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持久性スポーツ競技者における運動・栄養介入がヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響

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立命館大学審査博士論文

持久性スポーツ競技者における運動・栄養介入

がヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響

(Effect of exercise and nutritional intervention

on hepcidin levels in endurance athletes)

2018 年 3 月

March 2018

立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科

スポーツ健康科学専攻博士課程後期課程

Doctoral Program in Sport and Health Science

Graduate School of Sport and Health Science

Ritsumeikan University

石橋 彩

ISHIBASHI Aya

研究指導教員:後藤 一成 教授

Supervisor: Professor GOTO Kazushige

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⽬次

原著論⽂の⼀覧 表のタイトル⼀覧 図のタイトル⼀覧 略語の⼀覧 Ⅰ. 緒⾔ ………1 Ⅱ. ⽬的および研究課題………13 Ⅲ. ⼥⼦陸上⻑距離選⼿における鉄代謝の様相:⼀般⼈との⽐較(研究課題 1)………15 1.緒⾔ 2.⽅法 3.結果 4.考察 5.結論 Ⅳ.⼥⼦陸上⻑距離選⼿におけるトレーニング量の相違がヘプシジンの分泌応答に及ぼす 影響(研究課題 2)………25 1.緒⾔ 2.⽅法 3.結果 4.考察 5.結論 Ⅴ. 1 ⽇ 2 回の持久性トレーニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響(研究課題 3) ………36 1.緒⾔ 2.⽅法 3.結果 4.考察 5.結論

(4)

Ⅳ . 短 期 間 の 持 久 性 ト レ ー ニ ン グ が ヘ プ シ ジ ン の 分 泌 応 答 に 及 ぼ す 影 響 :鉄サプリメント摂取の影響(研究課題 4)………46 1.緒⾔ 2.⽅法 3.結果 4.考察 5.結論 Ⅶ . 短 期 間 の 持 久 性 ト レ ー ニ ン グ が ヘ プ シ ジ ン の 分 泌 応 答 に 及 ぼ す 影 響 :Energy availability の相違の影響(研究課題 5)………60 1.緒⾔ 2.⽅法 3.結果 4.考察 5.結論 Ⅷ. 総合討論………76 Ⅸ. 総括 ………87 Ⅹ. 結論………89 参考⽂献………90

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原著論⽂の⼀覧

本博⼠論⽂は、以下の副論⽂をまとめたものである。

【副論⽂】

1. Ishibashi A, Maeda N, Sumi D, Goto K. Elevated serum hepcidin levels during an intensified training period in well-trained female long-distance runners. Nutrients 2017, 14, 9, 3, E277.

2. Ishibashi A, Maeda N, Kamei A, Goto K. Iron supplementation during three consecutive days of endurance training augmented hepcidin levels. Nutrients 2017, 30, 9, 8, E820.

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表のタイトル⼀覧

Table 1. Comparisons of physical characteristics between the two groups.

Table 2. Comparisons of blood variables between the two groups.

Table 3. Comparisons of dietary intake between the two groups.

Table 4. Comparisons of physical characteristics between the two different training periods.

Table 5. Comparisons of blood variables between the two different training periods.

Table 6. Comparisons of energy and macronutrient intakes during three days training period.

Table 7. Characteristics of body composition.

Table 8. Changes in scores of fatigue before exercise and during post-exercise period.

Table 9. Changes in hematological variables during before exercise and during post-exercise period.

Table 10. Changes in iron and inflammatory variables before exercise and during post-exercise

period.

Table 11. Energy, macronutrients and iron intake on a measurement day.

Table 12. Running distances and HR during training period.

Table 13. Serum ferritin, iron levels, TSAT during Days 1-4.

Table 14. Score of fatigue and muscle soreness during training period.

Table 15. Total energy and macronutrients intakes during training period.

(7)

Table 17. Running distance and heart rate during training period.

Table 18. Body weight, lean body mass, skeletal muscle and fat mass during training period.

Table 19. Hemoglobin, MCV, MCH and MCHC during training period

(8)

図のタイトル⼀覧

Figure 1. Regulation of body iron homeostasis mediated by hepcidin

(modified from Tandara et al. 2012).

Figure 2. Effect of endurance exercise on plasma IL-6, urine hepcidin, and serum iron levels

(modified from Peeling et al. 2009a).

Figure 3. Pre and post exercise (3h after exericse) hepcidin levels in elite race walkers for all

subjects (ALL) and for the respective groups separated by baseline serum ferritin levels;

[lower 50th percentile (LOW) upper 50 th percentile (HIGH)] (modified from Peeling et

al. 2017).

Figure 4. Comparisons of serum hepcidin levels between the two groups.

Figure 5. Experimental design during LOW and INT.

Figure 6. Comparison of serum hepcidin levels between the two different training periods.

Figure 7. Correlation between serum hepcidin and ferritin levels.

Figure 8. Time schedule for mesurements.

Figure 9. Changes in serum hepcidin levels during post exercise period.

Figure 10. Correlation between serum leptin and hepcidin levels.

(9)

Figure 12. Plasma IL-6 levels before and after exercise on Day1(A) and resting levels during Days

1-4(B).

Figure 13. Serum hepcidin levels before and after exercise on Day 1(A), and resting levels on Days

1-4(B).

Figure 14. Experimental design during training period.

Figure 15. Scores of fatigue(A) and muscle soreness(B) during training period.

Figure 16. Serum hepcidin levels at rest on days 1-4(A, B) and before and after exercise on Day3

(C, D).

Figure 17. Plasma IL-6 levels during before and after exercise on Day 3.

Figure 18. Correlation between plasma IL-6 and serum hepcidin levels imidiately after exercise on

Day 3.

Figure 19. Muscle glycogen levels on Days 1-4.

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略語の⼀覧

AUC

Area under the curve

BMP

Bone morphogenetic protein

BW

Body weight

CK

Creatine kinase

CHO

Carbohydrate

EA

Energy availability

EE

Energy expenditure

EI

Energy intake

ELISA

Enzyme linked immunosorbent assay

ES

Effect size

FFM

Fat free mass

FiO

R2

Fraction of inspiratory oxygen

Hb

Hemoglobin

Hct

Hematocrit

hsCRP

High sensitive C-reactive protein

HCP-1

Heme carrier protein-1

IL-6

Interleukin-6

LC-MS

Liquid chromatography-mass spectrometry

MCH

Mean corpuscular hemoglobin

MCHC

Mean corpuscular hemoglobin concentration

MCV

Mean corpuscular volume

RED-S

Relative energy deficirncy in sports

RET-He

Reticulocyte hemoglobin equivalent

SF

Serum ferritin

TIBC

Total iron binding capacity

TP

Total protein

VAS

Visual analog scale

AE

V

E

A

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1

Ⅰ. 緒⾔

1. スポーツ競技者における鉄⽋乏の現状 体内の鉄の総量は 3〜4 g であり、⼤部分は⾚⾎球に含まれるヘモグロビン鉄として利⽤ されている(2,400 mg)。また⼀部は、ミオグロビン(350 mg)、電⼦伝達系および代謝酵素の補 ⽋分⼦でのヘム鉄として利⽤されている。その他の鉄は、⾻髄(150 mg)や網内系細胞(500 mg)、フェリチンとして肝臓(400 mg)に貯蔵されている(Hershko et al. 1978)。 鉄は、2 つの経路を介して鉄代謝を調節している。⼗⼆指腸では、⾷事から 1〜2 mg/⽇の 鉄を吸収し、マクロファージでは⽼化した⾚⾎球から 20〜25 mg/⽇の鉄を取り込む(Andrews 1999; Ludwig et al. 2015)。鉄は、ヘモグロビンとして酸素運搬に関わるほか、ミトコンドリ アにおいて酸化還元反応を⾏うシトクロムに含まれ酸素との反応を中⼼としたエネルギー 産⽣の中核的な役割を担う。また、リボヌクレオチドの還元酵素としても働くため、鉄がな ければ DNA の合成は不可能となる。このように、鉄は体内において必須の微量栄養素であ る。 ⾎液中のヘモグロビン濃度や⾎清フェリチン濃度が極端に低い状態を⽰す内科的疾患と して、鉄⽋乏性貧⾎(⾎中ヘモグロビン濃度 12 g/dL 以下の状態)または鉄⽋乏(⾎清フェリチ ン濃度 12 ng/mL 以下の状態)が挙げられる。鉄⽋乏性貧⾎および鉄⽋乏は、最も⼀般的な内 科的疾患である(DeMaeyer and Adiels-Tegman 1985)。世界保健機構(WHO)の報告によると、 全世界の⼈⼝のうち 20 億⼈超が、鉄⽋乏性貧⾎または鉄⽋乏に罹患している(McLean et al. 2009)。また、⽇常的にトレーニングを⾏うスポーツ競技者を対象とした横断研究では、鉄 ⽋乏性貧⾎や鉄⽋乏の発症リスクは増加することを報告している(Shaskey and Green 2000; Rodenberg and Gustafson 2007)。⼤学⽣スポーツ競技者 1,460 名(⼥性 1,059 名、男性 411 名) を対象とした研究では、⼥性スポーツ競技者の 2.2 %が鉄⽋乏性貧⾎、30.9 %が鉄⽋乏を ⽰し、男性スポーツ競技者の 1.2 %が鉄⽋乏性貧⾎、2.9 %が鉄⽋乏に該当することが認め られた(Parks et al. 2017)。その他の研究でも、男性スポーツ競技者では約 10 %、⼥性スポー ツ競技者では 20〜60 %の割合で鉄⽋乏のみられることが⽰されている(Magnusson et al. 1984; Gropper et al. 2006)。

