九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
建設機械及び建機オペレーター賦存量に着目した地 域建設業と地域の災害応急復旧力に関する研究
田中, 徹政
https://doi.org/10.15017/1807006
出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:Fulltext available.
建設機械及び建機オペレーター賦存量に着目した 地域建設業と地域の災害応急復旧力に関する研究
2017 年 1 月
田 中 徹 政
建設機械及び建機オペレーター賦存量に着目した 地域建設業と地域の災害応急復旧力に関する研究
2017 年 1 月
九州大学大学院 工学府 都市環境システム工学専攻
田中 徹政
i
目 次
1
序論 ... 11.1
本研究の背景 ... 11.2
本研究の目的 ... 51.3
論文構成 ... 5参考文献 ... 8
2
先行研究のレビューと本研究の位置づけ ... 92.1
先行研究のレビュー ... 92.2
本研究の位置付け ... 12参考文献 ... 14
3
過去の災害実績に基づく災害応急復旧時の建設機械及び建機オペレーター必要量の推計 ... 173.1
はじめに ... 173.2
本研究で対象とする地理的範囲 ... 183.3
本研究で使用する統計データ ... 203.4
九州地方における災害発生状況と被害額 ... 213.5
災害応急復旧時の建設機械及び建機オペレーター必要量推計の考え方 ... 263.6
災害復旧費に占める応急復旧費の割合の算出 ... 273.7
処理が必要となる土工量1
㎥当りの単価の算出 ... 283.8
建設機械土工量と建機オペレーターの必要量の推計結果 ... 383.9
まとめ ... 42参考文献 ... 43
4
地域毎の建設機械及び建機オペレーター賦存量の把握 ... 454.1
はじめに ... 454.2
推計に係わる注意点 ... 454.3
地域毎の建設機械の賦存量の把握 ... 464.4
地域毎の建機オペレーターの賦存量の把握 ... 95ii
4.5
まとめ ... 106参考文献 ... 108
5
地域毎の大規模災害応急復旧時における建設機械及び建機オペレーターの必要量と賦存量の比較 .. 1115.1
はじめに ... 1115.2
県単位での比較 ... 1115.3
県内地域単位での比較 ... 1135.4
まとめ ... 1206
地域建設企業の災害応急復旧活動に関する実態調査-九州北部豪雨災害を事例として- ... 1216.1
はじめに ... 1216.2
地域建設企業の災害応急復旧活動に関する実態調査 ... 1216.3
アンケート調査結果 ... 1236.4
まとめ ... 132参考文献 ... 134
7
結論 ... 1357.1
研究成果の要約 ... 1357.2
今後の課題 ... 138参考文献 ... 139
付録 ... 140
付録
1 九州各県の歩掛算定結果一覧表 ... 140
付録
2 九州地方における災害復旧力に係る建設機械等の所在状況調査についてのアンケート調査票 ... 147
付録
3 平成 24
年7
月九州北部豪雨災害における情報提供についてのアンケート調査票 ... 154謝辞 ... 157
1 1
序論1.1
本研究の背景(
1
)災害応急復旧の課題(地域の建設機械及び建機オペレーター減少と地域建設企業の経営環境)【本論文においては各県土木事務所管内程度のエリアを地域として扱う。また、「災害応急復旧力」を 災害により被害を受けた公共土木施設の応急復旧の施工能力と定義する。】
1) 地域建設企業の体力低下による建設機械及び建機オペレーターの減少
近年、地域建設業を取り巻く経営環境は急速に変化しており、安定的に建設機械を保有している地域建 設企業が減少している。また、建設投資が減少する中で地域建設企業の収益性は大きく低下し、倒産件数 も増加している。図
1.1
に示している現状の九州地方における地域建設企業の事業所数ならびに建設業 従事者数の推移からもわかるように、九州地方の各県では2
割程度にまで事業所数が減少している。出典:総務省統計局事業所・企業統計調査及び経済センサス
図 1.1 九州地方の建設企業の現状 50%
60%
70%
80%
90%
100%
福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県
従業者数(対
H13
年比)2
~3
割減50%
60%
70%
80%
90%
100%
福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県
事業所数(対H13年比)
H13 H16 H18 H21 H24
2割減
2
建設市場の縮小により収益力と負債のバランスを失い、経営が悪化していることが大きな要因となり、
雇用の維持、新規入職者の受入れが困難な状況にある。また、建設業従事者も事業所数の減少に伴い
2~
3
割程度減少している。国土交通省の調べでは、新規高卒の入職者は平成4
年には3.4
万人、平成24
年 には1.5
万人となり、平成4
年と比較すると約6
割減少している。技能労働者の就業者についても、平 成4
年には408
万人、平成24
年には335
万人と約2
