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MIM 製 Ti-6Al-4V 合金の疲労強度の向上

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

MIM 製 Ti-6Al-4V 合金の疲労強度の向上

工藤, 健太郎

http://hdl.handle.net/2324/1959125

出版情報:九州大学, 2018, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

MIM 製 Ti-6Al-4V 合金の疲労強度の向上

工藤 健太郎

2018 年 6 月

(3)

I 目次

第1章 序論 ... 1

1.1 金属Tiの歴史および用途 ... 1

1.2 Tiの金属学的特性 ... 3

1.3 Tiの粉末冶金への適用 ... 6

1.4 金属粉末射出成形法とは ... 8

1.5 MIM製Ti合金の研究動向 ... 11

1.6 Ti-6Al-4V合金における疲労強度の支配因子 ... 13

1.7 研究の目的 ... 16

1.8 本論文の構成 ... 17

1.9 参考文献 ... 18

第2章 試験片の作製方法および評価方法 ... 23

2.1 試験片の作製方法 ... 23

2.1.1 原料粉末 ... 23

2.1.2 混練工程 ... 23

2.1.3 射出成形工程 ... 25

2.1.4 脱脂工程 ... 27

2.1.5 溶媒脱脂工程 ... 27

2.1.6 加熱脱脂および焼結工程 ... 29

2.1.7 HIP処理 ... 30

2.2 試験片の評価方法 ... 30

2.2.1 相対密度の測定方法 ... 30

2.2.2 光学顕微鏡による組織観察の方法 ... 31

2.2.3 EBSDによる組織観察 ... 31

2.2.4 酸素量測定 ... 32

2.2.5 引張試験 ... 32

2.2.6 常温疲労試験 ... 32

2.2.7 破面観察の方法 ... 33

2.3 参考文献 ... 33

第3章 微細粉末の利用による高強度化 ... 34

3.1 緒言 ... 34

3.2 試験片の作製方法 ... 34

3.2.1 原料粉末 ... 34

3.2.2 焼結体の作製条件 ... 36

3.3 実験結果 ... 36

3.3.1 相対密度 ... 36

(4)

II

3.3.2 光学顕微鏡による組織観察 ... 37

3.3.3 EBSDによる組織観察 ... 39

3.3.4 酸素量 ... 39

3.3.5 引張強度特性 ... 42

3.3.6 疲労強度特性 ... 42

3.3.7 破面観察 ... 44

3.4 まとめ ... 48

3.5 参考文献 ... 48

第4章 Mo,B両元素添加による高強度化 ... 50

4.1 緒言 ... 50

4.2 試験片の作製方法 ... 52

4.2.1 原料粉末 ... 52

4.2.2 焼結体の作製条件 ... 53

4.3 実験結果 ... 54

4.3.1 相対密度 ... 54

4.3.2 光学顕微鏡による組織観察 ... 54

4.3.3 EBSDによる組織観察 ... 55

4.3.4 酸素量 ... 56

4.3.5 引張強度特性 ... 57

4.3.6 疲労強度特性 ... 58

4.3.7 破面観察 ... 59

4.4 考察 ... 61

4.4.1 4Mo-0.4Bの緻密化の要因 ... 61

4.4.2 4Mo-0.4B-HIP材の延性低下要因 ... 62

4.5 まとめ ... 66

4.6 参考文献 ... 66

第5章 α+β域焼結による高強度化 ... 69

5.1 緒言 ... 69

5.2 試験片の作製方法 ... 71

5.2.1 原料粉末 ... 71

5.2.2 焼結体の作製条件 ... 71

5.3 実験結果 ... 72

5.3.1 相対密度 ... 72

5.3.2 光学顕微鏡による組織観察 ... 72

5.3.3 EBSDによる組織観察 ... 73

5.3.4 酸素量 ... 73

(5)

III

5.3.5 引張強度特性 ... 75

5.3.6 疲労強度特性 ... 76

5.3.7 破面観察 ... 77

5.4 考察 ... 78

5.4.1 α+β域焼結における組織形成機構 ... 78

5.5 まとめ ... 79

5.6 参考文献 ... 79

第6章 水素化脱水素処理による高強度化 ... 81

6.1 緒言 ... 81

6.2 試験片の作製方法 ... 82

6.2.1 原料粉末 ... 82

6.2.2 焼結体の作製条件 ... 83

6.3 実験結果 ... 85

6.3.1 相対密度 ... 85

6.3.2 光学顕微鏡による組織観察 ... 85

6.3.3 EBSDによる組織観察 ... 88

6.3.4 酸素量 ... 89

6.3.5 引張強度特性 ... 90

6.3.6 疲労強度特性 ... 91

6.3.7 破面観察 ... 91

6.4 考察 ... 93

6.4.1 HDH,HDH-HIPの延性低下要因 ... 93

6.5 まとめ ... 97

6.6 参考文献 ... 97

第7章 高サイクル疲労強度に及ぼす気孔および結晶粒の影響 ... 99

7.1 緒言 ... 99

7.2 実験方法 ... 99

7.2.1 極値統計による最大気孔径推定の方法 ... 99

7.3 実験結果および考察 ... 101

7.3.1 最大気孔径の推定結果 ... 101

7.3.2 結晶粒径と疲労強度の関係 ... 105

7.3.3 結晶粒径,推定最大気孔径,疲労強度の関係 ... 106

7.3.4 相対密度と疲労強度の関係 ... 108

7.4 まとめ ... 109

7.5 参考文献 ... 109

第8章 結言 ... 110

(6)

- 1 -

第1章 序論

1.1 金属 Ti の歴史および用途

金属チタン(Titanium:Ti)は元素の地殻存在量を表すクラーク数で 10 番目 に位置する元素であり,遷移元素に限れば鉄に次ぐ順位に位置しており,豊富 に存在している元素と言ってよい1)

しかしながら,Tiの実用金属としての歴史は非常に浅く,最初の発見は1790

年,William Gregor(1761年~1817年,イギリス)によると言われている.彼は

メナカン谷から採取した磁性を有する砂の中に未知の元素の酸化物があること を発見し.「Menachite」と命名した.1795年には化学者Martin Heinrich Klaproth

(1743年~1817年,ドイツ)がルチル鉱の分析から,これが特異な性質を持つ 金属の酸化物であることを見出し,ギリシャ神話の巨人であるタイタンにちな んで「Titan」と命名した.しかしながら,純粋な金属Tiの精製にはそこから100 年以上の月日を要することとなる.1910年に,アメリカの化学者であるMatthew

Albert Hunter(1878年~1961年,アメリカ)が,四塩化チタン(TiCl4)の金属

ナトリウムによる還元を利用したナトリウム還元法(ハンター法)を発明,高 純度のTiの単離に成功し,初めて実用金属としてのTiの歴史が始まったのであ る.その後,1946年にルクセンブルクの冶金学者William Justin Kroll(1889年

~1973年,ルクセンブルク)がマグネシウム熱還元法(クロール法)を発明し,

現在まで Ti の主要な商業生産法として利用されている2).クロール法にて得ら れる純Tiはスポンジチタンと呼ばれ,多孔質の塊であるため,破砕されて出荷 される.その後,各金属メーカーにて溶解されインゴットとして鍛造および圧 延を施されることで線材や平板といった種々の展伸材へと加工され,製品に利 用されている.

