奈良教育大学学術リポジトリNEAR
小学校における栽培学習教材の研究
著者 藤田 麻衣子, 松村 佳子
雑誌名 教育実践総合センター研究紀要
巻 10
ページ 13‑23
発行年 2001‑03‑31
その他のタイトル Study on cultivation learning and making of
teaching materials of elementary school
URL http://hdl.handle.net/10105/4139
藤 田 麻衣子・松 村 佳 子 (奈良教育大学理科教育研究室)
Study on cultivation learning and making of teaching materials of elementary school
Maiko FUJITA and Keiko MATSUMURA
(Department of Science Education, Nara University of Education)
要旨:私たちが日常的に食するものが、種から食卓に並ぶまでを体験しよう、そして育っ環境により、成長や収穫量 に変化が生じることを気付いていこう、というねらいで、可食植物の栽培学習を考えることにした。
本研究では、ミニトマトやサツマイモを取り上げた。また、可食植物としては育てられていないケナフを栽培し、
教材化を試みた。
ミニトマトとサツマイモの栽培条件としては、植え付け場所と植える密度を変えて、それらの収穫量を比較した。
一般的に個体数の少ない栽培における収穫量は、密度が大きくなるほど減少すると言われている。本研究では定量的 にその結果を求めることができた。また応用範囲ではあるが、接ぎ木も実際に行った。教材については、収穫物を使っ てできる工作や実験を取り入れ、小学校で簡単に扱える教材作製を意識した。これは試作に終わってしまったが、引
き続き現場で活用し、有効性について碓かめたいと考えている。
キーワード:栽培学習cultivationlearning,ミニトマトminitomato,ケナフkenaf,サツマイモsweet potato, 教材作製making of teaching materials
1.はじめに
一般的に私たちには、自分でものを育てて食べると いう機会が少なくなってきた。これは都会化が進む中 で栽培に利用できる場所が減ったと共に、スーパーや コンビニの普及によって、いっでもどこでも食品が手 に入るようになったことも原因の1つであろう。しか しそういった市場に出回っている野菜などは、見た目 も味もすばらしいものが多く、その育ってきた過程を 想像することさえもしなくなったのが現状である。
そこで本研究では、植物としてではなく、食用とし て用いられる部分のみが注目されがちな野菜を素材と
して用い、実際に育てて遊べる教材を開発しようと考 えた。子どもたちが、野菜も他の食べられない植物と 同様、種(たねいも)から始まり、種に終わるという 命のつながりの過程を理解し、また多くの収穫を上げ
るために、実際に栽培してその技術を体験学習し、且 つそれぞれの野菜に隠された歴史や性質といった秘密 を解き明かしていくような問題解決的な活動を中心と
した総合的な教材作製を目指す。
野菜を教材として選んだ理由は、まず、栽培は年間
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を通して扱う教材として適していること、そして自分 で育てたものを収穫したり食べたりすることは、子ど もにとって非常に興味のある活動であること、また、
収穫した野菜を利用した教材を作れるのではないかと 考えたからである。
ここでは、その中でもミニトマトとサツマイモとケ ナフの栽培を取り上げることにする。ケナフは、環境 に良い植物だと最近注目されている話題の植物ではあ るが、反対意見も述べられている。それは、帰化植物 であるケナフが拡散して、生態系を乱す恐れがあると いうことで、それを子どもに伝えることは重要なこと であるし、それを教材化できるのではないかと考え、
