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東京臨海部における水上交通の魅力向上に資する

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(1)

東京臨海部における水上交通の魅力向上に資する 事業方策と空間要件に関する研究

令和2年9月

田島洋輔

(2)
(3)

東京臨海部における水上交通の魅力向上に資する 事業方策と空間要件関する研究

目 次

第 1 章 序論 ... 1

1-1 研究背景および目的 ... 1

1-2 既往研究と本研究の位置づけ ... 3

1-3 研究の方法 ... 6

1-4 本研究の独自性 ... 8

1-5 本論の構成 ... 9

1-6 用語の定義 ... 13

参考文献 ... 15

第 2 章 研究対象地の概要 ... 17

2-1 「東京臨海部」の定義 ... 17

2-2 東京臨海部の中心を担う東京港の概要 ... 18

2-3 研究対象地の着目理由 ... 19

2-4 小結 ... 21

参考文献 ... 22

第 3 章 東京臨海部における水上交通事業の変遷とその特徴 ... 23

3-1 研究方法 ... 24

3-1-1 調査対象資料 ... 25

3-1-2 水上交通事業者の定義および調査対象事業者 ... 25

3-1-3 運航航路の歴史的変遷と事業形態の変容状況の把握 ... 26

3-1-4 都内水上交通の事業内容の特徴把握 ... 27

3-2 運航航路の歴史的変遷と事業形態の変容状況 ... 29

3-2-1 第 1 期:内港エリア航路形成期(1971~1995 年) ... 31

3-2-2 第 2 期:運河・中小河川活用期(1996~2011 年)... 33

3-2-3 第 3 期:自由航路発展期(2012~2018 年) ... 35

3-3 都内水上交通の事業内容の特徴 ... 37

(4)

3-3-1 景観体験型 ... 39

3-3-2 飲食クルーズ型 ... 40

3-3-3 歴史文化体験型 ... 41

3-3-4 移動周遊型 ... 42

3-4 小結 ... 43

参考文献 ... 44

第 4 章 東京港における魅力的な海上景観の景観特性 ... 45

4-1 研究方法 ... 46

4-1-1 東京港クルーズ調査の概要... 47

4-1-2 海上景観要素および評価理由の抽出 ... 49

4-1-3 海上景観特性の定量分析 ... 50

4-2 好ましい海上景観要素の昼夜間比較 ... 51

4-3 海上景観特性の昼夜間比較 ... 56

4-3-1 近望性 ... 59

4-3-2 連続性 ... 61

4-3-3 近接性 ... 63

4-3-4 誘目性 ... 65

4-3-5 一体性 ... 68

4-4 小結 ... 70

補注 ... 72

参考文献 ... 73

第 5 章 水上交通の魅力を伝えるメディア画像の構図特性 ... 74

5-1 研究方法 ... 75

5-1-1 水上交通事業者からみた魅力的な海上景観の把握 ... 76

5-1-2 水上交通利用者からみた好ましい海上景観の把握 ... 77

5-1-3 魅力的な海上景観の構図タイプの定量分析 ... 79

5-2 水上交通事業者および利用者が共通して注目した海上景観特性と構図的特徴 ... 80

5-2-1 建築物主対象型 ... 82

5-2-2 都市群バランス型 ... 83

5-2-3 大橋梁主対象型 ... 84

5-2-4 大橋梁バランス型 ... 85

5-2-5 小橋梁主対象型 ... 86

(5)

5-2-6 港湾施設主対象型 ... 87

5-2-7 航空機遠景型 ... 88

5-3 小結 ... 89

補注 ... 90

参考文献 ... 91

第 6 章 船着場とその周辺の魅力向上のための留意点 ... 92

6-1 研究方法 ... 93

6-1-1 研究概要 ... 93

6-1-2 「水辺を意識した建物」の定義 ... 94

6-1-3 道頓堀川における賑わい形成プロセスの把握 ... 95

6-1-4 船着場周辺部における「水辺を意識した建物」の立地的特性の把握 ... 96

6-2 道頓堀川における賑わい形成プロセス ... 97

6-2-1 設立期(2001~2010 年度) ... 98

6-2-2 民間移行期(2011~2012 年度) ... 100

6-2-3 発展期(2013 年度~現在) ... 101

6-3 船着場周辺部における「水辺を意識した建物」の立地的特性 ... 102

6-4 小結 ... 110

補注 ... 111

参考文献 ... 111

第 7 章 結論 ... 112

7-1 各章における研究結果の総括 ... 112

7-2 本研究の結論 ... 114

7-2-1 計画段階(事業計画/航路計画) ... 115

7-2-2 計画段階(船着場の選定)... 118

7-2-3 運用段階 ... 120

7-3 今後の展望:水上交通による地域の賑わい醸成に向けて ... 122

謝辞 ... 124

付録 ... 125

(6)

図表 目次

図 1-1 研究方法のフロー ... 7

図 1-2 研究手順 ... 12

図 2-1 研究対象範囲(東京臨海部) ... 17

図 2-2 賑わいや祝祭性が創出されていた江戸河岸(江戸名所図会:日本橋) ... 19

写真 2-1 サンフランシスコ・ピア 39 前掲... 20

写真 2-2 ピア 39 の賑わい風景 ... 20

写真 2-3 シアトル・マリオット ... 20

写真 2-4 ニューヨーク・ハドソンリバーパーク ... 20

写真 2-5 賑わいの見られない日本橋船着場 ... 20

写真 2-6 お台場海浜公園船着場の現状 ... 20

表 3-1 調査概要 ... 24

表 3-2 調査対象事業者 ... 25

図 3-1 複数コースが混在するパンフレット(例:江戸東京コンソーシアム) ... 27

表 3-3 パンフレットの調査項目および読取方法 ... 28

図 3-2 パンフレットの情報の抽出方法 ... 28

表 3-4 東京港周辺における水上交通事業航路の変遷とコース別の事業概要 ... 30

図 3-3 1995 時点の水上交通航路の分布状況 ... 32

図 3-4 2011 年時点の水上交通航路の分布状況 ... 34

図 3-5 2018 年時点の水上交通航路の分布状況 ... 36

表 3-5 コース別の事業特性およびパンフレット特性 ... 38

図 3-6 航空機や大型橋梁の景観(ジール) ... 39

図 3-7 海越しの都市夜景(KMC) ... 39

図 3-8 料理や船の内装(東京都観光汽船) ... 40

図 3-9 江戸の歴史,扇橋閘門(ジール) ... 41

図 3-10 水上バス運行ルートおよび区間別料金表(東京水辺ライン) ... 42

表 3-6 都内水上交通事業の変遷とその特徴 ... 43

表 4-1 調査概要 ... 46

図 4-1 東京港クルーズ調査の調査ルート ... 48

写真 4-1 調査船舶 ... 48

写真 4-2 アンケート調査実施状況 ... 49

写真 4-3 ヒアリング調査実施状況 ... 49

(7)

