVI

  しかし,この手法は都市域をひとくくりに抽出 してしまうため,ミクセルによる影響評価が把握 できない.しかしながら,都市域の算出方法はス ペクトルレスポンスを利用した指標を用いるため,

非常にシンプルであるというメリットも有してい る.

  本研究では,NDBI と NDVI との差分について 着目し,①コンクリート,②アスファルト,③葉,

④土壌の混合率を変化させたときの可視域から中 間赤外域までの Landsat/TM と同期した波長帯に おけるスペクトルパターンについて分析した.さ ら に , 複 数 の ラ ジ オ メ ト リ ッ ク を 施 し た

Landsat/TM データを用いて,地表面反射率から算

出した NDBI と NDVI との差分値によってミクセ ル状態となっている都市部の閾値について評価し た.

4. 地被物へのハイパースペクトル  

4-1. 予備実験

  Field Spec:350nm-2500nm ( ASD 社製)を利用し,

ハロゲンランプを光源とした室内実験においてス ペクトルパターンの理論検証を行った.コンクリ ートとアスファルトを都市域と見立て,葉と土壌

の混合率を故意に変化させてスペクトル測定を行 った.混合率は,Field Spec の瞬間視野面積の 78.5cm

2

(視野角 25°,高さ 22.5cm)に対する面積 比として,それぞれの占有面積を 10%ずつ変化さ せることにした.

4-2. ハイパースペクトルの検証

  スペクトル検証実験の結果の一部を Fig. 3 から

Fig. 6 に示す.Fig. 3 はアスファルトと葉,Fig. 4

はアスファルトと土壌,Fig. 5 はコンクリートと 葉,Fig. 6 はコンクリートと土壌の混合率を変化 させた場合のスペクトルパターンである.それぞ れの結果は,同一条件のもと実験を 3 回繰り返し 行ったときの平均値である.全てのデータから NDBI および NDVI を算出し ,それらの差

(BA:Built-up Area)を求めると,BA が正値を示 した場合90%以上の確率で人工構造物である可能 性が強く,また,BA が負値を示した場合は,そ の負値が大きくなるにつれてミックスパターン人 工構造物から純粋に植生域である可能性があるこ とがわかった. (Table 1) 「コンクリートまたはア スファルト」と「土壌」の混合状態については,

BA の値は 0 を中心として正負共に微小で限りな く 0 に近く±0.1 以下のオーダーであることがわか った.

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

Wave Length(nm)

Reflectance

asphalt10leaf0 asphlat9leaf1 asphalt8leaf2 asphalt7leaf3 asphalt6leaf4 asphalt5leaf5 asphalt4leaf6 asphalt3leaf7 asphalt2leaf8 asphalt1:leaf9 asphalt0leaf10

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

Wave Length(nm)

Reflectance

asphalt10soil0 asphalt9soil1 asphalt8soil2 asphalt7soil3 asphalt6:soil4 asphalt5soil5 asphalt4:soil6 asphalt3soil7 asphalt2soil8 asphalt1soil9 asphalt0soil0

Fig. 3

  スペクトルパターンの比較

(アスファルト+ 葉)

Fig. 4  スペクトルパターンの比較

(アスファルト+土壌)

(3)

6. 都市化評価のための画像解析(NDBI ベース)

  衛星データについては, 1987 年 7 月 24 日, 1997 年 7 月 3 日,2004 年 6 月 4 日観測の Landsat/TM データ (Path-107, Row-35 および Path-107, Row-36)

を利用し,前処理として国土地理院発行の数値地 図および DEM データを利用したオルソ幾何補正 ならびに,6scode を利用した大気補正を施した.

この前処理済みの Landsat/TM の地表面反射率デ ータから NDBI と NDVI を算出し,BA 評価画像 を作成した. ( Fig. 7 および Fig. 8)

  本研究ではスペクトル実験の結果より都市域の 閾値を-0.25 と定めた.

