公 共 空 間 の サ ー ベ イ ラ ン ス
( 二
)
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― 英 米 に お ける 街 頭 防 犯 カ メ ラ 論・ 覚 書
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星
周 一 郎
は じ めに 第 一 章 イ ギ リス に お ける 防 犯 カメ ラ 論 第 一節
イ ギリ ス に おけ る 街 頭防 犯 カメ ラ
( CC T V
)の 現 状 第 二節
街 頭防 犯 カ メラ の 法 的規 制 1 概
説 2 一 九九 八 年 デー タ 保 護法 盧 法制 定 の 経緯 盪 一九 九 八 年デ ー タ 保護 法 の概 要
(以 上 前 号) 蘯 デー タ 保 護法 に よ る規 制 の背 景 盻 デー タ 保 護法 の 適 用要 件 盧―
―
「 個人 デ ー タ」 の 意 義 眈 デー タ 保 護法 の 適 用要 件 盪―
―
「 運用 コ ー ド」 の ガ イド ラ イン 公 共 空 間 の サ ー ベ イ ラ ン ス
( 二
)
( 都 法 五 十 一
―
二
) 一 四 七
眇 デー タ 保 護法 に よ るC C TV の 規 制 3 コ モン
・ ロ ー上 の プ ライ バ シー 権 4 刑 事証 拠 法 5 小
括 第 三節
街 頭防 犯 カ メラ の 機 能 1 防 犯カ メ ラ 批判 論 の 前提 と する 防 犯 カメ ラ 像 2 防 犯カ メ ラ の導 入 と 警察 活 動に 対 す る現 実 的 影響 3 警 察活 動 の 意義 の 変 化と 防 犯カ メ ラ 第 四節
小
括
( 以 上 本号
)
第二節街頭防犯カメラの法的規制︵承前︶
2 一 九 九 八 年 デ ー タ 保 護 法 ︵ 承 前 ︶
蘯
デ ー タ 保 護 法 に よ る 規 制 の 背 景
イ ギ リ ス にお い て 街 頭 防犯 カ メ ラ が爆 発 的 に 普及 す る 一 九 八〇 年 代 以 降に お け る
、 街頭 防 犯 カ メラ の 法 的 規制 に つい て 見 て みる と
、 当 初 は、 イ ギ リ ス世 論 の 好 意的 な 対 応 な ども あ り
、 ほと ん ど 規 制 のな さ れ な い、 い わ ば
「ハ ネ ム ー ン 期 間
」 を 謳 歌 し て い た 時 期 が あ っ た(1)
。し か し な が ら
、 一 九 九 八 年
、 イ ギ リ ス 上 院 の 科 学 技 術 特 別 委 員 会
一 四 八
(
House of Lords Select Committee on Science and Technology
) は
、 C CT V に 対 す る大 衆 の 信 頼を 維 持 し よう と する な ら ば
、そ の 展 開 と 利用 に 関 す る規 制 を 強 化す る 必 要 性 があ る こ と を強 調 し た(2)
。 こ れ は
、 一九 九 八 年 人権 法
(
Human Rights Act 1 998
) に より
、 ヨ ー ロッ パ 人 権 条 約が イ ギ リ ス国 内 法 へ 編入 さ れ、 ま た
、 一九 九 五 年 E Cデ ー タ 保 護指 令 に 対 応す る 形 で 一 九九 八 年 デ ータ 保 護 法 が 制定 さ れ た とい う 一 連 の動 き と関 連 す る もの で あ る
。 すな わ ち
、 CC T V に よる 公 共 空 間 のビ デ オ
・ サー ベ イ ラ ン スに つ い て は、 た し か に、 そ れに 有 益 な 目的 が 認 め ら れる に せ よ
、他 方 で
、 市民 の プ ラ イ バシ ー と い う基 本 的 人 権(3) と の 間 に 妥 当な バ ラ ン スを 図 る必 要 も 生 ずる
。 し か し、 そ れ に も かか わ ら ず
、従 来 の イ ギ リス で は
、 調和 せ ず 不 十 分な 内 容 し か有 し な い CC T Vの 設 置
・ 運営 者 の 定 め る自 発 的 な
