第6章 隣接細胞創傷時の二相性 PKCα トランスロケーションと細胞間情報伝達
6.2 実験結果
6.2.6 創傷箇所への細胞遊走
各阻害実験において,細胞創傷後の細胞遊走を観察した(Fig. 6-38~45).
Bryostatin負荷では創傷後1 時間,3 時間後に創傷側の細胞縁が収縮している
ことが確認された.細胞の遊走は観察されなかった.
Fig. 6-38 Bryostatin負荷時の隣接細胞創傷による細胞内PKCαトランスロケーシ
ョンと,その後の細胞遊走(A)創傷前(B)細胞創傷によるPKCαのトランス ロケーションは見られない(C)創傷後1 時間(D)創傷後3 時間.点線は創傷 前の細胞の輪郭を表す.×はマイクロピペットによる創傷箇所を示す.スケール バーは40 μm.
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Suramin負荷では創傷後にPKCαの2次反応が見られ(B:矢印),3 時間後
に創傷側に葉状仮足が伸びていることが観察された(D:矢印).
Fig. 6-39 Suramin負荷時の隣接細胞創傷による細胞内PKCαトランスロケーショ
ンと,その後の細胞遊走(A)創傷前(B)細胞創傷によるPKCαの2次反応(矢 印部位:差分画像)(C)創傷後1 時間(D)創傷後3 時間.点線は創傷前の細 胞の輪郭を表す.×はマイクロピペットによる創傷箇所を示す.スケールバーは 40 μm.
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GAP27負荷では創傷後にPKCαの2次反応が見られ(B:矢印),3 時間後に
創傷側に葉状仮足が伸びていることが観察された(D:矢印).
Fig. 6-40 GAP27負荷時の隣接細胞創傷による細胞内PKCαトランスロケーショ
ンと,その後の細胞遊走(A)創傷前(B)細胞創傷によるPKCαの2次反応(矢 印部位:差分画像)(C)創傷後1 時間(D)創傷後3 時間.点線は創傷前の細 胞の輪郭を表す.×はマイクロピペットによる創傷箇所を示す.スケールバーは 40 μm.
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Go6976負荷では創傷後にPKCαの1次反応が見られ,1 時間,3 時間後に
創傷側の細胞縁が収縮していることが確認されたが,細胞の遊走が観察されな かった.
Fig. 6-41 Go6976負荷時の隣接細胞創傷による細胞内PKCαトランスロケーショ
ンと,その後の細胞遊走(A)創傷前(B)細胞創傷によるPKCαの1次反応(差 分画像)(C)創傷後1 時間(D)創傷後3 時間.点線は創傷前の細胞の輪郭を 表す.×はマイクロピペットによる創傷箇所を示す.スケールバーは40 μm.
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Gd3+負荷では創傷後3 時間で創傷側の細胞縁が収縮したのが確認された
(Fig. 6-42 D 矢印).
Fig. 6-42 Gd3+負荷時の隣接細胞創傷による細胞内PKCαトランスロケーション
と,その後の細胞遊走(A)創傷前(B)細胞創傷によるPKCαのトランスロケ ーションは見られなかった(C)創傷後1 時間(D)創傷後3 時間.点線は創 傷前の細胞の輪郭を表す.×はマイクロピペットによる創傷箇所を示す.スケ ールバーは40 μm.
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18α-GA負荷では創傷後にPKCαの1次反応が見られ,1 時間,3 時間後に損 傷側の細胞縁が収縮していることが確認された.細胞の遊走が観察されなかっ た.
Fig. 6-43 18α-GA 負荷時の隣接細胞創傷による細胞内 PKCαトランスロケーシ
ョンと,その後の細胞遊走(A)創傷前,(B)細胞創傷による PKCα の 1 次反 応:差分画像,(C)創傷後1 時間,(D)創傷後3 時間.点線は創傷前の細胞の 輪郭を表す.×はマイクロピペットによる創傷箇所を示す.スケールバーは 40 μm.
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細胞外液のCa2+を除去した時では,創傷後 1 時間で細胞全体が収縮したのが 観察された.遊走は見られなかった.
Fig. 6-44 細胞外液のCa2+を除去した時の隣接細胞創傷による細胞内PKCαトラ
ンスロケーションと,その後の細胞遊走(A)創傷前(B)細胞創傷によるPKCα の1次反応(差分画像)(C)創傷後1 時間(D)創傷後3 時間.点線は創傷前 の細胞の輪郭を表す.×はマイクロピペットによる創傷箇所を示す.スケールバ ーは40 μm.
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Thapsigargin負荷時では創傷後PKCαの2次反応がみられ(B:矢印),3 時間 後に創傷領域側の縁が収縮しているのが確認できたが,細胞の遊走はみられな かった.
Fig. 6-45 Thapsigargin負荷時の隣接細胞創傷による細胞内PKCαトランスロケー
ションと,その後の細胞遊走(A)創傷前(B)細胞創傷によるPKCαの2次反 応(差分画像)(C)創傷後1 時間(D)創傷後3 時間.点線は創傷前の細胞の 輪郭を表す.×はマイクロピペットによる創傷箇所を示す.スケールバーは 40 μm.
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6.2.7 隣接細胞創傷時の細胞内 PKC α 1 次・ 2 次反応まとめ
本実験で得られたPKCαの1次反応と2次反応の有無を表としてまとめた.
Control では1次・2次反応共に観察された.Suramin,GAP27,Thapsigargin の 条件では2次反応が観察された.Go6976,18α-GA,Gd3+,細胞外溶液Ca2+を除 去(Ca2+ free)の条件では1次反応が観察された.Bryostatinの条件では1次・2 次反応共に起こらなかった(Table. 6-1).
Table. 6-1 隣接細胞創傷時の細胞内PKCα 1次・2次反応まとめ
*Bryostatin :PKCαのDAG結合ドメイン阻害剤 Go6976 :PKCα阻害剤,RTK阻害剤
Suramin :GPCR阻害剤(パラクライン作用阻害)
GAP27 :GAP結合阻害剤 18α-GA :ヘミチャネル阻害剤
Gd3+ :Ca2+透過性MSチャネル阻害剤 Thapsigargin:小胞体内Ca2+阻害剤
Ca2+ free :細胞外溶液Ca2+を除去
Initial translocation Secondary translocation
(near)
(near) (far)
Control ○ ○ ○
Bryostatin ― ― ―
Go6976 ○ ○ ―
Suramin ○ ○ ○
GAP27 ○ ○ ○
18α-GA ○ ○ ―
Gd3+ ○ ― ―
Ca2+ free ○ ― ―
Thapsigargin ○ ― ○