治験の標題:
若年成人1及び高齢の1型糖尿病患者を対象としたNN54012の薬力学的反応の検討試験 治験責任医師名:
治験実施施設:
, Austria.
公表文献(引用文献):
なし(総括報告書作成時)
治験期間:
2010年8月3日~2010年11月5日
開発のフェーズ:
第1相
目的:
主要目的:
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、インスリン デグルデク/インスリン アスパルト
(IDegAsp)の薬力学的反応〔投与後0~24時間におけるグルコース注入速度(GIR)推移曲線下面積
(AUCGIR,0-24h,SD)に基づく〕を検討する。
副次的目的:
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、IDegAsp及び二相性インスリンアスパルト30(BIAsp 30)の薬力学的作用プロファイルの特性を検討する。
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、IDegAsp(IDeg及びIAsp)及びBIAsp 30(IAsp)の 薬物曝露量を検討する。
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、IDegAsp(IDeg及びIAsp)及びBIAsp 30(IAsp)の 薬物動態プロファイルの特性を検討する。
IDegAsp及びBIAsp 30の薬物動態及び薬力学的作用の特性を、2つの年齢の異なる集団間でそれぞれ比
較する。
薬物動態及び薬力学的作用の特性に対する年齢の影響を、IDegAsp及びBIAsp 30間でそれぞれ比較す る。
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、IDegAsp及びBIAsp 30の安全性及び忍容性を評価す る。
治験方法:
本治験は、若年成人(18~35歳)及び高齢(65歳以上)の1型糖尿病患者を対象として、IDegAsp及び
BIAsp 30の薬力学的作用及び薬物動態の特性を検討する、無作為割り付け、1施設、二重盲検、単回投与、
クロスオーバー試験であった。
各被験者は、来院間隔を設けた2回の投与来院を行い、規定された固定用量(0.5単位/kg)で2回の単回投
1:治験実施計画書(原著)における治験の標題に対する修正:「young」をICHの用語に従い
「younger adult」とする。
2:治験の標題に用いられているNN5401は、プロジェクト番号であり、インスリン デグルデク/イン スリン アスパルト(IDegAsp)と同義である。
与(IDegAsp及びBIAsp 30)を受けるよう無作為割り付けされた。本治験は、10回の来院により構成され た〔スクリーニング来院、2回の投与期間(来院2~5及び来院6~9)及び事後調査来院〕。治験薬の投与 はそれぞれ来院2及び6に実施された。2回の治験薬投与の間に7~21日間のwash-out期間を設けた。
2回の投与来院/グルコースクランプのための来院(来院2及び6)で、被験者はそれぞれ治験薬の投与後 48時間、又は治験責任医師が必要と判断した場合はそれ以降も入院した。薬物動態は、IDegの解析のため には投与後120時間まで、IAspの解析のためには投与後24時間(BIAsp 30投与後)又は12時間(IDegAsp 投与後)まで収集した血液サンプルを用いて評価した。しかしながら、本治験は二重盲検試験であるた め、いずれの投与来院においても、すべての被験者で投与後120時間まで薬物動態の評価のための採血を 実施した。薬力学的反応は26時間グルコースクランプ〔グルコース濃度を一定とするためにグルコース注 入量をコントロールする手法。目標血中グルコース濃度:5.5 mmol/L(100 mg/dL)〕を用いて評価した。
被験者は、最終投与後48時間に退院し、その後、治験薬投与後72、96及び120時間に来院(それぞれ、来
院3~5及び来院7~9)し、血清中IDeg濃度測定とグルコース濃度測定のための採血を行った。
各被験者の治験期間は、合計17~64日間であった。スクリーニング来院は最初の治験薬の投与前2~21日 に実施された。事後調査来院は最終治験薬投与後7~21日に実施された。
計画及び解析された被験者数:
計24例の被験者(若年成人被験者12例及び高齢被験者12例)が治験を完了するよう計画された。39例が スクリーニングを受け、28例(若年成人被験者13例及び高齢被験者15例)が無作為割り付けされ、すべ ての被験者が治験を完了した。治験薬の投与を受けたすべての被験者が、最大の解析対象集団〔full analysis set(FAS)〕及び安全性解析対象集団に含められた。
診断及び主要な組入れ基準:
年齢18以上35歳以下(若年成人被験者)又は65歳以上(高齢被験者)、糖尿病罹病期間12ヵ月以上、
