複 数 衛 星 ・複 数 セ ンサ デ ー タ利 用 シ ス テ ム の 作 成 と応 用
Combination use of multi-satellite/sensor data 仁科 充 、 姉 川 敬 一 、 佐 野 到 、 向井 苑 生 大 学院 総合 理 工学研 究 科エ レク トロニ クス 系工 学専 攻
Mitsuru Nishina, Keiichi Anekawa, Itaru Sano and Sonoyo Mukai Graduate school of Science and Technology, Kinki University
(Received December 28, 2005)
Abstract
Satellite remote sensing plays an important role for monitoring of the Earth environment and global climatology. It is well known that combination use of multi satellite and /or sensor data is desired for high quality products. For instance, the POLDER and GLI sensors have been mounted on the satellite ADEOS-2 and working during April to October in 2003. Each sensor has each characteristic, e.g. POLDER provides the multi angle polarization data and GLI gives the high resolved images.
This work intends to develop a processing system for combination use of both sensor data. It is shown that detection of cloud coverage of POLDER data is practically improved with GLI data. As a result, effective retrieval of aerosols and cloud particles will be made.
Keywords: Processing system, Remote sensing, ADEOS/POLDER & GLI
1.は じ め に
ADEOS‑2衛 星(2003年4.月 〜10月 稼 動)に 搭 載 さ れ たPOLDERセ ン サ
は 偏 光 観 測,多 方 向 観 測 と い う特 徴 を 持 っ.ま た,GLIセ ン サ は 高 分 解 能, 多 波 長 観 測 と い う特 徴 を 持 っ て い る.
こ の よ う に 各 セ ン サ は 固 有 の 目 的 と 特 徴 を 持 つ.各 セ ン サ の 利 点 を 生 か し た 複 合 利 用 に よ り,得 ら れ る 成 果 は 広 が り,精 度 の 向 上 が 期 待 で き る の は 当 然 で あ る.
た と え ば,POLDERセ ン サ はGLI
セ ンサ に比 べ低 分解 能 で,熱 赤 外 波長 を持 た な い た め,雲 識 別 精 度 が 劣 る.
高 精 度 な 雲 識 別 は 雲 物 理 量 の 導 出 の み な らず,エ ア ロゾル 解析 にお いて も 求 め られ てい る.陸 域 エ ア ロゾル 解析 に有用 なPOLDER偏 光 デー タ と,高 分 解 能 か つ 近 紫 外 か ら熱 赤 外 ま で 広 波 長 域 をカバ ーす るGLIデ ー タ を複 合利 用す る こ とに よ り,雲 ・エ ア ロゾ ル 導 出精 度 の 向上 が期待 され る1).
しか しな が ら,複 合セ ンサデ ー タ全
球解 析 に適用 す るには,効 率 的なデ ー
タ ア ー カ イ ブ,ア ク セ ス 手 法 が 欠 か せ な い.本 研 究 で はPOLDER,GLIデ ー タ の 互 い の 長 所 を 活 か す こ と の で き る 基 盤 シ ス テ ム を 作 成 す る.得 られ る シ ス テ ム は 複 合 セ ン サ 間 の み な ら ず, 複 数 の 衛 星 デ ー タ の 相 互 利 用 に も 応 用 で き る.
2.ADEOS衛 星 デ ー タ
地 球 観 測 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 技 術 衛 星ADEOS(AdvancedEarthObserving
Satellite)は,宇 宙 開 発 事 業 団NASDA (現JAXA)が 開 発 し,運 用 す る 初 の 地 球 観 測 専 用 国 際 人 工 衛 星 で あ る.
ADEOSは,1996年8月17日,H』
ロ ケ ッ ト4号 機 に よ り,種 子 島 宇 宙 セ ン サ ー か ら の 打 ち 上 げ に 成 功 し 「み ど り 」 と命 名 さ れ た が,太 陽 電 池 パ ドル の ブ ラ ン ケ ッ ト破 断 の 事 故 に よ り発 生 電 力 が な く な り,1997年6月30日
に 運 用 を 断 定 し た.
同 衛 星 に は,宇 宙 開 発 事 業 団 が 開 発 を 担 当 す る 高 性 能 開 始 近 赤 外 放 射 計 (AVNIR),海 色 海 温 走 査 放 射 計(OCTS), NASA散 乱 計(NSCAT),オ ゾ ン 全 量 分 布 系(TOMS),フ ラ ン ス 国 立 宇 宙 開 発 セ ン タ ー(CNES)の 地 表 反 射 光 観 測 装 置(POLDER),通 産 省(現 環 境 省)の 改
良 型 大 気 周 縁 赤 外 分 光 計(ILAS),地 上 ・衛 星 間 レ ー ザ ー 長 光 路 吸 収 測 定 用
リ ト ロ リ フ レ ク タ(RIS)の6種 類 の 公 募 セ ン サ ー を 搭 載 し て い る.