割減少している。工事現場を支える技能労働者の 入職者か激減している1)ことから、技能労働者の不足が恒常化すると懸念する。よって、現在の我が国 の財政事情を考えた場合、これから先、建設投資が大きく回復することは期待できない状況にあると考 える。地域建設企業を取り巻く厳しい状況は、建設機械の保有状況にも大きな影響を及ぼしている。国土交通 省の建設機械動向調査より,全国における建設企業とリース・レンタル企業の建設機械推定保有台数の 推移を図
1.2
に示す。建設企業の保有する建設機械は年々、減少し、リース・レンタル企業への依存が高 くなっている。建設投資の縮減による機械稼働率の低下や機械器具の保守・整備・点検には手間とコストがかかり、
保管・格納のためのヤードや倉庫が必要とされること、建設工事は繁閑の差があること、機械保有の増 加はかえって減価償却費や金利負担などの固定費増を招くこと等、経営圧迫によって、建設機械を手放
出典:国土交通省・建設機械動向調査
図 1.2 建設企業とリース・レンタル企業の建設機械推定保有台数の推移(全国)
0 10 20 30 40 50 60 70
H1 H3 H5 H7 H9 H11 H13 H15 H17 H19 H21 H23
建設業リース業 単位:万台
年度
46%
減(
対H11
年度比)
ほぼ横ばい
72%
28%
H1
建設業 リース業
53%
47%
H23
建設業 リース業
建設業の保有割合 減少
【対象機種:バックホウ・クローラローダ・ホイールローダ・ブルドーサー゙・トラッククレーン】
3
す建設企業が増加しているものと考える。加えて、従来は、建設企業により大半が保有されていた建設機 械は、平成
11
年度をピークに年々、自社保有機械台数が落ち込んでいる。これは、その年に、経営事項 審査評価項目の改正により自己資本対固定資産比率、長期固定適合比率、付加価値対固定資産比率が評 価項目として、新たに設けられたことで、建設機械など固定資産を多く持つ企業ほどマイナス評価とな ったことが大きな要因と考える。その他にも、平成 17 年の鉄鋼資源価格が高騰した時期には多くの建設 企業が機械を売りに出す等、手放す建設企業が増加している。平成23
年度の建設企業の自己保有台数は ピーク時に比べ(対H11
年度比で)約46%減少している。また、図 1.3
に示している九州地方の業種別 建設機械購入台数の推移をみると、平成21
年では全体的に購入台数が少なく、ばらつきはあるももの、リース業の購入比率が
47.0%~58.1%であるのに対して建設業の購入比率は 17.1%~22.2%と少ない。
平成
23
年度では約2.5
倍も差が生じている。出典:国土交通省・建設機械動向調査
図 1.3 九州地方 ( 沖縄県含む ) の業種別建設機械購入台数の推移
2) 地域の災害応急復旧力の低下
国土交通省国土技術政策総合研究所が東北地方整備局と東北建設業協会連合会とで実施した「東日本 大震災における建設企業の活動実態調査」2)によって、地域建設企業の応急復旧活動状況がとりまとめ られている。この調査結果によると、地域建設企業の約
6
割が、発災から4
時間以内に災害応急復旧活 動を開始している。約7
割は自らが被災しながらも、会社に備えている建設機械や建機オペレーター、作業員を動かし、道路を啓開し緊急輸送路等の確保に大きく貢献している。また、応急復旧活動
437
件 のうち無償で行った建設企業が30
件、調査・点検282
件のうち無償が113
件、がれき撤去・移動・運搬216
件のうち無償が49
件と報告されている。応急復旧活動には、建設企業は時に無償、あるいは利益を0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000
H17 H19 H21 H23
不 明 その他 官公庁 建設業 リース業
57.4%
58.1%
47.0%
55.2%
22.2%
17.1%
21.9%
21.4%
年度
単位:台 購入先
約2.5倍
【対象機種:バックホウ・クローラローダ・ホイールローダ】
4
度外視した少ない対価で協力していたことが伺える。しかしながら、前項で述べたように、地域建設企業の体力が低下し続ければ、災害応急復旧時に必要な 建設機械や建機オペレーターなどの確保が困難となり、地域貢献活動(無償による活動)を行う余裕が無 い状態になることが予想される。このような事態がさらに悪化すれば被災時に応急復旧活動が滞ってし まい、円滑な支援活動を行うことができない恐れもある。このままでは、近い将来、災害復旧を担う地域 建設企業の建設機械及び建機オペレーターが不足し、地域の災害応急復旧力の低下が懸念される。
(
2
)建設機械、技術者・技能者の地域間偏在を是正するための近年の入札調達制度の改善点近年、建設産業は、建設投資の大幅な減少等により、厳しい競争環境に直面し、公共工事の調達過程に おける制度が大きな転換期を迎えている。平成
17
年に、「品質確保の促進に関する法律(以下、品確法と 称す。)」が施行され、さらに、最近では、品確法の一部を改正している3)(平成26
年法律第56
号)。具 体的には、工事の性格や地域の実情等に応じて多様な入札契約方法から適切な方法が選択されることや、地域において災害時の対応など社会資本の維持管理が適切に行われるよう地域の実情を踏まえ地域の公 共工事の品質確保の担い手の育成及び確保に配慮されなければならないことが示されている。
その中でも、特に重点がおかれていている事項は、「発注者は、工事の性格、地域の実情等に応じ、競 争参加者の若年技術者・技能労働者等の育成及び確保の状況、建設機械の保有状況、災害時の工事体制の 確保状況等を適切に審査又は評価するよう努めなければならない旨(第
13
条関係)」や「発注者は、工 事の性格、地域の実情等に応じ、新たな方法その他の多様な入札契約方法の中から適切な方法を選択し、又はこれらの組合せによることができる(第
