研 究 論 文
教 員 と ス ク ー ル カ ウ ン セ ラ ー の
協 働 促 進 要 因 に つ い て の 教 育 心 理 学 的 研 究
田 中 勝 則 ( 長 崎 大 学 心 の 教 育 総 合 支 援 セ ン タ ー )
内 野 成 美 (長崎大学教育学部)
1.問題と目的
い じ め や 不 登 校 な ど の 不 適 応 問 題 へ の 対 応 や 支 援 を 目 的 と し て 、 ス ク ー ル カ ウ ンセラー(以下、 SC) が 学 校 教 育 現 場 に 導 入 さ れ て か ら 10年 以 上 の 年 月 が 経 過 し た 。 こ の よ う に 制 度 面 で の 充 実 が 見 ら れ る よ う に な っ て き た も の の 、 現 場 レ ベ ル で は 未 だ 様 々 な 課 題 が 散 見 さ れ るD そ の ー っ と し て 、 専 門 性 の 異 な る 教 員 と S Cが ど の よ う に 連 携 し な が ら 、 言 わ ば 、 い か に し て チ ー ム と し て 問 題 に 対 応 し て い く か と い う 課 題 が あ げ ら れ よ う o 不 適 応 問 題 や そ の 背 後 に 存 在 が 疑 わ れ る よ り 重 篤 な 問 題 は 一 個 人 や 一 専 門 職 の み で は そ の 解 決 が 困 難 で あ る こ と は 言 う ま で も な い 。 生 徒 や 保 護 者 の 心 の 問 題 に 対 し て よ り よ い 支 援 が な さ れ て い く た め に 、 教 員と
s c
の 協 働 体 制 を ど の よ う に 構 築 し て い く か が 重 要 な 問 題 と な るoこ の よ う に 支 援 を チ ー ム と し て 行 っ て い く と い う 視 点 は 心 理 臨 床 の 領 域 で こ れ ま で に 論 じ て こ ら れ な か っ た わ け で は な いo だ が 、 学 校 臨 床 の 領 域 に お い て は S C制 度 自 体 が そ の 歴 史 が 浅 い が た め に 、 そ の 必 要 性 や 理 念 、 有 用 性 が 論 じ ら れ る
こ と が あ っ て も 、 多 職 種 協 働 に よ る チ ー ム で の 支 援 と い う 視 点 か ら の 体 系 的 な 研 究 は こ れ ま で あ ま り な さ れ て こ な か っ た と い う の が 現 状 で あ るo
そ こ で 、 本 研 究 で は 教 員 と
s c
間 の 協 働 促 進 要 因 と そ の 構 造 に つ い て 明 ら か に す る こ と を 目 的 と す るo2・1.調査方法
本 研 究 で は 調 査 の 枠 組 み と し て 、 質 的 研 究 法 の 一 つ で あ る 臨 界 事 象 法 (critical incident technique; Flanagan, 1954) に よ る 半 構 造 化 面 接 を 採 用 し たo 本 法 は 具 体 的 エ ピ ソ ー ド に 即 し て 特 に 際 立 っ た 特 徴 を 持 つ 経 験 の 両 極 端 に つ い て 自 由 に 語 ら せることでデータを得る手法であり、重要な変数や仮説を得るのに適している(金 井, 1999)。 そ こ で 、 本 研 究 で は
s c
と の 協 働 に よ り そ の 教 員 に と っ て の 主 訴 が 解 決した事例と解決しなかった事例について、 Tablelの 質 問 を 行 っ た 。 ま た 、 質 問 の 答 え に 対 し て は 適 宜 質 問 を 行 い 、 そ の 内 容 が 明 確 に な る よ う 努 め た 。2・2.調 査 対 象
調 査 対 象 は
s c
と の 勤 務 経 験 の あ る 中 学 校 教 員 と し たo 調 査 内 容 の 説 明 お よ び‑33‑
Tablel インタビューの質問項目 1.問題解決事例について
SCと の 協 働 に よ っ て , 先 生 方 が 困 ら れ て い た 問 題 が 解 決 し た 事 例 に つ い て イ メ ー ジ し て く だ さ い 。 1・1その事例はどのような事例でしたか?
1・2. SCと協働しながらその事例に対応するにあたって,何を期待しましたか?