TiおよびTi合金は軽量高強度,高耐食性,生体適合性等の多くの面で優れた 特性を有している.そのため,航空宇宙産業や化学プラント,生体用材料とし て利用されている.世界におけるTi展伸材の用途の半分は航空機産業であり,

2007年では世界の展伸材用Tiの需要約 9.5万トンの内,航空機用は約 4.8万ト ンを占めている3.航空機用途のTi合金の使用量は年々増加しており,2006年 に就航したAirbus 社の A380 では機体構造(エンジンを除く)用材料のうちTi

(7)

- 2 -

合金の使用比率は9 %を占めている.更に2008年に就航したBoeing社のB787 ではTi合金の使用比率は15 %まで増加している3.これはCFRP(Carbon Fiber

Reinforced Plastics)の利用拡大に伴うものである.CFRP に対して Al 合金を結

合させると電位差による腐食が発生するため,CFRPに対して腐食の発生しない Ti合金がAl合金の従来適用されていた部品にまで適用されるようになったため である 4).そのため,今後も複合材料の適用拡大に伴い,Ti 合金としての適用 部材も増加するものと推定されている.

Tiの板材1トン当たりの製造コストは100万円以上と非常に高く,鉄鋼の20 倍,Al合金やステンレス鋼の数倍である5.航空機用Ti合金部材には立体的な 構造の部品が数多く存在し,一例としてはバルクヘッド(機内の隔壁)用部品 が挙げられる.バルクヘッド用部品には軽量高強度および高剛性が要求される ため複雑なポケット切削加工が施される.この際,熱間成形によって素形材を 作製した後,切削加工が施されるが,素形材の時点で高精度に成形することは 困難であることに加え,非常に切削性が悪く,大量の切りくずが発生すること となる3).そのため,機体構造部品やエンジン用部品におけるbuy-to-fly ratio(航 空機用部品における購入した材料の重量と最終的な部品重量との比率)は7:1か ら20:1に及ぶと言われている6).以上のようにTi合金製部品は素材コストおよ び加工コストの両面で非常に高額な部品となっており,これを改善するための 材料および加工プロセスの開発が必須となっている.

材料面の低コスト化として酸素や窒素を始めとするユビキタス元素を利用し た合金の開発7-9)や,Tiの精錬に関する研究が進められている10,11.これまで利 用されてきた MgCl2を利用して Ti を還元するクロール法に対して,CaCl2を利 用して還元を行う手法がChenら12),小野と鈴木13)らによって提案されている,

また,FangらはMgH2を利用してTiH2を形成させ,脱水素によってTiを回収す るプロセスを提案している 14).International Titanium Powder 社(アメリカ)は TiCl4ガスと気体の Na を反応させ,Ti 粉末の連続的な製造が可能な Armstrong 法を開発している 15).近年,開発が進められている精錬方法においては,生成 されたTiは粉末の場合が多いようである16)

また,加工プロセスの改善としては超塑性変形を利用した塑性加工プロセス

17, 18)や,ニアネットシェイプでの加工法として,粉末冶金法の適用拡大へ向けた

(8)

- 3 -

研究が進められている 17-19).特に粉末冶金法は先述した新精錬法の生成物であ るTi粉末の直接利用に有効なプロセスと考えられ,注目されている.

1.2 Ti の金属学的特性

Tiの結晶構造の模式図をFig. 1.1に示す.Tiは1158 K(885 oC)を境に結晶構 造が変化する.低温側では稠密六方構造(HCP: Hexagonal Close-Packed)をと り,これをα相と呼ぶ.高温側では体心六方構造(BCC:Body-Centered Cubic)

をとり,これをβ 相と呼ぶ.また,この α/β 同素変態温度を β-transus 温度と呼

ぶ.この β-transus 温度は種々の元素を添加することで変化させることが可能で

ある.β-transus温度を高温域に上昇させ,α相を安定化させる元素をα安定化元

素と呼び,これには Al,Ga,Ge,C,N,O 等が該当する.逆に β-transus 温度 を低下させるβ安定化元素としては役割が二種類あり,Mo,V,Ta,Cbはβ相 に固溶し,β相の固溶体を形成する元素である.Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Si,

H は共析相を形成し,常温における β 相への固溶度は比較的低い元素である.

Ti合金には,これらの元素の組み合わせにより,主にα相を利用するα型合金,

α相とβ相の混在するα+β型合金,主としてβ相からなるβ型合金の三種類があ り,要求される特性に応じて使い分けがなされている.最も汎用的なTi合金と

してα+β型合金のTi-6Al-4Vが様々な用途に利用されている.Ti-6Al-4Vにはα

相の固溶強化のために 6 mass%の Al と β 相を常温域で安定化させるために 4

mass%のVが含有されている.α+β型合金の特徴として,熱処理によって組織を

操作できることが挙げられる.

Fig. 1.2にTi-6Al-4V合金の光学顕微鏡組織を示す20).写真中の白色相がα相,

黒色相が β 相である.(a)は等軸組織と呼ばれ,鍛造材として最も利用される組 織である.等軸組織は α+β 域における鍛造加工によって形成される.等軸組織 は他の組織と比較して微細であるため強度,延性,高サイクル疲労強度に優れ ている.(b)はラメラ組織もしくは針状組織と呼ばれ,鋳造材や粉末冶金材に典 型的な組織である.このラメラ組織は等軸組織と比較して粗大であるために,

破壊靭性や疲労き裂進展抵抗,クリープ強度に優れている.Fig. 1.3にラメラ組 織形成の模式図を示す21).この図の左側の状態図はTi-6AlとVの状態図である.

ラメラ組織は β 単相域からの徐冷によって生成する.この β 単相域における β 粒を旧β粒(prior β grain)と呼ぶ.β-transus温度を下回るとα相がβ相と特定

(9)

- 4 -

の方位関係を保ちながら析出する.この α 相は β 粒の粒界から発生するため,

一つの平面を為している粒界からは複数の平行な板状 α 相が析出しやすく,結 果として平行な板状α相群が析出する.そのため,

Fig. 1.2(b) に示したラメラ状の組織を呈することとなる.この板状α相群をα

コロニー(α colony) と呼ぶ.Fig. 1.4 にラメラ組織の模式図を示す.実際の

Ti-6Al-4V合金の徐冷時には,β粒界には優先的にα 相が析出するために,粒界

α相が析出する.ラメラ組織を有するTi合金においては旧 β粒とα コロニーの サイズが微細であるほど,機械的特性が向上することが知られている22)

Fig. 1.1 Schematics of crystal structure of α phase and β phase.

Fig. 1.2 Optical micrographs of various microstructures of Ti-6Al-4V alloy. These are (a) equiaxed microstructure, (b) lamellar microstructure, 20.