「運 用 コ ー ド」 に よ る 規 制が な さ れ てい た に す ぎ ない 状 況(4) に あり
、 そ の 改善 が 迫ら れ る こ とに な っ た ので あ る
。 そ し て
、 その 実 現 が
、 CC T V を 対象 と し た 法律 を 制 定 し たり
、 そ の 法的 規 制 を も っぱ ら の 任 務と す る 公 的機 関 を設 け る こ とに よ っ て で はな く
、 後 述す る よ う に、 C C T V の画 像 イ メ ージ を
「 個 人 デー タ
」 に 含め る こ と で、 一 九九 八 年 デ ータ 保 護 法 の 適用 対 象 と し、 さら に 情 報 コミ ッ シ ョ ナ ー(
Information Commissioner
)が
「 運 用 コ ード
」 を策 定 す る こと で
( 一 九九 八 法 五 一 条)
、 デ ー タ 保護 シ ス テ ム 一 般 に 責 任 を 負 う 情 報 コ ミ ッ シ ョ ナ ー が 増 大 す る C CT V の 規 制に あ た る こと で 図 ら れ てい る 点 が
、イ ギ リ ス に おけ る C C TV の 法 的 規制 の 大 き な 特徴 で あ る と言 う こと が で き る
( 5
。)
盻
デ ー タ 保 護 法 の 適 用 要 件
盧
︱ ︱ ﹁ 個 人 デ ー タ ﹂ の 意 義
一 九 九 八 年デ ー タ 保 護 法は、 C C TV に 対 す る法 的 規 制 を 直接 の 目 的 とす る も の で はな く
、 C CT V の 設 置・ 運 公 共 空 間 の サ ー ベ イ ラ ン ス
( 二
)
( 都 法 五 十 一
―
二
) 一 四 九
用が 同 法 の 定め る 要 件 に該 当 す る 場 合に の み
、 適用 の 対 象 と なる に す ぎ ない
。 そ の 本 質的 な 要 素 の一 つ が
、 CC T Vの 画 像 デ ータ が 同 法 一 条 盧項 の 定 める
「 個 人 デー タ(6)
」 に 該 当す る こ と であ る
。 同 法 一 条 盧項 に よ れ ば、
「 当 該 デ ータ
、 ま た は デ ー タ 管 理 者 が 保 有 し
、 も し く は 保 有 す る 可 能 性 の あ る デ ー タ
、 およ び そ の 他の 情 報 に よ って 識 別 で きる 生 存 し てい る 個 人 に 関す る デ ー タ」 が
「 個 人 デー タ
」 に 該当 す る
。 その た め、 た と え ば、 C C T V のモ ニ タ ー に映 写 さ れ た個 人 を 識 別 可能 な 画 像 は「 当 該 デ ー タに よ り 識 別で き る 生 存 して いる 個 人 に 関す る デ ー タ
」に 該 当 す るこ と に な る
。ま た
、 ス タジ ア ム の 防犯 カ メ ラ の 映像 デ ー タ につ い て も
、 それ 自体 で は 個 人の 特 定 が で きな く て も
、座 席 指 定 券 の 発 行 デ ー タ と 照 合 す る こ と で 個 人 を 識 別 可 能 で あ れ ば
、「 デ ー タ管 理 者 が 保有 す る デ ー タか ら 識 別 でき る 生 存 し てい る 個 人 に関 す る デ ータ
」 に 該 当 する こ と に なる と 考 え る こと がで き る(7)
。 し か し な がら
、 現 在 のイ ギ リ ス の 判例 の 見 解 では
、 個 人 デ ータ の 範 囲 が、 よ り 狭 い 方向 に 解 釈 され る 旨 が 指摘 さ れて い る(8)
。 その 判 例 の 一つ が
、
デ ュ ラ ン ト 対 金 融 サ ー ビ ス 機 構 ・ ケ ー ス
(二
〇
〇 三 年
、控 訴 院(9)
) であ る1()0
。 B 銀行 の 顧客 で あ っ たD
( デ ュ ラン ト
) が
、 B銀 行 と の トラ ブ ル で い った ん 敗 訴 した 後
、 再 度 訴訟 を 提 起 する 目 的 で
、金 融 サー ビ ス 機 構(
FSA
) に 対し B 銀 行 に 関す る 苦 情 を 申 し 立 て
