一 デ ー タ解 析 一
西 山 茂
は じ め に
前 稿[1]で は本 学 大 学 院 ア ン ト レプ レナ ー シ ップ専 攻 で 平 成16年 度 及 び17 年 度 に実 施 され た授 業 評 価 ア ンケ ー ト結 果 を利 用 して,授 業 の属 性 が 少 数 の 共 通 因 子 に よ って 表 現 され る こ とを 確 認 した 。 と こ ろ が,そ れ らの 共 通 因子 に 対 す るe‑Learningの 因 子 負 荷 は 低 く,ま た 共 通 性(回 帰 分 析 に お け る決 定 係 数 に 相 当 す る値)も 高 くは な い こ とか ら,e‑Learningは 授 業 の総 合 的 魅 力 を 測 定 す る指 標 と して位 置 づ け られ る もの とは解 釈 で きな い 点 も確 認 され た 。 こ の こ と は,WEB教 材 の オ ー サ リ ン グ ッ ー ル が 多 数 販 売 さ れ,マ ル チ メ デ ィ ア化 され た授 業 内 容 を一 層 容 易 に に サ ー バ ー か ら配 信 で きる 状 況 が 整 っ て き た とい う事 実 を顧 み る と,や や 逆 説 的 で あ る よ うに も感 じ られ る。 本 稿 の 目的 は,前 稿 で は分 析 対 象 と は しな か っ た 「 授 業 の 満 足 度 」 の形 成 メ カニ ズ ム に つ い て, これ まで 実 施 され た授 業 評 価 ア ンケ ー トデ ー タか ら導 き出 し う る結 論 を挙 げ, e‑Learningが 教 育 方 法 と し て有 効 で あ る た め の 条 件 に つ い て 考 察 す る こ と で
あ る 。
1開 講 授 業 全体 の デ ー タ分 析
前 稿[1]で は 開講 授 業 全 体 を対 象 と して公 表 さ れ て い る 授 業 属 性 ご と の相 関行 列 を用 い て,各 属 性 が い か な る 共 通 因子 か ら影 響 を 受 け て い る か を吟 味 し た 。 そ こ で は共 通 因子 問 の相 関 を排 除 す る こ と と し因 子 回転 はVarimax法 に
〔1〕
2 商 学 討 究 第57巻 第2・3号
限 定 した が,こ の 点 に つ い て 更 に詳 細 な計 算 を行 い,次 節 の 共 分 散 構 造 分析 へ の足 が か り と し よ う。 こ こで3因 子 モ デ ル を採 る と特 に平 成17年 度 デ ー タ につ い て独 自 因子 の 分 散 が 負 値 と な る ケ ー ス が あ る 。 実 際,相 関行 列 の 固有 値 を プ ロ ッ ト してScree検 定 を行 っ て も,16年 度 ・17年 度 と も全 授 業 につ い て は2因 子 モ デ ル が 適 切 で あ る と判 断 され る 。 本 稿 で は共 通 因 子 数 は2個 と して分 析 結 果 を 整 理 して お こ う。
1.1平 成16年 度 デ ー タ
1.1.1探 索 的 因 子 分 析
平 成16年 度 に 開 講 さ れ た 全 授 業 か ら得 ら れ る 相 関 行 列(前 稿[1]の 表4) を 対 象 に 無 回 転 の 因 子 分 析 を 行 い,次 い でVarimax法,Quartimax法,
Promax法,Oblimin法 に よ る 因 子 回 転 を 行 っ た 場 合 の 因 子 負 荷 を 比 較 し て い る の が 表1及 び 表2で あ る 。 変 数 記 号 は 前 稿[1]表4と 同 順 で あ る 。
二 つ の 表 を 見 る と,直 交 回 転(Varimax,Quartimax),斜 交 回 転(Promax, Oblimin)を 問 わ ず,ほ ぼ 同 一 の 因 子 パ タ ー ン が 得 ら れ て い る こ と が わ か る 。 実 際,Oblimin法 に よ っ て 得 ら れ た 共 通 因 子 の 相 関 係 数 は0.118と な っ て お り,
表1:平 成16年 度 全 授 業:第1因 子 負 荷 FACTOR1
NONE VarimaxQuartimaxPromax Oblimin PREP
