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無線アドホックネットワーク技術論文特集の発行にあたって

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Academic year: 2021

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電子情報通信学会論文誌 B Vol. J89−B No. 6 pp. 809−810 ^(社)電子情報通信学会 2006 809

特集

無線アドホックネットワーク技術論文特集の発行にあたって

無線アドホックネットワーク技術論文特集編集委員会 委員長  

阪 田 史 郎

アドホックネットワークに関する技術論文特集は, 2002年12月に発行されて以来,和文論文誌では3年半 ぶりの2度目の発行となる.その間に,アドホックネ ットワークへの関心の高まりは急伸し,国際会議はも ちろん本会の研究会や全国大会における発表数は激増 している.急速な盛り上りを見せた要因としては,ア ドホックネットワーク特有のアンテナやチャネル割当 等の無線インフラや省電力化などのデバイス,隠れ端 末/さらし端末やQoS制御,セキュリティを含むMAC 層,ルーティングに代表されるネットワーク層など各 階層の技術の進展に加え,次のようなことが挙げられ る. (1)2004年に総務省はu-Japan,経済産業省はe-Life なる標語を掲げ,産官学を挙げてユビキタスネットワ ーク社会実現への気運,期待が高まり,これまで耳慣 れない用語であったアドホックネットワークの重要性 が,一般にも徐々に認知されるようになった. (2)これまで机上の解析やシミュレーションに頼っ ていたネットワークの性能をより実利用環境に即した 精度の高い評価データを取得するため,新潟大学や ATRなどにおいて大規模なアドホックネットワーク テストベッドが構築され利用され始めた. (3)アドホックネットワークの形態もとり得るセン サネットワークとして,ZigBeeの標準仕様が規定さ れ製品化が進んでいるとともに,UWB(Ultra Wide Band)を用いた次世代高速センサネットワークの標 準化の議論も活発化している. (4)2003年から2004年にかけて,インターネットの 標準機関であるIETFのMANET(Mobile Ad hoc NET work)WGにおいて,アドホックネットワーク のユニキャストルーティングのプロトコルとして,リ アクティブプロトコルのAODVとDSR,プロアクテ ィブプロトコルのOLSRとTBRPFの四つのプロトコ ルが,RFCまたはExperimental RFCになり,標準化 が進展したと同時に,マルチキャストプロトコルに関 する提案も増加している. (5)無線LANにおけるマルチホップメッシュネッ トワーク(アドホックネットワークとほぼ同義)の標 準化の検討がIEEE802.11sにおいて,2006年のMAC層 の標準化を目指し検討が活発化している. (6)アドホックネットワークと同じく自律分散制御 の代表的な形態でもあるP2Pコンピューティングに関 して,SkypeによるIP電話や映像ストリーミングの普 及で,アドホックネットワーク実用化への一つの側面 からの可能性を示した. また,この間,国内では2003年に産官学連携による 研究開発を目指したアドホックネットワークコンソー シアムが設立され(委員長:間瀬憲一新潟大学教授), 総務省ユビキタスネットワーキングフォーラムにおい てセンサネットワーク部会・アドホックネットワーク 委員会が設置され,本会アドホックネットワーク時限 研究会(主査同上)では1年足らずの間に3回の研究会 が開催,上記の大規模なアドホックネットワークテス トベッドの構築と利用など,産官学連携による研究開 発の活発化,学会における研究発表の急増にも,アド ホックネットワーク技術への関心の高まりが現れてい る. 本会総合全国大会,ソサイエティ大会においても, 表1のような急激な伸びを示しており(2005年にアド ホックネットワークをタイトルとするセッションが新

