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単部分

P等

② ① ③

単部分 7

P等

部分和 単部分 Q等

総部分

S体

単部分

ヘずれ

図2−5.被験者が着目した「福引き問題」における主な関係

1)着目の仕方の観点

(ア)部分と全体に関する着目の仕方の観点

単部分:1等・2等・はずれという3っの部分のいずれかに着目した場合。

部分和:1等・はずれという2っの部分を合わせて新しく作った部分に着目した場合。

総部分:1等・2等・はずれという3っの部分を合わせた全体に着目した場合。

なお,複数の観点で着目している場合には,着目した部分の数を優先して分類した。

(イ)「部分一部分」と「部分一全体」に関する着目の仕方の観点

部分:部分(単部分または部分和)に着目しており,箱Aと箱Bにおいて,部分どうし(単    部分と単部分〔①〕または部分和と部分和〔②〕)の比較を行っている場合。

   (①,②は図1参照,以下同様。)

全体:全体(総部分)に着目しており,箱Aと箱Bにおいて,全体どうし(総部分と総部    分〔③〕)の比較を行っている場合。

部分一部分:同一の箱内で部分と部分(単部分と単部分〔④と⑦〕または単部分と部分和    〔⑤と⑧〕)に着目して関係づけを行い,箱Aと箱Bにおいて,関係づけた値の比    較を行っている場合。

    または,箱Aと箱Bにおいて,部分どうし(単部分と単部分〔①〕)の比較を行    つた結果と,別の部分どうし(単部分と単部分または部分和と部分和〔②〕)の比    較を行った結果を関係づけている場合。

部分一全体:同一の箱内で部分と全体(単部分と総部分〔⑥と⑨〕)に着目して関係づけ    を行い,箱Aと箱Bにおいて,関係づけた値の比較を行っている場合。

    または,箱Aと箱Bにおいて,部分どうし(単部分と単部分〔①〕または部分和    と部分和〔②〕)の比較を行った結果と,全体どうし(総部分と総部分〔③〕)の    比較を行った結果を関係づけている場合。

2)比較の方略の観点

大小:数値の大小による比較を行っている場合。

 差:2量の差による比較を行っている場合。

1/2:「1/2」の境界線より大きい場合,小さい場合,等しい場合という判断による比較    を行っている場合。

割合:割合による比較を行っている場合。

(2)統制群の子供の記述した理由を分類するための基準

 統制群の調査においても,子供の記述した理由を参照したとき,着目の仕方に関して,

いくつかの識別可能な記述表現が見られた。

 そこで,各問題に対する子供の記述した理由を分類するために,あたりの数・はずれの 数・全体の数のどの関係に着目して比較をしたかという観点から,実験群と同様に基準を

定めた。

1)着目の仕方の観点

(ア)部分と全体に関する着目の仕方の観点

単部分:あたり・はずれという2つの部分のどちらかに着目した場合。

総部分:あたり・はずれという2つの部分を合わせた全体に着目した場合。

なお,複数の観点で着目している場合には,着目した部分の数を優先して分類した。

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(イ)「部分一部分」と「部分一全体」に関する着目の仕方の観点

 実験群と同様,「部分」・「全体」・「部分一部分」・「部分一全体」という4っの観点のた め,省略する。

2)比較の方略の観点

実験群と同様,「大小」・「差」・「1/2」・「割合」という4っの観点のため,省略する。

4.調査結果の分析と考察

(1)「2倍・1/2」の関係にある2量と比較の方略

 調査問題の数値の設定のための条件で述べたように,比較の方略として「1/2」の境界 線より大きい場合,小さい場合,等しい場合という判断(以下「1/2」)や,割合による 判断(以下「割合」)を行っている子供は,実験群では,問題1・問題2においては3人

(被験者A・被験者B・被験者C),問題3〜問題5においては2人(被験者A・被験者 B)であった。3人の被験者とも,「1/2」による比較は行わず,割合による比較を行っ

ていた。

 また,統制群で,こうした比較の方略を用いていた子供は,問題1においては1人(被 験者D),問題2においては1人(被験者E),問題3〜問題5においては0人であった。

2人の被験者とも,割合による比較は行わず,「1/2」による比較を行っていた。

 このことは,割合が未習時期であることを考えると当然のことであるが,実験群と統制 群のどちらにおいても,ほとんどの子供が大小や差といった方略を用いており,部分の数 に関わらず,期待していたような先の問題に対する解決方略が,後の問題に対して及ぼす 学習の効果は見られなかった。

 したがって,「部分一全体」に関して「2倍・1/2」の関係にある2量を扱うことは,

全体に着目した割合の考え方を構成させるために有効に作用しなかったと考えられる。し かし,実験群と統制群において着目の仕方については注目すべき差異が見られた。

(2)「部分一部分」から「部分一全体」への着目 1)部分と全体に関する着目の仕方

 子供の着目の仕方として,「部分」・「全体」・「部分一部分」・「部分一全体」の4通りが 考えられるが,子供が「部分一全体」に着目するためには,まず,全体に着目する必要が

