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猪山勝利

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Academic year: 2021

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(1)

「家族学習」のあり方と支援に関する研究

猪山勝利

1.問題の所在と研究視角

本稿の目的は、現代「家族学習」のあり方とその支援の基本的ありかたを探求すること にある。

近年の教育問題発生の基因として、家族のあり方や家庭教育のあり方が大きな要因であ るという指摘がなされつつある。それに伴い、父親の参加のあり方を含め家庭教育の強化 が強調され始めている。そのような動向の根底には、家庭教育、学校教育、地域教育の近 代教育のトライアングル・システ与が学校教育に過重に教育機能を収赦しているために教 育システムが機能低下し、種種の教育問題を生起していることが基本要因としてあげられ る。そのため、再び弱体化している家庭教育の機能を再編強化しようとする様様な言説が 提唱されつつある。

しかし、その言説の大半は家庭教育の「2つの修正J論に終始していることが多い。す なわち、近代教育システムの論理を前提として家庭教育の性格を学校教育の「修正・補完 的」役割をはたすものとして位置付けており、21世紀の教育システムにおける家庭教育 の「現代的」性格を創出していく視点を欠如している。したがって、家庭教育のあり方も 父親参加論やしつけ強化論の射程に留まる、近代家庭教育を復帰しようとする「修正」論 に終始しがちである。

本稿の視角は上記したような家庭教育「修正論」を超えて、21世紀の生涯学習型教育 システム形成の視角から、現代家庭教育を創造していく論理を提起することを目的として いる。そのために、以下の3課題を中心に論究する。

第一に、家庭教育の21世紀教育システムにおける位置付けと性格を明らかにして、新 たな概念である「家族学習」概念を析出する。

第二に、家族学習が主たるトレーガーとなる現代的教育内容を明らかにする。

第三に、家庭教育を現代的に再生するための社会的・公的な支援のあり方を論及する。

なお、家庭教育といえば、幼児期主体に考えられがちであるが、本稿では『少年期』の 家族学習に焦点を当てて考察する。日本では、学齢期以降の教育は学校教育が主体と考え

る教育風土のため、家庭教育は乳幼児期主体に論及されがちである。しかし、ライフコー スにおいて「自立期」を迎える少年期こそ、家庭での教育は重要であり、従来の家庭教育 論は少年期の家庭での学習の論及がほとんどなされていない。その意味においても、本稿

は少年期の発達段階の家庭教育のあり方とその支援についての新しい問題提起になること を期している。

− 99 −

(2)

2.  2 1世紀生涯教育システムにおける家庭教育 ( 1 )教育システムにおける家庭教育の位置付けの転換

筆者は、現代地域社会教育論や大学生涯学習論の視座から現代生涯学習システム論を提 起してきた (1)。その詳述は紙数の都合上できないが、 19, 2 0世紀の公教育主体の教 育構造を転換し、 21世紀の生涯学習型教育システムを「個的j教育、「社会的J教育、「公 的j教育の3構造とする構造に再編成する視角を提起した。その概要を表示すれば、以下 の通りである。

2 1世紀の生涯学習型教育システム 1. ((個的》教育

① 個 人 学 習

② 友 人 学 習

③  「家族学習J (家庭教育) II.  ((社会的》教育

A. 

r

社会協同j学習

④ 学 習 集 団 学 習

⑤ 社 会 組 織 学 習

⑥地域コミュニティ学習 B. 

r

民 間 市 場j学習

⑦ 学 習 産 業

③ 職 域 学 習 皿. ((公的》教育

⑨ 学 校 教 育

⑩大学など高等教育

⑫ 社 会 教 育

⑫ 公 行 政 機 関

家庭教育は上記した教育システムにおいて、③の「家族学習Jに相当する。以下、教育 システム上の位置付けを中心に、現代家庭教育の基本性格を把握し、これからの家庭教育 を「家族学習J として再編成し、主体的な教育役割をもっ教育として、積極的に教育シス テムに位置付けてし、く論理を提起したい。