表 4-2 昼夜別の海上景観要素とその指摘人数... 51

写真 4-4 ガントリークレーン(昼間1位) ... 53

写真 4-5 東京ゲートブリッジ(昼間2位) ... 53

写真 4-6 レインボーブリッジ(昼間3位) ... 53

写真 4-7 東京ゲートブリッジ(夜間1位) ... 53

写真 4-8 ガントリークレーン(夜間2位) ... 53

写真 4-9 レインボーブリッジ(夜間3位) ... 53

写真 4-10 ハウスボート(昼間のみ) ... 54

写真 4-11 建設現場・晴海(昼間のみ) ... 54

写真 4-12 大型船舶・品川(昼間のみ) ... 54

写真 4-13 フローティングドッグ(昼間のみ) ... 54

写真 4-14 コンテナ群(昼間のみ) ... 54

写真 4-15 ビル群・豊洲(昼間のみ) ... 54

写真 4-16 ビル群・芝浦(昼間のみ) ... 55

写真 4-17 ビル群・台場(夜間のみ) ... 55

写真 4-18 天王洲プロムナード(夜間のみ) ... 55

写真 4-19 丸全昭和運輸倉庫(夜間のみ) ... 55

写真 4-20 海上に浮かぶ屋形船(夜間のみ) ... 55

表 4-3 被験者の評価理由からみた昼夜別の海上景観特性とその特徴 ... 57

表 4-4 魅力的な海上景観特性を成立させる視距離分布と中心域の範囲 ... 58

写真 4-21 ガントリークレーン昼景(近望性) ... 59

写真 4-22 ガントリークレーン夜景(近望性) ... 59

図 4-2 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(近望性:昼間) ... 60

図 4-3 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(近望性:夜間) ... 60

写真 4-23 ガントリークレーン昼景(連続性) ... 61

写真 4-24 ガントリークレーン夜景(連続性) ... 61

図 4-4 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(連続性:昼間) ... 62

図 4-5 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(連続性:夜間) ... 62

写真 4-25 東京ゲートブリッジの桁裏(近接性) ... 63

写真 4-26 レインボーブリッジの桁裏(近接性) ... 63

写真 4-27 東京ゲートブリッジ(近望性) ... 64

写真 4-28 レストラン利用者の多様な動き(近望性) ... 64

図 4-6 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(近接性:昼間) ... 64

(8)

図 4-7 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(近接性:夜間) ... 64

写真 4-29 ガントリークレーンの色彩(誘目性) ... 66

写真 4-30 特徴的構造の東京ゲートブリッジ(誘目性) ... 66

写真 4-31 ライトアップされたレインボーブリッジ(誘目性) ... 66

写真 4-32 ライトアップされたフジテレビと水面倒景(誘目性) ... 66

写真 4-33 パレットタウン大観覧車(誘目性) ... 66

写真 4-34 ららぽーと豊洲モニュメント(誘目性) ... 66

図 4-8 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(誘目性:昼間) ... 67

図 4-9 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(誘目性:夜間) ... 67

写真 4-35 お台場のビル群(一体性) ... 68

写真 4-36 レインボーブリッジと都市夜景(一体性) ... 68

図 4-10 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(一体性:昼間) ... 69

図 4-11 好ましい海上景観を成立させる視野角の分布状況(一体性:夜間) ... 69

表 4-5 昼夜で共通して確認された各景観特性の景観的特徴 ... 70

表 4-6 魅力的な海上景観特性を成立させる視距離分布と中心域の範囲(指標) ... 71

表 5-1 調査概要 ... 75

表 5-2 調査対象事業者と主なコース名 ... 76

図 5-1 パンフレットからの主対象や構図の抽出 ... 76

図 5-2 東京港クルーズ調査の調査航路 ... 77

写真 5-1 東京港クルーズ調査実施状況 ... 77

写真 5-2 調査船舶 ... 77

写真 5-3 本調査で使用した使い捨てカメラ ... 78

図 5-3 メッシュ分析の調査方法 ... 79

表 5-3 構図タイプ別の水上交通利用者の主な評価理由とその評価数・割合 ... 80

表 5-4 水上交通事業者と利用者が共通して好ましいとした海上景観とその構図特性 ... 81

写真 5-4 パンフレット掲載写真(建築物主対象型) ... 82

写真 5-5 被験者撮影写真(建築物主対象型) ... 82

写真 5-6 パンフレット掲載写真(都市群バランス型) ... 83

写真 5-7 被験者撮影写真(都市群バランス型) ... 83

写真 5-8 パンフレット掲載写真(大橋梁主対象型) ... 84

写真 5-9 被験者撮影写真(大橋梁主対象型) ... 84

写真 5-10 パンフレット掲載写真(大橋梁バランス型) ... 85

写真 5-11 被験者撮影写真(大橋梁バランス型) ... 85

(9)

写真 5-12 パンフレット掲載写真(小橋梁主対象型) ... 86

写真 5-13 被験者撮影写真(小橋梁主対象型) ... 86

写真 5-14 パンフレット掲載写真(港湾施主対象型) ... 87

写真 5-15 被験者撮影写真(港湾施主対象型) ... 87

写真 5-16 パンフレット掲載写真(航空機遠景型) ... 88

写真 5-17 被験者撮影写真(航空機遠景型) ... 88

表 5-5 各構図タイプの構図的特徴より抽出した魅力的な海上景観のプロトタイプ ... 89

表 5-6 過去 30 年間の審査付き論文にみる 「現地調査/室内実験と伴う景観評価」関連論文(再掲) ... 90

写真 6-1 単なる通過点となった船着場 ... 92

写真 6-2 船着場を中心に祝祭性が広がる道頓堀川 ... 92

図 6-1 水都大阪・水の回廊エリアの概要 ... 93

写真 6-3 水辺に向けて窓越しに飲食スペースが設置された建物 ... 94

写真 6-4 水辺側に出入口がある建物 ... 94

写真 6-5 水辺テラスを有する建物 ... 94

写真 6-6 自由に水辺へ出入りできない建物 ... 94

写真 6-7 水辺で憩える場がない建物 ... 94

表 6-1 調査概要 ... 95

表 6-2 水の回廊エリアの船着場概要 ... 96

表 6-3 大阪市の取り組みと道頓堀川周辺の整備状況 ... 97

図 6-2「設立期」の「水辺を意識した建物」の配置図(2011 年 3 月時点) ... 99

図 6-3 とんぼりリバーウォーク遊歩道の「水辺を意識した建物」の推移 ... 99

図 6-4 とんぼりリバーウォークの年間イベント回数の推移 ... 99

図 6-5「民間移行期」の「水辺を意識した建物」の配置図(2013 年 3 月時点)...100

図 6-6 「発展期」の「水辺を意識した建物」の配置図( 2017 年 3 月時点) ...101

図 6-7 水の回廊エリアにおける船着場および「水辺を意識した建物」の立地状況 ...103

写真 6-8 とんぼりリバーウォーク ...103

写真 6-9 日本橋上流側の防潮堤 ...103

写真 6-10 湊町船着場下流の防潮堤 ...103

写真 6-11 八軒家浜の雁木 ...103

写真 6-12 中之島バンクスと遊歩道 ...103

写真 6-13 浮桟橋のカフェテリア ...103

図 6-8 太左衛門橋船着場を中心とした「水辺を意識した建物」の分布状況 ...104

(10)