1・3 その事例にscと協働しながら対応するにあたって,工夫や配慮されたことをあげてください。
1・4 その事例にscと協働しながら対応するにあたって, SCのどのような点が役に立ちましたか?具体的な行動をあげてください。
1・5 その事例にscと協働しながら対応するにあたって,先生ご自身が感じておられた気持ちについて教えてください。
1・6 協働によるこの事例の問題解決にあたって,一番よかった点は何だと患いますか?
2.問題未解決事例について
SCと の 協 働 に よ っ て も , 先 生 方 が 困 ら れ て い た 問 題 が 解 決 し な か っ た ( し て い な し つ 事 例 に つ い て イ メ ー ジ し て く だ さ い 。 2・1その事例はどのような事例でしたか?
2‑2. SCと協働しながらその事例に対応するにあたって,何を期待しましたか?
2‑3 その事例にscと協働しながら対応するにおたって,工夫や配慮されたことをあげてください。
2・4 その事例にscと協働しながら対応するにあたって, SCに不足していた点や必要だった点がありますか?
2・5 その事例にscと協働しながら対応するにあたって,先生ご自身が感じておられた気持ちについて教えてください。
2‑6 協働によってこの事例の問題が解決するためには何が必要だったと思いますか?
3.協 働 関 係 を 支 え る た め の 先 生 方 とscと の 関 係 性 に つ い て 3・1 先生にとって,理想的なSCとの協働関係とはどのようなものですか?
3・2. 3・1のような関係性を維持してしくために,先生がSCに対して工夫したり配慮されてしも点について具体的に教えてください。
3‑3. 3・1のような関係性を維持してし、くために,先生が思われるSCに必要な要素について具体的に教えてください。
面 接 の 録 音 に 対 し て 同 意 が 得 ら れ た 男 性 8名、女性 6名、計 14名 の 教 員 を 対 象 に 第 一 著 者 が 面 接 者 と し て 1人 45'"'"'75分 の 個 別 面 接 を 実 施 じ たo 調 査 期 間 は 2005 年 8月'"'"'12月 で あ っ た 。 年 齢 は 45.5歳 (SD=5.07,Range;37・54)、 平 均 教 職 経 験 年 数 は 22.1年 (SD=4.89,Range; 14・30)、
s c
と の 勤 務 経 験 年 数 は 平 均 4.57年 (SD=1.65, Range;2・8)、 勤 務 し た
s c
の 延 べ 人 数 は 平 均 2.29人 (SD=0.83,Range=1・4) であった。な お 、 面 接 調 査 中 に 第 三 者 に 話 の 内 容 が 漏 れ 伝 わ る こ と の な い よ う 、 面 接 を 行 う 部 屋 や 時 間 帯 に つ い て 配 慮 、 を 行 う こ と で 、 調 査 協 力 者 お よ び 扱 わ れ る 事 例 の プ ラ イ パ シ ー の 保 持 に 努 め たo
2・3. デ ー タ の 分 析 に つ い て
録 音 さ れ た 内 容 は 1人 1人 の デ ー タ に つ い て 、 調 査 者 で あ る 第 一 著 者 の 発 言 も 含 め て 文 字 化 さ れ た 。 そ れ ら に つ い て 、 第 一 著 者 が そ の 意 味 内 容 の ま と ま り ご と に 区 切 り 、 カ ー ド に 書 き 起 こ し て い く 作 業 を 行 っ たD こ れ ら の カ ー ド は
s c
経 験を 有 す る 臨 床 心 理 士 2名(第一著者を含む)により、 KJ法 に よ っ て 意 味 の 類 似 す る カ テ ゴ リ 一 同 士 の ま と ま り へ と 分 類 さ れ た 。 な お 、 分 類 に 当 た っ て は カ ー ド に 記 さ れ た 文 字 通 り の 意 味 に よ っ て 分 類 を 行 う の で は な く 、 そ の 発 言 が な さ れ た 文 脈に添う形で分類を行った。
3.結 果 と 考 察
KJ法 に よ る 分 類 の 結 果 、 協 働 促 進 要 因 と し て 考 え ら れ る 大 カ テ ゴ リ ー と し て
「教員側の要因」、
r s c
側 の 要 因J、r s c ‑
教 員 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンJ、「相互信 頼 感Jという 4つ の 大 カ テ ゴ リ ー が 生 成 さ れ た 。 こ れ ら 4つ の 大 カ テ ゴ リ ー の 幾 っ か は 更 に 細 分 化 さ れ た 中 お よ び 小 カ テ ゴ リ ー か ら 構 成 さ れ て い たD こ こ で は こA斗A
q δ
れ ら の 4つ の 大 カ テ ゴ リ ー を 構 成 す る 中 お よ び 小 カ テ ゴ リ ー に つ い て の 説 明 を 行 い な が ら 各 カ テ ゴ リ ー の 構 造 に つ い て 記 述 し 、 併 せ て カ テ ゴ リ ー 間 の 関 連 に つ い て考察を行う D
3・1.