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2 持久性スポーツ競技者では、持久性パフォーマンスを向上させることを⽬的に、⾼強度・ ⾼容量のトレーニングを実施することが求められる。特に、トップレベルの陸上⻑距離選⼿ では⻑時間のトレーニングを 1 ⽇に複数回にわたり実施し、1 ヵ⽉あたりの⾛⾏距離が 600 km を超えることも珍しくない。鉄⽋乏性貧⾎および鉄⽋乏の状態でトレーニングを⽇々繰 り返すことは、ヘモグロビンの減少により⼼拍出量を増加させ、パフォーマンスを低下させ る。実際に、持久性スポーツ競技者における鉄⽋乏性貧⾎や鉄⽋乏の状態では、持久性パフ ォーマンスは最⼤ 30 %程度減退することも報告されている(Davies et al. 1982; Brownlie et al. 2002; DellaValle and Haas 2011)。

以前から、スポーツ競技者における鉄⽋乏性貧⾎および鉄⽋乏の主な要因として、ランニ ング時の⾜底部への機械的刺激による溶⾎(Miller et al. 1988a)、トレーニング時の発汗(Brune et al. 1986)、⾼強度運動に伴う消化管からの出⾎(Stewart et al. 1984)および⾷事からの鉄の摂 取不⾜(King et al. 1993; Samuelson et al. 1996)などが指摘されてきた。これらの要因に加えて、 スポーツ競技者における鉄代謝に対するヘプシジンの影響が注⽬されている。 2. 体内における鉄代謝とヘプシジン ヘプシジンは、肝臓で産⽣されるペプチドホルモンである。ヒトでのヘプシジン遺伝⼦は 3 つのエクソンから転写された第 19 番染⾊体(19q13)に位置しており(Park et al. 2001)、前駆 体のプロヘプシジンは 84 個のアミノ酸からなる。また、活性型ヘプシジンは 25 個のアミ ノ酸残基からなり、そのうち 8 個のシステインをもち、4 個の S-S 結合を階段状に有したヘ アピン構造をとっている(Ganz and Nemeth 2012)。ヘプシジンは、肝臓以外では胃、肝臓、 肺、⼼臓および脂肪組織において発現するが、肝実質細胞における発現が顕著であるために (Pigeon et al. 2001)、⾎中のヘプシジン濃度は基本的に肝臓における発現を反映しているもの と考えられる。 ⾷事中の鉄は、⾮ヘム鉄およびヘム鉄を含む 2 つの形態で存在する。⾮ヘム鉄は植物性⾷ 品に由来し、通常の⾷事で吸収される鉄の約 80 %を占める(Craig 1994)。残りの約 20 %は、 主に動物性⾷品に由来するヘム鉄で構成されている。ヘム鉄は⾮ヘム鉄に⽐べ、吸収率が⾼ く他の⾷物の影響を受けにくい(Beard and Tobin 2000)。⾷事から摂取された鉄は、⼗⼆指腸

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3

において吸収が⾏われる。⾷事中の⾮ヘム鉄は、細胞表膜に発現する⾦属トランスポーター である divalent metalt ransporter-1(DMT-1)により(Gunshin et al. 1997)、ヘム鉄は heme carrier protein-1(HCP-1)により腸上⽪細胞内に取り込まれる(Donovan et al. 2000)。取り込まれた鉄は 共通の排出たんぱく質であるフェロポーチンによって⾎管腔側に排出され、マクロファー ジ由来の鉄と同様にトランスフェリンにより⾻髄をはじめとした利⽤器官に運搬される。 フェロポーチンは腸上⽪細胞やマクロファージにおける共通の鉄排出たんぱく質である ことから、この発現量を調節することにより、⽣体の鉄の吸収および再利⽤を⼀元的に制御 することが可能となる。ヘプシジンは、フェロポーチンの発現調節を介して⽣体の鉄吸収・ 利⽤を制御する。具体的には、フェロポーチンと結合し、細胞内リソゾームへと誘導するこ とによりフェロポーチンを分解へと導く作⽤を有する。したがって、体内でのヘプシジンの 発現が増加すると、腸上⽪細胞やマクロファージにおけるフェロポーチンの発現は低下す る(Nemeth et al. 2004b)。その結果、これらの細胞からの⾎液中へ鉄の排出が抑制され、⾷事 由来の鉄の吸収が減少する。 通常、細胞内に取り込まれて余剰に⽣じた鉄は、フェリチンと結合して安定化する。しか しながら、鉄は過剰になるとフェントン反応を介して、脂質膜、たんぱく質、DNA などの 細胞構成成分を酸化し、毒性の強い活性酸素種であるヒドロキシラジカルを産⽣すること で細胞障害を引き起こす(Takami and Sakaida 2011)。したがって、肝臓における適度なヘプシ ジンの発現は、体内での鉄代謝を維持する上で重要な役割を果たしている。

ヘプシジンの発現を制限する⽣理的要因としては、体内での貯蔵鉄の増加、炎症反応、⾚ ⾎球新⽣の 3 つが挙げられている(Hentze et al. 2010)(Fig. 1)。経⼝投与または静脈への投与 による鉄の過剰負荷はヘプシジンの産⽣を亢進させ、鉄の取り込みを抑制する。トランスフ ェリンと結合した⾎清鉄は、トランスフェリン受容体 1(Tfr1)を介して細胞内に取り込まれ るが、同じファミリーの Tfr2 は鉄飽和トランスフェリンのセンサーとして反応し、ヘプシ ジンの分泌を刺激して⾎清鉄濃度をコントロールしていると考えられている。また、鉄負荷 によるヘプシジンの発現は、⾻形成因⼦(bone morphogenetic protein; BMP)シグナル伝達系に より Smad を介して発現することが想定されている。2 つ⽬の要因としては、炎症反応によ るヘプシジンの発現が挙げられる。培養肝細胞を炎症性サイトカインで亢進する培養肝細

(14)

4

胞を炎症性サイトカインであるインターロイキン 6 (interleukin-6; IL-6)によって刺激すると、 ヘプシジン産⽣は顕著に亢進する。同様の反応はヒトに対して IL-6 を静脈投与した場合に も認められ、ヘプシジン産⽣の著しい上昇とともに鉄やトランスフェリン飽和度が低下す る(Nemeth et al. 2004a)。⼀⽅、IL-6 のノックアウトマウスでは、炎症の誘発に伴うヘプシジ ンの発現亢進や⾎清鉄の低下は確認されず、炎症 (IL-6 の増加)がヘプシジンの産⽣を刺激 し、フェロポーチン鉄輸送作⽤を抑制することで⾎中への鉄の供給が低下することが⽰唆 されている(Andrews 2004)。これら炎症に伴う IL-6 産⽣を介したヘプシジン発現は signal transducer and activator of transcription 3 (STAT3)のシグナル伝達系に依存している(Wrighting and Andrews 2006)。3 つ⽬の要因として、⾚⾎球新⽣が挙げられる。Lee et al.(2005)は、X 線 照射で⾻髄造⾎機能を抑制させるとヘプシジン発現が急速に増加したことから、造⾎反応 がヘプシジン発現に影響を及ぼすことを明らかにしている(Lee et al. 2005)。

Figure 1. Regulation of body iron homeostasis mediated by hepcidin (modified from Tandara et al. 2012).

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5 3. 運動・トレーニングとヘプシジン (1) 様々な運動・トレーニングに伴うヘプシジンの分泌応答 Roecker et al. (2005)は、14 名の⼥性陸上⻑距離選⼿を対象にフルマラソンの前⽇、運動 直後、1 ⽇後、3 ⽇後に尿中ヘプシジン濃度の変化を検討した。その結果、運動翌⽇の尿 ヘプシジン濃度は運動実施前⽇の値に⽐較して有意に⾼値を⽰した(Roecker et al. 2005)。ま た、Peeling et al. (2009)の研究では、60 分間のランニング条件 (最⼤⼼拍数の 75〜80 %に 相当する強度で 15 分間の運動 + 最⼤⼼拍数の 85〜90 %に相当する強度で 45 分間)と安 静条件の間で尿ヘプシジン濃度を⽐較した結果、ランニング条件では、運動終了直後に⾎ 漿 IL-6 濃度が、運動後 3 時間には、尿ヘプシジン濃度が安静条件と⽐較してそれぞれ有意 に上昇した。また、ランニング条件では、運動後 24 時間の時点で⾎清鉄濃度が減少して いた (Fig. 2)(Peeling et al. 2009a)。

Figure 2. Effect of endurance exercise on plasma IL-6, urine hepcidin, and serum iron levels (modified from Peeling et al. 2009a).