写真 6-12 中之島バンクスと遊歩道(再掲) ...104

図 6-9 日本橋船着場を中心とした「水辺を意識した建物」の分布状況 ...105

写真 6-13 浮桟橋のカフェテリア(再掲) ...105

図 6-10 湊町船着場を中心とした「水辺を意識した建物」の分布状況 ...106

写真 6-11 八軒家浜の雁木(再掲) ...106

図 6-11 八軒家浜船着場を中心とした「水辺を意識した建物」の分布状況 ...107

写真 6-10 湊町船着場下流の防潮堤(再掲) ...107

図 6-12 国際会議場前港を中心とした「水辺を意識した建物」の分布状況 ...108

写真 6-8 とんぼりリバーウォーク(再掲) ...108

写真 6-9 日本橋上流側の防潮堤(再掲) ...108

表 7-1 本研究成果とその活用方策の枠組み ... 114

表 7-2 研究成果の活用方法と作成手順 ... 116

表 7-3 海上景観要素を眺めるにふさわしい視距離帯(再掲) ... 117

図 7-1 賑わい創出ポテンシャルを有する日の出ふ頭の周辺状況 ... 118

写真 7-1 Nabeno-ism と隅田川遊歩道 ... 119

写真 7-2 LYURO 東京清澄と隅田川遊歩道 ... 119

表 7-4 各構図タイプの構図的特徴より抽出した魅力的な海上景観のプロトタイプ ...120

写真 7-3 商業施設が背を向ける日本橋船着場 ...122

写真 7-4 マンションが背を向ける高橋船着場 ...122

写真 7-5 公園内に設置された黒船橋船着場 ...122

写真 7-6 浅草二天門船着場 ...123

写真 7-7 WATERS Takeshiba ...123

(11)

第1章 序論

1-1 研究背景および目的

“水の都”を代表する江戸東京における水上交通の発展は,江戸期の千石船や小型帆船等を用 いた河川舟運から発展していき,明治期には定期運航が可能な蒸気船の導入により陸上交通が未 発達な当時の交通手段として主要な役割を果たしてきた.これは,鉄道網が整備されはじめる 20 世紀初頭まで都内の移動・物流手段としての中枢機能を担ってきた

1), 2)

しかし,戦後の高度経済成長期に入ると,主要な交通手段が自動車や鉄道などの陸上交通に変 わるとともに,水上交通の航路である隅田川沿川や東京臨海部には垂直に切り立つコンクリート の防潮堤や高速道路が建設され,沿川部や臨海部の工業立地に伴う水質悪化も相まって,水辺空 間は都市にありながら人々にとって遠い存在となるに至った

3)

このように一度は人々に忘れ去られた水辺空間であるが,その後の環境問題への意識の高まり や東京臨海部の土地利用転換が進みゆく中で,再び人々の関心が都内の水辺に向けられるように なる.その表れの一つとして,2004 年 3 月に国土交通省より示された「河川敷地占用許可準則」

の特例措置を契機に,河川空間の賑わい創出に向けた社会実験が実施されるとともに,2011 年 3 月の「河川敷地占用許可準則」の改正に伴う「特例措置の一般化」により民間事業者による河川 敷地の占用および営利活動が可能となり,河川空間の新たな賑わいづくりが展開されている

4)

. また, 2019 年 5 月に一般財団法人みなと総合研究財団により公表された「新みなとまちづくり宣 言

5)

」では,新たなみなとまちづくりの方向性として,民間事業者による港湾空間の有効利用や 遊休地の利活用による地域価値の向上,背後都市とのネットワーク化などが明記される等,港湾 空間を活用したまちづくりへの機運もまた高まっている

6)

.こうした中,東京臨海部では 2016 年 8 月に東京都内で初となる水上タクシー専門会社「東京ウォータータクシー株式会社

7)

」が設立さ れるとともに, 2017 年 3 月には東京都による東京臨海部の多彩な魅力の周知や水上交通の利用拡 大を目指した舟運社会実験を通して「東京船旅

8)

」が設立されるなど, 「水上交通」の積極的な推 進が図られている.このような,水辺空間を都市再生の核として活用する動きが活発化する中,

東京五輪 2020 の関係施設が東京臨海部に集積したこともはずみとなって,都心部と臨海部の賑 わい拠点をつなぐ機能として「水上交通」がより一層の注目を集める現状に至っている.

この「水上交通」は,東京を代表する中心地域を運河や河川を利用して交通渋滞なく移動でき るというメリットを持っており,さらにこれに加えて, 「レインボーブリッジ」や「海面越しの都 市建築物」 ,ガントリークレーンなどの「港湾空間ならではの非日常的景観」等の魅力的な海上景 観が味わえるなど,内陸の交通機関では到底体験しえない, 「水上交通」特有の魅力があると考え る

9), 10)

以上をふまえ,本研究では,前述したような東京港周辺の水上交通の利用促進を目指す「都内

水上交通事業者」における「水上交通の魅力向上のあり方」を導出するために,東京臨海部にお

(12)

2

いて人員輸送と観光事業を両立させる「都内水上交通」を対象として,第 1 に事業開始から現在 に至るまで継続運行されている航路の歴史的変遷や事業形態の変化などに関する都内水上交通の 事業実態を捉えることにより,水上交通事業の継続要因(集客コンセプト,料金設定,船舶規模,

運行時間,航路など)を明らかにする.第 2 に近年大きく変貌を遂げた東京港の魅力的な海上景 観を把握するために,東京港クルーズ調査を通じて,魅力的な海上景観の構成要素や視覚構造を 捉え,魅力的な海上景観を成立させる指標として運航航路と景観要素との望ましい距離関係(視 距離)を導出する.第 3 に都内水上交通の魅力を伝えるメディア画像の構図特性を捉えるため,

水上交通事業者と利用者(乗船者)が共通して注目する魅力的な海上景観の構図的特徴について 論考する.さらに第 4 にこれまでの東京港周辺の「船着場」が単なる乗降の用にとどまり賑わい や文化形成の拠点にまで至っていないという実態を課題と捉え,その望ましいあり方を導くため に,近年の水辺空間を都市再生の核とした先進事例となる「水都大阪プロジェクト」を対象とし た実態調査から船着場とその周辺の魅力形成に向けた留意点について考究する.

以上を通じて,東京臨海部における水上交通の魅力向上に資する事業方策と空間要件について

論考するものである.

(13)
(14)
(15)
(16)

6

1-3 研究の方法

以上の既往研究の検討を踏まえ,本研究は以下の方法を設定する.

東京臨海部における水上交通事業の変遷とその特徴

都内水上交通の魅力向上に資する事業計画上の留意点を捉えるために,東京臨海部で水上 交通事業を展開する事業者を対象に,各事業者が定める運航航路やその歴史的変遷,航路ご との事業内容(運航目的や集客コンセプト,運航航路,所要時間,運賃など)を把握するた めの事業者パンフレット分析を行うとともに,運航航路別の運航開始年/終了年,今後の運 航計画,継続利用されるルートの特徴と事業者の意図などについてヒアリング調査を実施し,

東京臨海部における水上交通事業の時代ごとの主要航路や集客コンセプト等の特徴を明らか にする.

なお,本研究では,各水上交通事業者が発行するパンフレットには,水上交通に関する事 業航路や事業内容が文章や写真,地図などによってわかりやすく示されており,事業者が情 報発信する水上交通事業のイメージを客観的かつ網羅的に把握できると考えられることから,

都内水上交通事業者が発行する事業パンフレットを分析対象に設定した.

