136 (52) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
シバ タ ナオ ミ柴田尚美(昭和3
博士(医学) 二丁1398号平成5年10月15日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)における尿中微量アルブミンと動脈硬
化の関連 (主査)教授 大森 安恵 (副査)教授 丸山 勝一,小林 棋雄論 文 内 容 の 要 旨
目的 尿中微量アルブミンは,インスリン依存型糖尿病 (IDDM)では糖尿病性早期腎症の診断に用いられてい るが,NIDDMではその意義はまだ明らかにされてい ない.欧米において,大血管症(macroangiopathy) のpredictorになりうると報告されている.日本人糖 尿病の大部分を占めるNIDDMで,早期腎症における 動脈硬化の有無について検討することを目的とした. 対象および方法 対象は30~65歳のNIDDM男性412名で,血清クレ アチニン1.3mg/dl以下のものとした.明らかな家族 性高脂血症や抗脂血剤使用症例は除外した.糖尿病の 治療は食事療法172名,経口血糖降下薬190名,インス リン50名である.全例を尿蛋白排泄量により次の3群 に分けた.早朝の尿中微量アルブミン1.8mg/dl末満 をnormoalbuminuria(N群)145名,1.8~18mg/dlを microalbuminuria(M群)139名, albustix testで尿 蛋白持続陽性をproteinuria(P群)128名とした.微量 アルブミンは免疫比濁法で測定した.動脈硬化の指標 として総コレステロール(TC),中性脂肪(TG), HDL・ コレステロール(HDLC),アポA-1ザアポB, lipo- protein(a)(LP(a)),大動脈脈波伝導速度(PWV) を用いた.Lp(a)とPWVの測定は412例中93例で同時 期に行った.Lp(a)はELISA法, PWVはPWV-200 にて測定した.LDL-CはFriedewaldの式より求め た.検定は一元配置分散分析,Turkey test,多変量解 析,κ2-testを用いた. 結果 検査時平均年齢は,N群50.1歳, M群51.8歳, P群 54.0歳。3野間で年齢と肥満度に有意差はなかった. ①血中脂質:TC, TG, LDLC,アポBはN群, M群, P群の順に有意に高値を示し,HDLCは有意に低値, 動脈硬化指数は有意に高値であった.②Lp(a)濃度 は,N群13.2±7,4mg/d1(mean±SD)M群24.7± 17.4mg/d1, P群37.1±23.2rng/d1の順に有意に高値 であった(各々P〈0.005).③PWVは, N群7.7±1,1 m/sec, M群8.9±12m/sec, P群9.1±1.5m/secの順 に高値で(p<0.001),年齢を考慮にいれても同様の傾 向であった.④Lp(a)はPWVと有意な正相関を認め た(r=0..47,p<0.001).⑤微量アルブミンは血中脂 質,アポB,動脈硬化指数,Lp(a)とそれぞれ高度な 相関を有した. 考察 糖尿病性腎症を合併すると脂質代謝異常が出現し, 虚血性心疾患を中心とした強い動脈硬化がもたらされ ると報告されている.動脈硬化性疾患の発症が多い 30~65歳の年齢層で検討を行ったが,対象を男性のみ とした理由は,糖尿病女性では尿路感染症を合併し易 く,尿中微量アルブミンの増加を糖尿病性腎症と診断 することが難しい例のあること,閉経前後で脂質代謝 が異なることなどからである. 尿中微量アルブミンは動脈硬化危険因子の一つとし て,臨床的意義の高いことを認めた.日本人のNIDDM における微量アルブミン尿と動脈硬化の関連について 一742一137 は初めての報告であり,微量アルブミン尿期より血中 脂質の正常化に留意することで,動脈硬化の発症を予 防しうるものと推測された. 結論