SLBS TALK BORD TEXT LECT DSCS ELRN HMWK
0.7257 0.4656
‑0 .0041
‑0 .0289 0.7323 0.8246 0.6641 0.3547 0.6139
0.7351 0.4710 0.0906 0.0376 0.7415 0.8271 0.6681 0.3568 0.6212
0.7363 0.4716 0.1115 0.0524 0.7426 0.8266 0.6682 0.3568 0.6221
0.7327 0。4701
‑0 .0014
‑0 .0272
0.7394 0.8323 0.6704 0.3581 0.6198
0.7338 0.4706 0.0195
‑O .0125
0.7404
0.8317
0.6703
0.3581
0.6205
表2:平 成16年 度 全 授 業:第2因 子 負 荷 FACTOR2
NONE VarimaxQuartimaxPromax Oblimin PREP
SLBS TALK BORD TEXT LECT DSCS ELRN HMWK
0.1333 0.0783 0.9975 0.6996 0.1312 0.0655 0.0739 0.0387 0.1068
0.0639 0.0338 0.9934 0.6992 0.0611
‑0 .0130 0.0106 0.0049 0.0481
0.0483 0.0239 0.9913 0.6983 0.0454
‑0 .0304
‑0 .0035
‑O .0026 0.0350
0.0329 0.0139 0.9977 0.7034 0.0299
‑0 .0485
‑0 .0179
‑0 .0103 0.0219
O.0297 0.0118 0.9950 0.7016 0.0266
‑0 .0519
‑O .0208
‑0 .0118 0.0192
こ の こ とか ら平 成16年 度 デ ー タ に つ い て は,ほ ぼ独 立2因 子 モ デ ルが 当 て は ま る と言 っ て よい 。
表1,2か ら明 らか な よ う に,第2因 子 は主 にTALKとBORDに よ っ て測 定 され る 「 わ か りや す さ」,第1因 子 は そ の 他 の 指 標 か ら測 定 さ れ る 「 準 備 か ら課 題 ま で を含 め た 総 合 的魅 力 」 を 表 現 して い る と解 釈 で き よ う。 但 し,こ こ で い う 「わ か りや す さ」 は 「 聞 きや す さ」 や 「 見 や す さ」 と して 測 定 され る。
モ デ ル2及 び3で い う 「 わ か りや す さ」 と は概 念 が 異 な る の で 留 意 さ れ た い 。 こ の結 果 は前 稿[1]で も整 理 した と こ ろ で あ るが,因 子 回 転 の 方 法 に よ らず 安 定 的 に認 め られ る点 を確 認 して お きた い 。
1.1.2共 分 散 構 造 分 析
前 節 の 探 索 的 因 子 分 析 の 結 果 を踏 まえ て,図1の よ う な潜 在 変 数 構造 方 程 式 モ デ ル を考 え る 。 図 中 に名 称 を付 け られ た 長 方 形 が11個 並 ん で い るが,こ れ ら
は授 業 評 価 ア ンケ ー トか ら得 ら れ た観 測 変 数 を 表 す 。
4 商 学 討 究 第57巻 第2・3号
図1モ デ ル1
各 変 数 の 名 称 は,前 稿[1,pp.27‑30]で 用 い た 名 称 か ら容 易 に類 推 され る と思 う が,念 の た め に定 義 を列 挙 し て お く と
PREP:十 分 な 準 備?SLBS:シ ラ バ ス に 沿 っ て い た か?
TALK:話 し方 は 明 瞭?
BORD:黒 板,OHP,パ ワ ー ポ イ ン トの 見 や す さ?
TEXT:教 材 の 効 果 的 使 用?LECT:授 業 内 容 は 理 解 し や す い?
DSCS:デ ィ ス カ ッ シ ョ ン の 適 切 な 運 営?
ELRN:e‑Learningの 活 用?
HMWK:課 題 は 適 切?RCMD:こ の 授 業 を 薦 め た い?
STFC:こ の 授 業 に 満 足?