ケナフを取り上げることにした。ケナフは、その茎か ら繊維を取り出して利用するための植物であるが、そ の伸び方は他の植物と比べて非常に大きく、茎だけで なく花も教材として利用できることが分かった。ケナ フについてはもちろん、野菜についても意外と知られ ていない部分が多く、調べ学習を行う対象にもなると 考えている。
本研究では、このような体験的・問題解決的な活動、
新鮮な驚きや発見、身近なもの(野菜)や未知のもの
藤田麻衣子・松村 佳子
(ケナフ)への関心を高めることのできる教材を開発 するに当たり、自らが栽培を体験し、収穫物を用いて 実験や工作をすることで教材につなげていこうと思う。
その栽培については、条件を変えて育ててみたり、接 ぎ木をしてみたり、実際にデータを取るといった全て の活動の実践を踏まえつつ、小学校で簡単に扱える教 材作製を意識し、研究を進めていくことにする。
2.栽培の材料と方法 2.1.ミニトマト
ミニトマトに関しては、植える密度と植え付け場所 を変えて栽培を行った。
1)耕種概要
供試品種はピコである。播種日は2000年3月5日、
植え付け日は2000年4月25日、場所は奈良教育大学S CSアンテナ横の畑、収穫日は2000年6月24日から10 月中旬であった。
2)試験方法
要因を密度と植え付け場所(畑か単独栽培か)の2 要因とし、密度を高密度・低密度の2水準、植え付け 場所を畑・単独栽培(米袋)の2水準とし、畑におけ
る低密度と単独栽培(米袋)を対照実験としたので、
2要因3水準実験とした。高密度ではトマトの苗と混 合させた1個体を、低密度では4個体を、単独栽培(米 袋)では10kg入りの米袋1袋に植えた1個体を対象と
した。
3)結果と考察
低密度(苗間40cm)・高密度(苗間15cm)・米袋の 3条件で栽培したミニトマトに関しては、その収穫物 の数と重さのみを測定した。重さに関しては、測定時 にはものさしを用いてその直径を測定していたので、
ミニトマトを球と見なし、その比重を1.0として重さ を計算した。
結果は図1、2の通りで、その数も重さも、高密度、
米袋、低密度の順で大きくなった。高密度においては、
図1 ミニトマト1個体当たりの平均収穫数
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重さ( g)
7 . 0 6 . 0 5 . 0 4 . 0 3 . 0 2 . 0 1. 0 0 . 0
5 . 74
匿 米 袋 ト 高 密 虎 口 低 密 度 図2 ミニトマト1個当たりの平均の重さ その収穫数が極端に小さくなった。これは、ミニトマ
トと普通のトマトを混同して育てたことが要因である 考えた。これは、ミニトマトよりトマトの方が草勢が 強く、ミニトマトは早々と枯れてしまったために収穫 期間が短くなり、結果として収穫数も減り、このよう な結果を生みだしたと思われる。
なお、これらの結果は、実際に栽培を行ってデータ を取ったものであるが、個体数が少ないので、あくま でこのような傾向になったということだけに留めてお
く。
2.2.サツマイモ
サツマイモに関しては、植える密度を変えた栽培と、
アサガオとの接ぎ木を行った。
2.2.1.密度条件を変えた栽培 1)耕種概要
供試品種はナルト金時である。種いもは2000年3月 5日に温床へ、植え付け日は2000年6月16日、場所は 奈良教育大学SCSアンテナ横の畑、収穫日は2000年
10月26日であった。
2)試験方法
要因を密度の1要因とし、高密度・低密度の2水準 実験とした。高密度では40cmx40cmx40cmのプランター に、アサガオと間隔20cmで密植させた4個体を、低密 度では直径40cm、深さ50cmの植木鉢2個に植えた2個 体を対象とした。
3)結果と考察
低密度(植木鉢1つに1個体)・高密度(プランター 1つにアサガオとサツマイモ〔間隔20cm〕の2条件で 栽培したサツマイモでは、1個体当たりの全体の重さ・
収穫数・その重さ・ツルの重さを測定し、全体の重さ
に対してのサツマイモの構成比を計算した。高密度と
いう条件を設定したが、アサガオと混合させていたた
めに地上部分への影響が大きかったのではないかと考
えた。図3に示した通り、これはツルの重さにおいて
顕著に現れ、他の項目と比較してもその差が激しい。
