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アンケート調査結果

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 132-141)

6 地域建設企業の災害応急復旧活動に関する実態調査-九州北部豪雨災害を事例として-

6.3 アンケート調査結果

アンケート調査の結果、調査対象企業124 社のすべてから回答を得ることができた。したがって、地 域建設企業の災害対応時における活動状況を把握するには、有用な情報であると考える。これらの収集 データを整理した結果を以下に示す。

1)災害協定について

調査対象とした地域建設企業の災害協定への加盟状況を表6.2に示す。八女地区で、75 社中73 社と

97%が加盟しており、阿蘇地区については、49社とすべてが加盟していた。また、災害協定に加盟して

いると答えた企業について、その理由を図6.1に示している。

八女地区ならびに阿蘇地区の殆どの地域建設企業が「地域貢献」と回答していたことから、災害対応を 図る上で、協力体制を築くことは、地域にとって、社会的役割の一つと共通の認識をもっていることが伺 える。次いで、「総合評価方式の加点目的」と34%の企業が答えており、入札時における企業評価のイン センティブが働いていることがわかる。また、10~17%の企業については「他の会社も加盟している」

「優先的に復旧活動に参加できる」と回答していた。

表6.2 災害協定加盟の有無 加盟している 加盟していない 八女地区 73 97%) 2 3%)

阿蘇地区 49( 100%) 0 0%)

図6.1 災害協定に加盟している理由(複数回答)

93.3%

34.7%

17.3%

12.0%

95.9%

34.7%

10.2%

14.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

地域貢献 総合評価の 加点目的 他の会社も 加盟している 優先的に復旧活動

に参加できる

八女地区 N=73 阿蘇地区 N=49

124

一方、災害協定に加盟していると答えた企業が災害協定を締結している行政機関を図6.2に示す。

図6.2 災害協定を締結している行政機関

図からわかるように、県または市町村のいずれかと災害協定を締結している地域建設企業の割合は 9 割(八女地区:約96%、阿蘇地区:約 93%)を超えている。また、災害協定を 2つ以上の機関と締結して いる地域建設企業が全体の7割近く存在していた。(一社)熊本県建設業協会阿蘇支部の基調講演資料1)

によると、災害協定の重複により「国、県、市町村、民間からの応急措置の依頼が重なり情報が錯綜した」

「ある業者は、1人の担当者で携帯電話の発信件数が80 件/日、着信件数が40件/日あった」等のこ とが報告されている。よって、災害時における情報錯綜による混乱を軽減するためには、国・県・市町村・

災害協定締結企業等が相互に情報を共有することにより、迅速かつ円滑な初動対応を図る必要があると 考える。

2)初動対応について

九州北部豪雨による発災直後、災害応急復旧へ出動した地域建設企業を表 6.3 に示す。八女地区では 71社(95%)、阿蘇地区では49社(100%)と殆どの企業が出動していた。また、出動したきっかけと なったことの内訳を図6.3に示す。災害出動時のきっかけとしては、「役所からの要請」によるものが最

県・市町村,  54.8%

県・市町村, 

71.4% 県, 12.2%

市町村,  38.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

八女地区 N=73

阿蘇地区 N=49

国・県・市町村・その他 国・県・市町村 県・市町村・その他 県・市町村

県・その他 県

市町村

125

も多く、両地区とも85%以上となっている。殆どの地域建設企業が災害協定を締結しているためと考え る。一方で、30%程度の地域建設企業が「自主的」に出動したと答えており、その中には「地元だから」

といった使命感による活動もあったことが判明した。また、2割程度の地域建設企業に関しては、他業者 からの応援要請を受けて出動したと答えている。

表6.3 災害復旧への出動状況 出動している 出動していない 八女地区 71 95%) 4 5%)

阿蘇地区 49( 100%) 0 0%)

図6.3 災害出動時のきっかけ(複数回答)

図6.4に災害出動するまでに要した時間を示す。即時対応した地域建設企業は、八女地区では54.7%、

阿蘇地区では67.3%と半数以上にのぼる。また、5時間以内(即時対応、1~5時間)に出動した地域建 設企業は、八女地区では74.7%、阿蘇地区では85.7%となる。今回の災害では、大雨が降り続き災害が 発生するまでに、1日以上経過している。しかし、災害対応に必要な資機材(重機、大型土のうなど)や 人員の調整・配備を数日で終えることは、非常に困難であると考える。よって、平常時から災害対応への 十分な出動準備が出来ていたと考える。