Peeling et al. (2014)は、54 名の⼥性陸上⻑距離選⼿およびトライアスロン選⼿を運動前に おける⾎清フェリチン (Serum ferritin; SF)濃度によって 4 群{SF < 30 群(30 µg/L)、SF 30-50 群 (30-50µg/L)、SF 50-100 群 (50-100μg/L)、SF > 100 群 (> 100 μg/L)}に分類し、運動後の ヘプシジンの分泌応答を⽐較している(Peeling et al. 2014)。その結果、運動直後の⾎漿 IL-6 濃度は、いずれの群においても運動前に⽐較して有意に上昇した。また、運動 3 時間後に⾎ 清ヘプシジン濃度は、SF < 30 群以外の 3 群においていずれも有意に上昇した。このことは、

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6

運動に対するヘプシジンの分泌応答の程度が運動前の貯蔵鉄量に影響され、貯蔵鉄が低下 した状態では運動に伴うヘプシジンの分泌増⼤は減弱することを⽰すものである。また、 Peeling et al. (2017)は、24 名の男性競歩選⼿に対して、25 km のレースを想定した運動テス トを実施した結果、運動 3 時間後にヘプシジンの上昇を認めている (Fig. 3)。さらに、⾎清 フェリチン濃度の中央値をもとに対象者を 2 群 (HIGH 群、LOW 群)に分類した場合、LOW 群 (⾎清フェリチン濃度:58.0 ± 7.8 µg/ L)でのみ運動後に⾎清ヘプシジン濃度の有意な上昇 が認められた。このことは、⾎清フェリチン濃度が約 30〜50 μg/ L の範囲の選⼿では、運動 3 時間後にかけてヘプシジンの分泌が増⼤することを⽰唆している。また、重回帰分析を⾏ った結果、3 時間後のヘプシジンの分泌増⼤を⾎清フェリチン濃度、運動前の⾎清鉄濃度と 運動直後の⾎漿 IL-6 濃度の 3 変数から 77.4 %は説明できることを指摘している(Peeling et al. 2017)。

Figure 3. Pre and post exercise (3h after exericse) hepcidin-25 levels in elite race walkers for all subjects (ALL) and for the respective groups separated by baseline serum ferritin levels; [lower 50th percentile (LOW) upper 50th percentile (HIGH)]. (modified from Peeling et al. 2017).

Value are means ± SD. *; p < 0.05 (vs. HIGH) , P

† P ; p < 0.05 vs. (Pre-Exercise) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

All(n = 24) LOW(n = 12) High (n = 12)

Pre-exercise

3h-post exercise

Se

ru

m

h

epc

idin

le

ve

l (n

M

)

*

*

(17)

7

多くの先⾏研究では、運動による⾎中ヘプシジン濃度の上昇は、運動後 3〜6 時間にかけ てみられることが⽰されている(Peeling 2010)。先述したように、運動に伴うヘプシジンの分 泌増⼤には IL-6 の影響が⽰唆されている。⻑時間の運動は、⾻格筋から IL-6 の分泌を顕著 に亢進させる(Pedersen et al. 2001; Keller et al. 2001)。Banzet et al.(2012)の研究では、カル シニューリン阻害剤であるシクロスポリン A (CsA)で処置したラット(CsA 群)、または無処 置のラット(対照群)に対してランニング運動を負荷した結果、CsA 群では運動後の⾎漿 IL-6 濃度の上昇が 50 %抑制された。さらに、肝臓でのヘプシジンの mRNA の発現は対照群と ⽐べて有意に軽減された(Banzet et al. 2012)。このことから、IL-6 が運動誘発性のヘプシジン の遺伝⼦発現に関与しているものと推察される。そのほか、ガン患者に対する 6 週間の組み 換えヒト IL-6 の投与は、鉄⽋乏性貧⾎を引き起こす(Nieken et al. 1995)。

運動に伴うヘプシジンの分泌増⼤の程度は、運動様式や負荷様式に強く影響される。 Peeling et al. (2009)は、⾼強度のトレーニングを実施している男性持久性スポーツ競技者 10 名を対象に、芝⽣上で 10 km ⾛を実施する条件(GRASS 条件)、路⾯上で 10 km ⾛を実施す る条件(ROAD 条件)、75 %〜80 % AEVE ・ A O2peakRに相当する運動強度で 1 km×10 セットのインタ ーバルトレーニングを芝⽣上で実施する条件(INT 条件)を設け、運動後におけるヘプシジン の分泌応答を⽐較している。その結果、INT 条件では運動直後の⾎漿 IL-6 濃度が⾼値を、 ⾎清ハプトグロビン濃度(溶⾎の間接指標)は低値を⽰した。⾎清ヘプシジン濃度はいずれの 条件においても運動 3 時間後に有意に増加したが、条件間で有意差は認められなかった (Peeling et al. 2009c)。Sim et al. (2013)は、男性持久性スポーツ競技者を対象に、運動様式や 運動強度の異なる 4 条件{①65 %AEVE ・ A OR2peakRに相当する強度で 40 分間のランニング(L-R 条件)、 ②85 %AEVE ・ A OR2peakRに相当する強度で 40 分間の⾼強度インターバルランニング運動(H-R 条件)、 ③65 %AEVE ・ A OR2peakRで 40 分間のサイクリング運動 (L-C 条件)、④85 %AEVE ・ A OR2peakRで 40 分間の⾼強度 インターバルサイクリング運動 (H-C 条件)}での運動に対する⾎漿 IL-6 および⾎清ヘプシ ジン濃度の変化を⽐較している。その結果、運動後における⾎漿 IL-6 濃度は、H-R 条件が L-R 条件に⽐較して有意に⾼値を⽰した。しかし、⾎清ヘプシジン濃度の増加の程度には、 条件間で有意差がみられなかった(Sim et al. 2013)。⼀⽅で、Newlin et al. (2012)の研究では、 活動的な⼥性 12 名を対象に、65 %AEVE

A

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8 たは 120 分間 (LONG 条件)の運動 (ランニング)に対する⾎清ヘプシジン濃度の変化を⽐較 している。その結果、いずれの条件においても⾎漿 IL-6 濃度は運動直後に有意に増加し、 運動 9 時間後に⾎清鉄濃度が有意に減少した。また、運動時間が⻑い LONG 条件では、 SHORT 条件と⽐較して運動 3 時間後の⾎清ヘプシジン濃度が有意に⾼値を⽰した(Newlin et al. 2012)。このことから、⻑時間の運動はヘプシジンの分泌をより⼀層亢進させるものと考 えられる。 運動誘発性の炎症以外にヘプシジンの発現に影響する要因として、⾚⾎球の新⽣が挙げ られる(Mastrogiannaki et al. 2012; Liu et al. 2012)。⾚⾎球の新⽣には鉄を必要とするため、体 内における貯蔵鉄量の減少はヘモグロビン合成能を低下させ、鉄⽋乏性貧⾎や鉄⽋乏を誘 引する。⼀⽅で、低酸素刺激は⾚⾎球の新⽣を刺激することから、低酸素環境への曝露はヘ プシジンの分泌を抑制するかもしれない。この点に関して、Badenhorst et al. (2014)は、85 %A E VE ・ A O₂RmaxRに相当する運動強度でのインターバルトレーニング後の 3 時間にわたる低酸素曝露

{Fraction of inspiratory oxygen; (FiOR2R):15.1 %}が⾎清ヘプシジン濃度の分泌応答を減弱さ

せたことを明らかにした(Badenhorst et al. 2014)。これに対して、持久性運動時 (90 %AEVE

A

O₂RmaxR

で 4 分間のランニング×5 回)における低酸素曝露 (FiOR2R:14.5 %)は、運動後の⾎清ヘプシ

ジン濃度の上昇に影響しなかった(Govus et al. 2014)。また、Goto ら (2017)は、10 名の男性 陸上短距離選⼿に対して異なる 2 条件の酸素環境下{通常酸素条件 (FiOR2R:20.9 %)または

低酸素条件 (FiOR2R:14.5 %)}で 6 秒×5 回の全⼒ペダリング (休憩時間:30 秒、セット間

の休憩時間:10 分)を 3 セット実施し、運動後 3 時間まで通常酸素または低酸素環境に曝露 をした。その結果、運動 3 時間後の時点で⾎清エリスロポエチン濃度は、低酸素条件が通常 酸素条件に⽐較して有意に⾼値を⽰したが、⾎清ヘプシジン濃度の上昇に条件間での有意 差は認められなかった(Goto et al. 2017a)。さらに、男性持久性スポーツ競技者を対象に、異 なる 2 条件の酸素環境下[通常酸素条件 (FiOR2:20.9 %)または低酸素条件 (FiOR R2:14.5 %)]R での持久性トレーニング (95 %AEVE ・ A O₂RmaxRに相当する運動強度で 3 分×10 セット、10 分間の 休憩の後に 85 %AEVE ・ A O₂RmaxRに相当する運動強度で 30 分間のランニング運動:合計 79 分間)を 実施した研究では、運動 2 時間後における⾎清ヘプシジン濃度に条件間での有意差は認め られなかった(Goto et al. 2017b)。