東京港における魅力的な海上景観の景観特性

上記(1)の集客コンセプトとして事業開始当初から現在まで一貫して注目されてきた「景 観体験」の重要性に着目し,近年大きく変貌する東京港の海上景観の現状を捉えることが重 要と考え,東京港クルーズ調査(現地調査)を実施し,被験者(乗船者)が好ましいとする海 上景観とその評価理由を抽出する.さらに,それらの空間的な成立要件を定量的に評価・分 析するため,運航航路の位置情報(視点場)および主対象となる建造物の位置および高さ等 を基に,人間の視知覚特性である視距離と視野角を計測・整理するとともに,魅力的な海上 景観とその景観特性を成立させる空間的特徴を抽出し,その結果を通じて航路選定のための 指標値を導出する.

水上交通の魅力を伝えるメディア画像の構図特性

水上交通事業の魅力向上を図るためには,利用者(乗船候補者)が興味を持つ魅力的な景

観情報をホームページや SNS などで情報発信していくことが重要と考えられることから,メ

ディア等に提示するにふさわしいメディア画像に着目する.そこで,上記(1)より得られた

水上交通事業の「景観体験」の重要性に加えて,上記(2)の東京港における現状の魅力的な

海上景観を勘案した水上交通の魅力を伝えるメディア画像の構図特性として,事業者パンフ

レットや Web 等への掲載に望ましい景観写真と構図バランスを導出するため, 「水上交通事

業者」と「利用者(乗船者) 」が共通して評価した海上景観の構成要素と広報媒体(事業パン

(17)
(18)

8

1-4 本研究の独自性

以上を踏まえると,本研究の独自性は以下の 3 点にある.

1 点目として, 50 年以上にわたる東京臨海部における水上交通事業の変遷に着目し,時代ごと の主要航路と集客コンセプトを明らかにすることである.既往研究では,都内水上交通の航路や 運賃,乗船時間等の関係性からその成立要因を探求したものはあるが,時代ごとの航路の集積状 況と事業用途との関係性を明らかにした研究は見られない.これに対して本研究は,都内水上交 通の時代ごとの航路の集積や事業用途の関係性から,事業開始当初から現在に至るまでの水上交 通事業の中心を担ってきた「主要航路」と「主要な集客コンセプト」を明らかにするという点で 独自性を有するものである.

2 点目としては,東京港周辺における魅力的な海上景観の景観特性やそれを成立させる空間的 特徴から,魅力的景観を望むにふさわしい航路選定のための指標や構図バランス等を明らかにす ることである.既往研究では,船で移動しながら眺める歴史的建造物や工場夜景等を対象とした 景観分析を通じて,要素ごとの景観構造やその活用手法について論考したものがあるが,魅力的 な海上景観の景観特性やその空間的特徴から,魅力的景観を望むにふさわしい航路選定のための 視距離(指標値)や水上交通の魅力を伝えるメディア画像の構図的特徴を探求した研究はみられ ない.これに関して本研究は,都内水上交通の魅力的な海上景観の景観特性やそれを成立させる 空間的特徴から,魅力的景観を望むにふさわしい航路選定のための視距離(指標値)と水上交通 の魅力を伝えるにふさわしいメディア画像の構図的特徴を導出する点において独自性を持つと いえる.

3 点目としては,現在,都内ではその大部分が単なる乗降の場にとどまっている「船着場」の 改善方策を明らかにすることである.既往研究では, 「船着場」や「水辺遊歩道」 , 「水辺建築物」

を個別に着目し,利用者アンケート調査や追跡調査等を実施し,利用促進に資する留意点や今後 のあり方について論考した研究などは見られるが,「船着場」と背後地域を一体として賑わい形 成に取り組んでいる先進事例である「水都大阪プロジェクト」を調査対象として,「船着場」と それに接続する「水辺遊歩道」 ,背後の「水辺を意識した建物」の 3 者の関係性について分析す ることで魅力的な水辺空間の整備要件について論考した研究はみられない.このことから本研究 は, 「船着場」 「水辺建築物」 「水辺遊歩道」の 3 者を一体とした水辺空間整備に向けた留意点を 明らかにし,「船着場」を核とする地域活性化方策を明示するという点において独自性が認めら れるものとなる.

以上の 3 点から,東京臨海部における水上交通の利用促進を目指した「都内水上交通事業者」

に向けたメッセージとして,「水上交通の魅力向上策」を提案する点について独自性を有するも

のである.

(19)

1-5 本論の構成

本論は,図 1-2 に示す構成からなる.

第1章「序章」では,本研究の背景と目的を述べ,既往研究における課題を抽出し,本研究の 位置づけおよび研究方法について明示している.

第2章「研究対象地の概要」では,本研究対象地の概要として,東京臨海部の定義やその中心 となる東京港の概要および本研究対象地としての着目理由を述べている.

第3章「東京臨海部における水上交通事業の変遷とその特徴」では,まず東京臨海部における 水上交通事業の魅力向上に資する「主要航路」や「事業概要」について論考するため,都内水上 交通事業者全 27 社のうち調査協力の得られた 10 社の各事業者が発行するパンフレット 42 冊(全 75 コース)を分析対象として, 「事業航路」の空間的特徴(主要景観や観光名所)や「事業概要(事 業目的,運航形態,所要時間,料金,乗船人数等) 」とともに,現在運航されるクルーズツアーの

「集客コンセプト,運航航路」などの水上交通事業に関する共通的特徴を把握した.次に,各事 業者へのヒアリング調査を通して,時代の変化に伴う「事業目的の変遷」と「航路の選定状況」

との関係性を捉えることより,都内水上交通の魅力向上を目指すための時代ごとの主要航路やク ルーズ用途の変容状況を明らかにした.その結果,①調査対象航路の中で最初にみられた東京都 観光汽船の TOKYO CRUISE が運航を開始した 1971 年から隅田川の水質環境の向上や 1990 年前 後のウォーターフロントブームに伴いレインボーブリッジなどの東京を代表する都市景観や当時 関心が高まっていた港湾景観が集まる「東京港・内港エリア」を中心とした航路が形成され,海 越しに眺める非日常的景観を楽しむ「景観体験型」やその景観体験に加えて,大型客船の乗り心 地や豪華な食事を楽しむ「飲食クルーズ型」という事業形態が定着したこと.②2003 年の観光立 国宣言(小泉内閣)に伴い日本橋や江戸城石垣等がみられる日本橋川や神田川等の「都市河川エ リア」が活用され,小型船で “ 水の都江戸・東京 ” の歴史や文化を楽しむ「歴史・文化体験型」とい う事業形態が出現するに至ったこと.③ 2012 年の東京ゲートブリッジや東京スカイツリー等の東 京新名所の開業・開通に伴い「東京港・内港エリア」や「中小河川エリア」に加えて, 「東京港・

外港エリア」を広域的につなぐ航路が発達するとともに,乗船希望者が自ら自由に航路選定や乗 船スタイルをアレンジ可能な「移動周遊型」という事業形態が確立したこと.以上,時代ごとの 水上交通の主要航路と集客コンセプト等に関する 3 つの特徴を明らかにした.これらより,都内 水上交通の魅力向上を目指すためには,約 50 年・ 3 期にわたりの航路の中心を担ってきた「東京 港・内港エリア」を「主要航路」として,時代ごとのニーズに併せて「基本軸」から拡張した「都 市河川エリア」や「東京港・外港エリア」 ,それらを広域的につなぐ「移動周遊航路」とそれぞれ の時代に併せた集客コンセプトを勘案した「航路計画」の重要性を示唆した.