r
教 員 側 の 要 因 」 に つ い て「教員側の要因jカ テ ゴ リ ー は 2つ の 中 カ テ ゴ リ ー 「 一 体 感 J と
r s c
業 務 へ の 配 慮 J か ら 構 成 さ れ て い た (FigureI) 0 Table2に は 中 カ テ ゴ リ ー を 構 成 す る 小 カ テ ゴ リ ー に つ い て ま と め たDFigurel r教員側の要因」について
l大カテゴリー l ││中カテゴリー
1
│小カテゴリー│教員側の要因
一体感
開かれた 人間関係
が・ る
﹃n
rv v
共 て の れ 標 注
目H J ん ︑
互いに 支えあう関係
s c
業務への配慮、Table2 r教員側の要因」カテゴリーにおける中カテゴリーおよび小カテゴリー
「一体感j
成がれたλ節度g係 く 教 員 間 >
・担任が誰かのことで困ってしも時に声を掛け合うことが教員間全体で上手くし、っている。
・教員同士が会話をすること。そのことがscを受け入れるような側面も持ち合わせている。
く
s c
・教員間>.SCの存在が特別ではなかったこと。£が鳴員室にし、ることが自然だった0
.教員側も自分を関してscを受け入れるようにしている。
g gの井荷おなされていること .最初から協力しながらやっていこうとし、うのがお互いにあった。
・ゴールをどこにするかという話し合いがきちんとできていたのがよかった。
・不登校や欠席の生徒がし、たら,必ず電話連絡をして関係を切らない。それを学年全体,そして学校全体で やってしも。それがあるから上手くいってるんじゃなし、かなの
JEいに支えあう/J!J.係
・一人で抱え込まなし、ように。そうしなし立自分を支えられなくなる。
‑何かあったらすぐに.皆で手分けして取り掛かってくれる点。周りに助けられてしもところ。
f
s c
業務への配慮」.SCにお任せにならなし、こと。丸投げしなし、こと。そこは気を遣わなし叱いけない0
・scと生徒,保護者が話をしやすしまうに,あらかじめscのことを話しておいた0
・子どもとscの信頼関係を損ねなしまうに,十分配慮をしていた。
表中のrJ内は中カテゴリー,斜体は小カテゴリーについての教員の発言。以下の表でも同様の様式とする.
FO
Qd
「 一 体 感 」 カ テ ゴ リ ー の 記 述 か ら は 、 教 員 聞 が 一 体 と な っ て い る 際 の 特 徴 と し て、「開かれた(教員聞の)人間関係」、「目標の共有 J、「互いに支えあう関係 Jが 成 立 し て い る こ と が 推 察 さ れ るo また、「開かれた(教員聞の)人間関係 J が
s c
を 教 員 集 団 に 溶 け 込 み や す く す る こ と を 窺 わ せ る 発 言 も 見 ら れ るo こうした教員
間の人間関係が
r s c
業務への配慮」を生み出すことは想像に難くない。一方、「目標 の 共 有 Jは協働の一条件である(渋沢, 2002)とされることから、「一体感」カ テ ゴ リ ー が 協 働 を 促 進 す る 際 の ー 要 因 と し て 機 能 し て い る こ と も 推 察 さ れ る 。 ま た 、 協 働 で 用 い ら れ る マ ン パ ワ ー な ど の リ ソ ー ス に つ い て は メ ン バ ー 間 で 共 有 さ れる(宇留田, 2004)ものであることから、「互いに支えあう関係Jも協働を促進 す る 要 因 の 一 つ で あ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ るo
3・2. rSC側 の 要 因 」 に つ い て
r s c
側 の 要 因Jは 3つ の 中 カ テ ゴ リ ーr s c
の 専 門 性J、「学校組織の一員とし ての自覚j、「継続的なかかわり J に よ っ て 構 成 さ れ て い た (Figure2)0 Table3に は 中 カ テ ゴ リ ー を 構 成 す る 小 カ テ ゴ リ ー に つ い て ま と め たoFigure2 rsc側の要因」について
l大カテゴリー l
s c
の専門性s c
側の要因 学 校 組 織 の 一 員 としての自覚継続的なかカhわり
氏UQU
│小カテゴリー│
scとしての ニーズアセスメント能力
コンサノレテーション エンパワメント 援助システムの構築
受容性 学校独自の制度や仕組
について知っておくこと
教員の苦労や努力に ついて知っておくこと 教員とコミュニケーション をとるタイミングへの留意