ADEOSの 主 な 目 的 は,多 く の セ ン サ ー を 用 い て 地 球 物 理 学 の パ ラ メ ー タ を 統 合 的 に 観 測 す る こ と に よ り,地
球 シ ス テ ム の 諸 現 象 の 解 明 に 寄 与 す る こ と で あ る 。ADEOSが 観 測 す る 主 な 物 理 量 は 以 下 の と お り で あ る.
1)大 気 、 海 洋 間 の エ ネ ル ギ ー の 流 れ 2)気 温 と 水 蒸 気 の 三 次 元 分 布
3)海 洋 上 の エ ア ロ ゾ ル 分 布 4)オ ゾ ン の 三 次 元 分 布 5)海 洋 の ク ロ ロ フ ィ ル 分 布 6)海 面 水 温
7)海 上 風 ベ ク トル 8)植 生 分 布
科 学 目 的 に 加 え,ADEOSが 取 得 し た デ ー タ は,天 気 予 報,漁 場 の 調 査, 土 地 被 覆 や 標 高 の 測 定 な ど 実 用 面 へ の 応 用 も 可 能 で あ る.
ADEOS‑IIはADEOS衛 星 の 後 継 機 と し て,平 成14年12月14日 午 前10 時31分(日 本 標 準 時)に 種 子 島 宇 宙 セ ン タ ー か らH‑IIAロ ケ ッ ト4号 機 に よ り打 ち 上 げ ら れ た.計 画 通 りの 軌 道 に 投 入 さ れ 「み ど りII」 と 命 名 さ れ た 後,約4ヶ 月 間 の 初 期 運 用 期 間 を 経 て,平 成15年4月 か ら は 校 正 ・検 証 フ ェ ー ズ へ と 移 行 し 定 常 的 な 観 測 を 続 け て き た.し か し な が ら,打 ち 上 げ か ら約10ヶ 月 後 の 平 成15年10月31
日,衛 星 の 運 用 を 維 持 す る た め に 必 要 な 電 力 を 確 保 す る こ と が で き な い 状 態 と な り 軌 道 上 運 用 継 続 を 断 念 す る
こ と と な っ た.
ADEOS‑IIに は,宇 宙 開 発 事 業 団 NASDA(現JAXA)が 開 発 し た グ ロ ー バ ル イ メ ー ジ ャ(GLI)お よ び 高 性 能 マ イ ク ロ 波 放 射 計(AMSR)の 他,改 良 型 大 気 周 縁 赤 外 分 光 計II型(ILAS‑II),海 上 風 観 測 装 置(SeaWinds),地 表 反 射 光
観 測 装 置(POLDER)が,国 内 外 の 機 関 か ら 提 供 さ れ,搭 載 さ れ て い る.
ADEOS‑IIミ ッ シ ョ ン の 主 要 な 目 的 は,以 下 の 点 で あ る.
1)気 候 シ ス テ ム に お け る 水 ・エ ネ ル ギ ー 循 環 を 定 期 的 に 把 握 す る.
2)地 球 温 暖 化 問 題 に 関 連 す る 炭 素 循 環 に 関 わ る バ イ オ マ ス 量 と 基 礎 生 産 量 を 定 量 的 に 推 定 す る.
3)ADEOSミ ッ シ ョ ン を 継 続 し,長 期 的 な 気 候 変 動 シ グ ナ ル 変 動 を 検 出 す
る.
衛 星 の 運 用 継 続 が 断 念 さ れ た こ と に よ り 長 期 的 な 連 続 観 測 に よ る 地 球 環 境 の 監 視 は 実 現 す る こ と が で き な く な っ た も の の,衛 星 が 運 用 され た10 ヶ 月 間 に 取 得 され た 観 測 デ ー タ は,気 候 シ ス テ ム や 地 球 温 暖 化 等 の 地 球 環 境 に 関 わ る 各 種 研 究 に 対 し て 極 め て 重 要 な も の で あ る.例 え ば,水 ・エ ネ ル ギ ー 循 環 は,ADEOS‑IIの ミ ッ シ ョ
ン の 特 色 で,GLIに よ る 雲 ・水 蒸 気 ・ エ ア ロ ゾ ル の 推 定,AMSRに よ る 水 蒸 気 量 ・降 水 量 ・土 壌 水 分 量 ・積 雪 分 布 ・積 雪 量 な ど の 水 分 パ ラ メ ー タ の 推 定,Seawindsに よ る 海 上 風 の 推 定, POLDERに よ る エ ア ロ ゾ ル の 推 定, ILAS‑IIに よ る 極 域 の オ ゾ ン 分 布 の 推
定 な ど が,全 球 規 模 で の 水 ・エ ネ ル ギ ー 循 環 の 定 量 的 把 握 に 役 立 っ も の と 考 え ら れ る.特 に,NSCATに 続 く SeaWindsに よ る 海 上 風 の 継 続 的 観 測 は,海 洋 大 循 環 の 変 動 の 解 明 に 資 す る こ と が 期 待 さ れ る.