第4章「東京港における魅力的な海上景観の景観特性」では,第3章で得られた事業開始当初

より約 50 年にわたり一貫した集客コンセプトであった「景観体験」に着目し,近年大きく変貌す

(20)

10

る東京港と対象に,昼と夜の好ましい「海上景観」とそれらの視距離を明らかにする.具体的に は,約 50 年にわたり航路の中心を担ってきた「東京港・内港エリア」を中心とした独自の調査ル ートを設定し,昼夜同一の学生被験者( 15 名)を対象とした「東京港クルーズ調査(現地調査) 」 を実施し,昼・夜における船上から見た好ましい海上景観写真(昼夜各 150 枚)と景観構成要素,

その評価理由を整理している.さらに,被験者が好ましいとした海上景観の昼・夜別の景観的特 徴や空間的な成立要件を抽出するため,被験者の評価理由に加えて,人間の視知覚特性である視 距離や視野角を計測・分析するとともに, 「魅力的な海上景観」を成立させる船舶と景観要素との 距離関係(景観的視点からみた航路選定指標)や,見えの大きさの分析から一般的な静視野と比 較することで各海上景観がもつ魅力の意味を導出した.その結果,①昼夜共通して評価された景 観要素はガントリークレーンやコンテナ船などの「港湾景観」,レインボーブリッジや東京ゲート ブリッジなどの「橋梁景観」,海越しに眺める都市群などの「都市景観」という,静視野 60°以上 のヒューマンスケールを超過した海上ならではの 3 つの景観要素が評価されたこと.②昼・夜共 通して抽出された海上景観には「近接性」・「連続性」・「近望性」 ・「誘目性」 ・「一体性」の 5 つの 景観特性が存在し,例えば「港湾施設」を眺めるための望ましい視距離は「近接性」では 150~590 m(近~中景域) , 「連続性」では 30~1840m(近~遠景域)と同様の景観要素であっても景観特 性によって評価の距離帯が異なること.③昼夜共通して被験者が好ましいとした海上景観は,昼・

夜によって海上景観特性ごとに視距離や視野角には共通範囲や相違範囲が存在すること.以上の 3 つの特徴を抽出した. これらより,海上景観を活用した魅力的な水上交通事業を展開するにあたっ ては,各景観特性を成立させる視距離を指標として,魅力的な海上景観が望める航路計画を立案する ことが可能となることを示唆した.

第5章「水上交通の魅力を伝えるメディア画像の構図特性」では,水上交通事業の利用促進に

資するメディア向けの画像(広報媒体)としての海上景観の構図特性に着目している.具体的に

は,水上交通事業者の観点から,水上交通事業者が広報媒体として活用している海上景観を把握

するため,調査協力の得られた 10 事業者のうち 10 年以上と安定的に事業継続している水上交通

事業者( 4 社)が発行するパンフレットの掲載写真(全 37 枚)を収集した.また,水上交通事業

のユーザーという観点から,乗船者が好ましいと感じる海上景観を捉えるため,東京港クルーズ

調査(被験者 19 名)を実施し,被験者が好ましいとした景観写真(全 190 枚)を収集した.これ

らを分析対象として,前者の水上交通事業者と後者の乗船者の両者が共通して注目する構図タイ

プについて,KJ 法によりタイプ分類を行った.その結果,①都内水上交通では, 「都市施設」 「港

湾施設」 「橋梁施設」 「航空機」の 4 つが評価の高い景観要素であり,海越しの都市群や大型港湾

施設,レインボーブリッジ等の大橋梁などの,海上ならではの景観が評価されたこと.②水上交

通事業者と乗船者の両者が共通して注目した構図タイプとしては,主対象と広大な海や空で構成

された「建築物主対象型」 「都市群バランス型」「大橋梁主対象型」「大橋梁バランス型」「小橋梁

(21)

主対象型」 「港湾施設主対象型」 「航空機遠景型」の全 7 つの構図タイプが存在すること.③これ ら 7 つの構図タイプの魅力的な海上景観を成立させるには,主対象や副対象に加えて,広大な水 面や空などのウォーターフロントならではの景観要素(背景)のバランスが重要であり,例えば,

「港湾施設主対象型」であれば主対象となるコンテナ船を画角中央に大きく描写(面積割合: 30

~ 50 %)されたり,「大橋梁主対象型」では画角下部に水面( 10 %程度),画角中央に主対象とな る大橋梁( 20 ~ 25 %) ,画角上部に広大な空( 50 %以上)が配される等,景観タイプごとに各景観 要素が画角に占める面積割合や構図バランス等を考慮した「構図タイプ」を提示している.

第6章「船着場とその周辺の魅力向上のための留意点」では,現在の東京港周辺の船着場の大 部分が単なる乗降のための通過点にとどまっており,文化形成拠点に至っていない点を課題と捉 え,船着場の望ましいあり方について論考している.そのための研究対象事例として,都内周辺 には適当な事例が存在しないため,17 年間という長期にわたり都市再生の核として水辺空間の賑 わいを創出してきた「水都大阪プロジェクト」に着目した.ここでは,魅力的な水辺空間の形成 にあたっての段階的な戦略プロセスを把握するため,管理運営者(大阪市)からの提供資料をも とに,関連する事業計画の変遷や「船着場」および「水辺遊歩道」 , 「水辺を意識した建物」の段階 的な整備状況を整理するとともに,これら 3 者の空間的波及状況とその波及を促す管理運営者の 戦略プロセスについて考察している.その結果,河川空間の賑わいを形成してきた「水の回廊エ リア」のとんぼりリバーウォーク遊歩道において,①設立期(2001~2010 年)では,事業初動期 に大阪市が主導的に船着場および水辺遊歩道の整備や,河川空間を活用したイベント誘致や沿川 店舗へのオープンカフェ利用に関する地道な声掛け活動が展開され,年間のイベント回数が 20 回 程度に及んだこと.②民間移行期(2011~2012 年)では,水辺の利用戦略を早い段階で民間事業 者に移行したことで賑わい活動が自立して継続的に展開され,年間イベント回数が 60 回以上とな ったこと.③発展期( 2013 年から現在)では,既存の「水辺を意識した建物」や民間事業者によ るイベントが開催される「水辺遊歩道」 ,遊覧ツアーの拠点となる「船着場」に利用者が集まり,

その集客を目当てに「水辺を意識した建物」が自然発生的に整備され,年間 200 回以上のイベン トが開催されるに至ったこと,以上 3 段階の賑わい形成プロセスを明らかにした.さらに, 「水都 大阪(水の回廊) 」における「水辺を意識した建物」の立地的特徴としては,①「船着場」と「水 辺を意識した建物」の整備時期に関わらず, 「水辺を意識した建物」は「船着場」の近傍に立地し ていること.②「水辺を意識した建物」は「船着場」を中心に水辺遊歩道の延伸方向に自然発生 的に広がりをもつこと.③「水辺を意識した建物」は,船着場と「水辺を意識した建物」の整備時 期が異なるケースの方が,同時期に一体整備されたケースよりも空間的波及効果が高いこと.こ れら 3 つの特徴を導出している.以上を通じて,水辺の船着場周辺の魅力形成のための「船着場」

と「水辺遊歩道」と「水辺を意識した建物」の 3 者を一体的に整備することの重要性を示唆した.

