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(3) 測定項⽬

体組成

⾝⻑計 (ST-2M、株式会社ヤガミ、愛知)を⽤いて⾝⻑を測定した。また、多周波インピー ダンス測定機 (Inbody 720, Biospace, Seoul, Korea)を⽤いて、体重、体脂肪量および⾻格筋量 を0.1 kg単位で測定した(Demura et al. 2004)。

⾎液指標

Pre、P7、P14およびP24の合計4ポイントにおいて前腕静脈から採⾎を実施した。Preお よびP24の得られた⾎液から、末梢⾎液検査の⼀般項⽬として⾎中ヘモグロビン (Hb)濃度 を測定した (株式会社 ファルコバイオシステムズ、京都)。それ以外の⾎液は、4 ℃、3000 rpm で10 分間遠⼼分離し、⾎清および⾎漿を得た。得られた⾎清および⾎漿は解析までの 間、−80 ℃の超低温冷凍庫で保存した。

後⽇、⾎清鉄、フェリチン濃度、TIBCおよび⾎清CK濃度を測定した(株式会社SRL、東 京)。⾎清鉄濃度とTIBCを⽤いて、トランスフェリン飽和度 (Transferrin Saturation; TSAT) を算出した{TSAT (%)= ⾎清鉄/TIBC × 100}。⾎漿IL-6、⾎清ヘプシジンおよびレプチン 濃度の測定には、市販のキット (R&D Systems Inc., Minneapolis, MN, USA)を⽤いて、ELISA 法によって解析した。ELISA 法を⽤いた解析では、全てのサンプルを2 回分析し、その平 均値を算出した。ELISA法の解析に伴うCV値は、5.0 % (IL-6)、4.4 % (ヘプシジン)であ った。

主観的疲労度

主観的疲労度および筋⾁痛は、VAS を⽤いて評価した。VAS の⾃⼰評価スコアは、100 mm の線分とし、左端 (0)には「全く疲れていない」、右端 (100)には「とても疲れている」

状態と表記し、今の状態のレベルがどこに位置するかその線分上に印を記⼊させた。

39 栄養摂取状況

⾃⼰記⼊式の⾷事記録法 (秤量法と⽬安量法の併⽤)による⾷事調査を実施し、栄養摂取 状況を調査した。栄養摂取状況の調査は、トレーニング前⽇および当⽇に実施した。

⾷事調査では、摂取した時間、料理名 (市販⾷品はその名称)、材料名、重量を記⼊するよ うに依頼した。また、⾷事前後の写真の撮影を依頼した。⾷品の重量は可能な限り秤量し、

秤量が困難な場合のみ⽬安量を記⼊した。⾷事記録⽤紙の回収時に写真と⾷事記録⽤紙と の内容を管理栄養⼠が対象者に照合し、⾷事記録内容の確認を⾏った。栄養素および⾷品群 別の摂取量は、5訂増補⽇本⾷品標準成分表に準拠した栄養計算ソフト (エクセル栄養君

Ver. 4.5、株式会社 建帛社、東京)を⽤いて算出した。また、サプリメントの利⽤があった場

合には、サプリメントからの栄養摂取量も本研究の結果に含めた。

(4) 統計解析

すべての測定値は、平均値 ± 標準誤差 (Means ± SE)で⽰した。トレーニング前後 (Pre、

P7、P14、P24)における各変数の平均値の差の検定には、⼀元配置の分散分析 (one-way ANOVA)を⽤い、主効果の有無を検定した。⼀元配置の分散分析においては正規分布の有無

をShapiro-Wilk 検定で確認した。⼀元配置分散分析を⾏った後、Leveneの検定で等分散性

が仮定される変数については Tukey HSD 法を、等分散性が仮定されない変数については

Games-Howell 法を⽤いた。また、PreとP24の早朝空腹時における変数の⽐較には、対応

のあるt検定を⽤いた。

2 変数の関連性の検討には、Pearson の積率相関係数を求めた。統 計 解 析には、SPSS software ver. 22.0 (International Business Machines Co., USA)を⽤いて、有意⽔準は危険率 5 % 未満に設定した。

40 3. 結果

(1) 体組成

Table 7には、体組成の結果を⽰した。

Table 7. Characteristics of body composition.

The values are means ± SE. (n = 13)

(2) ⾛⾏距離

トレーニング時における総⾛⾏距離は、22.1 ± 0.9 km (2回のトレーニング時における合計 値)であった。

(3) 主観的疲労度

Table 8 には、トレーニング前後における主観的疲労度の変化を⽰した。有意な時間の主

効果が認められ、Preと⽐較して、P7、P14およびP24で⾼値を⽰した (p < 0 .05)。

Table 8. Changes in scores of fatigue before exercise and during post-exercise period.