炭 素 循 環 に 関 す る 基 礎 生 産 量 や ク ロ ロ フ ィ ル 量 の 推 定 は,ADEOS‑IIの
も う一 つ の 目的 で あ る.特 に,海 色 海 温 走 査 放 射 計ADEOS/OCTSの 発 展 の 上 に 存 在 す る グ ロ ー バ ル イ メ ー ジ ャ GLIの 持 つ 多 チ ャ ン ネ ル の デ ー タ や 250mの 高 分 解 能 の 機 能 は,OCTSの 成 果 を 引 き 継 ぎ,海 洋 バ イ オ マ ス 量,
基 礎 生 産 量 お よ び そ の 変 動 の 推 定,陸 域 バ イ オ マ ス 量,基 礎 生 産 量 お よ び そ
の 変 動 の 推 定 に 有 効 で あ る.ま た, ILASの 成 果 を 引 き 継 ぐILAS‑IIは, 極 域 の オ ゾ ン や 微 量 成 分 気 体 の 鉛 直
分 布 を 高 精 度 で 観 測 で き,成 層 大 気 化 学 の 発 展 に 寄 与 す る こ と が 期 待 さ れ る.
POLDER(POLarizationand DirectionalityoftheEarth's
Renectances)は,フ ラ ン ス 国 立 宇 宙 セ ン タ ーCNESに よ っ て 開 発 さ れ た 地 球 表 面,エ ア ロ ゾ ル,雲,海 で 反 射 さ れ る 太 陽 光 の 偏 光,双 方 向 性 及 び 分 光 特 性 を 測 定 す る プ ッ シ ュ ブ ル ー ム 型 の セ ン サ ー で,広 視 野(FOV),マ ル チ バ ン ド,偏 光 測 定 能 力 の 特 徴 が あ る.±
43。 × ±510の 広 視 野 角 で 切 り 取 ら れ た 疑 似 正 方 形 の フ ッ トプ リ ン トが, 衛 星 の 進 行 に 伴 っ て 移 動 す る こ と で, 多 角 的 な 視 野 の 観 測 デ ー タ を 取 得 す る こ と が で き る2).ま た,フ ィ ル タ ・ 偏 光 板 が 回 転 す る こ と に よ り,可 視 か
ら近 赤 外 ま で の8つ の バ ン ド を 観 測 す る.POLDERの 観 測 す る 分 光 や 偏 光 の デ ー タ は 他 の セ ン サ ー の デ ー タ 解 析 に お い て 有 用 な 情 報 を も た ら す
こ と が 期 待 さ れ る.
GLIは 陸 域,海 域 を 含 め た 地 球 表 面 及 び 雲 か ら の 太 陽 反 射 光 あ る い は 赤
外 放 射 光 を グ ロ ー バ ル か つ 高 頻 度 で 観 測 し,ク ロ ロ フ ィ ル 色 素,溶 存 有 機 物,表 面 温 度,植 生 分 布,植 生 バ イ オ マ ス,雪 氷 分 布,雪 氷 ア ル ベ ドな ど の 物 理 量 を 測 定 す る こ と を 目 的 と し た 光 学 セ ン サ で あ る.GLIは 可 視 近 赤 外 域(VNIR)に23バ ン ド,短 波 長 赤 外 域 (SWIR)に6バ ン ド,中 間 ・熱 赤 外 域 (MTIR)に7バ ン ドを 持 ち,マ ル チ ス ペ ク トル 観 測 を 行 いOCTSセ ン サ で 実 証 さ れ た 海 洋 観 測 チ ャ ン ネ ル に 加 え て, 陸,大 気,雪 氷 を 観 測 す る チ ャ ン ネ ル を 多 数 持 っ て お り,地 球 の 大 気 か ら 地 表 面 を 同 時 か つ 高 精 度 に 観 測 す る こ と が 可 能 と な っ た.地 表 面 分 解 能 は 直 下 点 で1km,VNIRとSWIRの 一 部 の バ ン ドで は 直 下 点 で250mの 分 解 能 を 持 ち,植 生 や 雲 の 観 測 に 用 い られ て い る.1走 査 で の 観 測 範 囲 は 進 行 方 向 に 12画 素(12㎞),ク ロ ス トラ ッ ク 方 向 に 1600kmで あ る.ク ロ ス トラ ッ ク 方 向 の 走 査 は,両 面 ミ ラ ー を 機 械 的 に 回 転 させ る こ と に よ り行 い,観 測 視 野 を 進 行 方 向 に+20。,あ る い は 一20。変 移 さ せ る チ ル ト機 能 を 持 っ て い る.
