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培養ブタ甲状腺濾胞を用いた甲状腺刺激物質の測定

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(1)

原 著 ( 東 女 医 大 誌 第55巻 第5

)

頁 463-470 昭和60年5月

培養ブタ甲状腺漉胞を用いた甲状腺刺激物質の測定

東京女子医科大学 第二内科教室(主任:鎮目和夫教授,指導:封馬敏夫教授〉

(受付昭和60年2月18日〉

Thyroid-stimulating Immunoglobulin Assayed by Cu1tivated Porcine Thyroid Cells in Follic1es

Osamu ISOZAKI

Department of Internal Medicine11(Director: Prof.Kazuo SHIZUME) Tokyo Women's Medical College

Suspension culture of porcine thyroid follicles was estabilished an cyclic AMP responsiveness to thyrotropin (TSH) in cultivated follicles was compared to that in thyroid cells cultivated in monolayer. Cultivated thyroid follicles were more sensitive to TSH and responded to the hormone at concentrations as low as 3.3-10μU/ml.Cyclic AMP responsiveness to thyroid-stimulating immunoglobulin (TSI) from patients with Graves' disease were also greater in thyroid cells cultivated in follicles. TSI was detected in 89.4% of 66 untreated patients with Graves' disease by the assay using follicles. But TSI was positive in only 60% of the patients when assayed by cells in monolayer. These results indicate that cyclic AMP resposiveness of thyroid cells is greatly affected by arrangement of the cells. TSI assessed by cultivated thyroid follicles was positively correlated with 20-minute1311 -thyroidal uptake after T 3 suppression in euthyroid patients with Graves' disease. We have concluded that thyroid cells cultivated in follicles are suitable for measuring TSI. 緒 言 1956年, Adams1)らはパセドウ病患者血中にモ ルモット甲状膿を刺激し,放射性ヨードの放出を 促進する甲状腺刺激ホルモン (TSH)とは異なる 物質, Long Acting Thyroid Stimulator (LATS) を発見した.以来,種々の測定法によりパセドウ 病患者血中に存在する異常甲状腺刺激物質の測定 が行なわれ,この刺激物質はTSH受容体に対す る自己抗体と考えられている.この抗体はTSH 受容体と結合することにより甲状腺細胞cyclic AMP産生を増加させ甲状腺機能克進症の病因と して重要と考えられている.この甲状腺刺激グロ プ リ ン (ThyroidStimulating Immunoglobulin; TSI)の測定法としては,その感度と簡便性より甲 状腺組織のcyclicAMPを指標とする方法が広く 用いられるようになっている.当初はスライス2)3) や膜分画が用いられていたが, Lapaport6)らによ り,培養甲状腺細胞がTSHに良好な反応を示す ことが報告されて以来,正常ヒト甲状腺細胞や腺 腫細胞の単層培養系を用いた測定法が報告されて いる7)-11) しかし甲状腺細胞は,甲状膿内において 特異的な立体構造一櫨胞構造と細胞極性を示して いる.したがって,それらが消失した単層培養細 胞と濡胞を形成している細胞では反応性が異なる ことが示唆される.近年,浮遊培養系では遊離細 胞が櫨胞を再構築し,培地の組成により細胞極性 が決定されることが報告されている山川.そこで 我々は,ブタ甲状腺細胞の浮遊培養系を確立し, 正常極性を有する培養甲状腺櫨胞と単層培養細胞 におけるcyclicAMP増加反応について検討を行

(2)

-463-なった.その結果甲状腺櫨胞は甲状腺刺激ホルモ ンCTSH)のみならずパセドウ病患者血中に存在 する甲状腺刺激免疫グロプリンCTSDに対しても 好感度に反応を示すことが判明した. また浦胞を用いたTSIの測定について臨床的 検討を加えた. 方 法 1.甲状線漉胞培養 プタ甲状腺は屠殺後すみやかに採取し,氷冷し たHanks塩類溶液に入れ運搬した.無菌的に外 側の組織を除去した後,眼科用ハサミを用いて細 切した.よく洗浄後,ディスパーゼ(合同酒精社〉 1,500単位Imlを含むHanks液中で1時間, 30.C にてマグネットスターラーを用いてゆっくりと撹 持した.未消化組織と遊離細胞とを100メッシュの ナイロンメッシュを用いて分離した.未消化組織 について同様の処理を少なくとも