14
条関係)」など、「発注者は、地域の社会資本の維持管理 の効率的、持続的実施のため必要があると認めるときは、地域の実情に応じ、複数年度契約、複数工事一 括発注、組合せその他の事業体が競争に参加できる方式等を活用すること(第20
条関係)」なども新た に書き足している。同時に、入契法4)、建設業法5)も改正されており、インフラの品質確保や災害対応等 の担い手の確保を重要視した内容となっている。特に、建設生産・調達システムに関しては、価格以外の 多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた建設生産物を提供するという目的達成の観点か ら、時代のニーズに適したシステム運用の再構築を行うことが求められている。これまで、国や地方自治体においては、災害協定締結の有無だけで客観点や主観点、総合評価落札方式 等で、建設企業を評価対象としていた。しかし、最近では、災害協定締結の有無だけではなく、活動実績 の有無についても配点をさらに高くもうけて評価している。加えて建設機械の保有状況についても評価 している。インセンティブを与えることで、地域における災害時の対応などが適切に行われるよう地域 の実情を踏まえ、推進している。
5 1.2
本研究の目的大規模災害被災直後に行われる破損堤防の修復、崩壊斜面の安定化等の応急復旧には、早急かつ大量の 建設機械及び建機オペレーターの確保が必要である。これらは通常、県の土木事務所管内程度の地域範 囲で復旧活動を行っている。一方で、地域毎の建設機械及び建機オペレーターの賦存量は、建設機械動向 調査などの既存統計では把握できない状況にある。また、災害応急復旧に必要な建設機械及び建機オペ レーターの必要量も、既存の災害統計では年単位で実施される本復旧ベースでしか整理されていない。
このため、実際の災害応急復旧活動の単位となる地域レベルでの災害応急復旧に必要な建設機械及び建 機オペレーターの過不足を検討できない状況にある。地域レベルでの災害応急復旧を検討するには、地 域毎に建設機械及び建機オペレーターの賦存量及び災害応急復旧時における建設機械及び建機オペレー ターの必要量を把握する必要がある。
地域建設企業が保有する建設機械台数は変動が少ない一方で、事業発注毎に調達するリース・レンタル 建設機械台数は、需要に応じて変動するため不安定である。今後も地域建設企業の体力が低下し続けれ ば、地域建設企業が保有する建設機械台数が減少し、地域に存在する建設機械台数の安定性が減少し、地 域の災害応急復旧力の安定性の低下が懸念される。
そこで本研究の目的は、「災害応急復旧力」を災害により被害を受けた公共土木施設の応急復旧の施工 能力と定義し、地域単位で必要となる建設機械及び建機オペレーターの必要量と賦存量を推計する手法 を構築し、九州地方において、地域毎の災害応急復旧力を定量的に明らかにするとともに、今後とも地域 レベルでの災害応急復旧力を確保してゆくための課題を明らかにする。
1.3
論文構成本論文の構成を図
1.4
に示す。まず、第1
章では、本研究が対象とする地域建設企業が、災害応急復 旧に必要な建設機械及び建機オペレーターの確保について直面している現状の問題と課題を述べ、さら に「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関 する法律(入契法)」、「建設業法」といった、建設機械及び技術者・技能者の確保に関係する、近年の公 共工事入札調達制度の動向を示した上で、本研究の目的を述べた。第
2
章では、先行研究をレビューした。皆川ら(2012、2015)、馬場ら(2010)は、東海地震や南海 地震を対象に倒壊家屋のがれき撤去に必要な日数を推定したが、建設機械の処理能力等を考慮しておら ず、実際の災害応急復旧力の検討には対応できない。また、本研究と同様に、地域建設企業とリース・レ ンタル企業の保有台数の合計値を使用しているが、その保有割合が災害応急復旧に与える影響を考察し6
ていない。本研究の特徴は、これら先行研究が考慮していない建設機械の処理能力、建機オペレーター、
建設機械の保有者(地域建設企業、リース・レンタル企業)、といった点を明確に示した。
第
3
章では、災害応急復旧に必要となる建設機械及び建機オペレーターを、災害統計、災害の記録に 基づき推計する手法を構築し、九州地方の各地域に適用した。災害復旧は、被災後直ちに実施する応急復 旧と、災害査定後に年単位で実施される本復旧に分けられる。本研究では、応急復旧を対象として、建設 機械及び建機オペレーターの必要量を推計した。九州各県の過去10
年間の最大被災年の災害復旧費全体 に占める応急復旧費の割合を4%程度と推定し、工事原単位(土工量 1
㎥当りの単価)を用いて、建設機 械及び建機オペレーターの必要量を地域毎に推計した。第
4
章では、地域毎の建設機械の賦存量を明らかにするため、リース・レンタル企業と地域建設企業 を対象とした調査に基づき、建設機械の賦存量を推計する手法を構築し、九州地方において調査した。こ の結果、リース・レンタル企業の保有割合は約6
割であり、リース・レンタル企業保有分は各年の公共事 業量の変動に左右され、地域内の建設機械賦存量は安定的でないことがわかった。また、地域毎に災害復 旧時に対応可能な建機オペレーターの賦存量を地域毎に推計した。第
5
章では、第3
章で推計した建設機械及び建機オペレーターの必要量と、第4
章で推計した賦存量 を比較し、建設機械及び建機オペレーターの空間的偏在と不足地域の特徴を整理した。この結果、平成17