(22)
(23)
(24)
(25)

参考文献

1) 田中未芳:水上バスと隅田川,新都市,Vol. 42, No. 9, pp. 85-88, 都市計画協会,1988.

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3) 三浦裕二,陣内秀信,吉川勝秀:舟運都市―水辺からの都市再生―, pp. 127-170, 鹿島出版会, 2008.

4) 国土交通省水管理・国土保全局:河川空間のオープン化活用事例集,国土交通省,2018.

5) 都市計画通信社:港湾空港タイムズ( 2019.6.3 ),都市計画通信社, p. 1, 2019.

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7) 東京ウォータータクシー公式 HP : https://water-taxi.tokyo/ (最終閲覧日: 2020.8.20 ) 8) 東京船旅公式 HP : https://www.suitown.jp/ (最終閲覧日: 2020.8.20 )

9) 水石知佳,岡田智秀,田島洋輔:東京港における海上からみた景観特性に関する研究 ― 視距離と 視野角を用いた魅力分析 ― ,第 72 回年次学術講演会講演概要集 (CD-ROM), Vol. 72, 土木学会, 2017.

10) 小山美和子,岡田智秀,田島洋輔:事業者パンフレットにみる水上交通の運航航路と事業特性 に関する研究,第62回日本大学理工学部学術講演会(CD-R), 2018.

11) 塩原大亮:都市内における水上交通の新たな意義と成立要件に関する研究~京浜港の水上交 通の運用実態を通じて~,日本大学大学院理工学研究科不動産科学専攻修士論文概要集,17, pp. 39-44, 日本大学,2010.

12) 太田慧:東京ウォーターフロントにおける水上バス航路の変遷と運航船舶の多様化,観光科学 研究,No. 7, pp. 37-44, 首都大学東京,2014.

13) LI Shan-shan: Suggestion on Developing Water Traffic System (水交通システムの開発に関する提 案) ,Journal of Wuhan Institute of Technology(武漢工業大学紀要),2009

14) Li Cheng; Liu Qing All Authors : Framework Design of Changjiang River Water Traffic Safety Management Information Platform (長江川水交通安全管理情報プラットフォームのフレームワー ク設計), 2010 International Conference of Information Science and Management Engineering ( 2010 情報科学および管理工学国際会議) , 2010

15) Shenping HuJinpeng Zhang : Risk Assessment of Marine Traffic Safety at Coastal Water Area ( 沿岸水 域における海上交通安全のリスク評価 ) , 2012 International Symposium on Safety Science and Technology ( 2012 年安全科学および技術に関する国際シンポジウム) , 2012

16) Feixiang Wang 他:Analysis of Influencing Factors of Water Traffic Accidents Severity Based on

LIBSVM (LIBSVM に基づく水交通事故重大度の影響因子の分析), The 27th International Ocean

and Polar Engineering Conference, 25-30 June, San Francisco, California, USA(第 27 回国際海洋お よび極域工学会議,6 月 25-30 日,米国カリフォルニア州サンフランシスコ),2017

17) 卯田宗平・笹谷康之:船上からの景観認識に関する基礎的研究 ― 山アテ行為の事例分析 ―, 日 本都市計画学会学術研究論文集 34,pp.433-438, 日本都市計画学会,1999

18) 岡田昌彰・福部大輔:堺泉北臨海工業地帯における夜景の評価に関する研究,土木学会論文集

(26)

16

B3 (海洋開発), Vol.68 , No.2 , pp.552-557, 土木学会, 2012.

19) 畠田恵・嘉名光市・佐久間康富・阿久井康平:「都市部河川の船上景における景観構成要素へ の注視行動特性に関する研究 ― 水都大阪・堂島川を対象として ― 」 , 日本都市計画学会関西支 部研究発表会講演概要集 15,pp.61-64, 日本都市計画学会, 2017.

20) 武田重昭,坂本幹生,加我宏之:大阪市都心部の河川における親水性の評価とその整備手法の 変遷に関する研究,ランドスケープ研究, Vol. 80, No. 5, pp. 663-668, 日本造園学会, 2017.

21) 赤沼大暉・萩野正和・志村秀明:水辺公共空間の活用を促進するための運営に関する研究 ― 東

京都隅田川流域と湾岸地域における実態を対象として ― ,都市計画論文集 Vol.53 , No.1 ,日本

都市計画学会, 2018.

(27)
(28)

18

2-2 東京臨海部の中心を担う東京港の概要

本研究対象地の中心を担う「東京港(京浜港東京区)」

1), 2), 3)

は,1923(大正 12)年の関東大震 災を契機に,港湾整備の重要性が認識され, 1925 (大正 14 )年に東京港の始まりとして「日の出 ふ頭」が完成,続いて, 「芝浦ふ頭」, 「竹芝ふ頭」が相次いで完成した.東京港は近代港湾として の歩みを開始し, 1941 (昭和 16 )年 5 月に国際港としての東京港が開港した.さらに, 1946 (昭 和 21 )年には「東京港改定港湾計画」が策定され,東京港における物資供給体制の近代化および 合理化が示された.しかし,まもなく日本は太平洋戦争に突入したことから,東京港の本来の港 湾機能はほとんど停止した状態となった.

戦後,昭和 40 年代に入ると世界的なコンテナ輸送革命の波が湧き起こり,東京港はコンテナ リゼーションの潮流に国内港湾としていち早く対応した. 1966 (昭和 41 )年に改訂された「東京 港第二次改定港湾計画」では,物流の中心機能としての総合性を有する現代的都市港湾建設の方 針が示された.これを受けて,1967 (昭和 42)年に日本で初めてのフルコンテナ船が品川ふ頭に 入港し,東京港は国際貿易港として大きく飛躍することになった.しかし一方で,東京臨海部で は,1960 年代半ばから 1970 年代初頭にかけて行われた高潮対策のための大規模な防潮堤整備に 加え,工場や家庭からの有害排水の増加に伴う隅田川等の水質悪化も相まって,まちと水辺(海 域および河川域)が分断され,建築物が水辺に背を向ける,いわゆる「水離れ」が進行すること となった.

その後,1976 (昭和 51)年に改訂された「東京港第三次改定港湾計画」では,港湾物流に関連 する施設は水深の深い新埋立地で重点的に整備するとともに,既存市街地に近隣する旧港湾地区 を再開発し,都民の親しめる水際線の形成や海洋レクリエーション需要に対応すべく方針が示さ れた.こうした背景を受けて,東京港では,水深の深い沖合埋立地では,物資別専門ふ頭やフェ リーふ頭などの時代の新しい要請に応える最新鋭の港湾施設を積極的に整備が進められるとと もに,既存市街地周辺の旧港湾地区では,都民が自然に親しみ,明日への活力を養える「東京都 海上公園」を整備することで水辺空間の市民開放が展開されるに至った.

そして近年, 2012 年には「東京スカイツリー」や「東京ゲートブリッジ」等の東京観光の新名 所が相次いで開業するとともに, 2013 年には東京五輪開催決定を受けて,オリンピック選手村や 競技会場の建設地の多くが東京臨海部へ集積したことも弾みとなって,東京臨海部では様々なウ ォーターフロント開発が進むこととなった.近年では, 2019 年 8 月に日の出ふ頭小型客船ター ミナル「Hi-NODE」や 2020 年 6 月に「東京ミズマチ」や竹芝ふ頭「WATERS takeshiba」がそれ ぞれ開業する等,水辺空間を都市再生の核として活用する民間事業の動きも活発化している.