2

回行なった. 得られた細胞浮遊液を100g,5分間遠心して上清 を除去した後,細胞を同様にHanks液で2回洗 浄した.このような処理により得られた単離細胞 を5X 105細胞Imlの濃度で0.5%胎児ウシ血清を 含 むHamのF-12培 地 に 浮 遊 さ せ , Nitschと Wollmanの方法l内こ基づき0.5%アガロース処理 をしたプラスチックディッシュ CNunc社製〉で 37.C5%C02の気相下で、培養した.通常培養2日で 甲状腺細胞は積胞を再構築した (写真 1).

2

.

単層培養 遊 離 甲 状 腺 細 胞 を10%胎 児 ウ シ 血 清 を 含 む HamのF-12培地に5X 105細胞Imlの濃度で浮 写真l アガロース上で再構築された培養甲状腺滅胞 遊させ,マルチウエルプレー トCFlow社〉に播種 した.培養

3

日目までに甲状腺細胞は底面に接着 し単層を形成した. 3. cyclic AMP産生反応 cy

c

1

ic AMP産生反応は3日間培養後の細胞を 用いて行なった.培養穂胞においては遠心操作に より培地を除き,以下の如き組織の培地に換えた. KCl 5m M, N aHPO.

O

.

3m M, CaC12 1.3mM, MgSO.

7H200.8m M, glucose 0.1%, ウシ血 清アルブミン0.1%,Hepes20mM, 3-isobutyl-1・ methylxanthine (IBMX)

O

.

5m M

pH7.

4

.

培養 櫨胞は試験管1本あたり約800コ000μg蛋白量相 当〉となるように調整した.漕胞は甲状腺刺激物 質, TSHあるいはパセドウ病IgGを含む上記の 培地300μl中で2時間,3TCの条件で反応させた. 反応は700μlの10%trichloro aceticacidCTCA) 溶液を添加することにより停止させた.

l

O

O

O

g

で10分間遠心し,上清を集め,水飽和 エーテルにより TCAを除き,上 清 中 のcy

c

1

ic AMPをNew England N u

c

1

ear社製のラジオイ ムノアッセイキットを用いて測定した.単層培養 細胞も同様に300μlの培地中で反応させ,cAMP を同様な方法にて測定した.これらの測定は, tri -plicateで行ない,結 果 は 細 胞 蛋 白 量 あ た り の cA MPの 産 生 量 も し く は 刺 激 物 質 を 添 加 し な かった細胞のcAMP産生量を基礎値として,基礎 値に対するパーセン トで表現した. 4.対象患者およびIgGの抽出法 対象として甲状腺疾患を認めない13名の正常者 および66名の来治療パセドウ病患者,また維持量 の抗甲状脹剤の服内にて少なくとも

1

年以上甲状 腺機能が正常に保たれている27名のパセドウ病患 者を選んだ.また上記の甲状腺機能が正常である パセドウ病患者についてはT3抑制試験を行なっ た.その方法は以下の如くである.抗甲状腺剤と 共に1日75μgのトリヨードサイロニン(チロナミ ン〉を

7

日間投与後に131

1

を静脈20 後の甲状腺ヨード摂取率を測定した.患者血清か らのIgGの 抽 出 に はDEAE・SephacelCPhar -macia社製〉を用いた¥4).IgGは使用直前に前記の 反応用溶液に溶解して測定に供した. -464ー

(3)

培養細胞で、は

33μU/ml

であった.しかし高濃度の

TSH

に 対 す る 単 位 蛋 白 量 あ た り の

cAMP

の 産 生量は,ほぽ同程度であった.

2

0

回にわたる検討では培養櫨胞を用いた系では

TSH

に対する感度が

3

.

3

より

10μU/ml

であった

E

E

al200

i

100 a

E

33 100 1000 TSH (μUlml) 図1 TSHに対する培養甲状腺鴻胞 (F)と単層培養 細胞 (M)のcyclicAMP増加反応.平均値±標準 偏差を示す (N=3). 10,'α)()33,000 10 3.3

5

.

