シャーブレード用 Ni-Cr-Mo 鋼および Cr-Mo 鋼の熱処理による諸性質について

∪.D.C. る占9.15.24.2る.28.018.254.2 +るd9.15.2d.28.018.254.2

シャープレード用Ni-Cr-Mo鋼およびCr-Mo鋼の

熱処葦聖による諸性質について

On

the Various Properties Due to Heat Treatment _of NLCr-Mo

Steel

and

Cr_Mo

Steelfor

Shear Blade Use

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Sadao Koshiba Kazuo Tanaka

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Asao Inata 内 容 梗 概 シャープレード用NiTCr-Mo鋼(安来工場記号SPK3〕およびCr-Mo鋼(安来工場記号CRMl) につき確性試験を行った｡ その結果恒温変態図において SPK3は650∼700OC問および300OC附近にノーズがあり,約400∼ 550OCの温度区間においてオーステナイトは準安定状態を示す｡CRMlは650OC および450OC附近に ノーズをあらわす｡また,いずれもマルクェソチせるものが油焼入のものに比し低温焼戻の場合,等硬 度における衝撃値が高い亡 特にCRMlはオーステソパーによりいちじるしく執性を増す｡

〔Ⅰ〕緒

当工場ほオースターブレード,シヤーブレードな どの特殊匁物用鋼として各幌成分のものを製造している が,今回 匁物業者の依転により両者協議の上シャープ レード用鋼として しく NトCr-Mo鋼(安 _工場記号 SPK3)を試作した｡また一方従前のCr-Mo鋼に比し さらにC畳を増したもの(′安来工場記号CRMl)をも 造している｡本研究でほこれらについて碇性 使用上の参考に した｡

〔ⅠⅠ〕試料および実験方法

一式料はいずれも5t弧光電気炉にて熔 鹸を行い 後400kg鋼 塊に鋳造した｡弟1表にこれらの化学成分を示す｡ つぎにSPK3ほ11mm￠および18mm￠,CRMl は12,18mm￠に圧延した後SPK3は1,000PCにて 30分焼準後80げCにて1.5時間焼鈍し,CRMlは750DC にて1.5時間焼鈍後それぞれ脊椎試験片をこ機械加工した.､ rl )変態点の測定 7mm￠×70mmの試料を川い本多式熱膨脹計により 測定した｡加熱速度およびか冷の場合の冷却速度はそれ ぞれ5L■C/min _{とし最高加熱混度ほSPK3は950OC,} CRMlほ8500C とLた′_. し_2ノ 恒温変態図 10mm￠×5mmの試料を川いSPK3は930Oc,CRMl は850ロCiこてそれぞれ10分加熱後200∼7500Cの各恒 温俗に急冷し,その渥度で10秒､6時間の昔時間恒鮎処 理後15口Cの水中に急冷し硬度および頗徴鏡組織を検討 し.たっ持に3500C以'卜の温度の場合は熱膨脹計(一試料 51--m∼ら×70mm)を併川し,これらの綜合結果より恒温 変態図を作 _{した｡なお桓混浴栖としてほ200Dcは種油,} * 日 正金属工業株式会社安来工場 工悼 ** 日立金属工業株式会社安来二1二場 第1表 _{試料の化学成分(%)} 250∼550ロCは錫浴,600･､7500cは鉛浴を用いた｡ またMs点は本多式熱膨脹計を用い空冷により測定し たが,特にCRMlにおいてほ2500c附一近まで急冷(石英 管の上よりミニ■1三水)後空冷した｡なお学振法により結晶粒 度を測定した｡ (3)焼入,焼戻温度と硬度との関係 15mm￠×12mm試料を用いSPK3は850∼1,000Oc,

