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153 本画像学会誌第 46 巻第 2 号 : (2007) 2007 The Imaging Society of Japan 解 説 RAW 現像ソフトウェアの画像処理 市川芳邦 *, 本郷義太加 * *, 松隆之 ( 受理 ) Image Processing o

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(1)

Image Processing of RAW Development Software

Yoshikuni ICHIKAWA

*

, Yoshitaka HONGO

*

and Takayuki KOMATSU

*

In recent, most recent digital cameras have the functions not only saving images into some medias compressing the files in JPEG or TIFF files not otherwise, but also saving as RAW ones. The images taken JPEG data would have saved after doing own image processing in camera into some medias compressing the files in JPEG ones. Indeed, we can’t reflect your preferences to files at that time, and also it will be produced image degradation by compressing. On the other hand, RAW data is saved as “RAW” file in the literature without processing RGB image data output from image sensor. We can’t see images as nothing less than RAW data, but we can see the data as the pictures only after RAW developing on your computer. We can say that most large characteristic using such RAW developing is making images reflecting your preferences and keeping high image quality.

In this report, against each entry, we will explain about image processing by RAW developing only software that high-profile in these days refer to characteristics of RAW data and merits of photographing with RAW data.

Besides, we will consider about some good points you can take photographs without worrying about missing photo opportunity by taking photographs written RAW data and future potentials that RAW data hold.

最近のデジタルカメラでは撮影した画像を JPEG や TIFF などの圧縮したファイル形式でメディアに保存す るばかりでなく,RAW というファイル形式で保存できる製品が多くなってきている.JPEG データでは撮影し たデータはカメラ側で独⾃の画像処理を⾏った後,JPEG 圧縮しメディアへと保存される.この際に⾃分の好み を反映することはできないばかりか,更に圧縮による画質劣化も発⽣してしまう.これに対し RAW データは イメージセンサーから出⼒された RGB の画像データを,なにも加⼯することなく⽂字通り“⽣”のまま保存し たファイル形式である.RAW データそのものでは画像の閲覧は不可能であるが,PC 上で RAW 現像処理を施 すことにより初めて写真として⾒ることができるようになる.この RAW 現像の処理過程に於いて,⾃分の好 みの⾊作りや画作りを⾼画質のまま⾏うことができることが⼤きな特徴である.

本論⽂では,RAW データの特性,RAW 撮影のメリットなどに触れながら,最近話題の RAW 現像ソフトウ ェアの画像処理について,項⽬ごとに解説していく.また,RAW で撮影することにより,従来と異なりシャッ ターチャンスを逃さずに撮影できる利点や,RAW データに秘められた将来の可能性についても考察する.

1.

現在では,RAW 現像ソフトウェアは,写真家の必須アイテ ムとなっている.RAW 現像は,かつて銀塩のフィルムを現像 したように,デジタルのフィルムに相当する RAW データから 映像を取り出して,画像ファイルに変換する処理である.Fig.

1に従来の銀塩フィルムの現像と RAW 現像の撮影から写真プ

リントまでの処理過程をしめす.

従来の銀塩フィルムでは,捉えた光の量を映像化するため に,薬品による現像処理が⾏われるが,デジタルカメラの RAW データの場合は,デジタル的にこの現像処理を⾏う.デ ジタルカメラ内の現像エンジンはメーカー毎に特⾊があり,画 質はこの現像エンジンに⼤きく左右される.⼀部の⾼級コンパ クト機や,ほとんどの⼀眼レフタイプのデジタルカメラでは JPEG や TIFF に変換する前の RAW データをそのまま保存す る機能を持っており,別途 SILKYPIX Developer Studio 3.0

(市川ソフトラボラトリー)などの RAW 現像ソフトウェアを 使⽤すれば,撮影者の好みを⽣かした現像(JPEG や TIFF へ

*株式会社市川ソフトラボラトリー

〒260-8075 千葉県千葉市美浜区中瀬 1-3-Cd5

*Ichikawa Soft Laboratory Co., Ltd.

1-3-Cd5, Nakase, Mihama-ku, Chiba-shi, Chiba pref. 260-8075, Japan

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の変換)を⾏う事が可能である.

2. RAW

データと

RAW

現像

ここではまず,RAW そのものについて述べ,RAW 現像ソ フトウェアの役割と処理について解説していく.

