治験の標題:
1型及び2型糖尿病患者を対象としたinsulin 454とインスリン グラルギン(IGlar)の薬力学的作用及び薬 物動態の比較:無作為割り付け、二重盲検、単回投与、6期クロスオーバーによる用量反応試験
治験責任医師名:
治験実施施設:
, Germany 公表文献(引用文献):
なし 治験期間:
2006年8月29日~2006年11月27日
開発のフェーズ:
第1相
目的:
主要目的:
1型及び2型糖尿病患者を対象として、薬力学的反応における用量反応性を臨床用量範囲内のinsulin 454
及びIGlar間で比較し、2製剤間のモル用量比を推定する。
副次的目的:
Insulin 454及びIGlarの薬力学的作用及び薬物動態の特性を比較する。
Insulin 454の安全性プロファイル及び局所忍容性を評価する。
治験方法:
本治験は、1型及び2型糖尿病患者を対象とし、insulin 454及びIGlarの用量反応性を比較し、2製剤間の モル用量比を推定することを目的とした、無作為割り付け、二重盲検、1施設、6期クロスオーバー試験 であった。
スクリーニング後、被験者は18通りの投与順序の1つに無作為に割り付けられ、3用量のinsulin 454(1 型:2.6、5.2及び10.4 nmol/kg、2型:3.5、7.0及び14.0 nmol/kg)及びIGlar(1型:1.8、3.6及び7.2 nmol/kg、2型:2.4、4.8及び9.6 nmol/kg)の投与を6回の投与来院でそれぞれ受けた。
6回の投与来院の間にはそれぞれ7~21日間のwash-out期間を設けた。
各投与来院には、治験薬投与4~6時間前より、被験者の血中グルコース濃度を一定〔グルコースクラン プレベルの目標値:90 mg/dL(5.0 mmol/L)〕に保つため、グルコース及び速効型ヒトインスリン
(Actrapid®)の静脈内持続注入を行った。グルコースクランプは、治験薬投与後24時間又はグルコース
注入が30分以上なく、血中グルコース濃度が160 mg/dL(8.9 mmol/L)を超えた場合のいずれか早い時 点で終了した。
被験者は、治験薬投与後24時間以降30時間まで空腹状態を保った。この期間(6時間)に血糖値が70 mg/dL(3.9 mmol/L)付近又は以下に達した場合、被験者は糖質を1回以上(1回あたり10 g)経口摂取 することとした。
治験薬投与開始前及び投与後96時間まで、血清中insulin 454濃度、血漿中IGlar濃度、血清中遊離脂肪 酸(FFA)濃度、血清中Cペプチド濃度(2型糖尿病患者のみ)及び血糖値測定のための採血を行っ た。
有害事象、身体所見、バイタルサイン、心電図、臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検査、尿検 査、凝固パラメータ及び脂質検査)、グルコースクランプ後の血糖値、低血糖及び注射部位の局所忍容 性を安全性評価項目とした。
計画及び解析された被験者数:
グルコースクランプで計200回以上の完了データを得るため、1型及び2型糖尿病患者各20例の無作為割 り付けが計画された。1型糖尿病患者の全例(20例)及び2型糖尿病患者18例が治験を完了した。2例の2 型糖尿病患者が1回目の投与来院終了後に治験を中止した。40例すべての被験者を、薬力学的作用、薬物 動態及び安全性の解析に含めた。
診断及び主要な組入れ基準:
年齢18歳以上69歳以下、HbA1c10%以下、インスリン治療中(投与量:1.2単位/kg/日以下)の男性1型又 は2型糖尿病患者(罹病期間:12ヵ月以上)。ただし、1型糖尿病患者はインスリン治療期間12ヵ月以 上、BMI(kg/m2)18以上27以下及び空腹時Cペプチド0.3 nmol/L未満の被験者、2型糖尿病患者はイン スリン治療期間3ヵ月以上、BMI(kg/m2)22以上35以下及び空腹時Cペプチド1.0 nmol/L未満の被験者 に限る。
被験薬、用量及び投与方法、ロット番号:
Insulin 454:1.5 mL カートリッジ(1200 nmol/mL、 /6 insulin 454)
1型糖尿病患者:2.6、5.2及び10.4 nmol/kg、2型糖尿病患者:3.5、7.0及び14.0 nmol/kg
注射針(29ゲージ、長さ12.7 mm)付きBecton-Dickison MicroFineTM注入器(1000 L)を用いて大腿部に 単回皮下投与した。
ロット番号:SLDP002 投与期間:
3用量(低、中、高用量)のinsulin 454及びIGlarの単回投与(計6回)。各投与来院の間には7~21日間 のwash-out期間を設けた。
対照薬、用量及び投与方法、ロット番号:
IGlar(Lantus):3.0 mL カートリッジ〔100単位/mL(600 nmol/mL)〕
1型糖尿病患者:1.8、3.6及び7.2 nmol/kg、2型糖尿病患者:2.4、4.8及び9.6 nmol/kg
注射針(29ゲージ、長さ12.7 mm)付きBecton-Dickison MicroFineTM注入器(1000 L)を用いて大腿部に 単回皮下投与した。
ロット番号:40E249
評価基準:有効性 薬力学的作用