材料 ウシ甲状腺刺激ホルモン

(TSH)

はシグマ社製, 胎児ウシ血清および

Ham

F

-

1

2

培地は

Flow

社 製を用いた.

6

.

その他, 甲状腺細胞の蛋白量の測定にはL

owry

l51の方 法を用いた.統計学的処理は

S

t

u

d

e

n

t

t

検定を 用いた. 結 果 まず基礎的検討を行ない培養甲状腺細胞は単層 培養系においても,

1

慮胞培養系においても培養

2

ないし

3

日後に

TSH

に対して最大反応を示すこ とが判明した.したがって以後の検討は培養3日 後の細胞を用いて行なった. 図

1

はウシ

TSH

に対する櫨胞培養細抱および 単層培養細胞における

cAMP

産生反応の用量反 応曲線を示したものである. 単位蛋白量あたりの

cAMP

の基礎値は培養櫨 胞では

3

6

.

3

:

t

1.

4nmo

l/

mg

(平均値±標準偏差,

N=

3)

に 対 し て 単 層 培 養 細 胞 で は

6

0

.

2

:

t4

.

6

nmol/mg

と約

2

倍であった.

TSH

に対する感度 は培養櫨胞では

3.3μU/ml

であるのに対して単層 n u n u n u n u n u n u n u n u 。o e o ' u 司 令 4 ( } 口 帥 ロ A F D V E @ U ﹄ φ 且 ) 司 。 v口 ﹄ @Eema 芝 4u

~一一

normal IgG 100 180 120 60 O incubation time ( min ) 図2 パセドウ病患者IgGに対する培養鴻胞cyc1icAMP増加反応の時間経過.平均 値±標準偏差を示す CN=3).

(4)

E

-E

円 U ハ u n u n u n u n u o o p o ' L 句

(

- u 凶 OA 恥 D V E φ U ﹄@且)刀 ω

F C ﹄ O E b m n u n u ︽ U n u 内 4 1 a 芝 4u 豆ー『田・ normal IgG 10 5.0 2.5 O O IgG concl?ntration ( mg/ml ) 図3 バセドウ病患者IgGに対する培養液胞cyclicAMD増加反応の用量反応曲線. 平均値±標準偏差を示す (N=3) 図4 禾 治 療 パ セ ド ウ 病 患 者IgGに 対 す る 培 養 甲 状 腺i慮胞 (F)と単層培養細胞 (M)におけるcyclic AMP増加反応の比較.

M

F

I

300 200 100 ( -門 説 。 且 宇 0

F } 司 -S U ﹄ OE 一 。 m a E d 司U 通 常 は10mg/mlの濃度で検討した.正常人IgG についても同様の検討を行なったが, cAMP産 生 作用は認めなかった. 17名の未治療ノミセドウ病患者IgGに 対 す る cAMP増加反応を培養櫨胞と単層培養細胞で比 466ー のに対して単層培養細胞を用いた系では10より33 μU/mlであり培養櫨胞の

TSH

に対する感受性 はあきらかに単層培養細胞の場合に比べて優れて いた 次にパセドウ病患者IgG~;こ対する cAMP 産生 反応について検討を行なった.図2は3例のノミセ ドウ病患者

C

A

B

C

)

のIgG(10mg/mI)を用 い培養甲状腺鴻胞のcAMP産生反応の時間経過 を示したものである.患者AおよびBのIgGは 添加後3時間までcAMPを増加させつづけたが, 患者CのIgGは2時間で最大反応に達し, 3時間 では減少を示した.よって以下の検討は

2

時間の 反応時聞を用いた. ノミセドウ病患者

C

D

,E, F)のIgGを用いcAMP 産生反応の用量反応性について検討した結果を図 3に示す.患ょ者DおよびEのIgGは10mg/mlの 濃度まで用量反応的にcAMPを増加させたが,患 者FのIgGは5mg/mlで最大反応を示し, 10mg/ mlではむしろ低下を示した.このように高濃度で 低 下 を 示 し たIgGは10検体について行なった検 討で1例にのみ認められただけで、あった.そこで

(5)

4000ト

1

一 @

@ ・

@

- @ @ @

. . .