生徒への関わりの 視野を広げる
sc活動のキーマンとなる 教員を見つけること 学校行事への参加
Table3 rsc側の要因」カテゴリーにおける中カテゴリーおよび小カテゴリー
f s c
の専門性J Scとしてのニーズ戸アセスメント館方・その学校に合った動きをしてくださるscってし、うのは学校にとっても貴重なんですよ0
・今,この学校でscに求められてしも役割を早く見つけてし、くこと。
コンサノレテーション
.知らなし、専門的なことを少し話として聞くだけでも違う。
・ 焦らずに"とか そう簡単にはし、きませんよね"という言葉かけをしてもらえると救われる。
エンノぐクメント
・先生のやってることは無駄じゃないんですよって,先生のやる気を喚起してほしい。最終的に動くのは先生な んだから。まずはねぎらつてほしい。
変身ナンステムの持苦笑
.不登校の保護者会を立ちあげてくれましたよね。
5き家信
・教師は評価をする人間でしょ。生徒の心の奥底のところを配に聞いてもらえたらって思う。
「学校組織の一員としての自覚J 告苦ダarl!E!の溺包をやtJ:JJJ..みについてかつておぐこと
・学校について独特の,知らなし、ことはどんどん尋ねてして。
・学校のシステムや学校の限界とかlこついてはきちっとある程度分かつておいてほしい。
暑を貞の苦労や美FJウについてがっておぐこと
・教員の'忙しさもscが分かつてくれてしもとし、うのがある。それがいい0
・scが見えていない部分の先生方の細かい努力を知ってしもかが大事カも。
者貞とコミュニク}ションをととうタイミング入のg震
・結局,教員間でゆっくりコミュニケーションが取れるのも勤務時間後。
‑別の件で悩んでいる時に他の話をされてもねえ。場の空気を呼んだりするのは必要かなn
生徒への局わりの6菅原を広げること
‑普段から特に問題のない生徒のことも気にかけてくれるのはいい。信頼感につながってして。
Sc冴嘉手のキーマンとなる尋常貞をJlつけること
‑scをバックアップする人がし、て,その先生を通じて他の先生との信頼関係が形成されてして。
学夜託子夢、の参1J
n
・仕事だけの部分ではなく,色んな行事がある時にも顔を出してもらって。そうするとscが同じ学校の職員として 根付いていくところってあると思う。
r s c
による継続的な関わりJ‑色々なケースにしっかりと関わってくれて。その積み重ねが信頼感に。
・一人の子に対してずっと関わろうとしてくれること。そのことへ対する信頼感。その場限りでない,言しり放しで はない。そうし、う意思が私たちゃ子どもに伝わってくると.信頼感や安心感へとつながるn
各 カ テ ゴ リ ー を 見 て い く と 、 中 カ テ ゴ リ ー
r s c
の 専 門 性j カ テ ゴ リ ー で は 「 受 容 性 」 の よ う に 対 人 援 助 職 全 般 に お い て 求 め ら れ る 専 門 性 だ け で は な く 、r s c
と し て の ニ ー ズ ア セ ス メ ン ト 能 力jや 「 コ ン サ ル テ ー シ ョ ンJ、「エンパワメント J、「 援 助 シ ス テ ム の 構 築 」 の よ う に 、 コ ミ ュ ニ テ ィ 心 理 学 的 な 視 点 や 技 法 が
s c
の 専 門 性 と し て 求 め ら れ て い る こ と が 窺 わ れ るor
学 校 組 織 の 一 員 と し て の 自 覚Jカ テ ゴ リ ー に お け る 記 述 か ら は 、 幅 広 く 学 校 と い う 場 に つ い てs c
が 知 っ て お く こ と 、 知 ろ う と す る こ と が 重 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ るo 協 働 の 促 進 要 因 の ー っ と し て 、 渋 沢 (2002)は 互 い の 職 務 の 独 自 性 と 固 有 性 を 理 解 す る こ と が 要 求 さ れ る こ と を あ げ て い る 。 教 員 と の 協 働 を 成 立 さ せ て い く た め に は 、 そ の 独 自 の フ ィ ー ル ド で あ る 学 校 と い う 場 に つ い てs c
が 知 っ て お く こ と が 肝 要 で あ る こ と が 今 回 の 結 果 か ら も 示 唆 さ れ るo ま た 、 小 カ テ ゴ リ ー 「 教 員 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を と‑37‑