年台風14
号のような大規模災害発生時に、中山間部の高千穂地域、椎葉・美郷地域において、建設機 械及び建機オペレーターの不足が見られた。同様に、他の中山間地や離島においても、大規模災害時に建 設機械及び建機オペレーターが不足する危険性が高いことを示した。第
6
章では、地域建設企業による九州北部豪雨災害時の復旧活動の実態をアンケート調査した結果、2
つ以上の機関と災害協定を締結している企業の割合が約7
割であり、国、県、市町村からの応急措置依 頼の重複、膨大な数の依頼連絡による情報錯綜等の問題点が指摘された。これを解決するためには、建設 業協会の各支部が連絡調整役を担う必要があり、また、地域単位での応急復旧活が主体であるために、資 機材・人材不足が発生し活動に支障をきたしたことから、他地域からの応援ルールの明確化が必要である ことを示唆した。第
7
章では、本研究により得られた知見と今後の課題をまとめた。建設機械及び建機オペレーターの 必要量と賦存量のインバランスを解消し、地域の災害応急復旧力を維持していくためには、現状の公共 工事入札方式等を踏まえつつ、災害対応の担い手や建設機械を確保するための入札契約方式の整備や地 域の建設業協会の機能強化の必要があることを提言した。7
図
1.4
本論文の構成 第4
章地域毎の建設機械及び建機 オペレーター賦存量の推計 第
1
章 序論-背景と目的-第
2
章 先行研究のレビューと本研究の位置づけ第
3
章過去の災害実績に基づく 災害応急復旧時の建設機 械及び建機オペレーター
必要量の推計
第
5
章 地域毎の大規模災害応急復旧時における建設機械及 び建機オペレーターの必要量と賦存量の比較第
6
章地域建設企業の災害応急復旧 活動に関する実態調査
-九州北部豪雨災害を事例として-
第
7
章 結論 必要量の把握九州地方の建設機械・建機オペレーターの必要量と賦存量を把握し比較
賦存量の把握
8
参考文献1
) 国土交通省:現在の建設生産・管理システムにおける問題認識,資料4,
http://www.nilim.go.jp/lab/peg/siryou/hatyusyakondankai/01_h25.1115_siryou4_mondaininsiki.p
df(2014.3.10
閲覧)2
) 森望,小橋秀俊,竹谷修一,大橋幸子,渡辺健一,横井宏行:東日本大震災における建設企業の活 動実態調査-被災地支援・復興に向けた初動の記録-国土技術政策総合研究所資料No.729,
2013.3
3
) 池田大介:品確法の改正を踏まえた今後の建設生産・管理システム及び発注者責任のあり方,JCM マンスリーレポート,Vol. 23 ,No. 5,pp.2-10,2014. 94
) 国土交通省:公共工事の入札及び契約の適正化の推進について,http://www.mlit.go.jp/common/001084600.pdf(2015.2.8
閲覧)5
) 国土交通省:品確法・建設業法・入契法等の改正について,http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000089.html(2015.5.6
閲 覧)9 2
先行研究のレビューと本研究の位置づけ本章では、災害応急復旧時に必要となる建設機械及び建機オペレーターによる災害応急復旧力に着目 した先行研究をレビューした。レビューした学術雑誌等を表
2.1
に示す。表 2.1 先行研究のレビュー対象として学術雑誌の一覧
学術雑誌名・期間 掲載論文件数 レビュー論文件数
建設マネジメント問題に関する研究発表・討論会(講演集)1983~2015年(33年分)
981 1
土木学会論文集F4(建設マネジメント)1993~2015
年(22年分)686 3
土木学会論文集F6(安全問題)2006~2015
年(10年分)300 3
土木学会論文集(土木計画学研究・講演集)1979~2015年(36年分)13,594 1
その他、雑誌、修士論文等 -
5
2.1
先行研究のレビュー災害応急復旧力や地域防災に関する研究は、工学のみならず様々な学問分野で対象とされている。しか し、地域コミュニティや教育訓練等、建設企業BCPによる災害応急復旧力や地域防災に着目した研究 は数多く存在するものの、被災時に必要となる建設機械及び建機オペレーターの必要量と賦存量の災害 応急復旧力に着目した既存研究は少ない。また、その中でも建設企業や関係団体、自治体へのアンケート やヒアリングによる意見集約的内容の調査・研究が多く、実際に起きた大規模災害を事例に建設企業や 関係団体の災害対応状況を調査し、そこから問題や課題を抽出している研究ばかりである。その中で、建 設企業の建設機械及び建機オペレーターに着目している先行研究をレビューした。その結果、
表 2.2
に示 しているように、定性的分析(災害発生時における建設企業の役割や活用法)と定量的分析(建設機械や 人材に着目し災害応急復旧力を数値化)に分類された。表 2.2 先行研究の分類表
区 分 項 目 著 者
定性的 地域建設業の役割・活用 川崎ら1)、高橋2),3)、丸谷ら4)、牧角5)、夏山ら6)、 村岡ら7)、毛利ら8)、森實ら9)
定量的 建設機械や人材に着目し
災害応急復旧力を数値化 久保田ら14)、馬場ら15)、皆川ら16),17)
10
(
1
)地域建設企業が災害発生時に果たしてきた役割と活用法に関する先行研究地域建設企業は、建設技術者・技能者の持つ技術・技能や工事経験、機械・器具を使った機動性、地形、