ア ンケ ー ト質 問 の 具 体 的 な 文 言 は文 献[5],[6]を 参 照 さ れ た い 。
長 方 形 で 示 され た 観 測 変 数 に対 して,図 中 の楕 円 形 は潜 在 変 数 を表 す 。 潜 在
変 数 は非 観 測 変 数 で あ る が,ア ンケ ー トに 回 答 す る履 修 者 の 心 理 的 要 因 と して は 作 用 して い る。 潜 在 変 数 は観 測 可 能 な指 標 に よ っ て測 定 さ れ る 。 図1で は, 授 業 の 「 わ か りや す さ」 が 指 標TALKとBORDに よ っ て測 定 さ れ て い る 関係 が 示 さ れ て い る 。 更 に,変 数TALKに はd8が,変 数BORDに はd9が 影 響 し て い るが,こ れ らは確 率 的 な撹 乱 項 で あ る 。 観 測 変 数 は 潜 在 変 数 の 大 小 を測 定 す る とは い え 測 定 誤 差 が 毎 回発 生 す る と想 定 す る わ け で あ る。 変 数d8か ら変 数TALKへ 向 か う矢 印 の 脇 に値1が 付 記 され て い る が,こ れ は
TALK=λ1ξ2+1d3 (1)
の よ う に撹 乱 項 の 尺 度 単 位 を被 説 明 変 数 と合 致 させ る た め にそ の係 数 を1に 固 定 す る こ と を示 して い る 。 こ の点 は 通 常 の 回 帰 分 析 で も採 用 さ れ て い る の で馴 染 み や す い もの と思 わ れ る 。 変 数 名 ξ2は潜 在 変 数 「わ か りや す さ」 を示 す 。1) ま た,上 式 中 に は定 数 項 が 含 ま れ て い な い。 これ は変 数 を中 心 化(二 変 数 の値 は偏 差 で 測 られ る とす る)し て い るた め で あ る 。 本 稿 の 分析 に は平 均 構 造 を含 め な い の で,全 て の構 造 方 程 式 に切 片 は現 れ な い 。 更 に,潜 在 変 数 「 わ か りや す さ」,「総 合 的 魅 力 」 の左 横 に数 値 の1が 添 え られ て い る が,こ れ は 潜 在 変 数 の 測 定 単 位 を指 定 す る 方 法 と して分 散 を1に 固 定 した もの で あ る。 分 散 を 固定 す る 代 わ りに,潜 在 変 数 か ら測 定 指 標 へ 向 か う矢 印 で表 わ され る係 数 の い ず れ か を 数 値1に 固 定 して も よい 。 係 数 を固 定 す る と潜 在 変 数 の 測 定 単 位 は そ のパ ス を示 す 矢 印 の 頭 に対 応 す る観 測 変 数 の単 位 と合 致 させ られ る こ とに な る。
図1の パ ス 図 を方 程 式 体 系 と して 記 述 して お くと以 下 の よ う に な る 。
x=ノ1鳶+δ yニAyη+ε
η=刀 ξ+ζ
9 臼 ら δ 4
1)一 般 に潜在 変 数構 造方 程式 モ デル で は,外 生 潜在 変 数 は ξ,内 生潜 在変 数 は ηで
標 記 され てい る。 観 測変 数 につ い ては内生変 数 を ッ,外 生変 数 を κで表 す こ とが多 い。
6商 学 討 究 第57巻 第2・3号
式(2),(3)が 測 定 方 程 式,(4)が 潜 在 変 数 の 構 造 方 程 式 に 対 応 す る 。 但 し,
PREP SLBS TALK BORD x=TEXT(5)
LECTy‑〔RCMD
STFC〕
嚇
HMWK
ξ一〔:翻 鞠 η一(η 澱(6)
119
0Z3
Ax‑∵lA・ 一〔 贈 〕(7)
λ60Tニ(γ1γ2) λ70
λsO λ90
外 生 変 数 お よ び 確 率 的 撹 乱 項 の 分 散 共 分 散 に つ い て は
E[ξ ξノ]=のE[δ δノ]=θ δE[ε ε■]=θ εE[ζ ζノ]=璽 「(8)
こ の よ う に 構 造 方 程 式 を 定 義 す る 母 数 は,パ ス 図 の 矢 印 と1対1に 対 応 す る
係 数 ノ1x,、4ッ,Tお よ び外 生 変 数,撹 乱 項 の分 散 か ら構 成 され て い る。
上 の 構 造 母 数 か ら観 測 変 数 の積 率 行 列 が 以 下 の よ うに 導 出 され る。
E[xxノ]=ZlxE[ξ ξ']Ax+E[δ δ']
=ノ1xφA'x+θ δ (9)
E[xy']=E[(A.ξ+δ)(Z㌧ η+ε)ノ]
=毒 φπ 蕩 (1①
Elyy']=E[(Tη+ζ)(Tn+ζ)']
=ノ1 ツ(1「φrノ+⑳ 孟y'+θ 、
し た が っ て 観 測 変 数 の 分 散 共 分 散 行 列 Σ(θ)は
Σ(θ)一 〔 搬 θ 綴 為
)蝿 〕
⑳
(12)
