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古典的ホジキンリンパ腫 Classical Hodgkin lymphoma

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Academic year: 2021

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古典的ホジキンリンパ腫

Classical Hodgkin lymphoma

昭和大学医学部第二病理学教室

塩沢 英輔  本間まゆみ  矢持 淑子

瀧本 雅文  太田 秀一

図  説 悪性リンパ腫組織アトラス【 16

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古典的ホジキンリンパ腫

Classical Hodgkin lymphoma

昭和大学医学部第二病理学教室

塩沢 英輔  本間まゆみ  矢持 淑子 瀧本 雅文  太田 秀一

症 例  症例 1

 10 代男性.頸部リンパ節腫脹のため生検施行.

 症例 2

 20 代男性.頸部リンパ節腫脹を認めた.全身症

状なし.悪性リンパ腫を疑い生検施行.

 〔WHO 分類第 4 版(2008)における診断名〕古 典的ホジキンリンパ腫 Classical Hodgkin lymphoma

(CHL).

 〔概念〕ホジキン病 Hodgkin s disease (HD)と 呼ばれていた疾患群は WHO 分類第 3 版(2001)よ 昭和医会誌 第71巻 第4号〔391‑393頁,2011〕

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図  説 悪性リンパ腫組織アトラス【 16

図 1 (症例 1)HE 染色.Nodular sclerosis CHL.リ ンパ節被膜から連続し線維性に肥厚する膠原線 維束によって形成される結節性病変.

図 3 (症例 2)HE 染色.多様な形態を示す CHL の腫 瘍細胞.Reed-Sternberg 細胞(多核)と Hodg- kin 細胞(単核).

図 2 (症例 2)HE 染色.Mixed cellularity CHL.小 型リンパ球,組織球,肥満細胞,好酸球などの 多彩な炎症細胞浸潤を背景に大型異型細胞がみ られる.

図 4 (症例 2)(左上)CD30 陽性,(左下)CD15 陽性,

(右)PAX5 弱陽性(赤矢頭).

(3)

古典的ホジキンリンパ腫

393 り Hodgkin lymphoma (HL)となった.1832 年に Thomas Hodgkin が 脾臓・リンパ節を侵す致死的 疾病 7 例を報告して以来,170 年を経て悪性リン パ腫(ML)として明確な位置づけがなされたこと は特筆に価する.本症が致死性リンパ増殖性疾患で あるにもかかわらず腫瘍性病変か否か,長きにわた る論争を要したのは,その特異な病理組織像が病態 理解を困難なものにしていたことに他ならない.

WHO 分類は HL を CHL と結節性リンパ球優位型ホ ジキンリンパ腫 Nodular lymphocyte predominant  HL (NLPHL) に 分 け た.CHL は Hodgkin/Reed- Sternberg 細胞のモノクローナル増殖によるリンパ 腫と定義される.

 〔発生頻度〕欧米では ML のおよそ 30%を占める.

うち 95%が CHL であり欧米諸国においては一般的 な ML といえる.しかし本邦での大規模な統計で は ML の 5%程度に過ぎず稀である.

 〔組織形態学〕単核の Hodgkin 細胞および多核の Reed-Sternberg 細胞(総称して HRS 細胞)は直径 が 50μm 程度の大型細胞で,豊富な細胞質を有し,

淡明なクロマチンを持つ円形ないし楕円形核と通常 1 つの目立つ好酸性核小体を持つ.しかし腫瘍細胞 である HRS 細胞は全細胞数のわずか 0.1 〜 10%に 過ぎず,残りの大部分は小型リンパ球,好酸球,組 織球,形質細胞,線維芽細胞などの多彩な炎症性背 景であり,これが本症は腫瘍なのか炎症なのかとい う長期に亘る論争を招く原因となった.この基本像 を前提に WHO 分類では 4 つの組織亜型として結節 硬化型 nodular sclerosis (NS),混合細胞型 mixed  cellularity (MS),リンパ球豊富型 lymphocyte-rich 

(LR),リンパ球減少型 lymphocyte-depleted (LD)

を定めている.NS と MC がほとんどを占める.

 〔免疫組織化学〕HRS 細胞は汎リンパ球マーカー である LCA 陰性である.ほぼ全例が CD30 陽性で 診断に必須である.7 割の症例で陽性を示す CD15 も不可欠であるが,CD30 とは異なり,一部の腫瘍 細胞のみに陽性の場合もある.CD15 陽性の場合,

安心して CHL の診断を下せる.後述の如く HRS 細胞は B 細胞由来であるが,汎 B 細胞マーカーの 1 つである CD79a 陰性である.20%程度の症例で CD20 陽性を示すが一部の HRS 細胞に弱陽性を示 す程度であることが多い.近年登場した B 細胞転 写因子マーカーである PAX5 は, HRS 細胞に淡く

染まる染色特異性が診断に有用である.HRS 細胞 以外の背景には T 細胞性の小型リンパ球が多く見 られ,HRS 細胞を取り囲んでいる.EBV の関与を示 す LMP-1 陽性あるいは EBER in situ hybridization 陽性所見は NS で 10 〜 40%程度,MC で 75%程度 陽性を示し,組織亜型間で大きな差異がある.

 〔腫瘍遺伝学〕特異的な遺伝子異常,染色体異常 はない.HRS 細胞起源は長らく不明だったが micro  dissection 法を用いた single cell PCR 解析で,HRS 細胞における免疫グロブリン遺伝子(Ig)再構成が 示され,B 細胞性モノクローナル増殖が証明された.

HRS 細胞では Ig の mRNA 発現が欠如し,Ig の転 写因子である Oct.2 および Bob.1 発現の抑制・消失 が HRS 細胞の B 細胞形質の発現を抑えていると考 えられている.

 〔臨床との関連〕若年から壮年成人の頸部リンパ 節領域を侵す.予後は病期に依存し病期に応じた放 射線療法と化学療法で長期生存が期待できる.一方 で長期予後が望める故に放射線療法と化学療法によ る晩発性障害(不妊,二次発癌など)が問題となる.

 〔WHO 分類 4 版以前の診断との整合性〕HD から HL に改称され, NLPHL と CHL が分離されたのは WHO 分類 3 版からであり,HL 研究の歴史で分岐 点となった.

 〔鑑別診断〕びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(T 細胞 / 組織球豊富型,未分化型),未分化大細胞型 リンパ腫など CD30 陽性大型細胞が出現するリンパ 腫である.鑑別には PAX5, Bob.1,Oct.2 の評価が 必要である.

 〔血液病理医の立場から〕WHO 分類は 2008 年 10 月に改訂された(第 4 版).今回のアトラス【16】

以降は,WHO 分類第 4 版に準拠し変更点を加味し て執筆してゆく.

文 献

1.Stein  H,  Delsol  G,  Pileri  SA,  :  Classical  Hodgkin  lymphoma,  introduction.  In 

 (Ed by Swerdlow SH, 

), 4th ed, pp. 326‑329, International Agency  for research on Cancer, Lyon, 2008.

2.東 守洋,田丸淳一:Hodgkin リンパ腫.WHO 分類第 4 版による白血病・リンパ系腫瘍の病態 学(木崎昌弘,田丸淳一編),pp. 379‑393,中外 医学社,東京,2009.

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