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一ノ宮 大雅 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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一ノ宮 大雅 論文内容の要旨

主論文

High-dose fasudil preserves postconditioning against myocardial infarction under hyperglycemia in rats: role of mitochondrial KATP channels

高血糖ラット心筋梗塞における高用量ファスジルのポストコンディショニング 効果-ミトコンドリア KATP チャネルの役割について-

一ノ宮 大雅、趙 成三、東島 潮、松本 周平、前川 拓治、澄川 耕二 Cardiovasc Diabetol. 2012 Mar 22;11(1):28

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 (主任指導教員:澄川 耕二教授)

緒言

あらかじめ短時間の虚血または薬剤投与を行うことでその後の長時間虚血に よる心筋梗塞サイズが縮小する現象をプレコンディショニング(PreC)といい、

その臨床応用に向けて多くの研究がなされてきた。近年、長時間虚血後の再灌 流初期に短時間の虚血や薬剤投与を行うことで心筋梗塞サイズが縮小する現象、

ポストコンディショニング(PostC)が報告された。予測できない虚血イベント に対しても応用できる可能性があるため、有効な薬理学的 PostC 法の開発は臨 床的にも非常に有用であると考えられる。

Rho kinase は様々な細胞機能に関連する酵素であり、心血管系の疾患におい て極めて重要な役割をなすとされている。虚血心筋において Rho kinase の活性 化が認められ、Rho kinase 阻害薬を投与することで心筋保護効果が得られると されているがその分子細胞機構については明らかにされていない。

高血糖は糖尿病の有無に関わらず、心血管系疾患の有病率、死亡率の重要な 予測因子かつ危険因子とされている。高血糖下では PreC および PostC が消失す るとされ、幾つかのメカニズムが論じられているが詳細は明らかになっていな

(2)

い。

本研究では、ラット心筋虚血再灌流モデルを用いて Rho kinase 阻害薬である ファスジルの高血糖下(BS≒350 ㎎/dl)での PostC 効果及びミトコンドリア ATP 感受性 K チャネル(mKATP チャネル)の役割について検討した。

対象と方法

対象は 350~550g の雄性 Sprague-Dawley ラット 100 匹。腹腔内ペントバルビ タール投与による全身麻酔下に気管切開を行い人工呼吸管理とした。右内頚動 静脈にそれぞれ動脈圧ラインと静脈ラインを確保したのち開胸した。左冠動脈 前下行枝に 7-0 縫合糸を掛け、30 分間閉塞後、120 分間の再灌流を行った。心 筋梗塞サイズは心筋梗塞範囲/虚血危険領域(%)で評価した。低用量塩酸ファス ジル 0.15 mg/kg (LF)、高用量塩酸ファスジル 0.5 mg/kg (HF)、ジアゾキサイ ド(DIA; mKATP チャネル開口薬)を再灌流開始時に静脈内投与し、対照群(CON)

と心筋梗塞サイズを比較した。また 50%ブドウ糖液を虚血前から再灌流後 1 時 間まで投与した高血糖ラットモデルを作成し、各薬剤の心筋保護効果に与える 影響に関して検討した。加えて、HF の PostC に対する 5-hydroxydecanoic acid (5HD; mKATP チャネル阻害薬)の影響についても検討した。

結果

心拍数と平均動脈圧に両群間で有意差は認められなかった。LF、HF、DIA の心 筋梗塞サイズ(23 ± 8%, 21 ± 9% and 21 ± 10%)は、CON (42 ± 7%)と比較 し有意に小さかった。高血糖下において LF、DIA は心筋保護効果を示さず (40 ± 11%、44 ± 14%)、HF は正常血糖下と同様に心筋梗塞サイズを減少させた (21 ± 13%)。5HD は HF の PostC 効果を抑制した(42 ± 13%)。

考察

ファスジルはラットの心筋梗塞に対して PostC を示した。ファスジルの PostC は mKATP チャネルの活性化を介しており高血糖により阻害されるが、高用量フ ァスジルは高血糖下においても PostC 効果を発揮することが明らかになった。

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