そして、地上部分の影響は確実に地中に及び、光合成 量が小さくなったために栄養分を根に貯蔵することが できず、全体の重さだけでなく、図4のように、サツ マイモの重さにおいても、低密度よりも高密度で小さ
くなっている。
重
図3 サツマイモ1個体当たりのツルの重さ
図4 サツマイモ1個体当たりの収量
また全体の重さに対してのサツマイモの構成比では、
図5、6のように、予想に反して低密度より高密度の 方が大きくなった。これは、収量としては低密度の方 が高いが、高密度ではアサガオと混合させて栽培した ために、その成長が地上の葉と茎よりも、地中のイモ の方に集中したためではないかと考えた。
図5 高密度における構成比
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図6 低密度における構成比
なお、これらの結果は、実際に栽培を行ってデータ を取ったものであるが、個体数が少ないので、あくま でこのような傾向になったということだけに留めてお
く。
2.2.2.接ぎ木 1)耕種概要
供試品種はアサガオがマルハアサガオ、播種日が 2000年5月23日、植え付け日が2000年5月27日であっ
た。サツマイモに関しては、2.2.1.と同様とする。接 ぎ木実施日は2000年10月19日で、場所は大阪府立大学 にて行った。
2)試験方法
棟木をサツマイモ、台木をアサガオにした。50cm×
20cmx20cmのプランター3つに、アサガオを3個体ず つ密植させ、アサガオ9個体、サツマイモ9個体の全 18個体において、割り接ぎを行った。接ぎ木後の管理 は大阪府立大学にて行い、養生は室温を25℃に保った 部屋で、順化は18℃以上に保たれたハウス内で行った。
3)手順
(9本糞が5〜6枚のアサガオの苗を用意し、上の方 の葉を取り除いて、切り込みを入れやすくした。
②①のアサガオのY字になった葉柄の部分にかけて、
カミソリでその真ん中に切り込みを入れた。
(診サツマイモから3〜4枚葉の付いた蔓を切り取り、
大きな葉を切って小さくした。
(→蒸散を抑えるため)
④苗の先をくさび形に切り、先をとがらせた。
(9②のアサガオに④のサツマイモを差し込み、クリッ プで止めた。
⑥植物全体に霧吹きで水やりをした。
(→切断面の乾燥と、葉からの蒸散を抑えるため。)
⑦透明なビニル袋をかぶせ、25℃に保った部屋へ入 れた。
⑧追肥・短日処理を行った。
4)結果と考察
9個体中1個体が開花した(図8)。花の直径は約
5cm、一日花で、次の目の夕方にはしぼんでいた。ま
薩田麻衣子・松村 佳子 た、結実には至らなかった。
この成功は、専門機関ならではの施設と、管理の技 術に尽きると思われる。この成功率から考えても、環 境の整っていない屋外での成功は不可能であると考え
られる。
また成功率が低かった要因として考えられることは、
アサガオ属であるマルハアサガオと、サツマイモ属で あるサツマイモの異属間での活着が上手く進まなかっ たのか、それとも、アサガオは種子繁殖であるのに対 し、サツマイモは栄擾繁殖であるので、世代が交代し ても、その植物性ウィルスの持続は否めず、マルハア サガオは、開花能力はあるがウィルスに弱いので、サ ツマイモのウィルスが感染したという可能倒三も考えら れる。サツマイモの代表的なウィルスに斑紋モザイク ウィルスがあり、これは潜伏していても人の日には見 えないが、植物間で大いに彫智を及ぼすものである。
この接ぎ木によって、植物の扱いの厳しさを知ると ともに、いかに市塙に流通しているサツマイモが品種 改良され、人間がイモだけに執着しているかを知るこ とになった。また、サツマイモの花を関西で見る機会 はほとんどないので、貴重な映像が手に入り、実験は 成功したと言えるだろう。
2.3.ケナフ
ケナフに関しては条件を設定せずに栽培を行った。
1)耕種概要
供試品種はタイケナフである。緒種目は2000年6月 6日、植え付け日は2000年6月14日、場所は奈良教育 大学SCS俵の細、種子の収穫Hは2001年1月中旬で あった。
2)結果と考察
ケナフは10個体を栽培し観測したが、一番大きく成 長したもののデータが分かりやすかったので採用した。
