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図 眼球運動の時間変化と光点列の点灯タイミング 縦軸:眼球位置01,横軸:時間0"1 カードの振幅に対する知覚された光点軌跡の横幅の割合である.?の の試行を除いて,サッ カード幅の割程度の大きさであった(サッカードの振幅は始点・終点実験を合わせた平均を利用し た).この結果は実験 , で得られたデータと一致するものである.
考察:垂直方向の縮小 光点列の点灯時間を長くした場合
*!#の研究0 1では,サッカードの前約 "から誤定位が始まり,サッカード後約 "経っ ても誤定位が生じている.このように,一点を瞬間定位した場合の誤定位はサッカード前中後約"
に渡っている.一方,本実験で光点列が点滅しているのは,サッカード前約"からサッカード後 約"までの "の間であり空間定位誤りが生じている時間幅に比べて光点列が点滅している 時間幅は少ない.そこで,サッカードの視標が点灯した直後から各光点"ずつ"に渡って光 点列.を一点づつ上から点灯させた場合,どのような光点軌跡が知覚されるか調べた.その結果は,
"点灯させた場合でも, "点灯させた場合と同じ図 左のような,シグモイド関数形状 の光点軌跡が知覚された.ただし,"の場合は一点の点灯時間が長くなっているため,斜め線の 傾きは水平に近くなっていた.
サッカードの種類による差異
本実験においては,安定した実験条件を得るために潜時が時間的に安定したエクスプレスサッカー ドを誘発した.しかし,サッカード視標の光るタイミングによってサッカードの振幅,最高速度,持 続時間等の動特性が変化することが知られている0 1.そこで,視標の点灯するタイミングを,注視 点消灯後,,, , "と変化させて光点列を観察したが,知覚される光点軌跡の形状に変化 は無かった.
表 3 実験 で計測されたサッカードの振幅01,持続時間0"1,潜時0"1の平均 括弧内は標 準偏差
)B+"# "+ !# ;#$<
?4 始点 6 7 67 67
終点 67 6 7 6 7
始点 67 67 6 7
終点 6 7 67 67
? 始点 67 6 7 67
終点 6 7 67 6 7
始点 6 7 67 6 7 終点 6 7 6 7 6 7
:/ 始点 6 7 6 7 6 7
終点 6 7 6 7 67
始点 6 7 67 6 7
終点 6 7 67 67
EF 始点 6 7 67 6 7
終点 6 7 67 6 7
始点 6 7 67 6 7
終点 6 7 67 67
サッカード残像の空間特性に関する考察
形態生成と定位の分離
サッカード時にフラッシュ刺激を暗闇の中で提示すると,図のような傾向を持って誤定位が起 きることが知られている0 10 101.これまで,この誤定位は眼球位置情報と網膜情報を利用した相 殺説によって説明されてきた010 10 1.相殺説とは,暗闇において,定位のための情報が自分の眼 球位置と網膜上の刺激位置しか得られないため,網膜上の対象位置から自分の眼球位置情報を差し 引くことで正しい刺激位置を計算していると考えるものである.フリッカー刺激のようなある時間幅 を持った光点刺激を多数のフラッシュ刺激の集まりとして,この相殺説に基づいて考えると,フリッ カー刺激はフラッシュ刺激の誤定位の時間軌跡をなぞるように定位されると考える.しかし,本実験 の結果はこの予測とは異なり,フリッカー刺激をフラッシュ刺激の単純な足し合わせと考えることは できないということを示している.
実験 , の結果は,ある時間幅を持って提示された光点刺激の定位は,はじめに形態生成が なされ,その後に形態がまとめて定位されるという,形態生成プロセスが定位プロセスに先立って生 じていることを示唆するものであった.実験 におけるシグモイド形状の知覚も,サッカード開始 とほぼ同じ時間帯にサッカードと逆方向に曲がり始め,サッカード終了と同時に垂直方向に戻るもの であり,この仮説を裏付けるものである.視覚システムとしても,定位を何度も行うより形態生成後 に一度定位を行うほうが,より効率的に環境を知覚していくことができると考えられる.
また,これまで,形態生成プロセスがひとまとまりの形態として処理する刺激の時間幅に関する 報告が.!!らによってなされている01..!!らはつのフラッシュ刺激を4.4(4# ."
4#()を変えて異なる位置に提示したとき, "より短い4.4で提示した場合には,点が網膜 上と同じ距離に知覚され,それ以上長い4.4で提示すると,つのフラッシュを独立に定位した距離,
つまり図の各フラッシュの提示された時間の定位誤りの位置の差に知覚されることを報告してい る.このことは,4.4 "以下で提示されたつ(複数)の刺激に対しては,ひとまとまりに形態 処理がなされていることを示唆している.
定位プロセスにおいては,本実験結果はサッカードから遠い時間のイベント(光点刺激の点灯もし くは消灯)を手がかりに定位を行っていることが示唆された.ただし,興味深い現象として実験 において,サッカード後に点滅を開始したフリッカー刺激(図 右の白い領域)に対しては殆ど 定位誤りが生じていない.この時間帯に提示されたフラッシュ刺激は定位誤りが生じるのに対し,フ リッカー刺激は正しく定位される理由として,その刺激の持続時間の違いが挙げられる.サッカード 後に提示され始めたフリッカーは網膜上の同じ位置をある一定時間(数 ")刺激する.そのため,
視覚システムにとって,その刺激が網膜上のある位置にあることが記憶され,サッカード時の不確か な情報を手がかりに定位を行うのではなく,サッカードから十分あとの時間の正確な情報を手がかり に定位していることが考えられる.
網膜像の半分の大きさの知覚像
実験 , から知覚される像の形態は基本的には網膜上の形態表象(点もしくは点列)をもと に形成されることが示唆されるものであった.しかし,その大きさに関しては網膜像の約半分に縮ん でしまう.本節ではその原因について考察する.
一つの可能性として,光点刺激の知覚上の保持時間が短く,サッカード中に提示されたフリッカー のうち,初めに提示された光点がサッカードが終了する前に知覚上消えてしまうということが考え られる.実際,サッカード中に提示された光点は固視時よりも早く消える可能性も示唆されている