86.7%

30.7%

24.0%

6.7%

89.8%

28.6%

18.4%

2.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

役所からの要請

自主的 他業者からの

応援要請 その他

八女地区

N=71

阿蘇地区

N=49

126

図6.4 災害出動するまでに要した時間

3)災害応急復旧の活動について

災害出動した地域建設企業が災害復旧する施工範囲について、どの主体の指示によるものかを図6.5に 示す。八女地区、阿蘇地区ともに、69%以上の地域建設企業が役所からの直接指示により、施工範囲を定 められている。次に、団体(協会)からの指示によって、八女地区では15.5%、阿蘇地区では8.2%の地 域建設企業が施工範囲を定められている。また、自主的に活動した地域建設企業は、両地区ともに6%程 度であり、同業者からの指示によって活動をした地域建設企業もいる。

図6.5 災害復旧する施工範囲を指示した主体

また、災害応急復旧作業が円滑に進んだかという質問に対する回答割合を図6.6に示す。これより「円 滑に進んだ」という地域建設企業は、八女地区で60.6%、阿蘇地区で53.1%と半分程度である。それと は反対に「円滑に進まなかった」と答えた地域建設企業は 1 割にも満たない。また、「どちらでもない」

と答えた地域建設企業が両地区とも35%程度である。

即時対応,  54.7%

即時対応,  67.3%

1~5時間,  20.0%

1~5時間,  18.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

八女地区 N=71

阿蘇地区 N=49

即時対応 1~5時間 6~23時間

1日以上 未回答

役所からの 指示, 69.0%

役所からの 指示, 69.4%

15.5%

8.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

八女地区 N=71

阿蘇地区 N=49

役所からの指示 団体からの指示

自主的 業者からの指示

未回答

127

図6.6 災害復旧作業は円滑に進んだか

災害復旧作業中の問題点を図6.7に示す。復旧作業中の問題点として、八女地区の地域建設企業13社、

阿蘇地区の地域建設企業11社が「指示体制の不徹底」と提起していた。よって、現状の協力(連携)体 制に関しては、統制をとるための指示系統が十分に確立されていないと考える。今度、円滑に災害対応を 図るためにも、この経験を踏まえた上で、協力体制における指示系統等をより明確に改善していく必要 があると考える。また、他にも多くの問題が生じており、その中でも、「資機材・人材の不足」が最も多 かった。

一方で、これまでの公共投資の縮小傾向に加えて入札による価格競争の激化の影響で、厳しい経営環境 のもと、地方の建設業衰退による建設機械や技術者・技能者の不足が指摘されている。総務省統計局事業 所が公表している「企業統計調査及び経済センサス」2)によると、八女市の平成24年全産業就業者数は

平成11年比で5%程度増加しているものの、それとは、対照的に、平成24年建設業就業者数は30%以

上も減少している。阿蘇市に関しても同様の傾向を示していることから、何らかの効果的な対策が必要 である。特に、技術者・技能者の地域毎における現状把握や確保すべき必要量などを検討することが今後 の課題である。

円滑であっ た, 60.6%

円滑であっ た, 53.1%

2.8%

8.2%

どちらでもな い, 35.2%

どちらでもな い, 34.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

八女地区 N=71

阿蘇地区 N=49

円滑であった 円滑でなかった どちらでもない 未回答

128

図6.7 災害復旧作業を進める上での問題点

4)災害対応後のメリット及び影響について

ここでは、災害復旧対応後のメリットの有無及びその内容、災害応急復旧出動したことによる影響の有 無及びその内容、災害応急復旧後及び現状の精算金額の満足度について整理する。

災害復旧出動後のメリットの有無を図6.8に示す。災害応急復旧出動後に「メリットがあった」と答え た地域建設企業が八女地区で49.3%、阿蘇地区で38.8%となっており、「メリット無し」及び「どちらで もない」と答えた地域建設企業が八女地区で45.4%、阿蘇地区で57.1%となっている。メリットがあっ たと答えた地域建設企業は、半数以下である。また、メリットの内容をまとめた図6.9をみると、半数以 下の回答数ではあるが、八女地区に関しては「表彰を受けた」という地域建設企業が18社と多く、両地 区ともに住民から感謝の声や理解・感心を寄せられた喜びをメリットとして回答している。次いで、「地 域貢献できた」と回答している地域建設企業が八女地区で8社、阿蘇地区で5社となっている。一方で、

1社だけではあるが仕事が増えたことを実感している企業もいる。ただし、災害時の応急復旧活動は、本 格的な災害復旧工事ではない。これら工事は通常、競争入札で発注されるため、災害協定を結んでいる企 業あるいはその際、その場所を応急復旧したからといって、そのまま施工できるわけではない。

16

13

8

7

6

4

1

9

11

3

4

6

3

0 5 10 15 20

資機材・人材の 不足 指示体制の

不徹底 二次災害・安全

確保 搬入経路の確保

電話不通・連絡 体制 がれき置場の確保

事前の協議・訓練

八女地区 N=55 阿蘇地区 N=36

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