3.POmER/GH複 合 利 用 シ ス テ ム
の 処 理 を 考 え,検 索 を 高 速 化 す る 必 要 が あ る.先 ず,Fig.2の 構 成 図 を 説 明 す る.検 索 パ ラ メ タ は,観 測 日時 お よ び 緯 度 経 度 座 標 と な る(0.25度 単 位).
GLIは1日 の デ ー タ が6分 割 さ れ て 編 集 済 み で あ り,複 数 の フ ァ イ ル が 対 応 す る.POLDERの 場 合 は,14〜15シ ー ン が 対 応 す る .し た が っ て,日 時, 緯 度,経 度 に よ り特 定 の フ ァ イ ル が 対 応 す る こ と と な る.し た が っ て,そ れ
ら の テ ー ブ ル を 用 意 す る.ま た,1フ ァ イ ル 内 に お い て も,緯 度 経 度 と レ コ ー ドの 関 係 テ ー ブ ル を 用 意 す る .こ れ
を 用 い る こ とで 高 速 にGLI‑L2AGAC, お よ びPOLDER‑L1デ ー タ ヘ ア ク セ ス が 可 能 と な る.そ の 後 は,HDFを 経 由 し てGLIデ ー タ を,独 自 処 理 手 続 き を 用 い てPOLDERデ ー タ を,解 析 プ ロ グ ラ ム へ 導 入 す る.当 然,両 デ ー タ を 所 定 の 様 式 に 再 編 集 す れ ば,デ ー タ 構 造 は 統 一 さ れ 整 合 性 も 向 上 す る.し か し,GLI‑L2Aは 約ITB,POLDER
は2TBと 大 容 量 の た め,デ ィ ス ク 領 域 を 節 約 す る た め に,デ ー タ の 再 編 集 を 避 け イ ン デ ッ ク ス 方 式 を 採 用 す る.即 ち,元 の デ ー タ を そ の ま ま 使 用 す る 事 に な る.図1に シ ス テ ム 構 成 図 を 示 す.
3.1シ ス テ ム 概 要 3・2POL】)ERデ ー タ 形 式
実 際 にGLIデ ー タ とPOLDERデ ー タ の 相 互 利 用 を 行 う に は,共 通 座 標 を 定 義 す る 必 要 が あ る.今 回 は,0.25度 グ リ ッ ド を 基 準 と し てGLIと POLDERデ ー タ を 検 索 し て 取 り扱 う
こ と と す る.最 終 的 に は,全 球 規 模 で
POLDERセ ン サ ー 標 準 プ ロ ダ ク ト は,3段 階(Level)存 在 す る.Levell で は,各 観 測 波 長 に お け る 輝 度 と ス ト ー ク ス パ ラ メ ー タ が 与 え ら れ る. Level2,3で はLevel1デ ー タ を 基 に 高 次 処 理 し た デ ー タ が 提 供 さ れ る.
POLDERLevel1プ ロ ダ ク トの 構 成 は,キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン 係 数 な ど が 含 ま れ るLeaderフ ァ イ ル と,観 測 デ ー タ が 格 納 さ れ たDataフ ァ イ ル に 大 別 で き る,Leaderフ ァ イ ル は8つ の 内 容 か ら構 成 され る.デ ー タ 処 理 を 行 う に 当 た り,全 て 読 み 出 す 必 要 は 無 い が,"Scaling飴ctors"に 格 納 さ れ る ス ケ ー ル フ ァ ク タ ー と キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン 係 数(Slope,Of盛set)が 必 要 に な る.
一 方,観 測 デ ー タ はDataフ ァ イ ル に 含 ま れ る3).し か し,従 来 の 衛 星 画 像 フ ォ ー マ ッ ト の 格 納 形 式 で あ る 画 像 を 基 準 と す る 形 式 と 異 な り,POLDER
リ フ ァ レ ン ス ・グ リ ッ ドを 基 準 と し て 画 像 デ ー タ が 格 納 さ れ て い る.
