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424 日本周産期 新生児医学会雑誌第 56 巻第 3 号 原 著 子宮内を着床部とした異所性妊娠に対するメソトレキセート局所投与 : 当院の成績と文献レビュー ( 令和 2 年 2 月 27 日受付 ) ( 令和 2 年 9 月 1 日受理 ) 1) 2) 京都大学医学部附属病院産科婦人科, 長浜

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目的  子宮内を着床部とした異所性妊娠である子宮頸管妊 娠(以下,頸管妊娠),帝王切開瘢痕部妊娠(以下,帝 切瘢痕部妊娠),卵管間質部妊娠(以下,間質部妊娠) はいずれも大量出血をきたしうる重篤な疾患である. これらに対する標準的治療は子宮全摘出術や病巣摘 出術といった手術療法が第 1 選択であったが,近年は 低 侵 襲 で 妊 孕 性 温 存 が 可 能 な メ ソ ト レ キ セ ー ト (methotrexate:MTX)の投与,子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization:UAE),妊娠部位の除去(掻爬) などが選択されることが増えている1)〜 3).当院では 2012 年以降,頸管妊娠,帝切瘢痕部妊娠,間質部妊娠 に対して,MTX の局所投与(初回 50 mg/m2,投与日 を Day 1 とし,Day 4 と Day 7 の血中 human chorionic gonadotropin(hCG)値の低下が 15%未満であれば再 投与.胎児心拍陽性例には塩化カリウムも同時に局所 投与4)〜 6))を行っている.  頸管妊娠,帝切瘢痕部妊娠,間質部妊娠に対する MTX 局所投与の成功率は様々であり,治療期間につ いての報告も乏しいため,患者に治療選択に必要な情 報を十分に提供できないのが現状である.そこで本研 究では,当院で行った頸管妊娠,帝切瘢痕部妊娠,間 質部妊娠に対する MTX 局所投与の有用性,安全性, 治療期間について検討し,文献的考察を加え報告する. 方法  MTX の局所投与は,京都大学医学部附属病院高難 度医療・未承認医薬品等管理での審査承認を得たうえ で,患者から十分なインフォームドコンセントを取得 して施行した.経腟超音波に体外受精─胚移植の採卵 用のガイドを装着し,18 ゲージの採卵針(Kitazato medical)を用いて,超音波ガイド下に経子宮筋層的に 胎嚢を穿刺し,MTX 50 mg/m2を投与した.  原  著

子宮内を着床部とした異所性妊娠に対するメソトレキセート局所投与:

当院の成績と文献レビュー

(令和 2 年 2 月 27 日受付) (令和 2 年 9 月 1 日受理) 京都大学医学部附属病院産科婦人科1),長浜赤十字病院産科婦人科2) 独立行政法人国立病院機構京都医療センター産科婦人科3)

梅宮 槙樹

1)2)

 河原 俊介

1)

  千草 義継

1)

  渡部 光一

3)

上田 優輔

1)  

 最上 晴太

1)

  万代 昌紀

1)

  近藤 英治

1) Key words  ectopic pregnancy(異所性妊娠)  cervical pregnancy(子宮頸管妊娠)

 cesarean scar pregnancy(帝王切開瘢痕部妊娠)   interstitial pregnancy(卵管間質部妊娠)

 methotrexate(メソトレキセート)

概要 近年,子宮内を着床部とした異所性妊娠である子宮頸管妊娠,帝王切開瘢痕部妊娠,卵管間質部妊娠に対

するメソトレキセート(MTX)療法の報告が増加しているが,その有用性と安全性の検討は十分ではない.本研究 では当院で MTX 局所投与を行った 17 例の治療転帰を後方視的に検討した.その結果,全例で MTX 局所投与のみ で治療を完遂し,重篤な副作用もなかった.治療開始時の血中 human chorionic gonadotropin(hCG)値と治療期 間には正の相関があり,回帰方程式により治療期間が推測可能であった.PubMed で子宮内の異所性妊娠に対する MTX 局所投与の報告を抽出したところ,279 症例が該当し,子宮頸管妊娠の 84 . 8%,帝王切開瘢痕部妊娠の 75 . 3%,卵管間質部妊娠の 94 . 3%で治療を完遂していた.MTX 局所投与は子宮内を着床部とした異所性妊娠に対 し効果的であると考えられる. 京都大学医学部附属病院産科婦人科 〒 606 - 8507 京都市左京区聖護院川原町 54

