Kyushu University Institutional Repository
岐阜地鶏の産卵および受精率・ふ化率について
岡野, 香
九州大学農学部
恵良, 章
九州大学農学部
坂ロ, ミツ子
九州大学農学部
福留, 功
九州大学農学部
他
https://doi.org/10.15017/14166
出版情報:九州大学農学部農場研究資料. 6, pp.24-28, 1982-06. 九州大学農学部附属農場 バージョン:
権利関係:
岐阜地鶏の産卵および受精率・ふ化率について
岡野香。恵良章・坂ロミツ子 福留 功・井上輝美・山田定雄・
古沢弘敏
(2×3)
ω
ならびに椎野・木村の報告 岐阜地鶏の成長および性成熟については著者らの報告
があり.ま た産卵1こついての報告争)卵重(5×6)体重(7)(8)の遺伝的分析についての報告などもみられる.しかしなが
ら繁殖において重要である受精率やふ化率についての報告はみられない。
本報は岐阜地鶏の初産日齢,月齢別産卵数を調査するとともに,赤笹長尾鶏の初産日齢,月別産卵 数を調査し,両日本鶏における産卵特性を比較した。さらに,岐阜地鶏における受精率およびふ化率 について調査した。
材料お よび方法
⑩ (1Xg)
材料としては当農場で飼育繁殖している岐阜地鶏
および岐阜県から入手した岐阜地鶏
さらに ⑪⑫
当農場で飼育繁殖している赤笹長尾鶏
を用いた。
交配はすべて人工授精で行い,ふ卵および評すうは常法どおりに行った。飼育方法は原則としてつ ぎのとおりである。ふ化後4週齢時までは育すう器,4週齢時から20週齢時までは群飼ケージで,20 週齢時以後は単飼ケージで飼育した。産卵の記録は毎朝9時頃行った。
結果お よび考察
岐阜地鶏および赤笹長尾鶏の初産日齢については第1表に示すとおりである。
岐阜地鶏の場合,全平均が165.1日齢であるが,12月ふ化ヒナの初産日齢は147.5日と最短であり,
6月ふ化ヒナでは189.1日と最長であった。一般に,コマーシャル鶏において考えられているように,
岐阜地鶏においても秋冬ヒナの初産日齢は短かく,春夏ヒナの初産日齢は長いという結果が得られた。
(1)
の報告とほぼ一致していると思われる。この結果は著者ら
赤笹長尾鶏の初産日齢は,全平均で270.5日であるが,4月ふ化ヒナの初産日直は最長で325.8日 であり,5月ふ化ヒナはそれより約30日早い295.0日,6月ふ化ヒナは約75日早い249.0日,7月ふ ⑫
でも示したように,赤笹長尾鶏においては 化ヒナは約90日早い233.0日であった。このことは前報
ふ化時期および年齢にかかわらず,産卵開始は常に早春に限られているため,ふ化時期の早い鶏にお いては初産までの期間が長くなり.ふ化時期の遅い鶏においては初産までの期間が短かくなるからで あると考えられる。
第1表 岐阜地鶏および赤笹長尾鶏におけるふ化月別による初産日齢の差
岐 阜地 鶏
赤出長尾鶏
ふ 化 月
羽数
初産日齢羽数
初産日齢123456789101112 010597700214 4 21 121
155.3
178.0 177.6 189.1 179.0
162.3 153.4 147.5
000547600000
325.8 295.0 249.0 233.0
計または平均 146 165.1 22 270.5
第2表 岐阜地鶏における月齢別産卵数 月
齢 供試羽数 産卵数
56789101112131415161718 11975348863222009987652111111ニー﹂ 84508142476331 0.L7e2L9&7ε4α9&
−﹂−﹂−﹂−←¶■ −⊥
初産後1年間(12羽)
の平均産卵数
161.0
(74〜224)
これらのことから,岐阜地鶏においては初産日齢は秋冬ヒナではおおむね145〜165日であり,春 夏ヒナでは165〜185日であり,平均すると約165日である。一方赤笹長尾鶏においては産卵開始が 早春に限られているので,初産日齢は4月ヒナは約325日であり,1か月遅くふ化するヒナごとに初 産日齢は約1か月(30日)早くなるため,5月ヒナでは約295日,6月ヒナでは約265日(今回は
249.0日),7月ヒナでは約235日になると考えられる。
つぎに,岐阜地鶏の産卵については第2表に示すように,月齢別に月間の産卵数で示した。初産日 齢の早いものでは5か月齢(約150日)までに数卵生産するが,ほとんどの鶏においては産卵開始は
6か月齢になるため,6か月齢よりしだいに産卵数は急速に増加する。その後9か月齢よりしだいに 産卵数は減少してゆく傾向であった。産卵開始後1年間産卵記録が可能であった12羽の平均産卵数は 約160であったが,個体差が非常に大きく,多いものでは224卵も生産したが,少ないものではわず か74卵生産したにすぎなかった。
