緩和ケアに関する意識調査﹂での︑﹁余命が一
i
二か月に限られていた場合の最期の過ごし方の希望﹂(図
4 )
では︑自宅で過ごしたいという人が八0
・一%にのぼるのに対し︑そのうちの六一・五%は﹁実現は難しいと思う﹂と答えている︒﹁難しい﹂と判断させる
要因は︑医療的問題と介護の問題が大部分であろうが︑一般の方々の希望は在宅での看取
りにあることがうかがえる︒同様のことは﹁末期ガンで余命が余命が限られている場合に
送りたい療養生活﹂(図
5 )
からも見てとれる︒
一 一 ・ 四
仏教ホスピス選動
115一一一一一第四章
自宅で過ごしたいか (性別、年齢層別)
80% 100%
余命が限られている場合、
図 4
0.2 0.2 0.2
0.5
0.5 40% 60%
20% 0%
9.1 全体
10.3 男性
女性
20ft 30代 40代 50代 60代
‑自宅で過ごしたいし、実現可能だと思う
・自宅で過ごしたいが、実現はむずかしいと思う 口自宅では過ごしたくない
ロ分からない
・無回答 70代以上
特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会 HPより (http://www.hospat.orglresearch‑202.html)
また︑多くの人が自分の最
後を自宅で過ごしたいと考え
ている理由については︑﹁残
された時間をどう過ごしたい
の回答にみるこ
か﹂
(図
6 )
とができる︒この中で一番高
い率(六
‑ 五
%)を示
した
のは﹁家族と過ごす時間を増
やしたい﹂という願いである︒
図
41
図
6
からわかることは︑願いと現実には栽離があ
る︑ということである︒自宅
で過ごしたいが過ごせないと
いうのが現実であり︑その理
由は﹁(物心両面において)
末期がんで余命が限られている場合に送りたい療養生活 (性別、年齢層別)
80% 1
∞ %
図5
60%
鐙A
‑最期まで自宅で療養したい
・自宅で療養し、必要になれば、これまで通っていた病院に入院したい 口自宅で療養し、必要になれば、 「ホスピス病棟」ゃ「緩和ケア病棟jに入院したい 園早い段階から、これまで通っていた病院に入院したい
図早い段階から 「ホスピス病棟」や「緩和ケア病棟」に入院したい 口分からない
・無回答
37.6 40.2
42.3 34.8
32.2 52.2 47.1 40% 20%
"
"
lIIIII !!!!l
‑ームI11III
111M I&I!I
通'
u
lBl lUI aJ 5U 1m g‑
~I0%
特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会 HPより (http://www . hospat. org/research‑207. html)
家 族 に 迷 惑 が か か る
﹂ ( 図
7)
というものであろう︒病
院に入院すれば家族と過ごす
時間が減り︑また大部屋へ入
院した場合には家族に伝えて
おきたいことをゆっくりと伝
えることができない︑という
仏教ホスピス運動
ように図
6
の調査結果に挙げられた願いも叶えることが難
しくなっていく︒
医療者も医療的な施術とア
ド バ イ ス の 専 門 家 で は あ る
が︑﹁家族に迷惑をかけたく
ない﹂という問題は解決が難
しい側面があり︑心理的・精
117一一一一一第四章
80
%
残された時間をどう過ごしたいか(複数回答) 20 40
61.5
。
ω54.9
52.2 42.9 24.8 家放と過ごす時簡を増やしたい
家族や周りの人に大切なことを伝え ておきたい
趣味や好きなことをして過ごしたい これまでと変わらない生活スタイルで
過ごしたい
仕事やこれまで取り組んできたことを 片付けたい
気が動転して、わからなくなると思う これまでできなかったことに挑戦
したい
生きる気力をなくすと思う 宗教について勉強したり、信仰を深め
たりしたい
図6
分からない その他
0.8
特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会 HPより (http://www.hospat.org/research‑209.html)
無回答
神的な支援を行︑つ専門的な立
場の人と協働しない限りは解
決できないと思われる︒この
ような場面において僧侶の役
割が求められているのではな
いだろうか(この点について
は後述する)︒
では余命がわずかになった
とき︑宗教者には何が求めら
れているのであろうか︒
これ
については﹁死に直面した場
合に心の支えになる人﹂(図
8 )
と﹁死に直面したとき︑
宗教は支えになるか﹂(図
の回答が参考となる︒
9
またはゆっくり死が理想と思う理由
20 80 100 一一‑‑‑,%
79.3 68.9 60
46.9
80.9
ぽっくり死、
図7
。
40 家族に迷惑をかけたくないから苦しみたくないから 寝たきりなら生きていても仕方ないから 痛みを感じたくないから 死期を知りたくないから きれいに死にたいから
dU100