POLDERリ フ ァ レ ン ス ・グ リ ッ ド と は, 地 図 図 法 の 一 つ で あ る サ ン ソ ン 図 法 を 基 に,経 度0度 を 中 心 と し,Level1 で は 経 度 方 向 を6480ピ ク セ ル,緯 度 方 向 は3240ラ イ ン か ら構 …成 す る グ リ
ッ ドで あ る(図2参 照).
1グ リ ッ ドはPOLDERの 瞬 時 視 野 に 合 わ せ6.17㎞ で,18グ リ ッ ドが 地 図 図 法 の1。 に 相 当 す る.観 測 デ ー タ を POLDERリ フ ァ レ ン ス ・グ リ ッ ド上 に プ ロ ッ トす る と1シ ー ン(半 周 分 の 観 測)は 最 大 で120万 グ リ ッ ドの デ ー タ 量 に な る.図2の よ う にDataフ ァ イ ル の 中 で は,こ の グ リ ッ ドが レ コ ー ド 番2〜120万 ま で に 対 応 す る.1グ リ ッ ドが 持 っ デ ー タ は,レ コ ー ド番 号, グ リ ッ ド位 置(ラ イ ン,カ ラ ム),雲, 陸,海 域 識 別 値 な ど の 観 測 状 況 情 報 に 各 バ ン ドデ ー タ が 続 く.
POLDERセ ン サ は フ レ ー ム 画 像 形
式 で,進 行 方 向 に オ ー バ ー ラ ッ プ しな が ら観 測 を 行 う た め,同 一 地 点 を 最 大 14回 観 測 方 向 を 変 え た デ ー タ が 得 ら れ る.こ れ ら は 全 て 同 一 グ リ ッ ドデ ー タ で あ る た め,Direction#1〜#14'に
対 応 す る 最 大14セ ッ トの デ ー タ が 保 存 さ れ て い る.従 っ て,シ ー ン あ た り の デ ー タ 量 も 多 く,約700〜750MBの
容 量 が あ る.
3.3GHデ ー タ 形 式
ADEOS/OCTS,ADEOS‑II/GLIア ー タ はHDFフ ァ イ ル フ ォ ー マ ッ トで 格 納 さ れ て い る.HDFは 米 国 イ リ ノ イ 州 立 大 学 に 設 置 さ れ たNCSAに よ っ て 開 発 さ れ た デ ー タ フ ォ ー マ ッ トで あ る.HDFフ ァ イ ル は1つ の フ ァ イ ル 内 にHDFフ ァ イ ル 固 有 の 情 報 が 格 納 さ れ て い るGlobalAttribute(属 性 情 報)お
よ び,い くっ か のVgroupが 含 ま れ て い る.Vgroupの 中 に は,衛 星 デ ー タ 等 が 格 納 さ れ て い るSDS(Scienti飾Data Set)とSDSに 関 す る 付 加 情 報 が 格 納 さ れ て い るLocalA廿ributeが 格 納 さ れ て い る.(図3)Vgroupの 中 に さ ら に Vgroupを 階 層 的 に 内 包 す る こ と も 可 能 で あ る 。HDFデ ー タ そ の も の は 階 層 的 な 構 造 と な っ て い る が,デ ー タ 読 み 出 し に お い て はHDFlibraryを 用 い る こ と に よ り デ ー タ お よ び 属 性 情 報 の 取 得 が 可 能 で あ る.衛 星 デ ー タ と して はADEOS/OCTS,Terra/MODIS,
Aqua/MODIS,ADEOS‑II/GH等 で 用 い られ て い る.
HDFに はHDFversion4お よ び そ の
拡 張 版 で あ るHDFversion5が あ る.
HDFversion5お よ びHDFversion5の デ ー タ は 完 全 互 換 で は な く,MODIS やGLIな ど の デ ー タ で はHDFversion4 形 式 の も の が 使 用 さ れ て い る.
GLIの 標 準 プ ロ ダ ク ト に は,パ ケ ッ ト(lkm)や マ イ ナ フ レ ー ム(250m)デ ー タ 等 のRawデ ー タ を 提 供 す るLevelO デ ー タ が あ る 。 こ の 生 デ ー タ か ら 必 要 な 項 目 を 抽 出 しHDFに 変 換 し た 未 補 正 デ ー タ がLevelIAデ ー タ で あ る.さ ら に,LevellAデ ー タ か ら,デ ィ テ ク タ レ ジ ス ト レ ー シ ョ ン,バ ン ド 間 レ ジ ス ト レ ー シ ョ ン,輝 度 校 正 を 行 っ た も の がLevel1Bデ ー タ で あ る.LevellB デ ー タ に は 緯 度 ・経 度 情 報 が 含 ま れ て い る が 、 画 像 デ ー タ 自 体 は 地 図 投 影 さ れ て い な い.ま た,高 次 プ ロ ダ ク ト は
こ のLevelIBデ ー タ を 基 点 に し て 作 成 さ れ て い る.