治験薬投与後の24時間グルコースクランプにおけるグルコース注入速度(GIR)
血中グルコース濃度
血清中Cペプチド濃度(2型糖尿病患者のみ)
血清中FFA濃度
投与後24時間以降30時間までに低血糖発現回避のために糖質の経口摂取を行った回数 薬物動態
3用量(低、中及び高用量)のinsulin 454及びIGlar単回投与後96時間までの血清中insulin 454及び血漿 中IGlar濃度
評価基準:安全性
有害事象、身体所見、バイタルサイン、心電図、臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査、
凝固パラメータ及び脂質検査)、グルコースクランプ終了後の血糖値、低血糖及び注射部位の局所忍容性 統計手法:
プライマリーエンドポイント
投与後0~24時間におけるGIR推移曲線下面積(AUCGIR,0-24h)
AUCGIR,0-24hの用量反応性は、対数変換したAUCGIR,0-24hを従属変数、来院(投与時期)及びインスリン製剤 と用量の交互作用を固定効果、被験者を変量効果として含めた分散分析を用いて評価した。投与時期の効 果が有意でない場合は、投与時期の効果をモデルから除いた。その後、2製剤において、対数変換後の
AUCGIR,0-24hの対数変換後の用量に対する用量反応が直線(2製剤が平行でなくてもよく、また同様の切片を
持つ必要もない)を示すかを検討した。2製剤の対数変換後のAUCGIR,0-24hの用量反応が直線で表現できる 場合、最終的には、2製剤の用量反応が平行であるかを検討した。平行であった場合は、効力比(モル用量 比)をexp((βI454– βIGlar)/γ)で算出した。このとき、βは用量反応性の切片、γはinsulin 454及びIGlarの用量 反応性の共通の傾きである。モデルの減少の検定においては、有意水準を1%以下とした。
セカンダリーエンドポイント GIRに関するエンドポイント
最大GIR:GIRmax
最大GIR到達時間:tGIRmax
投与後0~6時間におけるGIR推移曲線下面積:AUCGIR,0-6h
投与後0~12時間におけるGIR推移曲線下面積:AUCGIR,0-12h
投与後12~24時間におけるGIR推移曲線下面積:AUCGIR,12-24h
投与後12~24時間と投与後0~24時間のGIR推移曲線下面積の比:AUCGIR,12-24h/AUCGIR,0-24h
GIRmaxを24時間の平均AUCGIR,0-24h(AUCGIR,0-24h/1440)で除した値:GIRmax/average GIR
AUCGIR,0-24hの75%に到達する時間:t75%,AUCGIR,0-24h
AUCGIR,0-24hの50%に到達する時間:t50%,AUCGIR,0-24h
AUCGIR,0-24hの25%に到達する時間:t25%,AUCGIR,0-24h
AUCGIR,0-24hの25%からAUCGIR, 0-24hの75%に到達するまでに要した時間:t75%,AUCGIR,0-24h- t25%,AUCGIR,0-24h
スムージング化されたGIR推移プロファイルでGIRmaxの50%を超えた時間の合計:tGIR>50% GIRmax
スムージング化されたGIR推移プロファイルで1 mg/kg/分を超えた時間の合計:tGIR>1 mg/kg/min
スムージング化されたGIR推移プロファイルで2 mg/kg/分を超えた時間の合計:tGIR>2 mg/kg/min
血清中Cペプチド濃度に関するエンドポイント
投与後30時間までのベースラインで調整したCペプチド推移曲線上面積:AOCC-peptide,0-30h
最低血清中Cペプチド濃度:C-peptidemin
ベースラインで調整した最低血清中Cペプチド濃度:C-peptidemin,baseline-adjusted
C-peptidemin到達時間:tC-peptidemin
血清中Cペプチド濃度がベースライン値に復した時間:tC-peptidebaseline
血清中FFA濃度に関するエンドポイント
投与後30時間までのベースラインで調整したFFA推移曲線上面積:AOCFFA,0-30h
最低血清中FFA濃度:FFAmin
ベースラインで調整した最低血清中FFA濃度:FFAmin,baseline-adjusted
FFAmin到達時間:tFFAmin
血清中FFA濃度がベースライン値に復した時間:tFFAbaseline
糖質の経口摂取に関するエンドポイント
投与後24時間以降30時間までに低血糖発現回避のために糖質の経口摂取を行った回数:Noral carbohydrate
薬物動態に関するエンドポイント
投与後0~無限大時間における血清中insulin 454/血漿中IGlar濃度推移曲線下面積:AUCins,0-inf
投与後0~96時間における血清中insulin 454/血漿中IGlar濃度推移曲線下面積:AUCins,0-96h
投与後0~24時間における血清中insulin 454/血漿中IGlar濃度推移曲線下面積:AUCins,0-24h
投与後0~12時間における血清中insulin 454/血漿中IGlar濃度推移曲線下面積:AUCins,0-12h
投与後0~6時間における血清中insulin 454/血漿中IGlar濃度推移曲線下面積:AUCins,0-6h