Department of Obstetrics and Gynecology,Kyoto University Hospital

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 2012 年 1 月〜 2017 年 8 月に当院で MTX 局所投与を 行った頸管妊娠,帝切瘢痕部妊娠,間質部妊娠を対象 として,診療録情報を後方視的に収集・検討した.評 価項目は,治療方法,治療の成否,止血処置を要する 出血の有無,治療期間とした.治療の成功は MTX 局 所投与のみでの治療完遂,治療期間は治療開始日から 最終外来受診日までと定義した.  治療開始時の血中 hCG 値と治療期間との関連を調べ るため,ピアソンの積率相関係数,及びその回帰方程 式を求め(Microsoft Excel 2016),p 値< 0 . 05 を有意 差ありと定義した.なお血中 hCG は原則として陰性化 (検出感度限界:0 . 5 mIU/mL)を確認する方針として いるが,子宮内に病変を認めず無症状の場合,外来担 当医の判断で終診としていることがあり(5 例,表 1), 終診時の血中 hCG が 13 . 7 mIU/mL の症例はピアソン の積率相関係数,及びその回帰方程式から除外した.  本研究は京都大学医学部附属病院医の倫理委員会の 承認を得て行った(承認番号:R 1010).  MTX の 局 所 投 与 に 関 す る 文 献 は 2019 年 8 月 に PubMed(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/)で 以下の検索式を用いて行った.

 ((((cervical pregnancy)OR cesarean scar pregnancy)OR interstitial pregnancy)AND local)

AND methotrexate.そこから非英語論文,文献レビュ ーのみの論文,テーマの一致しないものを除いた上で, MTX 局所投与以外の治療(手術,UAE,MTX 全身投 与療法,子宮鏡下手術,掻爬)を単独または局所投与 に併用して施行した症例シリーズを除外し,血中 hCG 値の記載のないもの,入手不可能であったものも除外 した.MTX 局所投与単独による治療報告のうち 5 症例 以上のものを抽出した(図 1).各症例シリーズの治療 開始時の血中 hCG 値,MTX 投与量,成功率,大量出 血の有無について検討した. 結果  対象症例数は頸管妊娠 11 例,帝切瘢痕部妊娠 5 例, 間質部妊娠1例,合計17例であり,MTX局所投与によ りいずれも治療を完遂できていた(表1).頸管妊娠は1 例を除き,すべて未産婦であった.頸管妊娠11例のう ち7例(64%)が体外受精・胚移植(in vitro fertilization-embryo transfer:IVF-ET)によるものであった.  診断時の妊娠週数の中央値(四分位範囲)は頸管妊娠 で妊娠 5 週(5 - 6 週),帝切瘢痕部妊娠で妊娠 7 週(6 - 8 週) であり,頸管妊娠は帝切瘢痕部妊娠と比較して早期に 診断されていた.胎児心拍は頸管妊娠 3 例,帝切瘢痕 部妊娠 1 例,間質部妊娠 1 例で陽性で,塩化カリウム 局所投与を併用して,いずれも MTX 局所投与で治療 表1 症例の背景 症例 着床部 年齢 妊 産 IVF-ET 診断時 妊娠週数 胎児心拍 治療開始時 血中 hCG (mIU/mL) 終診時 血中 hCG (mIU/mL) MTX 投与回数 治療期間 * (日) 1 頸管 33 1 0 - 5 - 13 , 439 < 0 . 5 1 100 2 頸管 40 2 0 - 5 - 10 , 237 < 0 . 5 1 90 3 頸管 38 2 0 + 5 - 11 , 492 0 . 8 1 62 4 頸管 41 3 1 + 5 - 9 , 944 13 . 7 1 33 5 ** 頸管 41 1 0 + 5 - 12 , 545 1 . 7 1 51 6 頸管 32 1 0 + 5 - 19 , 989 2 . 5 1 22 7 頸管 38 1 0 - 6 + 32 , 447 1 . 1 2 99 8 頸管 44 5 0 + 6 - 6 , 900 < 0 . 5 1 93 9 頸管 43 1 0 + 6 + 30 , 513 2 . 2 1 64 10 ** 頸管 41 1 0 + 6 + 140 , 887 < 0 . 5 1 154 11 頸管 38 1 0 - 6 - 6 , 349 < 0 . 5 2 74 12 帝切瘢痕部 35 3 1 - 5 - 29 , 067 < 0 . 5 1 98 13 ** 帝切瘢痕部 31 2 1 - 6 - 18 , 497 < 0 . 5 2 80 14 帝切瘢痕部 40 5 3 - 7 - 2 , 461 < 0 . 5 1 42 15 帝切瘢痕部 40 5 3 - 8 - 110 , 631 < 0 . 5 1 275 16 帝切瘢痕部 38 4 2 - 9 + 228 , 454 < 0 . 5 1 147 17 間質部 38 1 0 - 6 + 4 , 954 < 0 . 5 1 81 頸管:子宮頸管,帝切瘢痕部:帝王切開瘢痕部,間質部:卵管間質部 hCG:human chorionic gonadotropin,MTX:methotrexate IVF-ET:in vitro fertilization-embryo transfer

