• 検索結果がありません。

細胞内・外 Ca 2+ 阻害時の細胞内 Ca 2+ 伝播と PKCα - DG の蛍光変化

ドキュメント内 九州大学大学院 工学府 機械工学専攻 (ページ 69-77)

第5章 局所力学刺激による細胞内 Ca 2+ 濃度上昇と PKCα のトランスロケーション

5.2 実験結果

5.2.7 細胞内・外 Ca 2+ 阻害時の細胞内 Ca 2+ 伝播と PKCα - DG の蛍光変化

Fig. 5-19~22はThapsigarginによって小胞体内のCa2+を枯渇させたときの実験 結果を示す.Ca2+濃度上昇は刺激を加えた細胞のみで起こり,隣接細胞への伝播 はしなかった(Fig. 5-19).PKCαは刺激位置と刺激位置に近い細胞膜で輝度の増 加が見られた(Fig. 5-21).Fig. 5-22はCa2+とPKCαの平均蛍光強度比を示す.

細胞外溶液からの Ca2+流入によって Ca2+濃度上昇が観察され,刺激位置におけ るCa2+蛍光の最大輝度はControlと有意な差はなかった.PKCαの最大蛍光輝度 は刺激位置,刺激位置近くの細胞膜でそれぞれ21.9 ± 2.0 s と7.8 ± 0.7 sのとき

に,2.11 ± 0.07と1.52 ± 0.07になった.最大輝度と時間は細胞膜よりも刺激位置

で有意に高く,遅かった.これはControlと同様にPKCαが二相性の反応をして いる可能性を示唆した.

Fig. 5-19 局所力学刺激によるCa2+輝度変化(Thapsigargin)

65

Fig. 5-20 局所力学刺激によるPKCα輝度変化(Thapsigargin)

Fig. 5-21 局所力学刺激によるPKCα輝度変化(Thapsigargin:差分画像)

66

Fig. 5-22 Ca2+とPKCαの蛍光輝度比グラフ(Thapsigargin,N=5,n=15)

67

Fig. 5-26~29に細胞外溶液のCa2+を除去したときの実験結果を示す.力学刺激

によってCa2+濃度上昇が見られた.しかし,Ca2+の増加はControlとThapsigargin 負荷時の実験に比べて有意に低かった.差分画像から刺激位置近くの細胞膜で PKCαの蛍光輝度が増加しているのが見られた(Fig. 5-28).この蛍光は8.1 ± 1.3 sで最大値1.38 ± 0.05に達した.細胞外のCa2+が除去されても,PKCαの1次反 応が起こることが示された.

Fig. 5-26 局所力学刺激によるCa2+輝度変化(Ca2+ free)

Fig. 5-27 局所力学刺激によるPKCα輝度変化(Ca2+ free)

68

Fig. 5-28 局所力学刺激によるPKCα輝度変化(Ca2+ free:差分画像)

Fig. 5-29 Ca2+とPKCαの蛍光輝度比グラフ(Ca2+ free,N=5,n=16)

69

5.2.8 蛍光変化からのマイクロピペットの

押し込み量と力の推定

PKCα-DGの蛍光変化からマイクロピペットの細胞への押し込み量と,細胞に

与えている力を推定した.細胞高さは10 μmと仮定した.微小変形による押し 込み量は,押し込みによる蛍光輝度比の変化から2.1 μm –3.7 μmと推定した.微 小変形による力(F)はHertz modelを用いて(2)式より算出した[92].

𝐹 =431−𝜈𝐸 2√𝑅𝛿3 (2)

ヤング率(E)は1.37 kPaとし,ポアソン比(ν)は0.37とした[93].本実験で はピペットの先端の直径は3 μmであることから半径Rは1.5 μmとした.(2) 式から本研究で加えた微小変形による力(F)は7.89-18.45 nNと推定された.

また,DGのみ(DG-MN1)を遺伝子導入した細胞に局所力学刺激を加え,刺

激後に細胞膜が創傷していないことを観察した(Fig. 5-30).さらに,Fig. 5-30B

のようにROI A,ROI B と領域を設定し,DG-MN1と Ca2+の輝度変化を測定し

た.DG-MN1 の蛍光は刺激前後で概ね同じであった(Fig. 5-31).Ca2+の輝度変

化からは,刺激位置の輝度(ROI A)が暗くなったのちにROI Bの輝度が暗くな

り,ROI BはROI Aより輝度の回復が早いことが観察された(Fig. 5-32).

Fig. 5-30 DG-MN1 導入細胞への局所力学刺激による蛍光変化.(A)刺激前,

(B)刺激中,(C)刺激後

70

Fig. 5-31 DG-MN1導入細胞への局所力学刺激によるDG-MN1の蛍光変化.

Fig. 5-32 DG-MN1導入細胞への局所力学刺激によるCa2+の蛍光変化

71

5.2.9 局所力学刺激時の PKC α1次・2次反応まとめ

本実験で得られたPKCαの1次反応と2次反応の有無を表としてまとめた.

Control,Thapsigargin の条件では1次・2次反応共に起こった.Go6976,細胞 外溶液Ca2+を除去(Ca2+ free)の条件では1次反応のみ起こった.Bryostatin, Gd3+の条件では1次・2次反応共に起こらなかった(Table. 5-1).

Table. 5-1 局所力学刺激時のPKCα 1次・2次反応まとめ

*Bryostatin :PKCαのDAG結合ドメイン阻害剤 Go6976 :PKCα阻害剤,RTK阻害剤

Gd3+ :Ca2透過性MSチャネル阻害剤 Thapsigargin:小胞体内Ca2+阻害剤

Ca2+ free :細胞外溶液Ca2+を除去 Initial translocation

(M near SP)

Secondary translocation

(Stimulate Point)

Control ○ ○

Bryostatin ― ―

Go6976 ○ ―

Gd3+ ― ―

Thapsigargin ○ ○

Ca2+ free ○ ―

ドキュメント内 九州大学大学院 工学府 機械工学専攻 (ページ 69-77)

関連したドキュメント