投与後12~24時間における血清中insulin 454/血漿中IGlar濃度推移曲線下面積:AUCins12-24h
投与後12~24時間と投与後0~24時間の血清中insulin 454/血漿中IGlar濃度推移曲線下面積の比:
AUCins,12-24h/AUCins,0-24h
最高血清中insulin 454/血漿中IGlar濃度:Cmax
Cmax到達時間:tmax
消失半減期:t1/2
AUCins,0-infの50%に到達する時間:t50%,AUC
見かけのクリアランス:CL/F
平均滞留時間:MRT
見かけの分布容積:Vz/F
薬力学的作用に関するセカンダリーエンドポイントであるGIRmax、AOCFFA,0-30h、FFAmin,baseline-adjusted及び薬物 動態に関するセカンダリーエンドポイントであるAUCins,0-inf、Cmaxは、プライマリーエンドポイントと同様 の分散分析を用いた方法で評価した。AOCFFA,0-30h及びFFAminは対数変換を行わずに、GIRmax、AUCins,0-inf及 びCmaxは対数変換後に解析を行った。GIRmax、AOCFFA,0-30h及びFFAminは、プライマリーエンドポイントと 同様にモデル減少の可否を評価した。AUCins,0-inf及びCmaxについて、用量反応性が対数変換後の用量に対し て直線(2製剤で平行でなくてもよく、また同様の切片を持つ必要もない)で表現できるか否かを検討する ために、最初の2つのモデル減少に関する検定を行った。さらに、対数変換後の用量に対する用量反応直 線の傾きが1であるかどうかを2つのインスリン製剤についてそれぞれ評価し、選択した用量範囲内での薬 物動態の線形性を検討した。Noral carbohydrateは、時期及びインスリン製剤と用量の交互作用を固定効果、被験 者を変量効果として含めた負の二項分布モデルを用いて評価した。その他のセカンダリーエンドポイント については記述統計量を求めた。
被験者背景:
男性1型糖尿病患者20例はすべてコーカシアンであった。平均年齢37歳(範囲:20~52歳)、平均体重 74 kg(範囲:54~90 kg)、平均BMI(kg/m2)24.1(範囲:20.0~26.8)、平均HbA1c7.9%(範囲:6.7~
9.6%)、Cペプチド0.09 nmol/L以下及び平均糖尿病罹病期間21年(範囲:9~36年)であった。
男性2型糖尿病患者20例のうち、1例の黒人を除く19例がコーカシアンであった。平均年齢56歳(範 囲:39~68歳)、平均体重93 kg(範囲:63~108 kg)、平均BMI(kg/m2)29.6(範囲:22.1~34.2)、平 均HbA1c7.7%(範囲:6.1~9.1%)、平均Cペプチド0.46 nmol/L(範囲:0.01未満~1.15 nmol/L)及び平均 糖尿病罹病期間14年(範囲:2~39年)。
有効性の結果:
Insulin 454及びIGlar投与後のAUCGIR, 0-24h及びGIRmaxの用量反応関係を評価したところ、1型及び2型糖 尿病患者のいずれでも、検討した用量範囲において線形(対数変換後)であることが示された。ただ し、グルコースクランプレベルの目標値(90 mg/dL)からのearly blood glucose escapeが、insulin 454及
びIGlar投与後、特に低用量で認められたことから、本治験におけるGIRに関する結果の解釈には注意が
必要である。さらに、特にinsulin 454投与後では、クランプ終了時にもグルコース注入が認められたこ とから、AUCGIR,0-24hは全インスリン作用動態を反映したものではないと考えられた。
治験薬投与後24時間までのIGlarに対するinsulin 454のモル用量比は0.32(1型糖尿病患者)及び0.37
(2型糖尿病患者)であった。ただし、insulin 454とIGlarのGIR推移プロファイルの形状は大きく異な るため、効力比の推定値は実際の臨床使用にほとんど適用できないことに留意しなければならない。
平均GIR及びFFA濃度推移プロファイルにより、IGlarと比較してinsulin 454の作用プロファイルは持続 していることが示された。tGIRmaxはIGlar(11~13時間)と比較してinsulin 454(13~20時間)で大きか った。また、用量との明らかな関連は認められなかった。FFA濃度がベースライン値へ復するのに要し た時間(低用量、中用量及び高用量)は、insulin 454投与後で16、26及び30時間(1型糖尿病患者)な らびに26、29及び29時間(2型糖尿病患者)、IGlar投与後で12、21及び29時間(1型糖尿病患者)な らびに18、25及び27時間(2型糖尿病患者)であり、IGlarに比しinsulin 454で大きい傾向であり、ま た、用量の増加に伴いtFFAbaselineは大きくなった。
グルコースクランプ終了後6時間に血糖値を70 mg/dL(3.9 nmol/L)より高く維持するために糖質の経口 摂取を実施した回数は、insulin 454及びIGlar投与後で同様であり、明らかな用量線形性が示された