開花は2000年11月3目で、その茎の伸びは極端に大き く、速度も他の植物とは比べものにならないぐらい早 く成長した。1日に戯苗で7Cロも伸びた日もあった。
また、茎の太さは収穫時には直径約6Cロに成長し、そ の皮は厚く、中の木質部は琉泊色で、なかなか手で折 れないほど丈夫であった。皮は熟すと黄緑色から赤色 に変化した(図9)。葉は上の方に行くにつれて、そ の形が変化した。(図10)花は一日花で、花びらの色
は塊瑚色、基部は紫色であった(図11)。こ.の紫色の
色素がアントシアニンであることを、3.3.3.でケナフ
の教材化の巾で、花の色紫を抽出したものをろ紙に染
み込ませて、そこに酸性溶液とアルカリ溶液で絵を描
図12 ケナフの種子
く実験において証明している。また、種子を取ること は不可能であった。子房は膨らんでいたが、中を調べ てみると、種子の中身がない、しわだらけのものであっ た(図12)。これはケナフが極端な短日植物であり、
秋も深まって臼が短くならないと花が咲かず、また受 粉してから実を結ぶまでの時間が非常に良いので、そ の間に奈良では季節は木枯らしが吹くころとなり、寒
さに弱いケナフは枯れてしまう。よって日本では、鹿 児島以南でないと種ができないと言われており、種を 取るためには早い時期からの栽培が必要である。
なお、これらの結果は、実際に栽培を行ってデータ を取ったものであるが、個体数が少ないので、あくま でこのような傾向になったということだけに留めてお
く。
3.教材づくり
ここでは自らの栽培体験を教材化していく。これは 2002年度から始まる、総合的な学習の時間に使える教 材を開発し、実脛の小学校の現場で簡単に使えるもの を作った。
教材に関しては、ミニトマトやサツマイモについて 植える灸件(密度)を変えた栽培を自ら体験したこと を基に作ったものと、「はじめに」でも述べたように、
野菜も柘から始まり種に終わることを学ぶ教材の一部 を示す。また、ケナフの教材化についても述べる。ケ ナフは、子どもにとっては未知の植物であり、調べて 分かるという学習の楽しみと、他の植物に比べて成長 が早いので、興味を持続させることができ、かつ工作 したものが後に残るというメリットがあると考えてい る。
3.し 教材化するに当たっての考察
栽培を教材化するに当たっては、まず現在、小学校 で栽培学習がどのように行われているかを把握してお
く必要がある。
現在、栽培に関連する学習内容は、主に生活科と理 科で扱われている。東京 ̄書籍と大日本図譜の生活科と 理科の教科かを参考にその内容を整理すると、以下の 表1と衷2のようになった。
\ 支 珊 (平成 12 年度 用 l x _ 大 日本 国 書 平 成 餞 年 度 用 )
活 動 内 容 登 場 す る種 物 i舌 動 内 容 登 場 す る格 物
小
学 ・い ろ ん な 花 の種 ま き
アサ ガ オ コ スモ ス オ シ ロ イパ ナ ホ ウセ ン カ
マ ツノくボ タ ン ・い ろん な花 の 種 ま き
オ シ ロ イパ ナ アサ ガ オ 校
1 ・縫 物 の 台 っ 銀子 の観 察
・種 取 り と柾 染 め
ペ チ ュ ニア ・桔物 の 缶 っ様 子 の観 察 ホ ウ セ ンカ 年 生 ・花 を 開 い て の遊 び や物 語 作 り サ ル ビ ア
マ リー ゴー ル ド ヒャ クこ チ ソ ウ チ ュー リップ ヰ▼ンセ ンカ
・柾 取 り マ リー ゴー ル ド
オ ク ラ
小 ・野 菜 の栽 培 と収 瞳
ミニ トマ ト ・好 きな野 菜 の 栽培
ミニ トマ ト
学 ・お 楽 しみ 会 ナ ス
校
2 ー サ ツマ イモ ピー マ ン
年 生
トウモ ロコ シ .′1− 一丁 イ▼ ̄ ヰ ユ ウ ノ
タイ ズ
サ ツ マ イ モ
藤田麻衣子・松村 佳子 表2 2杜の理科の教科書の内容
\ ! [ : Iiji; ;
活 動 内 容 登 場 す る 植 物 活 動 内 容 登 場 す る植 物
小 学 校 3
・菓 ・茎 ・根 の観 察
ホ ウセ ンカ コス モ ス ア サ ガ オ ヒマ ワ リ
・種 ・花 の成 長 観 察
(発 芽 か ら種 取 り まで )