HbA1c10.0%以下、BMI(kg/m2)18.0以上28.0以下の1型糖尿病患者男女。
主な除外基準は、悪性腫瘍又は心疾患の既往を有するもしくは併発している被験者、スクリーニングにお ける仰臥位血圧が収縮期90~140 mmHg又は拡張期50~90 mmHgの範囲から逸脱する被験者、重大な低血 糖を繰り返し発現する又は無自覚低血糖被験者及び喫煙者であった。
被験薬、用量及び投与方法、ロット番号:
IDegAsp(F):3 mL Penfill®カートリッジ(100単位/mL)
0.5単位/kgのIDegAsp(F)を大腿部前面の皮膚をつまみ上げて皮下投与した。
ロット番号:XCQ0011
投与期間:
2回の投与来院において、IDegAsp及びBIAsp 30の単回投与がそれぞれ1回実施された。
対照薬、用量及び投与方法、ロット番号:
BIAsp 30(NovoMix®30):3mL Penfill®カートリッジ(100単位/mL)
0.5単位/kgのBIAsp 30を大腿部前面の皮膚をつまみ上げて皮下投与した。
ロット番号:XQ50637
評価基準:有効性 薬力学的作用
GIR
血漿中グルコース濃度(PG)
薬物動態
IDegAsp投与後の血清中IDeg濃度
IDegAsp又はBIAsp 30投与後の血清中IAsp濃度
評価基準:安全性
有害事象
安全性に関する臨床検査項目(血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査及び血液凝固因子)
身体所見
バイタルサイン
心電図
低血糖
統計手法:
薬力学的作用及び薬物動態の解析はFASに基づき実施された。FASには無作為割り付けされたすべての被 験者を含めた。安全性の解析は安全性解析対象集団に基づき実施した。安全性解析対象集団には、少なく とも1回の被験薬又は対照薬の投与を受けたすべての被験者を含めた。
薬力学的作用に関するプライマリーエンドポイントの解析
プライマリーエンドポイントはAUCGIR,0-24h,SDであり、各被験者のIDegAsp投与後のGIR推移プロファイル より算出された。AUCGIR,0-24h,SDは、スムージング化されたGIR推移曲線下面積として、線形台形法によっ て算出した(補間された点を使用)。評価区間の終わりに欠測値がある場合及びインスリン作用発現後に 血中グルコース濃度の上昇(グルコースエスケープ)がみられた場合、last observation carried forwardを用 いた。インスリン作用発現前にグルコースエスケープがみられた場合、AUCGIR,0-24h,SDは算出しなかった。
対数変換したIDegAspのAUCGIR,0-24h,SDは、年齢群(若年成人/高齢)及び期間(1期/2期)を固定効果と して含めた線形モデルを用いて解析した。
薬力学的作用に関するセカンダリーエンドポイントの解析
各被験者のIDegAsp投与後のGIR推移プロファイルより算出される薬力学的作用に関するセカンダリーエ ンドポイント:単回投与後のGIR推移曲線下面積(AUCGIR,SD)〔投与後0~26時間、0~12時間、0~6時 間、0~2時間及び0~24時間(BIAsp 30のみ)〕、最大GIR(GIRmax,SD)、GIRmax,SD到達時間
(tGIRmax,SD)、作用発現時間(血中グルコース濃度が、治験薬投与開始時のベースライン値から少なくと
も5 mg/dL低下するまでの時間)及び単回投与後24時間における最後の10分間の平均血漿中グルコース濃
度(PG24h,SD)
薬力学的作用に関する主要なセカンダリーエンドポイントであるBIAsp 30のAUCGIR,0-24h,SDは、対数変換し プライマリーエンドポイントと同様の方法で解析した。
さらに、製剤と年齢の交互作用を検討するため、対数変換した薬力学的作用に関するセカンダリーエンド ポイントであるAUCGIR,0-24h,SD及びGIRmax, SDを、製剤(IDegAsp/BIAsp 30)、年齢群(若年成人/高齢)、
製剤と年齢群の交互作用及び期間(1期/2期)を固定効果、被験者を変量効果として含めた線形混合モデ ルを用いて解析した。本モデルでは、被験者内及び被験者間の誤差に独立性を仮定した。
薬力学的作用に関するその他のセカンダリーエンドポイントについては、製剤別及び年齢群別に記述統計 量で要約した。
薬物動態に関するセカンダリーエンドポイントの解析
単回投与後のインスリン濃度推移曲線より算出される薬物動態に関するセカンダリーエンドポイント:
IDegAsp投与後のIDegについて:単回投与後のAUCIDeg,SD(投与後0~120時間、0~無限大時間及び0~24 時間)、IDegの平均滞留時間(MRTIDeg,SD)、IDegの見かけの血清クリアランス(CL/FIDeg,SD)、IDegの終 末相で推定された見かけの分布容積(VZ/FIDeg,SD)、AUCIDeg,0-inf,SDに対する最終測定時点(tz)~無限大時 間における血清中インスリン濃度推移曲線下面積の割合(%)(AUCIDeg,extrap%,SD)及びAUCIDeg,extrap%,SDが 20%を超えるか否か(AUCIDeg,extrap%,SD>20%)
