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まとめ

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6 地域建設企業の災害応急復旧活動に関する実態調査-九州北部豪雨災害を事例として-

6.4 まとめ

本章では、平成24年7月に発生した九州北部豪雨災害の応急復旧活動に携わった地域建設企業の災害 対応の実態を把握するために、アンケート調査を行った。その結果、以下のような知見が得られた。

1) 殆どの地域建設企業が災害協定に加盟しており、災害に備えて、協力体制を築くことは、地域にとっ て、社会的役割の一つと共通の認識をもっていることが判明した。また、入札時における企業評価の インセンティブが働いていることもわかった。

2) 地域建設企業の大部分は、地方自治体(県・市町村)と災害協定を締結していることがわかった。一 方では、災害協定を、2つ以上の複数機関と重複して締結している地域建設企業が全体で約7割近く あり、情報錯綜による混乱が発生していたことがわかった。

3) 災害出動に関しては、役所からの要請によるものが最も多かったが、一方で、自主的な活動もあった ことが判明した。

4) 発災直後、8割程度の地域建設企業が5時間以内に出動していることから、平常時から十分な出動準 13

14

8 8

7

11

0 5 10 15

道路啓開

地域貢献

地元を守る

八女地区 N=35 阿蘇地区 N=26

133 備が出来ていたということがわかった。

5) 現状の協力(連携)体制に関しては、統制をとるための指示系統が十分に確立されていないというこ とが明らかとなった。

6) 災害応急復旧時には、「手持ち工事の遅れ」による影響が最も多く、災害復旧を優先し、入札辞退した 地域建設企業も存在していた。また、人材不足と回答した地域建設企業も存在していた。

7) 緊急時の対応ともなると平常時とは異なり、余分な経費が必要となるため、災害時の積算単価には、

災害対応や準備に要する実費が清算されていないことがわかった。

また、アンケート調査結果から、災害応急復旧力を維持・確保していくための今後の課題を次に示す。

1) 国・県・市町村・災害協定締結企業等が相互に情報共有し、迅速かつ円滑な初動対応を図るための情 報共有システムの整備が必要である。

2) 協力体制の指示系統をより明確にする。例えば、建設業協会の各支部が連絡調整役を担うことで、

国、県、市町村からの応急措置依頼の重複、膨大な数の依頼連絡による情報錯綜等の問題点を解決す る。

3) 災害応急復旧時には、入札執行期間を長く設けるなど地域建設企業の負担を軽減させる対策が必要 である。

4) 技術者・技能者の所在情報を把握し、地域防災力の観点から、今後、確保すべき対策を検討する。

5) 災害時の積算単価に、災害対応や準備に要する実費を十分に加味する必要がある。

以上、述べたように、地域建設企業が災害発生時に果たしてきた役割は非常に大きい。また、その多く は、自主的に地域貢献を行っている。しかし、これまでの公共投資の縮小により、その余裕を失っている。

現状の財政事情を考えると、今後の地方への公共投資も回復がそう高くは見込めないものと思われる。

よって、災害時に頼りになる地域建設企業を存続させるための新たな施策を講じる必要があると考える。

今後、地域によっては、工事量の更なる減少が続くと、地域建設企業は経営状況の悪化から建設機械を 手放し、建設機械のオペレーターの雇用もそれに伴って、減少していくことは必然的である。その結果、

災害時に十分な力が発揮できず、地域建設企業と行政機関との協力体制を維持していくことは非常に困 難になるといえる。阿蘇支部の現状をみても、平成12年に89社だった支部会員は平成24年に51社と ここ10年で、約6割にまで減っている3)。したがって、地域建設企業と行政機関の協力体制を維持して いくための方策が重要である。例えば、最近、国土交通省四国地方整備局では、地域における防災力の維 持並びに中山間地域に精通した優良な地元企業の健全な育成を促進することを目的として、「地域防災力

(地元企業)活用審査型総合評価落札方式」4)を試行している。また、平成26年2月に、同省関東地方整

備局においても、大規模災害時の復旧・復興支援や除雪、地域インフラの維持管理などに役立つ建設機械

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を保有する企業の割合を高めるために、総合評価落札方式で建設機械を自社保有している企業が有利に なる新たな評価制度の検討に入ると発表している5)。平成26年6月の品確法改正後も多くの自治体が入 札時の総合評価落札方式によって、建設機械の保有状況を評価している。このように、インセンティブを 付与することで、災害時に重要な役割を担う地域建設企業が存続できる環境整備も必要である。

参考文献

1) 公益社団法人木学会建設マネジメント委員会:「地域に密着した災害復旧の今と未来」に関するシ ンポジウム,講演資料,2013年12月5日

2) 総務省統計局:企業統計調査及び経済センサス-活動調査,

http://www.stat.go.jp/data/e-census/2012/,(2014.5.19閲覧)

3) (財)建設業振興基金:九州北部豪雨における建設業の災害対応実態調査(ヒアリング)報告書,

平成25年6月,p13,http://www.shinko-web.jp/

4) 国土交通省四国地方整備局:地域防災力(地元企業)活用審査型総合評価落札方式の試行(工事概 要)について,平成24年6月1日, http://www.skr.mlit.go.jp/pres/h24backnum/kikaku/120601/120601-2.pdf

5) 日刊建設工業新聞:入札制度面から設備投資後押し,2014年2月3日,

http://www.decn.co.jp/?p=5425

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