* MTX 初回投与(手術症例・経過観察例は初診時)から最終外来受診日までの期間 ** 再入院を要する出血をきたした症例

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可能であった.治療開始時の血中 hCG 値の中央値(四 分 位 範 囲 )は 頸 管 妊 娠 で 12 , 545(10 , 091 - 25 , 251) mIU/mL,帝切瘢痕部妊娠で 29 , 067(18 , 497 - 110 , 631) mIU/mL であり,間質部妊娠 1 例の治療開始時の血中 hCG値は4,954mIU/mLであった.治療期間の中央値(四 分位範囲)は,頸管妊娠で 74 日(56 . 5 - 96 日),帝切瘢 痕部妊娠で 98 日(80 - 147 日)であり,間質部妊娠 1 例 の治療期間は 81 日であった.MTX 局所投与による重 篤な副作用はなかった.  血中hCGの陰性化を確認したのは11例であった.症 例4の終診時の血中hCG値は13.7mIU/mLであったが, 子宮頸管内の胎嚢様構造と性器出血の消失を確認し, 総合的に治癒と診断されていた.症例 4 を除く 16 症例 について解析したところ,治療開始時の血中 hCG 値と 治療期間には正の相関を認め(R=0 . 68,p=0 . 002), 回帰方程式は Y=31 . 9 log10(X)– 219 . 4(X:治療開 始時の血中 hCG 値,Y:治療期間(日))となり,治療 期間が推測可能であった(図 2).  経過観察中,再入院を要する出血を来たした 3 例(頸 管妊娠 2 例,帝切瘢痕部妊娠 1 例)を表 2 に示す.出血 時期は,治療開始後それぞれ 5,20,50 日目で,その 時点での血中 hCG 値は 12 , 576 mIU/mL,8 , 797 mIU/ mL,122 mIU/mL であった.出血量は,症例 5 は 4 cm 大の凝血塊を排出後に持続性の出血(総出血量不明), 症例 10 は約 1 , 500 g,症例 13 は約 550 g であり,出血に 対してはいずれも子宮内バルーンタンポナーデ法で止 血を得られた.頸管妊娠の 1 例(症例 10)は出血量が多 く,輸血を要した.  次に PubMed で子宮内の異所性妊娠に対する MTX の単独局所投与(外科的治療なし)に関する文献を検索 した.選択基準を満たした文献は,頸管妊娠 4 報(66 症例),帝切瘢痕部妊娠 9 報(162 症例),間質部妊娠 4 報(51 症例)の合計 17 報(279 症例)であった(表 3).治 療成功率は頸管妊娠 84 . 8%(56 例 / 66 例),帝切瘢痕部 妊娠 75 . 3%(122 例 / 162 例),間質部妊娠 94 . 3%(33 例 / 35 例)(治療成功率の記載がなかった 16 例を除く)で あった.輸血などの処置を要する大量出血は合計 10 例 報告されており,頸管妊娠の 3 例(4 . 5%),帝切瘢痕部 妊娠の 7 例(4 . 3%)であった.子宮摘出を要した症例 はなかった. 考察  当院では,MTX の局所投与を施行した子宮内を着 床部とする異所性妊娠は全例で手術治療を回避して子 宮を温存することができ,また重篤な副作用もなかっ た.  文献レビューの結果からも,子宮内を着床部とする 異所性妊娠に対して,MTX の局所投与は有効である と言える.しかしながら,文献的には一定の確率で不 成功症例が存在し,血中 hCG 値の下降不良や大量出血 などがみられる.当院の症例では,いずれも MTX の 局所投与のみで十分な治療効果を得られたが,治療に 抵抗したり大量出血をきたすことがあることを念頭に 図1 文献抽出アルゴリズム 頸管妊娠:子宮頸管妊娠,帝切瘢痕部妊娠:帝王切開瘢痕部妊娠,間質部妊娠:卵管間質部妊娠 hCG:human chorionic gonadotropin,MTX:methotrexate,UAE:uterine artery embolization