赤笹長尾鶏の産卵については第3表に示すように,ふ化した次年からの月別産卵数で示した。1年 鶏でふ化した年の12月に産卵を開始した鶏が1羽いたが,ほとんどの鶏においては周年の早春から産 卵を開始し,晩秋に産卵を停止した。2年鶏および3年鶏においても早春に産卵を開始し,晩秋に停 止した。各号鶏とも産卵のピークは4〜6月であり,その重しだいに減少してゆくようであった。産 ⑱
卵数は1年鶏で約120卵,2年鶏で約96卵,3年忌で約72卵であった。この結果は前陣
と良く一致 している。このうち1羽ではあるが,翫6鶏の6年間の産卵記録を示すと第3表の下段に示すとおり である。恥6鶏の産卵能力は平均以上であると考えられ,1年目に156卵.2年目に130卵生産し,
以後しだいに減少し6年目にはわずか42卵生産したにすぎないが,6年間の産卵数は571卵であった。
このように,岐阜地鶏の産卵ピークは生後7〜9か月齢時に出現したが,赤馬長尾鶏においては月
第3表 赤笹長尾鶏における月別産卵数の年齢による差
年齢 羽数 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
1 22−18 0.2 1.5 5.0 14.7 20.5 18.3 15.0 12.3 11.6 9.0 8.0 2 18−16 0.2 7.1 18.4 18.2 14.3 12.4 9.3 8.7 5.6
3 16−4 0.2 6.911.916.015.8 8.8 7.0 4.3 LO
3.5 0.9 120.5 1.5 95.7
71.9 Nd 6鶏
12345ρ0
3 ︷りワ.nOρ02529臼99一11
9臼2111
5ームワ・−凸007・9U9一19細411﹂9︵U7934
1凸9臼−凸−轟−凸892720
1凸−▲1 1凸41 轟b︷b17・只V1ーユー﹂ 9臼0︾POOρb11ニーユー 7・−凸41
﹁01晶 156 130 86 89 68 426年間の産卵数 571
九大農場生
♀♀ ♂♂
♀♀
♂♂ ♀♀♂♂
岐阜県生 δ ♀
交 配 例 δ ♀
♀♀♀♀ δδ ♀♀ \、/
雌雄とも単数の交配 交配1 δδ ♀♀
δδ♀♀ \/
雌雄とも複数の交配 交配H
第1図 受精率・ふ化率を調査した岐阜地鶏の交配図
第4表 岐阜地鶏における受精率およびふ化率
交 配 試 験 入回数 受精卵数 受精率 ふ卵数 ふ化羽数 ふ化率
1
ーム9臼 222
233
196 214
88.3 91.8
193 211
155 179
80.3 84.8
計または平均 455 410 90.1 404 334 82.7
H
噌⊥9一 199
205
144 167
72.4 81.5
144 167
97 118
67.4 70.7
計または平均 404 311 77.0 311 215 69.1
齢に関係なく毎年4〜6月に産卵ピークが出現した。
さらに,岐阜地鶏の受精率およびふ化率については,第1図に略記するような交配により得られた 交配1と交配Hについて調査した。交配はすべて人工授精で行い,その方法としては,雄鶏から腹部 マッサージ法により採取した精液0.05ml雌鶏の膣深部に注入した。
結果は第4表に示すように,交配1での受精率は90.1%,ふ化率は82.7%であった。交配Hにおい てはそれぞれ,77.0%,69.1%となり近交度が高い交配Hにおける方が,いずれもわずかではあるが 低くなっているようであった。全体では受精率は83.9%(721/859),ふ化率は76.8%(549/715)
⑫
における赤笹長尾鶏の場合と比較すると,受精率はほとんど同様であるが,となった。著者の報告
ふ化率は岐阜地鶏の方がわずかに良いようである。いずれにせよ,岐阜地鶏の受精率は70〜90%であ り,ふ化率は65〜85%であると考えられる。
工2345εZ&9α1.2. 1 1
1
文 献
岡野香・古賀脩,1972在来家畜調査団報告,5;93〜97 椎野志郎・木村昌則,1964,家禽学会秋季大会;19 椎野志郎・木村昌則,1965,家禽学会春季大会;19 椎野志郎・木村昌則,1966,家禽学会春季大会;9〜10 椎野志郎・木村昌則,1967,家禽学会春季大会;15〜16 椎野志郎・木村昌則,1969,家禽学会春季大会;18〜19 椎野志郎・木村昌則,1966,日本畜産学会52回大会;1〜2 椎野志郎・木村昌則,1968家禽学会春季大会;17〜18 岡野香・岡本正幹,1971,日畜会報,42;630〜633 岡野香 1981,家禽会誌,18;171〜177
岡野香 1979,家禽会誌,16;10〜14 岡野香 1979,家禽会誌,16;127〜129