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電子情報通信学会論文誌 2006/6 Vol. J89–B No. 6 810 無線アドホックネットワーク技術論文特集編集委員会 委 員 長 阪 田 史 郎 幹   事 朝 香 卓 也 ・ 大 貫 雅 史 委   員 石 原   進 ・ 井 戸 上  彰 ・ 笠 井 裕 之 ・ 加 藤 聰 彦 塩 田 茂 雄 ・ 嶋 本   薫 ・ 豊 田   新 設(B-21)され発表数が急増),今回の特集はタイミ ングの面でも極めて適切であったと考えられる. しかし,これまでのアドホックネットワークに関す る研究では,実応用場面の想定は必ずしも明確になっ ていなくとも,それ以前に解決すべき技術課題が多岐 にわたり,その解決への困難さも明確ではなかったた め,いわゆるシーズ指向の論文に偏っていた感があっ た.それでも,まだ本格的な実用システムがない段階 ではそれほど大きい違和感はなかったと思われる.し かし,当面技術評価の段階が続くとはいえ,文献に挙 げたような実応用を想定した論文も増加している.30 余年前に米国のDARPAにおける軍事研究に端を発し た特定目的の研究分野であったアドホックネットワー クの研究は,ようやく民間での広い利用可能性への期 待を高め始めた段階といえる.災害現場での利用に加 え,無線PAN,例えば大規模商品倉庫や建設工事現 場,広大なショッピングモールやイベント会場,地域 コ ミ ュ ニ テ ィ ネ ッ ト ワ ー ク と し て の 利 用 , I T S (Intelligent Transport System)における車車間ある いは路車間通信への利用などが,徐々に現実に考え得 る段階になりつつある.今回の特集号においても,具 体的な実応用を想定した論文が,3年半前とは比較に ならないほど増加している. 国際会議に関しても,ACM,IEEE主催などにおけ るアドホックネットワーク関連の論文発表は,2000年 以降現在もなお増加の一途をたどっている. 末筆ながら,本特集の発行にあたり,貴重な研究成 果を寄稿して頂いた著者の方々,論文査読に御協力下 さった方々,企画及び編集に御尽力された編集委員及 び学会事務局の方々に深く感謝の意を表します. 文   献 [1]C. K. Toh(著), 構造計画研究所(訳), アドホックモバイル ワイヤレスネットワーク―プロトコルとシステム, 共立出版, 2002. [2]蓮池和夫, ソンプラカシュ バンディオパダイ, 植田哲郎, “アドホックネットワークの技術的課題,”信学論(B), vol. J85―B, no. 12, pp. 2007―2014, Dec. 2002. [3]中野浩嗣, 山下雅史,“無線通信プロトコルの理論的研究の現 状,”信学誌, vol. 87, no. 4, pp. 342―344, April 2004. [4]阪田史郎,“ワイヤレスブロードバンド・ユビキタスネットワ ーク,”信学技報, CQ 2004―97, Oct. 2004. [5]阪田史郎,“アドホック・センサネットワークとマネジメン ト,”信学技報, TMW 2005―4, March 2005. 阪 さか 田 た 史 し 郎 ろう (正員) 昭47早大・理工・電子通信卒.昭49同大 大学院修士課程了.同年NEC(日本電気)入社.以来,同社中 央研究所にてインターネット,マルチメディア通信,モバイル コンピューティング,ユビキタスシステム等の研究に従事.工 博.平9同社パーソナルC&C研究所所長,平11同社インターネッ トシステム研究所所長.平9∼11奈良先端科学技術大学院大学客 員教授,平9∼11情報処理学会理事.平13情報処理学会フェロー. 平15∼17本会企画理事.平16∼18情報処理学会監事.平16千葉 大学大学院教授.「マルチメディアシステム」(昭晃堂),「モバ イルコンピューティング」(アスキー出版),「インターネットと QoS制御」(裳華房),「インターネット・プロトコル」,「ユビキ タス技術 無線LAN」,「センサネットワーク」(オーム社),「ワ イヤレス・ユビキタス」,「SIP/UPnP 情報家電プロトコル」, 「ZigBee センサネットワーク」(秀和システム),「ユビキタス・ センサネットワーク」,「UWB/ワイヤレスUSB技術」ほか共・ 著書30余. 2004年 2005年 総合全国大会 42 105 ソサイエティ大会 36 70 表 1 アドホックネットワーク関連の発表件数

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