LevellBデ ー タ に は,
・ チ ャ ン ネ ル ・デ ィ テ ク タ レ ジ ス ト レ ー シ ョ ン(輝 度 校 正 済 み の 地 球 観 測 デ ー タ を2byteのDigital Number(DN)に し た も の)
・llb ̲ch[ch]̲data
・2byteDNか ら 輝 度[W/㎡/str/μm]
へ の 変 換 係 数(gsys)
・ ス キ ャ ン 毎 の 時 刻
な ど が 格 納 さ れ て い る.輝 度 を 用 い る 場 合 は 輝 度[W/㎡/str/μm]=
11b ̲ch[chLdata×gsys[i](cl[i])と
変 換 す る.こ こ で のchと1の 対 応 表 は 与 え ら れ て い る.llb ̲ch[chLdataで は 下 位12bitは 輝 度 値(0‑4095)で,そ れ 以 上 のbitは フ ラ グ と し て 使 用 し て い
る.ピ ー ス ワ イ ズ リニ ア バ ン ドで は 画 素 毎 にbit13を 見 て ゲ イ ン を 判 断 し, 表 の ゲ イ ン を 適 用 す る 必 要 が あ る.
次 に,GLIのAtmosphericSegment
Dataの プ ロ ダ ク トに つ い て 説 明 す る.
セ グ メ ン トデ ー タ は,Level2AOAデ ー タ(元 の 分 解 能 か ら4ピ ク セ ル と4 ラ イ ン で サ ン プ リ ン グ)を 基 に 作 ら れ て い る.セ グ メ ン トデ ー タ は,空 問 的 な 分 析 の た め に2つ の 次 元 で 配 列 シ…
ケ ン ス を 保 持 し て い る.サ ン プ リ ン グ 方 法 と し て,緯 度 お よ び 経 度 方 向 の 両 方 へ025×0.25度 の 間 隔 で セ グ メ ン ト デ ー タ の 中 心 点 を 決 定 し,そ の 中 心 点 を 中 心 に5×5の 配 列 の 状 態 で デ ー タ を 保 持 し て い る(図4参 照)[5].1つ の セ グ メ ン トデ ー タ ・セ ッ トは,14あ る い は15の 軌 道 デ ー タ(玉 ウ ィ ン ド ウ:1
日)で 作 ら れ て お り,昼 間 デ ー タ セ ッ トお よ び 夜 間 デ ー タ セ ッ トが そ れ ぞ れ 生 成 され る.1つ の セ グ メ ン トデ ー タ ・セ ッ トは,14あ る い は15の 軌 道 デ ー タ で 作 られ て お り,昼 間 デ ー タ セ ッ トお よ び 夜 間 デ ー タ セ ッ トが そ れ ぞ れ 生 成 され る.作 成 さ れ た セ グ メ ン トデ ー タ は 一 日 の デ ー タ を7つ の フ ァ イ ル に 分 け ら れ て い る.昼 間 の デ ー タ を6つ の エ リ ア と 夜 間 の デ ー一タ を1つ の フ ァ イ ル に 分 け ら れ て い る.
ADEOS‑IIの 回 帰 日数 は4日 で57の 軌 道 デ ー タ に な る.昼 間 の デ ー タ セ ッ ト
は,緯 度60度 ・経 度180度 の6つ の エ リ ア へ 分 離 さ れ て フ ァ イ ル に 格 納 され て お り,夜 間 の セ グ メ ン ト ・デ ー タ は1フ ァ イ ル で 格 納 され て い る(図5 参 照).
Request:
Lat,lon and adte
Return:
POLDER/GLI data per pixel
Programing interface
Processing rule 0.25 X 0.25 grid
Obs date, , Filename, and Position table
Obs date, , Filename, and Position table
GLI L2A GAC
Segment data
POLDER Level 1
図lPOLDERとGLI複 合 利 用 構 成 図
喜0
図2POLDERリ フ ァ レ ン ス ・グ リ ッ ド
図3HDFフ ァ イ ル フ ォ ー マ ッ トの 概 念 図
図4セ グ メ ン トデ ー タ の サ ン プ リン グ方 法
図5昼 間 デ ー タ セ ッ トお よび 夜 間 デ ー タ セ ッ トの 格 納 図]
3.4デ ー タ マ ッ ピ ン グ 法
POLDERデ ー タ とGLIデ ー タ の 座 標 系 の 違 い を 吸 収 す る た め に 座 標 系
を 一 方 に 統 一 す る 必 要 が あ る.GLIの セ グ メ ン トデ ー タ をPOLDERリ フ ァ
レ ン ス ・グ リ ッ ドに 合 わ せ,対 応 す る 緯 度 ・経 度 を 以 下 の 式 に 従 っ て マ ッ ピ ン グ す る(図6参 照).