(a) α phase (HCP)

~ 1158 K

(b) β phase (BCC) 1158 K~

β phase (black region) α phase (white region)

(10)

- 5 -

Fig. 1.3 Schematic illustration of formation of lamellar microstructure in a Ti-6Al-4V alloy21).

(11)

- 6 - Fig. 1.4 Schematic of lamellar microstructure.

1.3 Ti の粉末冶金への適用

粉末冶金によってTi製部品を作成する試みは1970年代から進められてきた.

当時,Ti製部品を作製する成形法として利用されていたのはプレス成形に加え,

CIP(Cold Isostatic pressing)処理やHIP(Hot Isostatic Pressing)処理といった静 水圧成形であった 23).一般的な粉末冶金においては多くの部品に対して単軸プ レス成形が利用されているが,Ti 部品は航空機用途として複雑形状が要求され ることから,プレス成形による部品の作製例は少なく,当初より静水圧成形に よる部品の作製例が多く報告されている.CIPはゴム型の中に金属粉末を充填し,

静水応力下で粉末を圧縮し成形を施すため,複雑な形状の成形体を作製するこ とができる.また,ゴム型を利用するために離形も容易であり,潤滑の必要が なく,Ti の汚染を抑制することが出来るというメリットも存在する.その後,

成形体を真空雰囲気中で焼結することによって部品を作製することができる.

Fig. 1.5にCIPによって作製したインペラの写真を示す.焼結工程のみでは相対

密度は95 %程度であるので,100 %の密度を得るにはHIP処理が施される.そ

の他,大物のTi部品を作製する手法として,Colt Crucible 社(アメリカ)の開 発したHIP-CCMP法(CCMP:Colt-Crucible ceramic mold process)がある24).こ

Boundary α phase

α colony

(12)

- 7 -

れはロストワックス法と類似したプロセスであり,ろうの模型よりセラミック モールドを作製する,セラミックモールドを焼成し,緻密化させた後,モールド 内にTi粉末を充填,脱ガスおよび密封処理を施した後にHIP処理を施すという プロセスである.本プロセスはセラミックモールドを利用するために,カプセ ル HIP にて使用される金属缶(板金にて作製される)と比較して形状の自由度 が高いという特徴を有している.

Fig. 1.5 Impeller produced from Ti-6Al-4V elemental blend powder by cold isostatic pressing process (CIP), using an elastomeric mold23).

これまでに述べた技術はTi粉末冶金製品の黎明期の技術である.近年,開発 が進められている粉末冶金の技術としては Additive Manufacturing25,26)や金属粉 末射出成形法(MIM:Metal Injection Molding)27,28)が挙げられる.Additive

Manufacturingは日本語では付加製造や3Dプリンティングとも呼ばれ,様々な方

式が存在しているが,基本的には製品の三次元CADモデルとスライスした二次 元データを元に材料を積み重ねて最終形状の製品を作製する技術である.

Additive Manufacturing では,通常の切削加工や成形加工では不可能なオーバー

ハング形状や中空複雑構造を実現可能であり,これまでにない形状の部品を作 製できるため,Ti合金への適用も進められている29,30).しかしながら,Additive

(13)

- 8 -

Manufacturing は表面粗さの面から後加工が必要であることが多く,また造形自

体に時間を要することから,大量生産への適用には困難が伴っている.MIMは 金属の粉末を樹脂に混ぜ込み,プラスチック射出成形と同様の射出成型機にて 金型内に充填・成形を行う.成形体は多量の樹脂を含有するために,脱脂工程 にて樹脂成分を除去した後,焼結を施され,金属製品が作製される.MIMは金 型を利用して形状を付与するため,高精度かつ複雑形状の部品を大量生産する ことが可能である.そのため,複雑形状が要求される航空機用Ti部品の大量生 産に対しては適したプロセスと考えられ,多くの研究・開発が進められている

31, 32)

1.4 金属粉末射出成形法とは

Fig. 1.6 Schematic diagram of metal injection molding.

Fig. 1.6に金属粉末射出成型法(MIMプロセス)の概要を示す.MIMは大き

く分けて 4 つの工程から成り立っており,それぞれ,金属粉末とバインダの混 練プロセス,射出成形機を使用した射出成形プロセス,バインダを取り除く脱 脂プロセス,金属粉末同士を焼結によって焼き固める焼結プロセスとなってい る.

混練プロセスにおいては,金属粉末とバインダを混ぜ合わせ,射出成形可能 となるレベルの粘度を付与することを目的としている.金属粉末は平均粒径 10

µm~20 µm程度の微細粉末が利用される.バインダは熱可塑性のポリマーが使

Metal powder

Kneading Injection molding Metal parts

Materials

Pelletizing

Binder

Debinding Sintering

(14)

- 9 -

用され,典型的なバインダ組成としては 65 mass%のパラフィンワックス,30 mass%のポリプロピレン,5 mass%のステアリン酸である.これらのポリマーは 金属粉に対して40 vol%の比率で423 K(150 oC)にて混練される28)

射出成形プロセスにおいてはプラスチック射出成形と同様の射出成形機が使 用されるが,金属粉との接触による摩耗の抑制のため,スクリューやノズルに 硬質めっきが施される.基本的にはプラスチック射出成形と同様であるが,せ ん断速度が高い場合は粉末とバインダの分離が生じ,バインダのみが製品端部 に充填することがあるなど,MIM固有の問題も生じる.また,射出成形に際し てスプール・ランナー・ゲートといった材料の通路部の再利用が可能であるた めに材料の歩留りが非常に高い.

脱脂プロセスにおいて,バインダを成形体より取り除く.最も一般的に利用 されている手法としては成形体を加熱し,バインダを熱分解によって除去する 熱分解法である.しかしながら,バインダの熱分解速度が速すぎると,成形体 にクラック,膨れ,変形等の不具合が生じるため,熱分解法では徐々に加熱す る必要がある.そのため工程に長時間を要するといった問題があり,この課題 を解決するために様々な脱脂プロセスが開発されている 33).また,この脱脂プ ロセスがMIM製品の許容肉厚を大きく制限しており,通常は10 mm~25 mm程 度の肉厚に制限されている.

焼結プロセスは従来の粉末冶金と同様であるが,射出成形では粉末に塑性変 形を加えることなく充填を行うために,粉末の密度むらが生じず,等方的に収 縮が生じる.そのため,高精度の部品作製がより容易となる.

従来のプレス成形製焼結プロセスと比較したMIMの利点および欠点は以下の ようにまとめることが出来る.

利点

MIM 製品はプラスチック射出成形品と同等の自由度を有しており,複雑形 状部品の大量生産を実現することができる.

ゲート・スプール・ランナーの再利用が可能であるため,材料歩留りが非常 によい.

バインダにより流動性を付与するため,プレス成形による焼結製品と比較し て細かい粉末が利用可能である.

(15)

- 10 -

そのために焼結性が優れており,相対密度 95 %を超える製品を容易に作製 できる.そのためにプレス成形製品と比べて機械的特性に優れる.まためっ き処理やHIP処理を封孔処理なしで適用できる.