・増 や し方
[ 曇 壷 芸殖 ]
ホ ウセ ン カ ヒマ ワ リ オ シ ロ イバ ナ チ ュー リ ップ ク ロ ッ カ ス ヒヤ シ ン ス
・さ し木 ヒメ ジ ョオ ン サ ツマ イ モ
年 生
・花 と実 を調 べ る エ ノ コ ロ グサ
キ ク チ ュー リップ ス イ セ ン
コ ヒル ガ オ イ ヌ が ラ シ カヤ ツ リグサ ツユ クサ キ ク
ハ ナ スベ リ ヒユ
小
学 ・季 節 に よ る植 物 の変 化
ヘ チ マ ア プ ラナ
スス キ
サ ク ラ ・季 節 と生 き もの
ヘ チマ ア ジサ イ サ ク ラ
コ スモ ス カ タバ ミ
校 ・栽 培 と収 穫 (ヘ チ マ) イチ ョウ
4 ・時 間 と天 気 に よ る変 化 ・時 間 と天気 に よ る変 化 タ ンポ ポ
年
生 ・生 き物 の 1 年 間 の観 察 ・記 録 ホ ウ セ ンカ ア ジサ イ イ チ ョウ
キ ク スス キ メ マ ツ ヨ イ グサ
ノー ス ポ ー ル チ ュー リップ
小
学 ・発 芽 と成 長
イ ンゲ ンマ メ ヘ チ マ
トウ モ ロ コ シ ホ ウ セ ンカ
・発 芽 と養分
イ ンゲ ンマ メ ア サ ガ オ ヘ チ マ イ ネ
校 ・成 長 と肥 料 ・日光 カ ェ デ
5 ・花 のつ く りと花 粉 の は た ら き ・花 の つ く り と花 粉 の は た ら き コス モ ス 年
生
ア サ ガ オ ス ギ オ オ バ コ
・ア サ ガ オ の一 生 オ ナ モ ミ
オ シ ロイ バ ナ ス ギ ス ス キ
小 ・デ ンプ ン観 察 ジ ャ ガ イ モ ・デ ンプ ンの ゆ くえ
ジ ャガ イ モ ホ ウセ ンカ バ ナ ナ サ ツ マ イ モ イ ネ
ヒマ ワ リ 学
校 6
(デ ンプ ンは ど こで 作 られ るか ) イ ンゲ ンマ メ ・デ ンプ ンの取 り 出 し
・葉 の顕 微 鏡 に よ る観 察 ヒメ ジ ョオ ン ・葉 の観 察 と そ の働 き
年 ・水 の通 り道 ホ ウ セ ンカ ・水 の通 り道 ツ エ ク サ
サ ボ テ ン ハ マ ボ ウ コ ウ コ ウ ボ ウ ム ギ
生 ・自然 サ イ ク ル につ いて ツエ ク サ ・生 物 循 環
このことから、生活科では年間を通して植物の育っ 様子を観察するという内容が多く、生物的な内容を網 羅させるというよりも、自然に親しむことをねらいと
し、教材を総合的な視点から捕らえた活動が多く取り 入れられている。これに対して理科では、長期間を通
して扱うヘチマやアサガオの教材もあるが、これはあ くまで観察・実験用であり、収穫を目的として栽培す るものではない。
加えて、総合的な学習の時間の新設に伴う理科の時 間の削減もあり、現在の栽培は、理科的な内容中心の 扱いから、総合的な教材としての扱いに変わってきて いると考えられる。現場における実際の例では、奈良
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教育大学附属小学校において、年間を通して行う「春・
夏・秋・冬の生き物」、「栽培(ジャガイモ・ヘチマ・
キュウリ・ヒョウタン)」や、実験を伴う「でんぷん の性質」といった単元が、総合的な学習の時間に移行 されている。さらに、栽培は体験的な活動を伴い、野 菜や栽培技術に関しての調べ学習も可能であると考え られるので、総合的な要素の多い教材だと考えている。
以上より、理科の内容と収穫のための栽培活動を同
時に行うには、総合的な学習の時間に栽培を扱うのが
最適であると患われるので、これらを踏まえて、自分
たちが育てて収穫したもので工作をしたり、実験をし
たりする総合教材の開発を試みた。
3.2.教材の例
3.2.1.混み合っているところで育った野菜 ア.概要
種まきをする少し前から収穫するまでの段階に応じ て利用する、長期理科教材。
また、データ整理・グラフ化などの算数的活動も含 む。
ィ.ねらい
栽培を通して高密度で育った野菜と低密度で育った 野菜の違いを明らかにし、より多くの野菜を収穫す
るためには何が必要かを理解させる。
ウ.学習の流れ
①導入・‥…野菜を育てるときに必要なものについて の学習