以上のように,本研究対象である「東京臨海部」は,様ざまな社会情勢の変化に伴い,埋立事

業に伴う地形形状の変化に加え,旧港湾地区での水辺再開発やそれに伴う社会基盤整備などが展

開されており,東京臨海部の水辺空間およびその周辺景観は大きな変貌を遂げている.

(29)

2-3 研究対象地の着目理由

かつて,水の都と呼ばれた江戸・東京の水辺空間は,河岸や港湾などの交通ターミナルは,ヒ ト・モノ・情報が集積し,その賑わいが周辺地域に波及することで文化性や祝祭性が創出され,

それらを目当てとした人々と交通機関の利用者による賑わいが創出されてきた(図 2-2 ) .また,

海外事例に目を向けてみると,アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコのピア 39 (写 真 2-1 ,写真 2-2 )やワシントン州シアトルのマリオット(写真 2-3 ) ,ニューヨーク州ニューヨー クのハドソンリバーパーク(写真 2-4 )等のウォーターフロントにおいては,水上交通や陸上交 通(路面電車等)の利用者に加えて,水上レクリエーションや水辺都市観光,飲食を楽しむ利用 者などで大いに賑わっており,当該地域の歴史を考慮した文化性や祝祭性が創出されている.

このように,陸域と水域との結節点となる交通ターミナルは,水上交通の事業者や利用者に加 えて,各種店舗施設等による賑わいを創出することで内陸から水辺へ人を誘う魅力的空間となっ ていた.

しかし,かつて東京都内には複数の水上交通が運航していたものの 10 年以上の長期にわたり 継続運行された事例は極めて少なく

4), 5)

,その背景には,交通ターミナルとなる船着場の多くが,

船舶運航時以外は自由にアクセスできないように施錠される等,単なる乗降のための通過点にな っており,賑わいや文化形成の拠点にまでは至っていない(写真 2-5 および写真 2-6) .

以上のように,日本一の物流港湾である「東京港」でありながらも水辺空間の魅力を活かしき れていない実態を課題として捉え,本研究では交通ターミナルとなる船着場周辺(港湾・河岸な ど)の魅力形成に資する「都内水上交通の魅力向上策」を検討するとともに,「船着場を含む水 辺空間の魅力向上のための留意点」を導出する必要があると考え,「東京臨海部」を本調査対象 に設定した.

図 2-2 賑わいや祝祭性が創出されていた江戸河岸(江戸名所図会:日本橋)

(30)

20

写真 2-1 サンフランシスコ・ピア 39 全景 写真 2-2 ピア 39 の賑わい風景 出典(ピア 39) :http://www.link-usa.jp/us-dictionaly/archives/2017/03/30_145419.html

写真 2-3 シアトル・マリオット 写真 2-4 ニューヨーク・ハドソンリバーパーク

出典(シアトル) :https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/157237/157237.html

出典(ハドソン) :https://www.expedia.co.jp/Hudson-River-Waterfront-Walkway.dx6262063

写真 2-5 賑わいの見られない日本橋船着場(筆者撮影) 写真 2-6 お台場海浜公園船着場の現状

出典(お台場) :https://www.yurikamome.co.jp/sightseeing/facility/000643.html

(31)

2-4 小結

以上より,本研究対象地である「東京臨海部」は,戦後,昭和 40 年代の世界的なコンテナ輸 送革命の波が湧き起こって以降,現在に至るまで都市化が進行したことで,大きな変貌を遂げて きた.その背景には,コンテナ革命にいち早く対応した日本一の物流港「東京港」の発展や, 1960 年代半ばから 1970 年代初頭にかけて行われた大規模な防潮堤整備, 1975 年に策定された東京都 海上公園条例に伴う既存市街地周辺の旧港湾地区の市民開放,さらに近年,東京の新名所となる 東京スカイツリーや東京ゲートブリッジ( 2012 年)や東京五輪 2020 の競技会場の建設など,多 様に変化する社会情勢やそれに伴う社会資本整備や水辺再開発が展開されてきた実態を捉えた.

以降では,このような大きな変貌を遂げてきた「東京臨海部」を対象として「水上交通の魅

力向上」に資する成果を明らかにする.

(32)

22

参考文献

1) 遠藤毅:東京都臨海域における埋立地造成の歴史,地学雑誌, 113(6), pp.785-801,東京地学協 会, 2004.

2) 神宮字良太・横内憲久・岡田智秀:わが国のウォーターフロントにおける空間利用・形成の変 遷に関する研究 ― 明治期から震災復興期の東京を対象として ― ,土木計画学研究・論文集 Vol.21 , No.2 , pp.407-414 ,土木学会, 2004.

3) 木村達司・宮加奈子:江東低地における水辺空間の変遷と課題 ― 東京の水網復活に関する研究

― ,株式会社建設技術研究所国土文化研究所年次報告 2017 , pp.28-36 ,株式会社建設技術研究 所, 2017.

4) 塩原大亮:都市内における水上交通の新たな意義と成立要件に関する研究~京浜港の水上交 通の運用実態を通じて~,日本大学大学院理工学研究科不動産科学専攻修士論文概要集,17, pp. 39-44, 日本大学,2010.

5) 太田慧:東京ウォーターフロントにおける水上バス航路の変遷と運航船舶の多様化,観光科学

研究,No. 7, pp. 37-44, 首都大学東京,2014.

(33)

第3章 東京臨海部における水上交通事業の変遷とその特徴

本章では,東京臨海部における水上交通の魅力向上に資する都内水上交通事業の「主要航路」

と「集客コンセプト」を捉えるため,事業開始当初から現在まで継続運行されている「都内水上

交通事業者」に着目し,時代ごとの運航航路の歴史的変遷や水上交通事業を取り巻く社会情勢の

変化や,それに伴う事業形態の変容状況を明らかにする.

(34)

24

3-1 研究方法

本研究では,東京臨海部(京浜港および隅田川等の都内中小河川)の水上交通事業者(全 27 社)

を対象として,都内水上交通の航路変遷および事業内容の特徴を捉えるために,表 3-1 に示す調 査協力依頼および各種調査・分析を行った.調査方法と分析方法について以降に詳述する.

表 3-1 調査概要 (1)調査協力およびパンフ提供の依頼

調査期間 2018 年 8 月 3 日(金)~9 月 14 日(金) 約 1 ヶ月間 調査対象 「都内水上交通事業者(全 27 社)」の水上交通部門担当者

調査内容 本研究の研究意図および調査協力依頼書,返信用封筒の 3 つを同封の上,各社の水上交通関連事業 のパンフおよびチラシの送付依頼を行った.

(2)ヒアリング調査

調査期間 2018 年 9 月 26 日(水)~10 月 12 日(金) 約 2 週間 調査対象 調査協力が得られた 10 事業者への FAX・電話ヒアリング

調査内容 ・パンフおよびチラシの掲載コースにおける運航開始/終了年月,今後の運航計画について.

・継続利用されているルートの特徴や事業者の意図について.