プレス成形品に見られる様な圧粉密度のむらが無く,焼結時に等方的に収縮 する.そのために精度が高く,0.1 %~0.3 %の寸法精度が実現可能

欠点

微細粉末は価格が高く,大型製品ではコストメリットが減じる.

脱脂に時間を要するため,大型化,特に厚肉化が困難である.

プラスチック射出成形と同様の欠陥(ヒケ,ウェルド等)に加え,粉末とバ インダの分離といったMIM独特の不具合が発生する.

バインダに由来する不純物成分(炭素・酸素等)が製品に残留し,機械的特 性を低下させる場合がある.

MIMは以上の様な利点と欠点を有していることから,軽量・薄肉の複雑形状製 品や難加工材料の複雑形状製品への適用例が多い.

以上の様にMIMは,Ti合金のような高価格かつ難加工な材料の作製に適して いるとともに,航空機部品を始めとする複雑形状を要求される部品の大量生産 には適したプロセスであると考えられる.

一例として,展伸材から切削加工によって作製したTi部品のbuy-to-fly ratio は

12: 1であるのに対し,同部品をMIMによって作製した場合はほぼ1:1に近く,

大幅に材料ロスを低減できることが報告されている(Fig. 1.7)34)

(16)

- 11 -

Fig. 1.7 Raw material utilization by machining and MIM34).

1.5 MIMTi 合金の研究動向

先述したように, MIMのTi合金への適用はメリットが大きいことから,種々 の面から研究開発が実施されている.射出成形工程ではフィードストック(粉 末と樹脂の混練物)の流動性が重要であるため,MIMには球状粉末が適してい る.また,焼結体の酸素量が高いと機械的特性が悪化するため,球状かつ酸素 量の低いTi粉末の作製法が研究されている35,36).Ti焼結体はバインダ由来の酸 素や炭素に容易に汚染されるため,Ti 合金向けとして様々なバインダが開発さ

れている37,38).しかしながら,MIMのTi合金への適用に際して最も重要とされ

ているのは機械的特性である.Ti合金として代表的な組成であるTi-6Al-4V合金 のMIMへの適用は種々の研究者によって進められており,MIM製Ti-6Al-4Vの 機械的特性について以下のように整理できる.

ガスアトマイズ製またはプラズマアトマイズ製の合金粉末は酸素量を低減 できるため,焼結体の機械的特性の面で好ましい 35).一例として,TiH2

砕粉末と Al-40V粉末の混合粉製焼結体では酸素量が高いため機械的特性に

劣る35,39)

(17)

- 12 -

MIM製Ti-6Al-4V合金は溶製材規格を満たす引張強度および伸びを示す.溶

製材(ASTM Grade5)の規格値である引張強度895 MPa,伸び10 %に対し て,MIM製Ti-6Al-4V合金は900 MPa~1000 MPa,伸び10~15 %を示す32,35, 41). 酸素量は引張強度特性に対して最も影響するパラメータである.特に,焼結 体の含有酸素量に脆化のしきい値があり,伊藤らは0.35 mass%39),Ebelらは

0.32 mass%40)を超えると著しく伸びが低下すると報告している.

引張強度を支配しているパラメータとして酸素量と相対密度があり,伊藤ら は以下の実験式(1)を提案している39).ここで,σは引張強度[MPa],Oは酸 素量[mass%],ρは相対密度[%]である.ただし,適用範囲はO < 0.5 mass%,

ρ > 94.5 %である.

= 700 × + 10 × − 315 (1.1) 引張強度特性が溶製材同等である一方,焼結ままの MIM 製Ti-6Al-4V の疲 労強度は溶製材の6割程度と著しく低い40-45)

HIP処理を施すことで,疲労強度は多少改善するものの,溶製材の強度の 7 割程度と依然として及ばない.41, 43

以上のようにMIM製Ti-6Al-4V合金の静的特性は溶製材に匹敵するものの,疲 労強度が著しく劣っていることが指摘されている.構造用部材として MIM 製 Ti 合金を利用する上では,この疲労強度が低いという欠点はその適用範囲を著 しく狭めると考えられ,疲労強度の改善は急務と考えられる.

MIM 製 Ti-6Al-4V 合金の疲労強度が鍛造材と比べて低い原因は,その組織に

ある.焼結工程において β 単相域にて焼結が施され,その後炉冷にて徐々に冷 却されるために,焼結体は粗大なラメラ組織を呈する.このラメラ組織は鍛造 材の等軸組織と比較して粗大なために,疲労強度が低下する.MIM製Ti合金の 組織を微細化するために,Ebelらは0.5 mass%のホウ素添加を行っている45).ホ ウ素の添加によって焼結体の組織が微細化し30 %ほど疲労強度が向上すること を確認している.

一方で,熱処理によって組織を微細化することで疲労強度が改善することも 報告されている.萩原は水冷後,HIP処理を施すことで微細ラメラ組織を有する 焼結体を作製しており,溶製材に匹敵するレベルの疲労強度を示している 46)

ただし,Ti-6Al-4V合金は焼入れ性が悪く,水冷処理であっても肉厚25 mm程度

(18)

- 13 -

が限界だと言われている.そのため,水冷処理による熱処理では大型の部品に 対しては処理することができず,用途も限定される.

以上のように,気孔を HIP 処理によって除去し,更に熱処理等の手法で組織 を微細化することで溶製材に匹敵する焼結Ti合金を作製できることは判明して いる.しかしながら,HIP処理はコストが高いことや,水冷処理では表面酸化の 問題があり,MIMのようなネットシェイププロセスへの適用は困難であると考 えられ,他の手段による組織微細化手法を検討する必要がある.また,とにか く気孔を無くす,組織は細かい方がよいという指針があるのみで,どの程度の 気孔のサイズや量までは問題とならないのか,金属組織をどの程度微細化すれ ばよいかということは明確になっていない.そのような組織的因子が疲労強度 に対して与える影響の定量的な評価をした報告はこれまでにも見当たらず,焼 結体設計指針がない状況であり,この指針付けを行うことは焼結体の組織制御 を行う上で極めて有用であると考えられる.

1.6 Ti-6Al-4V 合金における疲労強度の支配因子

本研究は MIM 製 Ti 合金の疲労強度の大幅な向上を主眼としているが,ここ では先ず,溶製Ti合金の疲労強度の支配因子について述べる.鉄鋼材料および

Ti-6Al-4V鍛造材の引張強度と疲労強度の関係をFig. 1.8に示す47,48). Ti合金にお

いて,鉄鋼材料に見られるような,引張強度と疲労強度の顕著な相関関係は見 られない.更に,Tiに対するOの添加は引張強度を増大させるものの,疲労き 裂生成抵抗が低下するために疲労強度は向上しないことが報告されている 49). すなわち,引張強度を指標としてTi合金の疲労強度を推定することは困難であ り,総合的に機械的特性を向上させるためには,引張強度と疲労強度の双方の 評価が必須である.