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管理する必要がある.  治療経過中の大量出血は大きな課題である.異所性 妊娠において血中 hCG 値は病勢を反映するが,まれに 血中 hCG が低値でも妊娠部位から大量出血を起こすこ と が あ る. 実 際, 卵 管 妊 娠 で 血 中 hCG 値 が わ ず か 97 mIU/mL であったにもかかわらず腹腔内での破裂, 出血をきたした症例7),帝切瘢痕部妊娠において血中 hCG 値が 691 mIU/mL まで低下した時点で大量出血を きたした症例8)などが報告されている.当院の症例 13 においても,大量出血をきたした際の血中 hCG 値は 122 mIU/mL と低値であった.出血に対して従来,手 術療法や UAE,掻爬などの侵襲的な方法で対処されて きたが,当院で大量出血をきたした 3 例では,いずれ も子宮内バルーンタンポナーデ法を用いて出血を制御 することが可能であった.頸管妊娠,帝切瘢痕部妊娠 に対する子宮内バルーンタンポナーデ法の有用性はこ れまでにも報告されており,頸管妊娠に対して掻爬と 併用した報告や9),帝切瘢痕部妊娠に対して出血の制 御に用いた報告10),頸管妊娠,帝切瘢痕部妊娠に対し て単独で治療成功した報告11)がある.手技としても比 較的容易で,速やかな処置が可能であることから大量 出血時には積極的に併用することで MTX 療法の治療 成功率を高める可能性がある.ただし,間質部妊娠は 破裂した場合,腹腔内に出血するので,性器出血だけ に気をとられていると見落とされる危険があり,また 位置的にバルーン圧迫による止血は不可能である.こ のため間質部妊娠管理中の大量出血には特に注意を払 う必要がある.  子宮内を着床部とする異所性妊娠に対する MTX の 治療適応については一定の見解はない.我々は,治療 開始時の血中 hCG が高値であっても MTX 局所投与に より治癒可能であることを確認した.卵管妊娠に対す る MTX に よ る 保 存 療 法 の 適 応 は 血 中 hCG 値 < 5 , 000 mIU/mL という選択基準があるが12),子宮内を 着床部とする異所性妊娠では,既報でも当院の症例で も血中 hCG 値 10 , 000 mIU/mL 以上の高値症例であっ 表2 子宮内バルーンタンポナーデ法による止血処置を要した症例 症例 着床部 治療開始時 hCG (mIU/mL) 出血時期 (治療開始後日数) 出血時 hCG (mIU/mL) 輸血 使用バルーン (蒸留水注入量) 5 頸管 12 , 545 5 12 , 576 なし 14 Fr フォーリーカテーテル (5 mL) 10 頸管 140 , 887 20 8 , 797 RBC 6 単位 FFP 6 単位 22 Fr フォーリーカテーテル (50 mL) 13 帝切瘢痕部 18 , 497 50 122 なし ミニメトロ(15 mL)

hCG:human chorionic gonadotropin ,頸管:子宮頸管,帝切瘢痕部:帝王切開瘢痕部,RBC:赤血球濃厚液,FFP:新鮮凍結血漿 図2 治療開始時の血中hCG値と治療期間