の よ う に母 数 θ に よ って 構 造 化 され る こ とに な る。但 し,確 率 的 撹 乱 項 δ,ε, ζは相 互 に,か つ 観 測 変 数,潜 在 変 数 と独 立 と前 提 す る 。
共 分 散 構 造 分 析 とは,式 働 と標 本 共 分 散 行 列Sと の 間 に 何 らか の 距 離 を定 義 し,そ の 距 離 を最 小 化 す る こ と に よ っ て構 造 母 数 を推 定 す る とい うデ ー タ解 析 方 法 の こ とで あ る。
本 節 と次 節 で は観 測 変 数 ッ,xの 個 数 を そ れ ぞ れp,qと して F(θ)ニlogiΣ(θ)1+tr[SΣ 一1(θ)]‑10glSl‑(p+q)(13)
を構 造 母 数 θに つ い て 最 小 化 す る最 尤 推 定 を 行 う。 但 し,実 際 に利 用 した の は 相 関行 列 で あ る。 元 デ ー タ が標 準 化 さ れ て い る と解 釈 す れ ば共 分 散 行 列 と見 な せ るが,こ の よ うに取 り扱 う こ と に は多 少 の 問 題 点 も指 摘 さ れ て い る。
表3は 平 成16年 度 開 講 全 授 業 を対 象 と した 推 定 結 果 で あ る。 表 頭 「ラベ ル」
で 示 さ れ る列 でlam1,lam2と 付 記 さ れ て い る の は,推 定 精 度 上,等 値 制 約
8 商 学 討 究 第57巻 第2・3号
で 束 縛 した母 数 で あ る 。こ の制 約 を置 か な くと も ほ ぼ これ に近 い値 が 得 られ る 。 モ デ ル適 合 度 と し て 頻 用 さ れ る カ イ ニ 乗 値 は 自由 度43の 下 で4.465で あ る。 ま たGFI,AGFIは そ れ ぞ れ0.955,0.931と な っ て お り,当 て は ま りは 良 好 で あ る 。
推 定 結 果 の 中 で 注 目 され るの は潜 在 変 数 の構 造 方 程 式 部 分 で あ ろ う。 表3に よれ ば,ξ1か ら η1への 影 響 度 が0.817で あ る の に 対 して,ξ2か ら η1への 影 響 度 は 一〇.003と微 弱 か つ 負 値 を と って い る 。も ち ろ ん,「わ か りや す さ」か ら 「 満 足 度 」 へ の効 果 が マ イ ナ ス で あ る の は 非 合 理 で あ るが,こ の 係 数 は漸 近Z値 が 一〇 .021で あ り有 意 で は な い 。 実 際 に は プ ラ ス に作 用 す るべ き要 因 で あ るが, 平 成16年 度 の デ ー タ か らは 確 認 で きな か っ た と判 断 して お くべ き で あ ろ う。 残
りの 指 標 か ら測 定 さ れ る 「 総 合 的魅 力 」 か ら 「 満 足 度 」 へ の プ ラス 効 果 は高 度 に 有 意 で あ る。 そ の 中 でe‑Learningは 総 合 的 魅 力 の 一 部 と し て測 定 さ れ て い る が,そ の効 果 は他 の項 目 と比 べ て低 く,し か も有 意 とは い えず,授 業 の 総 合
係数
表3:モ デル1の 推定 結果:平 成16年 度
推定 値 標 準 誤差 検 定統 計量 確 率 ラ ベ ル
η1<一 ξ1 η1<一 ξ2 PREP<一 ξ1 DSCS〈 一 ξ1 ELRN<一 ξ1 HMWK<一 ξ1 SLBS<一 ξ1 TEXT<一 ξ, LECT<一 ξ1 BORD<一 ξ2
TALK〈 一 ξ2
RCMD<一 η1 STFC<一 η1
.817
‑ .003 .714 .679 .341 .642 .434 .714 .856 .836 .836 1.000 1.053
.202 .141 .171 .215 .239 .218 .234 .171 .194 .172 .172
.192
4.055
‑ .021 4.173
3.160 1.424 2.937 1.852 4.173 4.410 4.857 4.857
5.499
* り 0 * * 8 * * 0 ゾ * 2 0 0 ﹁ 0 り 0 4 * ピ D O ρ0 * 1 0 0 * * * * * * * * * *
***
1am2
lam2
laml
lam1
的魅 力 の 高 低 とは 別 の独 自の 視 点 か らデ ー タ が生 成 さ れ て い る 可 能 性 が 強 い 。 ち な み に 「 総 合 的 魅 力(ξ1)」 と 「わか りや す さ(ξ2)」 との 間 の相 関係 数 は0.111 で あ り,統 計 的 に は ほ ぼ独 立 に近 い 。 これ は前 節 の 探 索 的 因 子 分 析 の結 果 と も 符 号 して い る。 当 日の 授 業 が わ か りや す い とい う こ と と,授 業 全 体 の魅 力 と は 別 の事 柄 だ と認 識 した 上 で,授 業 評 価 デ ー タが 形 成 され て い た と思 わ れ る 。