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9 これまでの知⾒を踏まえると、運動に伴いヘプシジンの分泌応答は、運動の様式や強度に 関係なく亢進することが⽰されている。⼀⽅で、運動時間の⻑短はヘプシジンの分泌応答の 程度に影響し、⻑時間の持久性運動ではヘプシジンの分泌応答が特に亢進するものと推察 される。また、運動終了後における低酸素曝露は、ヘプシジンの分泌増⼤を抑制する可能性 があると考えられる。 (2) 運動・トレーニング時の栄養介⼊に対するヘプシジンの分泌応答 運動・トレーニング時における栄養介⼊が、ヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響を検討し た先⾏研究もみられる(Hennigar et al. 2017)。Skarpańska‒Stejnborn et al. (2014)は、19 名の男 性ボート選⼿を対象に、抗酸化作⽤を有するチョークベリージュース (チョークベリージュ ース 150 mL、アントシアニン 24 mg/mL)の 8 週間にわたる摂取が、2000 m タイムトライア ル後のヘプシジンの分泌応答や炎症反応に及ぼす影響を検討している。その結果、栄養介⼊ 期間後には、運動後における⾎清壊死腫瘍因⼦ (Tumor necrosis factor; TNF) -α濃度の上昇が 有意に抑制されたが、運動後の⾎漿 IL-6 および⾎清ヘプシジン濃度の変化に影響はみられ なかった(Skarpańska-Stejnborn et al. 2014)。同様に、16 名の男性ボート選⼿を対象に、6 週間 のクランベリーエキス (1200 mg)⼊りのサプリメントを摂取させた研究では、抗酸化能⼒ (Total antioxidant capacity; TAC)の改善にも関わらず、運動後における IL-6 およびヘプシジン の分泌応答に影響はみられなかった(Skarpańska - Stejnborn et al. 2017)。また、Diaz et al.(2015) は、男性陸上⻑距離選⼿に対して、抗酸化サプリメント (ビタミン C:500 mg/⽇、ビタミン E:400 IU/⽇)を 28 ⽇間摂取させ、介⼊期間前後で運動テスト (75 % AEVE ・ A OR2maxRに相当する強度 で 90 分間の運動)を実施した。その結果、運動後に⾎漿 IL-6 および⾎清鉄濃度が上昇し、 それに伴い⾎清ヘプシジン濃度も増加したが、プラセボ条件との間に有意差はみられなか った(Díaz et al. 2015)。これらの知⾒を踏まえると、抗酸化作⽤を有するサプリメントや⾷品 の摂取が運動に伴うヘプシジンの分泌増⼤を抑制する可能性は低いと考えられる。⼀⽅で、 持久性スポーツ競技者においては、コンディションの維持や改善をねらいとして鉄サプリ メントを利⽤することが多い。これまでに、⾼容量の鉄サプリメントの摂取 (60〜240 mg/ ⽇)は安静時の⾎清ヘプシジン濃度を増加させ、それに伴い鉄の吸収率は 35〜45 %まで低

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10 下することが明らかとなっている(Morettie et al. 2015)。しかしながら、持久性トレーニング 期間中における中程度の鉄サプリメントの摂取の併⽤がヘプシジンの分泌応答に与える影 響は不明である。 持久性運動に伴うヘプシジンの分泌増⼤には⾻格筋由来の IL-6 の産⽣が関与すること (Banzet et al. 2012)、また、絶⾷時や⾻格筋グリコーゲン量 (筋グリコーゲン量)が低下した状 態では IL-6 の産⽣は亢進すること(Keller et al. 2001; Steensberg et al. 2001)を考慮すると、炭 ⽔化物の摂取はヘプシジンの分泌増⼤に対して抑⽌的に作⽤するかもしれない。実際に、運 動前や運動中における炭⽔化物溶液 (炭⽔化物濃度 6 %)の摂取は、IL-6 を含めた運動誘発 性の炎症を軽減する(Nieman et al. 1998)。また、運動時は外因性 (経⼝摂取)の炭⽔化物利⽤ が優先されることから、炭⽔化物の⼗分な摂取は運動時における筋グリコーゲン利⽤の節 約に貢献する(Pedersen et al. 2001; Hennigar et al. 2017)。したがって、炭⽔化物の摂取が IL-6 の産⽣を軽減することで運動後のヘプシジン分泌応答を抑制する可能性は⼗分に考えられ る。またこの点から、⾷事に含まれる炭⽔化物量の異なる条件下での持久性トレーニングに 対するヘプシジンの分泌応答を検討することは有意義である。

⼥性スポーツ競技者における減量などを⽬的とした不適切な⾷事制限は、Female Athlete Triad (FAT)を誘発する(Torstveit and Sundgot-Borgen 2005)。FAT には「Low Energy Availability (LEA)」、「視床下部性無⽉経」、「⾻粗鬆症」が含まれ、⼥性スポーツ競技者にとって重要な 問題として近年注⽬されている。2017 年に発表されたレビューでは、LEA と鉄⽋乏は密接 に関与することが指摘されている(Petkus et al. 2017)。さらに、2014 年には国際オリンピック 委員会より、相対的エネルギー不⾜ (Relative Energy Deficiency in Sport ; RED-S)の概念が提 唱された(Mountjoy et al. 2015; Statuta et al. 2017)。ここでは、⼥性スポーツ競技者に限らず男 性スポーツ競技者においても、相対的エネルギー不⾜での⽇々のトレーニングは、免疫、代 謝などの⽣理的機能に悪影響を及ぼし、貧⾎や疲労⾻折などを誘発することが述べられて いる。すなわち、RED-S は FAT の要因でもあり、スポーツ競技者のパフォーマンスに強く 影響を及ぼす(Mountjoy et al. 2015)。Woods et al. (2017)の研究では、ボート選⼿に対する 4 週 間の強化トレーニングが体重および体脂肪量を有意に減少させ、疲労および気分障害を増

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加させた。この要因として著者らは強化トレーニング期間中のエネルギー摂取量がエネル ギー消費量を下回ったこと (EA の低下)を⽰唆している(Woods et al. 2017)。このようなエネ ルギー摂取量とエネルギー消費量との不均衡を反映する指標として⾎中レプチン濃度の推 移が知られている。レプチンは脂肪細胞から分泌され、体格指数 (BMI)、体脂肪率および体 脂肪量とよく相関する。また、絶⾷や⾷事制限などエネルギー摂取量の急激な変化に対して 鋭敏に応答する特性があり、⾷事摂取制限に伴う体重や体脂肪の減少に先⾏して⾎清レプ チン濃度は低下する(Kolaczynski et al. 1996)。したがって、レプチンはスポーツ競技者にお けるエネルギー指標として有⽤であるが、ヘプシジンや鉄代謝関連指標との関連は明らか でない。仮に、⾎清レプチン濃度の変化が⾎清ヘプシジン濃度の上昇に先⾏するのであれば、 エネルギー摂取量とエネルギー消費量の不均衡や鉄⽋乏を未然に防ぐ上で有⽤な指標にな ると期待できる。 持久性スポーツ競技者における LEA は、炭⽔化物の摂取不⾜に依る部分の⼤きいことが が指摘されている(Loucks 2004)。LEA や炭⽔化物摂取量の不⾜は、筋グリコーゲン量の慢性 的な低下を助⻑する。したがって、炭⽔化物摂取量の不⾜に伴う LEA の状態 (筋グリコー ゲン量が減少した状態)での⽇々のトレーニングは筋グリコーゲン量を減少させ、IL-6 およ びヘプシジンの増加を介して鉄⽋乏を引き起すことが推察される。また、持久性スポーツ競 技者では早朝に朝⾷を⼗分に摂取しない状況で⻑時間のトレーニング(早朝練習)を実施し、 数時間後に再び⻑時間のトレーニングを繰り返すことが多い。このような 1 ⽇に複数回ト レーニングを実施する際には、2 回⽬以降のトレーニングは筋グリコーゲン量が完全に補 填されていない状態で実施される可能性が⾼い。このことが、持久性スポーツ競技者におけ る鉄⽋乏の発症に影響している可能性も考えられる。 ヘプシジンの分泌応答に注視した研究の多くは慢性炎症患者などを対象にした臨床医学 研究であり、持久性スポーツ競技者を対象とした研究はきわめて少数である。また、持久性 スポーツ競技者を対象にした研究の多くは、単回 (1⽇1 回)のトレーニングに対するヘプシ ジンの分泌応答を検討したものであり、これは持久性スポーツ競技者における典型的なト レーニング形態(1⽇複数のトレーニング)を反映したものではない。そのために、「持久性 スポーツ競技者におけるヘプシジンを中⼼とした鉄代謝の特性」、「1 ⽇に複数回実施をする

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トレーニングに対するヘプシジンの分泌応答」や「ヘプシジンの産⽣を抑⽌するための⽅策」 は明らかにされていない。