る タ イ ミ ン グ へ の 留 意 Jや
r s c
活 動 の キ ー マ ン と な る 教 員 を 見 つ け る こ と 」 が 生 成されたことからは、s c
に 学 校 、 そ し て 教 員 集 団 の 力 動 性 を 読 み 取 る 力 ( 福 田 , 2002)が 求 め ら れ て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ るo 中 カ テ ゴ リ ーr s c
に よ る 継 続 的 な 関わり J カ テ ゴ リ ー か ら は 、 継 続 的 な 関 わ り が 信 頼 感 へ と つ な が っ て い く こ と が 示唆されるo こ う し た 関 わ り は 当 該 生 徒 や 保 護 者 か ら の 信 頼 感 を 生 み 出 す だ け で は な く 、 そ こ に 関 わ る 教 員 か らs c
に 対 す る 信 頼 感 に も つ な が っ て い く よ う で あ る。こ れ ら の カ テ ゴ リ ー よ り 、 学 校 組 織 の 一 員 と し て
s c
が 専 門 的 な 関 わ り を 継 続 的 に 発 揮 し て い く こ と が 教 員 と の 「 相 互 信 頼 感Jの 形 成 に 影 響 を 及 ぼ し て い く 可 能 性 の あ る こ と が 推 察 さ れ るo3・3.
r
教 員‑ s c
聞 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 に つ い て「教員
‑ s c
間のコミュニケーション」は「柔軟なコミュニケーションスタイル」、「幅広いコミュニケーション内容J、「頻繁なコミュニケーションJ、そして「情報 共 有 へ の 意 識 」 の 4つ の 中 カ テ ゴ リ ー か ら 形 成 さ れ て い た (Figure3)0 Table4に は 中 カ テ ゴ リ ー を 構 成 す る 小 カ テ ゴ リ ー に つ い て ま と め た 。
Figure3 r教員‑sc聞のコミュニケ}泊ン」にっし、て
l大カテゴリー l
教員
‑ s c
間の コミュニケーション││中カテゴリー 11
柔軟なコミュニケー ションスタイル
幅広し、コミュニケー ション内容
頻繁な コミュニケーション
情報共有への意識
│小カテゴリー│
フォーマルなコミュニ ケーションスタイル
インフォーマfレなコミュ ニケーションスタイル
業務に関する内容
雑 談
「柔軟なコミュニケーションスタイルJカ テ ゴ リ ー の 記 述 か ら は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ス タ イ ル の 柔 軟 性 が 教 員
‑ s c
間 の 信 頼 感 形 成 に 寄 与 し て い る 可 能 性 が 窺 われるD 特 に 「 イ ン フ ォ ー マ ル な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ス タ イ ル J に お け る 記 述 に 見 ら れ る よ う に 、 日 常 場 面 で の さ り げ な い や り と り の 中 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン‑38‑
Table4 r教員‑sc間のコミュニケーション」カテゴリーにおける中カテゴリーおよび小カテゴリー
「柔軟なコミュニケーションスタイノレj
アォーマノレなコミュニク}ションスタイノレ
.学年会とかlこ入ってもらうようにしている。
.SCの来校日にはscが教員集団に入りやすくなるように,黒板に£来校日と書く。存在を意識させるようにして ヒゑa
インフォーマノレなコミュニク」ションスタイノレ
・悩んでしも時にだけ話すってしぢのじゃ無理。休憩室でコーヒー飲んだり。そうし、うところにscがスッと入り込め てる。そうしづとこから信頼感に。
‑決まった意見交換の場が無くとも,お互いにコミュニケーションをとるようにする。
「幅広いコミュニケーション内容j
業 務jこ局するF守容
・「今から生徒の家に電話をします」とか,そうし、うのを教えてもらっていたのが信頼感につながった部分。担任と して知らない所で動かれると不信感につながったことが過去にあったのでn
雑 談
・雑談が増えると仕事の部分の話も増えてして。そこから信頼関係ができてして。