★ねらい
・野菜を育てるときには、道具の他に水・光・肥料 が必要であることを分からせる。
・野菜を高密度で育てたときの条件を理解させる。
・栽培の年間計画を立てさせる。
★活動
・育てたことのある植物や野菜を挙げさせる。
・育てたときにどんなことをしたか、どんなもの
(遺貝・肥料など)を使ったかを挙げさせる。
(水・肥料・光といった道具以外の答えを期待す る。)
・密度を高くして育てると、どんな障害が起こるの かを予想させる。
・それぞれの間隔を決め、栽培計画を立てさせる。
・栽培の準備をさせる。
②展開……高密度での栽培の観察・比較
★ねらい
・栽 培 を 通 して 、 高 密 度 と低 密 度 の植 物 の違 い に気 付 か せ る。
★活動
・高密度と低密度で野菜を栽培し、成長の様子を記 録・観察させる。
・それぞれの段階で2つを比較させる。(果実につ いては重さも測らせる。)
(→葉・花・果実の数や大きさ、植物体の大きさ など)
③まとめ‥・…データの整理・学習のまとめ
★ねらい
・表やグラフを見て、学習のまとめをさせる。
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★活動
・高密度と低密度のデータを、表やグラフにまとめ させる。
・得られた結果について、予想は合っていたか、ま た新しい気づきなどを話し合わせる。
3.2.2.野菜も植物 一植物の一生−
ア.概要
種まきをする少し前から収穫するまでの段階に応じ て利用する、長期理科教材。
(◆補助教材「種の一生 〜命のつながり〜」はま とめに用いる教材であるが、本編ではそれらの一部、
「種の一生」のみにふれる。)
ィ.ねらい
野菜を植物として栽培することで、野菜も他の植物 と同じように、命のつながりがあることを知らせる。
ウ.学習の流れ
(彰導入……果実・種子についての学習
★ねらい
・私 た ち が食 べ て い る部 分 は、 果 実 と種 子 で あ る こ と を知 らせ る。
・果 実 と種 子 は、 本 寒 食 べ る た め だ け で な く、 繁 殖 の た め に あ る こ とを知 らせ る。
・野 菜 も他 の植 物 とほ とん ど変 わ らな い構 造 を して い る こ とを理 解 させ る。
★活動
・食べたことのある野菜を挙げさせる。
・野菜は他の植物に例えると、どの部分を食べてい るのかを考えさせる。
・野菜を半分に切って観察させる。
・野菜の種子も、他の植物と同じように発芽して成 長するかを予想させる。
・栽培の準備をさせる。
②展開……野菜の一生の観察・各器官のはたらきに ついての学習(トマトを例に)
★ねらい
・野 菜 の一 生 の予 想 か ら、 栽 培 計 画 を立 て させ る。
・野 菜 の一 生 を観 察 し、 野 菜 も他 の植 物 と変 わ らな い こと を知 らせ る。
・各 器 官 の は た ら きを理 解 させ る。
(・人 が 手 を加 え た もの と、 そ うで な い もの との 違 い に気 付 か せ る。)
★活動
・トマトの一生を予想させる。
(→葉・花・茎の様子、果実のつき方、初夏秋冬
のトマトなど)
藤田麻衣子・松村 佳子
・栽培計画を立てさせる。
・トマトを栽培し、成長の様子を記録・観察させる。
・それぞれの段階で、各器官のはたらきを知らせる。
(→光合成、蒸散、水分の吸収、受粉、各器官の つくりなど)
・栽培のために手入れしたものとしていないものを 比較し、その違いを観察させる。
(→同時に栽培種として扱ってきたトマトがあれ ば行うと良い。)
③まとめ……補助教材を使ったまとめ
★ねらい
・野 菜 の 命 の つ な が りを 理 解 さ せ る 。
・こ の 単 元 の 復 習 ・ま と め を さ せ る 。
★活動
・◆補助教材「種の一生」(以下参照)を学習させ る。
・分かったことや新しく発見したことをまとめさせ る。
★概要
植物は種から始まり、種に戻るという命のつなが りを持っている。この営みは永遠に繰り返され、命 は決して絶えることはない。年間を通して行う教材