・ ・ ・ ・

A噌

- - a

- e @

A F

--‘

.

e

-@ -@ ・

・ ﹄ 曹

司 @

@

-.

' 一

-A

W

V A

-・ -・ -・

・ ・ ・

・ ・ ・

・ ・ ・

伽 刷 ・

- . . 0

.

•••••••••••

. .

. .

. ・ ・ 一 ・

•••

-.

u ﹄ E 卜 ト -n u n u n u 民 ] ぜ 勺4 .

2000 600 1000 ( -U 凶 00 ﹄ DFCOU ﹄ ω 色 ) ℃ @ V U ﹄ o c b m a 芝 4u 100 Normal 図5 パセドウ病患者におけるTSI活性. Untreated:未治療パセドウ病患者. N ot Suppressed:抗甲状腺剤により機能が正常化した患者のうちT3抑制試験で抑 制の認められなかったもの. Suppressed 抗甲状腺剤により機能が正常化した患者のうちT3抑制試験で、抑制さ わ しTこもの. Normal:正常人コントローノレ. 点線は正常値の上限(160%)を示す. Suppressed Not Suppressed Untreated セドウ病患者

IgG

,抗甲状腺剤で甲状腺機能が正 常 化 し た 患 者

IgG

TSI

活 性 を 測 定 し た ( 図

5

)

.

この検討において

1

3

名の正常者

IgG

の反応 は基礎値の

1

0

1.

3

27.7%

であり平均値

+2SD

以 上,すなわち基礎値の

160%

以上を

TSI

陽性とし た.この判定基準を用いると

6

6

名の未治療パセド ウ病患者では

5

9

(89.4%)

が陽性であった.治 療により甲状腺機能が正常化した患者では未治療 患者と比較して

TSI

活性は有意に低かった(危険 率

0

.

0

1

以下).またじ抑制試験で、抑制が認められ なかった

1

2

名においては

TSI

1

1

(

9

1.

6%)

で 陽性であった.しかし,その活性は

200%

以下であ り軽度であった. 図

6

T

3抑制後の131

12

0

分間摂取率と

TSI

と の関係を抗甲状腺剤で甲状腺機能が正常化した

2

7

名で検討したものである.

TSI

活性と

2

0

分間摂取 率との間には相関係数

R=0.58

,危険率

0

.

0

1

以下 で有意の相関を認めた. 較検討した結果を図4に示す.パセドウ病患者

IgG

~.こ対する cAMP の増加反応は漉胞を用いた 系で良好となることが判明した.すなわち櫨胞を 用いた系で、は

cAMP

は基礎値の

3

4

7

:t

226%

(平 均±標準偏差;

S

D)まで増加したのに対して単層 培養細胞を用いた系で、は基礎値の

1

6

5

:t

105%

(平 均:t

SD)

であり pairedt testを用いた検定で、は

0

.

0

1

以下の危険率で両者に有意差を認めた.なお

6

名の正常人の

IgG

に対する反応は

i

慮胞を用い た系で、は

9

9

20%

,単層培養細胞を用いた系では

1

0

2

:t

11%

であり,平均値

+2SD

以上を陽性とす ると櫨胞を用いた系ではこの

1

7

名の末治療パセド ウ病患者

IgG

がすべて陽性であった.しかし,単 層培養細胞を用いた系では

52%

が陽性になったに すぎなかった.以上の如く

TSH

のみならず

TSI

に対しても濡胞培養した甲状腺細胞はより鋭敏で あった. 次にこの櫨胞を用いた系を使用して,未治療ノミ

(6)

/

;

/

:

1

7

:

400 300 200

.

.

.