1.2平 成17年 度 デ ー タ 1.2.1探 索 的 因 子 分 析
1.1節 と同様 の 分 析 を,今 度 は平 成17年 度 前 期 に 開講 さ れ た 全 科 目を対 象 に行 っ て み る。
結 果 を整 理 す る と表4,5の よ う に な る。 但 し,比 較 が 容 易 な よ う に類 似 す る 因子 パ ター ンを もつ 共 通 因 子 同士 を対 応 付 け て い る。
一 瞥 して 明 らか な よ う に 因 子 回転 の 方 法 に よ り得 られ る 因子 パ ター ンは か な り異 な る。 実 際,Oblimin法 に よ っ て 得 られ る共 通 因子 問 の 相 関 係 数 は0.668 と な っ て い る の で 回 転 方 法 に よ っ て結 果 が 異 な る の は 当 然 で あ る 。 と は い え, 斜 交 回転 に属 す るPromax,Oblimin法 の 結 果 をみ る と,観 測 変 量 のPREP,
表4:平 成17年 度 全 授 業:第1因 子 負 荷 FACTOR1
NONE VarimaxQuartimaxPromax Oblimin PREP
SLBS TALK BORD TEXT LECT DSCS ELRN HMWK
0.7404 0.5870 0.6775 0.6534 0.8037 0.7870 0.6318 0.6152 0.8015
0.6742 0.6649 0.4817 0.6550 0.6334 0.3944 0.1638 0.3698 0.4101
0.7487 0.6005 0.6780 0.6639 0.8075 0.7787 0.6171 0.6120 0.7936
0.6931 0.7910 0.3836 0.7229 0.5700 0.1399
‑0 .1709 0.2232 0.1579
0.6620 0.7475 0.3747 0.6867 0.5504 0.1533
‑0 .1381
0.2248
0.1704
ヱ0 商 学 討 究 第57巻 第2・3号
表5:平 成17年 度 全 授 業:第2因 子 負 荷 FACTOR2
NONE VarimaxQuartimaxPromax Oblimin PREP
SLBS TALK BORD TEXT LECT DSCS ELRN HMWK
0.2294 0.3607 0.0242 0.2848 0.1139
‑0 .1984
‑0 .3691
‑O .0707
‑0 .1906
0.3824 0.1807 0.4771 0.2810 0.5077 0.7093 0.7132 0.4966 0.7146
0.2006 0.3378
‑0 .0019 0.2593 0.0828
‑0 .2286
‑0 .3932
‑0 .0944
‑0 .2214
0.1085
‑0 .1525 0.3468
‑0 .0141 0.2979 0.7048 0.8455 0.4384 0.7025
0.1562
‑O .0927 0.3676 0.0381 0.3330 0.7011 0.8168 0.4459 0.7001
SLBS,BORDは 同 じ共 通 因子 を 測 定 して い る も の と解 釈 で きる。ま たLECT, DSCS,HMWKは これ とは 別 の共 通 因子 を測 定 し て い る も の と判 断 で き る。
TALK,TEXTは ど ち らか と い え ば前 者 に近 く,ELRNは 後 者 に近 い 。 要 約 す れ ば,平 成17年 度 全 授 業 デ ー タに 対 して も,や は り2因 子 モ デ ル が 当 て は ま る よ うで あ る。 た だ潜 在 変 数 と して 構 成 す る べ き概 念 は平 成16年 度 と や や 異 な っ て い る と想 定 した ほ うが よ い 。
1、2.2共 分 散 構 造 分 析
最 初 に平 成16年 度 に 適 用 した の と同 じモ デ ル1を 推 定 した 。 そ の結 果 が 表6 で あ る。
表6を み る と,指 標TALK,BORDが 測 定 す る 「わ か りや す さ(ξ2)」 が 「 満
足 度(η1)」 に与 え る影 響 が 僅 か な負 値 とな っ て お り,平 成16年 度 と似 た 結 果
と な っ て い る 。 しか し,残 りの 指 標 に 対 応 付 け られ る 「 総 合 的 魅 力(ξ1)」 に
よ る効 果 も漸 近Z値 が0.654に 低 下 して お り有 意 性 を失 っ て い る 。 実 際,探 索
的 因 子 分 析 の 結 果 を踏 ま え る と,モ デ ル1を 平 成17年 度 デ ー タ に適 用 す る こ と