2.1 RAWとは

RAW は,ほとんどのデジタル⼀眼レフと,⼀部のコンパク トデジタルカメラで記録することができるデータファイルで,

JPEG 画像の代わり(もしくは,同時)にメディアに記録され る.しかし,その記録フォーマットは統⼀されておらず,現状 はメーカー毎(あるいは機種毎)に異なる.

Fig. 2に⺬す様に,撮影対象からの光はデジタルカメラのレ

ンズを通して,イメージセンサーに集光される.RAW ファイ ルでは,イメージセンサーからの情報をデジタル化(A/D 変 換)後にそのまま記録している場合が多い.このため,⽣のデ ータという意味で RAW データと呼ばれている.

2.2 RAW現像とは

カメラによって記録された RAW ファイルは,イメージセン サーから読み出した情報をそのまま記録しているだけなので,

そのままでは閲覧できない.閲覧できるように変換する処理 が,すなわち RAW 現像である.

RAW 現像とは,RAW ファイルから再⽣可能な映像を取り 出すデジタル処理のことである.カメラが JPEG ファイルなど の映像ファイルを記録する場合,カメラ内部で様々な画像処理 が施される.これと同様の処理を施すことで,RAW を再⽣可 能な映像へと変換することができる.つまり SILKYPIX De- veloper Studio 3.0 などの RAW 現像ソフトの役割は,RAW 撮 影されたデータを再⽣可能な JPEG や TIFF などの汎⽤的な画 像ファイルフォーマットに変換することである(Fig. 3).

2.3 RAW撮影のメリット

RAW 記録で撮影することのメリットは,イメージセンサー が捉えたすべての情報を記録できることである.再⽣可能な映 像に変換されていないこのデータは,撮影時の情報を最⼤限に 含んでいる.イメージセンサーが捉えたすべてを記録している と⾔っても過⾔ではない.

このことは,カメラの内部の処理よりも優れた処理を⾏うソ フトウェアによって,より精緻で豊かな階調を持つ映像を取り 出す可能性を⺬唆している.実際,カメラの内部では処理時間 の節約や,消費電⼒の制約,コストの制約,⼤きさの制約を受

けているが,撮影後に現像する場合には,これらの制約から逃 れられる.このため,⼀般に RAW で撮影し,パソコン上で RAW 現像を⾏うことでより美しい映像を得ることができる.

さらに,RAW で撮影しておけば,将来より⾼度な画像処理 を⾏うことができる RAW 現像ソフトウェアが登場した場合 に,そのファイルを再現像することによって,さらに美しい写 真を作り出せる可能性がある.

当然,カメラも進化するが,新しいカメラで昔の写真を撮り 直すことはできない.したがって,今 RAW で撮影しておくこ とが重要である.

また,カメラ内部で⾏われる処理を,撮影した後にパソコン 上で実⾏できるので,撮影時に決定しなければならない項⽬の いくつかを後回しにできる.これによって,撮影時に設定しな ければならない項⽬が減って,より撮影に専念できるようにな る.この性質は,従来であればありえなかった撮影⽅法を提供 することになり,撮影の可能性を拡げることができる.

たとえば,銀塩で⾔うところの増感現像であったり,ホワイ トバランスの調整である.RAW 撮影者が最も便利だと感じて いるのは,ホワイトバランスの後決めが可能な点であろう.ス タジオのように光源が安定している場合以外は,ホワイトバラ ンスを常に調整しながら撮影しなければならない.オートホワ イトバランスは,⼀定の基準を与えてくれるが,それが撮影者 の作画意図と⼀致しないことは多い.

したがって,後で実際の結果を,カラーマネージメントされ Fig. 1 Processes from imaging to the developing.

Fig. 2 What is RAW?

Fig. 3 RAW Development.

(3)

るだけ多くの項⽬を調整可能にすることが重要である.調整可 能な項⽬としては,露出補正,ホワイトバランス,調⼦(コン トラスト,トーン)設定,シャープネス設定,⾊設定が挙げら れる.さらに,レンズの収差を補正したり,シフト効果や,傾 きを補正できることで,撮影の幅を更に拡げることが可能とな る.

4. RAW

現像ソフトの処理

RAW データは,イメージセンサーから取り出した情報を,

ほぼそのまま記録しただけのものである.したがって,カメラ で施されるあらゆるデータ処理が必要となる.SILKYPIX De- veloper Studio 3.0 で⾏える画像処理の幾つかを以下に列挙す る.