1'ηε 一MN7巨8(90‑1・ の+0.5]
一(1)
呪 一一[324・"㌣5)]
一(2)
副 一叫324α5+訓
4.複 合 利 用 シ ステ ム の応 用
4.1雲 域 フ ラ グ の 決 定
… 一(3)
POLDERデ ー タ とGLIデ ー タ の 違 い の1つ と し て 解 像 度 が 挙 げ ら れ る.
前 述 の よ う にPOLDERデ ー タ は1ピ ク セ ル6km×7kmで 格 納 され て い る.
そ れ に 対 しGLIデ ー タ は1ピ ク セ ル あ た り1㎞ 四 方 の 高 解 像 度 で 格 納 さ れ て い る.本 シ ス テ ム で は 解 像 度 の 違 い を 利 用 す る こ と が で き る た め,雲 域 フ ラ グ の 精 密 化 に 役 立 て る こ と が 可 能 で あ る.POLDERデ ー タ の1ピ ク
セ ル に わず か に雲 が か か っ て い た 場 合,POLDERデ ー タでは解像 度 が低 い た め,そ の ピクセ ル を晴 れ と判 別 す る こ とがあ る.大 気 エ ア ロゾル解 析 にお い て は少 しで も雲 混 じっ た ピ クセ ル を使 用 す る と精 度 が 落 ち るた め こ の よ うな ピ クセ ル は で き る だ け精 密 に 雲 と判 別 した い.そ の 際,緯 度.経 度
で対応 付 け られ た高解 像 度 のGLIデ ー タ を複 合 利 用 す れ ば雲 判 別 の精 密 化 が行 え る.
前 節 の方 法 で 共 通 領 域 の デ ー タ を 読 み 取 り,よ り分解 能 の高 いGLIの 雲 フラ グデ ー タ を利 用 しPOLDERの 雲 域 フ ラ グ を決 定 した.灰 色 が雲 域 を,
白が晴れ領 域 を示す.赤 色 はPOLDER 雲 フ ラグ との相 違点 を示 す(図7).
ア フ リカ 中西 部(a),東 ア ジア(b)で 両セ ンサ に よ る雲 フ ラ グの 相 違 点 が 多 い (表1参 照).こ れ らの地 域 は大気 エ ア ロゾル の 高濃 度域 で もあ る.高 濃 度 エ ア ロゾル と薄 雲 の判 別 が 困難 で あ る こ とが,雲 識 別 を難 しく してい る一 因 で あ ろ う.
表1雲 フラ グの相違 点数 と割合
全球
ア ジ ア
…(b) ア フ リカ 中 西 部(a)
雲 フ ラ グ ピクセ ル 数
346,711 19,653
12,153
OLDER, GLI雲 フ 相 違 ピ ク セ ル 数 22,118 2,808
1,659
∠[
宝口
) % (
6.4 14.3
13.7
[ユ ー ザ が 任 意 の 緯 度 ・経 度 を指 定
対 応 す るGLIデ ー タ の ピ ク セ ル が決 定
GLIデ ー タ
緯 度 ・経 度 をPOLDER座 標 系 に 変 換
対 応 す るPOLDERデ ー タ の ピ ク セ ル が 決 定
POLDERデ ー タ
ユ ー ザ が 指 定 した 緯 度 ・経 度 に 対 応 す る POLDER/GLIそ れ ぞ れ の デ ー タ を ピ ク セ ル 単 位 で 返 す
GLIデ ー タ
POLDERデ ー タ
図6マ ッ ピ ン グ 法 概 要
晴 れ 領 域
曇 り領 域
POLDER/GLI雲 フ ラ グ の 相 違 点
雲 フ ラグ
図7POLDER/GLI雲 フ ラ グ
4.2大 気 エ ア ロ ゾ ル ・リ ト リ ー バ ル 5.終 わ り に
気 体 中 に 浮 遊 す る 微 小 な 液 体 ま た は 固 体 の 粒 子 を エ ア ロ ゾ ル と い う,エ ア ロ ゾ ル 粒 子 の 性 状 は,粒 径 や 化 学 組 成,形 状,光 学 的 ・電 気 的 特 性 な ど 多 く の 因 子 に よ っ て 表 さ れ,き わ め て 複 雑 で あ る.エ ア ロ ゾ ル 粒 子 は 微 小 ・微 量 で あ る 上 に,多 数 の 因 子 に よ っ て 表 さ れ,し か も 個 々 の 因 子 の 対 象 範 囲 が き わ め て 広 く,全 域 を 測 定 す る こ と は 容 易 で な い.衛 星 デ ー タ か ら の エ ア ロ ゾ ル 特 性 導 出(エ ア ロ ゾ ル ・リ ト リ ー バ ル)は 現 在,最 も 期 待 され て い る 課 題 で あ る.