が 好 ま しい とは 考 え られ な い 。 最 小 カ イ ニ 乗 値 は 自 由 度41の 下 で11.19だ が,
係 数
表6:モ デ ル1の 推 定 結 果:平 成17年 度
推 定 値 標 準 誤 差 検 定 統 計 量 確率
η1<一 ξ1 η1<一 ξ2 TEXT<一 ξ1 SLBS<一 ξ1 PREP<一 ξ1 LECT<一 ξ1 DSCS<一 ξ1
ELRN〈 一 ξ1
HMWK<一 ξ1 TALK<一 ξ2 BORD<一 ξ2 RCMD<一 η1 STFC<一 η1
1.117
‑ .317 .771 .528 .710 .808 .662 .612 .821 .725 .648 1.000 1.017
1.708 1.729 .215 .240 .223 .211 .228 .233 .209 .246 .247
.166
.654
‑ .183 3.577 2.202 3.189 3.834 2.908 2.629 3.927 2.942 2.623
6.115
.513 .855
***
.028 .001
***
.004 .009
***
.003 .009
***
GFI,AGFIが そ れ ぞ れ0.875,0.798と そ れ ほ ど 良 好 で は な く,AIC,BICは そ れ ぞ れ61.19,211.19と な っ て い る 。
そ こ で 複 数 の モ デ ル を探 索 した 結 果,図2の パ ス 図 で 示 さ れ る モ デ ル2を 採 用 した。 潜 在 変 数 と各 指 標 との 対 応 関係 は,前 節 の探 索 的 因子 分 析 の 結 果 と符 合 して い る。
構 造 方 程 式 モ デ ル と して の 定 式 化 は省 略 して も差 し支 え は な い で あ ろ う。 最 尤 推 定 結 果 を表7に 示 す 。
モ デ ル2の 適 合 度 は,カ イ ニ 乗 値 が 自 由 度41に 対 して7.223,GFI,AGFI が そ れ ぞ れ0.927,0.882と モ デ ル1に 比 べ て 向 上 し て い る。AIC,BICも そ れ ぞ れ57.223,207.223と 低 下 して お り,17年 度 デ ー タ を 説 明 す るモ デ ル と し て は,モ デ ル2の 方 が 優 れ て い る。
モ デ ル2の 推 定 結 果 か ら直 ち に分 か る 点 は潜 在 変 数 ξ1から満 足 度(η1)へ
の 影 響 が 有 意 で は な い こ とで あ る。 測 定 方 程 式 と して は潜 在 変 数 と各 指 標 との
間 に信 頼 す るべ き関 係 が あ る と認 め られ る が,満 足 度 の 形 成 に対 して は わず か
ヱ2 商 学 討 究 第57巻 第2・3号
準備 と素材(
Fl)
満 足度(
F3)
図2モ デ ル2
な負 値 と な っ て い る。 もち ろ ん16年 度 デ ー タ と同 様 の 理 由 か ら,マ イ ナ ス 効 果 と して 受 け取 る 必 要 は な い が,少 な くと も プ ラス 効 果 は デ ー タか らは確 認 で き な い 。 満 足 度 の 形 成 に 直 接 的 に有 意 な 効 果 を与 え て い る の は潜 在 変 数 ξ2のほ うで あ り,そ れ は指 標LECT,DSCS,ELRN,HMWKで 測 定 さ れ る 。 こ れ らの 潜 在 変 数 ξ2は例 え ばPREPやTALKと は 関 連 性 は な い が,ξ1と ξ2の問 に は 相 関係 数 で0.868と か な りの 正 の相 関 が あ る。 そ の た め
ξ2‑一 今 ξ1→PREP,TALK,̲
の よ う に 回答 が 形 成 され る と解 釈 され る。 要 約 す る と,授 業 の 満 足 に 直 接 に影
係 数
表7:モ デル2の 推定 結果:平 成17年 度
推 定値 標 準誤 差 検 定統 計量 確率
η1<一 ξ1 η1<一 ξ2 TALK<一 ξ1 PREP<一 ξ1 SLBS<一 ξ1 BORD<一 ξ1 TEXT<一 ξ1 DSCS<一 ξ2 ELRN<一 ξ2 HMWK<一 ξ2 LECT<一 ξ2 RCMD<一 η1 STFC<一 η1
一 .186
1.017 .691 .758 .607 .693 .825 .690 .600 .831 .814 1.000 1.007
.523 .543 .230 .222 .238 .229 .214 .225 .234 .209 .211
.161
一.355
1.874 3.010 3.416 2.546 3.020 3.864 3.063 2.561 3.985 3.864
6.251
.723 .061 .003
***
.011 .003
***
.002 .010