4.1 RAWデータ整形処理

正常に撮像されなかった画素(画素⽋陥)を,周辺の画素情 報から予測する画素補間や,ラインまたはカラムなどの,暗部 に発⽣する電荷による電流(暗電流)を除去する処理である.

RAW データに⾮線形特性がある場合には,線形化を⾏う.こ れらの処理は,画像の品質を向上させる為に⾮常に重要であ り,SILKYPIX Developer Studio 3.0 が得意とする処理である.

4.2 現像ゲイン(露出)調整

いわゆる増減感現像を⾏うための調整である.Fig. 4はゲイ ン調整の状態を説明した図である.横軸は EV(exposure val- ue)値を⺬しており,増感,減感を⽮印で⺬した.+1EV の 増感は,線形データを 2 倍(= 2 × 2 )することで達成さ れる.また,+1/2EV に増感する場合,+1EV の増感量の半 分なので,線形データを 2 倍することになる.

4.3 ホワイトバランス調整

ホワイトバランスの設定を撮影前に適切な値に設定するのは 難しい.RAW データの撮影では,現像時にホワイトバランス の調整が可能となる.したがって撮影時にはホワイトバランス を気にすることなく撮影に専念できる.

ホワイトバランス調整は,グレーに表現すべき RAW データ 上の各⾊コンポーネントの値を揃える処理である.たとえば,

D65 で照明された被写体⽤にホワイトバランスを⾏う場合,

D65 下での完全乱反射体を撮影した場合の線形化後の RAW データ値が,R,G,B ならば,R の⾊コンポーネントに対し て R ゲイン(R/G)を,B の⾊コンポーネントに対して B ゲ イン(B/G)を乗算する.

ユーザーが⾊温度や⾊偏差(⿊体放射線偏差)を指定してホ ワイトバランスを調整できる機能を持つと,ホワイトバランス

4.4 デモザイク(ベイヤ補間)処理

現在主流のイメージセンサーは,原⾊ベイヤー配列のもので ある.これは,各画素が,R,G,B のいずれか 1 つの⾊コン ポーネントしかサンプルできないため,⾜りない⾊コンポーネ ントを補わなければならない.たとえば,R センサーであれ ば,G と B を補って,各画素に R,G,B の 3 ⾊の⾊コンポー ネントを揃えてやる.

この処理は現像後の画質を⼤きく左右する重要な処理であ る.さまざまな⽅法が提案されているが,⾼周波での偽⾊の発

⽣を抑えることと,⾼周波での⾊分離を両⽴させることは難し い.性能の良いデモザイク処理を構成するためには,補間画素 周辺をできるだけ⼤きく参照する必要がある.この点では,カ メラ内に実装するよりも PC のソフトウェアとして構成した⽅

が有利である.CPU の⾼速化や,マルチプロセッサ化により,

RAW 現像ソフトはより贅沢な処理が実装可能になるであろ う.

4.5 シャープネス(輪郭強調)処理

⾼周波強調処理により輪郭を強調する.これは,解像感を⾼

める効果があるが,同時に⾼周波ノイズも強めてしまうため,

⼈間にとって不快なノイズをできるだけ抑えながら,⾼い解像 感を得る⾼度なシャープネス処理が要求される.

ほとんどのカメラでは,ベイヤー配列の偽⾊を低減するため に,イメージセンサーの⼿前にローパスフィルタが組み込まれ ている.このローパスフィルタによる解像感の低下を補償する ためにもシャープネス処理は必須である.

Fig. 7にはシャープネス処理を⾏った例を⺬す.真ん中が原

画で左側がシャープネス処理を⾏った画像である.また右側は ピュアディテール処理後の画像である.ピュアディテールはノ ーマルシャープと⽐較してシャープを強く適⽤したときの線や 輪郭を細く表現するので,緻細な構造部分にも積極的なシャー プを適⽤したい場合などに適する.

4.6 ⾊変換処理

ユーザーの好みに応じて,⾊を変換する処理である.Fig. 8 に⾊変換の⼀例を⺬す.⼈間は,⾊を実際とは異なる⾊(記憶

⾊)として記憶する傾向があり,この傾向に合わせて⾊変換を

⾏うと好まれる写真となる.ただし,肌⾊に関しては,実際よ りも彩度が低く再現されることが好まれたり,肌⾊の嗜好は,

男⼥や⺠族によっても異なるので,さまざまな⾊変換を⽤意し て選択できるようにすることが望ましい.