地質、地域コミュニティに関する情報の保有などの特徴を活かし、従来から自然災害時の応急復旧活動 の中心的な担い手となってきたことについて、川崎ら1)は、地域建設業の災害時の役割に着目し、自然 災害の発災時から復興時における活動実態とリスク要因を地域建設業、自治体等に聞き取り調査から、
災害発生時に地域建設業が果たしうる役割をより明確化している。高橋2)は、高齢化・過疎化が進む地 方都市で災害時要援護者の避難支援を行う人材が地域にいない状況に着目し、建設業のもつ地域精通度、
資機材、専門知識等を災害の予防対策、応急対策の段階から活用することを構想している。高橋3)は、
建設業を災害予防・災害応急対策に活用するシステムが実現可能かどうかを調査することを目的とし、
47
都道府県建設業協会及び九州・山口県市町村へのアンケート調査を行い。その結果から災害予防・災 害応急対策に建設業は十分活用可能であることを述べている。丸谷ら4)は、災害発生時において、救援 や復旧活動の担い手として、行政に加え、建設企業は、大きな役割を果たしていることから地元行政が建 設企業に対する災害対応面での期待は、一般に高いと述べ、都道府県や政令指定都市が、建設企業に対し て災害対応にどうような期待をしているか、対応能力のある建設企業をどう判別しているか、地域で存 続させるためどんな対策を行っているか等について、質問紙法による調査を実施している。牧角5)は、災害直後、早い段階での被災箇所調査を効率的に行うことは早期の災害査定につながり、1日も早い災 害復旧を行う必要があることを示唆している。その上で、災害査定には、被災箇所における的確な測量調 査とそれに基づく復旧設計を主とする緊急な対応を必要とするため、技術職員が少ない地方自治体にと って容易なことではないこと、緊急対応して早期の査定を成立させているのは、地域の測量設計業者の 貢献であること、被災箇所の状況調査においては多くの人手がかかる作業が要求され、さらには行政担 当者の打合せ不足によるやり直しや手戻りが頻繁に生じていること、などの実態を明らかにしている。
そして、災害査定に対応する被災箇所調査の効率的な運用を図るための改善点と官民協働のあり方につ いて述べている。夏山ら6)は、先の東日本大震災の災害復旧に携わった関係者の証言や関係資料に基づ き、特に地方建設業へのヒアリングに力をいれ、発災直後の対応として行った「くしの歯」作戦や関連す る道路啓開・復旧作業の全容を改めて物語描写し、その物語描写に基づき、地方整備局を中心とした地方 建設業界の防災対応力に関する知見を得ることを目的とし、今後の防災対応を踏まえた行政制度設計に 資するための基礎的研究を行っている。村岡ら7)は、愛媛県を対象としてヒアリング調査並びに各種の 経営数値を通して、地域建設企業の経営実態を整理した。愛媛県土木部公共投資予算額、地域建設業者数 や建設機械数、従業員数の変遷を整理した。そして、建設機械を保有する建設企業の所在地(本社位置等)
に着目し、所在地と土砂災害危険個所の関係から災害時対応できない空白地帯があることを明らかにし
11
ている。また、地域建設業者の衰退の問題に歯止めをかける必要性があることを述べている。毛利ら8)
は、平成
19
年7
月16
日に発生した新潟県中越沖地震における地域建設関連企業の支援状況の実態を把 握するため、国土交通省北陸地方整備局、関東地方整備局、国土技術政策総合研究所において、「新潟県 中越沖地震における地域建設関連企業の地域貢献状況調査」を実施した。その結果、「建機オペレーター の派遣」「建設機械の提供」などの支援活動や迅速な初動対応等、地域建設関連企業が果たした役割は大 きく、特に被災県内に本社・本店がある地元企業の貢献が大きかったことを明らかにしている。森實ら9)は、東日本大震災において、災害協定を結んでいた地域建設企業が、道路の啓開にいち早く着手し、その 後の人命救助や支援物資の実施に大きく貢献する等、災害協定が有効に機能した事例として評価されて いる。一方で、連絡手段が途絶えるなど、平常時とは異なる状況において、連携に支障が生じていたこと を問題にあげ、東日本大震災を教訓として、大規模災害時においても、行政と建設企業との連携体制のも とに災害応急復旧が迅速かつ適確に実施できるように、大規模災害時にも対応可能な災害協定の必要条 件について考察している。
また、一方では、2012年に東日本大震災での建設企業の災害応急復旧活動10),11),12)や
2013
年に 九州北部豪雨での建設企業の災害応急復旧活動13)について、事細かに災害復旧活動状況を調査した結果 報告書があげられている。これらの調査では、地域建設企業の役割や活動内容ならびに社会貢献度に着 目して行われているが、例えば、今後、災害対応を図る上で、どの程度の建設機械や建機オペレーターな どが必要で、どの程度、確保しなければならないのかといった定量的分析・研究が必要と考える。(
2
)建設機械及び建機オペレーターに着目した災害応急復旧力に関する先行研究久保田ら14)は、今後、発生が予想される南海トラフ巨大地震災害が発生した際の災害応急対策に関す る課題を述べている。また、宮崎県内の市町村を対象に建設企業が保有する建設機械台数と土木技術者 の数及びリース・レンタル企業の保有する建設機械台数を定量的・空間的に確認することで、各市町村に よって、偏在があることを明らかにしている。最後に、リース・レンタル企業を含めた建設関連業の地域 間連携、支援が重要であることを述べている。馬場ら15)は、高知県を対象に、川上が提案した地域防災 力の試算式を用いて、南海地震時に想定される家屋倒壊の撤去と生き埋め者の救助に要する日数を算出 している。この試算の結果、高知県内での地域建設業者が保有する建設機械(バックホウ・トラクターシ ョベル)の偏在により高知市における所要日数が県全体の所要日数(がれき処理日数)の約