・雑談の中だと,自分の上手くし、ってしも所だけじゃなくって,悩みだとか弱みだとか,うまくいっていなし、ことも 含めて話ができるの
「頻繁なコミュニケーション」
‑小まめに連絡をとってし、くことで,お互い信頼しあってやっていけるようになった0
・お互いによく話す。顔を合わせる機会が多い方がし、いn
「情報共有への意識J
.SCには気になることは全部話す。今日,こうし、うことがあったって。scも毎日し、るわけじゃなし、から,ちゃんと情 報を流さなし叱いけなし立思ってしも。
・自分が知ってしも情報は全部話そうと思う。関わる教員 scが全体像を理解して共有していかなし立0
・scがやってし、ることがscの中にだけ納まらずに,先生たちにもきちんと共有されることが大事と思う。
は、
s c ‑
教 員 双 方 が 限 ら れ た 時 間 の 中 で 信 頼 関 係 、 を 築 い て い く た め に は 欠 か せ な い 要 素 で あ る と 考 え ら れ るo こ う し て 築 き あ げ ら れ た 関 係 を き っ か け に 、 更 に 学 年 会 や 職 員 会 議 と い っ た フ ォ ー マ ル な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 場 面 が 展 開 し て い く 可 能 性 が あ る こ と が 推 察 さ れ るo「幅広いコミュニケーション内容 Jカテゴリーからは、「業務に関する内容」の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と 「 雑 談 」 の 2つ の 要 素 が 教 員 と
s c
聞 の 信 頼 感 形 成 に つ な が っ て い る こ と が 窺 わ れ るor
業 務 に 関 す る 内 容Jの コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 重 要 性 に つ い て は 「 情 報 共 有 へ の 意 識 」 と も 関 連 す る 問 題 で あ る の で 後 述 す るo 雑 談J に お け る 記 述 か ら は 、 教 員 が 悩 み や 弱 み を 表 出 す る こ と が 可 能 に な る と い う 効 果 が 認 め ら れ る 。 こ う し た イ ン フ ォ ー マ ル な 対 話 に よ る 教 師 支 援 の 有 効 性 に つ い て は 中 島 (1999)に お い て も 指 摘 さ れ て い るo 悩 み や 苦 し み をs c
に 分 か つ て も ら え た 、 受 け 入 れ て も ら え た と い う 経 験 が 教 員‑ s c
間 に お け る 信 頼 感 形 成 の 一 つ の 契 機 に な っ て い る 可 能 性 が 本 調 査 の 結 果 か ら も 示 唆 さ れ るo「頻繁なコミュニケーションJ、 「 情 報 共 有 へ の 意 識 」 の 両 カ テ ゴ リ ー の 記 述 か ら は 、 業 務 に つ い て の 情 報 を 共 有 し あ う こ と 、 そ の た め に 頻 繁 に コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョンを教員
‑ s c
間 で 重 ね て い く こ と の 重 要 性 が 窺 わ れ る 。 伊 藤 (2000) ではs c
による教員への情報交換が積極的であるほど、
s c
活 動 全 般 に 対 し て 教 員 の 評 価 が 高 く な る 傾 向 に あ る こ と が 報 告 さ れ て い るo こ う し た 高 評 価 がs c
に 対 す る 信 頼 感 の 向 上 へ と つ な が っ て い く で あ ろ う こ と は 想 像 に 難 く な い 。‑39‑
しかし、
s c
側 に と っ て 「 業 務 に 関 す る 内 容Jを 開 示 し て い く こ と はs c
の 守 秘 義 務 や 学 校 内 に お け る そ の 存 在 の 第 三 者 性 の 担 保 と 関 連 し て く る 問 題 で あ るD 積 極 的 に 活 動 に つ い て の 情 報 を 開 示 し て い く こ と で 教 員 とs c
と の 聞 で の 情 報 共 有 や 信 頼 関 係 の 醸 成 が 進 み 、 連 携 に よ る 機 能 的 な 協 働 体 制 の 確 立 が 可 能 と な る で あ ろうo 一 方 で 、 こ う し た 守 秘 義 務 や 第 三 者 性 がs c