、 そ れ に 基 づ い て 同 機 構 に よ る 秘 密 調 査 が な さ れ た
。 そこ で
、 D が同 機 構 が 取 得し た 書 類 の開 示 を 求 めた と こ ろ
、 同機 構 が 守 秘義 務 を 理 由 に調 査 結 果 の通 知 を 拒 否し た ため に
、D が
、一 九 九 八 年デ ー タ 保 護 法七 条 盧項 およ び 八 条 盪項 に 基 づ き
、同 機 構の 保 有 す る、 D の氏 名 に 言 及 し、 また は 何 ら かの 形 で D に
「関 す る
」 記録 の す べ て につ い て
、 D自 ら が 主 体で あ っ て D がア ク セ ス 権を 有 す る
「 個人 デー タ
」 に 該当 す る こ と を根 拠 に そ の閲 覧 を 請 求 した と い う 事案 で あ る
。こ の よ う に
、本 件 は
、 CC T V の デ ータ に関 し て 争 われ た 事 案 で は な い が
、本 件 で 争 わ れ た 争 点 の う ち
、 漓「 個 人 デ ー タ
」 の 意 義
、と り わ け、
「 生 存 す る
一 五
〇
個人 に『 関 す る
』デ ー タ」 とい う 規 定 の「 関す る
」(
relate
)と いう 文 言 の 解 釈問 題
、 お よび
滷「 編 集
」(
redaction
) の問 題
、 す なわ ち
、 デ ータ 管 理 者 は
、当 該 デ ー タに 第 三 者 の 情報 が 含 ま れる 場 合 に は
、デ ー タ へ のア ク セ ス 要請 に 応ず る 義 務 はな い が
、 た だし
、「 す べて の 状 況 に お い て、 他 の 個 人 の 同 意 が な く て も 要 請 に 従 う こ と が 合 理 的 で あ る」 場 合 に は要 請 に 応 ずる 義 務 が あ る旨 を 定 め る同 法 七 条 盻項 秡の 解 釈 問題 に つ い て は、 C C T Vの 規 制 に 関連 性 を有 す る も ので あ っ た
。 それ ぞ れ に つい て
、 簡 単に 検 討 す る こと に し よ う。 ま ず
、 漓の 点 に 関 し て 見る と
、「 関す る
」(
relate
) に つ い て、 文 言 解 釈 では
、 秬「 言及 す る こ と、 関 心 が あ るこ と(
having reference to, concern
)」
( 狭 義 説
)と
、 秡「 何ら か の 関 係 を有 す る こ と、 結 び つ けら れ る こ と
(
hav-
ing some connection with, be connected to
)」
(広 義 説
) とが 考 え ら れ るが1()1
、 オ ー ルド 裁 判 官
(
Auld L.J.
) は、 秬 狭義 説 を 望 まし い と し た。 す な わ ち
、デ ー タ 主 体の 個 人 デ ー タへ の ア ク セス 権 の 目 的 は、 デ ー タ 主体 に 関 し てデ ー タ管 理 者 が 何を 保 持 し て いる か を 調 査し
、 当 該 デー タ の 処 理 がデ ー タ 保 護法 に 違 反 し てい な い か どう か を 調 査す る こと で
、 自 らの プ ラ イ バ シー を 保 護 する こ と を デー タ 主 体 に 可能 に さ せ る、 と い う 趣 旨の も の で あり
、 デ ー タ主 体 の氏 名 に 言 及の あ る あ ら ゆる 文 書 等 に対 す る ア クセ ス を 許 容 した も の で はな い
、 す な わち
、 単 な る個 人 の 識 別 性で 判断 さ れ る もの で は な い とす る の で ある
。 そ し て
、「 個 人 の 私 生 活 ま た は 家 族 の 生 活
、ビ ジ ネ ス か 専 門 職 業 的 資 格 であ る か に 関わ ら ず
、 プ ライ バ シ ー に 影 響 を 与 え る 情 報 で あ る
」場 合 に、
「 関 す る
」 に 該 当 す る