(19)

- 14 -

Fig. 1.8 Fatigue strength as a function of tensile strength for wrought steel47) (a) and wrought Ti-6Al-4V48) (b).

ところで,Ti 合金の疲労強度に最も影響する因子としては,金属組織が挙げ られる.Stubbington らは等軸組織とラメラ組織の疲労強度を評価し,微細等軸 組織>粗大等軸組織>粗大ラメラ組織であることを報告している 50).同様に,

Lucas らは等軸組織を有する鍛造材について α 粒径と疲労強度の相関を評価し,

α 粒径と疲労強度との間にホールペッチ則に近い相関があることを報告してい る51)

Ti 合金の焼結材には気孔が含有されており,気孔が欠陥として作用する可能 性が考えられる.そのため,Ti 合金における欠陥の作用について述べる.鉄鋼 材料の高サイクル疲労強度に対する欠陥の作用については村上らの研究が詳し い.鍛造材内部の介在物を対象として実施した研究ではあるが,材料内部の最 大欠陥の面積の平方根である√ と材料の硬度(引張強度を簡便に代表する特 性として使用)によって材料の疲労強度を推定する√ パラメータモデルを提 案している52).同様に村上らのグループはTi-6Al-4V合金に対してもマイクロド リル(50 µm~1000 µm)による微小穴を導入して疲労強度の評価をおこなって おり,疲労強度は微小穴の√ が大きくなると低下することが示されている53)

また,107 cyclesまで破断しなかった試験片の表面観察を実施したところ,バリ

のないスムースな穴を起点とする疲労き裂は発生していなかった.すなわち,

(a) wrought steel

(b) wrought Ti-6Al-4V

(20)

- 15 -

Ti 合金の疲労強度はき裂の停留ではなく,き裂の発生に支配されていると考え られている.また,林らのグループからも同様の報告がなされている54)

疲労き裂の発生に対するモデルとして,TanakaとMuraによる転位双極子の蓄 積モデルが挙げられる 55).Chen は Tanaka らのモデルを修正し,種々の合金系 においてモデルと実験値が一致することを示している56).また,Tanakaらは介 在物の疲労き裂発生寿命に対する影響についても同様のモデルで検討している.

その結果,介在物径/すべり線長さ(結晶粒径に相当)の比率が増加すると,き 裂発生寿命とき裂発生応力が低下することを示している.このことから,本研 究にて扱う MIM 製 Ti 合金においては材料内部に無数の気孔が残存しており,

介在物と同様に気孔の大きさにも着目する必要があると考えられる.

Fig. 1.9 Schematic of dislocation dipoles model suggested by Tanaka and Mura55).

(21)

- 16 -

1.7 研究の目的

本研究では,ニアネットシェイプを前提とされるMIM製Ti-6Al-4V合金に適 した疲労強度向上技術の確立と同時に,気孔や金属組織といった焼結体の諸因 子が高サイクル疲労強度に与える影響を明らかにすることを目的とする.

従来,焼結Ti合金の高疲労強度化にはHIP等の緻密化処理による気孔の除去 と熱処理による組織の微細化が必須とされてきた.しかしながら,ネットシェ イプ加工であるMIMに対して,表面の酸化スケール除去が必要となる水冷処理 の適用は,ニアネットシェイプ化のメリットを減じると考えられる.そこで,

本研究では焼結まま材の高疲労強度化を第一目標と考え,次点の目標として焼 結+HIP処理材での高疲労強度化の達成を目指すこととした.疲労強度の向上に は,組織の微細化が必須であり,本研究ではMIM製Ti-6Al-4V合金に適用可能 な粉末冶金プロセスにおいて組織微細化を図ることとした.具体的には以下の 施策を試みた.

通常の粉末よりも微細な粉末の利用による結晶粒および気孔の微細化 β安定化元素とピン止め粒子形成元素の複合添加による旧β粒およびα+β ラメラ組織の微細化

残存 α 相のピン止め効果を利用しての旧 β 粒成長抑制を目的とした α+β 二相域の焼結による組織微細化

水素化脱水素処理によるTi-H系共析変態を利用した組織微細化

また,従来の研究では,気孔が無く,微細組織であれば疲労強度が優れると いうことは明らかとなっているものの,どの程度の気孔特性(大きさや量)が 許容可能であり,どの程度まで組織の微細化が必要であるのかといった焼結体 の微細組織の設計指針は明確には示されていない.そこで本研究においては,

気孔や組織といった焼結体の微細構造が疲労強度に与える影響の度合を定量的 に明らかにし,また高疲労強度の焼結体の微細構造設計指針を与えることも併 せて目的とした.

(22)

- 17 -

1.8 本論文の構成

本論文は以下の様な構成になっている.

第1章 序論

第2章 試験片の作製方法および評価方法 第3章 微細粉末による高強度化

第4章 第4元素添加による高強度化 第5章 α+β域焼結による高強度化

第6章 水素化脱水素処理による高強度化

第7章 高サイクル疲労強度に及ぼす気孔および結晶粒の影響 第8章 結言

第 1 章では序論として本研究の背景,位置付けおよび目的について論じた.

第2章ではMIM製Ti-6Al-4V合金焼結体の作製方法と機械的特性を始めとする

各種評価方法について説明する.第 3 章ではこれまで MIM に利用されていた

Ti-6Al-4V合金粉末よりも粒径の小さい粉末を利用して焼結体を作製し,その強

度特性への影響を評価した.第 4 章においては,粉末冶金プロセスにおいて簡 易に実現可能な強化手法として第4元素の添加を行った.特に,β安定化元素と ピン止め粒子形成元素の二種類の元素を添加する複合添加を行い,その強度特 性への影響を調査した.第 5 章においてはこれまで殆ど検討されていない焼結 の手法として,α+β 二相域における焼結を実施し,強度特性を評価した.第 6 章では近年,開発が進められている水素化脱水素処理をMIM製Ti-6Al-4V合金 に適用し,その組織微細化特性および強度特性について検討した.第 7 章にお いては第3章から6 章において得られた結果をもとに,MIM製Ti-6Al-4V合金 の高サイクル疲労強度に及ぼす気孔および結晶粒の影響について定量的な評価 を行った.ここでは,統計的手法により推定した最大気孔径,気孔の量を代表 するパラメータである相対密度,そして焼結体の結晶粒径に着目して,それぞ れの疲労強度への影響度を評価した.これにより,MIM 製 Ti-6Al-4V 合金の高 疲労強度化に向けた結晶粒および気孔といった微細構造に対する設計指針を与 えることとした.第8章では全体のまとめとして結言を記した.

(23)

- 18 -

1.9 参考文献

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23) Matthew J., Donachie Jr., “Titanium A Technical Guide”, ASM International, (1988), pp. 113-130.

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28) R. M. German, A. Bose, “Injection Molding of Metals and Ceramics”, Metal Powder Industries Federation, (1997).