現代家庭教育の基本的性格を把握するためには、第一に、教育システム上の位置付けが 基本となるが、現在、教育システム自体が歴史的転換を迎えている以上、まず、教育シス テムの把握が不可欠で、ある。ここでは、家庭教育に即して、現代教育システムの基本構造 を論及したい。国によって、相違はあるが、イギリスに代表されるようにヨーロッパにお いては近代教育の「前期jにおいては、私教育主体型の教育システムが近代教育の原型と

(3)

して形成された。それに対比して、アジア特に日本においては国家主導の公教育主体型シ ステムが近代社会の前期から形成されてきた。したがって、日本においては私教育は近代 早期から、公教育の f補完j教育として位置付けられ、その固有の教育的意義や位置付け が関われることは弱体であったo そのような私教育の歴史的位置付けは、近代 f中期jに 至って、開発国においては国家の福祉・行政国家化が進展するにつけ、変化してきた。ヨ ーロッパにおいても、私教育の積極的位置付けは喪失しなかったが、学校を中心とする公 教育主導型の教育構造に転換した。しかし、 1990年代以降の近代「後期Jを迎えてや る今日、私教育の再編成を含めた教育構造の転換が関わればじめている。それに対比して、

日本においては近代「中期j以降、学歴社会化の急激な進展にもより、私教育の位置付け は、極く些少な位置付けしか与えられず、公教育の「従属的補完j教育とも言える位置付 けに留まっている。その端的な例は、家庭学習といえば学校の学習の補完学習であり、家 庭独自の教育性は問われることがないという状況が示している。しかし、そのことは、公 教育である学校に過重な教育的役割を担わせ、その結果、公教育自体が存立を関われる事 態を招いている。

近代「後期jを迎える 1990年代に入って、 OECDの LIFELONG LE‑

ARNING  FOR ALL" (1996)にみられるように、世界の開発国を中心に、

公教育主導の教育システムを転換する動向が始動している。その動向は、現在、学校改革 を中心とした公教育の改革が主導しているが、根本的には教育システムの全体構造の改革 が関われているのであり、今後、そのような構造的転換が胎動していくと思われる。その ような全体的な構造改革において、私教育の位置付けは2 0世紀の教育システムが公教育 を主体ととらえ、私教育や社会的教育は補完的な位置付けで、あったのに対して、 21世紀 の生涯学習型教育システムにおいては、私教育や社会的教育は公教育と対等な教育として 位置付けられる。

その際、重視しなければならないのは、現在、福祉国家の転換と連動して公教育解体論 ともいえる、いわゆる教育の「規制緩和J論の立場から、教育の民間産業化を推進し、そ の負担や自己責任の視点から私教育を位置付ける立場が台頭しているが、筆者は教育の基 底として公教育を基盤整備したうえで、私(個的)教育や社会的教育を拡充していく立場

を基本スタンスとする(2)。

さらに、〈個的〉教育としての家庭教育の基本性格を把握する際、重視すべきは私教育の

「私性Jの転換を問うことが大事である。すなわち、「私性jは、社会共同性とは対立する

「利己性」を基本性格とするものであり、その基本性格を超える「個性J、すなわち社会協 向性と連関・結合する性格の教育として、再編成していくことである。したがって、これ からの家庭教育は「私教育Jではなく、 f個教育j として21世紀の生涯学習型教育システ ムに位置付けることが基本である。

ついで、教育構造関係論としては、〈公・私〉関係論として把握するのではなく、〈公・

‑101

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社会・個〉関係、として把握することが重要である。私教育主体型として始動したヨーロツ パにおいてさえ、「公教育主・私教育補完Jシステムの傾向を示している現在、日本におい ては、「公教育主・私教育従j型を超えることは厳しい状況にある。すなわち、家庭教育を はじめ個教育カが低下している現状においては、個教育それ自体で再生を企図するのでは なく、社会協同の教育力と連動して再生を図ることが重要である。すでに、近年の子育て ネットワークの動きは、その動向を端的に示している。さらに、そのことによって、公教 育と私教育のいずれかが主であるかではなく、対等な教育関係を創出していくことが教育 の基本関係となるであろう。