***
***
***
響 を与 え て い る の は 「 授 業 内 容 が 理 解 しや す い(LECT)],「 デ ィス カ ッ シ ョ ンの 適 切 な 運 営(DSCS)」,「e‑Learningの 効 果 的 活 用(ELRN)」,「 適 切 な課 題(HMWK)」 で あ っ て,こ れ らの 指 標 が 高 い とい う こ とは ξ2が高 い こ と で あ る か ら,学 生 は ξ1(=準 備 や 素 材)も 良 か っ た と判 断 す る 傾 向 が あ る。 し た が っ てPREPやTALKに も高 い ス コ ア をつ け る と い う メ カ ニ ズ ム が 想 定 さ れ る こ とに な る。 観 測 され る結 果 と し て,す べ て の観 測 変 数 の 間 に 正 の 相 関 が 認 め られ る が,な ぜ そ の よ う な相 関 が 生 み 出 され る の か とい う点 に 関 し て,共 分 散構 造 分 析 は一 つ の解 釈 を与 え るわ け で あ る。
この よ うに,異 な っ た 年 度 に お い て 異 な っ た 履 修 者 を対 象 に授 業 評 価 を行 う と,全 体 と して異 な った 概 念 と方 式 か ら回 答 デ ー タが 生 成 され る と考 え られ る。
と は い え,平 成16年 度 と17年 度 の結 果 に 共 通 す る 点 もあ る。 そ れ はBORD
とTALKに よ っ て 測 定 され る 潜 在 変 数 が 「 満 足 度」 に直 接 的 な 影 響 を 与 え る
こ と は な い とい う点 で あ る。 そ れ で は 「 満 足 度 」 に直 接 的 影 響 を 与 え る 因子 を
最 も強 く反 映 す る 指 標 は何 か とい え ば,16年 度 に お い て はLECTとPREPで
ヱ4 商 学 討 究 第57巻 第2・'3号
あ り,17年 度 に はHMWKとLECTで あ る。16年 度 にお い て も比 較 的 高 い 係 数 値 を示 して い る こ と と併 せ 考 え る と,授 業 の満 足 度 に対 して 直 接 的 影 響 を与 え る 因 子 は,特 にLECT,PREP,HMWKと い う三 つ の 指 標 で 測 定 さ れ て い る と言 え る の で は なか ろ うか 。 実 際 これ らの指 標 は 「わ か りや す さ」,「十 分 な準 備 」,「課 題 の 適 切 さ」 に 関 す る 質 問 に対 す る 回 答 で あ り,授 業 評 価 で の核 心 部 分 を 占 め る と も考 え られ る。 「 満 足 度 」 に対 し て 直 接 的 な 影 響 が あ る 因 子 を測 定 して い る指 標 で あ る と解 釈 す る こ と に さ ほ どの 不 自然 は な い で あ ろ う。
2個 別 授 業 の デ ー タ分 析
前 節 まで の分 析 はそ れ ぞ れ の 時 期 に 開 講 さ れ た授 業 全 体 を対 象 に して,質 問 ご とに算 出 さ れ た 平 均 値 を ス コ ア と して 行 っ た もの で あ る 。最 後 に,平 成17年 度 に筆 者 が 担 当 した 基 本 科 目 『 調 査 研 究 とデ ー タ解 析 の 技 法 』 及 び 『 経 営 者 の た め の 経 済 分 析 及 び 統 計 分 析 』 で 履 修 者 が 回 答 した 結 果 を個 票 デ ー タ と して と りあ げ る こ と に し よ う。 ス コ ア は5段 階 評 価 の い ず れ か を 選 択 し て 回 答 す る リ ッカ ー ト尺 度 を採 っ て い る た め 数 値 と して は離 散 変 量 とな る 。 したが っ て 多 変 量 正 規 性 を前 提 し た分 析 手 法 を とる と結 果 に偏 りが 生 じる こ と は予 想 され る とこ ろ だ が,標 本 数 の 制 約 も あ る た め 適 切 な 手 法 に拠 る こ と も難 しい 面 が あ る 。 本 節 で 示 さ れ る 結 果 は参 考 情 報 と して の 性 格 を も って い る 点 を留 意 さ れ た い 。
2.1主 成 分 分 析 と探 索 的 因 子 分 析
ま ず 前 期 科 目 『 調 査 研 究 とデ ー タ解 析 の 技 法 』 か ら得 られ た デ ー タ を分 析 す る 。 この 授 業 科 目 は入 学 者 全 員 に課 せ られ る必 修 科 目 で あ り,17年 度 前 期 に は 33名 が 履 修 した 。 そ の 内,欠 測 値 の あ る1名 を 除 き,残 り32名 分 の 回答 をデ ー
タ と して 使 用 した 。
各 質問項 目ごとの平均値 は
PREP 4.62 DSCS
3.84
SLBS 4.44 ELRN
4.62
で あ る 。 ま た標 準 偏 差 は