を 心の悩みの相談相手"とし て 生 徒 や 保 護 者 に 対 し て 機 能 さ せ る こ と を 可 能 に し て い る 故 に 、 実 際 の 活 動 場 面 でs c
に 葛 藤 を 生 じ さ せ る こ と は 想 像 に 難 く な い 。 こ う し た 葛 藤 の 緩 和 に あ た っ て は 集 団 ( チ ー ム 内 ) 守 秘 義 務 の 考 え 方 が 参 考 に な る と 思 わ れ るo こ の 集 団 ( チ ー ム 内 ) 守 秘 義 務 を 徹 底 さ せ る た め の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン こ そ が 重 要 で あ る ( 長 谷川, 2003)と さ れ て い る こ と か ら も 、 「 業 務 に 関 す る 内 容Jや「情報意識の共有」の あ り 方 に つ い て 、 普 段 か ら 教 員 と
s c
両 者 間 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 重 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ るo3・4.
r
相 互 信 頼 感 」 に つ い て「相互信頼感Jは 「 職 務 に お け る 信 頼 感j と 「 日 常 的 な 信 頼 感 」 の 2つ の 中 カ テ ゴ リ ー か ら 構 成 さ れ て い た (TableS)0
Table5 r相互信頼感」カテゴリーにおける中カテゴリー
「職務における信頼感J
・自分たちがscを理解するのも当然必要だけど,配側も学校が何をどうしたし、か理解してくれることで,SCと話 をしようと思う。理解されていなし吃思うと,不信感が生まれる0
・この人だったらやってくれるね,ってしち信頼感。
・行事とかに参加できなし、配だってしもだろうから,そうじゃない仕事の部分で作られる信頼感も大事。
「日常的な信頼感J
‑このscってどうなんだろう?ってし、うのは,日常会話の中ても垣間見られる。そこで信頼関係が構築される0
・特に構えないで.気軽に話をできる間柄。そうし汚信頼関係があるから話が出来るn
既 出 の 3つ の 大 カ テ ゴ リ ー 「 教 員 側 の 要 因J、
r s c
側 の 要 因J、「教員・s c
聞のコ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンj各 カ テ ゴ リ ー の 説 明 か ら 、 こ れ ら の カ テ ゴ リ ー が 信 頼 感 形 成 に 寄 与 し て い る こ と が 推 察 さ れ る 。r s c
倶.IJの要因Jカ テ ゴ リ ー の 中 カ テ ゴ リ ーr s
Cの 専 門 性Jの 発 揮 や 「 学 校 組 織 の 一 員 と し て の 自 覚 」 、 ま た 、 「 教 員 側 の 要 因J カ テ ゴ リ ー の 中 カ テ ゴ リ ー
r s c
業 務 へ の 配 慮Jな ど が 「 職 務 に お け る 信 頼 感Jの 形 成 に 関 連 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ るo また、「教員‑ s c
間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョンJカ テ ゴ リ ー で 見 ら れ た 中 カ テ ゴ リ ー 「 頻 繁 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン J、 小 カ テ ゴ リ ー 「 イ ン フ ォ ー マ ル な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ス タ イ ルJや 「 雑 談Jな ど が 「 日 常 的 な 信 頼 感 」 の 構 築 に 影 響 を 及 ぼ し て い る の で は な い か と 考 え ら れ るo このよう に幾つかのプロセスを経て、 2種 類 の 中 カ テ ゴ リ ー か ら な る 「 相 互 信 頼 感Jが 形 成 さ れ て い く 可 能 性 が 示 唆 さ れ るD
4.ま と め と 今 後 の 課 題