(2 )現代家庭教育の性格ー「家族学習Jの創造

前項では、家庭教育の現代的再編成を新たな教育システムの構築の視角から考察したが、

本項においては、家庭教育自体の教育的性格に勺いて明らかにしたい。

第一に‑、家庭教育は教育システムにおいて、他の教育とならぶ教育要因であるが、「教育 の骨格J

t k

もいえる性格をもっ教育であるo その意義は、従来から指摘されてきた人格の 骨格(基本的価値観、人間関係力、基本的生活力など}の形成とともに、新たな社会参画 カや生活力の形成がなされる教育であるからである。生産主体主義の.20世紀伝おいては、

その生産参加カを形成する学校教育が主体であったが、生産・生活の総合的生き方が関わ れる現在、生活性を主体とする家庭教育はこれからの教育の骨格的位置付けがなされてい

くと考えられる。

第二に、家庭教育の射程は、家族成員の人格や能力の発達だけでなく、家族それ自体の あり方や家庭生活の学習を含むものである。社会構造の変動と連動して家族も変動期を迎 えているが、「イエJ制度のみならず、近代家族の典型といわれる核家族を母体とした fマ イホーム主義J家族さえ、 fホテル家族j化、 fミーイズム家族j化しつつある現在、家族 それ自体の学習抜きで、家庭教育は存立しがたい。筆者は、ニれからの家族として、 f協同 家族J化が基本となると考えるが、家族構成員の人格や諸能力の育成とともに、そのよう な家族を創造、形成する学習を内包することが家庭教育の基本であるととらえる。

第三に、上記と連関するが、家庭教育における学習者はこどもや青年だけでなく、成人 や高齢者を含むすべての家族成員であり、従来のように乳幼児期中心の学習者に限定しな いことが基本である。特に、人生の自立期である少年期・青年期、家族の主体的トレーガ ーである成人期の家庭教育のあり方が、これからの家庭教育として早急に構築されていく ことが求められている。

第四に、従来の家庭教育論のように、親など保護者がこどもなど「被養育者に教育するJ という一方交通的教育関係を変えていくことが不可欠である。こどもが教育主体となる事 項もあれば、相互協同的学習・教育関係、をなす場合もありうるし、その関係を拡充してい

くことが必要である。

第五に、学習内容は次項で詳述するが、学習方法の基本性格として、指示や対話など知

(5)

的、言語的教育方法だけでなく、協同生活や協同活動など f生活体験Jを基本に組み込む ことである(3)。

第六に、家庭教育はそれ自体で完結する教育でなく、いわゆる「友愛家族jなど家族外 家族と協同して展開したり、地域教育など他の教育と協同して推進していくことが不可欠 となっている。そのような展開性を喪失して展開すれば、社会参画性を弱体化したものに なり、現在、問題化している f引きこもりJなど社会不適応症候群を拡大していくと思わ れる。

上記した性格、特に二、三、四の性格を考えると、『親など保護者が養育するこどもにし つけなどの基本生活力を形成すること』を中心とした従来の家庭教育概念から、新たな時 代の教育概念として、『家族構成員がそれぞれ主体者として、家族生活の現代的創造に協同 して参画しつつ、主体的発達を図るために学習するA

r

家族学習j概念を創出していくこと が求められる時代であるといえよう。このような意味において、以下、本稿では「家族学 習J概念を用いる。

3.現代家族学習の内容

現代的家族学習の内容について、筆者はこどもの「生きるカjを形成する生活体験学習 の視点から、試論を提起したことがある (4)。本稿は、前節の六つの視点を視角として、

1 995年、 2001年の論考を修正、拡充して、家族学習の現代的基本内容を提起した し、。

( 1) 

r

j学習・活動

現在、自尊・自己有用感の欠落した青少年やいわゆるアダルト・チルドレンといわれる 青年・成人が増加している。これらの事象の基礎要因として、生育時の f愛されj経験の 欠如が指摘されている。この経験の欠如は、青年期や成人期になっても、真の「自己愛j

が形成されておらず、その結果、他を「愛するj力を形成しがたいと言われている。

愛は自然的行為ではなく、意思的行為であり、家族での相互容認を基盤とした「愛され るJ•

r

愛するj学習が、人間の実存を支える始原である。人間だけでなく、自然や動植物 を含めて、「愛されるj・「愛するj学習は、家族学習の基底となる学習である。

(2)基礎身体学習・活動

家族学習の重要な課題として、基礎身体の形成がある。家庭で形成される基礎身体課題 は、①就寝や起床時間などの生活リズムの自己管理力、②食生活への参画、③生活所作身 体、④身体遊び・文化や自然体験、⑤スポーツ活動への支援、などがあり、現代の家庭で はいずれも弱体している。今日の家庭では、⑤の領域は拡充しているが、① ④の領域は 弱体しており、早急な再生が求められている。