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Ⅱ. ⽬的および研究課題

「運動と鉄代謝」に関わる先⾏研究を精査した結果、以下の諸点が今後検討すべき問題 点として考えられた。 1. 持久性スポーツ競技者を対象に、習慣的なトレーニングがヘプシジンの分泌応答に及 ぼす影響には不明な点が多いこと。 2. 持久性スポーツ競技者において⽤いられる 1 ⽇複数回の持久性トレーニングが、ヘプ シジンの分泌応答に及ぼす影響は明らかにされていないこと。 3. ⽇常のトレーニング時における栄養摂取状況の相違が、ヘプシジンの分泌応答に及ぼ す影響は⼗分に検討されていないこと。特に、持久性スポーツ競技者で頻発する鉄サ プリメントの摂取や LEA 状態がヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響は、明らかにされ ていないこと。 そこで、本博⼠論⽂では、持久性スポーツ競技者における運動・栄養介⼊がヘプシジン の分泌応答に及ぼす影響を検討することを⽬的とした。 この⽬的を達成するために以下の 5 つの研究課題を設定した。 【研究課題 1】持久性スポーツ競技者における鉄代謝の様相:⼀般⼈との⽐較 【研究課題 2】⼥⼦陸上⻑距離選⼿におけるトレーニング量の相違がヘプシジンの分泌応 答に及ぼす影響 【研究課題 3】1 ⽇ 2 回の持久性トレーニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響 【研究課題 4】短期間の持久性トレーニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響 :鉄サプリメント摂取の影響 【研究課題 5】短期間の持久性トレーニングがヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響 :Energy availability の相違の影響

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本研究から得られる知⾒は、持久性スポーツ競技者における持久性トレーニングがヘプ シジンを中⼼とした鉄代謝に及ぼす影響を明⽰するものと考えられる。また、ヘプシジン の分泌増⼤を引き起こす要因の解明に繋がることに加えて、ヘプシジンの分泌や鉄⽋乏を 予防するための具体的な栄養処⽅の提案にも貢献すると期待できる。

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Ⅲ.持久性スポーツ競技者における鉄代謝の様相:⼀般⼈との⽐較

(研究課題 1)

1. 背景 持久性スポーツ競技者では、鉄⽋乏の発⽣頻度が⾼いことはこれまでにも指摘されてい る。また、フェリチンが低値を⽰す潜在性の鉄⽋乏は、⼀般⼈と⽐較して、スポーツ競技 者で発⽣する頻度が⾼いことが報告されている(Rodenberg and Gustafson 2007)。男性スポー ツ競技者では約 10 %、⼥性スポーツ競技者では 20〜60 %の割合で鉄⽋乏のみられるこ とが⽰されている(Magnusson et al. 1984; Gropper et al. 2006)。

以前から、スポーツ競技者における鉄⽋乏性貧⾎および鉄⽋乏の主な要因として、ラン ニング時の⾜底部への機械的刺激による溶⾎(Miller et al. 1988)、トレーニング時の発汗 (Brune et al. 1986)、⾼強度運動に伴う消化管からの出⾎(Stewart et al. 1984)および⾷事から の鉄の摂取不⾜(King et al. 1993; Samuelson et al. 1996)などが指摘されてきた。これに加え て、運動に伴うヘプシジンの慢性的な上昇が考えられる(Peeling et al. 2014)。実際、多くの 先⾏研究では、運動による⾎中ヘプシジン濃度の上昇は、運動後 3〜6 時間にかけてみら れることが⽰されている(Peeling 2010)。また、試合期におけるテニス選⼿では、⾎清ヘプ シジン濃度が上昇したことを⽰した先⾏研究や(Ziemann et al. 2013)、7 ⽇間連続のトレーニ ングでは尿中ヘプシジン濃度が有意に上昇したことを⽰した先⾏研究(Sim et al. 2014)な ど、スポーツ競技者においては安静時の値が上昇することも報告されている。 ⼀⽅、これらの研究の多くでは、対象者における栄養摂取量の調査がされていない。 ⾷事、特に、鉄の摂取量はヘプシジンの分泌に影響することが指摘されている(Moretti et al. 2015)。したがって、スポーツ競技者におけるヘプシジンの分泌応答の特徴を明⽰する 上では、⽇常における栄養摂取量との関係にも注視することが必要である。これらの諸点 を解決するためには、持久性スポーツ競技者におけるヘプシジンを中⼼とした鉄代謝を、 同年代の⼀般⼈と⽐較することが有効であると考えられる。 そこで、研究課題1では、⼥⼦陸上⻑距離選⼿を対象に、ヘプシジンやその他の鉄⽋乏

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16 に関わる⾎液指標を同年代の⼀般⼥⼦と⽐較することを⽬的とした。また、3 ⽇間の⾷事 調査を実施し、栄養摂取量が鉄代謝に及ぼす影響も検討した。本研究では、⼥⼦陸上⻑距 離選⼿は、⼀般⼥⼦に⽐較して、安静時における⾎清フェリチン濃度が低値を、⾎清ヘプ シジン濃度が⾼値を⽰すという仮説を設けた。 2. ⽅法 (1) 被験者 ⼥⼦⼤学⽣陸上⻑距離選⼿ (⻑距離選⼿群)20 名 (21.0 ± 0.2 yrs)および運動習慣のない ⼀般⼥⼦⼤学⽣ (⼀般群)15 名 (22.0 ± 0.2 yrs)を対象とした。研究を開始するにあたり、す べての対象者に対し、研究の⽬的、測定内容および参加に伴う危険性について⼗分に説明し、 書⾯にて協⼒への同意が得られた者のみを対象とした。なお、本研究は、⽴命館⼤学に帰属 する倫理委員会の承認を得て実施した (BKC-IRB-2014-025)。 (2) 実験デザイン すべての被験者に対して、早朝空腹時に、⾝体計測および⾎液検査を実施した。また、⾷ 事摂取量を評価するために、3 ⽇間の⾷事調査を実施した。得られた結果から、鉄代謝およ び栄養摂取状況を両群間で⽐較した。 (3) 測定項⽬ ⾝体計測 ⾝⻑計 (ST-2M、株式会社ヤガミ、愛知)を⽤いて⾝⻑を測定した。また、多周波インピー ダンス測定機 (Inbody 720, Biospace, Seoul, Korea)を⽤いて、体重、体脂肪量および⾻格筋量 を 0.1 kg 単位で測定した。

⾎液検査

早朝空腹時に前腕静脈より採⾎を⾏った。得られた⾎液から、末梢⾎液の⼀般項⽬として ⾎中ヘモグロビン (Hb)濃度、平均⾎球体積 (MCV)、平均⾚⾎球ヘモグロビン (MCH)、平

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均⾚⾎球ヘモグロビン濃度 (MCHC)を測定した。これらの測定は、臨床検査会社に委託をし た (株式会社 ファルコバイオシステムズ、京都)。それ以外の⾎液は、4 ℃、3000 rpm で 10 分間遠⼼分離し、⾎清および⾎漿を得た。得られた⾎清および⾎漿は解析までの間、−80 ℃ の超低温冷凍庫で保存した。

後⽇、⾎清鉄、フェリチン、総たんぱく (Total protein; TP)、総鉄結合能 (Total iron binding capacity; TIBC) 、クレアチンキナーゼ (Creatine kinase; CK)濃度を測定した。これらの測定 は、臨床検査会社に委託をした (株式会社エスアールエル、東京)。また、⾎清鉄濃度と TIBC を⽤いて、トランスフェリン飽和度 (Transferrin saturation; TSAT)を算出した{TSAT(%)= ⾎清鉄/TIBC × 100}。⾎清ヘプシジンおよび⾎漿 IL-6 濃度は、酵素免疫測定法 (Enzyme linked immunosolvent assay; ELISA)法を⽤いて解析した。また、ELISA 法での測定には、市 販のキットを使⽤した (R&D systems, Inc., USA)。ELISA 法による解析に伴う⽇間変動の変 動係数 (Coefficient of variation;CV)は、2.3 % (IL-6)、3.5 % (ヘプシジン)であった。

栄養摂取状況 ⾃⼰記⼊式の⾷事記録法 (秤量法と⽬安量法の併⽤)による⾷事調査を実施し、栄養摂取 状況を調査した。調査期間は、3 ⽇間 (平⽇ 2 ⽇、休⽇ 1 ⽇)とし、⾝体計測などの測定の 1 週間前に実施した。本来、⾷事調査⽇数の設定は、⽣活リズムが週を単位にしていることか ら連続した 7 ⽇間が理想とされている⼀⽅で、7 ⽇間にも及ぶと⾷事記録はその煩雑さか ら記録の質が低下する可能性がある。このことから、村上ら (2010)は、個⼈の習慣的な摂取 量を把握するための⾷事調査⽇の設定として休⽇を含めた不連続な 2 ⽇間以上を提案し、 連続した 7 ⽇間での調査結果と正の相関が得られ、その測定値が妥当であることを報告し ている(村上、2010)。そのため、本研究課題における⾷事調査の⽇数として、3 ⽇間を採⽤ した。 ⾷事調査では、摂取した時間、料理名 (市販⾷品についてはその名称)、材料名、重量を記 ⼊するように依頼した。また、⾷事前後の写真の撮影を依頼した。⾷品の重量は可能な限り 秤量し、秤量が困難な場合のみ⽬安量を記⼊した。⾷事記録⽤紙の回収時に写真と⾷事記録 ⽤紙との内容を管理栄養⼠が対象者に照合し、⾷事記録内容の確認を⾏った。栄養素および

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18 ⾷品群別の摂取量は、5訂増補⽇本⾷品標準成分表に準拠した栄養計算ソフト (エクセル栄 養君 Ver. 4.5、株式会社 建帛社、東京)を⽤いて算出した。また、サプリメントの利⽤があ った場合には、サプリメントからの栄養摂取量も本研究の結果に含めた。 (4) 統計解析 すべての測定値は、平均値 ± 標準誤差 (Means ± SE)を⽤いて⽰した。解析に先⽴ち、 Kolmogorov-Smirnov 検定を⽤いて各変数の正規分布を評価した。⻑距離選⼿群と⼀般群と の平均値の差の検定には Mann-Whitney の U 検定を⽤いた。データの解析には、統計解析ソ フト IBM SPSS Software ver. 22.0 (International Business Machines Co., USA) を⽤い、有意⽔ 準は危険率 5 %未満に設定した。 3. 結果 (1) 体組成 Table 1 には、両群における体組成を⽰した。⾝⻑は、⻑距離選⼿群が⼀般群に⽐較して 有意に⾼値を⽰したが、体重には群間での有意差は認められなかった。体脂肪量および体脂 肪率は、⻑距離選⼿群が⼀般群に⽐較してそれぞれ有意に低値を⽰した (p < 0.001)。

Table 1. Comparisons of physical characteristics between the two groups.