CRMlは750∼9000Cの各温度に10分保持後水,油お

よび空冷せるものと,それぞれの油焼入せるものにつき 100∼7000cの脊温度にて1時間焼戻しロックウェル硬 度を測定した｡ (二4二)曲げ試験 10tアムスラ試験機iこより 5皿m￠×70mmの 料を 用いスパン50mmにて試験を行った｡しかして単位面 積ヲうりの破断荷重をもって杭折力とした｡ なお奇相機械試験片(抗張試験甘および衝撃試験片)は いずれも正規寸法より 0.2mm人きく仕上げたものをケ ース小に,Cが0･99%のダライ粉とともに封入して加熱 し,各種熱処理終了後正規寸法に化_l二げ試験を行った｡

〔ⅠⅠⅠ〕実験

結

果 (り 変態点生起状況 弟2表にこれが測定結果を′｣ミす｡ SPK3はCRMlに比し加熱変態温度は高いが冷却変 態組度はいずれも低い｡なお空冷の場合SPK3はAr′′ 変態,CRMlはAr,変態を1三起する｡ (2)恒温変態図 弟1図はSPK3の恒温変態図を示すが,図よりあき

昭和32年5月 立 らかなようiこ650∼7000C問および3008C附近にノーズ があり,また400∼5500Cの各温度においてほ6時間に ても変態を生起せずオーステナイトの準安定区間を生じ ている｡ 第2表 _{変態点測定結果(OC)} 加熱変態; 冷 却:.変::態 (つC) 料: (OC) 炉 冷 j 空 冷 i開 始.終 了 開 始･終 了 開 始 終 了 ､･l＼ ･ ･ ･､

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シャープレード用NiqCr-Mo鋼およびCr-Mo鋼の熱処理による

また第10囲および弟11図にSPK3およびCRMl のそれぞれ恒温処理せるものの硬度測定結果を示す｡ (3)焼入,焼戻温度と硬度との関係 SPK3の娩入 験結果を弟】2図に示すが,固よりあ きらかなるように空冷の場合は950ロC附近,油冷の場合 は9250C附近の温度においていずれも最高傾度を示L, それ以上の温度においてはかえって披度を低下する傾向 を示す｡舞13図および第14図は9250C油冷および950`､C より空冷せるものの組織を示す｡ 第15図はCRMlにおける結果を示す.⊃ すなわち水冷の場合は8250c附近,柚冷の場合は850ロC 励グ/7∼ J〝 2ク 付ガプカJカ 萱. 主 世 へ0しき､ 鎖 聖 91

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♂ /ク が ヤク ′り一 声言 問 川 第10図 SPK3の各熱浴における扶持時l;りと 硬放との関係(最高加熱湿度930■⊃Cう ガ髄/刀符2 J〝 ガ 〝∬都♂カ 二J l

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性質について

附近の温度においていずれも最高硬 623 を示し,それ以上 の温度においてはわずかながら硬度を低下する｡空冷の 場合は本 鹸の温度範囲内においては次第に硬度を増大 するも前述の両処理せるものに比してその硬度ほ著しく 低い｡また油冷の場合焼入温度850nCのものほ球状セ メンタイ下が微細に分布せるマルテンサイト別紙を示す が,9000Cのものは針状組織を示す｡ 弟lる,17図はそれぞれの油焼入せるものiこおける焼 戻硬度試験結果を示す｡ SPK3の場合焼戻温度300∼5250c附近までほ焼哀歓 化抵抗が大きく特に1,0000C焼入のものは二次硬化現象 〃 へ0)壬､.堅+撃 脚 戊押 焼 入 き思慮 化) 〝〃 第12｢葉ISPK3の眈入温度と硬度とのl甥係 ×420 須13囲 SPK3の 925⊂'C浦焼入組織 型 ×42(〕 第14国 SPK3の 950DC空冷組織 .ミさ) 煉 入 力却 虔 _(℃) 第15図 CRMlの焼入温度と硬度の関係 Jこi/

