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図 提案する計測原理のシステム構成
ラインスキャンカメラは,受光素子が 次元に固定して配置されているため,配置と垂直方向の眼 球位置の移動に対してレンチキュラレンズやシリンドリカルレンズを使用して受光素子の位置に合わ せて物理的に光を集める必要がある.一方で,パーシャルスキャンカメラはスキャン位置をソフト側 で簡易に変更可能であり,眼球位置の垂直移動に対する処理が比較的容易である.そのため,本章で はパーシャルスキャンカメラを使用して実験を行うこととした(ただし,本章では 次元方向を高速 にスキャンするカメラを以降どちらもラインカメラと記す).
システムの構成を図 に示す.ハーフミラーを使用してカメラとC# B赤外;)(図 赤 色の光源)が同じ光軸上になるように配置する.CD B;)(図 橙色の光源)はカメラの光軸 とある程度離して配置する.カメラ前には可視光のノイズを除くために4:フィルタ6図には示され ていない7を設置する.計測時にはC# Bの;)とCD Bの;)を交互に光らせ,それぞれの 網膜再帰反射像をラインカメラで計測し,差分画像から瞳孔位置を取得,その移動速度からサッカー ドを検出を行う.
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図 実験装置の配置
提案する計測手法の特徴及び計測実現のための要件
一般に,エリアカメラを使用して点光源の次元位置を計測する目的において,エリアカメラでは サンプリングレートが遅い場合,ラインカメラとシリンドリカルレンズ等を用いて 次元方向を別々 に高速計測する手法がとられることが多い.しかし,眼球位置を計測することを目的としたこれまで の遠隔眼球計測においては,エリアカメラが多く用いられており,サッカードのような高速な眼球運 動の運動軌跡,開始・終了タイミングを精度良く計測することは困難であった.そこで,本手法では,
これまで瞳孔位置検出のみに利用されていた網膜再帰反射像を利用すると同時に,瞳孔位置の水平移 動を高速なラインカメラで計測することによって,高い時間解像度でサッカード検出を実現している.
本手法は網膜再帰反射によって得られる瞳孔位置の移動を利用して,サッカード検出を行うもので ある.しかし,本手法が基本原理としている網膜の再帰反射特性について,少数の先行研究はあるも のの0 10 1,統一的には調べられていない.そこで,本手法を実現するためには,カメラ光軸に 対する光源のずれと網膜再帰反射量の関係,及びカメラ光軸に対して眼球の向いている角度と網膜再 帰反射量の関係を調べることが必要となる.また,計測条件を決定するにあたって,眼球をどの程度 の空間解像度で撮影すればサッカードが検出可能なのかを調べることが必要である.次節以降では網 膜の再帰反射特性を調べる実験を行い,本手法を使用して効率的に計測を行う条件について述べ,次 に,サッカード検出に必要な空間解像度について計測し,その結果を考察する.
実験 :眼球運動計測のための網膜再帰反射特性
実験装置と手順 被験者
被験者は正常な視力を持つ男性名である.実験結果では代表的な 名分のデータを示す.
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図 注視点(暗室・室内条件),赤外;)の位置を変えたときの再帰反射特性の変化
実験装置
実験装置の配置を図に示す.本実験は網膜の再帰反射特性を調べることが目的なので,被験者 の頭部を顎台で固定し,次元のエリアカメラを使用して実験を行った.%.カメラ6フレームレー ト*5,解像度ピクセル,画角7を被験者の右目から$"の位置に配置し,被験 者の右目を撮影した.眼球の横幅は+B程度である.カメラの前には4:パスフィルタを配置し た.赤外;)6ピーク波長#",ビーム角 ,放射強度",&7をハーフミラーを介して配 置し,その位置をカメラの光軸に対して から=まで 刻みで 段階に変化させた.
実験手順
秒間6約フレーム7撮影し,頭部が動かないように固定したまま,赤外;)の位置を変化さ せた.被験者に注視点の一つを固視してもらい,つまり,ある注視点を見ているあいだは頭部を固定 して, 段階に赤外;)の位置を変化させ計測を行った.被験者の注視点は から=ま で 刻みで 段階に変化させており,注視点,;)位置の組み合わせは計 通りである.ま た,注視点の条件においては,照明条件を暗室,室内6 B7と通りに変化させ,他の注視点 の条件では暗室条件のみで計測を行った.