「野菜も植物一植物の一生−」では、植物の成長の 様子に注目しながら進めて来たのに対し、この補助 教材では命のつながりを種を中心として考え、春夏 秋冬の種の姿と、そこに隠された生命力を解き明か
†たねの中の薬宴等 をぜん′ぶ磋いきると、
たねはしわくちゃに なって、そのはたらき がおわる。
←あたたかくなると、
たねがはたらき出し て鼻が出る。
殊がさむいときは、欝が さむさと乾轟から鞄を まもって、害まで彗詭し
ほっぱで作られた鐘努は真と たねに崇られ、それがためこ まれて、つきの晋にそなえら れる。
土の中に作る
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とのできる、まとめの教材として位感づけ、その形 式としては、ここでは省略したが読み物的なヮーク
シートとした。
3,3.ケナフの教材化
3.3.1.実施するに当たって 1)概要
ケナフを実臍に栽培・観察し、その過程で調べ学習 をしたり、収穫した花や茎で工作をしたりする、総合 的な要素を含む、長期利用教材を作製する。
2)目的
・ケナフについて譜ペ、関心を高めさせる。
・栽培特有の技術を知らせる。
・収穫物を使って遊んだり、実験することができる ようにする。
3)準備物
価・農具(鍬、鎌、シャベル、移植ごて、)・ケナ フの種・シャ・−レ・ティッシコ.・スケール・支柱・ひ
も
3.3▼ 3.教材
の色魔棚ぶ
★概要
ケナフは茎を収穫し、その繊維を取り出して使う のが一般的である。しかし、茎だけでなく花にも注 目してみると、下の方が紫色をしていて、アントシ
燕 由 樟 完. 簑妻 鮒 ;: ニ≡禰 瞞 掛 崩 崩 躯 親 機 縮 前学年3 月
4 月 ・ケナフにつ いて知 る。
5 月 ・種子
・発芽
・畑作 り
・芽 出 し
・観察記録
畢 6 月 苗
・植 え付 け
( 上旬)−・I l
・水 や り
・観察言己録 嶺 毒
l 空 7 月 ・秦 が上の方 に行
・培 土
・支柱立て き
時
くにつれ、断裂 水 や曇 阜I 輿
し始 める。
・茎 が太 くなる。
・鮫 鮎 己録 に
行 8 〜10月 ・水 や り う
・観察記録 11月 ・花 が嘆 く。
・果実がで きる。
・収穫→ ヰ2
・水 や り
・観察冨己録 12 月
・果実 が熟 し、種 が で きる。
・枯 れる。
(・種取 り)− す4 2
・観察 のまとめ l 月 片付 け ・教材( B 、( 診
・調 べ学習 の発表 会 2 月
3 月 ・活動 のまとめ
ホ1 ケナフは帰化植物であるので、植える場所を考えて植える。
ま2 確を取る前に茎を収穫する。種が欲しければ、半分だけ残し ておいてもよい。
※アルカリ性の溶液︵石けん水︶ では桧が分かりにくいので︑酸性の溶液を用いて 行った方が良いと思われる︒
アニン色素が含まれている。そこでこのアントシア ニンを抽出し、ケナフの花の色素で染めたろ紙に酸 とアルカリの溶液でお絵かきを行う。
★日的
ケナフの花に含まれるアントシアニン肴抽出して、
その色の変化を観察する。
★準備
ケナフの花4−5個、ろうと、熟勘、ガラス棒、
牽、ビーカー、ろ紙4枚、詐(レモン果汁など、酸 性の溶液)、石けん水(水酸化ナトリウム)、新聞紙
★方法
(りケナフの花を乾燥させておき、中の花柱を取り除 いて花びらだけにする。
(診ビーカーに(pを入れ、そこに適量(200ml程度)
の勅勘を注ぐ。
(諺ガラス樺でよくかき混ぜ、色素を抽出させる。
(参ろうとで③の液をろ過する。
(9④にろ紙を3枚入れて1日盈いておく。
⑧ろ紙が染まったら取り出し、新聞紙の上で乾燥さ せる。
(診3枚のうち1枚には酢をつけた筆で絵を描き、も う1枚は石けん永くホ日 で絵を描く。(残りの
1枚は比較するため、何もしない。)
(→(ホ1)強アルカリだとろ紙が焦げてしまう ので、弱アルカリで行った。)
★結果
・ろ紙に絵を描くとその部分の色が変わる 2)与教癖③′オナブゐ豹軽−ネ作り
★紙料
ケナフは茎を収穫し、その繊維を取り出してパル プにしてから紙すさやロープ作りを行う例が多く見 られる。しかしその繊維を取り出す際に、薬品を用 いて皮と繊維を分けたり、水に長時間浸けて宿らせ るので、環境にも悪く、時間もかかる。そこでケナ フを伐採して、そのむいた皮をそのまま使ってでき る工作として、.リ一スを取り上げた。