X:治療開始時の血中 hCG(mIU/mL),Y:治療期間(日) hCG:human chorionic gonadotropin

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表 3 子宮内異所性妊娠に対するメソトレキセート局所注入療法の既報まとめ 著者 発表年 着床部 症例数 治療開始時 hCG (mIU/mL) 平均値 治療開始時 hCG (mIU/mL) 中央値 MTX 投与量 成功率 (%) 大量出血 (例) Timor-Tritsch, et al. 28) 1994 頸管 5 20 ,536 13 ,800 25 -50 mg/body 80.0 0 Jeng, et al. 29) 2007 頸管 38 38 ,948 N/A 50 mg/body 86.8* 3 Junior, et al. 30) 2014 頸管 8 20 ,723 10 ,695 1mg/kg 62.5 0 Yamaguchi, et al. 31) 2017 頸管 15 22 ,898 11 ,565 50 mg/body 93.3 0 Jurkovic, et al. 32) 2003 帝切瘢痕部 6 36 ,375 20 ,895 25 mg/body 66.7 2 Seow, et a 1. 33) 2013 帝切瘢痕部 11 22 ,340 20 ,520 50 mg/body 45.5 0 Yamaguchi, et al. 34) 2014 帝切瘢痕部 8 N/A 31 ,105 ** 50 mg/body 87.5 0 Yin, et al. 35) 2014 帝切瘢痕部 22 40 ,154 N/A 50 -80 mg/body 95.5 0 Ko, et al. 36) 2015 帝切瘢痕部 10 N/A 50 ,666 ** 25 -58 .5 mg/body** 80.0 2 Cok, et al. 37) 2015 帝切瘢痕部 18 28 ,870 12 ,700 50 mg/m 2 61.1 1 Peng, et al. 38) 2015 帝切瘢痕部 52 N/A 35 ,472 50 mg/m 2 69.2 1 Kim, et al. 18) 2018 帝切瘢痕部 26 24 ,539 18 ,535 50 mg/m 2 96.2 0 Jachymski, et al. 14) 2020 帝切瘢痕部 9 63 ,883 31 ,000 50 mg/m 2 55.6 1 Hafner, et al. 3) 1999 間質部 5 7, 880 5, 146 25 mg/body 100 .0 0 Cassik, et al. 39) 2005 間質部 23 N/A 6, 006 25 mg/body 91.3 0 Poon, et al. 40) 2014 間質部 16 N/A 7, 529 N/A N/A 0 Uludag, et al. 41) 2018 間質部 7 37 ,161 28 ,480 50 mg/body 100 .0 0 Present study 2020 頸管/帝切瘢痕部/間質部 11 / 5 / 1 26 ,135 / 77 ,822 / 4, 954 12 ,545 / 29 ,067 / 4, 954 50 mg/m 2 100 .0 2/1/0 成功率は,MTX 局所投与のみで治療を完遂できた症例の割合.