.・

( -O 酬 ロ D 恥 o-cbU ﹄ 也 nu) 刀 白 戸 O ﹄ bC 申

m

a

芝︽ U 100 30 10 1311 Uptake/20 min (・'1.) 20 O 図6 抗甲状腺剤により甲状腺機能が正常化した患者におけるも抑制後の山120分 問甲状腺摂取率とTSI活性との関係. 点線は正常値の上限すなわちTSIにおいては160%, 日'1摂取率においては9%を示 す.

c

r

o

v

i

l

l

i

が内腔を向く細胞極性を有する櫨胞を形 成する12)1へ し か し , 遊 離 甲 状 腺 細 胞 を

TSH

P

r

o

s

t

a

g

l

a

n

d

i

n

E

2,

d

i

b

u

t

y

l

cAMP

の非存在下で 培養すると細胞膜の一部は培養液に面するが,基 底部は培養ディシュに接着し極性は積胞とは異な る.このような条件下ではサイログロプリンの貯 蔵やヨード化によるホノレモン合成はおこらないと されている16)17)このように極性の差は当然

TSH

受容体の数や分布に影響を与えることが予想され る.

C

h

a

m

b

a

r

d

ら18)はコラーゲンのゲルの上で、培 養した単層甲状腺細胞では

TSH

受容体一アデニ ルシクラーゼ複合体は甲状腺細胞の基底部すなわ ち基質との接着面に存在すると報告されており清 胞を形成している甲状腺細胞とは異なると思われ る.単層培養細胞と培養穂胞における

TSH

レセ プターの分布の差が

TSH

(1,こ対する反応性の差の 原因かもしれない.いずれにせよ

TSH

に対する 甲状腺細胞の

cAMP

産生反応はその培養形態に よって異なることが判明した.なお培養液中の胎 児ウシ血清の濃度を

10%

に増加させると培養漏胞 の細胞極性は逆転することが報告されている12) このような極性の反転した櫨胞は正常極性を有す る

i

慮胞と比較して

TSH

に対する

cAMP

増 加 反 応は低下することも確認された(未発表データ). -468 考 察 近年,笠木10)らおよび

R

a

p

o

p

o

r

t

ら1川こよって 培 養 液 中 よ り

N

a

C

l

を 除 去 す る と

TSH

T

S

I

に対する単層培養甲状腺細胞の

cAMP

増加反応 の感度が上昇することが報告されている.このよ うな低張性の反応液を用いると

TSH

に対する感 度は 1-3.3μU/mlであり,未治療パセドウ病患 者の

90%

T

S

I

が検出されると報告されている. 我々もブタ甲状腺細胞単層培養系を用いて同様の 検討を行ない

TSH

に対する感度が上昇すること を確認したが,

TSH

に対する感度は50μU/mlで あり,未治療パセドウ病における

T

S

I

の陽性率は

60%

にすぎなかった.そこで,我奇は次にブタ甲 状腺培養鴻胞を用いることとした.この系におい ても

N

a

C

l

を培養液より除去すると

TSH

および

T

S

I

に 対 す る 感 度 が 上 昇 す る こ と が 判 明 し た 〔データ省略).よってこの低張性反応液を測定系 に用いることとした.このように低張性反応液と 培 養 糖 胞 を 用 い た 系 は3.3な い し 10μU/mlの

TSH

~.こ反応し,感度は単層培養細胞と比較して 良好であった.このように甲状腺細胞が櫨胞を形 成すると感度が上昇する理由は現在の時点で、は明 らかではない.低濃度の胎児ウシ血清を含む培養 液中では甲状腺細胞は正常な極性,すなわち

m

i

.

(7)