昭和32年5月 を示す｡ つぎにCRMlほ焼戻温度の上昇とともにいちじるし く傾度を低下し前者に比し焼戻軟化抵抗が小さい｡ (4)衝撃,抗折力試験 SPK3は930Oc,CRMlほ850DCより油焼入せるも のと各々同一温度より 2000C の _{俗に5分恒温保持後} 空冷し,いわゆるマルクェソチ処理せるものにつき0∼ 6000Cの各温度に焼戻後硬度,衝 償および抗折力を測 定せる結果を弟18,け図に示すが,両鋼種共油焼入, マルクェンチにより硬度ははとんど大 ないが,SPK3 は5000c附近,CRMlは4000c開`近以下の焼戻におい て油焼入のものに比しマルクェンチせるものの方が衝撃 値が高く,それ以上の焼戻混度においてほほとんど大 くJ 萱 型 葦 へ巳萱 轡 繋T √J ∴二i∴･ノ _{丁･､■∴･:∴} ∴∴.こ∵ 焼 戻 _{手芸 度(℃)} 第161茎1SPK3の焼戻温度と硬度の関係 御 .､しIJ 斗､j､J 放 庚 S瓦 /血 劇材 _{J砂 仰} 虐 (℃) 第17図 CRMlの焼戻温度と硬度の関係 評 _{第39 第5号} ない｡またいずれの場合においても両鋼槌共焼戻温度 2500c桝｣う丘においてやや脆性を示す｡なお抗折力 ､･∴二･; 述の衝撃 験は 係上低温焼戻の場合についてのみ行ったが,前 験の場合とほぼ同様の傾向を示す｡ つぎに第20図はSPK3を9300Cより熱浴温度3000c に60∼360分恒温処理せるものの結果を示すが,処理時 間の長い方が硬度を低下し衝撃値,抗折力を増す傾向を 示す｡第21図はCRMlを850Ocより200∼3500cの 各恒温浴中にてオーステンパーせるものの試験結果を示 す｡すなわち温度の上昇とともに硬度を低下するが衝撃 値,抗折力を増大し特に2500C以上の温度においていち じるしい｡ 弟22図はSPK3の9300c油焼入後500Dc焼戻第23, 24図はCRMlを8500c油焼入後3500c焼戻および 朗ODC _より 300〇cにて _{60分保持しオーステンパーせ} 酌 ♂ ((0)茸)モ 卯

境

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ユキ! よ-.〉.ご1.∴-､ 焼戻温厚(℃) 仰 (箋畏tぎ二 型償還-〕｣｢トハ 7 ∴ 〔J ハU / 第181瑚 SPK3の油焼入およびマルクェソチ 処理せるものの焼戻限度と硬度,衝撃値およ び抗折力の関係 ー ∴ ‥ ∴ ･エ.､ ∴ ､､ 煉 戻 温 度 (℃)

(∼琶ざ.きこ遠扁壷-山｣｢阜ハ

刀U 第19図 CRMlの油焼入およびマルクェソチ 処理せるものの焼涙温度と硬度,衝撃値およ び抗折力の関係

雷香車〓q〔覧豆

∵･.＼‥...㌧ニ.∴

シャーブL/-ド用NiqCr-Mo鋼およぴCrqMo鋼の熱処理による諸性質について

るものの組織を示す｡ (5)熱間抗張,衝撃試験 弟25図はSPK3の930CC油焼入後5000c焼戻せるも のの熱間衝 に 試験結果を示す｡同園よりあきらかなよう 験温度の上昇とともに約400Dc附近までは衝撃値を 増大するが500DC附近においていちじるしい脆性を示 す｡また弟26図はCRMlの850OC油焼入後350OC焼 戻せるものの熱間における抗張,衝撃試験結果を示す が,試験温度200ロC附近より抗張力をいちじるしく低下 し,伸びおよび絞りを増大する｡しかして衝撃試験にお いては4000C附近に脆性を まりいちじるしくない｡ ずるが,SPK3に比しあ