Pre P7 P14 P24

Fatigue (mm) 9 ± 2 69 ± 5* 68 ± 5* 67 ± 5*

The values are means ± SE. Main effect for time: p = 0.045, *; p < 0.05 (vs. Pre)

Height (cm) 160.2 ± 0.9

Weight (kg) 47.5 ± 0.7

Body fat (%) 7.4 ± 0.5

Fat free mass (kg) 40.1 ± 0.5

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(4) ⾎液指標 鉄関連指標

Table 9 には、末梢⾎液⼀般項⽬の結果を⽰した。鉄⽋乏性貧⾎ (⾎中ヘモグロビン濃度

12 g/dL以下)に該当するものはみられなかった。いずれの項⽬においてもPreとP24の間に

有意な変化は認められなかった。

Table 9. Changes in hematological variables before exercise and during post-exercise period.

Pre P7 P14 P24

Hb (g/dL) 12.7 ± 0.1 --- --- 12.4 ± 0.1

Hct (%) 39.3 ± 0.4 --- --- 38.2 ± 0.4

MCV (fL) 95.3 ± 1.2 --- --- 94.8 ± 1.3

MCH (pg) 30.8 ± 17.8 --- --- 30.9 ± 0.5

MCHC (%) 32.3 ± 18.6 --- --- 32.6 ± 0.1

The values are means ± SE.

Table 10には、⾎清フェリチン、鉄濃度、TSAT濃度、ハプトグロビン、CK、レプチン

濃度および⾎漿IL-6濃度の結果を⽰した。いずれの項⽬においても有意な時間の主効果は 認められなかった。

Table 10. Changes in iron and inflammatory variables before exercise and during post-exercise period.

Pre P7 P14 P24

Ferritin (ng/mL) 24.3 ± 5.4 --- --- 25.4 ± 5.8 Iron (μg/dL) 94.3 ± 8.3 90.3 ± 7.6 95.5 ± 7.9 116.9 ± 13.1

TSAT (%) 26.1 ± 2.4 --- --- 32.0 ± 3.2

Haptoglobin (ng/mL) 44 ± 11 41 ± 10 38 ± 10 41 ± 10

CK (IU) 622 ± 129 --- --- 619 ± 125

IL-6 (pg/mL) 0.5 ± 0.1 --- --- 0.8 ± 0.2

Leptin (ng/mL) 2.5 ± 0.2 --- --- 2.4 ± 0.2

The values are means ± SE.

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⾎清ヘプシジン濃度

Figure 9には、⾎清ヘプシジン濃度の変化を⽰した。⾎清ヘプシジン濃度は、P7、P14お

よびP24においてPreと⽐較して有意な上昇が認められた (p < 0.05)。

Figure 9. Changes in serum hepcidin levels before exercise and during post exercise period.

The values are means ± SE. Main effect for time: p = 0.025, *; p < 0.05 (vs. Pre)

Figure 10には、P24における⾎清レプチン濃度と⾎清ヘプシジン濃度の関係を⽰した。両

者の間には、有意な負の相関関係が認められた。

Figure 10. Correlation between serum leptin and hepcidin levels.

0 5 10 15 20 25 30 35

Pre P7 P14 P24

* *

*

0 5 10 15 20 25 30

1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

Serum leptin level (P24)

Serum hepcidinlevel (P24)

r=0.58, p=0.03 (ng/mL)

(ng/mL) r = 0.58, p = 0.03 (ng/mL)

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(5) 栄養摂取状況

Table 11には、トレーニング前⽇および当⽇における栄養摂取状況を⽰した。

Table 11. Energy, macronutrients and iron intake on measurement day.

On the previouse day before exercise

On the day of exercise

Energy kcal 2177 ± 55 2,153 ± 98

Protein g 101.2 ± 3.3 106.8 ± 5.1

% Protein % 18.6 ± 0.3 19.9 ± 0.5

Fat g 83.6 ± 2.0 61.2 ± 4.0

% Fat % 34.6 ± 0.7 25.6 ± 1.3

Carbohydrate g 250.5 ± 7.9 283.4 ± 17.3

% Carbohydrate % 46.8 ± 0.7 54.4 ± 1.7

CHO/BW g/kg 5.3 ± 0.2 6.0 ± 0.4

Iron mg 15.6 ± 0.4 15.7 ± 0.65

The values are means ± SE.

