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第 2 章 nnΛ 実験の概要

2.4 高分解能スペクトロメータ (HRS)

2.4.2 HRS-R Particles Identification Detector

HRSの超伝導磁石による荷電粒子の運動量分光後、荷電粒子の位置・時間は超伝導磁石後方 に置かれた検出器群で測定される。HRS-R側ではバックグランドとしてπ+, pの混入が考え られ、K+中間子イベントを選択するためにバックグランドを除去する必要がある。本実験で は、π+, pの除去方法としてエアロゲルチェレンコフ光検出器(AC)、シンチレーショントリ ガーカウンター(STC)を用いてK+中間子の選別を行い、粒子の位置・角度情報はドリフト チェンバー(VDC)を用いて測定が行われる。HRS-Rで使用する検出器は図2.11のように設 置されている。

HRS-Rに搭載されている検出器の詳細について以下で述べる。

2.4 高分解能スペクトロメータ(HRS) 35

図 2.12: AC1 体写真図:2017 年に宇宙線テスト時に撮られた AC1 写真図。合計 24 本の PMTが接続されている。

表2.7: AC specification

AC1 AC2

Refractive index 1.015 1.055

PMT Burle RCA 8854 Photonis XP 4572B

Number of PMT 24 26

Thickness 9 cm 5 cm

HRS エアロゲルチェレンコフ光検出器(ACD)

K+中間子識別のためにエアロゲルチェレンコフ光検出器(AC1, 2)を用いる。ACはK+中 間子に混入したπ+中間子の除去を目的としており、それぞれ屈折率が異なる輻射体を用いて いる(表2.7)。

• エアロゲル

  AC1, AC2 はそれぞれ屈折率 [n1 = 1.015(Matsushita silica aerogel SP15), n2 = 1.050 (Matsushita silica aerogel  SP50)) のエアロゲル(2.5×2.5×1 cm3] のタイルを使用している。ビーム軸方向のエアロゲルのタイルの厚さはAC1(9 cm),

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図2.13: S2レイアウト図

AC2(5 cm)となるようにタイルを重ねている。

• 反射材

 反射材として乱反射材Milliporeフィルター(GSWP00010)を使用している。 Milli-poreフィルターは400 nmの波長の光で最高95 %の乱反射をし、紫外線領域(UV 域)である315 nmの波長では80 %になる。Milliporeは脆いため、3M両面テープで 接着し、一部3M会社のthe Enhanced Specular Reflector(ESR)を反射材として塗装 している。

• PMT(高電子増倍管)

 AC1はBurle RCA 8854のPMTを26本使用し、AC2はPhotonis XP 4572Bを 24本使用している。Burle QuantaconのPMTはUV領域(390 nm)での光子検出効 率は22.5 %の性能を持つ。AC2で使用されているXP 4572のPMTはUV領域の検 出効率は低いが、紫外線領域での検出効率はおおよそ24 %の性能を持つ。

Scintillation Trigger Counter (STC)

 HRS-Lには2つのシンチレーショントリガーカウンター(S0, S2)を設置しておりそれぞれ

の特徴は以下に示す。

• S0

S0プレーンはビーム軸方向に厚さ10 mm シンチレーションカウンターBICRON408 を使用する。S0の検出領域は(170L×25W cm2)をカバーしている。S0は一つのシン チレータにPMT(XP4312B)を両側に接着している。PMTから得られた信号はNIM

2.4 高分解能スペクトロメータ(HRS) 37 modulsに伝達される。

• S2

S2プレーンには16つのSTCを鉄フレームに搭載している (図2.13)。プラスチック シンチレータは大きさ43.2L×14.0W×5.08T cm3(EJ-230) を使用している。シンチ レータの両端に2つのPMT(Photonis XP2282B)を接着している。

S0、S2間には2 mの距離があり、S0, S2を通過した荷電粒子の時間差を図ることにより荷電 粒子の飛行速度vを測定できる。S0, S2間の距離(x=2.0 m)に対し、S0, S2に飛翔粒子の通 過時間(t0, t2)を用いて飛翔粒子の速度β

β = x t2−t0

1

c (2.3)

= pc

m2c4+p2c2 (2.4)

となる。m, pは飛翔粒子の質量と運動量であり、飛翔粒子の運動量は双極子磁石により中心

運動量p= 1.8 GeV/cで一定である。同じ運動量でも粒子の質量によって粒子の速度βは変

化するため、粒子の運動量と速度β を測定することにより粒子の選別を行う。

ドリフトチェンバー(VDC)

 ドリフトチェンバーは多数のワイヤーが張り巡らされており、荷電粒子が通過したときに電 離した電子のドリフト時間を測定することで荷電粒子の通過位置・角度を求めることができ る。2つのVDCを通過した荷電粒子の角度・位置情報を元に、標的位置からの軌跡を求める ことができる。イベント毎の軌跡を調べることによって標的から分光されたイベントとダミー イベントの区別をつけることができ、正しいハイパー核イベントを選択することができる。 

HRSでは2台のドリフトチェンバーが平行に23 cm離して設置されている(2.14)。 ドリ フトチェンバー(VDC)はドリフトチェンバーの側面に対し、45度の角度を持った2層のワイ ヤーが直角で交わるように張られている(図2.14)。センスワイヤーは直径20 µmを使用して おり、一層毎に368のワイヤーを張り巡らし、2つのVDCの全ワイヤー(1472 ch)で得られ た信号はFastbus(LeCroy 1877) TDCに輸送される。 VDC の内部にはAr、エタンガスを 30 l充満させ、毎時7 l/hでガスを循環させている。ワイヤーで得られた信号は小さいため、

前置増幅器(MAD card)で信号を増幅させた後にFastbusのTDCに信号を送る。 

HRSで用いたVDCの角度分解能は表2.8に示す。角度 θ, ϕは粒子進行方向の運動量pz, D磁石による運動量分散方向の運動量px とし、θ = Arctan(px/pz), ϕ= Arctan(py/pz)と なるθ, ϕを定義している。また、再構成決定精度は逆輸送行列にて標的での角度の決定精度 を表している。

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図2.14: VDC概略図[30]:HRSでは二台のVDCを用いて位置・角度情報を取得する、VDC は2層のセンスワイヤー層が直角に交わるように交差している。

表2.8: VDC resolution table [25]

Angle FWHM resolution (mrad) Reconstruction accuracy (mrad)

θ(px/pz) 6.00 ± 0.60

ϕ (py/pz) 2.3 ± 0.23

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