F包
﹂日
︒
ら ら 答 か か 固 い い 鉦
⁝ た た ー レ
1U J V‑ き己
り 生 も 長 づ も 心 で の し 死 少
特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会 HPより (http://www . hospat. org/research‑211. html)
*図の題名は筆者による
まず︑図
8
の結果からは
﹁死に直面した場合に心の支
えになる人﹂として宗教者は
それほど高い位置を占めてい
ないことがわかる︒複数回答
でさえこのような現状である
‑ある日、心臓病などで突然死ぬ(N=726)
口(寝込んでもいいので)病気などで徐々に弱って死ぬ(N=243)
ことは︑後に図叩で示す一般
の方々との葬儀の意義の感覚
のずれとともに︑僧侶として
充分に認識しておく必要があ
しかしながら︑ る
﹁信仰する宗教があるという
ことは︑死に直面したときに 図
9
では心 の 支 え に な る と 思 い ま す
仏教ホスピス運動
119一一一一一第四章
死に直面した場合に心の支えになる人(複数回答)
o
20 40 60 80 1∞
% 77.4 配偶者
子ども 友人
図8
i ・
2∞
5年調査旦全堕到
ソーシャルワーカー
支えになる人はいない
特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会 HPより (http://www . hospat. org/research‑212. html)
か﹂という質問に対しては﹁わ
からない﹂と回答した人が四
三・四%いた一方で︑﹁なると
思う﹂と回答した人(三九・八
%)が﹁ならないと思う﹂と否
定した人三六・O%)を上回
って
いる
︒信仰する宗教が心の
支えになると考えている人は女
性に多く︑また年齢層が高いほ
ど多くなる傾向がみてとれる︒
すなわち︑﹁現状の宗教者には
期待はできない﹂が︑実は﹁自
分たちが死を間近にしたときに
心の支えとなって欲しい﹂とい
う潜在的な宗教に対する期待も
100%
│・なると思う・ならないと思う口分からない ・無回答│
特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会 HPより (http://www . hospat. org!research‑213. html)
死に直面したとき、宗教は心の支えになるか
20% 40% 60% 80%
図9
0% 全体
男性 女性 20代 30代
40代
50代
60代 70代以上
感じられるのである︒
仏教ホスピス運動
121 第四章
一 一
・五﹁仏教ホスピス運動﹂H﹁ビハlラ﹂の登場
ピハ
lラ(︿医削片山)とはサンスクリット語で︑仏教またはジャイナ教の僧侶の宿舎や
道場を意味する︒一九八五年︑田宮仁氏叫によって︑西洋的な語との複合語であった﹁仏
教ホスピス﹂に代わることばとして提唱された︒田宮氏によれば︑ピハ
l
ラとは仏教を背景としたターミナルケア施設の呼称でありで﹁ターミナルケアの問題に対し︑仏教の立
場から日本的な﹁看取り﹂のあり方を提示し︑実証していくこと﹂刊の必要性を強く感じ
てこの語を提唱したという︒
その後仏教界でも﹁ピハ
l
ラ﹂は広がりをみせ︑それにまつわる活動や研修も種々行われてきた︒谷山洋三氏によればそれらの活動は︑狭義(提唱時の原義)・広義・最広義の
三つに定義することができる刊(例は筆者によ
る)
︒
{狭義︼﹁仏教を基礎としたターミナルケア活動及びその施設﹂
例一長岡西病院ピハ1ラ病棟︑佼成病院緩和ケア内科︑あそかピハ
l
ラク
リニ
ック
︻広義}﹁老病死を対象とした︑医療及び社会福祉領域での︑仏教者による活動及びその施
日鼠
﹂
例一浄土真宗本願寺派のピハ
l
ラ活動︑日蓮宗のピハl
ラ・ネットワークNPO
法人ピハlラ幻︑社会慈業委員会(ひとさじの会)︑等{最
広義
}﹁
災
害援助︑青少年育成︑文化事業など﹃いのち﹄を支える︑または
についての思索の機会を提供する︑仏教者を主体とした社会活動﹂
例一浄土宗平和協会︑財団法人報思明照会による﹁いのちの電話﹂の活動︑全国青少年
教化協議会︑浄土宗膳典院︑アlユス仏教国際協力ネットワーク等
( N V N
)
︑﹃い
のち
﹄
﹁ピハlラ﹂が﹁仏教ホスピス﹂に代わることばとして提唱された当初の意図を具現化
した施設︑つまり狭義の意味の実践を行っている施設は三
か所ある旬以下︑その
三施設
について考察していく匂
一 一 一 .
実践施設の概観
本論で概観する施設は︑①
医 療 法 人 崇 徳 会 長 岡 西 病 院 五 階 東
(ピ
ハ
l
ラ)病棟(以下︑
長岡
西病
院)
︑
②
財団法人大日本仏教慈善会財団あそか第
二診
療 所 あ そ か ピ ハ
l
1 2 3
第四章仏教ホスピス遼動ラクリニック(以下︑あそかピハl
ラク
リニ
ック
)︑
③立正佼成会付属佼成病院緩和ケア
内科ピハ
l
ラ病棟(以下︑佼成病院)の三施設である︒これらの施設に関して︑(こ概要︑(