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図 提示可能な画素数の計算 67点滅周期可変の場合 6'7点滅周期一定の場合
サッカードを利用した情報提示における設計指針
提示画素数を最大化する点滅周期の計算
本章では,サッカードを利用した報提示手法において, 回のサッカードでどの程度の次元情報 を提示可能であるか.そして,提示可能な情報量(画素数)を最大化するためには,どの程度の点滅 周期で光源を点滅させればよいかを論ずる.章の実験結果から,サッカード(水平方向)によって 知覚される像の大きさは水平方向に約半分,垂直方向に 〜割程度収縮する.ただし,画素数自体 は網膜上の画素と一致することがわかっている.よって,画素数最大化の議論に関しては網膜上での 光点の位置関係をそのまま使用して考える.
まず,垂直方向に提示可能な画素数に関しては,垂直方向に並べた光源の数だけの画素数が提示可 能である(観察者が水平方向にサッカードを行った場合).水平方向に関しては,物理的には図 67 に示すように,提示可能な最大画素数はサッカードの振幅を光源の大きさで割っただけの画 素数提示可能である.しかし,サッカードの眼球運動速度は一定ではないため,上記のように提示画 素数を最大化するためには,運動速度に合わせて点滅周期を変化させる必要が生じる.実際,眼球運 動に合わせて点滅周期を変化させるのは非常に困難であるので,点滅周期を一定とし,提示可能な画 素数を最大化することを考える.このとき,提示可能な最大画素数は,サッカード中において情 報提示に利用可能な時間を,点滅周期をとすると, >によって計算可能である.ただ し,上記のサッカード中の情報提示利用可能時間 は図 6'7にあるような,サッカード中の眼球 運動速度がある一定速度超えている時間帯である(図 6'7のグラフは縦軸に眼球の運動速度,
横軸に経過時間を取り,サッカードが起こり始めてから,サッカードが終わるまでを示したものであ る.グラフにあるように,サッカードが起こり始めてから眼球の運動速度は上昇し,ピークを迎え,
サッカード終了とともにになる).
上記のは,図 に示す条件を満たす眼球運動速度である.連続した画素を提示するために,
光源は図 67のように,十分短い時間点灯し,消灯するということを繰り返すとする.このと き,点滅周期の間に光源は網膜上を だけ移動する.図 6'7上部にあるように,この移 動量が光源の大きさより大きいと,ある時間での点灯と=での点灯が重ならずに提示可能 である.しかし,図 6'7下部にあるように,つの点灯時間の像が網膜上で重なってしまうと,正 しく情報提示を行うことが困難になる.この が光源の大きさよりも大きくなる最低速度が上 記のである.
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図 67 画素の提示手法 6'7情報提示可能な最低眼球運動速度
シミュレーションと具体例
これまでの議論をまとめると, 度のサッカードで提示可能な最大画素数は,サッカード中に おいて情報提示に利用可能な時間を,点滅周期をとすると, >によって計算可能であ る.このときは,サッカードの速度履歴を既知とすると,によって決定される.そして,は
>を満たすので,光源の大きさ(光源から観察者までの距離)を一定とすると,は によって決定される.つまり, はの関数であり,さらにはの関数であるので,サッカー ドの速度履歴,光源の大きさを既知とすれば,提示可能な最大画素数はによって決定される.
以上の議論に基づいて,光源の大きさを 6""の光源を"手前から観察した大きさ7, ,
のサッカード(最高速度それぞれ,&$)の速度軌跡を図 のように正規分布で 仮定したときの提示可能な最大画素数 を計算した.その結果を図 に示す.横軸が点滅周期
0"1,縦軸が提示可能な最大画素数0+B1である. のサッカードで点滅周期"のとき に最大ピクセル,のサッカードで点滅周期"のときに最大ピクセル提示可能である.
知覚される像の大きさは水平方向半分なので,それぞれの振幅で提示される ピクセルの大きさは視 力換算 ,となる.この値は,サッカード時に視力が低下しないならば,十分知覚可能な大き さである.
設計論のまとめ
サッカードの振幅・速度履歴と光源の大きさを仮定した場合,提示可能な最大画素数は光源の点滅 周期に依存し,画素数を最大化する最適な点滅周期が存在する.実際の環境下でのパラメータでシ ミュレートした結果,およそ実際に見えている画素と同程度の値が得られた.
また,情報提示するにあたって英数字などの文字を提示する場合には,多くの情報を物理的に提示 できたとしても,一度のサッカードで認識できる文字の数は数文字程度に限られており0 1, 度に 認知できる情報量に関する限界も考慮する必要がある.
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図 仮定したサッカードの速度軌跡( ,)
㪇 㪈㪇 㪉㪇 㪊㪇 㪋㪇 㪌㪇 㪍㪇
㪇 㪇㪅㪌 㪈 㪈㪅㪌 㪉
㪚㫐㪺㫃㪼㩷㪲㫄㫊㪴
㪤 㪸 㫏㩷 㪧 㫀㫏 㪼 㫃㩷㪲㫇㫀㫏 㪼㫃㪴
㪈㪇㪻㪼㪾 㪉㪇㪻㪼㪾
図 提示可能な最大画素数( ,)
眼球運動計測と合わせた情報提示の提案
サッカードを利用した情報提示手法は観察者の眼球運動自体を情報提示に利用しているので,眼球 運動のタイミングが光点列の発光タイミングと合わないと,次元イメージを提示することができな かった.しかし,図 のように観察者のサッカードを遠隔からカメラ等で検出し,そのサッカード 中に光点列を光らせることが可能であれば,観察者に対して確実に情報提示が可能となる.このよう に,サッカードを利用した情報提示システムにおいて,遠隔からサッカードを検出する手法は重要な 要素技術でありこれによって様々なアプリケーションが実現されると考えられる.
Observer
Single LED Array Rapid frame rate Camera Captured image
Captured image Saccade
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図 眼球運動計測と合わせた情報提示の概念図
提案する計測手法の原理 これまでの遠隔視線計測技術
これまで提案されてきた遠隔視線計測手法の多くは,赤外光をカメラ近傍から眼球に向かって照射し,
眼球付近の映像をカメラによって取得,画像処理によってプルキンエ像と瞳孔中心を検出し,二点の相対 位置関係によって眼球運動を計測するものであった6図 に各要素を示す7 0 10 10 10 10 1. この手法を利用して,精度良く計測を行うためには眼球周辺の詳細な次元画像が必要となる.具体 的には,眼球を横 +B縦 +B程度で撮影すれば,の精度で眼球運動が計測可能である という報告があり0 1,眼球周辺画像ではその〜倍と考えると,A/.規格標準6+B7 程度のカメラで撮影する必要がある.一方で,A/.規格標準のフレームレートは*5であり,サッ カード6最高速度&,持続時間"017のような高速で短時間に行われる眼球運動のタイミ ングや軌跡を正確に知ることは困難である.
このように,これまでの遠隔眼球運動計測システムでは,位置計測に高い空間解像度を必要とする ため,高速な眼球運動を計測可能な時間解像度を確保することができなかった.そのため,これまで の手法を利用してリアルタイムにサッカードを検出し,サッカード中に情報提示を行うことは難しい.
そこで,本研究では網膜再帰反射像を利用することによって,一台のカメラで遠隔から高い時間解像 度でサッカードを検出する手法について述べる.