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(25)

- 20 -

30) W. Xu, M. Brandt, J. Elambasseril, W. Liu, K. Latham, K. Xia, M. Qian,

“Additive Manufacturing of Strong and Ductile Ti-6Al-4V by Selective Laser Melting Via in situ Martensite Decomposition”, Acta Materialia, Vol.85 (2015), pp.

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31) A. Dehghan- Manshadi, MJ. Bermingham, M. S. Dargusch, D. H. Stjohn, M.

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33) (社)粉体粉末冶金協会編,“粉体粉末冶金便覧”,内田老鶴圃,(2010).

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39) 伊藤 芳典,植松 俊明,佐藤 憲治,三浦 秀士,“Ti-6Al-4V 合金 MIM 焼結体の引張特性に及ぼす相対密度および酸素量の影響”,粉体およ び粉末冶金,Vol. 56 (2009), pp. 259- 263.

40) T. Ebel, O. M. Ferri, W. Limberg, M. Oehring, F. Pyczak, F.-P. Schimansly,

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(26)

- 21 -

41) 野田 宗巨,長田 稔子,津守 不二夫,三浦 秀士,“MIMプロセス による Ti 系焼結合金の疲労破壊挙動(その 1)”,粉体および粉末冶金,

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50) C. A. Stubbington, A. W. Bowen, “ Improvements in the Fatigue Strength of Ti-6Al-4V through Microstructure Control”, Journal of Materials Science, Vol. 9 (1974), pp. 941-947.

51) J. J. Lucas, P. P. Konieczny, “Relationship between Alpha Grain Size and Crack Initiation Fatigue Strength in Ti-6Al-4V”, Metallurgical Transactions, Vol. 2 (1971), pp. 911-912.

(27)

- 22 -

52) 村上 敬宜,“金属疲労 微小欠陥と介在物の影響”,(1993),養賢堂.

53) H. Matsunaga, Y. Murakami, M. Kubota, J.-H. Lee, “Fatigue Strength of Ti-6Al-4V Alloys Containing Small Artificial Defects”, Materials Science Research International, Vol. 9 (2003), pp. 263-269.

54) 林 和久,西田 新一,服部 信祐,“Ti-6Al-4V 合金切欠き材の疲労 特性”,日本機械学会論文集(A編),Vol. 65 (1999), pp. 2080-2085.

55) K. Tanaka, T. Mura, “A Dislocation Model for Fatigue Crack Initiation”, Journal of Applied Mechanics, Vol. 48 (1981), pp. 97-103.

56) K. S. Chan, “A Microstructure-Based Fatigue-Crack-Initiation Model”, Metallurgical and Materials Transactions A, Vol. 34A (2003), pp.43-58.

57) K. Tanaka, T. Mura, “A Theory of Fatigue Crack Initiation at Inclusions”, Metallurgical Transactions A, Vol. 13A (1982), pp. 117-123.

(28)

- 23 -

第2章 試験片の作製方法および評価方法

本章では,後述の各章における試験片作製方法の内,共通する手順について 説明する.

2.1 試験片の作製方法

ここでは,混練・射出成形・脱脂・焼結といったMIMプロセスによる試験片 の作製方法について詳述する.

2.1.1原料粉末

本研究ではTi-6Al-4Vの合金粉末を使用して焼結材を作製した.伊藤らは,合 金粉末製焼結体の機械的特性が混合粉末製焼結体より優れていることを報告(1 しており,本研究においてもより高い機械的特性を示しうることに加えて,最 終製品における合金成分の偏析が発生しづらく品質が確保しやすいことを考慮 して,Ti-6Al-4V合金粉末を利用して焼結体を作製することとした.詳細な粉末 の特性は,個別の章にて記述する.

2.1.2混練工程

MIMプロセスにおいては,混練と呼ばれる工程にてバインダと金属粉末を混 ぜ合わせて,金属粉末に射出成形が可能となるレベルの流動性を付与する.こ のバインダを設計する上での主な考え方について説明する.射出成形工程にお いては粉末に流動性を与える必要があるために,バインダが低粘度であること が要求される.一方,成形後には,ハンドリングのために十分な機械的特性を 有していること,成形後の脱脂プロセスにおいては,保形性や脱脂性のよいこ と(なるべく短時間で脱脂が終了すること)が要求される.さらに脱脂後にバ インダの炭素や酸素といった不純物成分が残留しないことも要求される.以上 のような要求を達成するために,バインダには比較的低分子かつ低融点の樹脂

(ワックス類)と高分子化合物の熱可塑性樹脂が混合して使用される.ワック ス類は射出成形時に流動性を与える役割を担っており,高分子化合物は成形体,

および脱脂体の形状保持を担っている.

(29)

- 24 -

本研究において使用したバインダの組成および質量比をTable 2.1に示す.射 出成形時の流動性を付与するワックス類としてはパラフィンワックス(CnH2n+2) およびカルナバワックス(主成分:CH3(CH2)24COOH)を使用し,形状の保持を 担う高分子材料としてはアタクチックポリプロピレン((C3H6)x)とエチレンビ ニルアセテート((C2H4)n(C4H6O2)m)を使用している.1 mass%添加したジ-n-ブ チルフタレート(C16H22O4)は混合物に柔軟性を与える役割を担っている.

Table 2.1 The characteristic and compounding ratio of binder used in this study.

Binder name Density [g/cm3] Melting point [oC] Compounding ratio [mass%]

Paraffin wax

(PW) 0.895 56 ~ 58 69

Carnauba wax

(CW) 0.995 68 ~ 74 10

Atactic polypropylene

(APP)

0.860 110 ~ 130 10

Ethylene vinyl

acetate (EVA) 0.948 71 10

Di-n-buthyl

phthalate (DBP) 1.047 - 35 1

これらの樹脂を計量し,加熱・撹拌して均一に溶融させた後,粉末を投入し て混練を行う.粉末とバインダは体積比にて粉末:バインダ= 65:35 の比率で 混練を行うこととし,Fig. 2.1に示す混合攪拌機(5DM-01-rr,㈱ダルトン)を用 いて混練を実施した.まず,混合攪拌機の容器温度を150 oCまで加熱し,バイ ンダを融点の高いAPP,EVA,PW,CW,DBPの順番で投入した.均一に溶融 するまで金属匙によって撹拌した後,粉末を投入する.一度に投入すると粉末 のダマが残存する場合や,粉末が舞い上がり粉じん爆発に至る可能性が考えら れるため,Ti-6Al-4V粉末を徐々に投入した.混練の際,容器内部のアームは公 転と自転の両方の動作によって材料同士を混ぜ合わせるが.アームの公転回転

数を36 min-1,自転回転数を76 min-1と設定し,5.4 ks(1.5 hours)の間混練を実

(30)

- 25 -

施した.その後,溶融した混練物(フィードストック)をステンレス製タッパ ーに移して冷却固化させた後に粉砕して射出成形用ペレットを作製した.

Fig. 2.1 Photograph and schematic of kneading machine.