6-1.千葉市

  千葉市においては 1987 年から 1997 年にかけて は千葉都心および蘇我副都心周辺をベッドタウン の中心として,千葉市の主要鉄道の総武線・京葉 線,東京の都心部と繋がっている国道 357 号線沿 いに都市域が拡大しているのが判読できる. また,

千葉市は 1997 年までにかけて臨海地域の蘇我副 都心を中心とした都市化はほぼ完了していること が判読できる.

  若葉区,緑区は千葉市の都市計画より『東千葉 近郊緑地保全区域』と定められ,植生域が残って おり,千葉市の他の地域に比べ,都市化は大きく 進んではいないことがわかる.

6-2.市原市

  市原市は西部の臨海地区及び五井地区および姉 崎地区,東部の市原地区・八幡地区を中心とした 都市化を計画しており,これらの地域の都市化を 衛星画像から判読する事ができる.対して,南部 は,都市計画区域外であることと市原市都市計画 により『水と緑のやすらぎ軸』として,植生域を 保全・活用しており,大きな都市化が進んでいない 事がわかる.

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

Wave Length(nm)

Reflectance

concrete10leaf0 concrete9leaf1 concrete8leaf2 concrete7leaf3 concrete6leaf4 concrete5leaf5 concrete4leaf6 concrete3leaf7 concrete2:leaf8 concrete1leaf9 concrete0:leaf10

Fig. 5

  スペクトルパターンの比較

(コンクリート+葉)

Table 1

  各混合率の

BA

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

Wave Length(nm)

Reflectance

concrete10soil0 concrete9:soil1 concrete8soil2 concrete7:soil3 concrete6soil4 concrete5:soil5 concrete4soil6 concrete3soil7 concrete2soil8 concrete1soil9 concrete0:soil10

Fig. 6

  スペクトルパターンの比較

(コンクリート+土壌)

