P [μm] 6.5 2.6 1.7 D [μm] 4.5 1.9 1.2 T [μm] 1.0 0.8 0.5
4-2. 実験方法
4-2-1. 実験試料
MMDとして、2章の2-1-4節に示したMMDの周波数制御により、通過帯の周波数が異 なる 3 種類の MMD を作製した。 サンプル名『f40』は通過帯が 40THz 付近、サンプル名
『f100』は通過帯が 100THz 付近、サンプル名『f150』は通過帯が 150THz 付近に生じるよう に作製した。 MMD 構造は、正方形状の貫通穴が正方格子状に周期配置された構造とし た。 MMD の孔の周期を P、孔の 1 辺の長さを D、厚みを T とした時の 3 種類の MMD の構造設計値を Table 4-1に示す。 作製は、2章の2-1-2節に示した方法で行った。 得ら れたNi製MMDに対し、Auの無電解メッキを行い、MMD全表面が数十nmのAu層で覆 われたMMDを作製し、これを実験で用いた。
4-2-2. Biotin の固定と Streptavidin の吸着の手順
Au表面を有するMMDに対し、Fig. 4-1 に示す手順でBiotinの固定化を行った136。 図 中の手順①では、濃度1 [mg mL-1] のSH-(CH2)11-OH (ProChimia社、FT001-m11) のエ
- 80 -
① ② ③ ④
Au
Fig. 4-1 Outline of the chemical reaction performed to immobilize Biotin molecule on MMD surface.
タルール溶液に室温で MMD を16時間浸漬し、表面に水酸基を形成した。 手順②では、
濃度 1 [wt%] の 3-Aminopropyltrimethoxysiane (WAKO 社、323-74352) の水溶液に MMD を 60℃で 3 時間浸漬し、表面にアミノ基を形成した。 手順③では、濃度 0.5 [mg mL-1]のN-Succinimidyl(3-Maleimidopropionate) (TGI社、S0427)の DMSO溶液に MMD を室温で16時間浸漬し、表面にマレイミド基を形成した。 手順④では、濃度0.5 [mg mL-1] のHS-(CH2)11-NH-CO-Biotin (ProChimia社、FT 005) のエタノール溶液に MMD を室温 で16時間浸漬し、表面にビオチン基を形成した。 さらに、濃度0、0.0189、0.189、1.89 [nmol mL-1] のStreptavidin (WAKO社、191-12851) のPBS溶液にBiotin固定化後の MMD を 37℃で 2 時間浸漬することで、Streptavidin の吸着を行った。 Streptavidin 吸着後のサンプ ルは、PBS溶液と超純水で洗浄し、37℃で16時間の乾燥を行った。
- 81 -
4-2-3. 電磁波透過特性の評価方法
MMDの電磁波透過特性の測定は、FT-IR装置(BrukerOptics社、ALPHA)を用いて行っ た。 測定は、同じサンプルについて、Biotin 固定化後の電磁波透過特性を測定し、
Streptavidin吸着後の電磁波透過特性を測定し、その差からStreptavidin吸着によるディップ 点の周波数変化量を求めた。 また、各Streptavidin濃度について8サンプルの測定を行い、
その平均値を算出した。 なお、FT-IR 装置では、入射電磁波を集光して MMD に入射する
(斜入射する電磁波成分がある)ため、正方形孔MMDでもディップ波形が生じる122-138。
4-2-4. MMD に吸着していた Streptavidin の定量
電磁波透過特性測定後の MMD に吸着していた Streptavidin の質量を電気泳動法により 定量した。 MMDからのStreptavidinの分離は、Table 4-2 に示す試薬混合溶液 100 [μL]
にStreptavidin 吸着後のサンプルを浸漬し、98℃で5分間加熱することで行った。 電気泳動 は、分子量14~100 [kDa] 用のアクリルアミド濃度12.5 [%] のゲル(ATTO社、E-T12.5L)
を用い、1レーン当たり20 [μL] の溶液を注入し、250V-50mAの通電を約1時間行った。 電 気泳動後のゲルは、Table 4-3に示す蛍光染色液に30分浸漬して蛍光染色した後、蛍光ス キャナーにより染色後のバンド画像を得た。 ゲルの各レーンには、サンプルから分離した Streptavidin溶液(S1~S4)と検量線用に作製した質量既知のStreptavidin溶液(C1~C4)を割 りつけた。 例として、Fig.4-2に染色後のバンド画像例を示す。 また、Table 4-4に、Fig. 4-2 の各レーンの割り付けを示す。 画像解析ソフト(Image-J)を用いて、質量既知のバンド画像 から検量線を作成し、MMD から分離した Streptavidin のバンド画像からその質量を求め、
- 82 -
Table 4-4 Breakdown of electrophoresis samples of each lane of the gel image in Fig. 4-2.
Fig. 4-2 Image of gel used for quantification of streptavidin.
C1 C2 C3 C4
S1 S2 S3 S4 S1 S2 S3 S4
MMD の全面積(直径 6mmΦ)で規格化して、MMD 単位面積当たりに吸着していた Streptavidinの質量[ng mm-2]を求めた。 また、各Streptavidin濃度について10レーン分の 測定を行い、その平均値を算出した。
Table 4-2 Regent composition used for separation of streptavidin from MMD surface.
Table 4-3 Regent composition used
for fluorescent dyeing of gel.
- 83 -
4-2-5. 電磁界シミュレーションの条件
3章の3-2-3節のFig. 3-3 に示した計算モデルを用いて計算を行った。 単位格子には、
凹形孔 MMD を用い、周期 P、孔寸法 D、厚み T は実際の MMD と同じ寸法にした。
(FT-IR 装置では集光光により正方形孔 MMD でディップ波形を得ているが、計算では集光 が難しいため、凹孔形MMDで代替した。) 凹形孔の突起部のXY面内寸法は0.06×P [μ
m]角とし、厚みは他のMMD部と同じにした。 突起部は、Y軸上の +Y側の正方形孔の辺
中心部に形成した。 また、MMDの導電率σ は、1.0×107 [S m-1] を用いた。(導電率の計 算処理は、2章の2-3-3節を参照。)
タンパク質の吸着による MMD の電磁波透過特性の変化を明らかにするため、計算では、
タンパク質を想定した仮想物質がMMD表面に付着した状態をモデル化した。 Fig. 4-3 に、
仮想物質が付着した MMD の計算モデルを示す。 図は、基本格子のコーナー付近の拡大 図を示しており、仮想物質の付着の様子をわかり易くするために、Y = 0 [μ m] のXZ面で MMDを切断した図になっている。 図中の青色部分がMMD、緑色部分が仮想物質に相当 する。 仮想物質は、周期境界を除くMMDの全表面上に厚みt [nm] で配置した。 厚みは、
t [nm] = 0(仮想物質が付着していない場合に相当)、10、20、30の4水準を計算した。 仮想
物質の物性値は、タンパク質を想定し、比誘電率 εr を 3、誘電正接 tanδ を 0、密度を 1 [g cm-3] と仮定して計算した。(誘電特性の計算処理は、2章の2-3-4節を参照。) 仮想物質の 質量は、仮想物質の厚みtから体積を計算し、密度を用いて体積から換算することで求めた。
この質量は単位格子当たりの質量であるため、MMDの主面の面積(直径6mmφ)で規格化 し、MMD主面単位面積当たりの仮想物質の質量[ng mm-2]を求めた。
- 84 -