TALKBORD 4.784.69 HMWKRCMD
4.384.22
TEXT 4.72 STFC
4.44
LECT 4.50
PREP O.61 DSCS
O.88
SLBS O.56 ELRN
O.61
TALKBORD O.490.64 HMWKRCMD
O.790.79
TEXT O.52 STFC
O.62
とな っ て い る。 更 に,各 指標 間 の相 関 行 列 を示 して お く。
LECT O.72
PREP PREP1.00 SLBSO.68 TALKO.58 BORDO.35 TEXTO.16
SLBS O.68 1.00 0.59 0.39 0.21
TALK O.58 0.59 1.00 0.49 0.00
BORD O.35 0.39 0.49 1.00 0.31
TEXT O.16 0.21 0.00 0.31 1.00
LECT O.37 0.32 0.14 0.07 0.39
DSCS O.37 0.21 0.29 0.02 0.25
ELRNHMWKRCMDSTFC O.220.370.510.53 0.210.270.360.27 0.360.220.290.33 0.430.430.330.35 0.060.570.460.39
こ こ で 上 の 相 関行 列 か らPREPか らHMWKま で の 部 分 行 列 を と っ て,そ の 固有 値 を プ ロ ッ トす る と図3の よ う に な る 。
こ の 科 目の 回答 状 況 に潜 在 す る共 通 因 子 数 に つ い て 示 唆 され る値 は,1個 と
も受 け 取 られ る し,多 け れ ば4因 子 モ デ ル も可 能 と思 わ れ る。 絶 対 値 が1を 超
す 固 有 値 数 も4個 存 在 す る 。 とは い え,32人 とい う標 本 サ イ ズ の 制 約 を考 慮 す
れ ば,多 因子 モ デ ル に は推 定 精 度 の 問 題 も生 じる こ とか ら,こ こ で は 前 節 ま で
と同 じ く2因 子 モ デ ル か ら探 索 す る こ と に した 。 実 際,因 子 数 は1個 とい う帰
無 仮 説 を機 械 的 に尤 度 比 検 定 す る と,帰 無 仮 説 は 棄 却 され るの で,図3と 併 せ
ヱ6 商 学 討 究 第57巻 第2・3号
頃.σつO.oD
の .㎝ O .創 ゆ . F
Φ ⊇ 郎 ﹀ ⊆ Φ O 一山
O.7め.O2 4 6 8
Index
図3Screeプ ロ ッ ト17年 度 前 期 科 目
LECTO.370.320.140.07 DSCSO.370.210.290.02 ELRNO.220.210.360.43 HMWKO.370.270.220.43 RCMDO.510.360.290.33 STFCO.530.270.330.35
0.391.000.430.15 0.250.431.000.37 0.060.150.371.00 0.570.510.550.37 0.460.710.510.31 0.390.440.420.36
て,2個 以 上 の 共 通 因 子 が 求 め られ て い る と判 断 さ れ る 。 表8にVarimax法 に よる 因 子 負 荷 行 列 を示 して い る。
表8か ら わ か る こ と は,第1因 子 を測 定 す る 指 標 は, TALKで あ り,第2因 子 はTEXT,DSCS,
0.510.710.44 0.550.510.42 0.370.310.36 1.000.740.71 0.741.000.72 0.710.721.00
PREP,SLBS, HMWKの よ う に色 分 け され て て い る 点 で あ る。LECTは ど ち らか と言 え ば 第2因 子 の 負 荷 が 高 く,BORD は 第1因 子 の 比 重 が 高 い 。
次 に,17年 度 後 期 に 開 講 さ れ た 『 経 営 者 の た め の 経 済 分析 及 び統 計 分 析 』 か
ら得 ら れ た デ ー タ の特 徴 を簡 単 に ま と め て お こ う。 上 と同 様 に して得 られ た授
業 属 性 間 の 相 関 行 列 に つ い て 固 有 値 を求 め て プ ロ ッ トす る と,後 期 科 目 は 図4
の よ う に な る 。
表8:因 子分析 結 果:17年 度 前期 科 目
PREP SLBS TALK BORD TEXT LECT DSCS ELRN HMWK
Factor1 0.7644 0.7924 0.7538 0.4286 0.0464 0.2330 0.2363 0.2859 0.1493
Factor2 0.2567 0.1544 0.1064 0.3659 0.5749 0.4818 0.5181 0.3289 0.9863
寸
自りN
Φ ⊇ 価 ﹀ ⊆ Φ O 田
o