本 研 究 に お け る 目 的 は 教 員 と
s c
聞 の 協 働 促 進 要 因 に つ い て 明 ら か に す る こ と で あ っ たos c
と 協 働 経 験 の あ る 中 学 校 教 員 を 対 象 と し た 面 接 調 査 の 結 果 、 「 教 員‑40一
側 の 要 因J、
r s c
側 の 要 因j、「教員‑ s c
聞 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンJ、「相互信頼感jという 4つ の 大 カ テ ゴ リ ー が 協 働 促 進 要 因 と し て 生 成 さ れ た 。 こ れ ら の 構 造 と 相 互 の 関 連 に つ い て 記 述 す る こ と で 、 教 員 と
s c
の 連 携 を 通 じ た 協 働 に よ る 支 援 の た め の い く つ か の 有 益 な 知 見 が 得 ら れ た 。次 に 、 本 研 究 の 限 界 と 今 後 の 展 望 に つ い て 触 れ て お き た い 。 本 研 究 で 得 ら れ た 知 見 は
s c
と の 協 働 経 験 の あ る 教 員 を 調 査 対 象 と し 、 そ の 面 接 か ら 得 ら れ た デ ー タ の 詳 細 な 記 述 に 基 づ く も の で あ る こ と か ら 、 質 的 研 究 に お い て 問 題 と さ れ る 得 ら れ た 結 果 の 生 態 学 的 リ ア リ テ ィ ( 渡 漫 , 2004)は 一 定 の 水 準 を 保 持 し て い る も の と 考 え ら れ る 。 し か し 、 そ の 一 般 化 を 進 め る に あ た っ て は 慎 重 で あ り た い 。 今 回 の 調 査 デ ー タ 等 を 土 台 に 、 よ り 幅 広 い 対 象 に 対 し て 量 的 な 調 査 研 究 を 実 施 す る こ と や 、 他 の 教 員 集 団 に 対 す る 面 接 調 査 結 果 と の 比 較 な ど を 通 じ 、 本 研 究 で 得 ら れ た 知 見 が よ り 精 微 化 さ れ て い く こ と が 今 後 の 課 題 と し て あ げ ら れ よ うo文 献
Flanagan,J,F. (1954) The Critical Incident Technique. Psychplogical Bulletin 51 327‑358.
福 田 憲 明 (2002) 学 校 ア セ ス メ ン ト 村 山 正 治 ・ 鵜 養 美 昭 編 実 践 ! ス ク ー ル カ ウ ン セ リ ン グ 金 剛 出 版 49・62.
長 谷 川 啓 三 (2003) 学 校 臨 床 の ヒ ン ト Vol.l 集 団 守 秘 義 務 の 考 え 方 臨 床 心 理 学 3(1) 122・124.
伊 藤 美 奈 子 (2000) 学 校 側 か ら 見 た 学 校 臨 床 心 理 士 ( ス ク ー ル カ ウ ン セ ラ ー ) 活 動 の 評 価 一 全 国 ア ン ケ ー ト 調 査 の 報 告 臨 床 心 理 士 報 2021・42.
金 井 害 宏 (1999) 臨 界 事 象 法 神 戸 大 学 経 営 学 研 究 室 編 経 営 学 大 辞 典 中央 経 済 社 947.
中 島 義 実 (1999) 不 登 校 生 徒 に 対 す る 担 任 教 師 の 取 り 組 み を 支 え た 校 内 心 理 臨 床 活 動 の 事 例 フ ォ ー マ ル な 対 話 と イ ン フ ォ ー マ ル な 対 話 と に よ る 既 有 資 源 、 の 活用 心 理 臨 床 学 研 究 17366・377.
渋 沢 田 鶴 子 (2002) 対 人 援 助 に お け る 協 働 ー ソ ー シ ヤ ル ワ ー ク の 観 点 か ら 一 精 神 療 法 28270‑277.
宇 留 田 麗 (2004) 協 働 一 臨 床 心 理 サ ー ビ ス の 社 会 的 構 成 下 山 晴 彦 編 『心 理 学 の 新 し い か た ち 9 臨 床 心 理 学 の 新 し い か た ち 』 誠 信 書 房 219・242. 渡 漫 芳 之 (2004) 質 的 研 究 に お け る 信 頼 性 ・ 妥 当 性 の あ り 方 武藤隆・ゃまだ
ょうこ・南博文・麻生武・サトウタツヤ編 『質的心理学 創 造 的 に 活 用 す る コ ツ』 新 曜 社 59・64.
噌EA A HA