NDVI NDBI Built-up

asphalt 0.0643 0.0779 0.0136

concrete -0.0008 0.0772 0.0780

leaf 0.7928 -0.2694 -1.0622

soil 0.1414 0.0481 -0.0932

asphalt9:leaf1 0.4300 -0.1455 -0.5756

asphalt8:leaf2 0.4666 -0.2152 -0.6818

asphalt7:leaf3 0.5953 -0.2878 -0.8830

asphalt6:leaf4 0.5615 -0.3413 -0.9028

asphalt5:leaf5 0.6593 -0.3660 -1.0253

asphalt4:leaf6 0.6550 -0.4155 -1.0704

asphalt3:leaf7 0.7347 -0.3930 -1.1277

asphalt2:leaf8 0.7447 -0.3919 -1.1366

asphalt1:leaf9 0.7733 -0.3336 -1.1069

asphalt9:soil1 0.0718 0.0763 0.0045

asphalt8:soil2 0.0793 0.0751 -0.0042

asphalt7:soil3 0.0977 0.0772 -0.0205

asphalt6:soil4 0.1219 0.1017 -0.0202

asphalt5:soil5 0.1462 0.1286 -0.0176

asphalt4:soil6 0.1714 0.1421 -0.0293

asphalt3:soil7 0.1841 0.1301 -0.0540

asphalt2:soil8 0.1864 0.1247 -0.0617

asphalt1:soil9 0.1933 0.1337 -0.0597

concrete9:leaf1 0.1094 0.0210 -0.0884

concrete8:leaf2 0.1651 -0.0114 -0.1765

concrete7:leaf3 0.2135 -0.0425 -0.2559

concrete6:leaf4 0.2414 -0.0680 -0.3094

concrete5:leaf5 0.3961 -0.1520 -0.5481

concrete4:leaf6 0.5745 -0.2479 -0.8225

concrete3:leaf7 0.6520 -0.2756 -0.9276

concrete2:leaf8 0.7642 -0.3516 -1.1159

concrete1:leaf9 0.7752 -0.3092 -1.0844

concrete9:soil1 0.0083 0.0726 0.0643

concrete8:soil2 0.0139 0.0636 0.0497

concrete7:soil3 0.0186 0.0629 0.0443

concrete6:soil4 0.0297 0.0457 0.0160

concrete5:soil5 0.0435 0.0230 -0.0205

concrete4:soil6 0.0584 0.0112 -0.0472

concrete3:soil7 0.1024 0.0317 -0.0707

concrete2:soil8 0.1326 0.0526 -0.0800

concrete1:soil9 0.1440 0.0703 -0.0737

(4)

6. おわりに

  本研究より以下の知見を得た.

1) コンクリートと葉の混合を宅地とその周辺の 緑化と仮定すれば,BA が約 -0.25 以下であれ ばピクセルの半分以上が植生と混合している 状態であり,アスファルトと葉の混合を道路 と街路樹と仮定すれば,BA が約-0.50 以下で あればピクセルの半分以上が植生と混合して いる状態であると考えられる.

2) 千葉市は千葉新都心・蘇我副都心を中心に,

開発が進んでおり,これらの地域は 1987 年に はほぼ都市化が完了している.また,市原市 に関しては,京葉工業地帯である臨海地域を 中心に都市化が進み, 1997 年には現在の都市 域とほぼ同じ形状となっている.

3) 画像より,千葉市と市原市の都市化を比較す ると千葉市は湾岸域から内陸にかけて都市化 が進んでおり,対する市原市は臨海地域を中 心とした都市化が進んできた.千葉市につい ては,典型的な政令指定都市の開発パターン で工業と商業が共に開発が進行してきたこと に対し,市原市は従来より工業に大きく依存 している都市であることから臨海地区に開発 は集中してきた.

4) Table 2 より,千葉市,市原市共に 1987 年か

ら1997 年にかけて約30km

2

都市域が増加して いると判読されているが,これは 1988 年の千 葉都市モノレールの開業,また 1989 年の幕張 メッセの開業の影響で市中心部ならびに海浜 臨海新都心埋立地が大きく開発されたことに よるものである.また,市原市においては,

1995 年に館山自動車道が開通し,臨海地区へ の物流の利便性の向上により同域の開発に拍 車がかかったが,内陸部においても京成線が ちはら台駅まで開通したことにより,これに 伴い周辺宅地と商業地区がポイント的に開発 された様子が判読できる.

5) 衛星データの広域観測性を利用することによ り,今後『環境を考慮した都市化』の立案の ための有効な資料になりうると考えられる.

6)

今後の課題として,さらに正確な都市域抽出 のために,追加的な混合オプションとして針 葉樹/広葉樹などの樹種の違い,また,コンク リート・アスファルト・宅地屋根・土壌・植 物等を再混合したケースなど,実際のパター ンに近づくように混合パターンを変化させた 実験を行う必要性がある.

参考文献:

1) 尾島俊雄:リモートセンシングシリーズ  都市,朝倉書店,1980.11.

2) Remote Sensing Change Detection, Ross S. Lunetta, 1998

3) ZHA, Y., GAO, J., NI, S., 2003,. Use of normalized difference built up index in automatically mapping urban areas from TM imagery, International Journal of Remote Sensing, 24(3).583-594

Fig. 7

 

BA抽出画像:千葉市

Fig. 8

 

BA

抽出画像:市原市

Table 2

 

Built-up Area

の検証

千葉市 市原市

市全体面積(km

2

) 272.08 368.20

1987 都市域(km

2

) 166.71 106.91

1997 都市域(km

2

) 199.42 144.81

2004都市域(km

2

) 214.21 170.03

Fig. 2   研究対象地域:市原市
Fig. 6 に示す.Fig. 3 はアスファルトと葉,Fig. 4
Fig. 7   BA抽出画像:千葉市

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