また,写真を再⽣するデバイス(プリンタやモニタ)には発

⾊できる⾊域に限界があるので,その⾊域外の⾊をクリップす る必要がある.特にネイチャーフォトのように⾼彩度⾊を多く

(4)

含む場合には,クリップする処理にユーザーの意図が加えられ る必要がある.

また,フィルムの発⾊に近づけた⾊再現も写真家には好まれ る.

⾊変換の代表的な⼿法は,カラーマトリックスによるが,記 憶⾊や,⼈間の嗜好を取り⼊れようとすると,より⾃由度の⾼

い⾊変換⼿法であるカラーマッピングなどが必要になる.

4.7 カラーマッチング処理

センサーが捉えた⾊コンポーネントから,標準的な⾊空間

(たとえば,sRGB や sYCC,adobeRGB など)に変換する処 理であり,モニタやプリンタなどの出⼒デバイスに適した正し い⾊再現を⾏うために重要な要素である.

また,同時に調⼦調整のためのトーンカーブ処理も⾏う必要 がある.

5.

処理の⾼速化

以上,RAW 現像ソフトに要求される機能と,その処理内容 について述べたが,各処理には多くの演算が必要となる.さら にデジタルカメラの⾼画素化に伴って,1 コマの現像処理を⾏

う際の演算量は膨⼤なものになる.これをできるだけ⾼速に実

⾏できるよう各フェーズの画像処理中の演算数を減らすコード の最適化が重要である.また,多くのデータを処理するため,

単に演算数を減らすのみならず,CPU キャッシュが効率的に 使われるような配慮も重要である.

幸い CPU の処理能⼒は年々上がっているが,最近では複数 のプロセッサを 1 チップ内に内蔵する傾向が出てきた.つま り,複数のプロセッサに効率良く処理を分散するマルチスレッ ディングが⾼速化のカギを握ることを付け加えておく.

作業効率を上げるため,処理に時間の掛かる現像⼯程を,現 像調整後にまとめて⾏うことを可能にするのが⼀括現像処理

(またはバッチ現像処理)であり,SILKYPIX Developer Stu- dio 3.0 では,複数選択または現像の予約をした画像に対して⼀

括現像(Fig. 9)を⾏うことが可能である.

Fig. 8 Example of Color conversion process.

Fig. 4 EV (Exposure Value) setting.

Fig. 6 White balance setting with color deflection.

Fig. 5 White balance setting with color balance.

Fig. 7 Sharpness (edge enhancement) setting.

(5)

6.

お わ り に

本稿では RAW データおよび RAW 現像ソフト(SILKYPIX Developer Studio 3.0)での画像処理について解説を⾏った.

RAW データで撮影を⾏うことにより,JPEG などの圧縮形式 のファイルでなく,イメージセンサの出⼒をそのままファイル として記録することが可能である.そのため露出補正,ホワイ トバランス,⾊空間の変換や彩度,調⼦,シャープネスの調整 などを⾼い階調データのまま画像処理することができる.また これらの処理を現像時に⾃分の好みや⾊作りに合せて⾏えるた め,撮影時には⾯倒な調整をする必要がなく撮影に専念できる 利点もある.

カメラのデジタル化が進む中,RAW で撮影することの必要 性について認知されるようになってきている.RAW に秘めら れている可能性を最⼤限に引き出す現像ソフトウェアの研究・

開発を更に進め,より綺麗で精緻な写真作りを実現し,写真業 界の活性化に貢献していきたい.

ラージュ」が中⼩企業優秀技術・新製品賞の 優良賞受賞.

1998 年千葉県ベンチャー企業経営者表彰・

⼊賞.

本郷義太加

1991 年 3 ⽉千葉⼤学⼯学部電⼦⼯学科卒業.

1992 年 4 ⽉市川ソフトラボラトリー⼊社.

1993 年 3 ⽉千葉⼤学院⼯学研究科電気⼯学 専攻修⼠課程卒業.

⼩松 隆之

2000 年 4 ⽉市川ソフトラボラトリー⼊社.

教育事業部へ配属.

2002 年 4 ⽉第⼆営業部へ転属.

Fig. 9 Batch development.

※In Fig. 4-Fig. 9, we used pictures developed by SILKYPIX Developer Studio 3.0 (ISL application).

Fig. 2 What is RAW?
Fig. 5 White balance setting with color balance.
Fig. 9 Batch development.

参照

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