。 そ の 具 体 的 な 考 慮要 素 と し て、 盧「 情 報 が、 重 要 な 意味 に お い て 個人 の 経 歴 に関 す る も ので あ る こ と
、す な わ ち
、何 ら 人 的 な 意味 のな い 事 柄 また は 出 来 事
、当 該 人 物 のプ ラ イ バ シ ーが 損 な わ れた と は 言 い 得な い も の に関 す る 人 生の 出 来 事 を 越え て、 デ ー タ 主 体で あ る と 推定 さ れ る 人物 の デ ー タ が記 録 さ れ る」 こ と
、 さ らに 盪「 焦 点の 一 つ で ある
」 こ と
、 すな わち
、「 当 該 情報 に 関 し て、 当 該 人 物 が関 与 し た か も し れ な い 他 の 者
、ま た は、 当 該 人 物 が 加 わ り も し く は 関 与 し 公 共 空 間 の サ ー ベ イ ラ ン ス
( 二
)
( 都 法 五 十 一
―
二
) 一 五 一
たか も し れ ない 何 ら か の取 引 も し く は出 来 事 で はな く
、 む し ろ、 デ ー タ 主体 と 推 定 さ れる 人 物 を 焦点 と し て とら え るべ き
」 こ とを 指 摘 し た
。以 上 の 見 解に よ れ ば
、D が 開 示 を 請求 し た
、 彼の 氏 名 に 対 する 言 及 の ある 文 書 等 の情 報 は、
「 個 人 デ ータ
」 に は 該当 し な い こと に な る
。 ま た
、 滷の 点 に 関 し て は、 傍 論 に すぎ な い も ので あ る が
、 オー ル ド 裁 判官 は
、 盧文 書に お け る 言及 に デ ー タ請 求 開示 者 と そ の他 第 三 者 の 双方 の
「 個 人デ ー タ
」 が含 ま れ て い る場 合 で も
、デ ー タ 管 理 者は
、 当 該 情報 の 開 示 に 合理 性が あ る な らば
、 他 人 の 同意 を 求 め ると い う 第 一 段 階 の 措 置 を と る こ と は 要 求 さ れ ず
、 盪デ ー タ 管 理 者 は
、「 合 理 性」 と は何 か を 判 断す る 際 に
、デ ー タ 主体 が
、識 別 可 能 な第 三 者 の 身元 情 報 の 開 示を 請 求 す ると い う「 正 当 な 利 益」
(
lagitimate interest
)を 考 慮 す べ きで あ る と し、 第 三 者 の 情報 に あ た るも の は
、 ア クセ ス を 請 求し た デ ー タ主 体 自身 の 個 人 情報 の 一 部 に 必然 的 に 含 まれ る と し たの で あ る1()2
。 眈
デ ー タ 保 護 法 の 適 用 要 件
盪
︱ ︱ ﹁ 運 用 コ ー ド ﹂ の ガ イ ド ラ イ ン
貎衢 デ ュ ラン ト・ ケ ース に 対 す る 情報 コ ミ ッ ショ ナ ー の 対 応 こ の デ ュ ラン ト
・ ケ ース は
、 以 上 に見 た よ う に、 必 ず し も CC T V に よる 画 像 デ ー タ等 を 対 象 とし た 判 決 では な かっ た が
、 CC T V の 規 制に 関 し て も重 大 な イ ンパ ク ト を 与 える も の で あっ た1()3
。 一 九 九 八 年デ ー タ 保 護法 に 基 づ き
、二
〇
〇
〇 年に
「 C C T V運 用 コ ー ド」
(
CCTV Code of Practice 2000
) を策 定 して い た 情 報コ ミ ッ シ ョナ ー は
、 こ の判 例 に 対 応す る 形 で
、 二〇
〇 四 年 に同 コ ー ド の 修正 を 行 う
。す な わ ち
、策 定 当 初 の 運 用 コ ー ド で は
、 デ ー タ 保 護 法 の 対 象 と な る C CT V に 関 す る 定 め は 置 か れ て い な か っ た が
、 情 報 コ ミ ッ ショ ナ ー は
、「 一 九 九 八 年デ ー タ 保 護法 の 適 用 に 関す る ガ イ ダン ス ノ ー ト
」(
Guidance Note on when the Act ap-
一 五 二