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3.2 解析手法

3.2.1 VDC 原理

荷電粒子がVDCの中を通過すると、VDCの中に充満しているガス分子を電離させながら減 速してゆく。ガス中に荷電粒子が通過したときに荷電粒子が失うエネルギーは Bethe-Bloch の式から見積もることができる。

dE

ρdx =CZ A

z2 β2

[ ln

(2mc2γ2β2 I

)

−β2 δ 2 ]

  (3.6)

C = e4n

4πϵ20mc 2ρ (3.7)

I は平均励起エネルギーを表し、δ は密度効果の補正項である。入射粒子が失ったエネルギー はガス粒子の電離にエネルギーが使われる。VDCが円筒型のコンデンサー(外半径a, 長さl) と仮定する。チェンバー中の電場はワイヤーの半径(b)とし、ガウスの法則により電場 (E),

50 第3章 H(e, eK+)Λ/Σ0のデータ解析

図3.8: pe, pK 運動量バイト:電子線のエネルギーE=4.3 GeV, θee = 13.2, θγK = 0 に おける Λ, Σ0, nnΛの測定領域を示している。HRSの運動量バイトは∆p = 0.045pで表さ れる。散乱電子の中心運動量pe = 2.2 GeV/c(運動学1)の測定領域は黒線で囲った領域であ り、Σ0のイベントが観測されにくい。そのため、校正データ取得用のΛ, Σ0 を散乱電子の運 動量 (pe = 2.1GeV/c)(運動学2)にずらして(赤枠)で測定を行う。また、pe = 2.1 GeV/c セットアップでΛデータの取得も行い、Λピークを通して運動学2で取得した校正データを 運動学1に適用させる。

電圧(V)はそれぞれ

E = Q

2πϵrl (3.8)

V = Q 2πϵllnb

a (3.9)

と記述できる。また、式(3.8, 3.9)より円筒型チェンバー内の電場は E = V

r lnab (3.10)

となり、センスワイヤー付近で急激に電場が強くなっていることがわかる。ガス分子から電離 した電子はワイヤーによる電場に吸い寄せられ、加速される。加速した電子はさらにガス分子 を分離させるため、ワイヤー付近では電子が雪崩式に増幅される。増幅した電子はセンスワイ ヤーに集められ信号として検知する。電離した電子がセンスワイヤーに検知されるまでの時間 をドリフト時間と呼ばれ、電離した電子がドリフトする速度はVDCに用いたガスの種類や電 場の大きさに依存する。電子のドリフト時間をwとし、入射粒子の入射時刻t0 と信号の検出

3.2 解析手法 51

図3.9: pe = 2.1 GeVにおけるΛ/Σ0 質量欠損分布:1.116 GeV/c2 付近にΛのピーク、1.2

GeV/c2 付近にΣ0 のピークが確認できる。青領域はアクシデンタルバックグランドの寄与か

らくるイベントである。Λ, Σ0 のピーク領域を選択し、運動量校正を行う。

時間t1 とすると、ワイヤーからの位置x

x=

t1 t0

wdt (3.11)

として求めることができる。JLab のVDC は高電圧のセンスワイヤーとグランドパネルに よって電場が生成されている。センスワイヤーによる電場はシミレーションにより図3.11の ように見積もることができる[25]。

VDCのTDC信号は図3.13のようになる。センスワイヤー付近の強い電場下で分離した 電子は急激にセンスワイヤーに吸収され図3.13のt = 0付近のピークを作る。図 3.11にて

b > 2 cmの電場領域はゆるやかになっており、電子はb軸に沿った軌道でセンスワイヤーに

吸収されるため図3.13のような分布を持つことがわかる。

VDC検出効率

VDCは粒子が通過すると電離した電子がドリフトを起こし、その時間差によって粒子の通過 した位置・角度を割り出すことができる。本実験では 2つの VDC(VDC1, VDC2)を用いて おり、それぞれ2層のワイヤーVDC1(u1, v1)、VDC2(u2, v2)が張られている。VDCに粒 子が通過したイベント条件として次の条件を課す。

1) S2 & S0

52 第3章 H(e, eK+)Λ/Σ0のデータ解析

図3.10: pe = 2.2 GeV/cではΣ0 のイベントが取得できない。これは図3.8のΣ0 のイベン トはアクセプタンスの端に位置し観測がされにくい。この図から得られたΛ ピークと図3.9 のΛピークを介してnnΛのセットアップにおける運動量校正を行うことができる。

2) Pion Event (AC1 > 1000 ch & AC2 > 6000 ch)

VDCの検出効率の評価として(1), (2)を満たすイベントを条件かつVDCが荷電粒子を検知 したイベント選択を図3.14のように選択した。

それぞれのワイヤー面にて検出効率は99.4 %以上あることが分かった。

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