第 4 章 K + 中間子識別解析
4.2 AC cut における Λ, Σ 0 残存率と S/N の評価
4.2.3 S/N 評価
ACカットをcoincidence timeに適用することによってπ+, pの除去できることが図3.24か らわかった。しかし同時にK+も除去してしまうため、coincidence timeのK+ 領域におけ るS/N比とACカット条件の相関を調べる。ここでS(Signal)はK+ 中間子のイベント数、
N(Background) はACC、π+ 中間子の漏れ込みなどによるバックグランドのイベント数と
し、AC thresholdを変化させたときのS/N値を評価する。アクシデンタルバックグランド
74 第4章 K+ 中間子識別解析
図 4.10: AC1 カット条件を変化させた
ときのΛ 残存率:横軸はAC1の thresh-old(th1)を表しており、NPE <th1の条 件を満たした Λ の残存率をプロットして いる。
図 4.11: AC2 カット条件を変化させた
ときのΛ 残存率:横軸はAC2の thresh-old(th2)を表しており、th2 <NPEの条 件を満たした Λ の残存率をプロットして いる。
(ACCBG)の見積もりは、coincidence timeでACC領域を選択し、K+ 中間子領域における ACCの数を見積もった。ACCはビームバンチ(2 ns) 毎に来ているものであり、図4.3領域
のACCBGを平均化し、K+中間子領域でのACCBGのイベント数の見積もりを行った。ま
た、AC1, AC2のカット条件をAC1, AC2 threshold(th1, th2)として
AC1<th1 (4.6)
th2<AC2 (4.7)
を選択する。K+ 中間子領域は coincidence time(ct) の−1 < ct < 1 ns 領域を選び、その 領域における AC1, 2のカット条件式 (4.6, 4.7)を変化させたときのS/N 比の評価を行った (図4.12, 4.13)。図4.12では、15 PEs<th1では一定のS/N ∼1.0を満たし、th1<15 PEs
領域ではthresholdに対してS/N は単調増加傾向を示すことがわかった。また図4.13では、
S/NはAC2 threshold(th2)に対し単調減少を示す結果となった。
4.2 AC cutにおけるΛ, Σ0 残存率とS/Nの評価 75
図 4.12: AC1 カット条件を変化させた
ときのSΛ/N 値:横軸はAC1 の thresh-old(th1)を表しており、NPE<th1の条件 を満たした SΛ/N の値をプロットした。
シグナル(SΛ)は質量欠損分布のΛピーク をフィットして得られたイベント数であ り、N はΛ ピーク領域(±3σΛ)領域内に おけるバックグランドのイベント数で評 価をおこなった。
図 4.13: AC2 カット条件を変化させた
ときのSΛ/N 値:横軸はAC2 の thresh-old(th2)を表しており、th2<NPEの条件 を満たした SΛ/N の値をプロットした。
シグナル(SΛ)は質量欠損分布のΛピーク をフィットして得られたイベント数であ り、N はΛ ピーク領域(±3σΛ)領域内に おけるバックグランドのイベント数で評 価をおこなった。
4.2.4 FOM
ACカット条件におけるΛ, Σ0の残存率およびS/N比の値を見積もった。Λの残存率とS/N 比の両方がよくなるようなACカット条件を求める。FOMはΛのイベント数(S)とS/N比
(S/N)の積で定義する。
FOM =√
S/N ×S (4.8)
式(4.8)はpeak significanceを意味し、AC1, AC2のカット条件式(4.6, 4.7)を変化させた ときのFOMの値を見積もった図(4.14, 4.15)。図4.14では、AC2 thresholdを異なる三点 (黒・赤・緑)で固定した状態でFOMのAC1 cut依存性をプロットし、図4.15も同様にFOM
76 第4章 K+ 中間子識別解析
図4.14: FOMのAC1カット条件依存性 図:AC1 threshold を変化させたときの FOMのプロット図。黒、赤、緑はAC2の thresholdを1.0, 2.0, 5.0 PEsと変化させ たときのFOMを表している。
図4.15: FOMのAC2カット条件依存性 図:AC2 threshold を変化させたときの FOMのプロット図。黒、赤、緑はAC1の thresholdを0.1, 1.0, 3.0 PEsと変化させ たときのFOMを表している。
表4.2: ACカット最適条件を課したときのΛ, Σ0 のイベント数、S/N、残存率、FOMの結果 Particles Events S/N Survival ratio FOM
Λ 440 ±26 6.6 0.55 54
Σ0 130 ±18 0.65 1.0 11
total (Λ + Σ0) 570 0.62
のAC2 cut依存性をプロットしている。赤・緑・黒のプロット図から、カット条件を変化さ
せるとFOMの値が変化していることが見て取れる。そのため、AC1, AC2の相関を考慮した FOMの最大条件を求めるためにAC1, AC2の二次元相関図(図4.16)からFOMの最大化条 件を求める。図4.16では、カット条件式(4.6, 4.7)を同時に満たすイベントを選択しており、
AC1, AC2のthresholdを変化させ、FOMの最大値を取るACカット条件は
AC1<0.175 PEs (4.9)
2.0 PEs <AC2 (4.10)
であることがわかった。