ある。

 そこで,実験群と統制群において部分(単部分,部分和)と全体(総部分)に着目した 人数と,その百分率を各問題ごとに示すと,次頁の表2−12になる。

表2−12.実験群と統制群における部分と全体に関する着目の仕方の比較

〔問題1〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分率

単部分 11 34.4% 30 96.8%

部分和 4 12.5%

総部分 17 53.1% 1 3.2%

計 32 100% 31 100%

〔問題2〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分率

単部分 10 31.2% 30 96.8%

部分和 7 21.9%

総部分 15 46.9% 1 3.2%

計 32 100% 31 100%

〔問題3〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分率

単部分 12 37.5% 31 100%

部分和 8 25%

総部分 12 37.5% 0 0%

計 32 100% 31 100%

〔問題4〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分率

単部分 10 31.3% 29 93.5%

部分和 9 28.1%

総部分 13 40.6% 2 6.5%

32 100% 31 100%

〔問題5〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分率

単部分 10 31.3% 31 100%

部分和 9 28.1%

総部分 13 40.6% 0 0%

32 100% 31 100%

 表2−12より,全ての問題において,全体(総部分)に着目する割合は,実験群の方が統 制群よりも高いことが分かる。つまり,問題3を除く全ての問題において,実験群が全体

(総部分)に着目した割合は40%以上であるにも関わらず,統制群は全ての問題において,

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せいぜい1〜2人であった。すなわち,3つの部分の提示の方が,2っの部分の提示より も,全体(総部分)に着目しやすい提示であると言える。したがって,全体を構成する部 分の数を変化させたことは,全体(総部分)への着目に影響したと考えられる。

 また,実験群において,「部分和」に着目した子供がかなりいたことは予想外の発見で ある。「部分和」が,2っの部分を合わせて新しく1つの部分を作った場合であり,「部 分和」により新しい部分を作り出すことは,「部分一部分」の関係において問題を解決し

ようとする過程であると考えられる。したがって,「部分和」に着目した子供の割合が,

問題1を除き,20〜30%程度であることから,子供は,全体を構成する部分の数が変化し ても,「部分一部分」に着目することにかなり強い執着心があると考えられる。

2)「部分一部分」と「部分一全体」に関する着目の仕方

 全体への着目が,「部分一全体」への着目にも影響しているかを調べるために,実験群 と統制群において,「部分」・「全体」・「部分一部分」・「部分一全体」に着目した人数と,

その百分率を各問題ごとに示すと,以下の表2−13になる。

 なお,「部分和」により新しい部分を作り出すことが,「部分一部分」の関係において 問題を解決する過程であることを考慮して,「部分和」を部分として扱った。

表2司3。実験群と統制群におけるr部分一部分」と「部分一全体」に関する着目の仕方の比較

〔問題1〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分半

部分 9 28.1% 8 25.8%

全体 5 15.6% 0 0%

部分一部分 6 18.8% 22 71%

部分一全体 12 37.5% 1 3.2%

32 100% 31 100%

〔問題2〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分率

部分 9 28.1% 7 22.6%

全体 6 18.8% 0 0%

部分一回分 8 25% 23 74.2%

部分一全体 9 28.1% 1 3.2%

32 100% 31 100%

〔問題3〕 実験群 統制群 人数 百分率 人数 百分率

部分 11 34.4% 9 29%

全体 5 15.6% 0 0%

部分一部分 9 28.1% 22 71%

部分一全体 7 21.9% 0 0%

32 100% 31 100%

〔問題4〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分率

部分 9 28.1% 9 29%

全体 7 21.9% 1 3.2%

部分一部分 10 31.2% 20 64.6%

部分一全体 6 18.8% 3.2%

32 100% 31 100%

〔問題5〕 実験群 統制群

人数 百分率 人数 百分率

部分 9 28.1% 9 29%

全体 8 25% 0 0%

部分一部分 10 31.3% 22 71%

部分一全体 5 15.6% 0 0%

32 100% 31 100%

 表2−13より,全ての問題において,実験群の方は「部分一全体」に着目する割合が高く,

逆に,統制群の方は「部分一部分」に着目する割合が高いことが分かる。また,表中の「部 分一部分」と「部分一全体」に関してz2検定を行った結果,全ての問題において有意差 があった(問題1から1頂に,Z2=18.11,p〈.05,κ2=12.83,p〈.05,κ2=11。80,p

<.05,Z2=6.34, p〈.05,κ2=8.48, p〈.05)。したがって,全体を構成する部分の 数を変化させた(部分の数を3っにした)ことは,「部分一全体」への着目にも影響した

と考えられる。

 このことから,調査問題で用いたような3っの部分の提示をすることは,自ら全体の量 を作り出し,「部分一全体」の関係を意識して考えるきっかけになると考えられる。

 また,「割合のグラフ」では,全体の量(合計)は示されているが,2つ以上の部分を 扱っており,各部分の意味を理解するためには,「部分一全体」の関係を意識しなければ ならない内容となっている。したがって,調査問題で用いたような3つの部分の提示を経 験することで,割合の単元における「害1」合」や「百分半」の学習と「割合のグラフ」の学 習のつながりをスムーズにすることができると考えられる。

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