頸管:子宮頸管,帝切瘢痕部:帝王切開瘢痕部,間質部:卵管間質部,hCG:human chorionic gonadotropi

n,MTX:methotrexate,N/A:not available * 既報のレビュー論文 31) から転記 ** 既報のレビュー論文 42) から転記

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ても MTX 局所投与が有効であった.この理由は不明 だが,子宮組織は卵管よりも破裂をきたしにくいので, 治療後のより長い待機が可能なことも一因ではないか と推測される.これまではMTXの投与経路として全身 投与が選択され13)〜15),さらに胎児心拍陽性,あるいは 血中hCG値が10,000mIU/mL以上の症例ではMTX全 身投与の不成功例が多いと報告されてきた16)17).しか し,今回の我々の検討では,胎児心拍陽性や治療開始 時の血中 hCG 高値は MTX 局所投与の治療の成功の可 否に関係しないことが明らかになった.このため,子 宮内を着床部とする異所性妊娠に対しては血中 hCG 値 や心拍の有無にかかわらず,まず MTX の局所投与を 考慮してもよいのではないかと考えられる.なお, MTX の投与方法については,局所投与が全身投与よ りも治療期間が短く,副作用が少なく治療成功率が高 いと報告されており18),今回の我々の検討でも局所投 与の有効性が確認できた.  MTX 局所投与後の適切な観察期間については未だ 確立した指標はない.我々は以前,癒着胎盤に対して 保存的対処法を行った際に血中 hCG が陰性化すると同 時に残置した胎盤への血流が消失するということを報 告した19).このデータをもとに,当院では原則として 子宮内の異所性妊娠においても大量出血のリスクが低 下すると考えられる血中 hCG 陰性化まで,外来で経過 観察を行っている.実際,血中 hCG 陰性化後の大量出 血は自験例でも既報でもみられなかった.本研究で導 き出した近似式については,当院での卵管妊娠に対す る MTX 療法の検討でも同様の報告をしており20),治 療期間の推定に活用している.MTX 全身投与後の治 療期間については同様の近似式が適応できるかは不明 である.Koh らは局所投与が全身投与よりも治療期間 が長期になると報告したが21),治療開始時の血中 hCG 値が局所投与群で明らかに高値であり,治療期間に影 響した可能性が高いと考えられる.MTX 局所投与を 患者に説明する際に,見込まれる治療期間を伝えるこ とができると,患者が治療方針を選択する上で有用と 考えられる.  子宮内の異所性妊娠に対する治療選択については, いまだ一定の見解がない.MTX 単独療法の治療期間 を短縮する方法として,掻爬や子宮鏡下手術を組み合 わせる方法が報告されている22)〜 26).これらの併用療 法は MTX 投与により妊娠部位の血流を減少させる, もしくは絨毛を壊死させた後に外科的に妊娠部位を除 去することで,大量出血などの合併症を回避しつつ, 治療期間の短縮および治療成功率を高めることが目的 である.しかしながら,帝切瘢痕部妊娠のレビュー26) によると MTX に掻爬を組み合わせた場合の治療成功 率 82%,大量出血 13%,子宮摘出率 4%であったと報 告されており,帝切瘢痕部妊娠に対する MTX 単独投 与(外科的治療なし)の成績(治療成功率 75 . 3%,大量 出血 4 . 3%,子宮摘出率 0%)と比較して必ずしも優れ ているとは言えない.一方,外科的治療は侵襲が高い ものの,治療期間の短縮が可能となる.当科では頸管 妊娠や帝切瘢痕部妊娠に対しては保存的治療として MTX 局所投与を第一選択としているが,挙児希望が ない場合には子宮摘出も考慮している.また帝切瘢痕 部妊娠の場合,早期の挙児希望がある場合には治療期 間の短縮のため,外科的な妊娠部位の切除も選択肢と なる.帝切瘢痕部妊娠はその後の妊娠において早産や 前置胎盤,子宮破裂,帝切瘢痕部妊娠の反復などのリ スクが報告されているが,帝切瘢痕部妊娠の反復に関 しては妊娠部位の切除・修復術により予防できる可能 性が報告されている26).間質部妊娠は,活動性の腹腔 内出血を生じて患者のバイタルサインが不安定であれ ば手術療法を選択すべきであるが,外科的な妊娠部位 の切除は,次回妊娠で子宮破裂のリスクが上昇するこ とが報告されており27),妊孕性温存の観点からは保存 的治療の意義は大きい.患者の状態が安定しており, かつ画像所見から経腟的に穿刺が可能と判断した場合 には,頸管妊娠や帝切瘢痕部妊娠と同様に MTX 局所 投与が選択肢となる.そして局所投与が技術的に不可 能な場合には,MTX 全身投与も選択肢となる.本検 討では治療後の妊娠に関する検討ができていないが, 患者に各治療について十分に説明し,状況に応じて最 良と思われる方法を選択することが肝要である. 結語  子宮内を着床部とする異所性妊娠に対する MTX 局 所投与は,子宮温存を可能とし,有効な治療法である. ただし安全性については経過観察中にまれに大量出血 を伴うことがあるので,注意深い経過観察が必要であ る.  本論文の要旨は,第 70 回日本産科婦人科学会学術講 演会において発表した.  今回の検討に関して,開示すべき利益相反状態はあ りません. 著者役割 河原俊介:論文に関する研究の構想,計画作成,執筆 千草義継:論文に関する研究の構想,計画作成 渡部光一:データの収集,分析,解釈 上田優輔:論文の執筆 最上晴太:論文の執筆 万代昌紀:論文の執筆 近藤英治:論文に関する研究の構想,計画作成,執筆 文  献

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Ectopic pregnancies implanted inside the uterus:A case series and literature review

Maki UMEMIYA1)2),Shunsuke KAWAHARA1),Yoshitsugu CHIGUSA1),Koichi WATANABE3)

Yusuke UEDA1),Haruta MOGAMI1),Masaki MANDAI1),and Eiji KONDOH1)

Department of Obstetrics and Gynecology,Kyoto University Hospital1)

Department of Obstetrics and Gynecology,Nagahama Red Cross Hospital2)

Department of Obstetrics and Gynecology,National Hospital Organization Kyoto Medical Center3)

  Methotrexate (MTX) has been used for the treatment of cervical, cesarean scar, and interstitial pregnancies, but the efficacy and safety of MTX in ectopic pregnancies are still unclear. We retrospectively evaluated the prognosis of 17 cases of cervical, cesarean scar, and interstitial pregnancies which were treated with local injection of MTX in our facility. All cases were successfully treated with local injection of MTX alone, and there were no severe side effects. Serum human chorionic gonadotropin (hCG) levels before treatment were well-correlated with the time required for hCG normalization, and it was possible to speculate the duration for healing by utilizing the regression equation. Literature search of PubMed revealed 279 cases of local MTX injection for cervical, cesarean scar, and interstitial pregnancies. The success rate by local MTX injection was 84.8% in cervical, 75.3% in cesarean scar, and 94.3% in interstitial pregnancy. Thus, local injection of MTX is effective in the management of cervical, cesarean scar, and interstitial pregnancies.

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