電子情報通信学会論文誌 D Vol. J96‑D No. 10 pp. 2087‑2088 © 一般社団法人電子情報通信学会 2013
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特集
システム開発論文特集の発行にあたって
システム開発論文特集編集委員会 委員長
山 田 武 士
研究開発において要素技術や理論の研究とそれらを ベースとしたシステムの開発は,本来,車の両輪とい うべきものである.各要素技術はそれらを組み合わせ て社会の要請に応える実システムとして具現化してこ そ,その真価を発揮する.一方で,実システムの構築・
運用で蓄積されたノウハウや,利用者からのフィード バックは要素技術や理論の研究にとっても貴重な知見 となる.本ソサイエティでは,既存技術の組み合わせ であってもイノベーションとして新たな価値を生み出 すシステム開発の重要性に焦点を当てるため,システ ム開発論文というカテゴリーを設けている.システム 開発論文は,ソフトウェア・ハードウェアを問わず企 業・大学・官公庁研究機関において行われたシステム 開発に関する成果をまとめた論文であって,一般論文 とは異なる基準で査読している.本ソサイエティで は,このシステム開発論文の認知度向上と投稿数の増 加を目指して,2001年,2005年,2010年と過去3回特 集号を企画・刊行しており,回を重ねるごとに成果を 上げて来ている.そして,今回がその4回目,前回か ら3年ぶりの企画となる.
前回にひき続いて,編集委員には和文論文誌編集委 員会総員があたるという体制を作り,2012年9月に論 文募集を開始,翌1月を投稿締め切りと定めた.限ら れた募集期間にもかかわらず,合計100編の投稿があ った.これは,前回の89編を上回る結果であり,予想 以上の投稿数に正直,特集幹事団は嬉しい悲鳴をあげ た.しかしこれは,過去の特集などを踏まえて,シス テム開発論文が着実に浸透してきている証であるとい える.総勢190名の査読委員を動員し,1月に第一回査 読,3月に第二回査読を行い,最終的にレター 1編を
含む50編の論文を採択した.ちなみに,前回は50編の 採択(レター 4編を含む)であったから,採択率は多 少厳しくなり,結果的に前回と同レベルの採択数を確 保したことになる.投稿論文の分野は多岐に渡ってい るが,分野別の投稿件数で見ると,上位から,ソフト ウェア工学,情報ネットワーク,ソフトウェアシステ ム,教育工学などと続き,一般論文と較べてもこれら の比率が高くなっている.一方で,パターン認識,画 像認識など,一般論文では件数が多い分野の投稿は比 較的少ない(ただし,少ないながらも健闘している).
また,筆頭著者が企業所属である投稿の割合が通常論 文と比べて多くなっていることも特徴といえる.
一般に本学会の論文は,「新規性」「有効性」「信頼性」
「了解性」の四つの基準で評価される.これは,一般 論文でも,システム開発論文でも同じである.ただし,
一般論文ではそこで提案されている「手法」や「要素 技術」の「新規性」「有効性」が問われるのに対し,
システム開発論文ではそこで提案されている「システ ム」の「新規性」「有効性」が問われることになる.
必然的に,用いられている個々の手法や要素技術に新 規性がなくても,それらを組み合わせたシステムとし ての新規性と有効性があって,それらが信頼できる根 拠に基づいて記述されており,読者にとって明快に了 解され得る内容であれば採録となる.従って,採録基 準に違いはあるものの,システム開発論文が一般論文 と比べて決して「採択基準が甘い」わけではない.一 般論文と同様,関連するシステム,あるいは技術の調 査を十分に行い,その中での開発したシステムの位置 付けを明確にすることが求められる.
今回の特集には,世界一への挑戦あり,要素技術の
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電子情報通信学会論文誌 2013/10 Vol. J96
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多方面での活用と組合せあり,企業におけるシステム 化の地道な取組みあり,と,先進的なシステム開発の 様々な創意工夫の取り組み成果がここに凝縮されてい る.読者の方々は,ぜひ,システム開発の多様な側面 を堪能して頂くと同時に,今後の研究,そして投稿の 参考にして頂きたい.
なお,本ソサイエティの選奨規程が2013年3月22日 付けで改定され,ソサイエティ論文賞の受賞対象とし て「システム開発論文」が追加された.本特集号掲載 の論文も,一年後の論文賞選定の際にはその対象とな るそうである.今後システム開発論文が更に認知さ れ,投稿の裾野も広がり,投稿数も着実に増え,ひい ては本ソサイエティの更なる活性化につながることを 期待したい.
最後に,本特集を発行するにあたり,ご投稿頂いた 執筆者,限られた時間の中,本特集の趣旨を理解し,
丁寧で的確な査読をして頂いた査読委員各位,特集編 集幹事,編集委員各位に感謝の意を表したい.また,
システム開発論文特集編集委員会 委 員 長 山 田 武 士
幹 事 峯 松 信 明 ・ 山 口 修 ・ 和 田 親 宗
委 員 荒 牧 英 治 ・ 安 藤 英由樹 ・ 井 口 和 久 ・ 石 川 博 井 上 美智子 ・ 岩 野 公 司 ・ 岩 元 浩 太 ・ 植 野 彰 規 潮 田 明 ・ 大 塚 和 弘 ・ 緒 方 広 明 ・ 岡 田 隆 三 岡 野 浩 三 ・ 岡 村 寛 之 ・ 片 山 薫 ・ 神 嶌 敏 弘 川 西 隆 仁 ・ 吉 瀬 謙 二 ・ 北 神 正 人 ・ 北 原 格 北 原 鉄 朗 ・ 久保田 彰 ・ 佐 藤 哲 大 ・ 鮫 島 和 行 柴 田 智 広 ・ 白 石 善 明 ・ 白 銀 純 子 ・ 菅 幹 生 鈴 木 伸 崇 ・ 高 倉 弘 喜 ・ 田 中 正 行 ・ 塙 大 平 嶋 宗 ・ 堀 田 一 弘 ・ 堀 田 政 二 ・ 堀 山 貴 史 益 子 貴 史 ・ 松 原 行 宏 ・ 三 村 和 史 ・ 宮 川 勲 目加田 慶 人 ・ 森 大 毅 ・ 守 屋 俊 夫 ・ 諸 岡 健 一 吉 田 健 一 ・ 四 柳 浩 之
厳しいスケジュール管理やデータ提供などを含む円滑 な事務局運営で特集編集をサポート頂いた高木久恵さ んにも感謝したい.
山
やま
田
だ
武
たけ
士
し
(正員:シニア会員)
1988年3月東京大学理学部数学科卒業.同年4月NTT入社,情報 通信研究所勤務.1996年より1年間英国コベントリー大学客員研 究員.2006年より,NTTコミュニケーション科学基礎研究所,
創発環境研究グループリーダ,2008年NTT先端技術総合研究所,
研究推進担当部長を経て,2012年7月よりNTTコミュニケーショ ン科学基礎研究所,協創情報研究部長,2013年4月より企画担当 を,同年7月より機械学習・データ科学センタをそれぞれ兼務.
博士(情報学).主として機械学習,データマイニング,組合せ 最適化等の研究に従事.情報処理学会船井ベストペーパー賞
(2007),WWW2008 Best Poster Awards(2008),情報処理学 会論文賞(2009),ソフトウェア学会論文賞(2009),KDD2010 Best Research Paper Award Honorable Mention(2010),本ソ サイエティ活動功労賞及び査読功労賞(2013),本会和文論文誌 D編集副委員長(2011.5 〜 2012.5).情報処理学会,ACM各会員,
IEEE Senior Member.
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