(3)言語・情報学習・活動

情報化社会の進展によって、マスコミや情報機器言語が優勢となり、対人言語や交流言

‑103‑

(6)

語などの「生活言語jが希薄化している。しかし、一方では方言などの暖かい生活言語の 再評価の動きもでており、今後は家庭においても、団禦や協同生活において対話活動など を促進したり、ニュウメディアだけでなく、オールドメディアを活用した相互交流の生活 言語学習や体験を拡充することが必要であろう。

(4)生活基本力学習・活動

男女共同化の推進化によって、家事の協同化が若干進展しつつあり、男性の参画は少し づっ進展している。しかし、少子化要因も重なり、こどもの参画はかえって希薄化してい るのが現状である。とくに、これからのこどもには「手伝いJではなく、家庭生活への協 同参画を推進し、家庭生活の「担い手Jとして育成する学習・活動が不可欠である。

( 5 )人間関係学習・活動

現在、核家族化や少子化、さらにマイホーム主義の家庭生活によって、生活の揚での交 流や協同生活などを通した人間関係が希薄化している。今後、意思伝達だけでなく、身体 や感情を交えた人間関係の形成学習や活動が重要であるが、そのためには家庭内に留まら ず、親族や地域との交流も拡充していくことが求められている。

( 6 )遊・文化学習・活動

身体性、感性や社会交流性を形成する遊びや文化の役割が、感情開放だけでなく、これ からの時代に重要な創造性を形成してし、く基本カとして注目されつつある。しかし、現状 は遊びの室内化や映像機器遊びの進展、マスコミ文化の受容化など、受動化や個化が進展

しており、家庭や地域での主体的、協同的な遊びや文化の学習や活動が求められている。

( 7) 

r

学習J・活動

現代認知心理学や体験文化学習論は、自己学習や生活体験学習の重要性が指摘されつつ ある

( 5 )

。学校教育での学習もその視点からの改革が早急に求められている。それ以上に、

学習の「源基J

( 6 )

ともいえる生活・社会での学習こそ,これからの家庭での学習として 組織化していくことが不可欠である。そのためには、家庭内に留まることなく、地域との 交流や地域参画が促進される必要がある。

(8)集団生活学習・活動

こらからの社会は、個人の主体性を基礎としながらも、集団や組織構成員として生きて いく分野が増大していくが、そのためには社会交流性や協同活動参画カが不可欠となる。

その基礎カの形成として家庭での集団参画力学習や活動が重要であり、友人との交流や地 域活動への参画を支援していくことも、現代家族学習の基本課題である。

(9 )価値・進路学習・活動

従来のような外形的、流行追随的な教育・文化や職業の選択ではなく、自己の主体的 な選択に基づく教育・文化や職業選択が求められる時代が到来している。そのような選択 を可能にするためには、情報収集だけでなく、個人の生活価値や社会価値が不可欠であり、

そのような価値習得は家族や友人などとの生活を通した体験学習や対話が基礎となる。家

(7)

族学習は、学校の進路指導のような共通価値の提示や教示ではなく、家族構成員の主体性 を基盤にした価値習得学習や進路選択学習への支援がなされる重要な場である。

4.家族学習への支援

( 1 ) 家族学習支援の基本方向

従来、家族への支援は主として福祉保障の視角から展開されてきたが、その家族福祉も

「こどもの権利条約J制定、批准以来、大きな原理的転換を迎えつつある(7)。家族福祉の 基盤をふまえて、家族学習の支援を拡充・発展していくことが求められているが、従来の