44 4. 考察

研究課題 3では、⼥⼦陸上⻑距離選⼿の1⽇2回の持久性トレーニングに対する⾎清ヘ プシジン濃度の分泌応答を検討した。本研究から得られた主な知⾒としては、1⽇2回の運 動によって、1回⽬の運動後から翌朝にかけて⾎清ヘプシジン濃度の有意な上昇が認められ たことが挙げられる。さらに、トレーニング翌朝の⾎清ヘプシジン濃度とレプチン濃度との 間には、有意な負の相関関係が認められた。

7⽇間連続の持久性トレーニングを⽤いた先⾏研究では、トレーニング終了翌⽇に安静時 における⾎清ヘプシジン濃度の上昇が認められた(McClung et al. 2013; Sim et al. 2014)。本研 究では、⾎清ヘプシジン濃度が2回⽬ (午後)の持久性トレーニング終了3時間後に⼤幅に 上昇した。残念ながら、運動前後における⾎漿IL-6 濃度の変化を評価することはできなか ったが、⻑時間の運動に伴い⾻格筋でのIL-6の産⽣が増加し、その後に⾎清ヘプシジンの 分泌応答が増加したものと考えられる。IOCによる糖質摂取のガイドラインでは、本研究で 実施したような運動強度 (1〜3時間の中〜⾼強度運動)では、体重あたり6〜10 gの糖質摂 取が推奨されている(Thomas et al. 2016)。本研究の被験者では体重1 kgあたり約6 gの炭⽔

化物を摂取していたが、1⽇2回のトレーニングにより⾎清ヘプシジン濃度の⼤幅な上昇が みられた。このことから、1⽇2回にわたり⻑時間のトレーニングを実施するという状況下 では、体重当たり約6 gという炭⽔化物の摂取量は⼗分ではなかった可能性が考えられる。

本研究では、運動翌⽇の⾎清ヘプシジン濃度および⾎清鉄と⾎清レプチン濃度に負の相 関関係が認められた。健常な成⼈男⼥ (513名)を対象とした研究では、安静時のレプチンと ヘプシジン濃度には負の相関関係が認められた(McClung et al. 2016)。また、ヘプシジンの産

⽣は絶⾷に伴い亢進すること(Vecchi et al. 2014)、⼀過性のトレーニング時の負のエネルギー 収⽀バランスは、ヘプシジンの分泌増加と関連すること( Pasiakos et al. 2016)がこれまでに報 告されている。本研究で着⽬したレプチンは主に脂肪組織から産⽣され、体脂肪と正の相関 関係を⽰す(Rosenbaum and Leibel 2014)。また、エネルギー消費量に対してエネルギー摂取 量が低値を⽰す際に、その⾎中濃度は低下する特性を有する(Jürimäe and Jürimäe 2004)。ヒ トを対象に⾷事制限を実施した研究では、2 %の体重減少に先⾏して⾎中レプチン濃度は 50 %低下したことが報告されている。この際の体重減少の要因としては、体内の貯蔵グリ

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コーゲン量の減少が考えられることから、レプチンは⾷事中の炭⽔化物の減少に⽐例して 減少する指標としても有効であるものと推察される(Jenkins et al. 1997)。本研究では、トレ ーニングによる実際のエネルギー消費量を算出することはできなかったが、⼩清⽔ら(2005)

が提唱しているエネルギー消費量の推定式を⽤いて算出すると 2,857 ± 36 kcal であった

(⼩清⽔ら、2005)。トレーニング当⽇の平均エネルギー摂取量が2,153 kcalであったことを

考慮すると、本研究の被験者ではエネルギー消費量がエネルギー摂取量を慢性的に上回っ ていた可能性が⾼い。このことから、トレーニングに伴うヘプシジンの増加を抑⽌するため にはエネルギー消費量に⾒合ったエネルギー摂取量を摂取することが重要であるかもしれ ない。

ヘプシジンは⽇内変動を有し、その⾎中濃度は早朝に低下を夜間に⾼値を⽰す。Peeling et al. (2009)は、運動条件と安静条件における尿ヘプシジン濃度の推移を検討したところ、安静 条件において尿ヘプシジン濃度は⼣⽅にかけて上昇するという、⽇内変動を⽰した。しかし、

運動条件では運動 3 時間後にヘプシジンの上昇が有意に亢進し、この値は安静条件での同

⼀時刻の尿ヘプシジン濃度を⼤きく上回っていた(Peeling et al. 2009a)。本研究では、安静条 件を設定することはできなかったが、1回⽬、2回⽬の運動3時間後のヘプシジンはいずれ も⼤幅に増加していたため、⽇内変動の影響が結果に及ぼした可能性は少ないものと考え られる。

本研究の限界としては、運動時のエネルギー消費量およびエネルギー摂取量を統⼀する ことができなかったことが挙げられる。また、このようなエネルギー収⽀バランスにおける 個⼈差がヘプシジンやレプチンの分泌応答に影響した可能性が考えられる。今後は、トレー ニング時のエネルギー摂取量やエネルギー消費量をコントロールした上で、持久性トレー ニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響を検討することが必要であろう。

5. 結論

⼥⼦陸上⻑距離選⼿における 1 ⽇2 回の持久性トレーニングの結果、⾎清ヘプシジン濃 度は翌朝まで有意に上昇することが明らかとなった。さらに、翌朝の⾎清ヘプシジン濃度の 上昇とレプチン濃度の間には、有意な負の相関関係が認められた。

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Ⅳ. 短期間のトレーニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響