特 に 難 し い と 言 わ れ る 陸 域 エ ア ロ ゾ ル ・ リ ト リ ー バ ル に お い て 、 POLDER偏 光 情 報 が 有 用 な こ と が 示 さ れ た.ま た,GLI紫 外 デ ー タ を 利 用 す る こ と に よ り,陸 息 煤 煙 エ ア ロ ゾ ル を 識 別 で き る.図8はGLIデ ー タ に よ る2003年5月20日 の シ ベ リア 森 林 火 災 時 のRGB合 成 画 像(左)と 紫 外 波 長 デ ー タ 比 画 像(右)で あ る.紫 外2 波 長 デ ー タ 比 画 像 が 煤 煙 エ ア ロ ゾ ル
の 流 れ を よ く 表 して い る 事 わ か る.
図8GLI東 ア ジ ア 画 像(21May'03) RGB合 成 画 像(左).
紫 外 バ ン ドデ ー タ 比 画 像(右)
GLIとPOLDERの 共 用 検 索 シ ス テ ム の 作 成 に よ り,両 デ ー タ の 有 用 性 が 広 が っ た.具 体 的 に は
1.雲 域 フ ラ グ の 決 定
① 雲 域 フ ラ グ の 決 定 に お い て POLDER.セ ン サ ー とGLIセ ン サ ー
で 相 違 点 の 多 い こ と が 分 か っ た.
② ア フ リ カ 中 西 部,東 ア ジ ア に お い て は 相 違 点 が 多 く,高 濃 度 エ ア ロ ゾ ル と 雲 の 判 別 が 困 難 で あ る こ と が 分 か っ た.
2.大 気 エ ア ロ ゾ ル ・ リ ト リー バ ル
①GLIセ ン サ ー の 特 徴 の 一 つ で あ る 紫 外 域 デ ー タ(ChlとCh2の 比)を 利 用 す る こ と に よ っ て 煤 煙 エ ア ロ
ゾ ル 識 別 が 可 能 で あ る.
②GLI紫 外 域 デ ー タ とPOLDER偏 光 デ ー タ と の 複 合 利 用 に よ り,陸 域 エ ア ロ ゾ ル ・リ ト リー バ ル の 精 度 向 上 が 期 待 で き る.
参考文献
1)佐 野 到 ・向 井 苑 生:"偏 光 デ ー タ を 用 い た 大 気 エ ア ロ ゾ ル リ モ ー ト セ ン シ ン グ",エ ア ロ ゾ ル 研 究,2, pp.105‑llO,2001
2)向 井 苑 生 ・佐 野 到:"POLDER多
方 向 デ ー タ か ら 導 出 し た エ ア ロ ゾ ル 特 性 の 全 球 分 布",日 本 リ モ
コ
ー トセ ン シ ン グ 学 会,PP.85‑93, 2000
3)佐 野 到 ・ 向 井 苑 生="POLDERデ
ー タ を 用 い た エ ア ロ ゾ ル 特 性 の
導 出Lデ ー タ の 切 り 出 し か ら フ レ ー ム 画 像 表 示 ま で",日 本 リ モ ー トセ ン シ ン グ 学 会
,pp.153‑158, 1997
謝辞
理 工 学 総 合 研 究 所 ・保 本 正 芳 助 手, 神 戸 大 学 大 学 院COE研 究 員 ・岡 田 靖 彦 氏 に は,研 究 を 進 め る に あ た り,非 常 に 多 く の ご 助 言 と ご 協 力 を 頂 き ま
し た.こ こ に 深 く御 礼 申 し 上 げ ま す.
本 研 究 で 使 用 し たPOLDERデ ー タ は フ ラ ン ス 国 立 宇 宙 セ ン タ ーCNESか
ら,GLIデ ー タ はJAXAEORCか ら提 供 し て 頂 き ま し た.貴 重 な デ ー タ を 使 用 さ せ て 頂 き,こ こ に 深 く感 謝 致 し ま す.