「家庭教育学級Jなど公教育支援を超えて、以下のような諸点をふまえた多様な支援シス テムを形成していくことが不可欠となっているo

これからの家族学習の支援は、つぎのような4点が基本となろう。

第1は、家族支援は当の家族の主体性を基底とし、主体性を育成することを基本として、

干渉や統制をしないことである。

第2は、支援主体は公システムに限定せず、〈個的〉、〈社会的〉、〈公的〉主体の重層構造 を形成するとともに、主体問のネットワーク化を図ることである。

第3は、支援する学習内容は学習・教育を中心としながらも、環境、食、健康、文化、

福祉などの他の領域と連関させていくことである。

第 4は、学習支援だけの方法ではなく、相談、教育、討論、ワークショプなど多様な方 法がとられる必要がある。

(2)  家族学習の支援主体

①個人支援

家族が直系・拡大家族形態の時代は、祖父母や親族が相談、学習の主体として位置づい ていたが、核家族が主流の今日、ほとんど期待できなくなっている。したがって、近隣の 子育て先輩を支援主体として設定することが求められる。かつて、筆者も参画して、佐世 保市大野地区で「家族サポーターjシステムを創出した経験があるが、サボーダー一人に 2‑‑4人程度の相談者がつき、継続して対応していけば、子育て不安はかなり解消するこ とが立証された。

②友愛家族グ、ループ

子育て期の親同士が友愛グ、ループを形成し、相互に相談 教えあいなどをしていくこと である。その際、母親だけでなく、父親の協同参加が不可欠である。かつて、筆者は大村 市中地区で少年期の子育ての夫婦グループの組織化参画したが、母親だけの教育カと比較 して、夫婦協同では2. 8倍の教育カがあること、さらに友愛グループの相互支援があれ ば、教育カは4. 3倍に増加することが実証された。

③地域支援サポーター集団

地域で子育て経験のある人や保育・教育経験者などが集団組織を形成し、個育ち家族の

‑105‑

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支援を行う。福岡市では、筆者も参画した生涯学習カレッジの子育てコースの受講者を主 体に小学校・公民館区単位に、子育て支援サポーターが組織化され、地区公民館を主体に 活動しており、家族の子育て学習支援を活発に展開している。

@地域子育て協同活動組織

この形態は、②の組織が拡大したもので、一定の地域範囲で子育て家族だけでなく、地 域の専門指導者や青年なども参加して、こどもだけでなく親の学習や活動を継続して展開 する形態である。近年の例としては、長崎県多良見町の「子ネット Jが代表的な例である が、高校生、大学生、青年も参加しており、こども・青年・親・高齢者など世代間の協同 活動を基盤にして、諸種の地域活動と連関した家族学習を可能にしている。

⑤P T Aの地域委員会

近年のP T Aは学校協力団体から脱して、独自活動を創出しつつあるが、その1形態が 地域の専門リーダーと協同した地域体験子育て活動がある。その活動の一環として、家族 学習が含まれるケースも増えており、従来の年1度の子育て講演会方式を超えた学習・活 動を展開するP T Aがかなり増加しつつある。

⑥社会教育機関

公民館をはじめ社会教育機関は、従来も「家庭教育学級jなどを主催して家族学習支援 を展開してきたが、主催事業の拡充とともに、①から⑤までの活動を諸種の形態で支援し ていくことが、これからの社会教育機関の重要な活動として位置付けられる必要がある。

その際、福祉や他の地域活動との連関を重視していくことが重要である。

( 1 )猪山勝利「地域創造と生涯学習の組織化j小林文人、猪山勝利『社会教育の展開と 地域創造』東洋館出版社 1 996年

猪山勝手Ij

r

大学生涯学習推進の現代的視角 J長崎大学教育学部紀要一教育科学一 61号 2002年

(2 )猪山勝利「社会教育財政における地方分権と公共性保障の形成J日本社会教育学会 年報44集『地方分権と自治体社会教育の展望』東洋館出版社 2000年 (3 )横山正幸、猪山勝利、正平辰男『生活体験学習入門』北大路書房 1 995年 (4)猪山勝利 f生活体験の現代的構成j 日本生活体験学会年報『生活体験研究NO. 1~

200 1年

(5) J.レイヴ、佐伯訳『状況に埋め込まれた学習』産業図書平成5年 (6)茂呂雄二『具体性のヴィゴツキイ』金子書房 199 9年

(7)許斐有他『子どもの権利と社会的子育て』信山社 2002年 武田信子『社会で子どもを育てる』平凡社新書162 2002年

参照

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