Runner Normal P

Height (cm) 160.8 ± 1.6 157.9 ± 0.9 0.03

Weight (kg) 49.7± 1.1 53.6 ± 1.8 N.S.

Skeltal muscle (kg) 22.5 ± 0.9 21.1 ± 0.8 N.S.

Body fat (kg) 8.0 ± 0.6 14.7 ± 1.2 < 0.001

Percentage of body fat (%) 15.9 ± 1.0 27.3 ± 1.1 < 0.001

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19 (2) ⾎液指標 Table 2 には、両群における⾎液指標の結果を⽰した。⾎中ヘモグロビン濃度には、両群 間で有意差が認められなかった。⻑距離選⼿群は⼀般群に⽐較して、⾎清鉄濃度および TSAT がいずれも有意に低値を⽰した。⾎清フェリチン濃度には、両群間での有意差は認め られなかった。 筋損傷の間接指標である⾎清 CK 濃度は、⻑距離選⼿群において⾼値傾向を⽰したが (p = 0.07)、⾎漿 IL-6 濃度には両群間での有意差はみられなかった。

Table 2. Comparisons of blood variables between the two groups.

Runner Normal p Hb (g/dL) 13.0 ± 0.2 13.0 ± 0.2 N.S. Hct (%) 40.1 ± 0.5 40.1 ± 0.5 N.S. MCV (fL) 93.2 ± 0.6 90.7 ± 0.8 0.01 MCH (pg) 30.6 ± 0.5 29.9 ± 0.4 N.S. MCHC (g/dL) 32.3 ± 0.2 32.9 ± 0.2 N.S. Ferritin (ng/mL) 35.1 ± 5.2 25.2 ± 4.4 N.S. Total Protein (g/dL) 7.2 ± 0.8 7.4 ± 0.1 0.09 Fe (μg/dL) 62.7 ± 5.5 109.9 ± 14.5 0.001 TIBC (μg/dL) 337 ± 9 308 ± 9 N.S. CK (IU/L) 353 ± 106 88 ± 8 0.07 TSAT (%) 19.1 ± 1.8 37.0 ± 5.3 <0.001 IL-6 (pg/dL) 0.35 ± 0.06 0.97 ± 0.1 N.S.

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Figure 4 には、⾎清ヘプシジン濃度の結果を⽰した。⾎清ヘプシジン濃度は、⻑距離選⼿ 群が⼀般群に⽐較して⾼値を⽰した (p = 0.09)。

Figure 4. Comparisons of serum hepcidin levels between the two groups.

Value are means ± SE.

0 2 4 6 8 10 12 Normal Runner p = 0.09 (ng/mL)

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(3) 栄養摂取状況

Table 3 には、⾷事調査を実施した 3 ⽇間における栄養摂取状況を⽰した。炭⽔化物摂取 量を除くすべての項⽬において、⻑距離選⼿群が⼀般群に⽐較して有意に⾼値を⽰した (p < 0.05)。

Table 3. Comparisons of dietary intake between the two groups.

Runner Normal P Energy (kcal) 2,125 ± 26 1,731 ± 95 < 0.0001 Protein (g) 114.1 ± 1.5 57.7 ± 3.4 < 0.0001 % Protein (%) 21.5 ± 0.3 13.3 ± 0.5 < 0.0001 Fat (g) 63.5 ± 2.7 51.2 ± 5.0 0.02 % Fat (%) 26.9 ± 1.1 26.7 ± 1.3 N.S. Carbohydrate (g) 274.7 ± 6.7 249.5 ± 16.4 N.S. % Carbohydrate (%) 51.6 ± 1.2 60.0 ± 1.7 < 0.0001 Calcium (mg) 840 ± 26 389 ± 31 < 0.0001 Fe (mg) 14.5 ± 0.5 6.8 ± 0.4 < 0.0001 Zn (mg) 14.5 ± 0.2 6.0 ± 0.4 < 0.0001 Vitamin C (mg) 230 ± 11 74 ± 8 < 0.0001 Fiber (g) 24.8 ± 0.5 10.2 ± 1.0 < 0.0001

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22 4. 考察 研究課題 1 では、⼥⼦陸上⻑距離選⼿におけるヘプシジンを中⼼とした鉄代謝の様相を ⼀般⼥⼦と⽐較することを⽬的とした。また、体組成、⾎液指標状態、⾷事摂取量において も、両群間での⽐較を⾏った。その結果、⾎清ヘプシジン濃度は、⻑距離選⼿群が⼀般群に ⽐較して⾼値傾向を⽰した。⾎清鉄濃度および TSAT は、⻑距離選⼿群が低値を⽰した。体 重には両群間で有意差はみられなかった⼀⽅で、体脂肪量および体脂肪率はいずれも⻑距 離選⼿群が有意に低値を⽰した。⾷事摂取量に関わる各項⽬は、炭⽔化物の摂取量を除く全 ての項⽬において、⻑距離選⼿群が有意に⾼値を⽰した。 これまで、⼀過性の運動終了 3〜6 時間後にかけて⾎中ヘプシジン濃度が⼤きく上昇する こと、また⾎中ヘプシジン濃度の上昇は運動 24 時間後においてみられることもあることが 報告されている(Peeling et al. 2009 a, b, c)。⼀⽅で、慢性的なトレーニングが安静時のヘプシ ジン濃度に及ぼす影響は⼗分に検討されていない。本研究の結果、⼥⼦陸上⻑距離選⼿では、 ⾎清ヘプシジン濃度が⼀般⼥⼦と⽐較して⾼値傾向を、⾎清鉄濃度および TSAT は低値を⽰ すことが明らかとなった。Sandstrom et al. (2017)は、若年⼥⼦選⼿ (球技、瞬発系種⽬)およ び⼀般⼥⼦を対象に安静時のヘプシジン濃度を⽐較したところ、若年⼥⼦選⼿において有 意に⾼値を⽰したことを認めている。また、⾎中ヘモグロビンや⾎清フェリチン濃度には両 群間で差はみられなかったが、⾎清鉄濃度および TSAT はいずれも若年⼥⼦選⼿が有意に低 値を⽰した(Sandström et al. 2017)。この結果は、本研究の結果とも⼀致するものである。⼀ ⽅で、Ma et al. (2013)は、⼥⼦クロスカントリー選⼿と⼀般⼥⼦の間での安静時の⾎清ヘプ シジン濃度に有意差のみられなかったことを⽰している(Ma et al. 2013)。その⼀因として、 著者らは対象者の競技レベルが⾼くなかったことを挙げている。しかし、7 ⽇間連続の持久 性トレーニングを実施した研究では、トレーニング期間の終了翌⽇に安静時でのヘプシジ ンの上昇が認められた(McClung et al. 2013; Sim et al. 2014)。これらの知⾒を踏まえると、ス ポーツ競技者においては、⾼強度・⾼容量でのトレーニングを連⽇繰り返すことにより慢性 的に体内の炎症が亢進し、ヘプシジン濃度の上昇が誘発される可能性が考えられる。実際に、 本研究に参加した⼥⼦選⼿は、⽇常的に⾼強度・⻑時間のトレーニングを継続していた。ま た、⻑距離選⼿群において⾎清鉄および TSAT が低値を⽰した理由としては、ヘプシジン濃