(3)パンフレット分析

調査期間 2018 年 8 月 6 日(月)~10 月 12 日(金) 約 2 か月

調査対象 調査協力が得られた 10 社(全 75 コース)のパンフおよびチラシ(2017 年以降の発行物)

調査内容 パンフおよびチラシから運航会社名,運行コース名,事業内容の特徴(運航目的,航路,所要時間,運

航料金など)を抽出

(35)

3-1-1 調査対象資料

本章では,都内水上交通事業者が発行するパンフレットには,水上交通に関する事業航路や事 業内容(事業目的や所要時間,料金,人数等)などが文章や写真,地図などによってわかりやす く示されており,事業者が情報発信する水上交通事業のイメージを客観的かつ網羅的に把握でき ると考えられることから,本研究では都内水上交通事業者が発行するパンフレットを調査対象に 設定した.

3-1-2 水上交通事業者の定義および調査対象事業者

水上交通を観光事業の一方策として持続的に運営する手立てを導くためには,水上交通事業を 継続的に運営する事業者を選出する必要がある.そこで本章では,海上運送法( 1949 年 6 月 1 日 施行)の「船舶運航事業(定期航路事業および不定期航路事業)」に規定された事業者のうち, 2018 年 12 月時点で関東旅客船協会(京浜港事業者)および日本橋船着場協議会(都内中小河川事業者)

のいずれかに登録する事業者とした.なお,本研究では新規事業者であっても公平な参入が可能 な「公共船着場」の利用を前提としたため,私有の船着場の利用を主とする屋形船は除外した.

さらに,水陸両用車ツアーやテーマパークの遊覧事業などの「利用航路が極端に短い事業者」や

「定期運航を行わない事業者」を除外した全 27 事業者を「都内水上交通事業者」と設定した.こ れら「都内水上交通事業者」に対して郵送による研究概要の説明,調査協力およびパンフの提供 依頼を行った結果, 調査協力の承諾や事業者パンフ等の資料提供が得られた表 3-2 に示す 10 社・

全 75 コースを調査対象事業者に設定した.なお,本研究では,航路内の空間的特徴(主要景観や 観光名所など)を把握するための「事業航路」と当該クルーズ事業を特徴づける「事業目的」の 双方が明記されている 42 パンフを調査対象に設定した.一方,いずれか片方でも明記されていな いパンフは除外した.

表 3-2 調査対象事業者

No. 事業者名 主要なクルーズ事業 コース数

1 江戸東京再発見コンソーシアム お江戸日本橋めぐり 10 2 がれおん 下町のパナマ運河体験クルーズ 6 3 東京都公園協会 東京水辺ライン(水上バス) 7 4 東京都観光汽船 TOKYO CRUISE 11

5 ジール 東京湾クルージング 14

6 東京ウォータータクシー シャトル便,船上パーティプラン 5 7 クルーズクラブ東京 ランチクルーズ,ディナークルーズ 4

8 SPICE SERIVE 貸切クルージング 1

9 ケーエムシーコーポレーション 横浜工場夜景アドベンチャークルーズ 14 10 アーバンランチ プライベートチャーター 3

計 10 社 75 コース

(36)

26

3-1-3 運航航路の歴史的変遷と事業形態の変容状況の把握

本章では,都市観光としての都内水上交通の魅力向上を目指すためには,都内水上交通の事業 開始当初からの「主要航路」や「集客コンセプト」を把握することが重要になると考える.

そこで,この都内水上交通の事業開始当初からの「主要航路」や「集客コンセプト」を把握す るために,表 3-1(1) にて調査協力の得られた都内水上交通事業者 10 社・全 75 コースを対象に電 話および FAX によるヒアリング調査を実施した(前頁表 3-2 ) .その結果,ヒアリング調査におい て明確な運航開始年が得られなかった 7 コースを除く全 10 社 68 コースにおいて運航開始年およ び事業継続に向けた今後の方針などに関する回答を得ることができた.

次に,当時の社会ニーズに伴う運航航路の歴史的変遷と事業形態の変容状況との関係性を捉え るために,事業者パンフレットを対象として,コースごとの運航航路および事業概要(事業目的 や所要時間など)を抽出するとともに,運航開始年ごとに社会情勢やコースの出現状況やその事 業概要を整理する.さらに,事業開始当初より継続的に利用されている「主要航路」については,

運航航路の特徴(主要な観光ポイントや景観対象等)や航路選定に至った事業者の考え方などに

関する FAX・電話ヒアリング調査(表 3-1 (2))を実施した.

これらの結果を踏まえて,水上交通事業をとりまく社会情勢と水上交通事業者の事業形態(主

要航路と主要な集客コンセプトなど)の変容状況について考察した.

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3-1-4 都内水上交通の事業内容の特徴把握

各事業者が運用するコース別の事業目的等からみた事業特性を把握するために,調査協力の得 られた 10 社 75 コースが掲載された事業者パンフを対象とし,各事業者の事業内容の特徴(事業 目的および運航範囲,運行形態,所要時間,乗船料金,乗船人数) ,パンフレット特性(発着地点,

主要な見学ポイント,掲載写真など)に関する事業の特徴を抽出する(表 3-3 ,図 3-2 ).当該調 査では,パンフレット 1 枚に対して 1 コースが掲載されたものが主であったが,中にはパンフ類 1 枚に対して複数のコースが併記されたものも確認された(図 3-1 ) .この場合は,対象とする運 航コースに関連する説明文から所要時間,乗船料金,掲載写真などを抽出するものとし,選定さ れたコースに関連しない記載内容は分析対象から除外した.

また,運航航路や使用船舶が自由に選択できる運航コースには運航時間や乗船料金が明記され ていないパンフも確認されたことから,そうした場合は,当該項目のみ調査対象外とした.

なお,飲食を伴うクルーズでは,食事内容によって料金が変動する場合も見られたため,その 場合は標準金額(スタンダードプラン)を用いるものとした.料金の抽出方法については, 1 名あ たりの料金が明記されているコースはその料金を明記した.また,貸切プラン(チャータークル ーズ)のように船舶 1 艇の費用が明記されている場合は,最大乗船人数で除した値を 1 名あたり の料金として抽出した.

図 3-1 複数コースが混在するパンフレット(例:江戸東京コンソーシアム)

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3-2 運航航路の歴史的変遷と事業形態の変容状況

調査協力が得られた 10 社 68 コースを対象に,コース別の運航開始年や事業目的,所要時間,

料金,船舶規模を整理したものが表 3-4 である.さらに,運航開始年別の事業航路の分布状況を 示したものが図 3-3 ~図 3-5 である.これらをもとに,社会情勢および運航開始年,コース別の 事業概要に着目して考察した結果,水上交通の航路変遷に伴う事業目的等の変容状況や当時の社 会ニーズと事業航路の集積状況との関係性の観点から 3 期に大別することができた.

以降では,これらをもとに各期における事業目的や乗船人数等の変容について特徴を述べる.

表  4-3  被験者の評価理由からみた昼夜別の海上景観特性とその特徴  昼 夜  特 性  景観写真(代表)  評価理由からみた 景観的特徴  評価内容  主対象  評価理由  人数  (N=15)  割合  (%)  昼 景  近望性 日常では間近で見ることができないガントリークレーンでの荷役活動の様子やフジテレビ本社ビルを近距離で望むことで港湾空間ならではの非日常性や圧倒的なスケール感が評価された.  ガントリークレーン  ・普段見ることができないガントリークレーンでの荷役作業の様子に迫力を感じた.

参照

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