画像解析
次に実験によって得られた映像から網膜の再帰反射特性を抽出するために行った画像処理について 述べる.各試行で得られた動画ファイルからフレームを切り出し,枚から 枚の平均画像を算 出した.その画像を段階のグレースケールに変換し,コントラストを調整するためにヒストグラ ムの均等化を行った.そして,赤外;)とカメラ光軸のずれがの画像から瞳孔抽出を行って,
画像から瞳孔部分を切り出すフィルタとして利用した.ある注視点に視線を向けている間は頭部が固 定されており,瞳孔面積,位置は変化しないため,このフィルタを他の;)ずれ角度の画像にも乗 算した.このような処理を全ての注視点のデータに対して行い,それぞれの瞳孔内の明るさの値の和,
瞳孔面積,単位面積あたりの明るさを求めた.
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図 視線方向による再帰反射特性の変化
実験結果
赤外位置のずれによる反射量の変化
図 に被験者がの注視点を固視しているときに,赤外;)の位置を変化させたときの網 膜からの反射量の違いを示す.照明条件は暗室,及び室内の条件である.横軸は赤外;)のカメ ラ光軸に対するずれ角度01であり,縦軸は瞳孔内明るさの値の和である.暗室条件,室内条件と もにグラフの概形は似ており,カメラ光軸からのずれがのとき,明るさの和が最大となり,ず れ角度が大きくなると明るさの値が減少する.およそ程度離れると暗室内で最大値の割程度,
室内で最大値の割程度となり,それ以上赤外;)が光軸から離れると,明るさの和が一定となっ ている.これは,赤外;)が光軸から約離れると網膜からの再帰反射が観察されないことを意 味しており,瞳孔位置の計測においてはと,程度離れた位置に赤外;)を配置し,差分 画像を取得することが望ましいということがいえる.また,室内条件では瞳孔が収縮することによっ て全体として値が小さくなっているが,程度離れると再帰反射が観察されない傾向は変化して いない.これは,画像の差分を利用している本手法は外部環境によらず利用可能であるということを 示している.
視線方向による反射量の変化
図に注視点の位置を変化させた場合のデータを示す.全て暗室条件のデータである.実験で は, から=まで注視点を変化させて計測したが,同様の傾向を示したのでここでは から=まで示す.縦軸,横軸ともに図 と同じである.どの注視点角度においても赤外;) がのとき最も値が大きく,程度光軸から離れると再帰反射が観察されなくなっている.こ れは,サッカード6振幅 〜0 17のような振幅が大きい眼球運動を行った前後でも瞳孔位置を 検出することが可能であるということを示してる.また,明るさの和の最大値についてみると,;) のずれ角がのとき最大で,注視点が中心から離れるにつれ減少している.図に示すように,
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図 瞳孔面積と単位面積あたりの反射量
眼球を回転させるにつれて撮影される瞳孔面積が減少している一方で,単位面積あたりの明るさに変 化が無いということ考えると,反射量の総量の減少はカメラに映る瞳孔の大きさが変化しているため に生じているものと考えられる.
実験のまとめ
本実験により,C# BとCD Bの種類の;)は程度離すと効果的に差分画像を取得可 能であり,サッカードのような移動量の大きな眼球運動が起きても,瞳孔位置を検出可能であること がわかった.また,注視点位置による反射量の変化は眼球の回転によって瞳孔の面積が変化し,それ によって瞳孔全体の反射量が変化しているということがわかった.
実験:眼球運動計測に必要な空間解像度
本実験においては,サッカードを実際に高速カメラで撮影し,得られた映像に対してサッカードタ イミングを検出する処理を行った.そして,撮影された映像の空間解像度を落としていったとき,ど の程度までサッカード検出が可能であるかシミュレーションを行いサッカード検出に必要な空間解像 度を調べた.
実験装置と手順 被験者
被験者は実験 に参加した 名である.
実験装置
実験装置の位置関係は図と同様である.