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23 度の慢性的な上昇に伴い網内系細胞からの鉄の排出障害が起こり、結果的に⾎清鉄の減少 が⽣じた機序が推察される。 栄養摂取量は、⻑距離選⼿群が⼀般群と⽐較して、炭⽔化物を除く項⽬で有意に⾼値を⽰ した。⽇本⼈の⾷事摂取基準 2015 年版によると、本研究の被験者と同年代の⼥性における 推定エネルギー必要量は 1 ⽇あたり 1,950 kcal となる (18〜29 歳⼥性・⾝体活動レベルⅡ)。 本研究の⼀般⼥⼦群のエネルギー摂取量は、この値を約 200 kcal 程度下回った。⼥⼦スポー ツ競技者では、その⽇のエネルギー消費量が 500〜600 kcal と推定される場合、2,400〜2,500 kcal のエネルギー摂取量が望ましいと考えられている (体重 50 kg と仮定した場合)。このこ とから、本研究の⻑距離選⼿群のエネルギー摂取量は、推奨量を約 400 kcal 程度下回ってい たと考えられる。また、⾷事からの鉄の摂取量は、⼀般⼥⼦と⽐較して⼥⼦選⼿で⾼値を⽰ した。しかしながら、⾎中ヘモグロビンや⾎清フェリチン濃度には両群間で有意差が認めら れなかった。 炭⽔化物の摂取量には、両群間で有意差がみられなかった。また、体重当たりの炭⽔化物 量を換算すると、⻑距離選⼿群では、体重当たり約 5.5g/⽇の炭⽔化物量であった。筋グリ コーゲン量が減少した状態での運動は、肝臓からの糖新⽣を促進させるため IL-6 の増加を 助⻑させる。また、運動によるヘプシジン産⽣は、主に IL-6 の分泌が亢進することにより 増加する(Keller et al. 2001; Steensberg et al. 2001a)。Badenhorst et al. (2015)の報告によると、 筋グリコーゲン量を枯渇させるような運動を⾏った後に低炭⽔化物⾷ (3 g/㎏)を摂取した 条件は、⾼炭⽔化物⾷ (8 g/㎏)を摂取した条件に⽐較して、翌⽇に実施した⼀過性の運動直 後の IL-6 および運動 3 時間後のヘプシジン濃度が有意に⾼値を⽰した(Badenhorst et al. 2015a)。本研究での⻑距離選⼿群における炭⽔化物の摂取量は、上述の研究で⽤いられた摂 取量 (3 g/㎏)を上回っていたが、連⽇にわたり⻑時間のトレーニング (3 時間/⽇)を実施して いたことを考慮すると、炭⽔化物の摂取量は必ずしも⼗分でなかった可能性は否めない。こ のことから、本研究で対象としたような持久性スポーツ競技者における慢性的なヘプシジ ン濃度の上昇を抑制する⽅策の⼀つとして、エネルギー消費量に⾒合った炭⽔化物の摂取 が挙げられるかもしれない。 本研究は、2 ⽉〜3 ⽉に実施したが、研究対象者 (⼥⼦⻑距離群)の年間のスケジュールの

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24 中では、オフトレーニング期 (準備期)に相当していた。したがって、トレーニング量 (⽉間 ⾛⾏距離)が増加するトレーニング期(鍛錬期)においては、本研究の 2 群間で認められた差 がさらに⼤きくなる可能性も考えられる。したがって、今後は同⼀の集団を対象に、トレー ニング量の変化に伴うヘプシジンを中⼼とした鉄代謝の応答を改めて検討する必要があろ う。 5. 結論 ⼥⼦陸上⻑距離選⼿における安静時の⾎清ヘプシジン濃度は、同年代の⼀般⼥⼦に⽐較 して⾼値傾向を⽰した。また、⼥⼦陸上⻑距離選⼿は⾷事からの鉄の摂取量が有意に⾼値を ⽰した⼀⽅で、⾎清鉄濃度および TSAT は有意に低値を⽰した。

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25

Ⅳ.⼥⼦陸上⻑距離選⼿におけるトレーニング量の相違が

ヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響(研究課題 2)

1. 緒⾔ 研究課題 1 では、⽇常的に⻑時間のトレーニングを実施している⼥⼦陸上⻑距離選⼿に おける鉄代謝や栄養摂取状況を、同年代の⼀般⼥⼦と⽐較をした。その結果、⼥⼦陸上⻑距 離選⼿における安静時の⾎清ヘプシジン濃度は、同年代の⼀般⼥⼦に⽐較して⾼値傾向を ⽰した。研究課題 1 での⻑距離選⼿群における炭⽔化物の摂取量は、体重当たり約 5.5g/⽇ であった。連⽇にわたり⻑時間のトレーニングを実施していたことを考慮すると、炭⽔化物 の摂取量は必ずしも⼗分でなかった可能性は否めない。負のエネルギーバランスと鉄⽋乏 の発症が関連していることも報告されていることから(Petkus et al. 2017)、炭⽔化物を中⼼と したエネルギー摂取量の不⾜がヘプシジンの分泌亢進と関連している可能性が考えられる。 研究課題 1 では、⼥⼦陸上⻑距離選⼿と⼀般⼥⼦の鉄代謝を⽐較する横断調査であった た。⼀⽅で、スポーツ競技者は年間を通して同⼀内容のトレーニングを実施するわけではな く、⽬標とする競技会の実施時期を踏まえ、年間のトレーニング内容を数週間〜数ヶ⽉単位 で変化させる (ピリオダイゼーション)ことが多い。研究課題 1 では、トレーニング量が⽐ 較的少ない準備期 (オフトレーニング期)にデータの収集をしたが、複数の合宿などを⾏い ⽉間でのトレーニング量が⼤幅に増加する鍛錬期 (トレーニング期)においてはコンディシ ョン不良を訴え、トレーニングから離脱する選⼿が増えることは持久性スポーツ競技の現 場ではよく知られた事実である。また実際に、Nickerson et al. (1985)は、⼥⼦陸上⻑距離選⼿ のトレーニング期ではオフトレーニング期と⽐較して鉄⽋乏の罹患率が増加したことを報 告している(Nickerson et al. 1985)。したがって、オフトレーニング期からトレーニング期へ の移⾏に伴うトレーニング量の増加は、ヘプシジンの分泌増⼤を亢進させ鉄代謝の抑制を 引き起こすかもしれない。 そこで、研究課題 2 では⼥⼦陸上⻑距離選⼿を対象に、トレーニング量 (⽉間⾛⾏距離) の変化が⾎清ヘプシジン濃度を中⼼とした鉄代謝関連指標に及ぼす影響を検討することを

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26 ⽬的とした。また、トレーニング量の増加は⾎清ヘプシジン濃度を上昇させるという仮説を 設けた。 2.⽅法 (1) 被験者 国内トップレベルの⼥⼦陸上⻑距離競技者 16 名 (20.5 ± 1.0 yrs)を対象とした。被験者は、 全員が同⼀チームに所属し、1 ⽇ 2 回 (早朝、⼣⽅)の練習を週 6 ⽇の頻度で継続していた (早朝のトレーニングは約 1 時間、⼣⽅のトレーニングは約 2 時間)。すべての対象者に対し、 研究の⽬的、測定内容および参加に伴う危険性について⼗分に説明し、書⾯にて協⼒への同 意が得られた者のみを対象とした。なお、本研究は、⽴命館⼤学に帰属する倫理委員会の承 認を得て実施した (BKC-IRB-2014-025)。 (2) 実験デザイン トレーニング内容の相違が鉄代謝関連指標に及ぼす影響を検討するために、オフトレー ニング期 (LOW: 2015 年 2 ⽉中旬)およびトレーニング期 (INT: 2015 年 8 ⽉下旬)の 2 回 にわたり採⾎および⾷事調査を⾏った (Fig.5)。LOW は年間スケジュールの中で「準備期」 に該当し、トレーニング量は⽐較的少ない時期であり、⾷事は主に寮で提供される。これに 対して、INT は「鍛錬期」に該当し、10 ⽉に開催される全⽇本レベルの⼤会に向け合宿を含 んだ⻑時間の練習を連⽇実施し、トレーニング量は年間の中でも最も増加する (8 ⽉〜9 ⽉) 点が特徴として挙げられる。また、⾷事は主に遠征先で提供される。⽉間⾛⾏距離は、被験 者⾃⾝が記録している⽇誌をもとに評価した。LOW、INT のいずれにおいても、体組成、⾎ 液指標および栄養摂取状況を評価した。また、直近 1 ヶ⽉以内のサプリメントの摂取状況お よび⽉経周期の状態を確認した。体組成の測定および採⾎は、早朝空腹時 (6 時〜8 時半)に 実施した。

(37)

27

Figure 5. Experimental design during LOW and INT.