2
倍と大き くなることが予測され、県内の建設企業のみの対応では特定の地域のがれき処理と被災者捜索が遅れる ことを示している。また、建設企業の保有する建設機械台数が年々、減少傾向にあることから所要日数も 増加し、地域防災力が低下していることを述べている。皆川ら16),17)は、静岡県を対象に、2012年に12
地域建設業者が保有する建設機械(バックホウ)に着目して川上が提案した地域防災力の試算式を用い て、東海地震時に想定される家屋倒壊の撤去と生き埋め者の救助に要する日数を算出している。また、災 害初期の啓開における地域間での重機の共有体制の有無が啓開作業時間に与える影響をマルチエージェ ントシミュレーターにより検討しており、地域間で連携を行った場合、連携が無い場合に比べて各市町 での作業時間を、最大で
92%短縮できる事を明らかにしている。 2015
年にはリース業者の保有する重機 を考慮した上で、シミュレーションを行っている。2.2
本研究の位置付け2.1
での既存研究レビューの結果を整理すると、災害応急復旧力の低下や地方の建設業衰退による建設 機械及び建機オペレーターの不足は指摘されているが、地域毎、かつ具体的数量を踏まえた研究は少な い(表2.2
参照)。特に本研究に類似したものとして、南海地震(馬場ら15))や東海地震(皆川16),17)) を対象に倒壊家屋のがれき撤去に必要な日数を推定したものがある。しかし、馬場ら15)は、建設機械1
台が1
日に処理できるがれき量を体積ではなく建物5
棟と設定して計算したものである。一方の皆川ら16),17)は、がれき量を体積に置き換えて計算しているが、建設機械別の処理能力の違いを考慮していな
い。また、建機オペレーターの人数を考慮していないため、建設機械の台数に対して建機オペレーターが 不足する状況を分析できない。建設機械の台数は、本研究と同様に、地域建設企業とリース・レンタル企 業の保有台数の合計値を使用しているが、その保有割合が災害応急復旧に与える影響を考察していない。
また、国土交通省及び経済産業省は、建設関係業者等を対象として災害復旧の対応能力の推定等の基礎 資料を作成するために、2年に
1
回の頻度で「建設機械動向調査」18)を実施している。これは、九州地 方、中国地方レベルでの広い範囲で調査されている。しかし、災害時の応急復旧については九州全域を出 動範囲とすることは現実的ではなくこのレベルでの統計では不十分である。災害時の緊急出動、早期対 応の範囲を考えると、例えば県の土木事務所管内レベルの現状把握が望ましいが、現実には県レベルで の建設機械保有台数すら明らかにされていない。以上を踏まえて本研究の主な特徴を述べると次のようになる。
・ 先行研究が考慮していない建設機械の処理能力、建機オペレーター、建設機械の保有者(地域建設企 業、リース・レンタル企業)、といった点を明確にした上で、地域単位で災害応急復旧に必要となる 建設機械、建機オペレーターの必要量と賦存量を推計する手法を構築した。
・ 九州地方において、建設機械リース・レンタル企業を対象としたアンケート調査と災害協定資料によ り収集した処理能力別の建設機械台数、建機オペレーター数に関する情報に基づき、地域毎の災害応 急復旧力を定量的に明らかにした。
13
表 2.2 先行研究のレビューと本研究の位置付け
研
究
災害の種類
建設 企業
リース
企業 分析方法
建機 人材 建機
対象範囲とフロー 概要
本研究
(2012~
2015 年)
土
砂 BH
・ TC
・ DT
建機オペレーター
BH
・ TC
・ DT
【対象範囲:九州各県・各地域】
1.災害被害額から応急復旧 に必要な建設機械と建機オペ レーターの必要量を推計 2.建設機械と建機オペレーター の賦存量把握
(調査結果を基に推計)
3.地域単位での空間的偏在を 分析
4.必要量と賦存量を比較分析 (72 時間当りの土工量に換算)
過去10年に起きた災害毎の被害 額を調査し、被害額に占める応急 復旧費の割合を求め、応急復旧 時に必要となる建設機械と建機オ ペレーターの必要量を推計後、建 設機械と建機オペレーターの数を 調査・推計し賦存量を把握。その 結果から地域によっては、空間的 偏在があることを述べ、最後に、
必要量と賦存量を比較すること で、地域毎の災害応急復旧力の 多寡を定量的に示した。
久保田ら
(2014 年)
- BH
・ TC
・ BD
土木技術者
BH
・ TC
・ BD
【対象範囲:宮崎県各市町村】
1.建設機械と技術者 の数を調査
2.GISで空間的偏在を確認
リース機械はアンケート調査、建設企業 の機械と土木技術者は経営事項 審査で調査している。建設機械や 土木技術者の数が市町村毎に偏 在していることを述べ、災害応急 復旧力に差異が生じていることを 定量的に確認している。
馬場ら
(2010 年)
地
震 BH
・ TC - -
【対象範囲:高知県と高知市】
1.建設機械台数を調査 (建設業協会員の保有機械)
2.南海大地震時の家屋倒壊数 (想定)を調査
3.建設機械台数から処理日数を 分析(重機 1 台1日当りで 5 棟 を処理すると仮定)
既存統計資料から南海大地震時 に想定される家屋倒壊数を把握 し、試算式を用いて、現存している 建設機械台数で処理するために 必要な日数を算定している。それ を地域防災力と仮定し、建設機械 減少に伴い地域防災力は年々、
低下していることを定量的に示し ている。
皆川ら
(2012~
2015 年)
地
震 B
H - BH
【対象範囲:静岡県各市町】
1.建設機械の数を把握 (調査結果を基にした推計)