また、ケナフの皮は乾燥させて保存することもでき、
いっでももどして使えるという点で扱いやすい題材 である。
★目的
ケナフの茎を使って、工作を楽しむことができる ようにする。
★準備
ケナフの皮(茎から皮をむく場合はカッターナイ フが必要)、バケツ、針金、ひも、
lノースの飾り(松ぼっくり・モールなど)、
★方法
(9収穫したケナフの皮をむく。(むいたものを用意
する。)
(乾燥させて保存していたものも使える。作業の 10E】ほど前から水に浸けておく。)
②皮を1cm〜2cmぐらいの幅に裂き、三つ編、
又はローブを作る時にねじる要領で編んでいく。
③輸っかにして適当な太さになるまで(塾を繰り返す。
(参土台を作り、針金で止める。
(診上下を決めて、上の部分につるすひもをつける。
⑥飾り付けをしてできあがり。
★結果
4,まとめ
以上、本研究では、栽培体験を教材化するという活 動を行って来た。実際の栽培では、植える密度を変え た栽培やケナフを扱い、興味潔い結果を得ることがで きた。ただ、個体数が少なかったために正確なデータ は得られなかった可能性は大きいが、傾向だけでも証 明でき、成果はあったと思う。接ぎ木に関しては、実 顔にはなかなか上手く行かず、専門の知識を持った先 生方の協力を得て、やっと成功に漕ぎ着けた。最後に、
一度も実顔に見たことのないサツマイモの花を見るこ
とができて、研究を進めてきた甲斐があったと、非常
に嬉しく感じた。教材化では、2002年度から施行され
る総合的な学習の時間に注目し、野菜やケナフという 題材を、栽培だけでなく、工作や実験など、多岐に渡っ て利用できるような教材作りを意識した。現在の理科 における栽培は、収穫を目的とした内容ではなく、生 活科や総合的な学習の時間で扱われる傾向がますます 大きくなることが予想され、また実際に教材化してみ て、栽培は総合色の強い、まだまだ開発の余地のある 題材であることが分かった。この教材を現場で使うこ とによって、児童が野菜や栽培に興味を持ってくれる ことを期待して止まない。
最後に、栽培についての協力をいただいた、本校の 自然環境教育センターの鳥居春己先生を始め、ケナフ の茎を快く分けて下さった西田史郎先生、トマト・ミ ニトマト・サツマイモの苗や農具を分けて下さった、
奈良教育大学附属自然環境教育センター奈良実習園の 職員の方々、栽培と接ぎ木について多大な指導と協力 をいただいた、大阪府立大学の山口俊彦先生、小田雅 行先生に心より感謝申し上げる。
参考文献
・森 俊人、平野恵理子「そだててあそぼう トマト の絵本」(農文協1999)
・千葉浩三、上野直大「そだててあそぼう ケナフの 絵本」(農文協1999)
・武田英之、仁科幸子「そだててあそぼう サツマイ
モの絵本」(農文協1999)
・坂本 尚「【季刊】食農教育1999冬 Nn3」(農 文協1999)
・唐沢 耕「オレンジページ 増刊 クリスマスの手 作りブック」((株)オレンジページ1993)
・「新訂 あたらしいせいかつ 平成12年度用」(大 日本図書 2000)
・「新訂 たのしいせいかつ 平成12年度用」(東京 書籍 2000)
・「新訂 新しい理科 平成12年度用」(東京書籍
2000)
・「新訂 たのしい理科 平成12年度用」(大日本図 書 2000)
・森源治郎、堀内昭作、山口裕文「応用植物科学栽培 実習マニュアル」(養賢堂 2000)
・「理科に関する教材などの配列表(第1学年〜第6 学年)」(奈良教育大学附属小学校 2000)
・「ケナフ栽培記録」
http://www.geocities.co.ip/HeartLand−Icho/6383
/kenaf.html
「JRT E]本いも類研究会(Japanese Sosiety of RootandTuberCrops)」
http://www.jrt.gr.jp/
「福井ケナフの会
http://www.jisnet.or.jp/kenaf/index.htm
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