(3) 測定項⽬ 体組成

⾝⻑計 (ST-2M、株式会社ヤガミ、愛知)を⽤いて⾝⻑を測定した。また、多周波インピー ダンス測定機 (Inbody 720, Biospace, Seoul, Korea)を⽤いて、体重、体脂肪量および⾻格筋量 を 0.1 kg 単位で測定した(Demura et al. 2004)。 ⾎液指標 早朝空腹時に前腕静脈より採⾎を⾏った。⾎中ヘモグロビン(Hb)濃度の測定は、臨床検査 会社に委託をした (株式会社 ファルコバイオシステムズ、京都)。それ以外の⾎液は、4 ℃、 3000 rpm で 10 分間遠⼼分離し、⾎清および⾎漿を得た。得られた⾎清および⾎漿は解析ま での間、−80 ℃の超低温冷凍庫で保存した。 後⽇、⾎清鉄、フェリチン、総たんぱく(TP)およびクレアチンキナーゼ(CK)濃度を測定し た。これらの測定は、臨床検査会社に委託をした (株式会社 SRL、東京)。また、⾎清鉄濃度 と TIBC を⽤いて、トランスフェリン飽和度 (Transferrin saturation; TSAT)を算出した{TSAT (%) = ⾎清鉄/ TIBC × 100}。⾎清ヘプシジンおよび⾎漿 IL-6 濃度は、ELISA 法を⽤いて 解析した。また、ELISA 法での測定には、市販のキットを使⽤した (R&D systems, Inc., USA)。 ELISA 法による解析に伴う CV 値は、2.3 % (IL-6)、3.1 % (ヘプシジン)であった。

Middle of February

Body composition assessment Blood sampling

Dietary Survey

LOW

Body composition assessment Blood sampling

Dietary Survey

INT

Late of August

(38)

28 栄養摂取状況 ⾃⼰記⼊式の⾷事記録法 (秤量法と⽬安量法の併⽤)による⾷事調査を実施し、栄養摂取 状況を調査した。調査期間は 3 ⽇間 (平⽇ 2 ⽇、休⽇ 1 ⽇)とし、⾝体計測などの測定の 1 週間前に実施した。 ⾷事調査では、摂取した時間、料理名 (市販⾷品についてはその名称)、材料名、重量を記 ⼊するように依頼した。また、⾷事前後の写真の撮影を依頼した。⾷品の重量は可能な限り 秤量し、秤量が困難な場合のみ⽬安量を記⼊した。⾷事記録⽤紙の回収時に写真と⾷事記録 ⽤紙との内容を管理栄養⼠が対象者に照合し、⾷事記録内容の確認を⾏った。栄養素および ⾷品群別の摂取量は、5 訂増補⽇本⾷品標準成分表に準拠した栄養計算ソフト (エクセル栄 養君 Ver. 4.5、株式会社 建帛社、東京)を⽤いて算出した。また、サプリメントの利⽤があ った場合には、サプリメントからの栄養素摂取量も本研究の結果に含めた。 (4) 統計解析 すべての実験データは、平均値 ± 標準誤差 (Means ± SE)を⽤いて⽰した。Kolmogorov-Smirnov 検定を⽤いて各変数の正規分布を評価した。LOW と INT との間の平均値の差の検 定には、対応のある t 検定を使⽤した。統計解析は、SPSS software ver. 22.0 (International Business Machines Co., USA)を⽤い、有意⽔準は危険率 5 %未満に設定した。

(39)

29 3.結果 (1) ⽉間⾛⾏距離および⽉経の状況 ⽉間⾛⾏距離は、INT (622 ± 94 km/⽉)が LOW (499 ± 106 km/⽉)に⽐較して有意に⾼値を ⽰した (p = 0.029)。また、LOW ではいずれの被験者も鉄サプリメントを使⽤していなかっ た。⼀⽅で、INT においては被験者の 44 % (INT)が鉄サプリメントを使⽤していた。鉄サ プリメントの使⽤期間は被験者によって異なり INT の開始 2 週間〜4 週間前から使⽤して いた。これらの期間中、その他のサプリメントを使⽤した被験者はいなかった。規則的な⽉ 経がある (28 ± 2 ⽇)と申告した被験者は、LOW では 25 %、INT では 19 %であった。ま た、いずれの時期においても 2 名の被験者が無⽉経を申告した。 (2) 体組成

Table 4 には、体組成の結果を⽰した。体重および除脂肪体重には、LOW と INT の間で有 意差は認められなかった。体脂肪量と体脂肪率は、INT が LOW に⽐較してそれぞれ有意に 低値を⽰した。

Table 4. Comparisons of physical characteristics between the two different training periods.

Variables LOW INT p

Height (cm) 160.5 ± 1.0 - -

Body weight (kg) 49.7 ± 1.3 49.1 ± 1.0 N.S.

Lean body mass (kg) 41.4 ± 0.9 41.7 ± 0.8 N.S.

Body fat (kg) 8.0 ± 0.7 7.4 ± 0.6 0.015

% Body fat (%) 15.8 ± 1.2 15.0 ± 1.1 0.023

(40)

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(3) ⾎液指標

Table 5 には、⾎液指標の結果を⽰した。⾎中 Hb、MCV、MCH、MCHC、⾎清フェリチ ン、TP、鉄、TIBC 濃度および TSAT には、LOW と INT の間で有意差はみられなかった(p > 0.05)。 ⾎清 CK 濃度は、INT が LOW に⽐較して⾼値傾向を⽰した (p = 0.09)。 ⾎漿 IL-6 濃度には、LOW と INT の間で有意差はみられなかった。

いずれの被験者も鉄⽋乏性貧⾎ (⾎中 Hb 濃度 < 12.0 g/dL)には該当しなかった。しかし、 LOW では 31  %、INT では 37 %の被験者が、鉄⽋乏 (⾎清フェリチン濃度 < 20 ng/mL)に 該当していた(Reinke et al. 2012)。

Table 5. Comparisons of blood variables between the two different training periods.

Variables LOW INT p

Hb (g/dL) 12.9 ± 0.2 13.4 ± 0.3 N.S. MCV (μm³) 90.0 ± 0.7 92.7 ± 0.8 N.S. MCH (pg) 30.6 ± 0.7 30.7 ± 0.2 N.S. MCHC (g/dL) 32.1 ± 0.2 33.1 ± 0.2 N.S. Ferritin (ng/mL) 30.9 ± 5.6 28.1 ± 2.8 N.S. TP (g/dL) 7.2 ± 0.1 7.1 ± 0.1 N.S. Fe (μg/dL) 55 ± 6 65 ± 8 N.S. TIBC (μg/dL) 340.7 ± 11.1 323.0 ± 6.9 N.S. TSAT (%) 16.4 ± 1.9 20.1 ± 2.4 N.S. CK (IU) 227 ± 27 369 ± 66 0.09 IL-6 (pg/mL) 0.35 ± 0.06 0.33 ± 0.06 N.S.

(41)

31

(4) ⾎清ヘプシジン濃度

Figure 6 には、⾎清ヘプシジン濃度の結果を⽰した。⾎清ヘプシジン濃度は、INT が LOW と⽐較して有意に⾼値を⽰した (LOW; 8.8 ± 6.1 ng/mL, INT; 16.3 ± 6.5 ng/mL, p = 0.027)。ま た、いずれの時期においても、⾎清ヘプシジン濃度と⾎清フェリチン濃度との間に有意な正 の相関関係 (LOW:= 0.498、p = 0.049、INT:r = 0.681、p = 0.027) が認められた (Fig. 7)。

鉄サプリメントの使⽤の有無が⾎清ヘプシジン濃度に及ぼす影響を検討したところ、鉄サ プリメントの利⽤者と⾮利⽤者では⾎清ヘプシジン濃度に有意差がみられなかった (p = 0.10)。

Figure 6. Comparison of serum hepcidin levels between the two different training periods.

Values are means ± SE. * p < 0.05 between the periods.

Figure 7. Correlation between serum hepcidin and ferritin levels.

Fer ritinng/mL90 100 80 70 50 60 40 30 20 10 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 Hepcidin (ng/mL) INT LOW

(42)

32 (5) 栄養摂取状況 Table 6 には、3 ⽇間のエネルギーおよび栄養摂取状況を⽰した。⾷事からの炭 ⽔化物および鉄の摂取量は、いずれも INT が有意に⾼値を⽰した (炭⽔化物: p = 0.002, 鉄:p = 0.047)。また、鉄サプリメントを利⽤していた被験者 (n = 7)にお いて、鉄サプリメントからの鉄の平均摂取量は 9.5 ± 3.0 mg であった。エネルギ ー摂取量は、INT が LOW に⽐較して⾼値を⽰す傾向がみられた (p = 0.052)。⼀ ⽅で、たんぱく質および脂質の摂取量は、INT において有意に低下した (たんぱ く質: p = 0.002, 脂質: p = 0.010)。

Table 6. Comparisons of energy and macronutrient intakes during three days training period.

Variables LOW INT p

Energy (kcal) 2,140 ± 32 2,318 ± 385 0.052 (kcal/BWkg) 44 ± 2 48 ± 2 0.034 Protein % Protein (g) 115.8 ± 2.4 103.5 ± 4.5 0.002 (%) 21.7 ± 0.4 16.3 ± 0.4 <0.001 Fat (g) 64.2 ± 3.4 54.2 ± 0.2 0.010 % Fat (%) 27.0 ± 1.4 21.4 ± 0.7 <0.001 Carbohydrate % Carbohydrate (g) 275.8 ± 7.8 353.0 ± 18.4 0.002 (%) 51.3 ± 1.5 62.2 ± 1.1 <0.001 (g/BWkg) 5.6 ± 0.2 7.2 ± 0.4 <0.001 Iron (mg) 14.4 ± 0.4 17.3 ± 1.3 0.047 Vitamin C (mg) 228 ± 13 243 ± 24 N.S.

Values are means ± SE. N.S.: No significant.  

Figure  1.  Regulation  of  body  iron  homeostasis  mediated  by  hepcidin  (modified  from Tandara et al
Figure 2.  Effect of endurance exercise on plasma IL-6, urine hepcidin, and serum iron  levels (modified from Peeling et al
Figure 3. Pre and post exercise (3h after exericse) hepcidin-25 levels in elite race walkers for  all  subjects  (ALL)  and  for  the  respective  groups  separated  by  baseline  serum  ferritin  levels;
Figure 4 には、⾎清ヘプシジン濃度の結果を⽰した。⾎清ヘプシジン濃度は、⻑距離選⼿
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参照

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