IDegAsp及びBIAsp 30投与後のIAspについて:単回投与後のAUCIAsp,SD〔投与後0~2時間、0~6時間、0
~12時間、0~24時間(BIAsp30のみ)及び0~無限大時間〕及びonset of appearanceIAsp
IDeg及びIAspについて:最高血清中インスリン濃度(Cmax,SD)、Cmax,SD到達時間(tmax,SD)、消失半減期
(t1/2,SD)及び終末相における速度定数(z,SD)
薬物動態に関する主要なセカンダリーエンドポイントであるAUCIDeg,0-120h,SD、AUCIAsp,0-12h,SD及びAUC
IAsp,0-24h,SDは、対数変換しプライマリーエンドポイントと同様の方法である年齢群(若年成人/高齢)及び期間
(1期/2期)を固定効果として含めた線形モデルを用いて解析した。IDegAsp及びBIAsp 30でそれぞれ解 析した。
薬物動態に関するその他のセカンダリーエンドポイントについては、製剤別及び年齢群別に記述統計量で 要約した。
治験期間を通じて、被験者番号20(高齢被験者群)の血清中IDeg及びIAsp濃度、ならびに被験者番号4
(若年成人被験者群)のBIAsp 30投与後の血清中IAsp濃度が、他の被験者と比較しきわめて高かった。薬 物動態プロファイル及び解析結果に対する影響を検討するため、これら2例の被験者を除外した感度分析 をそれぞれ実施した。その結果、被験者番号20は高齢被験者群の薬物動態の結果に大きな影響を及ぼすと 考えられた。よって、当該被験者を除外した場合の影響を評価するために、追加の感度分析として薬物動 態に関するエンドポイントについて記述統計量を算出した。被験者番号20を除外した感度分析の詳細は、
総括報告書に記載されている。
安全性に関するセカンダリーエンドポイントの解析
以下に示す安全性に関するセカンダリーエンドポイントは、一覧表を作成し、記述統計量で要約した:有 害事象、安全性に関する臨床検査項目(血液学的検査、血液生化学的検査、血液凝固因子及び尿検査)、
身体所見、バイタルサイン、心電図及び低血糖
被験者背景:
無作為割り付けされ、治験薬の投与を受けた28例のうち、10例(35.7%)が女性で18例(64.3%)が男性 であった。2つの年齢群の男性及び女性の分布は同様であった。28例はすべて白人であり、平均年齢は、若 年成人被験者群で25.4歳(範囲:19~33歳)及び高齢被験者群で68.2歳(範囲:65~79歳)であった。
BMIは2つの年齢群で同様であった。ベースラインのHbA1cの平均は、若年成人被験者群で7.4%(範囲:
5.5~9.2%)及び高齢被験者群で7.5%(範囲:6.4~9.6%)であった。
有効性の結果及び結論:
薬力学的作用に関するエンドポイント
IDegAspの薬力学的反応(AUCGIR, 0-24h, SDに基づく)は、若年成人被験者群及び高齢被験者群で同様であ り、平均の比(高齢被験者群/若年成人被験者群)の推定値及び95%信頼区間は1.01 [0.69; 1.47]であっ た。
BIAsp 30の薬力学的反応(AUCGIR, 0-24h, SDに基づく)は、若年成人被験者群及び高齢被験者群で同様であ り、平均の比(高齢被験者群/若年成人被験者群)の推定値及び95%信頼区間は0.99 [0.67; 1.46]であっ た。
AUCGIR, 0-24h, SD及びGIRmax, SDに対する年齢の影響について、IDegAsp及びBIAsp 30間で統計的な違いは
みられなかった(それぞれ、p=0.75及びp=0.25)。
IDegAspでは、平均GIR推移プロファイルは若年成人被験者群及び高齢被験者群で同様であった。BIAsp
30では、GIRmax,SDは若年成人被験者群でわずかに大きかったが、平均GIR推移プロファイルの形状は若
年成人被験者群及び高齢被験者群で同様であった。
高齢被験者群及び若年成人被験者群いずれについても、作用発現時間及び投与後の4時間までの平均 GIR推移プロファイルの形状はIDegAsp及びBIAsp 30間で同様であった3。なお、GIRmax,SDはIDegAspで 小さかった。この時点以降の26時間GIR推移プロファイルの形状は、いずれの年齢群においても IDegAsp及びBIAsp 30間で違いがみられた。IDegAspは、Bolus画分及びBasal画分が明確に区別され、
3:本治験は単回投与試験であることに留意すべきである。定常状態では、きわめて長い作用を持つ
IDegAspのBasal画分(IDeg)がbuild-upすることから、IDegAspのGIRmax及び一般的な血糖降下作用
はより大きく、作用持続時間はより長いと考えられる。