2.家屋倒壊数の処理量推計 3.建設機械台数からがれきの 処理日数を分析
4.市町間での建設機械連携分析
既存統計資料から東海地震時に 想定されるがれき量を調査、推計 して、馬場らの試算式により建設 機械台数で処理するために必要な 日数を算定している。さらに、市町 間で連携した場合の分析を行うこ とで、日数が短くなることが判明し た。市町間での連携が地域防災 力を向上させることを定量的に示 している。
※BH;バックホウ,TC;トラクターショベル,DT;ダンプトラック,BD;ブルドーザ
14
参考文献1
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4
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回建設マネジメント問題に関する研究発表・討論会講演集,pp.37-40
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) 毛利淳二,溝口宏樹,堤達也:平成19
年新潟県中越沖地震における地域建設関連企業の貢献,土木学会第
63
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10
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)(一財)建設業振興基金:東日本大震災における建設業の災害対応実態調査報告書,平成24
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月12
)森望,小橋秀俊,竹谷修一,大橋幸子,渡辺健一,横井宏行:東日本大震災における建設企業の活動実態調査-被災地支援・復興に向けた初動の記録-国土技術政策総合研究所資料
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,2013.3 13
)(一財)建設業振興基金:九州北部豪雨(
平成24
年7
月)
における建設業の災害対応実態調査,平成25
年
6
月14
)久保田修司,日比野直彦,森地茂:地域建設業が担う災害応急対策の現状と課題に関する研究,第50
回土木計画学研究発表会・講演集,2014.11
15
)馬場太一郎:高知県の建設業と住民による地域防災に関する基礎的研究,平成21
年度フロンティア プロジェクト修士論文,2010.2.1215
16
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建設マネジメント)
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,No.4
,I_57-I_67
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建設マネジメント)
,Vol.71
,No.4
,I_85-I_95
,2015.12
18
)国土交通省:建設機械動向調査,http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/constplan/sosei_constplan_tk_000013.html
(2013.1.24
閲覧)16
17
3
過去の災害実績に基づく災害応急復旧時の建設機械及び建機オペレーター必要量の推計3.1
はじめに本章構成を図
3.1
に示す。本章では、災害応急復旧に必要となる建設機械及び建機オペレーターの必要 量を、災害統計、災害の記録に基づき推計する手法を構築し、九州地方の各地域に適用した。災害復旧は、被災後直ちに実施する応急復旧と、災害査定後に年単位で実施される本復旧に分けられる。本研究では、
応急復旧を対象として、建設機械及び建機オペレーターの必要量を推計した。九州各県の過去
10
年間の 最大被災年の災害復旧費全体に占める応急復旧費の割合を4%程度と推定し、工事原単位(土工量 1
㎥当 りの単価)を用いて、建設機械及び建機オペレーターの必要量を地域毎に推計した。図 3.1 本章構成 3.1 はじめに
3.3 本研究で使用する統計データ
3.9 まとめ
3.4 九州地方における災害発生状況と被害額
3.5
災害応急復旧時の建設機械及び建機オペレーター必要量推計の考え方3.6
災害復旧費に占める応急復 旧費の割合の算出3.7
処理が必要となる土工量1
㎥当りの単価の算出3.8
建設機械土工量と建機オペレーターの必要量の推計結果3.2 本研究で調査対象とする地理的範囲
18 3.2
本研究で対象とする地理的範囲各県では道路や河川、港湾などの公共施設の整備や維持管理を行い、大雨による水害や土砂災害を最小 限に防ぐため、危険箇所の監視や情報収集、関係機関との情報伝達等の対応を迅速に図るために、土木事 務所(出先機関)を各地域に設けている。また、各県の建設業協会各支部も土木事務所管内に分布してお り、各土木事務所と災害協定を締結している。よって、災害応急復旧時における緊急出動、早期対応範囲 を考えると、県の土木事務所管内レベルでの現状把握が望ましいと考える。そこで、本研究では、災害時 の早期対応が可能な範囲を地域レベルに設定する。また、今後、九州地方における災害の発生範囲、被災 時の出動状況、将来的な各種分析への汎用性を図る上でも、各自治体が県内地域区分として定義してい る区域1)を参考とした。調査対象となる区域は、
図 3.2
に示す。内訳は、表3.1
に示す。九州全域を対象 として、7県、45 地域(252 市区町村)を地理的範囲に設定し、建設機械及び建機オペレーターの地理 的分布を把握する。図 3.2 調査対象とする地理的範囲(地域区分)