培 養 櫨 胞 を 用 い た 測 定 系 はTSHと同様TSI に対しても鋭敏であった TS1は

6

6

名の未治療ノミ セドウ病患者の89.4%で陽性であった.この数値 は今まで報告された方法のうち最も感度のよい方 法による結果とほぼ同程度である9)10)約10%の患 者ではTSIは陰性であった.このことは測定系の 感 度 が 十 分 で な い 可 能 性 や こ れ ら の 患 者 のTSI が ブ タ の 甲 状 腺 と は 反 応 し な い 可 能 性 を 示 唆 す る.しかし, ヒト甲状腺細胞を用いてもやはり約 10%の患者でTSIは 陰 性 で あ る と 報 告 さ れ て い る10)11) したがってIgG以外の免疫グロプリンに より構成されるTSIも存在する可能性もある.ま た我々の検討で'10mg/mlの濃度ではcAMP産 生 作用が2.5mg/mlまたは5mg/mlと低濃度に希釈 した場合より弱し、未治療パセドウ病患者IgGが 存在することが確認された.パセドウ病IgGは他 の自己抗体と同様多様性があり,中には阻害性の 抗体も存在することが報告されている.したがっ て必ずしも直線的な用量反応性を示さないもので あろう.この様な事実からTSIの陽性率を高める ためには二種類以上のIgG濃度を用いて TSIの 測定を行なうことが望ましいと考えられた. TSI活 性 が パ セ ド ウ 病 の 活 動 性 を 真 に 反 映 す るか杏かを明らかにするため抗甲状腺剤で甲状腺 機能が正常化した患者でTSIを測定し, T3抑制 試験の結果と比較検討した.パセドウ病の本態で ある甲状腺異常刺激状態は

T

3抑制後の甲状腺の 放射性ヨード、摂取率により極めてよく反映され, T3抑 制 試 験 は 抗 甲 状 腺 剤 で 治 療 さ れ て い る 患 者 における寛解予知に極めて有用であるとされてい る19ト 21) 我々の検討においても培養櫨胞を用いて 測 定 し たTSIはT3抑 制 後 の1311甲状腺20分 間 摂 取 率 と 良 好 な 相 間 を 示 し ,

T

3;Jド抑制例12名 中11 名,抑制者15名中5名で陽性であった.この結果 はT3抑制,非抑制にかかわらず抗甲状腺剤で甲状 腺 機 能 が 正 常 に 保 た れ て い た 患 者 で は す べ て TSIは陰性であったとする葛谷らの報告19)とは異 なる.一方,最近TSIはT3抑制例においても検出 されるという報告叩1)22)もあり我々の成績とよく 合致する.このような異なる報告の原因はすべて 明らかにされているわけで、はないが,その一部は 測定系の感度のちがし、であると思われる. また最近血中サイ戸グロプリン値は甲状腺の異 常刺激状能を反映しており,その測定は寛解予知 に有用と考えられている23) 我々の検討でも血中 サ イ ロ グ ロ プ リ ン は

i

慮胞を用いて測定したTSI と良好な相関を示した.このような結果は櫨胞を 用いて測定したTSIはパセドウ病の活動性をよ く反映しており,寛解予知や治療方針の決定の上 でも非常に有用であると考えられる. 結 語 1.遊離ブタ甲状腺櫨胞の培養系を確立した.

2

.

培養甲状腺濡胞は単層培養細胞と比較して TSHやTSIに対するcAMP増加反応が良好で、 あった. 3.培養甲状腺

i

慮胞を用いた甲状腺刺激物質の 測 定 系 は 未 治 療 パ セ ド ウ 病 患 者 の89.4%でTSI が検出可能であった.

4

.

抗甲状腺剤により甲状腺機能が正常に保た れ て い る 患 者 に お い て ,

i

慮 胞 を 用 い て 測 定 し た TSIは も 抑 制 後 の131120分 間 甲 状 腺 摂 取 率 や 血 中サイログロプリン値と良好な相関を示し,パセ ド ウ 病 の 活 動 性 を よ く 反 映 し て い る と 考 え ら れ た 稿を終るに臨み,御指導と御校闘を賜った鎮目和夫 教授ならびに劉馬敏夫教授に深射いたします. また,数々の御助言,御協力を頂いた東京女子医大 第三内科の諸先生及び放射線科目下部きよ子助教授 に謝意を表します. 本論文の研究費の一部は厚生省特定疾患ホルモン 受容機構異常調査研究班研究費,文部省科学研究費, 科学技術庁科学研究振興費,財団法人成長科学協会研 究助成金によって行なわれた. なお,本論文の要旨の一部は第7回アジア・大洋介│ 内分泌学会(昭和57年8月),第57回日本内分泌学会総 会(昭和59年5月),および第7回国際内分泌学会(昭 和59年7月〉において報告した. 文 献 1)Adams

D

.

D

.

and Purves

H

.

D

.

:

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