日本人は古代から今にいたるまで﹁かなしみ﹂を主題とする歌や物語に慣れ親し
んでいる︒著者は﹁悲しみの感情や涙﹂は決して否定的なものだけでなく︑心を
耕して︑他者への理解を深め︑すがすがしく明日を生きるエネルギー源となると
の主張を行い︑﹁かなしみの復権﹂を提唱する︒
吉原浩人編﹃東洋における死の思想﹄
(春
秋社
︑二
OO
六年 )
ヒンドゥl教・仏教・儒教・道教・キリスト教・イスラムなどの東洋の諸宗
教に
おいて死がどのように語られてきたか︑その教義と歴史を解説する︒曽根宣雄
﹁ターミナルケアと宗教﹂を収録する︒
林望﹃往生の物語│死の万華鏡﹃平家物語
﹄ ﹄
(集
英社
新 書 ︑
ニ
OOO
年)﹁平家物語﹄を死の大文学としてとらえて︑その主要な登場人物
一 一
人の様々な
最期に焦点を当て︑死と向き合うためのヒントを先人達に学ぶ︒
•
193 資 料 編 文 献 案内
宗
教 と
医 療
•
ジヨナサン・ワッツ︑戸松義晴編﹃寄り添いの死生学│外国人が語る︒浄土ψの魅
力
│﹄(浄土宗出版︑二
O
二 年 )
本書は主として外国人の視点から﹁ネパlダイアロlン(私たちは決して独りで
死を迎えるべきではないとをテ
lマに︑史実に基づいた記述を︑現代に生きる
私たちの人生に照らし合わせながら浄土教のレンズを通して考え︑死を迎えるに
あたって必要な準備と実践を提案する︒
宮崎幸枝
﹃お浄土があってよかったね│医者は坊主でもあれ
﹄
(樹
心社
︑ニ
OO
八
年)
医師であり︑篤信の真宗門徒でもある著者によ
るエ
ッセ
イ
︒一般に︑宗教者が病
棟内で患者へ特定宗派の教義を説くことは忌避されがちである︒ところが︑筆者
は自らの信念・信仰にもとづいて積極的に浄土教の思想内容を伝えることによっ
て︑患者とのコミュニケーションをとってゆく︒また︑遺言として辞世の歌を作
成するなど様々にユニークなアイデアが披露されている︒
•
•
山折哲雄他﹃日本人と﹁死の準備﹂│これからをより良く生きるために﹄
(角
川
S
SC
新書
︑二
OO
九年 )
本書の前半は近年自らの﹁死﹂をテ
l
マとした著作を多数発表している宗教学者としての立場から死生観について述べている︒後半は総本山知恩院が発行する機
関誌﹃知恩﹄と悌教大学四条センターの共同企画﹁よく生きるための﹃死の準
備﹄講座﹂の連載を抜粋したもので執筆陣に多彩な顔ぶれがならぶ︒
与芝
真彰﹃医師と僧侶の狭間を生きる│智慧と慈悲こそが医療を救う﹂
(悠
飛社
︑
ニ O
O
七年)
医師(昭和大学藤が丘病院長)であり︑浄土宗僧侶でもある筆者が目指す仏教精
神に根ざした医療の必要性を説く︒
林茂一郎・田中雅博編﹃宗教と終末医療﹄
( ア
lユスの森新
書 ︑
二
OO
九年 )
死にゆく人を孤独にさせない看取りを行うために︑宗教は何ができるのか︒医
師︑仏教セラピスト︑看護師などさまざまな活動現場を持つ僧侶たちが︑終末期
医療における宗教の役割について論じている︒