2.1.3射出成形工程

本研究ではFig. 2.2に示した横型射出成形機(ROBOSHOT α-S50iA,FANUC)

を使用して射出成形を実施した.本射出成形機の型締め力は500 kN,スクリュ

ー径は26 mmである. Fig. 2.3に成形体の寸法を示す.本研究では平板型引張

試験片とダンベル型疲労試験片の二種類の成形体を作製した.射出成形の条件 としては,射出バレル温度70 oC, 射出速度 130 mm3/s,保圧 60 MPa,金型温度

(31)

- 26 -

40 oCを基本条件とし,その日の気温等により調整を加えながら射出成形を実施 した.

Fig. 2.2 Photograph of injection molding machine.

Fig. 2.3 Dimensions of green compacts 110

40 4

7.5 12

φ6 φ9.5

75

(32)

- 27 - 2.1.4脱脂工程

最も一般的な粉末冶金製品の作製法であるプレス成形と比較すると,MIMで は多量のバインダを粉末に混合するために,より脱脂工程が重要となる.脱脂 工程において重視される事柄として,①部品形状の保持,②焼結体に不純物(主 にバインダの炭素,酸素成分)を残留させないこと,③脱脂に要する時間の短 縮,がある.これらの事柄を鑑み,本研究においては脱脂を二段階のプロセス にて実施した.まず,溶媒脱脂と呼ばれる溶媒による抽出を利用した脱脂を行 い,その後,加熱脱脂と呼ばれるバインダの熱分解を利用した脱脂を実施した,

なお,加熱脱脂は後述する焼結プロセスの前段階として,同一の炉内で実施し た.

2.1.5溶媒脱脂工程

本研究では,脱脂の第一段階として溶媒脱脂を行った.このように脱脂を二 段階に分けるメリットとしては,炉内で実施する加熱脱脂に要する時間を短縮 することが可能であることに加え,バインダによる炉の汚染を抑制できるため である.溶媒脱脂装置の外観写真をFig. 2.4に示す.本装置は,熱電対と制御装 置によってマントルヒータの制御を行っている.ヘプタン凝縮器は常温の水道 水によって冷却を行っており,揮発したヘプタンの凝縮を担っている.溶媒脱 脂の際には,発泡アルミナ基板の上にアルミナ粉末を載せ,その内部に試験片 を埋め込んで脱脂を行った.この試験片を埋め込んだ後のアルミナ基板の写真

をFig. 2.5に示す.溶媒脱脂においては,Table 2.1で示したバインダの内,ワッ

クス類(PW,CW)を取り除くことを目的としている.また,アルミナ粉末内 に試験片を埋め込む理由としては,粉末の毛細管現象を利用して,ヘプタンに 溶解したバインダを効率よく除去するためである.溶媒脱脂の評価指標として は脱脂率を使用した.ここで,脱脂率は式(2.1)により求めた.ここで Rd [%]

は脱脂率,Wg [g]は成形体重量,Wb [g]は脱脂体重量,Wg’ [g]は成形体中の含 有バインダ重量である.本研究では脱脂率 60 %を狙い値として,条件の最適化 を実施した.その結果,溶媒脱脂の条件としては,ヘプタン量80 mlを容器内に 入れ,Fig. 2.6に示す昇温パターンにて脱脂を行った.

' ×100

g b g

d W

W R W

(2.1)

(33)

- 28 - Fig. 2.4 Solvent debinding apparatus.

Fig. 2.5 Alumina substrate which was put the specimen wrapped with alumina powder.

Fig. 2.6 Heat pattern of solvent debinding.

25 30 35 40 45 50

0 10 20 30 40 50

Temperature [℃]

Time [ks]

Heptane condenser Thermocouple

Mantle heater Control device

Grass vessel

(34)

- 29 -

2.1.6加熱脱脂および焼結工程

加熱脱脂および焼結には真空脱脂焼結炉(VHLgr20/20/20,島津メクテム)を 使用した.試験片は酸化や窒化を抑制するためFig. 2.7の容器に入れて炉内に置 くこととした.試験片を入れるMo製の容器は底部と蓋部に分かれており,中心 部に試験片を置くスペースを設けている.試験片の下にはセラミック製のセッ ターを敷いた.引張試験片にはイットリア製のセッターを使用し,疲労試験片 にはジルコニア製のセッターを使用した.図中には示していないが,試験片の 上にイットリア製のセッターを置いており,これは試験片の曲りを抑制するた めである.また,試験片の周囲には酸素のゲッター材としてスポンジチタンを 置き,試験片の酸化を抑制した.

Fig. 2.8に加熱脱脂および焼結工程のヒートパターンを示す.前段は加熱脱脂

工程,後段は焼結工程となっている.加熱脱脂は減圧Ar雰囲気中で行った.160

oCと600 oCで3.6 ks(1 hour)の保持を行っている.加熱脱脂を行った後の焼結

工程では,雰囲気を高真空(10-1~10-3 Pa)にして焼結を行った.図中の焼結条 件は一例であり,保持温度1350 oC,保持時間14.4 ks (4 hours)となっている.

今後述べる焼結条件としてはこの保持温度と保持時間を変更させ,試験片を作 製した.各実験における焼結条件は各章にて記述する.

Fig. 2.7 Setting method of specimens for thermal debinding and sintering.

Molybdenum container

Yttria or zirconia setter Specimen Sponge titanium

(35)

- 30 -

Fig. 2.8 Heat pattern of thermal debinding and sintering.

2.1.7HIP処理

本実験においては比較材としてHIP(Hot Isostatic Pressing,熱間静水圧成形)

処理を行った焼結材を用意した.Ar雰囲気で圧力103 MPa,温度900 °C,2時 間の条件でHIP処理を行った.HIP温度の900 oCはα+β二相域(Ti-6Al-4V合金 のβ変態点は 1000 oC)であり,粒成長を抑制することを狙いとしている.HIP

処理後は863 °Cで2時間焼きなましを行い,ガスファン冷却を行った.

2.2 試験片の評価方法

ここでは,前節までで作製した試験片の評価方法について述べる.相対密度,

組織観察といった焼結体特性の評価や,引張試験,疲労試験といった機械的特 性の評価それぞれの方法について説明する.

2.2.1相対密度の測定方法

焼結体には材料内部に気孔と呼ばれる空孔が存在しているため,同一組成の溶 製材よりも低い密度を示す.この真密度材に対する焼結材の密度の比を相対密 度と呼び,焼結材の機械的特性に大きく影響するパラメータとして知られてい る.本研究においてはアルキメデス法によって焼結体の密度を測定した.なお,

プレス成形材の密度測定においてはパラフィンによって開気孔を埋める防水処

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600

0 10 20 30 40 50 60 70

Temperature []

Time [ks]

Thermal debinding Vacuum sintering

(36)

- 31 -

理が必要であるが,MIMで作製した焼結材は密度が高く,開気孔が存在しない と考えられるため,パラフィンによる防水処理はせずに密度測定を実施した.

(2.2) 式によりHIP材の密度に対するMIM材の相対密度ρ [%]を算出した.