〔ⅤⅠ〕結果に対する鳶察

従来シヤーブレード用鋼は使用硬度SH75〔HIt(C) (G)葺)七 郎 帯 ､､ ､ナ､ ノ恒〉昆勉摺日吉問r〃)

l､∵∵..ト‥.､､∴‥二T∴-∴･

l､∵..㌧､｣ ∵‥∴､ ∴‥ :い い｣･ 第20図 SPK3の恒温処理時間と硬度,衝撃 値および抗折力の関係 ミ串㌣ふ三1

撃鶴屋-彗｢阜ハ

へ∼尽忘)Q

只転宅 却 ガ 押 第21囲 CRMlのオーステンパー温度と硬度, 衝撃値および抗折力の関係 ×420 625 ×420 第22図 SPK3の9300C _第23図 CRMlの850Oc 池焼入500αc焼戻組織 第24図 CRMlの3000c オーステン㌧パー組織

(∼転ざ.塾)

撃舶靂｣U｣盲ハ

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に 懸 峠什 油焼入3500C焼戻組織 ×420 乃妙 卸 j即 _■仰 J卿 仰 三式 検 温 _度 (℃) 第25図 SPK3の熱間衝撃試験結果 珊 瑚 慧･u m写 ミや㌣卓〓､嬰寵臣∴ヤ≡ム ノ ､ ∴ ∼ ･ ･1‥ 三式検温 席(℃) 第26図 CRMlの熱間機械的性質

626

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ミ､- ごご一 久ノ 灯 応更 度 /か(の 第27図 SPK3の各処理せるものの硬度と衝 撃値の関係 へN息､す卓)

倒-班毎｣望｢辛ハ

56.3〕附近のものが良好なる結果を示すといわれている｡ よって舞27, つエ8 図 ま前 の結果より SPK3 およひ CRMlの等硬度における衝撃値を比較せるものである が,SPK3の場合硬度約HR(C)55.0以上ではマルクェ ソチ処理せるものの方が油焼入のものに比し高い衝撃値 を示す｡しかしで恒温処理せるものは両者に比し低い｡ CRMlにおいては硬度約Hlモ(C)54.0以上においてマ ルクェンチの方が油焼入のものより衝撃値が高く良好な る結果を示し,オーステンパーせるものは前述の両処理 のものに比し硬度約HR(C)59･0以下において衝撃値を いちじるしく増大する｡

〔Ⅴ〕結

言 の結果を要約するとつぎの通りである｡ (1)恒温変態図においてSPK3は650∼7000C問およ び300ロC附近にノーズがあり約400∼5500Cの温度区 問においてオーステナイトは 安定状態を示す｡また CRMlは650DCおよび450QC附近にノーズをあらわ す｡ ･､二2)SPK3は930OC,CRMlは850⊃Cより油焼入あ るいはマルクェンチ後焼戻せるものにおいては,いず れも焼戻温度2500c附近において脆性を示す｡ (二3)衝撃,抗折力試験結果よりSPK3 の場合油焼入 およぴマルクエソチ後焼戻せるものにおいては硬度約 HR(C)55.0以上においてマルクェンチの方油焼入のも のに比し衝撃値高く,恒温処理せるものは両者に比し いちじるしく低い｡またCRMlにおいてほ硬度約 HR(C)59.0以下における等硬度の衝撃値は油焼入およ 第39巻 第5号 一却 _.tユ ニーiJ 硬 度 肋(の 形 第28図 CRMlの各処理せるものの硬度と衝 撃値の関係 びマルクェンチ後焼戻せるものに比しオーステンパー 処理せるものの方がいちじるしく高く靭性大である｡ (4)SPK3の9300C油焼入後500OC焼戻およびCRMl は8508c柚娩入後35ぴC焼戻せるものにおいてSPK3

は5000C附近,CRMlは400Oc附近の温度において

もろくなる傾向を示す｡ (5:′ 上 _{の結果よりSPK3ほ焼入温度9300c附近を} 選びマルクエソチ後5000C附近の温度に焼戻し,また CRMlほ850ロC附近の温度より3000C附近にオース テンパー処理することにより焼入,焼戻せるものに比 して良好なる結果が得られるものと思考する｡

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