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SSPE 患者由来人工多能性幹細胞(iPSC)からの神経細胞の作製

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Academic year: 2021

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分担研究報告書番号16

— 65 —

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)

プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班 分担研究報告書

SSPE 患者由来人工多能性幹細胞(iPSC)からの神経細胞の作製

研究分担者:楠原浩一 産業医科大学小児科

研究協力者:石崎義人 九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野 研究協力者:原 寿郎 九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野

研究要旨 SSPE患者の疾患感受性の解析に関して、中枢神経では、末梢血球と異なる intrinsicな自 然免疫応答が起こっている可能性があり、患者由来人工多能性幹細胞(iPSC)を神経細胞に分化させ た検討が必要と思われる。この目的のために、SSPE 患者 3 名の末梢血単核球から作成した患者由 来iPSCの分化誘導を行い、神経幹細胞を樹立した。今後は、この神経幹細胞を神経系細胞に分化さ せ、麻疹ウイルスに対する感受性を正常対照由来のものと比較する予定である。

A.研究目的

SSPE の宿主遺伝要因は正確には解明されて いない。私たちは、これまで、遺伝子多型を用 いた関連解析により、自然免疫に関わる遺伝子 の中で MxATLR3、獲得免疫に関わる遺伝子 の中でIL4PD1のバリエーションがSSPEの 発症に関与していることを報告してきた。

最近、宿主側の遺伝的要因が解明されてきた ウイルス性脳炎として、単純ヘルペス脳炎(HSE) がある。HSEは、基本的には散発性に発生する。

しかし、家族集積性が認められる家系があるこ と、そのような家系の一部に血族婚がみられる こと、再発を繰り返す症例があることなどから、

何 ら か の 遺 伝 的 要 因 が 関 与 し て い る こ と が 示 唆されていた。2000 年代の後半から、TLR3か ら IFN 産生, IFN-stimulated genes発現に至る経 路の遺伝子異常が HSE の発症要因となってい ることが報告されるようになった1)。この中で、

UNC93B欠損症と TLR3欠損症では、患者由来

の人工多能性幹細胞(iPSC)から分化させた神経 細胞を用いた研究が行われている 2)。これによ

れば、UNC93B 欠損症患者およびTLR3欠損症

患者由来の iPSC から分化させた神経細胞は正 常対照由来と比較してHSV-1に対する感受性が 高いこと報告されている。このような現象が、

SSPE 患者でもみられるかを検討するために今 回の研究を行った。本研究は、「SSPEの診療ガ イドラインの策定・改訂」に関連した研究であ る。

B.研究方法

対象は、SSPE患者3名とした。昨年度、末梢 血から患者ごとに 3~6 株の iPSC を樹立した。

まず、STEMdiff Neural Induction Mediumを用い て、iPSCからnestin および Sox1陽性の神経前 駆細胞の豊富なNeural rosette clusters を作成し た。さらに、FGF2およびEGF を添加した培養 条件下で、SFEB-quick法により神経系細胞への 誘導を行った3)

(倫理面への配慮)

本 研 究 は 所 属 施 設 の 倫 理 委 員 会 の 承 認 を 受 けており、被検者あるいは保護者の文書による 同意を得て行った。

C.研究結果

患者ごとに神経幹細胞を樹立した。細胞の品 質評価のため、形態学的観察と神経前駆細胞の マーカーであるnestin、神経幹細胞のマーカーで あるPAX6およびSOX2の免疫蛍光染色を行った。

得られた細胞は、ロゼットを形成し、また上記 のマーカーが陽性であった(図1, 図2)。SSPE患 者由来と健常者由来で、iPSCから神経幹細胞へ の 分 化 誘 導 段 階 に お い て 形 態 や マ ー カ ー 発 現 に特に差を認めなかった。

D.考察

SSPE患者の疾患感受性の解析に関して、中枢 神経では、末梢血球と異なる intrinsic な自然免

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分担研究報告書番号16

— 66 — 疫応答が起こっている可能性があり、患者由来

iPSC を神経細胞に分化させた検討が必要と思 われる。今後は、最終段階として、今回樹立し た 神 経 幹 細 胞 を 神 経 系 細 胞 に 分 化 さ せ る 予 定 である。さらに、このiPSC由来の神経系細胞に 麻疹ウイルスを感染させ、麻疹ウイルスへの感 受 性 を 健 常 対 照 由 来 の も の と 比 較 す る 予 定 で ある。

E.結論

SSPE 患者 3 名の末梢血単核球を出発点とし て、患者由来 iPSC を経て神経幹細胞を樹立し た。今後は、このiPSCを神経細胞に分化させ、

麻 疹 ウ イ ル ス に 対 す る 感 受 性 を 正 常 対 照 由 来 のものと比較する予定である。

[参考文献]

1) Sancho-Shimizu V, Perez de Diego R, Jouanguy E, Zhang SY, Casanova JL. Inborn errors of anti-viral interferon immunity in humans. Curr Opin Virol 1:487-96, 2011.

2) Lafaille FG, Pessach IM, Zhang SY, Ciancanelli MJ, Herman M, Abhyankar A, Ying SW, Keros S, Goldstein PA, Mostoslavsky G, Ordovas-Montanes J, Jouanguy E, Plancoulaine S, Tu E, Elkabetz Y, Al-Muhsen S, Tardieu M, Schlaeger TM, Daley GQ, Abel L, Casanova JL, Studer L, Notarangelo LD

.

Impaired intrinsic

immunity to HSV-1 in human iPSC-derived TLR3- deficient CNS cells. Nature 491:769-73, 2012.

3) Eiraku M, Watanabe K, Matsuo-Takasaki M, Kawada M, Yonemura S, Matsumura M, Wataya T, Nishiyama A, Muguruma K, Sasai Y. Self-organized formation of polarized cortical tissues from ESCs and its active manipulation by extrinsic signals. Cell Stem Cell 3:519-532, 2008.

F.健康危険情報 なし

G.研究発表 1.論文発表 なし

2.学会発表 なし

H.知的財産権の出願・登録状況(予定を含む。) 1.特許取得

なし

2.実用新案登録 なし

3.その他 なし

1 SSPE (day 12)

PAX6 Nestin

DAPI DAPI SOX2

2 SSPE (day 17)

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