分析天秤を使用して,試料の大気中重量W0 [g],試料の水中重量W1[g]を測定し

た.ρ0 [g/cm3]は測定に使用した純水の密度であり,純水の温度を測定して密度

を算出した.また,ρ1 [g/cm3]は緻密材の密度であり,Ti-6Al-4V材に対しては4.42 g/cm3を使用した.本研究では Ti-6Al-4V以外の組成の材料に対しても相対密度 の評価を行っているがその際の真密度の値は各章にて後述する.

= × × 100 (2.2)

2.2.2光学顕微鏡による組織観察の方法

ここでは,光学顕微鏡による組織観察の方法について説明する.試験片の中央 部をファインカッターで切断し,樹脂埋めをした後,1500 番までの湿式エメリ ー紙を用いて面出し研磨を実施した.その後,2.5 µmおよび1 µmのアルミナ粉 末を塗布した研磨布を用いてバフ研磨を行った.さらに仕上げ研磨として,振 動研磨機による研磨を施した.ここでは研磨剤としてコロイダルシリカ(粒径

50 nm)を用いた.研磨した試料は,5 %のフッ化水素溶液に3~5秒間浸して腐

食をし,光学顕微鏡を用いて組織の観察を行った.

2.2.3EBSDによる組織観察

本研究においてはEBSD(Electron Back Scattering Diffraction)を使用した組織 観察も実施した.観察する試験片は2.2.2節と同様に,振動研磨まで実施した試 験片を用意した.使用するSEM(Scanning Electron Microscope)としてはSU-6600

(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を使用した.測定条件は倍率によって異 なるものの,観察倍率200倍においては400 µm ×1200 µmの範囲を1step = 2.5 µmとして測定を実施した.同様に1000倍においては96 µm×282 µmの範囲を 1step= 0.6µm,5000倍においては17.4 µm×47.8 µmの範囲を1step=0.1 µmにて 測定を行った.

(37)

- 32 -

EBSDにより得られたIPF(Inverse Pole Figure)マッピング画像を利用して,平 均結晶粒径の算出を行った.stepごとの結晶方位差が15 o以下の領域を一つの結 晶粒と定義し,結晶粒径を算出した.

2.2.4酸素量測定

酸素量の測定は酸素窒素同時分析装置(ON736,LECOジャパン合同会社)を 使用した.試料は熱の影響を避けるため,ワイヤカッタ―を使用して切断し,

0.1 gの小片として測定に供した.測定の際には助燃材となるNiカプセルに小片

を入れて測定を実施した.

2.2.5引張試験

引張試験には引張試験機(AUTOGRAPH AG-X plus,島津製作所(株)) を用いて 行った.クロスヘッドスピードは1 mm/minとした.また,伸びの測定にはビデ オ式伸び計(TRViewX,島津製作所)を使用した.引張強さσ [MPa]は最大荷重

Pmax[N],試験片平行部の断面積をA0[mm2]として式(2.3)を用いて算出した.

= (2.3)

2.2.6常温疲労試験

疲労試験はFig. 2.9に示す小野式回転曲げ疲労試験機(島津製作所製)を用い て実施した.得られた焼結体を旋盤によってFig. 2.10の形状へと加工した後,

試験部をエメリー紙にて1500番まで研磨を施し,疲労試験へと使用した.試験 片への応力振幅σa [MPa]を式(2.4),(2.5)より求めた.このときW [kg] は重鎮の 重量,g [m/s2]は重力加速度,L [m]は荷重支点間距離,d [m]は試験片の直径とす る.本研究では打ち切り繰り返し数を1.0×107 cyclesとして,疲労強度を定義し た.

=

!(2.4)

" =

#$(2.5)

(38)

- 33 - Fig. 2.9 Machine of rotary bending fatigue test

Fig. 2.10 Dimension of specimen for rotary bending fatigue test.

2.2.7破面観察の方法

疲労試験を行った後の試験片の破面観察はSEM(VHX-D510,KEYENCE)によ って実施した.本研究においては高サイクル疲労強度の向上を目的としている ため,高サイクル領域(104 cycles以上)で破断に至った試験片の破面を観察し た.観察の前には試験片をアセトンにて0.3 ks以上超音波洗浄を行い,その後,

真空デシケータ内で3.6 ks以上乾燥させて,破面観察を実施した.

2.3 参考文献

1)伊藤 芳典,“MIMによる高性能 Ti合金の開発”, 博士学位論文,九州大学,

(2013)

φ4 φ8

60 10

(39)

- 34 -

第3章 微細粉末の利用による高強度化

3.1 緒言

最も一般的な金属粉末の成形方法である粉末プレス成形と比較して,MIMプロ セスはバインダにより粉体に流動性を与えるために,より微細な粉末を適用可 能という利点を有している1).また,微細な粉末は高い比表面積を有しているた めに焼結が促進されて緻密化しやすいことが特徴である.同時に,結晶組織お よび気孔が微細化することも期待される.ここでは,原料粉末に微細粉末を使 用し,その結晶粒や気孔といった組織および機械的特性への影響について評価 した.

3.2 試験片の作製方法

3.2.1原料粉末

ここでは二種類の粒径のTi-6Al-4V合金粉末を使用した.それぞれ,通常粉末,

微細粉末と呼称する.Fig. 3.1に使用したTi-6Al-4V粉末のSEM(Scaning Electron Microscope)画像を示す.球状粉末はバインダ量が少なくできる,流動性に優れ るといった点で射出成形に適しており,本研究でも球状のTi-6Al-4V粉末を使用 した.また,Fig. 3.2に各粉末の粒度分布を示す.(a)の通常粉末は大阪チタニ ウムテクノロジーズ株式会社製のガスアトマイズTi-6Al-4V合金粉末であり,メ ディアン径は28.8 µmである.一方,(b)の微細粉末はAP&C株式会社のプラ ズマアトマイズ法で製造された粉末であり,そのメディアン径は15.0 µmである.

Table 3.1に各粉末の化学組成を示す.MIM製Ti-6Al-4V合金は酸素量が引張強

度特性に大きく影響することが知られており2),粉末の酸素量は重要なパラメー タである.通常粉末と比べると比表面積の増大のためか,微細粉末の酸素量が 多くなっていることが分かる.

(40)

- 35 -

Fig. 3.1 Scanning electron microphotos of using powders (a) regular Ti-6Al-4V powder and (b) fine Ti-6Al-4V powder.

Fig. 3.2 Particle diameter frequency of using powder.

Table 3.1 Chemical composition of using powder.

Chemical composition [mass%]

C O N Fe Al V Ti

Regular

powder 0.009 0.102 0.004 0.08 6.00 3.90 Bal.

Fine

powder 0.010 0.170 0.020 0.06 6.19 3.83 Bal.

0 20 40 60 80 100

0 10 20 30 40 50

1 10 100

Cumulative distribution [%]

Distribution [%]

Particle diameter [µm]

Frequency of regular powder

Friquency of fine powder

Cumulative frequency of regular powder Cumulative frequency of fine powder

50 µm (b) Fine powder

(a) Regular powder

参照

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