19
表 3.1 地理的範囲(地域区分)の内訳
福岡県
4 地域 (74 市区町村)
福岡地域
福岡市,宗像市,福津市,古賀市,春日市,太宰府市,大野城市,筑紫野市,朝 倉市,糸島市,那珂川町,宇美町,篠栗町,志免町,須恵町,新宮町,久山町,粕 屋町,筑前町,東峰村
北九州地域 北九州市,中間市,行橋市,豊前市,芦屋町,水巻町,岡垣町,遠賀町,苅田町, みやこ町,吉富町,上毛町,築上町
筑豊地域 直方市,宮若市,飯塚市,田川市,嘉麻市,桂川町,香春町,添田町,糸田町,川 崎町,大任町,赤村,福智町,小竹町,鞍手町
筑後地域 久留米市,小郡市,うきは市,大川市,筑後市,八女市,柳川市,みやま市,大 牟田市,大刀洗町,大木町,広川町
佐賀県 5 地域 (20 市町)
北部地域 唐津市,玄海町 西部地域 伊万里市,有田町
中部地域 多久市,小城市,佐賀市,神埼市,吉野ヶ里町 東部地域 鳥栖市,基山町,みやき町,上峰町
南部地域 武雄市,大町町,江北町,白石町,嬉野市,鹿島市,太良町
長崎県
6 地域 (21 市町)
長崎地域 長崎市,長与町,時津町,西海市
県央地域 諫早市,大村市,東彼杵町,川棚町,波佐見町 県北地域 佐世保市,佐々町,松浦市,平戸市,小値賀町 島原地域 島原市,南島原市,雲仙市
壱岐・対馬地域 壱岐市,対馬市 五島地域 五島市,新上五島町
熊本県 9 地域 (50 市区町村)
阿蘇地域 小国町,南小国町,産山村,阿蘇市,高森町,南阿蘇村,西原村 山鹿・菊池地域 山鹿市,菊池市,大津町,合志市,菊陽町
荒尾・玉名地域 和水町,南関町,玉東町,玉名市,荒尾市,長洲町 熊本地域 北区,西区,中央区,東区,南区
上益城地域 益城町,嘉島町,御船町,山都町,甲佐町 宇城・八代地域 宇土市,宇城市,美里町,八代市
人吉・球磨地域 人吉市,五木村,水上村,球磨村,山江村,相良村,多良木町,湯前 町,あさぎり町,錦町
芦北地域 芦北町,津奈木町,水俣市 天草地域 上天草市,天草市,苓北町 大分県 6 地域
(18 市町村)
北部地域 中津市,宇佐市,豊後高田市
東部地域 国東市,杵築市,日出町,別府市,姫島村 西部地域 日田市,玖珠町,九重町
中部地域 大分市,由布市,白杵市,津久見市 豊肥地域 豊後大野市,竹田市
南部地域 佐伯市
宮崎県
8 地域 (26 市町村)
高千穂地域 高千穂町,五ヶ瀬町,日之影町 延岡・日向地域 延岡市,門川町,日向市,
椎葉・美郷地域 諸塚村,美郷町,椎葉村,西米良村
西都・高鍋地域 都農町,川南町,木城町,西都市,高鍋町,新富町
小林・えびの地域 小林市,えびの市,高原町
宮崎地域 国富町,綾町,宮崎市 都城地域 都城市,三股町 日南・串間地域 日南市,串間市
鹿児島県 7 地域 (43 市町村)
北薩地域 出水市,長島町,阿久根市,薩摩川内市,さつま町 伊佐地域 伊佐市,湧水市,霧島市,
鹿児島地域 鹿児島市,姶良市,いさき串木野市,口置市,三島村,十島村 大隅地域 曽於市,志布志市,垂水市,鹿屋市,大崎町,東串良町,肝付町,錦江
町,南大隅町
南薩地域 南さつま市,南九州市,枕崎市,指宿市 熊毛地域 西之表市,中種子町,南種子町,屋久島町
奄美地域 奄美市,龍郷町,大和村,宇検村,瀬戸内町,喜界町,与論町,輪泊 町,知名町,天城町,伊仙町,徳之島町
20 3.3
本研究で使用する統計データ災害被害状況を詳細に記録した既存統計資料として、災害の記録(災害年報)2)、防災白書3)、消防 白書4)、災害統計5)、水害統計6)がある。それぞれの統計資料から得られる情報を表
3.2
に示す。表か らわかるように、災害復旧費総額(応急復旧費と本復旧費の総額)が災害イベント毎に市区町村単位で 把握できるのは、「災害の記録」である。また、災害応急復旧費が把握できるのは「災害統計」のみで ある。したがって、この二つの資料を基に、災害被害状況を定量的に分析する。表 3.2 災害に関する既存統計の概要
災害の記録防災白書 消防白書 災害統計 水害統計注1
(災害年報)
人的被害 ○ ○ ○ ○ ○
建物被害 ○ ○ ○ ○ ○
被害面積 ○ ○注2 ○
災害復旧費総額
(公共土木施設被害額) ○ ○ ○ ○
災害応急復旧費
(公共土木施設被害額) ○
災害イベントでの
区分 ○ ○ ○ ○注3 ○
地域の区分
長崎県、佐賀 県以外は市区 町村単位
全国単位 全国単位 市区町村単位 市区町村単位 現在、ホームペー
ジにより公表され ているデータ
表 3.3
参照 平成 13 年~28 年分
平成 13 年~
27 年分
平成 19 年~
26 年分
平成 18 年~
26 年分 調査開始年 1963 年 1963 年 1969 年 1954 年 1961 年
発行元 九州各県 内閣府 総務省 消防庁
国土交通省 国土交通省
水管理・国土保全局 水管理・国土保全局
防災課 河川計画課
(表中の○印は該当する情報が把握できることを示す)
注1:水害被害に関わるものが対象、注2:農地のみが対象、注3:災害イベント毎の市町村単位での被害内訳は記載さ れていない。また、表
3.3
に災害の記録資料の入手方法について示す。福岡県、宮崎県、鹿児島県は、ホームペー ジ上で直近10
年程度の災害の記録を公表しているが、それ以外の佐賀県、長崎県、大分県は、資料請 求又は開示請求が必要になる。熊本県については、平成12~16
年はホームページで公表しているが、平成
17~23
年は作成していないとの理由から入手することはできなかった。その他、情報収集において、資料請求又は開示請求して入手できた資料は、平成