5 地域毎の大規模災害応急復旧時における建設機械及び建機オペレーターの必要量と賦存量の比較
5.3 県内地域単位での比較
建設機械ならびに建機オペレーターの必要量と賦存量(供給可能量)を、県をさらに分割した地域単位 で比較する。ここでは、災害記録(公共土木施設被害額データ)が地域単位で入手できた福岡・熊本・大 分・宮崎・鹿児島の5県を対象として比較した結果を図5.3~図5.12に示す。
図5.3と図5.4より、福岡県内の地域単位では、県単位と同様に全地域(4地域)において必要量より 賦存量が大きくなっており、応急復旧に必要な建設機械が十分に確保されていることがわかる。九州北 部豪雨災害の被災規模では、地域建設企業の保有する建設機械の賦存量だけでみても、必要量よりも大 きい。また、オペレーターの数も充足していることから地域建設企業による対応だけで補えることが伺 える。
図5.5 に示している熊本県の9 つの地域では、福岡県と同様に、建設機械の必要量よりも賦存量が大 きい。九州北部豪雨クラスの被害規模では、各地域単位にある建設機械で十分、対応できる。一方、9つ の地域の中でも最も被害の大きかった阿蘇地域では、0.8百㎥/㎢の処理が必要な土工量に対して対応可 能な賦存量は1.5百㎥/㎢と十分に対応できるものの、図5.6からわかるように、建機オペレーターの数 は不足していた。すなわち、建設機械は充足していても、それを操縦するオペレーターの数が不足してい るために、災害対応に支障をきたすこともあるということがここから見てとれる。実際に、九州北部豪雨 災害の対応を経験した建設機械リース・レンタル業者の方に、災害対応時の状況をヒアリングした際、
「現場へ建設機械を搬送するのは良いが、運び込まれたその多くが、そのままになっており、放置されて いた。機械はあっても、運転する人がいない状況にあった。」と述べている。よって、今後、オペレータ ーが不足する地域には、ある一定量のオペレーターの確保が必要となる。
また、図5.7と図5.8に大分県の6地域を示している。熊本県と同様に建設機械の必要量に対して賦存 量は十分に足りているが、建設機械のオペレーターの数は、西部地域と豊肥地域で不足していた。
図5.9と図5.10に示す鹿児島県内の地域単位では、県全体と同様に全7地域において建設機械ならび に建機オペレーターは、必要量より賦存量が大きく、応急復旧に必要な建機オペレーターが十分に確保 されている。したがって、鹿児島県で発生した平成17年台風14号による被害規模であれば災害対応が 十分に可能である。
一方、過去10年の災害の中で最も被害規模が大きく、建設機械と建機オペレーターに不足がみられた 宮崎県内の8地域を図5.11と図5.12に示す。
図5.11 に宮崎県台風14 号災害における建設機械の必要量と賦存量の比較結果を示している。地域建 設企業の賦存量だけでみた場合、小林・えびの、都城地域以外の6地域では、災害対応が困難な状況にあ る。高千穂地域では、9.2百㎥/㎢の被害(必要量)に対して、0.6百㎥/㎢の賦存量を示した。また、
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椎葉、美郷地域でも3.7百㎥/㎢の被害に対して0.8百㎥/㎢程度の土量にしか対応できない状況にある ことが伺える。県の中心地である宮崎地域でも同様に、建設企業の保有する建設機械だけでは、対応しき れないことがわかる。また、全地域において、2.4百㎥/㎢に満たないレベルでの災害対応力であること から、高千穂及び椎葉・美郷地域で起こった災害規模(3.7 百㎥/㎢以上の規模)の被害を受けた場合、
どの地域においても地域建設企業の保有する建設機械だけでは対応できないことがみてわかる。一方で、
地域建設企業とリース・レンタル企業が連携して災害対応を行った場合、高千穂地域と椎葉・美郷地域を 除いた 6 地域では、対応することができる。ただし、高千穂地域で起こった災害規模の被害を受けた場 合、すべての地域において、十分な災害対応をできないことがわかる。よって、応急復旧に必要となる建 設機械の災害応急復旧力(対応可能土工量)には空間的な偏在がある。
一方、図5.12からわかるように、地域毎の建機オペレーターの必要量と賦存量を比較した結果、小林・
えびの地域、宮崎地域、都城地域の3地域については、必要量に対して、対応できる建機オペレーターの 数は多く、充足していた。それ以外の地域では、必要量の方が多いことから建機オペレーターの数が不足 していた。特に、高千穂地域と椎葉・美郷地域では、顕著であり、高千穂地域では、建機オペレーターの 必要量2.35人/㎢に対して、0.11人/㎢と非常に少ない。また、椎葉・美郷地域では、建機オペレータ ーの必要量0.96人/㎢に対して、0.10人/㎢と1割程度である。したがって、宮崎県内で発生した平成 17 年台風 14 号クラスの被害を受けた場合、地域単位での地域建設企業だけでは災害対応が非常に困難 な状況にある。このように広域的に大きな被害をもたらす災害については、ここで示した人数だけで判 断した場合、地域間で連携したとしても十分な応急復旧は困難であり、県外からの協力が必要不可欠と なる。
また、災害対応に必要な建機オペレーターを確保できていない地域は、少子高齢化や雇用問題等によ り、人口減少とともに過疎化が進行している地域である。そのような地域は、県の地域内だけでは、災害 対応が困難であり、県外との連携を図ることで、建機オペレーターを 2 次的に補填することが災害応急 復旧力を強化するために最も重要となる。現状、全国的にも建設産業における新規入職者が減少してい ることも考慮すると、他地域や他県との連携強化は必至である。今後、地域の災害応急復旧力向上の観点 から、県・市町村などの行政と地域建設企業が一体となって、応急復旧活動に必要となる建設機械ならび に建機オペレーターの確保に向けた取り組みを推進していくことが大切である。
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図5.3 地域面積当たりの建設機械の必要量と賦存量の比較(福岡県)
図5.4 地域面積当たりの建機オペレーターの必要量と賦存量の比較(福岡県)
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図5.5 地域面積当たりの建設機械の必要量と賦存量の比較(熊本県)
図5.6 地域面積当たりの建機オペレーターの必要量と賦存量の比較(熊本県)
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図5.7 地域面積当たりの建設機械の必要量と賦存量の比較(大分県)
図5.8 地域面積当たりの建機オペレーターの必要量と賦存量の比較(大分県)
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図5.9 地域面積当たりの建設機械の必要量と賦存量の比較(鹿児島県)
図5.10 地域面積当たりの建機オペレーターの必要量と賦存量の比較(鹿児島県)
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図5.11 地域面積当たりの建設機械の必要量と賦存量の比較(宮崎県)
図5.12 地域面積当たりの建機オペレーターの必要量と賦存量の比較(宮崎県)
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